空条承太郎の友人~原作介入~   作:herz

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・前回の続き。引き続き、原作とは大きく異なる展開

・最初は神父視点の独白ですが、その後は少し時間を遡り、F・F視点で承太郎、露伴と初対面した場面から始まります

・ご都合主義、捏造過多(主にスタンド能力について)、キャラ崩壊あり




救援に向かう道中にて

 

 

 

 

 ――私の計画が、狂い始めた。

 

 

 そんな直感が働いたのは、ヴェルサスが徐倫達と対峙していた時の事。……そこにいるはずのない人物を目にした私は、思わず狼狽えた。

 

 

(東方仗助……空条承太郎の記憶によれば、ジョセフ・ジョースターの不倫相手が産んだ子供。産まれた経緯はともかく、奴もジョースターの血統だ!)

 

 

 本来なら、遠く離れていても徐倫や承太郎のように奴の存在を感じ取れるはずが、あの場で顔を合わせるまで何も感じなかった!!

 あり得ない。あり得ない事だ。今では徐倫達のようにその存在を感じられるが、それまで何も感じなかったのは異常だ。

 

 

 承太郎の記憶を思い出してみると……その記憶に違和感は、無い。いや、今思うとよく分からないが"違和感が無い"こと自体がおかしい、ような……?

 駄目だ、分からん。理由は分からないが、私の中の何か(・・)が警鐘を鳴らしている事は、確かだ。

 

 

(……徐倫達の会話の内容からして、仗助だけでなく、他にもスタンド使い達がいるようだ。それはおそらく、仗助の仲間達だろう)

 

 

 その上……個人的には感謝したいところだが、ウェザーの記憶が戻るのを阻止した人間の存在や、陰から奴らをサポートするSPW財団の存在。

 どんなスタンド能力を持っているのかも分からない、戦闘能力が未知数のスタンド使い達が複数、私の敵に回っている……これはいくらなんでも、まずい展開だ。

 

 "天国"へ至るために、ジョースターの血統という試練は乗り越えるつもりでいたが……それ以外の障害が、多過ぎる!!

 

 

「…………事ここに至っては……手始めに"最強の盾"を引き離したのは正解だったな……奴には利用価値がある……」

 

 

 やむを得ない、か……予定を変更しよう。

 

 

(目標は――最強の盾、園原志人の確保ッ!!)

 

 

 徐倫を罠に嵌める前から、奴には目を付けていた。

 

 裏社会で、最強のスタンド使いと共に有名になった、最強の盾。その実力は、今までに奴の守りを突破できた者は存在しない、と言われている程。

 そんな奴が徐倫や承太郎の側にいれば、必ず私の障害になる……だから奴が財団の任務で承太郎達から離れるように、裏から手を回したのだ。

 

 アメリカで活動していた、スタンド使いも所属しているとある犯罪組織と偶然繋がりが出来たため、大金を渡して園原の足留めを依頼した。

 その組織にも何やら目的があるらしく、最強の盾はその標的としてちょうど良いからと、利害の一致によって話は簡単にまとまった。

 

 そいつらに、財団のスポンサーである人間を狙い、頃合いを見てそいつに最強の盾に関する噂を流すよう指示を出す。

 すると案の定、財団のスポンサーは園原を指名して護衛依頼を出した。世話になっているスポンサーからの依頼を、財団がはね除けられる訳が無い。

 

 こうして、私の思惑通りに園原は承太郎達の側から離れ、私が依頼した組織によって今も足留めされている。その護衛任務が仕組まれたものだとも知らずに。

 依頼した組織には念のために、私が良いと言うまでは殺すなと言い含めておいたが……やはり、それは正解だったな。おかげで園原を利用する事が出来る。

 

 

(そして今から、その組織のリーダーと連絡を取り、さらに大金を渡す事を約束した後。出来る限り多くの人員を引き連れて、園原に襲撃を仕掛けろと命令する……

 ただし、まだ殺さない。生きたまま捕らえろとも命令する。私の用が済んだ後は園原を好きにして良いと言えば、大金のためにも従うだろう)

 

 

 いくら最強の盾でも、大勢が一気に攻撃を仕掛ければ疲弊するはず……そこに私も加わり、隙を見て奴を捕らえるのだ!

 

 

 承太郎の記憶によると、園原は承太郎や徐倫、仗助とその仲間達にとって、相当重要な人物のようだからな……

 特に承太郎にとって、園原は唯一無二の理解者のようだ。園原が承太郎に与えている影響は、かなり大きい。

 

 捕らえた後は人質にするか?命令を書き込んだDISCを差し込んで、私を守らせるか?それとも……

 ……とにかく。園原さえ手中に収めれば、最も厄介な最強のスタンド使いを無力化する事が出来る!!

 

 

 新月の時まで、まだ時間はある。ケープ・カナベラルへ向かうのは園原を捕らえた後だ。…………しかし、

 

 

(何故だ……何かが、足りていない気がする。"天国"へ至るための何かが、足りない?否、足りないというよりも――封じられている……?)

 

 

 またもや私の中の何か(・・)による、よく分からない勘が働いた。

 それが少々不安だが、歩みを止める訳にはいかない。障害を一掃するには、園原の身柄の確保が必要不可欠だ。

 

 焦っていたせいか、ヴェルサスへの記憶処理をやり損ねてしまった。

 奴に徐倫達を足留めする命令を書き込んだDISCを入れたが……それよりも殺した方が良かったかもしれない。

 

 ヴェルサスが生き延びれば、おそらく徐倫達は奴から情報を得るだろう。私が、園原を利用しようとしているという情報を!

 

 

「時間が無い……!奴らが追い掛けて来る前に、園原を確保しなければ……ッ!!」

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 SPW財団の職員が、あたしの新しい肉体を用意してくれた。これでようやく、徐倫達と合流できるぞ!

 

 新しい肉体は、とある日本人の女の体だった。こいつの記憶自体は、あたしからすれば興味を引くような物は無かったが……

 こいつが使っていた日本語だけは、ありがたく覚えさせてもらった。徐倫も日本語を話せるようだし、あたしも同じ言語を使えるようになったのは素直に嬉しい。

 

 それから……新しい肉体を得た後、財団職員からウェザーとプッチ神父の素性を調査した報告書を渡され、それを最後まで読んだ。

 ……ウェザーの本名は、ウェス・ブルーマリンっていうのか。まあ、どんな過去があったとしてもウェザーはウェザーでしょ?

 

 

(例え悲惨な過去の記憶を取り戻したとしても、それまで徐倫やあたし達と共に過ごして来た思い出は――知性は、消えない)

 

 

 それさえあれば、あいつなら大丈夫……と思いたいけど、やっぱりちょっと不安だなッ!このあたしにそう思わせる程、ウェザーの過去は酷過ぎる!

 記憶を取り戻したら"悪魔の虹"とかいうヤバイ能力も発動されちまうらしいし、こればっかりは出来る事なら記憶を取り戻さないままの方が良いかもしれない……

 

 

 さて。あたしはこれから2人の人間と合流し、その人達と共に徐倫達の下へ向かう予定だ。

 空条承太郎と、岸辺露伴……前者は、一時期仮死状態に陥っていた徐倫の父親。後者は、仗助と同じく日本の杜王町という場所から来たスタンド使いだという。

 

 彼らについては、仗助から軽く話は聞いていた。刑務所から財団本部まで車で送ってもらった時に。

 ……まあ、その大体が園原志人という男の話ばかりで、徐倫の父親や杜王町のスタンド使い達についてはちょっとしか聞けなかったんだけどな。

 

 

「……君が、フー・ファイターズか」

 

「お、おう。……あ、そ、そうだ!徐倫達からはF・Fって呼ばれてるから、そう呼んでくれ」

 

「分かった、F・F。……財団職員から聞いているだろうが、改めて名乗っておこう。

 俺は、空条承太郎……そして、向こうで何やらぶつぶつ言いながら資料を読んでいる男が、岸辺露伴だ」

 

 

 

 

「やはり、これは面白い人生だな!本当にこんな事が現実で実際に起こっていたとは!さっそくこのネタを執筆に活かしたいところだが、今はそれどころではないからなあ……くそっ、こんな状況でさえ無ければ――」

 

 

 

 

「……あの人は何を読んでいるんだ?」

 

「おそらく君も見たはずだが、ウェザー・リポートとプッチ神父に関する調査報告書だな。……先程、俺も見た」

 

「…………そうか」

 

 

 1人で報告書を読んでいる岸辺露伴は、あたしが来た事に気づいているのだろうか?いや、それよりも気になるのは徐倫の父親の事だ。

 

 彼がその場にいるだけで、強い存在感を感じる。独特な雰囲気というか、凄みというか……それが自然と滲み出ているような?

 とにかく、彼の側にいると落ち着かない……どうしても、その存在を気にしてしまう。

 

 それに……あたしには、彼に対する負い目がある。それもあってかなり気まずいが、今のうちに謝っておかないと。

 

 

「あー、空条博士?それとも、承太郎、さん?」

 

「……呼び方なら、どちらでも構わない」

 

「じゃあ……空条博士。あたしはあんたに、1つ謝りたい事がある」

 

「謝りたい事?」

 

「――以前のあたしは、神父の命令であんたのスタンドDISCを守っていた。あんたの娘の敵だった存在だ」

 

「…………」

 

「今は徐倫達の味方だが……だからといって、かつては彼女達の敵だったという事実は変わらない……

 今さらこんな事を言ってもどうしようもない事は分かっている。だが、それでも謝らせて欲しい。あんたの娘の行動を妨害してしまって、すまなかった」

 

 

 この体が持つ記憶によれば、日本人は謝罪をする時に頭を下げるらしい。だからあたしも、日本人である博士に向かって頭を下げる。

 ……相手からは沈黙しか返って来ない。不安に思っていたその時、頭を上げてくれと言われた。

 

 言われた通りに頭を上げると、彼があたしをじっと見つめている。その瞳の色と顔立ちは、徐倫のそれとよく似ていた。

 

 

「一応、その謝罪は受け取るが……君に、俺に対して申し訳ないと思う気持ちがあるなら、それよりもやって欲しい事がある」

 

「なんだ?」

 

「――あの子と……徐倫と、これからも仲良くしてやってくれ」

 

「!」

 

「あの子はきっと、君や他の者達の事を仲間であると同時に、友人であると……そう思っているはずだ」

 

「…………」

 

「……今回の一件が終わった後も、友人として、あの子との付き合いを続けて欲しい。頼めるか?」

 

 

 ……まさか、そんな事を頼まれるなんて思ってもみなかった。だが、それなら答えは決まっている!

 

 

「ああ!もちろんだ!プッチ神父をぶっ倒した後も、あたしは……いや、あたし達は徐倫の友達だよ!ずっと!!」

 

「…………ふふ」

 

「ッ!?」

 

「……ありがとう。俺の娘を、よろしく頼む」

 

 

 ずっと無表情だった男が、微笑んだ。……緑色の目や整った顔立ちだけじゃない。その微笑みも、徐倫が笑った時とよく似ている。

 

 

(……そっか。この人、本当に徐倫の父親なんだ)

 

 

 それはちゃんと分かっていたはずだが……おかしな事にたった今、ようやく彼が徐倫の父親であると実感する事が出来たような、そんな気がした。

 しかも彼は、見た目や雰囲気からは全く想像できない程に優しい父親だった。その微笑みを見れば、実の娘を心から大切に想っている事がよく分かる。

 

 

「……なあ、博士」

 

「ん?」

 

「前言撤回して、承太郎さんって呼んでいい?」

 

「…………それは構わないが、何故いきなり?」

 

「へへっ!内緒!」

 

 

 承太郎さんには内緒だが、あたしがそう呼び直す事にした理由は……徐倫だけでなく、この人とも仲良くなってみたいと思ったからだ。

 怖そうな見た目や雰囲気とは裏腹に、実は娘を愛する優しい父親である、この人と。

 

 

 

 

 

 

(…………そう、思っていたんだけど……)

 

 

 承太郎さんは、娘想いの優しい父親であると同時に、見た目通りの怖い人でもあったらしい。

 

 

 徐倫達と再会し、一時はどうなることやらと思っていたが、ウェザーは記憶を取り戻しても暴走する事は無かったので安心した。……そこまでは、良い。問題はその後。

 

 

「嗚呼……また、なのか……また、俺から奪うつもりか――――DIO……ッ!!」

 

 

 ……その声は大きな声ではなかったはずなのに、何故か体中に響いた。……否、響いた、ではなく。体が勝手に震えているからそう感じただけだった。

 憎しみ、怒り、悲しみ、苦しみ……それら全てがない交ぜにされたような、怨嗟の声だ。

 

 おそらくスタンドの拳も重ねたはずだが、それでも本体の拳で建物の壁を殴り壊すとは……最強のスタンド使いという異名は、伊達では無さそうだな。

 

 あたしや徐倫達も、杜王町のスタンド使い達も、財団職員達も……全員が、承太郎さんの一挙一動を見逃さないようにしている。

 さっきウェザーが復讐心と戦っていた時と、同じだ。もしもあの人が暴走し始めたら、全員でそれを止める……いつの間にか、それが暗黙の了解となっていた。

 

 

 と、あたし達がしばらく警戒していた、その時。何かの音が鳴り響いた。これは……携帯電話の着信音?いったい誰の携帯だ?

 そう思っていたら、承太郎さんが懐から携帯を取り出した。あの人の携帯だったのか。

 

 すると。その画面を見た承太郎さんの目が一瞬見開き、それからすぐに険しい表情へと変わった。……相手は誰だろう?

 

 

「……何の用だ?悪いが俺は今、非常に気が立っていてな……下らない用事なら即座に切るぞ」

 

「――――。――、――、――、―――――」

 

「は……?何だと!?」

 

 

 誰かと電話で話していた彼は、いったい何を言われたのか相当驚いている様子……何があったんだ?

 

 

「―――――。……――――、―――――」

 

「…………」

 

「――――……―――。―――――、――――」

 

「…………お前が何故そこにいるのか、何が目的なのか……いろいろと聞きたい事はあるが、今は何も聞かずにいてやる。

 財団にも後で俺から言っておこう、だから――志人を、頼む……!!」

 

「――!―――――」

 

 

 ……それを最後に、通話が終わったようだ。承太郎さんは携帯をしまって、ため息をついている。

 電話の内容も気になるが、それよりも彼の表情が先程よりも穏やかになった事に安心した。あの様子なら、もう大丈夫そうだ。

 

 

「お父さん……?今の電話は誰から?お兄ちゃんの事を誰に頼んだの!?」

 

「……それは――」

 

 

 徐倫から問い詰められ、承太郎さんがそれに答える。……電話相手の名前は、この場にいる一部の人間達は知っていたようで、彼らは一様に驚いていた。

 その名前を知らなかった者達は、あたしも含めて逆に首を傾げていたが……

 

 

 とにかく、その電話の相手が徐倫の大事な人……園原志人を守ってくれるらしい。その間に、全員で急いで現場へ向かう事になった。

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 現在。あたし達はイルーゾォと徐倫を除いて、とある家の中にいる。ただし、その家は今……激しく、揺れていた。

 

 

「おいおいおい!?いくらなんでもスピード出し過ぎじゃねえかあッ!?」

 

「しょうがねェだろ!?我らが幸運の女神様の危機なんだからよォッ!!」

 

「幸運の女神様?それは、っ、エンポリオッ!!」

 

「うわあッ!?……あ、ありがとう、ウェザー!助かったよ……!!」

 

「くっ……億泰!戦闘中では無いとはいえ、気を抜くなよ!?余計な怪我をされても面倒だからな!」

 

「わ、分かってるぜ兄貴!」

 

「まあ、もし怪我しても俺が治してやるから、って、おおッ!?」

 

「おっと。……やれやれ、仗助。他人は治せても自分を治せない奴が油断するな。気をつけろ」

 

「す、すんません、承太郎さん……」

 

 

 家の中にいるあたし達は、それぞれ床や壁に固定された家具を支えにして、激しい揺れに耐えた。

 何人かは揺れのせいで危うく倒れそうになり、スタンドを使ったり誰かに助けてもらったりしている。

 

 何故こんな状況になっているのかというと……きっかけは、財団職員であるイルーゾォとホルマジオのスタンド、マン・イン・ザ・ミラーとリトル・フィートの能力だった。

 

 

 まず。イルーゾォのスタンドは主に、鏡の中に対象を引きずり込む能力を持っているが、それを応用すると、最速かつ最短距離で目的地を目指す事が出来る。

 鏡の中では現実世界の全ての物質が反転した状態で存在しているが、その中にはイルーゾォが引きずり込んだ生物以外の生物が存在しない……人間もいない。

 

 つまり。交通機関が機能していないため、他の乗用車も信号も警察も気にせず、道路や歩道を利用する事が出来る。

 こういう状況なら……イルーゾォがバイクで道路や歩道を爆走しても問題無い。よって、最速かつ最短距離で目的地まで行けるという訳だ。

 

 

 次に、ホルマジオのスタンド能力……それは、スタンドが切り付けた対象を縮小させる力だ。あたし達は、その能力で小さくされた上でこの家の中にいた。

 これはホルマジオ達が用意した、まあまあ大きいサイズの家の模型で、今はイルーゾォが運転する大型バイクの最後尾に積まれて固定されている。

 

 そんな状態で、イルーゾォがバイクを猛スピードで走らせているものだから……例え固定されていたとしても、家の中が激しく揺れるのは当然だった。

 

 

 それから。イルーゾォの後ろには今、徐倫が乗っている。

 

 彼女は細身で比較的体重が軽く、スタンド能力の糸でバイクから落ちないように体を固定する事が出来るため、バイクを爆走させるイルーゾォの負担にならない。

 それに、プッチ神父の存在を感じ取る事も出来るので、イルーゾォにその位置を教えつつ、彼をサポートするために外にいるのだ。

 

 なお。徐倫が他の男と2人乗りすると聞いてアナスイが騒いだが、そこはウェザーが取り押さえてくれた。

 

 

「おい……おい!F・F!」

 

「ん?何だよ、アナスイ」

 

 

 と、そのアナスイが近づいて来て、小声で話し掛けてきた。これは……徐倫の話だな。

 

 

「お前に聞きたい事がある……徐倫の初恋相手について、仗助辺りから何か聞いてないか?」

 

「はあ?なんでいきなり初恋相手の話なんて……」

 

「由花子が言ってたんだよ!徐倫は幼い頃から今に至るまでずっと、そいつに恋をしているのだと!つまりその男は俺の恋敵だろうがッ!」

 

「な、何だと……!?」

 

 

 徐倫の初恋が今でも続いている!?それは初耳だ!いや、そもそも初恋の話も何も知らないぞ!?

 

 仗助から聞いた話は、そのほとんどが園原志人の話だった。その中で徐倫が関わる話といえば……

 彼女はそいつの事を本当の兄のように大事に思っていて、そいつも徐倫を実の妹のように可愛がっており、徐倫が幼い頃から共に過ごす機会が多かった……という話ぐらいしか聞いてないし。

 

 正直にそう話すと、アナスイは何かに気づいたのかはっと顔を上げた。

 

 

「まさか……そいつか?そいつが徐倫の初恋を奪った男か!?ならば神父との戦いのどさくさに紛れて排除する事も可能では、」

 

「待て待て待て待てッ!やめた方が良い!園原を殺せば、最強のスタンド使いを敵に回す事になるぞ!?」

 

「……最強のスタンド使い?」

 

「承太郎さん……徐倫の父親の事だ。財団職員からそう聞いた。……あの人の力は、病院で見ただろ?」

 

「…………」

 

「あんな力を持つ男を敵に回したら、本気でアナスイの命が危ないと思う。

 仗助から聞いた話では、徐倫と同じく承太郎さんも園原の事を大事に思っていて、もはや実の息子のように扱っているらしい……」

 

 

 ……あたしの忠告は、アナスイに届いたようだ。彼は神妙な様子で頷いている。

 

 

「確かに、リスクが高過ぎるか。それに、その男が本当に俺の恋敵なのかどうか、まだはっきりしてない……」

 

「そうそう。そうだよ!」

 

 

 こんな奴でも、一応仲間だからな。仲間がボコボコにされてしまう姿は見たくない。良かったあ、ちゃんと理解してくれて……

 

 

 だがしかし。あたしの考えは、甘かった。

 

 

「――もしかすると、そいつが俺の未来の義兄のような存在になる可能性もある」

 

「…………は?」

 

「その男を俺が救えば、徐倫も承太郎も俺を認めてくれるはずだ!」

 

「はあ??……って、待てアナスイ!何処に行くんだ、おい!?」

 

 

 何言ってんだこいつは!正気か!?いや、こいつなら正気だろうな!徐倫が関わると途端に阿呆になるこいつならッ!!

 で、そんな阿呆はあたしを置いて承太郎さんの下へ向かった。こんなに激しい揺れの中でも、ダイバー・ダウンの力を使えば移動は簡単だ。

 

 

 まずい……阿呆が馬鹿な事をやらかして間抜けな結末を迎える予感しかしないぞ!?

 

 

「承太郎さん」

 

「…………お前、……アナスイ、といったか?」

 

「ええ、そうです。……ところで承太郎さん、俺は全力であなたのお嬢さんを守ります。それに、彼女が実の兄のように思っている男の事も守ります」

 

「…………」

 

「既にのぴっきらない事態に陥ったようだが、必ず2人を守り抜く――だから、お嬢さんとの結婚をお許しください」

 

「…………」

 

「は?」

 

「ああ?」

 

「えっ??」

 

「…………アナスイ……?いきなり何を言い出すんだ、お前は?」

 

 

 アナスイの馬鹿な発言に真っ先に反応したのは、無言のままでいる承太郎さんではなく、周囲の人間だった。

 今の発言が聞こえていたのか、全員がアナスイに注目している。……あたしは思わず項垂れた。駄目だわ、あいつ。もう何が起こっても知らないからな!

 

 

「こんな時になんだが、許してくれるだけでいいんだ。あなたが許してくれるだけで!俺は救われる!!」

 

「…………」

 

「何も俺は、最初から徐倫と結婚できるなんて思ってない。俺の殺人罪は事実だし、徐倫が俺の事を好きになってくれる訳が無いことも知っている」

 

「…………」

 

「だが、徐倫が父親であるあんたから受け継いでいる清い意志と心は、俺の心の闇を光で照らしてくれている!崩壊しそうな俺の心の底を!」

 

「…………」

 

「今の俺には必要なんだ……一言でいい、"許す"と。俺の心を解き放って欲しい!!」

 

 

 と、奴の口から馬鹿な発言ばかりが飛び出して来るが、あの阿呆に対して承太郎さんは何と言うのか……

 そう思って、承太郎さんの様子を窺ったあたしは……息を呑んだ。

 

 

 

 

 

 

(あ、あの目は……!?)

 

 

 ――養豚場のブタでも見るかのように冷たい目……ッ!!なんて残酷な眼差しなんだ!?

 

 "可哀想だが明日の朝には肉屋の店先に並ぶ運命なのだろう"とか、そんな心の声が聞こえそうな感じがする……!!

 

 

「…………言ってる事が分からない……イカれているのか、この状況で」

 

 

 そしてド正論ッ!!

 

 

「だが……そんなにイカれているのなら、ちょうど良い――志人と徐倫の肉壁として使えそうだ。

 いざとなったら俺のスタンドで首根っこを掴んでぶん投げるとするか」

 

「――――」

 

「……それが嫌なら、二度とそんな世迷い言を口にするんじゃねえ」

 

「…………は、……はい……」

 

 

 あのアナスイが素直にそう返事をしてしまう程に、承太郎さんの目も声も表情も、その全てが酷く冷たかった。

 それに、その後の発言も……え、さすがに冗談、だよな?いや、でもあの人ならいざとなったら本気でやりそうだぞ……!?

 

 

(まさか、本当に阿呆が馬鹿な事をやらかして間抜けな結末を迎えるとは……)

 

 

 周りを見ると、承太郎さんだけでなく彼らも呆れたような、冷めた目でアナスイを見ている。

 なんか、さすがにちょっと可哀想になって来たな……仕方ない、この空気を変えてやろう。

 

 

「あ、あのー……承太郎さん?」

 

「あ"?」

 

「ひっ」

 

「おっと……すまない、F・F。どうした?」

 

 

 承太郎さんに声を掛けると一瞬睨まれたが、すぐに謝られて穏やかにそう尋ねられた。……良かった。どうやらあたしに対して悪感情は無いらしい。

 

 

 気を取り直して、先程から気になっていた事を問い掛ける事にした。

 

 

「早く出発するためにってバタバタしてたから、さっきは結局聞けなかった事を今聞かせてもらうけど……

 

 

 あの電話の相手――ジョルノ・ジョバァーナとかいう奴は、いったい何者なんだ?」

 

「……ああ、その事か。それなら、軽く説明しておこう」

 

 

 承太郎さんは自分でそう言った通り、ジョルノ・ジョバァーナについて簡単に話してくれた……が、

 

 

(――徐倫や承太郎さん、仗助と同じくジョースター家の人間と認められた上で、DIOの息子でもありイタリアンマフィアのボスでもある、ってどういう事なの……??)

 

 

 

 

 

 

 






・日本人女性の体を手に入れたプランクトン

 見た目は大和撫子だが、口を開くとF・F(エートロ?)。とどのつまり残念な美女。

 初対面の際。承太郎の独特な雰囲気を感じて戸惑っていたが、実は娘想いの優しい父親なのだと知り、一気に懐いた。
 承太郎の見た目や言動から、所々で徐倫と似ている点があるのを見つけるのが楽しい、らしい。

 しかし、承太郎がただ優しいだけの父親ではない事を思い知った。拳一発でデカイ壁を破壊って怖過ぎるんだけど!?

 緊迫感のある状況で"娘さん下さい"をかますアナスイに対して呆れつつ、話を逸らす事で結局助けている。なんだかんだ仲間に優しい子。


 それで……ジョースター家の人間と認められた上で、DIOの息子でもありイタリアンマフィアのボスでもある、ってどういう事なの……??


・"娘さん下さい"をかます元殺人鬼

 F・F曰く、馬鹿な事をやらかして間抜けな結末を迎えた阿呆。

 切迫詰まった中でも、徐倫との結婚について考える余裕があるようだ。ある意味幸せな奴()である。
 原作とは少し異なり、徐倫だけでなく未来の義兄()も守る事で結婚を認めてもらおうとしたが、当然ながら怖ーいお父様から白い目で見られた。

 養豚場以下略の視線と、園原達の肉壁以下略の冗談とは思えないセリフを浴びせられた事で、さすがの彼も素直に引いた……が、もちろん徐倫の事はまだ諦めていない。


・一瞬曾祖母が乗り移った怖いお父様

 言ってる事が分からない……イカれているのか、この状況で(養豚場のブタを見るような目)

 園原が標的にされた怒りで暴走寸前だったが、思わぬ人物からの電話のおかげで多少は冷静になれた。
 しかし。怒りはまだ残っていたため、アナスイの"娘さん下さい"によってそれが再燃。養豚場以下略の視線と、園原達の肉壁以下略のセリフを浴びせた。


 さて……血の繋がりで近くにいる事は分かっていたが、何故フロリダにいる?何が目的なんだ?


・助手君を標的にした神父

 本人なりに危機的状況を打破するために園原を標的にしたのだが、その結果多方面から恨みを買う事になってしまった。盛大に墓穴を掘っている。

 園原が原作6部に介入出来なかったのは、こいつが原因だった。原作が開始する前から園原には目を付けていたらしい。
 "何かがおかしい"、"天国へ至るための何かが封じられている"といった奇妙な感覚を感じている模様。


・まさかの参戦、ドン・パッショーネ




 彼が何故フロリダにいるのか?そして何が目的なのか?……それには、徐倫達が脱獄した日の翌日に起こった、とある出来事が関わっている――






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