空条承太郎の友人~原作介入~   作:herz

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・前回の続き。6部開始直前~F・F救済終了後

・ご都合主義、捏造過多、キャラ崩壊あり、男主視点





――この"物語"は、必ず大団円を迎える

 

 

 

 

 承太郎と露伴に"仗助達が自分の代役を引き受けてくれた"と報告してから、数週間後。ついに護衛任務開始日がやって来た。

 原作通りなら明日、徐倫が巻き込まれる轢き逃げ事件が起こるだろう。……ポルナレフとシエルには、迷惑掛けちまったな。

 

 よりによって6部が始まる前に護衛任務が入って来た事への苛立ち、原作キャラ救済を自分の手でやれない事への悔しさ。

 リゾットと仗助に任せた事が本当に上手くいくのか、それに対する不安……それらの感情がごちゃ混ぜになって、ついつい爆発させてしまった……反省しなくては。

 

 

「時間はまだ、だよな?到着が早過ぎたか……」

 

 

 それから空港までやって来たが、到着が早過ぎたようだ。搭乗時刻まで時間が余っている。

 

 

「……あ?電話?」

 

 

 その時、携帯に電話が掛かって来た。そして取り出した携帯の画面に表示された名前を見て、

 

 

「――――」

 

 

 思わず、フリーズ。

 

 

(後ろ髪引かれるから、任務が始まる前だけは電話とかメールするのはやめてくれって言ったのに……!!)

 

 

 一瞬、無視しようとして……こういう不安な時こそ俺が最も信頼する男の声を聞きたいという欲に勝てず、電話に出てしまった。

 

 

「…………おい、なんで電話掛けて来た?今日は何も連絡入れるなって俺この前言ったばかりだったよなぁ!?」

 

「敬語無しの会話には、もうすっかり慣れたな」

 

「話を逸らすなっ!!」

 

 

 相手は、承太郎だった。……本当はわざわざ電話してくれた事にお礼を言いたいのに、素直に言えない。

 

 

「……で?何の用だ?」

 

「俺には、分かる」

 

「あぁ?」

 

「志人……お前は今、相当な不安に苛まれている」

 

「っ、」

 

「そうでなければ、お前はこの電話に出なかったはずだ。

 

 今のお前は俺か、あるいはどっかの天の邪鬼か、それともワイマラナーか黒柴か……この中の誰かの声が聞きたかった。そうだろ?」

 

「…………」

 

 

 天の邪鬼は露伴、ワイマラナーと黒柴はリゾットと仗助の事。……彼らの声が聞きたかった。あぁそうだ、その通りだ。声を聞いて、安心したかったんだ。

 

 

「……大丈夫。心配するな。お前はもう、自分なりに出来る事を全部やり終えたんだ。……あとは、待つだけだ。志人の努力が実を結ぶ、その瞬間を」

 

「…………本当に?本当に、大丈夫、なのか?……誰も、死なずに済むのか?」

 

「ああ。――この"物語"は、必ず大団円を迎える……大丈夫だ」

 

 

 この"物語"は、必ず大団円を迎える……そうか……そうだな。きっとそうだ。他でもない承太郎がそう言ってくれるなら、きっとなんとかなる!

 

 

 電話に出て正解だった。これなら、安心して任務に行ける。……だがしかし、

 

 

「なんか……安心したら腹が立って来た」

 

「ん?」

 

「電話とかメールはするなって言ったのに言うこと聞いてくれなかった」

 

「おいおい、そりゃねえだろ。せっかくお前を心配して電話してやったのに」

 

「それで結局俺が助かってるから余計に腹立つ!!」

 

「ガキの言い分じゃねーか……って、志人?お前まさか、分かりにくいが俺に甘えてるのか?」

 

「そうだよ!悪いか!?」

 

「いや、悪くないしむしろその調子でどんどん甘えて、」

 

「それよりも!!」

 

「あ?」

 

 

 

 

 

 

「――ありがとう……と、言ってやらんこともないと思ったけどやっぱりやめた」

 

「…………く、ッ、ふふふ……!!」

 

「……笑うな」

 

「お前、まで、くくッ!天の邪鬼か……!」

 

「笑うな!!切るぞっ!!」

 

「ああ待て待て、悪かった。これだけは言わせてくれ」

 

「…………何だよ」

 

「いってらっしゃい」

 

「……ん、いってきます」

 

 

 承太郎は後にプッチ神父のせいで仮死状態になり、しばらく話せなくなってしまう。

 この電話が、そうなる前の最後の会話なのかと思うと凄く寂しいし、悲しい……が、その気持ちを抑えて電話を切った。

 

 承太郎のおかげで元気が出た。今なら例えクソみたいなタイミングで入って来た護衛任務だとしても、なんとか頑張れそうだ。

 

 

(なんか、露伴とかリゾットとか仗助にも電話したくなって来たな……まだまだ時間はあるし、彼らにも電話してみよう)

 

 

 そう思ってそれぞれに電話すると、3人共に"電話もメールもするな"と言った本人から電話して来た事に驚いていた。ごめんなさい。

 

 

「まったく……自分から何も連絡を入れるなと言ったくせに、結局こうして電話を掛けてくるなんて……しかも、よりによって執筆の調子が良い時に邪魔しやがって……

 

 おかしいな……君はあのクソッタレ仗助よりは遥かに頭が良く賢い男だと思っていたんだが、これは評価を下げるべきかなあ?

 なんせ君は自らの発言を自らの行動で破るようなお馬鹿さんのようだからなあ?ああ、それとも3歩歩いてど忘れする鶏か?」

 

「…………ごめんなさい……そうです、おれは、おばかさんなにわとりです……」

 

「……お、おい、待て。なに本気で落ち込んでるんだ!?冗談だぞ!冗談だからなッ!?」

 

 

 

 

「すみません、いきなり電話してしまって……」

 

「……構わない。……我が主が、わざわざ俺に、電話を掛けてくれたのだから……例え仕事中でも、必ず出る」

 

「いや、仕事中に私的な電話に出るのは駄目ですからね?

 ……って、普通に会話続けてたから休憩中なのかと思ってましたけど、まさか本当に仕事中ですか今!?」

 

「仕事中では、無いな……外出先でたまたま遭遇したスタンド使いの犯罪者から攻撃を受けている最中だが」

 

「それもっと駄目なやつ!?」

 

「問題ない……たった今、仕留めた」

 

「あ、……そ、そう、ですか……ご無事で、何よりです……?」

 

 

 

 

「いやー、しばらく話せなくなる前に1回だけでも電話したいなあって思ってたんスけど、まさか志人さんの方から掛けて来てくれるとは!

 これが本当の以心伝心?それとも運命ってやつっスかね?へへへッ!」

 

「……そんなに喜んでくれるなら、電話掛けた甲斐があったな……あー、ところで仗助くん」

 

「はい?」

 

「今、電話してても大丈夫か?……仕事の邪魔したからってきつい嫌味を言ってきたり、スタンド使いと戦ってる最中に電話に出てたりとかしないか??」

 

「え、何言ってるんスか?さすがにそんな事しないっスよ!今もちょうど仕事の休憩中ですし」

 

「仗助くん、いい子!!お前が目の前にいたら頭撫でてやったのに!」

 

「あはは!ええー?そりゃあ残念だったなァ」

 

 

 ……とまぁ、露伴には嫌味を言われたし、リゾットは殺伐とした状況なのに普通に電話してたけど、仗助との電話は実に平和だった。

 

 

(さて、と……行くか。――後の事は、承太郎達を信じよう)

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 護衛任務の最中。財団本部から俺に、承太郎が仮死状態にされたという報告が入った。

 

 徐倫がジョンガリ・Aに嵌められて刑務所送りになったと聞いた時も、全部知っていたのに徐倫に何もしてやれなかった事への罪悪感に襲われたが……

 今回はそれ以上だ。罪悪感もそうだが、予想以上にショックが大きい。

 

 承太郎が大変な事になってるのに、今の俺は任務中で見舞いに行く事すら出来ないなんて……

 本当は、今すぐにでも護衛任務を放り出して承太郎の下へ駆け付けたい。だが、護衛対象を見捨てる訳にはいかない。

 

 出発前にポルナレフと話した時のように、感情を爆発させそうになった。……それを必死に抑えて、笑顔を貼り付ける。

 護衛対象の命を狙っている奴らに、隙を与えないように。自分の感情は二の次で、ただただ守る事に集中。

 

 

 ……形兆から電話が掛かって来たのは、護衛任務に集中するために一旦承太郎の事は忘れよう、と。そう考えた時だった。

 彼は律儀にも、俺にも現状を説明しようとわざわざ電話を掛けてきてくれたらしい。その説明を聞いて、計画が順調に進んでいる事を確信する。

 

 形兆に杜王町のスタンド使い達をアメリカに送り込んでもらう事も、俺達3人が考えた計画に含まれていた。

 

 原作が開始する前からアメリカに行く準備を始めた仗助は例外だが、それ以外の杜王町組はおそらく、徐倫達が脱獄した辺りからの参戦となるはず。

 その時には既に原作6部が後半戦に入っているし、そこから参戦するのであれば原作崩壊の影響もそこまで大きくならないのではないか?

 

 ……というのが、俺達が出した結論だった。バタフライエフェクトは怖いが、最終的に確実にプッチ神父を倒すために、戦力増強を優先させる事にしたのだ。

 

 

 それはさておき。形兆から現状についての説明を聞き終わり、電話を切ろうとしたのだが……何故か引き留められた。

 

 

「……園原。お前、自分の感情を抑制して無理に理性的に振る舞っているんじゃないか?」

 

「……、やだなぁ。何ですか、突然」

 

 

 一瞬、貼り付けた笑顔を剥がされたような気分にさせられた。内心慌てて、再び笑顔を付け直す。……こいつ、なんで分かったんだ?

 さらに。形兆が俺に電話を掛けて来た理由は、承太郎から俺に声を掛けてやるようにと頼まれたからだと聞いて、ますます驚く。

 

 

「――やるせない気持ちを抱いているのが貴様だけだと思うなッ!!」

 

「――――」

 

 

 ……そして、承太郎が形兆に俺の事を頼んだ理由が、よく分かった。

 

 

「…………やれやれ、だな。あの人はいったいどこまで分かってるんだか――」

 

「園原?」

 

「あ、いえ。何でもありません」

 

 

 形兆は人選ミスだと言っていたが、とんでもない。少なくとも今の俺にとっては、他の人達のやり方よりも、形兆なりのやり方の方が効果が高かった。

 承太郎にはそれが分かっていた……任務を始める前に電話した時もそうだったが、あの人は俺の心や考えをどこまで分かっているんだろうか?

 

 長年の付き合いのおかげで、俺は以前よりも承太郎の事を理解できるようになったと思うが、それは向こうも同じ事……だったのかもしれない。

 

 

「……そろそろ切るぞ」

 

「はい。連絡、ありがとうございました。……吉報を待ってますよ?」

 

「……ふん。言われずとも」

 

 

 その会話を最後に、形兆との通話を終える。……彼らならきっと、本当に吉報を届けてくれるだろう。

 それに、今はまだ眠っているが承太郎も、後に重要な仕事をやってくれる予定の露伴も、俺の代わりに動いてくれるリゾットと仗助もいる。

 

 

(俺は任務を始める前に、後の事は承太郎達を信じようと決めたはずだ……!!)

 

 

 今、ようやく本当の意味で覚悟が決まった気がする。大丈夫。もう、迷わない。

 

 

 ……そして数ヶ月後、仗助から電話があった。

 

 

「そうか!F・Fは生きてるんだな。それにアナスイも……2人を助けてくれてありがとう!――この調子なら、本当に誰も死なずに済みそうだな……」

 

「うっス。この後も頑張りますよ!絶対に誰も死なせないから、安心してくれ」

 

「…………あぁ。ありがとう、仗助」

 

 

 F・F救済が成功したという、嬉しい知らせだった。……護衛任務が始まる前の、承太郎との会話を思い出す。

 あの人が言っていた通り、本当に誰も死なずに済む……この"物語"は、大団円を迎えるはずだ。

 

 

 その後も仗助から、承太郎の記憶DISCを回収し、F・Fも保護して財団に新しい肉体を用意するよう依頼し、刑務所内の不正の証拠も手に入れたという報告を受ける。

 一番嬉しかったのは、やはり承太郎の記憶DISCが原作よりも早めに回収された事だ。これで、あの人の復活も少し早まるだろう。

 

 ただ。この時点で記憶DISCを回収すると、原作では後にエンポリオからそれを奪おうとするヴェルサスの行動が読めなくなってしまうのだが……

 そこは、仗助とリゾット……特にリゾットが、ウェザーを相手に上手くやってくれる事を祈るしか無いな。

 

 

(――ヘビー・ウェザーの発動を阻止する……ウェザーの命を救う方法は、これしか無い)

 

 

 あれが発動すると、その混乱に巻き込まれたせいで救済に失敗する可能性が高い。

 ならば、ウェザーの記憶DISCが本人の手に渡る事を防ぎ、ヘビー・ウェザーの発動を阻止すればいい……と、そんな根本的な解決法しか思い付かなかったのだ。

 

 その前段階として。リゾットと仗助には、ウェザーとプッチ神父の顔写真を手に入れて、2人の過去を財団職員の誰かに調査させるようにお願いした。

 

 徐倫達が脱獄するまでにその情報を入手する事が出来たら、まだ記憶が無いウェザーに真実を伝えて、彼が記憶を取り戻す危険性を訴える。

 予めそうしておけば、後にウェザー達について行く事になるリゾットが、ヴェルサスからウェザーに彼の記憶DISCが渡るのを阻止しても、変に怪しまれずに済むはず。

 

 そしてヘビー・ウェザーの発動を阻止してしまえば、その混乱の中でヴェルサスに逃げられる事も無い。つまり、エンポリオへの襲撃も無くなるだろう。

 

 

 閑話休題。……とにかく、承太郎には早めに記憶を取り戻して体調を整える事を優先してもらう。

 記憶を取り戻す前のあの人は植物状態に陥っており、そこから完全復活するには時間が掛かるはずだ。

 漫画の中では短期間で復活していたが、ここは現実世界だし念には念を入れておいても損は無いと思う。

 

 

(さて――俺達3人が考えた計画は、この後が特に肝心だ)

 

 

 ここまでは全てが計画通りに進んでいる。だが、この後の……プッチ神父に対する裏工作(・・・)が成功しなければ、計画は大幅に狂ってしまう。

 本来なら俺が同行する予定だったのだが、今はここから動けない。……あの人には、1人でやってもらわなければならない。

 

 

(頼むから、無事でいてくれ……なんなら計画が狂ってしまっても良い!万が一奴にバレて殺されてしまうよりはマシだ!!)

 

 

 あの人からの報告を受けるまで、俺は毎日その無事を祈っていた。……そして、ようやくその時がやって来る。

 

 

 

 

 

 

 あの人――露伴から、電話が掛かって来た。

 

 

「…………どう、だった?」

 

「……そんな不安で仕方ないと言わんばかりの声音は止めてくれないか?まるで、君が僕を疑っているように聞こえるぞ、志人君」

 

「あぁ……そうだな。確かに、そうか……すまなかった。俺はちゃんと信じているよ」

 

「ふん。わざわざ言われなくても、分かっている」

 

「ありがとう。……それで?結果は?」

 

「――成功した。この僕が実行したんだ、当然だろう?」

 

 

 その報告を聞いた瞬間、俺は必死に喜びを抑える。気を抜いたら跳び跳ねて大喜びしてしまいそうだ。

 

 

「…………っ、ありがとう……!!これで、最悪の事態だけは回避できるはず!」

 

「安心するにはまだ早い。後半戦からは、君の知る"原作"の流れを積極的に変えていくからな……

 もしかしたら、本来死ぬ運命にある人間どころか、生存するはずだった人間が死ぬ可能性だってある。

 

 

 それにしても――メイド・イン・ヘブン、か……ははッ!まさか、その力を他ならぬ僕のヘブンズ・ドアーで奪う事になるとは、な。

 "全ての生命体を天国へ導く力"とやらを"天国への扉"で封印する……皮肉なものだ。しかし、面白い」

 

 

 そう。露伴にやってもらった、裏工作(・・・)の内容は……

 

 まず。スタンド能力で自分自身に"今から30分間、一時的に透明化して気配も消える"と書き込む。

 ちなみに30分というのは、目的地に向かうまでの時間、目的を達成するまでの時間、その場から離れて安全な場所へ到着するまでの時間を大体見積もった合計である。

 

 次に。原作でプッチ神父が一般人女性の落とし物を拾っていた……まだスタンドが暴走状態で、奴が体調不良になっていたシーンの現場へ向かう。

 そしてプッチ神父が女性と接触する前に、自分自身にその暴走の影響を一時的に無効化するよう書き込んでから、奴に対してもヘブンズ・ドアーを発動し――

 

 ――"ホワイトスネイクはいずれC-MOONに進化するが、C-MOONがメイド・イン・ヘブンに進化する事は永遠にない"……と、書き込んでもらう。これで、裏工作は完了だ。

 

 

 メイド・イン・ヘブンは反則級のスタンドだし、原作ではあれのせいで承太郎達が亡くなっている。

 しかしそれを封じれば、この先原作の流れが大きく変わったとしても、最悪の事態だけは避けられるはずだ。

 

 あと、念のために"東方仗助と対面するまでは、その存在を血の繋がりで感じ取る事はできない"、とも書いてもらった。

 

 本来その場にいないはずの仗助の存在を血の繋がりで感じ取った時、プッチ神父がどんな行動に出るかが分からないからな。

 出来る限りギリギリまで原作通りに進ませて、今後の奴の行動を少しでも読みやすくするために、ちょっとだけ細工をしてもらった訳だ。

 

 

 ……まぁ、本当なら"スタンド能力を失う"とか、"改心して自首する"とか。そんな事を書き込んでもらいたいところだが。

 出来る限り原作に沿った上で物語の"エンディング"を迎えないと、変なしわ寄せが来てしまう気がするから、それは止めておく。

 

 今までも原作の流れを何度も変えて来たし、そろそろ原作とは大きく異なる出来事が勝手に起こってしまってもおかしくない。

 それでも、無事に"第6部、完!"になるようにしないとな。

 

 

「ところで、本当に良かったのか?君の指示通り、プッチ神父の記憶を読む事なくその場からすぐに離れてしまったが……

 あのタイミングで隅々まで読んでおけば、もしも奴が僕達にとって想定外の行動に出ようとしていた場合、それを知る事が出来たはずだ」

 

「……確かに、そのチャンスを逃してしまった事は認める。だが俺にとっては、そんな事よりもあんたの身の安全の方が大切だ」

 

 

 もしも、ヘブンズ・ドアーの本体である露伴が死んでしまったら……

 この人が俺達自身に書き込んでくれた事も、メイド・イン・ヘブンを封じてくれた事も、その全てが無かった事にされてしまう。

 露伴のスタンド能力は、俺達3人で立てた計画の要だ。故に、その身の安全を第一に考えるのは当然の事だろう?

 

 それに……これを口にしたら絶対に拗ねるだろうから言わないが――危なっかしいんだよなぁ、この人。

 

 露伴は誰かの記憶を読み始めると、周りが見えなくなる事が多々ある。そんな時に、それこそ想定外の出来事が起こってこの人に被害が出たら大変だ。

 露伴には悪いが、この点に関しては全く信用出来ない。過保護と言われても構わないからとにかく安全を確保する必要がある。

 

 

 ……という考えをおくびにも出さず、俺はこう続けた。

 

 

「あんたの事を信じていたから、この裏工作(・・・)が成功する事も信じていた。

 でも、最悪の場合それが失敗して計画が狂っても良かったんだ――あんたさえ、無事に生きていてくれたらな」

 

「なっ、」

 

「生きていれば、後は万事どうにでもなるんだ。もし失敗したとしても、俺はそれを責めなかっただろう。

 失敗した場合の対策もいくつか考えてあったし……頼りになるあんたさえ生きていれば、いくらでも挽回出来ていたはずだ」

 

「――――」

 

「……って事で、もしもこの先で奴が想定外の行動に出たとしても、俺は"あんたのせいだ"とか言わねぇよ。

 あんたは今、ちゃんと生きている。それなら、未来で何かが起こったとしてもどうにかなるさ。

 

 まぁ、とにかく。無事で良かったよ。たった1人でラスボスに接近させるなんて危険な事をやらせてごめんな……でも、本当にありがとう」

 

「――――」

 

 

 露伴の事を危なっかしいと思ったのは本心だが、今言った言葉もその全てが本心だ。

 裏工作が失敗してもこの人さえ無事なら、後は本当にどうにかなったはずだ、と。俺はそう信じている。露伴の事を、信頼しているからだ。

 

 ……って、あれ?さっきから露伴の声がまったく聞こえない!?

 

 

「お、おい?何か喋ってくれないとこっちが不安になるんだけど?大丈夫か?……おーい?」

 

「…………こ、……この――」

 

「んん?」

 

「――この天然人たらし野郎ッ!!いや、天然ジゴロか貴様ァッ!!」

 

「はい??」

 

 

 何だって??

 

 

「何なんだ君は!?僕にそんな殺し文句を連発してどうする!?どうせ言うならあのお団子頭の小娘に言えッ!!」

 

「……それって、徐倫ちゃんの事か?何故いきなり彼女の話に、」

 

「このウルトラ鈍感野郎めッ!!それとも何か!?これは僕への嫌がらせか!仕返しか!?

 僕が罰として敬語禁止を言い渡した事への仕返しなのか!?だとしたら何年根に持ってたんだ貴様!?」

 

「い、いや。それについてはもう気にしてないし、仕返しと言うなら……そうだな、強いて言えば俺が任務に向かう前に電話で話した時の、」

 

「あの程度の嫌味に対する仕返しにしてはオーバーキルだぞッ!?」

 

「えぇぇー……?」

 

 

 ああ言えばこう言う……俺にはあんたがそんなに怒ってる理由が分からないのに、これ以上どう言えばいいんだよ?

 

 

「ちっ……!もういい、切るぞ!!」

 

「アッ、ハイ。……本当に、いろいろありがとな。後は予定通り、合流する時が来るまでは、」

 

「分かっている!承太郎さんと合流するまでは自由にさせてもらうぞ!じゃあな!!」

 

 

 と、その言葉を最後に電話が切れた。……困ったなぁ。

 

 

「どうしよう、イージス……露伴のやつ、凄く怒ってたぞ。なんでだろう……?」

 

「…………」

 

「……イージス?」

 

 

 電話の間、ずっと防音バリアを張ってくれていたイージスを見ると……何故か、チベスナ顔で俺を見つめていた。何だよ、その顔は。

 

 

 

 

 

 

「――本っっ当に、駄目だ……この無自覚人たらし天然ジゴロウルトラ鈍感本体……10年前に暗殺チームを落とした時も思ったけど、処置なしだよ……」

 

「はぁ??」

 

 

 

 

 

 

 






・ようやく覚悟が決まった助手君

 イージス曰く、無自覚人たらし天然ジゴロウルトラ鈍感本体。

 承太郎=精神安定剤。彼の動向によってSAN値を削られたり回復したりを繰り返す……が、形兆に発破を掛けられた事でようやく安定した。
 その後。仗助からF・F救済成功の報告を聞いて喜び、露伴からも裏工作成功の報告を聞いてさらに大喜び。

 しかし、その直後に人たらし爆弾を投下した事で露伴から逆ギレされ、困惑。露伴のやつ、凄く怒ってたぞ。なんでだろう……?
 ――本っっ当に、駄目だ……この無自覚人たらし天然ジゴロウルトラ鈍感本体……byイージス


・謎の人物の正体その1、海洋学者

 園原志人専用精神安定剤。

 園原を心配して電話を掛けてみたところ、すぐに繋がった事で相手が不安定になっている事を確信。言葉で安心させる。
 原作とは違い、妻と娘や園原、ポルナレフと積極的にコミュニケーションを取ったおかげか、最近ではもはや口下手とは言えなくなって来た。

 園原が素直でなくても甘えてくれる事が嬉しい。最初は助手扱いだったはずが、今ではすっかり息子()扱い。


・謎の人物の正体その2、漫画家

 陰の立役者。……実は1人でラスボスと接触する事に内心かなりびくびくしていたが、電話中はそれをひた隠しにしていた。

 本来は園原を護衛に付けて裏工作を実行する予定だったが、1人でやる羽目になってしまった。
 よって急遽、自分自身に"今から30分間、一時的に透明化して気配も消える"と書き込んだ上で裏工作を実行。見事に成功させる。

 人たらし爆弾の被害者。純度100%の言葉の数々が尽くクリーンヒット。照れ隠しで逆ギレ。
 ――この天然人たらし野郎ッ!!いや、天然ジゴロか貴様ァッ!!






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