空条承太郎の友人~原作介入~   作:herz

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・前回から時を遡り、徐倫達が脱獄した翌日から始まります。オリジナルの組織が登場。詰め込み過ぎてかなり長めの内容です

・ご都合主義、捏造過多(主にジョジョ世界における血の繋がりによる効果や、スタンド能力について)、キャラ崩壊あり、ジョルノ視点




仲間達と共に見る"星"を選ぶ【前編】

 

 

 

 

「――お帰りなさい、アバッキオ」

 

「お帰り。調査任務、お疲れ」

 

「おう」

 

 

 ある日。とある任務のためにしばらくイタリアから離れていたアバッキオを、ブチャラティと共に出迎えた。

 彼を出迎えた後、パッショーネの拠点内にある僕の執務室に移動した。普段は主に僕の補佐として動いてくれるブチャラティと共に、ここで書類仕事を片付けている。

 

 

「それで、任務はどうでした?」

 

「……なかなか胸糞悪い気持ちにさせられたが、それ以上に気になる事があってな。個人的に出来る範囲で調べて来た」

 

「へえ?……あなたにしては、珍しいですね」

 

「確かに。いつものアバッキオなら任務達成に専念して、それ以外の事は気になってもわざわざ調べようとはしないよな?」

 

 

 ブチャラティと顔を見合せ、それから再びアバッキオを見る。……彼の表情は険しい。どうやら、余程の事があったようだ。

 

 今回。アバッキオが行った調査任務は、元はといえばSPW財団がパッショーネに対し、アバッキオを指名して依頼を出した事がきっかけとなっている。

 それは、とある2人の人物の過去を調査するのに協力して欲しい……という依頼だった。

 

 アバッキオのスタンド能力を使えば、過去の出来事を再生してより正確な状況を知る事が出来る。

 財団側はその能力を高く買っており、今までにも何度か似たような依頼をされる事があったし、その度に相当な額の報酬を出してくれたのだ。

 

 だがしかし。その陰でアバッキオが、財団職員の風花さんからかなり遠回しに引き抜きの打診をされていたと知った時は驚いた。

 アバッキオがそれを断った上で、僕に素直に報告してくれた事はありがたいが……彼女、大人しそうな顔をしてる癖に意外と侮れない人なんだよな……

 

 

 おっと、それはさておき。……アバッキオの言う、気になる事とは何だろうか?

 

 

「…………今回の調査対象2名のうちの1人が――ジョルノの父親と、深く関わっていた」

 

「っ!?」

 

「ジョルノの父親……DIO、か」

 

「ああ」

 

 

 アバッキオの発言に驚愕しながらも、いったいどういう事なのか聞いてみると……

 

 僕の父親、DIOと深く関わっていた人物……エンリコ・プッチという神父は、DIOの友人だったそうだ。

 プッチ神父の過去を調べていくうちに、そいつは生前のDIOと交友関係にあり、DIOから相当強い影響を受けていた事が分かったらしい。

 

 

 しかし……アバッキオが状況の再生を頼まれたのはそこまでで、その時点で財団職員から任務終了と言われてしまった。

 

 

「いつもなら、それに従って余計な詮索は控えるところだが……今回ばかりは納得出来なかった」

 

「それは、何故?」

 

「…………ジョルノが、……うちのボスの父親が関係している事だったからな……一応。念のため。仕方なく。個人的に調べて来ただけだ」

 

「ふふ、くくく……ッ!!そうかそうか。ジョルノのためか!」

 

「うるせえ、ブチャラティ!笑うなッ!!ジョルノも笑ってんじゃねえッ!!笑うぐらいなら何か言えよ!!」

 

 

 相変わらず素直ではないアバッキオだが、その気持ちは嬉しい。僕は特にからかう事なく、無言でニコニコと笑うだけにしておいた。

 

 

 ……さて、気を取り直して話の続きだ。

 

 昨日。財団職員と共に財団本部まで戻ったアバッキオは、前もって予約しておいた飛行機の時間まで待機するよう言われたのだが。

 その時、どういう訳か周囲が急に慌ただしくなったという。……アバッキオは、それをチャンスだと思った。

 

 

「財団職員達の目があったし、スタンド使いが紛れ込んでいたかもしれないからな。

 さすがにムーディー・ブルースは使えなかったが……その代わりに、しっかり聞き耳を立てておいたぜ」

 

 

 忙しなく動き回る財団職員達の会話をこっそり聞き取り、その内容をまとめてみたところ。

 

 

 現在、プッチ神父が承太郎さん達と敵対しているらしい。

 

 その最中。承太郎さんの娘が神父の罠に嵌まり、冤罪で刑務所に入れられていたが……

 アバッキオが財団本部まで戻って来たその日、彼女が仲間と共に脱獄していた事が判明。財団はそのせいで慌ただしくなっていたようだ。

 

 で、そんな時に父親である承太郎さんは何をしていたのかというと……どうやら情報が制限されていたらしく、詳しい事は分からなかった。

 しかし、何らかの理由で簡単には動けない状態にある事だけは確かだという。

 

 

「それなら、シドはどうした?あいつなら、承太郎さんの代わりにその娘さんを助けに行くんじゃないか?」

 

「俺もそう思ってたんだが、な……あいつはどうも、タイミングが悪過ぎたようだ」

 

 

 ……シドは今、とある護衛任務に就いており、護衛対象から離れる事が出来ないらしい。

 

 しかもその任務は、承太郎さんの娘が神父の罠に嵌まる前日から始まっている……?

 確かに、タイミングが悪過ぎると言ってしまえばそれまでだが……本当に、それだけなのか?

 

 

 それに……僕にはもう1つ、気になっている事がある。

 

 

「……アバッキオ。先ほど、承太郎さんの娘さんが入れられた刑務所がある場所は、何処だと言いましたか?」

 

「あ?……フロリダ州と言ったが」

 

「フロリダ……フロリダ、か……」

 

 

 何故だ?理由はまったく分からないが――僕の中の何か(・・)が、"そこに行け"と言っている。

 

 

 この何か(・・)の感覚を感じ取ったのは、実は初めてじゃない。というか、初めてどころじゃない。ずっとだ。

 確か……先月辺りから、だったか?突然前触れもなくこの感覚を感じるようになり、今日に至るまでずっと、何か(・・)が僕を何処かへ引き寄せようとする感覚に襲われていた。

 

 そして、今日。アバッキオの話を聞いてから、その感覚が急に強くなった。

 

 

(気味が悪い……何なんだ、この感覚は)

 

 

 フロリダには、僕を引き寄せようとしている何か(・・)がいるのだろうか?……分からない。無闇に近づかない方がいいだろう。

 

 

「……ジョルノ?」

 

「!」

 

「どうした?……フロリダに、何か気になる事でも?」

 

「…………いえ、何でもありません。やっぱりちょっと遠いなと思っただけです」

 

「遠いな、って……まさか?」

 

「おいおい、距離が近かったら行くつもりだったんじゃねーだろうな?」

 

「大丈夫です。……行きませんよ」

 

 

 そうだ。僕は、行かない。……心の中で、自分自身にそう言い聞かせた。

 僕はパッショーネのボスだ。余程の理由が無い限り、組織のトップが拠点から離れる訳にはいかないのだ。

 

 

「……それよりも、アバッキオ。今、トリッシュがここに来てるんですよ」

 

「は?あいつが?」

 

「すまん、言い忘れていたな。今日は財団側とのちょっとした取引のために、彼女が交渉人としてフーゴと話し合いをしに来ているんだ」

 

「ミスタとナランチャも、今頃そこに顔を出していると思います。アバッキオも来ませんか?」

 

 

 10年前。風花さんから財団職員にならないか?と提案された時から、トリッシュはしばらく悩み続けて……最終的に、財団職員になる事を選んだ。

 

 その後、イタリアに新たに設置された財団のローマ支部にて。風花さんがそこに留まっていた数年の間は、彼女の下で仕事を学んでいたが……

 彼女がアメリカにある本部に戻った後は急に頭角を現したようで、今日のようにパッショーネの幹部との交渉を任せられる程の立派な財団職員へと成長を遂げた。

 

 ただ……財団内部では、彼女がパッショーネのボスや幹部と親しい事を危険視する人間も、少なからずいたらしい。

 しかし。そんな中でもトリッシュは真面目に働き、僕達に対しても譲れる所は譲り、譲れない所はとことん譲らないという、メリハリを付けて接して来た。

 

 その姿勢が評価されたのか、今では彼女を疑う声はほとんど聞こえて来ないという。

 

 

「ミスタとナランチャ……あいつら、フーゴとトリッシュの仕事の邪魔はしてないだろうな?」

 

「ああー……」

 

「……そう言われるとちょっと心配になって来たが、向こうに行く前に……ジョルノ」

 

「はい?」

 

「今のアバッキオの話は、もう終わりでいいのか?」

 

 

 ブチャラティが、僕の目を見つめた。……彼にはいろいろと見透かされているようで、困る。

 

 

「…………ええ。終わりで良いですよ……今の所は」

 

「……分かった、お前がそう言うなら、今はそのままにしておこう。

 アバッキオ。後でさっきの話を、報告書にまとめておいてくれ。ジョルノがまた気になった時に読めるようにな」

 

「了解」

 

「…………お願いします」

 

 

 ああ、やっぱりブチャラティには……いや、アバッキオにも僕の考えはお見通しのようだ。任務に関係のない事まで報告書に書かせるなんて申し訳ないのだが……

 ここで変に遠慮すると、今までの経験からいって逆に怒られてしまうと思うので、素直にお願いする事にした。

 

 

 ……その後、僕達がフーゴ達のいる部屋へ向かったところ。

 アバッキオの懸念通り、ミスタとナランチャが何かをやらかしたらしくフーゴに怒鳴られていたため、彼を落ち着かせるのに苦労した。

 

 それからトリッシュとの交渉も無事に終わり、これから他に仕事があるという彼女を、拠点の入り口まで見送ったのだが。

 

 

「……あ、そうだ。ねえ、皆にちょっと聞きたい事があるんだけど」

 

「聞きたい事?」

 

 

 そんな事を口にした彼女の様子は、自然体だ。聞きたい事というのは、おそらく大した話では無いのだろう――

 

 

Freddamente(フレッダメンテ)、っていう組織を知ってる?」

 

 

 ――前言撤回。

 

 

「トリッシュ……君が何故、その組織の名を知っている?」

 

「え、それは、」

 

「その組織の名は、少なくともイタリア国内ではパッショーネのボスと一部の幹部……

 つまり、この場にいる俺達しか知らないはずなんだ。財団側にもその組織の話をした覚えは無い」

 

「…………」

 

「……答えろ、トリッシュ。何処でその名を知った?」

 

 

 ブチャラティが前に出て、彼女を問い質す。……昔のトリッシュなら、好意を寄せているブチャラティの怖い顔を見たら涙目になっていたかもしれない。

 だが、今のトリッシュは決して怯まない。驚いてはいるが、彼女は堂々としていた。

 

 

「その話、今じゃないと駄目かしら?」

 

「何?」

 

「あたしは風花さんに、ジョルノ達の前でその組織の名前を出して、あなた達がどんな反応を見せるのか確かめて欲しいと頼まれたから、その通りに行動しただけよ。それ以上の事は知らない」

 

「…………」

 

「でも、明日。風花さんがこっちに来るの。ローマ支部での別件を済ませた後になると思うけど……

 その組織について、あたし達に事情を説明してくれるはずだわ。……だから、それまで待ってもらえる?」

 

「…………明日、だな?」

 

「ええ。明日になれば分かるはず」

 

 

 トリッシュの言葉に、偽りは無さそうだ。少なくとも僕の目には、彼女が嘘をついているようには見えない。

 ブチャラティがこちらに振り向いて、僕を見る。……頷きを返した。

 

 

「……分かった、トリッシュ。君を信じよう。明日、風花さんと共にここに来てくれ。待っているぞ」

 

「うん。ありがとう」

 

 

 ……トリッシュが去った後、全員で執務室に移動した。彼女が口にした、フレッダメンテという組織について話し合うためだ。

 

 

 Freddamente(フレッダメンテ)……日本語で言うと"冷ややか"や"冷静"といった意味を持つ、イタリア語の言葉。

 これは、僕達のPassione(パッショーネ)……"情熱"に対抗して命名された組織名だという。

 

 この組織のボスと幹部達は元々、パッショーネに所属する1つのチームだった。

 

 しかし。僕達がディアボロを倒し、パッショーネという組織を立て直し始めた頃。

 奴らがそのどさくさに紛れて、組織が集めていた金の一部を勝手に持ち出し、イタリアから出国していた事が判明した。

 

 そして情けない事に、僕達がそれに気づいた時には既に、奴らの行方が全く掴めなくなっていた。

 アバッキオのスタンド能力も使ったが、それで入手できた重要な情報はたったの4つだけ。

 

 1つ目。奴らがフレッダメンテという組織として、パッショーネから独立した事。

 2つ目。この組織は金さえ渡せば殺しでも何でも、どんな仕事でもやるという事。

 

 3つ目。奴らのうち数名はスタンド使いで、今後しばらくはスタンド使いの仲間の数と、組織を大きくするための資金を増やすのを目標としている事。

 そして、4つ目。それを達成するまでは、パッショーネによる追跡から逃れるために、本格的な活動はしないと決めた事……

 

 当時の僕達にとって特に重要だったのは、4つ目だ。おそらくこれのせいで、僕達は奴らの行方を掴めなくなってしまったのだと思う。

 

 奴らは自分達が生き残るために、手っ取り早くとりあえず組織を大きくするのではなく……

 長い時間を掛けて、確実に組織を大きくしながら万全な体制を整える事を選んだのだろう。

 

 

 それ以降の10年間……僕達は行方が分からない裏切り者達の追跡よりも、パッショーネを完全に立て直す事を優先させた。

 もちろん、何もしなかった訳ではない。組織の構成員の一部を他国に行かせて、奴らの行方を調べさせたのだが……

 

 結局、今日までにいくつかの目撃情報は集められたものの、奴らの拠点を突き止めるまでには至らなかったのだ。

 

 

「うーん……なんで財団があの組織の事を知ってたんだろうな?」

 

「さあな。……しかし、パッショーネも情報収集力には自信があるが、それは財団も同じだぜ」

 

「さらに言えば、財団の方が僕達よりも規模が大きい……何処からか情報を得ていたとしても、おかしくは無いでしょう」

 

「でもよォ……今まで俺達が行方を掴めずにいた組織を、財団があっさり見つけちまったってのがなんか……気に食わねェなあ」

 

「…………まさか……」

 

「……ブチャラティ?」

 

 

 と、ナランチャ達のそんな会話の最中、ブチャラティが何かに気づいたらしく、目を見開いた。

 

 

「――奴らの方が、もう見つかっても構わないと判断したからこそ、財団はあっさりと見つけたんじゃないか?」

 

「えっ?」

 

「それは……まさか、奴らの組織の体制が整ったという事ですか!?スタンド使いの数も資金も充分集まって、ついに本格的に活動を始めたと!?」

 

「俺はそう考えているが……お前らはどう思う?」

 

「…………あり得る、な」

 

「つーか、他に考えられる理由はあるか?」

 

「奴らが何かミスをして財団に見つかった可能性や、財団が何らかの理由で奴らを捜索していたために発見されたという可能性も、無いとは言えませんが……

 最も有力なのは、ブチャラティの推測でしょう。……これは、困った事になりましたね」

 

 

 本当に、困った事になった。

 

 ……パッショーネはようやく軌道に乗って来たところだし、そろそろ奴らの追跡に本腰を入れようと考えていた矢先の、これだ。

 財団には既に奴らの存在を知られているようだし、ここは恥を忍んで財団に協力を求めるべきだろうか……?

 

 

 そして、翌日。パッショーネの拠点に、風花さんとトリッシュがやって来た。

 

 

「では、さっそく。フレッダメンテについて、財団側が把握している事をお話したいと思います」

 

 

 ……風花さんから語られたのは、驚くべき話だった。

 

 奴らは……フレッダメンテは今、財団のスポンサーであるとある資産家の男性の命を狙っているらしい。

 パッショーネから独立した組織が、パッショーネの後ろ楯である財団のスポンサーの命を狙っている……

 この時点で深いため息をつきたくなったが、次の言葉で僕は思わず頭を抱えてしまった。

 

 

「…………シドが、その資産家の護衛に……?」

 

「そうなんですよ……実は、その資産家の方は裏社会とは全く関わりが無いはずなのに、何故かそこでしか名が通っていない"最強の盾"の存在を知っていて……

 そう呼ばれる存在が財団職員の中にいる事も知っており、わざわざ指名依頼を出して来たんです」

 

 

 …………裏社会に関わりの無い人間が何故か、最強の盾……シドの異名を知っていて、わざわざ彼を指名した、だと?それは――

 

 

 

 

「それで園原さんが空条博士の元から離れる事になってしまって、しかもタイミング悪く博士と徐倫さんがあんな事に……!

 

 嗚呼、志人様!!お可哀想に!承太郎様とその娘さんの一大事にあの方々のお側にいられないなんて……!!

 承太郎様もお辛いでしょうけど、志人様だってやるせない思いでいっぱいのはず!!

 承太郎様を護りたいというお気持ちが人一倍強いあの方なら間違いなくそう考えているはずだわ……!!」

 

「ふ、風花さん!風花さん!!また暴走しちゃってるわよ!?」

 

「あっ……あ、あら……申し訳ございません、つい」

 

「……この人、なんかよく分かんないけど、たまーに暴走するよな。なんで?」

 

「ナランチャ、僕に聞くな……」

 

「深くは突っ込まないようにしておこうぜ」

 

「だな……面倒臭そうな気配がする」

 

「…………ん?ジョルノ……?」

 

「……どうした、ブチャラティ」

 

「いや……ジョルノがさっきから、こっちの会話が聞こえて無さそうなんでな」

 

「あ?」

 

 

 

 

「ジョルノ……おい、ジョルノ!!」

 

「っ!!」

 

 

 ――はっと、顔を上げる。……気がついた時には僕以外の人達が皆、僕の事を心配そうに見つめていた。

 

 

「どうしたんだ?……顔色が悪いぞ?」

 

「大丈夫か……?」

 

「…………あの、風花さん……」

 

「は、はい?何でしょう?」

 

「僕達は昨日、アバッキオから一昨日の財団本部の様子を聞きました。

 

 詳しい事情は分かりませんが、エンリコ・プッチという神父……僕の父親、いえDIOの友人である男が承太郎さん達と敵対している事。

 承太郎さんの娘さんが、神父の策略で刑務所行きになったが脱獄した事。……承太郎さんが、何らかの理由ですぐに動ける状態では無い事までは、知っています」

 

 

 そう。これらの話は既に、ミスタ達3人にも昨日のうちに説明してある。

 トリッシュも僕達に少々近過ぎる存在だが、財団職員としてある程度は情報を与えられていたのだろう。驚いている様子は無い。

 

 現在の承太郎さん達の情報がパッショーネまで回って来なかった原因は、おそらく僕がDIOの息子だからだろうが……そんな事は今はどうでもいい。

 

 

「ただ、それに加えて……シドが護衛任務を始めたのは、承太郎さんの娘さんが罠に嵌められた日の前日だったとも聞いたのですが、それは事実でしょうか?」

 

「えぇ、その通りですけど……?」

 

「おかしいと思わなかったんですか?」

 

「えっ?」

 

「シドが承太郎さん達から離れ、その翌日になってすぐに娘さんが罠に嵌められた。そして彼は、護衛対象から離れる事ができない……

 最強の盾が、一定の場所から動けなくなっているんですよ?これはあまりにも、承太郎さん達の敵にとって都合が良過ぎる状況ではないですか?」

 

「そ、それは……」

 

「さらに。シドの護衛対象を狙っている、フレッダメンテについてですが――」

 

 

 風花さんとトリッシュに、フレッダメンテに関して僕達が知っている事を明かす。……彼女達の表情が強張った。

 

 

「……奴らは金さえあれば、どんな仕事でも受ける。そして、スタンド使いの数と資金が充分集まったら本格的に活動しようと考えていた。

 組織が本格的な活動をするのに必要なものは、ある程度多くの構成員と、活動資金……そして、もう1つ。名声も必要だと僕は思う。

 

 ――"あの(・・)最強の盾に勝利した組織"……なんて評判が裏社会に広まれば、それは立派な名声になる」

 

「――――」

 

「……承太郎さん達を罠に嵌めるのに、最強の盾が邪魔だと考えたプッチ神父と、金と名声が必要だったフレッダメンテ……利害は一致しています。

 奴らが協力し合い、財団と護衛対象を騙してシドを誘き寄せる……そんな計画を実行していたとしたら?」

 

 

 僕が自分の推測を話し終えると、その場は一気に静かになった。誰もが険しい顔で黙り込んでいる。……すると、風花さんが口を開いた。

 

 

「あなたのその推測が当たっている可能性は、非常に高いと思います……

 ですが。おそらく財団にこの話を持ち帰ったとしても、すぐには動いてくれないかと……」

 

「はあ!?」

 

「え、なんで!?」

 

「……確実な証拠が無いからです。それに、SPW財団にとっては1人の財団職員の危機よりも、ジョースター家の人間の危機の方が重要ですから……

 

 例え。園原さんが博士や徐倫さんにとって、如何に大切な人間なのかを理解していても……

 徐倫さんが大変な事になっている以上、どうしても園原さんよりも徐倫さんの方が優先されてしまうはず」

 

 

 確かに、そうかもしれない。

 

 財団がパッショーネの後ろ楯になってくれたのは、承太郎さんが僕をジョースター家の人間として認めてくれた事が大きな要因となっている。

 例えDIOの息子であっても、ジョースター家の人間が認めれば財団にとっては支援の対象になる……

 

 それ程に、ジョースター家の存在は財団に多大な影響を及ぼしているのだ。そう考えると風花さんが言った通り、財団はすぐには動いてくれないだろう。

 

 

「……ですが、」

 

「?」

 

「私は園原さんのために、出来る限りの事をやりたいと思います!

 財団本部にいる私の従兄に連絡して、万が一園原さんが救援要請を出した際は、なるべく早く対処出来るよう手配してもらいましょう。それから……トリッシュさん」

 

「は、はい!」

 

「後に責任は私が取りますから、あなたには独断で、ジョルノさん達がすぐにでもフロリダへ向かえるように手を回しておいて欲しいのですが……頼めますか?」

 

「…………彼……シドには、財団職員になったばかりの頃にいろいろ気遣ってもらった恩もあります。その恩を返すためにも、是非やらせてください!」

 

「助かります。後の事はお願いしますね」

 

「はい!」

 

 

 ……風花さんとトリッシュの間では、トントン拍子に話が進んでいるようだが。

 

 

「まるで、僕達がそこへ行く事を確信しているかのようですね……」

 

「え?違うの?」

 

「…………まあ、違いませんけど」

 

「あなた方もトリッシュさんと同じく、園原さんへの恩を忘れていないでしょう?ならばむしろ、"行かない"なんて選択はありませんよね?」

 

「…………」

 

「ふはッ!おいおい、女2人に見抜かれちまってるぜドン・パッショーネ!」

 

「……うるさいですよ、ミスタ」

 

 

 解せないが、確かに"行かない"という選択は無い。トリッシュが手を回してくれるのは助かる。……しかし、

 

 

(問題は僕の中の何か(・・)が発する、この気味が悪い感覚だな……)

 

 

 結局、フロリダに行く流れが出来てしまった……これは、抗えない物なのか?

 

 だとすれば――逆に、僕を引き寄せようとする何か(・・)に向かって、飛び込むしか無いのでは?

 この感覚がいずれ消えて無くなるという保障は無い。僕がフロリダに行かなければ永遠にこのままだという可能性も、無いとはいえない。

 

 それなら、今のうちに解決してしまった方がいい。

 

 

「さて……結局どうすんだ?ボス」

 

「まさか、組織の裏切り者達をこのまま放置する訳ないですよね?」

 

「シドには未だに返し切れない恩がある……それを一気に返す時が来たんじゃないか?」

 

 

 

 

 

 

「……仕方ないですね。では、行きましょうか――フロリダへ」

 

 

 とはいえ、さすがに全員では行けないのだが。……だって僕達の中の誰かが残らないと、僕達がいない間にパッショーネがどうなるか分からないだろう?

 

 

 

 

 

 

 






※いろいろと詰め込み過ぎて話が長くなってしまったため、切りの良いところで分けました

 後編は明日に投稿します!申し訳ありませんが、しばらくお待ちくださいm(_ _)m

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