空条承太郎の友人~原作介入~   作:herz

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・虹村兄弟戦の終盤と、その後の話

・ご都合主義、捏造過多。最初、男主視点。途中から形兆視点




お人好しで、マイペース

 

 

 

 

 アクア・ネックレス戦は、原作よりも早めに終わった。本来なら、良平さんが亡くなった3日後に終わって、その後に虹村兄弟戦に入るはずだったが……

 早めに終わらせてしまったせいで、虹村兄弟戦がいつ始まるのかが、分からなくなってしまった。

 

 原作通りに3日後以降に始まるのか、それとも時期が早まるのか……

 始まる時間帯が放課後である事は覚えているんだが、具体的に何日後に始まるのかが分からない。学校やバイトがあるから、虹村家の近くで張り込みするのも難しい。

 

 

 さて。どうするか……と悩んでいた、ある日の放課後。バイト先へ向かう前に、虹村家の前を通り掛かる。

 ――家の門が開かれており、明らかな戦闘の跡が残されていた。さらに、上階から煙が上がっている!

 

 

(今日だったのかよ!?)

 

 

 虹村家の屋根の上を見て、まだ音石明らしき人影が無い事を確認。それからイージスを呼び出し、不可視のバリアで自分達の身を隠した。

 

 

(志人。どうするつもり?)

 

(このまま身を隠して虹村家の中に入り、タイミングを見計らって、音石が形兆を襲う前に助ける)

 

(了解!)

 

 

 不可視のバリアは姿を隠す事はできるが、音までは消せない。周囲には気づかれないように、これ以降はイージスと心の中で言葉を交わす。

 上で煙が上がっているという事は、多分仗助のスタンドでミサイルを修復し、形兆を倒した後だろう。あと少しで音石のスタンドが出て来るはずだ!

 

 

 念のために周りを警戒しながら、虹村家の屋根裏部屋へ向かい、中の様子を窺う。

 ……話はかなり進んでいた。今は仗助が虹村家の家族写真を直した後で、仗助と億泰が形兆を説得しているところだ。

 

 そこで、天窓を見る。――シルエットが見えた。音石だ!

 

 

「おめーら、この親父の他に身内がいるのかよ!?」

 

「身内?俺たちは3人家族、」

 

 

 そして億泰の背後に、コンセントの中から現れたレッド・ホット・チリ・ペッパーが迫る。俺は、彼を守るためのバリアを張り、その攻撃を防いだ。

 

 

「うわッ、何だ!?」

 

「スタンド!?と、緑色のドーム……?」

 

「イージスホワイトのバリアじゃねえか!?志人さん、いるんスか!?」

 

 

 仗助の呼び掛けには応えず、音石が立ち去るまでは、このままでいこう。俺とイージスという、奴にとっては得体の知れない存在を警戒して、逃げてくれるかもしれない。

 ジョセフが杜王町に来る理由を作るために、音石には逃げてもらわないと困るんだが……

 

 

「ちっ……!誰だ、俺の邪魔をする奴は!?出て来い!さもないと、こいつらが黒焦げになるぜぇッ!まずは、てめーからだ!」

 

 

 狙われたのは、形兆だった。というか、最初から狙ってたんだろうな。やらせねぇよ!

 

 

「っ、またかよッ!?じゃあ次はこっちだ!」

 

 

 イージスのバリアで、形兆への攻撃を防がれた奴が康一を狙う――と見せかけて、再び形兆を狙った!

 咄嗟にバリアを張る位置を変更したせいで、彼の体全体を守る事が出来なかった。弓と矢を持っていた腕だけが、バリアからはみ出している。

 

 ……だが、俺にとってはその状態が反って良い結果を生んだ。音石は形兆の命よりも、弓と矢を奪う事を選んだらしい。

 奴のスタンドは弓と矢を奪った直後、仗助達には見向きもせずに部屋のコンセントへ向かい、そこから逃亡した。

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

「……さて。今から姿を見せるけど、全員あまり驚かないようにね」

 

 

 誰もいないはずの場所から男の声が聞こえた、次の瞬間。その場所に、眼鏡を掛けた学生と天使のようなスタンドが現れた。

 あのバリアの使い手には心当たりがあったが、やはりそうか。

 

 俺が弓矢で射った人間達の中でも、数少ない生き残りのうちの1人。

 ただ守る事しかできないスタンドに興味は無かったが、今回はそれに二度も助けられてしまった。……否、愚弟を守ってくれた事も合わせて三度も、か。

 

 

「志人さん!……そうか、不可視のバリアで身を隠してたんスね?で、何でここに?」

 

「この家の入り口に戦闘の跡があったし、上階から煙も上がってたから、つい気になってね……念のために姿を隠してここに来たら仗助達がいたから、驚いたよ。

 

 ところで。イージスのバリアが見えたという事は、康一君もスタンド使いになったって事だよね?重傷者もいるみたいだけど、ここで一体何があったんだい?」

 

「それは、」

 

「あ、ごめん。ちょっと待って。……先に、彼の怪我を治してくれないかな?話はそれからだ」

 

「えっ?いいんスか?こいつ、志人さんをあの弓矢で射った上に、スタンドで攻撃して来た奴っスよね!?」

 

「うん、いいよ。治してあげて」

 

「…………まァ、あんたがそう言うなら、治しますけど……」

 

 

 仗助が不満そうな顔をしながら、スタンド能力で俺の怪我を治す。

 

 そういえば先程の戦闘中、仗助は"てめえがユキトさんを狙った奴か"とか何とか言ってぶちギレていたが……この眼鏡の男が、その"ユキトさん"とやらか。

 

 

「ありがとう、仗助。さて、君はそこに座りなさい」

 

「あ、はい」

 

「全く、こんな怪我をして……最近持ち歩くようになった救急セットを、さっそく使う事になるとは」

 

「すんません、ありがとうございます……」

 

「康一君。俺が仗助の治療をする間に、君から事情を聞きたいんだけど、いいかな?」

 

「わ、分かりました!」

 

 

 眼鏡の男が、学生鞄の中から小ぶりの救急セットを取り出し、やけに慣れた手つきで仗助の怪我に応急処置を施す。

 その間にあのチビ……康一から大体の事情を聞いた男は、ものの数分で治療を終えた。手際が良いな。

 

 

「なるほど。2人共、よく頑張ったね。無事で何よりだよ。……その弓と矢の事も含め、今回の件は承太郎さんに早く報告した方が良さそうだ。

 

 ――という訳で、そろそろお暇しよう。いつまでもここにいたら、彼らの迷惑になってしまう。

 あと、仗助は帰り際に、戦闘で壊れてしまった箇所を修復してから帰ろうか」

 

 

 …………何だと?

 

 

「えっ?」

 

「志人さん?何も言わないんスか?形兆の野郎に文句とか、恨みとか、その他言いたい事とか……」

 

「いや?今は特に無いかな」

 

「ええー……??」

 

「…………本当に、言いたい事は無いのか?」

 

 

 困惑した様子の仗助と康一に続いて、俺も思わずそう問い掛ける。

 

 夜中に背後から不意打ちで矢を放ち、男が混乱しているにも関わらず、その能力を確かめるためにバッド・カンパニーで襲撃した……我ながら、相当理不尽な事をやった自覚はある。

 それなのに、言いたい事が無い?どういう事だ?何を企んでいる?

 

 

「うーん……強いて言えば。襲撃された当初は腹が立っていたし、次会った時は文句を言ってやろうと思ってましたよ?

 でも、今はそう思ってないし、あなたの事も恨んでいません。

 

 だって――俺が護りたいと思った人達を護る事ができたのは、俺をスタンド使いにしてくれた、形兆さんのおかげですから」

 

「は、」

 

「俺の半身であるイージスと出会う事もできたし……あなたには、むしろ感謝していますよ。俺をスタンド使いにしてくれて、ありがとうございます」

 

 

 開いた口が塞がらない、とはこの事だろう。何なんだ、こいつは。

 

 下手したらスタンド使いになれず、あの矢で死んでいたかもしれないんだぞ?

 それにもしも、目覚めたスタンド能力が戦闘で役に立たない能力だったら、その後のバッド・カンパニーによる射撃で死んでいた可能性だってある。

 

 そんな事を仕出かした相手に、……何人もの人間を殺した俺に、感謝の言葉を口にするなど――

 

 

「――理解できない。何なんだ、貴様は!」

 

「貴様じゃなくて、俺には園原志人という名前があります。花園の園に、原っぱの原。そして志す人と書いて、志人です」

 

「そんな事は聞いていない!!」

 

「あ、そうですか。それは失礼。じゃあ、俺達はこれで帰りますね。お邪魔しました」

 

「はあ?」

 

「おっと、最後に1つだけ」

 

 

 さっさと帰ろうとする眼鏡の男……園原がこちらに振り向き、笑みを浮かべる。……今にも消えそうな、そんな笑顔だった。

 

 

「――家族を、大事にしてください。……俺は、残された側の苦しみや悲しみを、よーく知っています。だから、無闇に死のうとしないでくださいね。

 

 あんたは俺とは違って、どんな状態であれ、家族がこの世で生きているんだからな。彼らを悲しませるんじゃねぇぞ」

 

「…………それはどういう、」

 

「さぁ仗助、康一君。帰ろうか」

 

「えっ、ちょっ!?待ってくださいよォ、志人さん!」

 

「ええー……!?何なんだろう、あの人。マイペースだなあ……あっ、お邪魔しました!」

 

 

 俺が園原に言われた言葉の意味を考えている間に、奴らはバタバタと立ち去って行った。

 ……その場に残されたのは、園原の言葉の意味を考える俺と、ずっと黙っていた億泰。それから、未だに家族の写真を見て泣いている親父だけだ。

 

 

「…………なあ、兄貴」

 

「何だ」

 

「俺、志人さん?の言ってる事は、よく分かんなかったけどよぉ……

 

 でも、知り合いでもねぇのに俺を守ってくれたし、自分を襲った兄貴の事も守ってくれたし、それにお礼だって言ってたし……

 仗助もそうだけど、あの人もすげー良い奴なんだなって思ったぜ」

 

「ふん……仗助はともかく、園原は"良い奴"どころではない。ああいった馬鹿な奴の事を人は皆、"お人好し"と呼ぶのだ」

 

 

 だがしかし。そんな馬鹿なお人好しに、俺達が守られた事も……犯罪者である俺が、文句どころか礼を言われてしまった事も、事実。

 いずれ、何らかの形で"借り"を返さねばなるまい。"借り"をそのままにしておくのも癪だからな。

 

 

 ……それはさておき、園原のあの言葉が気になる。最後に口調が粗野になっていた事も気になるが、それよりも言葉の方だ。

 

 家族を大事にしろ、無闇に死のうとするな、というのは大きなお世話だが……

 残された側の苦しみや悲しみをよく知っているだとか、自分とは違い、どんな状態であれ家族がこの世で生きているだとか、それらの言葉の意味は――

 

 

(――まさか、)

 

 

 園原の家族はもう、この世にいない?

 

 

 

 

 

 

 






・形兆ニキを振り回す男主

 虹村兄弟戦に大分遅れて介入。救済に成功したが、最終的に形兆を振り回してさっさと退場。お人好しな上にマイペース。

 形兆に言った事は、全て本心。形兆のおかげでスタンド使いになれたし、良平さんと形兆の救済も出来たし、言うべき事は文句よりもお礼だろ?……え?違うの??(底なしのお人好し)
 この世界でも、何やら複雑な家庭環境に置かれていた模様。なお、混部時空の人達は園原が前世でもそんな環境で育っていたという事実を知らない。

 虹村家から出た後。バイトの開始時間がとっくに過ぎてしまった事に気づき、青ざめる。確実に遅刻じゃねぇか……(;゚д゚)


・男主に振り回された形兆ニキ

 園原によって救済された。今後は承太郎経由で財団に情報が回り、弓と矢の件や父親の件などで事情聴取を受ける事になる。
 その後。財団職員に連行という名の保護をされるか、あるいは今までの罪を償うために学生のうちは財団で無償労働からの、卒業後に財団職員として就職……なんて展開になるかもしれない。

 園原の家族が亡くなった事を察してしまった。弟共々守られた借りも相まって、複雑な感情を抱く。


・実はぶちギレていた仗助君

 事前に園原がスタンド使いになった経緯を聞いていたため、康一が狙われた事もあり、形兆に対して激怒していた。もちろん、園原はこの事を知らない。

 こちらも園原の家族が亡くなっている事を察したが、踏み込んでいろいろ聞くのはまずいだろうと、あえて聞き流している。


・スタンド使いになった康一君

 園原に対する最初の印象は、"仗助が頼りにしている優しい先輩"だったのだが、今回で"頼りになるけど、お人好し過ぎるマイペースな人"という印象に変化した。





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