▼▼本文をご覧になる前に、「原作6部介入編について」を【必読】でお願いします!▼▼
・"物語"のクライマックス。戦闘描写は相変わらず下手なので、注意。さらに詰め込み過ぎて長過ぎる内容、再び
・今回は今まで以上にご都合主義、捏造過多(特にスタンドについて)に注意。いろいろおかしな点があるかと思いますが、見逃してもらえるとありがたいですm(_ _)m
・キャラ崩壊あり。最初、ジョルノ視点。途中から徐倫視点で、最後に男主視点
「…………"星"を見る?仲間達と共に見る"星"を選ぶ、だと?――ふざけるなッ!!DIOの息子でありながら!我々の宿敵に与するというのか!?」
「……うるさい。喚くな」
「っ、何……!?」
嗚呼!頭も体も軽い――なんて清々しい気分なんだろうか!!
まさか、"星"を……ジョースターの血を選ぶ、と。本気でそう決意しただけでこんなにも楽になれるとは……嬉しい誤算だ。そのきっかけをくれたシドに感謝だな。
さて、おかげ様でやる気は充分。ミスタ達と、シドを見ると……頷かれた。彼らの心の準備も問題無いようだ。
「貴様の目の前にいるのは、もはやDIOの息子ではない……貴様の宿敵、ジョースター家の血を引く者だ。
そして、僕は無駄な事が嫌いだからな……喚く暇があるなら、掛かって来い」
「…………ちっ……!ホワイトスネイクッ!!」
プッチ神父の背後に、スタンドが現れる。僕達も、それに応じるように身構えた――
――瞬間。突然現れた大柄な人影とスタンドが、神父とそのスタンドを殴り飛ばした!!
「…………はあッ!?」
「え……?な、えッ!?」
「なっ、何だァッ!?」
声に出して驚くミスタ達と、思わず唖然とする僕。……僕達の視線の先では、プッチ神父が吹っ飛ばされた先で建物にぶつかり、それが崩れて土煙が上がったのが見える。
「志人ッ!!」
「うおおう!?」
と、そんな声が聞こえた方へ振り向く。……そして僕は、今何が起こったのかをようやく理解した。
「っ、承太郎さ――」
「志人、大丈夫か?怪我は?何もされてないか?無事か?」
「ちょっ、待っ、大丈夫だ、っ、です!!そんな全身確かめようとしなくても俺は無事ですから!!」
「――ああー……」
「おう……久々に見たが、相変わらず過保護だな」
「いや、むしろ悪化してませんか??」
「そっかー……さっきのは承太郎さんが時を止めたせいかー……」
そこには、いつの間にイージスのバリアの中に入ったのか、シドの無事を必死に確かめる過保護な父親、もとい承太郎さんがいた。
ナランチャの言う通り、先程プッチ神父が殴り飛ばされたのは、この人が時を止めて接近した上で不意討ちしたせいだろう。
そしてさらに、周囲が騒がしくなって来た。
「志人さんッ!!」
「シドォッ!!」
「お兄ちゃんッ!!」
「うわ、増えたぞ!?」
「続々と来ますね……」
「おいおい!リゾットとイルーゾォとホルマジオまでいるぜ!?」
……思っていた以上に駆け付けるのが早いなと思っていたが、なるほど。イルーゾォのおかげか。
奴の能力で、鏡の中の世界を車か何かの乗り物に乗って猛スピードで移動したのだろう。それなら到着が早かったのも頷ける。
「お兄ちゃん……お兄ちゃん……ッ!!」
「あー、よしよし。ごめんな、心配させて……俺なら、ほら。この通り無事だし、だから泣くなって徐倫ちゃん!」
「志人さん!本当に大丈夫っスか!?」
「シド……!!」
「あぁ、大丈夫。仗助とリゾットさんも心配させて悪かった。それから……ありがとな、本当に、いろいろ」
「いや、そんな!これぐらいお安いご用っスよ!」
「我が主のためならば、これぐらい造作もない」
「「……ああ"?」」
「こらこら喧嘩しない喧嘩しない」
徐倫……彼女が、承太郎さんの娘か。彼女と……もう1人の血縁者。
確か、東方仗助だったか?彼とリゾットの3人を筆頭に、シドの周りに人がたくさん集まって来た。
その半分以上が、彼の安否を心配していたようだ。さすがは僕の
……ちなみに。実は先程からフレッダメンテの奴らが攻撃を再開しているのだが、その全てがイージスのバリアによって防がれていたので、僕達は全員無事だ。ざまあみろ。
「それで……承太郎さん!まさか、もう神父の野郎をぶっ倒しちまったんスか!?俺だって殴りたかったのに!!」
「あ、そうよお父さん!あたしだって奴をぶん殴りたかったのに!!」
「……やれやれ、だ。まだ終わってないぞ」
「え?」
そうだ、まだ終わっていない。星の痣が、プッチ神父がまだ生きている事を教えてくれた。
「奴め……その辺に倒れていた人間をスタンドの手で掴んで、衝突する前にそいつらをクッションにしやがった……
奴が戻って来たら、今度こそ激しい戦闘が始まるはずだ。そうなる前に……
イルーゾォ!お前の能力で、戦闘に参加できない者達を一時的に避難させてくれ。ここから離れて他の財団職員と合流するんだ」
「了解、博士。……こんな事もあろうかと、ちょうどいいサイズの鏡を一緒に持って来たんだぜ。ここからなら脱出できるぞ!」
承太郎さんの言う通り、これ以降の戦闘は激しさを増すだろう。戦えない人間を避難させるのは賛成だ。
イルーゾォが、先程から抱えていたスタンドミラーを地面においた。確かにあれなら、1人ずつであれば中に入れるな。
「避難すべき人間は……志人の護衛対象と、エンポリオ。それから先程スタンド能力を使い過ぎたホルマジオに…………露伴。お前も、だな」
「…………ええ。分かっています」
その後。承太郎さんに呼ばれた者達は、順番にスタンドミラーの中へ入っていった。
エンポリオと呼ばれた子供が駄々をこねているようだが、承太郎さんの娘とその仲間達が宥めている。
「露伴先生、」
「何も言うな、志人君」
「…………」
「大丈夫だ……分かっている」
「それでも、念のために言わせてもらいます。――俺は、"あんたのせいだ"とは言わないからな?」
「っ、……分かってると言ったじゃないか!」
「念のため、ですよ」
「…………志人?露伴?……何の話だ?」
「あ、すみません、承太郎さん。こっちの話です」
「…………では、僕もそろそろ……いや、その前に置き土産ぐらいは……」
「…………ジョルノ・ジョバァーナ、だったな?」
「はい?……何ですか?」
すると、ロハンと呼ばれていた男に声を掛けられた。僕に何の用だ?
「お前の仲間達の中に、英語が話せない奴はいるか?」
「……僕とフーゴは大丈夫ですが、ミスタは英語をなんとなく理解出来てはいるものの話す方はいまいちですし、ナランチャに至っては理解も出来ていません」
「なら、その2人をここに呼べ。僕のスタンド能力で、英語を話せるようにしてやる。これなら他の奴らと意志疎通が出来るだろう」
「っ!?……出来るんですか?」
「この岸辺露伴に、出来ない事など無い!」
ロハン……岸辺露伴という男は、ミスタとナランチャに英語を話せるようになると"書き込み"、それを実現させた。ミスタ達は大喜びだ。
まさか、人間を本にしてそこに書き込んだ内容を実現させる事が出来るなんて……この世には、そんなスタンド能力も存在するのか。
ん?……もしや、僕と出会った時の康一君も、これでイタリア語を話せるようになったのか?
そう考えて康一君を見ると……目が合って、苦笑いで頷かれた。やはりそうだったんだな。
やがて岸部露伴が立ち去り、それから全員でプッチ神父がいると思われる方向へ向き直る。……だが、シドは浮かない顔だ。何か不安に思っている事があるらしい。
「…………嫌な予感がする……何かを、見落としているような――」
――その時。突然、
「嗚呼……俺は、なんて事を――っ、ごめん、先生……これは俺のミスだ……!」
―――
――――――
―――――――――
ぐらっ、と。
(――あたし達が落ちてるんだ!それも地面と平行に、水平に落ちて行く……!?)
しかし次の瞬間、志人お兄ちゃんの声が聞こえた。
「イージス!頼むっ!!」
「任せて!」
すると、あたしの体は柔らかい何かに受け止められた。これは!?
「た、助かった……?」
「おおォォ……ッ!シド、良くやった!!」
「危ねえ……!!助かったが、何だこの柔らかいのは!?」
「……俺のスタンド、イージスホワイトの能力はどんな攻撃でも防ぐバリアを張る事だが……
そのバリアには、俺の想像力次第で様々な効果を付与する事が出来る。今回はクッションの効果を付与して全員を受け止めた」
……志人お兄ちゃんのスタンド能力は凄いけど、今のあたしはそれよりも、バリアの外で水平に落ちていく人達の方が気になった。
ここに来るまでに、形兆さんの下に他の財団職員から連絡があったらしい。フレッダメンテという組織については、彼を通して既に聞いている。
そいつらの中でも、スタンド使いではない奴らが落ちていったみたい。逆にスタンド使いの構成員達は、しぶとく耐えているようだ。
「つーか……どういう状況なんだよ、これはッ!?」
「まさか、これもあの神父のスタンド能力だというの!?」
「いや、でも!事前に聞いていたホワイトスネイクの能力と、今のこの状況はあまりにも釣り合わない!
僕には分かるよ!これは……僕のACT3と同じで、重力を操る力だ!!」
「重力だと……!?」
康一さんの話を聞いて、目を見開く。重力を操る力?なんでそんな力をプッチ神父が、いきなり……っ、まさか!?
「これが?これが奴の求めていた、"天国"へ行くための力だというのか!?まだケープ・カナベラルにたどり着いていないはずなのに!どうして!?」
「…………可能性があるとすれば、1つだけだ……」
「お父さん……?」
「――窮鼠猫を噛む。
日本語、英語、イタリア語で今の神父の状態を表現したつもりだが……全員、伝わったか?」
イタリア語は知らないけど、日本語と英語なら分かる。そのことわざの意味も。
あたしだけでなく、皆もそれを理解したらしい。さっきまで騒がしかったのに、急に静かになった。
「やれやれ、だな……どうやら、あの男を少々追い詰め過ぎたらしい……
例の緑の赤ん坊とやらと融合していた事も重なり、目的地に到着していないにも関わらず、この土壇場でスタンド能力が全くの別物へと変化してしまったのだろう」
「…………えっとぉ、承太郎さん……それってつまり、かなりヤバイのか?」
「ああ、億泰。お前にも分かりやすいように、あえてこう言ってやろう……"めちゃくちゃヤバイ"」
「ハハッ!日本語でそんな言葉が承太郎さんの口から出て来るこの破壊力よ。今日は空から雷の代わりに"銛"が落ちて来るのか?それとも"ナイフ"の雨が降るのか?」
「園原、ふざけてる場合か!」
「アハハハハ……現実逃避ぐらいは許してくださいよ形兆せーんぱい……」
「…………すまん、許す」
……普通ならそんな会話を聞いたら気が抜けちゃうところだけど、今は全然そうならない。
お兄ちゃん達も、プッチ神父がいるはずの場所から一度も目を逸らそうとしないもの。ちゃんと警戒している証拠だわ。
「……ここはケープ・カナベラルではないはずなのに、どういう訳か新たな力を手に入れた……これは、DIOが私に力を貸してくれた、と。そういう事なのだろうか?
私とDIOが克服すべき運命――ジョースターの血統。そしてそれに与する者達を、ここで一気に片付けるために……」
崩れた建物の中からプッチ神父が現れ、あたし達に向かって歩いて来る……そう、地面に足をつけて、歩いて来る!
何故か、奴だけは普段通りに地面を歩けるようだ。そして、あのスタンドは……
(ホワイトスネイク?いや、緑の赤ん坊!?)
体が緑色の、人型のスタンド……緑の赤ん坊と融合した事で、スタンドもそれに影響されたのかしら?
すぐ近くまでやって来た神父に対して、あたし達がそれぞれスタンドを出して警戒していると……奴が足を止めた。
「いや、待てよ?……ああ、そうだな。ここはひとまずケープ・カナベラルへ向かう事を優先すべきか」
なっ、何……ッ!?
「園原のスタンド能力があるとはいえ、この状況では追跡も困難となるだろう……
確かにジョースターの血統は私が乗り越えるべき運命だが、それで本来の目的を忘れてしまっては元も子もない……
よし。新たな我がスタンドよ……そうだな、C-MOONと名付けるか。C-MOONよ、ケープ・カナベラルへ向かうぞ。そいつらは放っておけ」
「な、おい、てめえッ!?」
「待ちやがれ、くそ神父ッ!!」
プッチ神父とそのスタンドが離れて行く!まずい、もしも奴があのままケープ・カナベラルに行って更なる力を手に入れてしまったら、今度こそ手に負えなくなるかもしれない!
しかも、こんな能力を発動したまま普通に歩かれたら、一般人にも被害が――
「――全員、聞いてくれ!!……この状況を打開する方法を思い付いた!」
「っ!!」
と、その時。志人お兄ちゃんがそんな事を言った。この状況を打開する方法……!?
「今、このバリアは俺の声だけを外に通さないようにしてある!プッチ神父に、俺が今からやる事を悟らせないためにな!!
そのまま俺の話を聞きながら騒ぎ続けろ!奴に怪しまれないように!!」
「……に、逃げるなあッ!テメーッ!!」
「そっ、そうだそうだー!!正々堂々戦えーッ!!」
「あぁ、その調子だ!それで頼む!!」
志人さんに言われた通り、エルメェスとF・Fが騒ぎ始めた。それに合わせて皆も騒ぎながら、志人さんの話に耳を傾ける。
「俺は今から、イージスのバリアを神父の周りに展開する!
――奴を逃がさないようにするため、そして俺達が水平に落ちてしまうこの力を防ぎ止めるためのバリアだ!!
これが成功すれば、そのバリアの外の重力は元通りになる。それ以降は普段通りに戦えるはずだ!」
そんな事、本当に出来るのかしら?……いや、でもお兄ちゃんはこんな時に嘘をついたり、自分の力を過信したりするような人じゃない!
「俺のバリアは味方の攻撃を自由に通す事ができる!あとはバリアの内側に入らず、全員で協力し合って遠距離から一斉に攻撃すれば……!
いずれ、奴にも限界が来るだろう!決して倒せない相手では無いんだ!!」
そうね……倒せない相手では無いわ!あたし達全員が協力すれば、きっと奴に勝てるッ!!
「ただし!!注意点が2つある!1つは、これから俺はそのバリアを維持する事に集中するから、お前達が危なくなっても護る事ができない!
そしてもう1つは――今俺達を受け止めているこのバリアを解除しなければ、C-MOONの力を防ぎ止めるバリアを張れない!!」
えっ……?
「つまり、これからこのバリアを解除する必要があるという事だ!バリアが消えたら再び自由落下が始まる!
全員、少しの間持ちこたえてくれ!!本当にすまない!!文句は後で必ず聞く!!」
「ちょっ!?」
「おいおいおいおいッ!?」
「奴がイージスの射程範囲内から出る前に!今すぐ実行しなければならない!カウントダウン――5秒前!!」
ご、5秒前ってちょっと待ってお兄ちゃん強引過ぎよッ!?ここは広い庭のど真ん中で!何か掴まれるような物も無いのに!!
「4!3!2!1――バリア解除っ!!」
「うわあああッ!?」
「テメエーーッ!!後で覚えてろーーッ!!」
「落ちる……ッ!!」
今まであたし達を受け止めていたバリアが消えて、皆が悲鳴を上げながら落ちていく――!!
「――イージスホワイトォォォッ!!」
「本当に無茶ばかりするなぁ君はっ!!」
――そして落ちた先は、地面だった。
「あ……?」
「落ちた、けど……地面だ!?」
「ちゃんと地面に足がついたぞ!!」
「――成功、か。まったく大した奴だな、俺の助手は……!」
地面に手をついて、立ち上がる。重力が正常に戻ってるわ!志人お兄ちゃんがやってくれたんだ!凄い……ッ!!
あの人を探すと、あたしより少し前の方にいた。そこへ駆け寄ろうとした時……その頼もしい背中が崩れ落ちて、跪いた。
「お兄ちゃん……!?」
「う、っ、おおぉぉぉ……っ!!」
「志人!向こうの力が強過ぎる!!」
「うるせぇ!それでもやるんだよぉっ!!」
酷く苦しそうにしている!どういう事?何が起こってるの!?イージスが言ってる、"向こうの力が強過ぎる"って何!?
「最強の盾……ッ!!まさか、これ程とは!」
と、プッチ神父の声が聞こえた。そちらを見ると、奴とそのスタンドの周りには……確かにイージスのバリアが張られている。
神父はそこから出ようと、バリアに向かってスタンドの拳で攻撃しているが、びくともしない。
「駄目だ、志人!これ以上は全てを防ぎ切れないっ!!――
だが、イージスがそう言った瞬間――彼の両手が裏返り、それが本体にも反映されて、あ、
「ぐっ!あああぁぁっ!?」
「志人ォッ!!」
「お兄ちゃんッ!?」
今までに聞いた事が無い程の、お兄ちゃんの痛々しい悲鳴が上がった!指が!指が裏返って手の平を貫通してる……ッ!?
「仗助ッ!!」
「分かってます!!クレイジー・D!!」
でも、すぐにお父さんが仗助さんを呼んで、彼のスタンドがお兄ちゃんの手を治してくれた。
それなのに、治ったと思ったら今度は両手と両腕全体から血が噴き出した!!
「おい!ちゃんと治したのか!?」
「確かに治した!!そのはずなのにまた、何らかの理由で怪我したみたいだ!しかも!今も治してんのに!治した途端にまた出血してんだよォッ!!」
「何だと……!?」
治してるのに治らないって、そんな……!!どうしてッ!?
「治しても治しても、治らない……それは当然だ。元よりこの力は、本来なら人間の腕2本程度で抑えられる物ではないのだから……」
「プッチ神父……!!てめえ!志人お兄ちゃんに何をしたッ!?」
「……私は何もしていない」
「はあッ!?」
「確かに。私を中心として発せられるこの力と、C-MOONがバリアを殴った事が影響を及ぼしているようだが……
それでもバリアを解除せずに、勝手に自滅したのは園原の方だ。
この力に耐えられないと判断した時点で解除していれば、無傷で済んだというのに……馬鹿な男だな」
「っ、この野郎……!!」
志人お兄ちゃんを馬鹿にした奴をぶん殴ろうと、あたしが一歩踏み出した……その時。あたしの背後からプッチ神父に向かって、無数のナイフが飛んでいく!
そのナイフは全てイージスのバリアをすり抜けて、奴に直撃する……直前に、奴の体が裏返って攻撃を回避した!?
……あの裏返る力もスタンド能力?お兄ちゃんの手が裏返っていたのもその力だったのか?
いや……それよりも今は、背後から感じる重苦しい殺気の方が気になってしまう。
恐る恐る振り返ると、そこには――物凄い形相をしたリゾットさんの姿が……
「我が主を……侮辱、するな……ッ!!」
途方もない怒りを籠めて、絞り出すようにそう言った彼は、いったい何処から取り出したのか、両手に無数の刃物を持って前に進み出る。
と、そんなリゾットさんの肩をお父さんが強く掴み、彼を止めた。
「待て、リゾット」
「止めるな、空条ッ!奴は我が主を罠に嵌めた、手を出した、侮辱した……!!ありとあらゆる痛みを与えた上で抹殺するッ!!」
「それこそが奴の狙いだ!落ち着けッ!!」
「!」
「プッチ神父は今、あのバリアの中から動けない!だからこそ我々を挑発し、自身の近くに誘き寄せようとしている!
怒りのままに接近すれば、奴の思う壺だぞ!それに志人も言っていただろう!?"バリアの内側に入らず、全員で協力し合って遠距離から一斉に攻撃しろ"と!!」
「…………」
……そうだった。志人お兄ちゃんは確かに、そう言ってたわ!プッチ神父の挑発に乗ってはいけない!冷静に、着実に、遠距離から攻撃するのよ!!
リゾットさんも、それを理解したのか殺気を収めている。……向こうで神父が舌打ちした。
やっぱり、奴はあたし達を誘き寄せようとしてたのね……気を付けないと。
「そう簡単にはいかない、か……だが、良いのか?私にばかり気を取られていると、足を掬われるぞ」
「何……?」
「っ!――ウェザー・リポートッ!!」
プッチ神父の発言に眉をひそめた次の瞬間、ウェザーが突然動いた。
彼はスタンド能力で雲を操り、仗助さんの治療を受け続けている志人お兄ちゃんの背中を雲で覆う。
すると間髪入れずに、銃撃音が聞こえた!雲に銃弾が当たってる……!?
「……フレッダメンテ、だったか?どうやら、奴らが徐倫の兄貴分を狙っているようだぞ」
「あいつら……!!この状況を理解してないのか!?今あたし達が普通に立っていられるのはお兄ちゃんのおかげなのにッ!!」
神父よりも先に、奴らを叩くべきか!?……そう考えていたあたしの肩に、誰かが手を置いた。
そちらに振り向くと、そこには今日初めて会った血縁者……ジョルノ・ジョバァーナの姿が。
彼はお父さんの記憶の中で見たDIOと似ているけど……ジョルノさんは、奴とは違う。
――"星"を見る、と……仲間達と共に見る"星"を選ぶ、と。
ジョルノさんの叫びは……彼の気持ちは、あたし達ジョースターの血を引く3人の心に、ちゃんと届いている。
そんな彼が、あたしを見て微笑んだ。あら、顔が良いわね。志人お兄ちゃんとお父さんには及ばないけど。
「……今の奴らが欲しているのは、名声です」
「名声?」
「おそらく、フレッダメンテの名に箔を付けるために、最強の盾……シドを討ち取ろうとしている。
その後はこちらの戦いに巻き込まれないように、逃げ出そうとしているのでしょう。
まあ、この場には最強のスタンド使いもいるというのに、明らかに弱っている最強の盾の方を狙う辺り、奴らの底が知れますが。
ああ、まったく――この僕をとことん不快にさせてくれるな、奴らは……」
最後の言葉と、彼の雰囲気が一気に変わった事に、ゾッとする。……これが、マフィアのボスか。冷酷さと支配者としての貫禄が滲み出ている気がするわ。
「ひい……ッ!ジョルノがプッツンした!!滅多にこうならない分、フーゴよりもジョルノのプッツンの方が怖いんだよなー……!!」
「おおっとォ……こりゃあもしも例の矢がここにあったらレクイエム確定案件だぜ、おい」
「やめてください、ミスタ。洒落にならない……」
「ミスタ、フーゴ、ナランチャ」
「……お、おう」
「っ、はい」
「ははははいッ!!」
「目標、フレッダメンテの残党――生死は問わない。仕留めに行くぞ」
「「「――
まるで、軍隊のように。ジョルノさんとその仲間達が、一糸乱れぬ動きでフレッダメンテの残党に迫り……やがて、奴らの悲鳴ばかりが聞こえるようになった。
「…………奴らはジョルノ達に任せておけば、問題無さそうだな。それなら……仗助以外の杜王町組!」
「はい」
「おう!」
「はい!」
「はい、承太郎さん!何ですか?」
「君達には志人と、その治療を続ける仗助の護衛を任せたい。
プッチ神父の力を抑え込んでいる志人と、あの子の怪我を治している仗助は俺達の要だ。必ず守れ!」
「「「「了解!!」」」」
お父さんの指示で、康一さん達杜王町のスタンド使いがお兄ちゃん達の周囲を固める。彼らが守ってくれるなら、お兄ちゃんは大丈夫そうね。
……あの人は、今も苦しんでいる。それでもバリアを解除しようとしない。あたし達のために自分を犠牲にしている……!!
(志人お兄ちゃんを助けるためには――)
――プッチ神父を、倒すしかない。
「お父さん。……残りの全員で、神父を倒しにいくのね?」
「……ああ、そうだ。しかしその前に……奴のスタンド、C―MOONの能力が大体分かった。今からその情報を共有する」
「!」
……どうやらお父さんは、今までの状況やお兄ちゃんの様子を冷静に観察して、奴のスタンド能力を分析していたらしい。
こう言ってしまうと悪いけど、病院の壁を怒りのままに破壊した時と比べたら別人のようだわ……この人、戦闘になると逆に頭が冷えるタイプなのかしら?
お父さんによると、奴のスタンド能力はやはり重力を操る力で……正確に言えば本体を中心に、重力を逆転させる力だという。
だからあたし達は、奴から引き離されるように水平に落ちて行く羽目になった。
そしてさらに、その力を利用して対象を裏返す事も可能だという。また、自分自身を無傷のまま裏返して攻撃を回避する事も可能……
でも、こちらがC―MOONに殴られると、どんな物でも重力の方向を狂わされて強制的に裏返されてしまう、との事。
お兄ちゃんの手が裏返ってしまったのは、その力があまりにも強過ぎてバリアだけでは抑え込めず、バリア通り越して本体にまで影響を及ぼしたせいだった。
それから。両腕が完治しないのは、あたし達が水平に落ちて行く事になったあの力を、無理やり抑え込んでいるから……
プッチ神父が言っていた通り、この力……重力を逆転させるなんて強大な力は、本来なら人間の腕2本程度で抑えられる物じゃない。それでお兄ちゃんは、あんなにも苦しんでいるのね……
「……という事だから、基本的に遠距離攻撃のみで攻めていくぞ。決して奴の挑発に乗るな。バリアの内側にも入るな。
そして、もう1つ……奴がバリアを攻撃しようとしたら、それも出来る限り防いでくれ。志人の負担を減らすためだ」
奴はバリアに妨害されてあたし達には攻撃できないけど、志人お兄ちゃんにはバリアを通してダメージを与える事ができる。確かに、それは阻止しなければならない。
「戦闘中、神父が攻撃を避けられないタイミングを探れ。それが分かったら、互いに協力し合ってそのタイミングを攻めていく……
そうすれば、志人が言うように奴にも限界が来るだろう……そう、決して倒せない相手では無いのだ!
話すべき事はこれで全てだ。さっそく、奴に攻撃を仕掛ける。まずは俺からだ。……リゾット、F・F。協力してくれ」
「……了解した」
「え、あたしも?……何をすればいいんだ?」
「君は確か、プランクトンを弾丸にして放つ事が出来るのだろう?俺が撃てと言ったら、神父に向かってそれを撃ち込んでくれ」
「分かった!」
「そして、リゾット……お前のスタンド能力で、銛を作り出す事は出来るか?」
「…………これで、良いのか?」
「上出来だ」
いったい何をするつもりなのか、お父さんはF・Fとリゾットさんにそんな指示を出した。彼はリゾットさんが作り出した銛を手に、前を見据える。
「――F・F!撃てッ!!」
お父さんの合図で、F・Fがプッチ神父を撃った。……そして次の瞬間、C―MOONがF・Fの攻撃を防ぎ、神父は……いつの間にか投げられていた銛を、頭に傷を負いながらも避けている!?
「今のは……承太郎さん、何が起きたんだ!?」
「……銛が外れた……停止した時の中で…………プッチ神父は、スタープラチナが時を止めた世界を、認識する事ができるらしい……」
「何だと……!?」
「つまり、奴にはお父さんの時を止める力が通用しないって事!?」
「……止まった時を認識し始めた今なら、多少は通用するはずだ。
しかし。今後もこの力を使い続ければ、いずれはそれに慣れて完全に回避出来るようになるだろう……迂闊には使えないな」
お父さんの切り札が、使えなくなった。……それなのに、この人は冷静だ。全く動揺していない。
「それが今分かって良かった……時止めが使えないなら、別の手段を考えればいい。君達も、今俺がやったようにまずは試してみろ。
バリアの内側にさえ入らなければ何でもやって構わない。その中で、有効な手段を見つけるんだ!」
失敗しても、動じる事なく即座に切り替える――決して折れない、不撓不屈の精神!これが、あたしの父親!最強のスタンド使いなのね……!!
「お父さん、あたしも試してみる。前に出るわ!」
「……油断するなよ?」
「うん!」
「徐倫!俺にサポートさせてくれ!!」
「アナスイ……分かった、お願い!」
「エルメェス、ちょっと手伝え!」
「いいぜ、F・F!何をすればいい?」
「リゾット、俺も試したい事がある。協力してくれ!」
「……ウェザーか……いいだろう。力を貸してやる」
あたしが前に出るのと同時に、全員が動き始めた。互いに協力し合い、プッチ神父に攻撃を仕掛けていく。
自然と、皆でバリアの周りを囲む形になった。誰かが何かを試す度に、別の方向からそれを見ていた誰かが気づいた事を教えてくれる。
それを繰り返すうちに、じわじわと、着実に。プッチを追い詰めていった。
徐々に攻撃が当たるようになり、一つひとつは大した傷では無いけど、それらが積み重なればちゃんとしたダメージになる。
そのうち痺れを切らしたのか、神父がイージスのバリアを攻撃し始めた。お兄ちゃんをさらに苦しめて、あたし達を動揺させるためだろう。
しかし。奴の企みを察したウェザーが自分で攻撃するのを止めて、それを防ぐ役目を担ってくれている。
「ウェザー……!私の邪魔をするなァッ!!」
「……それは、無理な相談だな。徐倫達のためにも……ペルラのためにもッ!俺は全力でお前の邪魔をしてやる!!」
「なっ、貴様、記憶を取り戻したのかッ!?それで何故あの虹が現れない!?」
「いろんな奴らが手を貸してくれたおかげだ。復讐心は乗り越えた!もう二度と暴走しない!!」
「復讐心は乗り越えた、だと?呪われた男が何を言っている!?」
「……っは。本当に呪われているのは、果たしてどちらだろうな?俺なのか……お前なのか」
「――ほざくな、愚かな弟よ」
「――こっちのセリフだぜ、愚かな兄よ」
そんな会話には冷や汗を流したが、復讐心を乗り越えた今のウェザーなら大丈夫だろう。
……お兄ちゃんへの攻撃は彼が防いでくれるし、神父に与えられるダメージも増えて来た。
(これなら……勝てるッ!!)
※今回も内容を詰め込み過ぎたため、前編と後編に分けました!前編はこれで終了
明日の後編投稿まで、もうしばらくお待ちくださいm(_ _)m