空条承太郎の友人~原作介入~   作:herz

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・前回の続き。オリジナル話。これ以降、男主×徐倫の描写が入って来るので注意。アナ徐が好きだという読者様、本当に申し訳ありません!

・ご都合主義、捏造過多、キャラ崩壊あり。男主視点の途中からエルメェス視点、その後再び男主視点に戻ります




6部終了後
恋する乙女は、大人になるまで待てなかった


 

 

 

 

 向こうから徐倫がやって来るのを見て、防音バリアを解除してイージスにも中に戻ってもらった。

 先程まで皆と共に、財団職員によって連行されていくプッチ神父を見送っていたはずだが……何かあったんだろうか?

 

 と、真っ直ぐ俺に向かって駆け寄って来た徐倫が、その勢いのまま飛び付いてきた!慌てて受け止める。

 

 

「おっと!?……こら、お転婆娘。危ないじゃないか」

 

「志人お兄ちゃん、もう元気?大丈夫?」

 

「……あぁ、大丈夫。もう元気だ」

 

「ん、良かった」

 

 

 俺の首に腕を回して抱き着いてくる彼女の背中を、ポンポンと撫でる。……あぁ、そういえば10年前にも似たような事があったか?

 俺がイタリアでの任務からアメリカに帰って来た時も、それを空港で出迎えた幼い彼女が、俺の事を気遣ってくれた。

 

 あの時は寂しい思いをさせてしまったし、今回も余計な心配をさせてしまったな……もし次があるとしたら、今度は心配させないようにしないと……

 

 

(……って、もう次の機会なんてさすがに無いよな?6部終わったし、一巡してないし……終わった、よな……?)

 

 

 …………終わった。全部終わった!もうあんな事件は起こらない!!そう思っておこう。うん、よし。

 と、頭の中で無理やり思考を完結させて、全ては終わったのだと思い込む事にした。事件なんてもう懲り懲りだわ。

 

 そんなうんざりとした気持ちを紛らすために、可愛い妹分の頭を撫でる。何処からか、刺すような視線が飛んで来た。

 ちらっと見ると、怖い目で俺を睨むアナスイの姿が……はい、すみません。分かってます。でも俺だって妹分が可愛いんだからこれぐらい許してくれよ!

 

 

 その時。徐倫の頭を撫でていた手を、彼女に掴まれた。それを彼女の背中へと誘導されたので、不思議に思いつつされるがままに腕を回す、と、

 

 

「…………あのー……徐倫、ちゃん?」

 

「うん?」

 

「――なんで、俺の手を縛ったのかな??」

 

 

 徐倫の体で見えないが、今、俺の両手が彼女の腰の後ろ辺りで縛られたのが感覚で分かった。

 元々飛び付いてきた彼女を受け止めるために回していた手と、つい先程まで彼女の頭を撫でていた手が、おそらくストーン・フリーの糸で縛られてしまっている。

 

 かなり頑丈に縛られているようだ。自力で解けない。しかもこれ、多分今も糸が徐倫の体と繋がっていて固定されてるぞ!?身動きが取れない!!

 

 

「これ、早く解いてくれないか?」

 

「ダメ。逃がさない」

 

「逃がさないって、」

 

「あたしの話を聞いて欲しいの。このまま」

 

「それだけなら、わざわざ縛る必要は――」

 

「――いいから、聞いて」

 

 

 両頬に手を添えられて、目のやり場に困って逸らしていた視線が戻された。

 承太郎そっくりの、強い意志を宿した瞳が目に入る。……その瞳に熱が籠っているのを見て、何故か心臓が跳ねた。息を呑む。

 

 

「お兄ちゃん、あたしね……もう待てない」

 

「待てない?……何の話だ?」

 

 

 そう聞くと、徐倫は寂しそうに微笑んだ。

 

 

「……これでも結構前から……それこそ、小さい時からアピールしてたつもりだったんだけど、やっぱり気づいてなかったのね」

 

「?」

 

「ずっと妹扱いだったし、意識してもらえないのは当然だろうけど……ああ、そっか。あたしがずっと"お兄ちゃん"って呼んでたのも悪かったのかも。

 

 うん、そうね……じゃあ、これからはちゃんと志人さんって呼ぶ。ねえ、志人さん?」

 

「は、はい?」

 

「あたし、小さい頃から今に至るまでに、いろんな人に出会っていろんな経験をしたと思う。

 志人さんなら、今の時点でも将来の事を決めるにはまだ早いって言いそうだけど、でも……やっぱり駄目ね」

 

 

 そう言って、彼女は不敵に笑って俺を見つめる。……あれ?この表情、いつだったか何処かで見たような?

 

 

「もう少し大人になったら、とか言ってる場合じゃない――何としても手に入れて、側に置かないと……だって手放したくないもの」

 

「は、」

 

「今なら分かるわ。罠に嵌めてまであなたを自分の側に引き寄せた、お父さんの気持ちが」

 

「――――」

 

 

 そうだ……思い出した。10年以上前に杜王町で、あの時承太郎が見せた表情とそっくり、

 

 

「これ凄くカッコいいから勿体ないんだけど、邪魔だから外しちゃうわ。ごめんなさいね」

 

「えっ?あ、おい!?」

 

 

 と、驚いていたせいか、次の行動に対して反応が遅れた。彼女は俺の伊達眼鏡と中折れ帽を外すと、急に顔を近付けて来て――

 

 

 

 

 

 

 ――唇に、柔らかい感触が当たる。

 

 

「――――っ!?」

 

 

 ……目を閉じる暇なんて、無かった。俺が目を見開いたまま固まっていると、唇が離れていき、彼女の伏せられた瞼が開く。

 

 まるで火が点いたかのように、緑の瞳が強く輝いていた。

 

 その熱視線に思わず気圧されて後退りしようとしたが、徐倫の背後で縛られた手がそれを阻む。……逃げられない。

 

 

「……好きよ」

 

「すっ、なん、えっ?」

 

「いえ、"好き"なんて言葉じゃ足りないわね――愛してる」

 

「あ、い、っ!?」

 

「結婚を前提にあたしの恋人になって」

 

「けっこん、」

 

「あ、恋人になってというか恋人にする(・・)わ」

 

「なっ、はぁっ!?」

 

「断られても、諦めない。何年掛かっても、絶対に捕まえてみせるから。

 

 

 あたしが生涯を共にする相手を選ぶとすれば、それはあなたしかいないのよ、志人さん――あなた以外の男とは結婚しない!今、そう決めたわッ!!」

 

「――――」

 

 

 ……いろいろ一気に言われて混乱していたが、最後にそう言われて、彼女は本気で俺と結婚しようとしていると理解した、次の瞬間。

 顔面に、急速に熱が集まった。……何かを言おうとして、頭が回らずに何も言葉に出来なくて、口を開けたり閉じたりして……

 

 

 そんな情けない俺を見て、徐倫は嬉しそうに、満面の笑みを見せる。

 

 

「――やっと、あたしの気持ちが届いたのね」

 

 

 そう言われて、ますます何も言えなくなった。

 

 

 

 

 

 

「――うげエェェッ!?」

 

「うわあッ!?」

 

「アナスイッ!?」

 

「なんだ、これッ!?どうなってんだ!?」

 

 

 その時。向こうからそんな声が聞こえて、はっと顔を上げてそちらを見る。……顔に集まっていたはずの熱が、一気に冷めた。

 

 

 アナスイが、剃刀を吐いている……!!

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 突然走り出した徐倫が向かった先は……さっきまでの戦いで大活躍していた、志人さんの所だった。

 黒いロングコートと中折れ帽、眼鏡を身に付けている、涼しげで整った顔立ちの男……承太郎さんと並んで立っていると、まるで本当の親子のように見えるのが不思議だ。

 

 そんな彼が、今。徐倫に迫られてたじたじしている……その様子を見ていたら、思わずちょっと笑ってしまった。

 戦闘中はお綺麗な顔に似合わず随分と勇ましかったくせに、女に迫られたら弱くなるって……面白い奴だな。

 

 ……実を言うと、あたしとしても志人さんはなかなか良い男に見えて注目してたんだが……徐倫が狙ってるなら、あたしが割って入る訳にはいかないか……残念。

 

 

 周囲の様子を見ると、杜王町とかいう町から来たスタンド使い達はやけに徐倫を応援しており、イタリアンマフィアだっていう連中は揃ってニヤニヤしながら志人さん達を見ていた。

 あとは、志人さんの後ろにいる2人。岸辺露伴という漫画家もニヤニヤしているし、徐倫の父親である承太郎さんは……満足そうに頷いている。

 

 なるほど?つまり、父親公認か。ま、それはそうだよな。

 あのクソ神父のとんでもない力を抑え込んで、あたし達全員を守ってみせるという実力を持った男が自分の娘のパートナーになってくれたら、父親としては安心だろうし。

 

 

「…………あいつの初恋相手は、リゾットの主か……まあ、お似合いなんじゃないか?」

 

「結局、徐倫の初恋は志人さんだったのか」

 

「は、初恋?徐倫の!?」

 

「ああ、エルメェスは知らないんだっけ?徐倫は幼い頃から今までずーっと、初恋相手に恋してたんだってさ。アナスイが、そう、……言って……」

 

 

 ウェザーとF・Fの発言に驚いていると、F・Fが軽く事情を話してくれたが……その途中で顔を引きつらせて、ある方向を見る。ウェザーも同じ行動を取っていた。

 あたしも彼らと同様に、その方向を見る。……あたし達から少し離れた場所で、どす黒いオーラを纏ったアナスイが徐倫達を見ながらぶつぶつと何かを言っている。

 

 

「……す……ころす殺す殺す殺す殺す――!!」

 

「ひ……ッ!!」

 

 

 F・Fが小さな悲鳴を上げた。これは、まずいな……そう思いながら徐倫達の様子を窺うと、

 

 

「――あなた以外の男とは結婚しない!今、そう決めたわッ!!」

 

 

 少し離れているせいか、それ以前の会話はあまり聞こえなかったが、徐倫が大声でそう宣言する声は、確かに聞こえた。

 同時に、アナスイの怒りがピークに達して、それが殺意に変わったのを感じた。

 F・Fとウェザーに目配せして、互いの意思を確認。……よし、アナスイを止めよう。

 

 

 ゆっくりと動き出したアナスイを、3人で取り囲んだ瞬間――

 

 

「――うげエェェッ!?」

 

「うわあッ!?」

 

「アナスイッ!?」

 

「なんだ、これッ!?どうなってんだ!?」

 

 

 アナスイが、口から剃刀を吐いた!?馬鹿な!何がどうしてそうなったんだ!?

 

 

(スタンド能力……!!いったい誰だ!?こんな事をやったのは!?)

 

 

 犯人を探そうと、辺りを見渡す。……しかし杜王町のスタンド使い達も、イタリアンマフィアの連中も、誰もが驚いた様子でアナスイに注目している。スタンドも出ていない。

 彼らの中に犯人はいないのか?……念のために徐倫達の方も見てみると、承太郎さんは酷く冷めた目をしているが、それ以外の3人は驚いている。こちらも全員スタンドは出していない。

 

 じゃあ、誰が?……一瞬そう思ったが、すぐに気づいた。そういえばさっきから姿が見えない奴がいたな、と。

 

 

「リゾット!!待て、止めろォッ!!」

 

「待ってくれッ!!頼む!!」

 

 

 ウェザーとF・Fが叫んだ。そう、リゾットさんだ!

 

 あの人はどういう仕組みなのかは分からないが、スタンド能力で透明になれる!それで姿を隠してアナスイを攻撃しているんだッ!!

 ウェザー達の制止の声も聞かず、リゾットさんは今もアナスイを狙っているようだ。何もない場所から無数のナイフが現れ、その全てがアナスイに向けられている……!!

 

 

 そして、無数のナイフがアナスイに向かって放たれた、その時。

 

 

「――リゾットさん、ストォォップ!!」

 

 

 そんな声が上がり、全てのナイフがアナスイに当たるギリギリで止まった。……声を上げたのは、志人さんだった。

 

 

「何やってんだ、あんたは!?そんな物騒な物は仕舞え!早くっ!!」

 

「…………我が主よ、何故止める……?この男は、お前を殺そうとしたんだぞ……ッ!?」

 

「それでも!アナスイくんはさっき俺の身代わりになってくれた人だ!彼がいなければ、俺は今頃どうなっていたか分からない!!」

 

「…………」

 

「それに彼は、徐倫ちゃんの大事な仲間だ!アナスイくんに何かがあったら彼女が悲しむ!!」

 

「…………」

 

 

 ナイフは空中で止まっているが、まだ消えない。リゾットさんはアナスイの殺害を諦めていない!

 

 

「っ、だあぁっ!もうっ!!そんな事やるんだったら俺はあんたと二度と口利いてやらないからな!?」

 

「!!」

 

 

 と、志人さんがそう言った途端。全てのナイフが消えた。

 …………ええー……?まさかそんな、ガキ同士の喧嘩の勢いで出てくるような言葉なんかで本当に止まるとは……

 

 

「…………それは、いやだ……」

 

「お、おう?そ、そう、ですか。まぁ、それで止まってくれたなら良かった……

 えっと……アナスイくんを殺さなければ、二度と口利かないなんて言わないので……もうやらないと約束してくれますか?」

 

「…………分かった」

 

「じゃあ、透明化を解いて俺の所に来てください。しばらくは、俺があなたを見張ります」

 

「……了解した」

 

 

 借りてきた猫のように大人しくなったリゾットさんは、志人さんの言葉に素直に従って姿を現した。……結構近くにいたのか。全然気づかなかった。

 

 

「はー、やれやれ……リゾットさんはとても賢い人なので、一度注意すればもうやらないと思いますが、念のためにもう1回。

 アナスイくんを、殺しちゃ、駄目です。……いいですね?」

 

「…………」

 

「リゾットさーん?」

 

「………… Si,signore(かしこまりました)……」

 

「んん、よろしい」

 

 

 ……前言撤回。借りてきた猫というか、あれは――飼い主に叱られてしょぼくれてる犬、だな。

 

 

 

 

 

 

「承太郎さん、何ですかあのワイマラナーは!めちゃくちゃ怖いぞ!?」

 

「……だから言ったじゃねーか、露伴……本当にバレたら怖いのはもう1匹の方だ、と……

 

 志人がいる時にバレた場合はリードが付いてるから問題無さそうだが、いない時は放し飼いだ。遠慮なく噛み付かれるぜ」

 

「…………バレないように気をつけましょう、本気で」

 

「そうしよう」

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 なんとかリゾットの暴走を止めた後、俺と徐倫は杜王町組や護チ4名に囲まれて、さっきの徐倫の告白の件で囃し立てられた。

 ついには皆からこの場ですぐに告白の返事をしろと言われ、徐倫には期待の眼差しで見られたが、それだけは駄目だと拒否する。

 

 一斉に不満の声が上がったが、俺はそれでも譲らなかった。

 

 

「――徐倫ちゃんが大切だからこそ、その場の勢いで返事をするなんて軽率な真似はしたくない!」

 

 

 そう言うと、彼らは何故か急に静かになり、徐倫は"惚れ直した!"と言って抱き着いて来た。

 待て、やめろ、告白された後でそれされると心臓に悪いからやめろ!!ドキドキしちゃうだろ!?

 

 すると、またもや周囲に囃し立てられてしまった。お前らも俺をからかうな!!

 

 

(……でも、こいつら。騒ぎながらもスタンドは出したままなんだよなぁ)

 

 

 俺と、既に俺の拘束を解いている徐倫を除いて、全員スタンドを出していた。しかも皆揃って時々同じ方向を……アナスイがいる方向を気にする素振りを見せる。

 これはおそらく、俺と徐倫を囲んでいるのは揶揄するだけでなく、俺達を守る事も目的としているのだろう。

 

 アナスイには申し訳ないが、彼らの気持ちはありがたい。よって、俺からは何も言わないようにした。

 

 

 その後。財団職員が何処から用意したのか小型のバスに乗ってやって来て、全員がそれに乗ってホテルへ移動する事になった。

 そして到着した場所は……規模が少し小さめだが、中はかなり豪華なホテル。こんなに良いホテルをさっさと手配してしまうとは、さすがSPW財団。

 

 さて。俺にとっては、ここからが問題だった。……客室の部屋割りである。

 とりあえず、財団から仲裁役を任されている俺が――仲裁役であるはずなのにさっそくアナスイと揉めてしまったがそれはさておき――決める事になったので、決めやすい奴らからぱっぱと決めていく。

 

 

「空いてる部屋は、4人部屋が1つ、3人部屋が1つ、1人部屋が1つ……それ以外は全部2人部屋か。

 とりあえず、ドン・パッショーネの護衛がしやすいように、マフィア組は4人部屋がいいよな?」

 

「あ、はい!それでお願いします」

 

「こちらへの配慮に感謝します、Fratello(兄さん)

 

「どういたしまして。……で、広瀬夫婦はもちろん2人きりがいいだろ?という事で、君達も2人部屋で決定」

 

「志人さん、ありがとう!」

 

「すみません、ありがとうございます」

 

「はいよ。……次、1人部屋は露伴先生。もし執筆作業するなら1人の方がいいですよね?」

 

「ふっ……さすが志人君、分かってるな!それで頼む」

 

「了解です。……うん、ここまではスムーズに決まる」

 

「…………相変わらず、仕事が早い。揉め事も起こらずに済んで楽だ」

 

「わーい、形兆先輩に褒められたー」

 

「茶化すな。さっさと次に進め」

 

「さーせん」

 

 

 形兆は真面目に突っ込んでくれるから、こっちはふざけやすいんだよなー……これ以降の問題を片付ける前の、良い気晴らしになってくれた。

 

 

「……3人部屋は、徐倫ちゃん達女性3名で使ってくれ」

 

「ええ?あたし、志人さんと2人部屋がいいわ」

 

「…………あー……」

 

 

 やっぱりな……今の押せ押せ徐倫なら、そう言うんじゃないかと思ってたわ。

 

 

「承太郎さーん……!!」

 

「……はいはい、今助けてやるよ」

 

 

 という訳で、頼れるお父様に助けを求める事にした。娘さんの説得お願いします!

 

 

「徐倫……気持ちは分かるが、それは駄目だ。志人には俺と同じ部屋を使ってもらう」

 

「え、なんで!?ずるいわ、お父さんばっかり!」

 

「これは何も、俺個人の感情だけで決めた訳ではない……志人には、お前の告白の返事について冷静に考える時間が必要だ。お前と同じ部屋にする事は出来ない」

 

「…………むう」

 

「それに――この場には、志人の命を狙う奴がいるからな……自分で言うのもあれだが、俺の側なら一番安全だろう」

 

「あ、…………そう、ね……分かったわ」

 

 

 徐倫は、かなり複雑な顔をしながらも引き下がった。

 

 どうやら例の騒動と周りの反応を見て、ついに徐倫もアナスイの気持ちを理解したらしく……

 それ以降は彼を気にして、今のような複雑な顔をしている様子が時々見られるようになった。……ちょっと心配だが、今は見守る事しか出来ない。

 

 ちなみにアナスイの方だが、彼は今のところは俺をずっと睨んでいるだけで、攻撃はしてこない。

 多分、リゾットを警戒しているんだと思う。それに……あれから、俺の側には常に承太郎が付くようになったから、ますます警戒して動けなくなったんだろう。

 

 本当に……本当に、アナスイには申し訳ないが、俺からは何も言えない。自分の命も掛かってるしな……

 

 

「では、3人部屋は決定。次は2人部屋の割り振りだが……」

 

 

 先程暴走したばかりのリゾットと、俺に殺意を抱いているアナスイという、爆弾が2つ……これをどう割り振るかな……

 

 

「――もしも、」

 

「!」

 

「リゾットの同室相手を誰にするか悩んでいるのなら、俺なんてどうだ?」

 

 

 と、俺にそう提案したのは、ウェザーだった。

 

 

 少し前にリゾットがこっそり話し掛けて来て、ウェザーが露伴のスタンド能力で"悪魔の虹"を封じてもらった上で、記憶を取り戻したのだという話を聞いた。

 それを聞いた俺は、その手があったか!と思った。ウェザーに関しては、とりあえず記憶DISCを没収する事しか考えて無かったんだよな……

 

 リゾットは俺の指示に従わず、ウェザーに記憶DISCを渡した事を謝ってきたが、とんでもない!というか、

 

 

(ウェザーが復讐心を乗り越える場面、見たかったなぁ!きっと胸アツ展開があったんだろうなぁ……!それを間近で見られなかった事だけは残念だ……)

 

 

 しかし、それはそれとして。リゾットには感謝を伝えておく。本当に、良い判断をしてくれた。

 すると。アナスイの件で俺がちょっと叱ってから、どういう訳か元気が無さそうだったリゾットの機嫌が上昇した。良かった良かった。

 

 

 おっと、閑話休題。……ウェザーが同室になってくれるなら、俺としても助かる。リゾットにも聞いてみよう。

 そう思って聞いてみたら、二つ返事でOKが出た。よーし、爆弾1つ目はこれにて処理完了!

 

 

「あとはアナスイくんの同室相手を、」

 

「はい!俺がやります!」

 

「仗助?」

 

「あいつの同室相手は、見張り役も兼ねてるんだろ?だったら俺が同室で良いっスよ。

 一応交番のお巡りさんなんで、取り押さえるのとかは慣れてるし、スタンド使いとしてもあいつよりは俺の方が強いっていう自信もあるし」

 

「……良いんじゃないか?仗助なら適任だろう」

 

「おォ?やった!承太郎さんのお墨付きだぜ!」

 

 

 承太郎が真っ先に賛成しており、仗助もやる気は充分、か……うん。そうだな。

 

 

「分かった、仗助に任せよう。……悪いが、頼んだぞ」

 

「うっス!任せてくださいよォ。……あのクソ神父と戦ってた時も、アナスイの時も。リゾットには美味しいところばかり持ってかれてたからなァ……ここで挽回してやる……!!」

 

「……じょ、仗助くん??」

 

「……やれやれだな……そんな事だろうと思ってたぜ、まったく……」

 

 

 …………たかが見張り役にやる気を出し過ぎている仗助は、さておき。残りは俺と承太郎と虹村兄弟のみ。

 徐倫にも言った通り、俺が承太郎と同室になる事が決まり、自動的に虹村兄弟が同室となった。部屋割り完了!

 

 さて、と……承太郎と同室になれて良かったな。好都合だ。ちょうど、この人には2人きりで相談したい事があったから。

 

 

「承太郎、さん、……その、」

 

「……どうした?」

 

「えっ、と、だな――」

 

 

 ……こんな事を他でもない承太郎に相談するのは、自分でも相当どうかしてるなと思う。

 だが、彼以外の人間には絶対に相談できない。承太郎ならきっと、何か良いアイデアをくれるだろうと信じて、俺が今考えている事を明かした。

 

 

 俺の話を聞き終わった承太郎は、ほんの一瞬唖然として……それから、大笑いした。

 

 一頻り笑った後、彼は全て自分に任せろと言った。それはさすがにいろいろアウトだろと、俺は何度も断ったんだが……

 承太郎自身がやる気満々になっていて、結局押し切られて全てを任せる事になってしまった。

 

 

(ある意味、相談相手を間違えてしまったのかもしれない……)

 

 

 でもやっぱり、こんな事は俺が最も信頼している人にしか話せないし――あー、もう!どうにでもなーれっ!!

 

 

 

 

 

 

 






・まさかの告白で赤面した助手くん

 無自覚人たらし天然ジゴロウルトラ鈍感本体は、ようやく妹分の気持ちを知った。

 アナスイの痛い視線を浴びつつ妹分を可愛がっていたら、突然拘束された上にキスされて愛の告白も受けて大パニック。
 普段の冷静さは何処へやら、押せ押せ徐倫に対してたじたじするしかない。明らかに押しに弱い。弱過ぎる。

 だが、赤面していたのも束の間。リゾットの暴走を見て血の気が引いた。リゾットさん、ストォォップ!!
 "二度と口利かない"がまさかの効果を発揮して驚いたが、これ幸いとワイマラナーを大人しくさせた。よーしよしよし。

 承太郎にある事を相談した結果、彼に全てを任せる事になってしまった。――あー、もう!どうにでもなーれっ!!(自棄)


・ガンガンいこうぜ!6部主人公

 肉食系ノンストップ男前女子。もう待てない!攻めるわよッ!!

 逃げられないように、獲物()を物理的に捕まえてから愛の告白。実の父親が罠に嵌めてまで欲しいものを手に入れていた件を参考にした。
 顔が真っ赤になった園原を見て、満面の笑み。――やっと、あたしの気持ちが届いたのね。

 リゾットの暴走や、その後の周りの反応や言動からアナスイの気持ちに気づいてしまった。
 自分も片想いをしているからこそ、アナスイの気持ちは理解出来る。
 だが、彼が園原に殺意を抱いている事は許せず、しかし共に戦った大切な仲間でもあり……と、内心かなり複雑。


・助手くんに殺意を抱く元殺人鬼

 (園原を)ころす殺す殺す殺す殺す――!!

 義兄()になる予定だった男が、徐倫との結婚を許可()してくれたにも関わらず……
 彼女から迫られ、愛の告白をされているのを目にして、殺意を抑えられなくなった。

 結果。狂犬ワイマラナーによる過激な制裁を受ける事に……これにより、形振り構わず園原を殺しに行くのは止めた。
 今後は園原の隙を窺いながら、彼の粗探しをするつもりでいる。


・暴走した狂犬ワイマラナー

 我が主の敵を抹殺しなければ……!!

 園原が徐倫に迫られていても、本気で嫌がっているようには見えなかったため、そちらは放置。
 むしろ、園原達の青春を微笑ましく見守っていた。――だがしかしアナスイ、貴様は許さん。

 で、さくっと始末しようとしたら飼い主に叱られてしょんぼり。Si,signore(かしこまりました)……(´・ω・`)


・満足そうに頷く海洋学者

 愛娘に相応しい結婚相手は、彼がこの世で最も信頼している助手のみ……その逆もまた、然り。

 自分の娘が相手を物理的に捕まえてまで手に入れようとするのを見て、内心サムズアップ。それでこそ、俺の娘。
 アナスイが突然リゾットに制裁されても、全く動じる事なくそれどころか酷く冷めた目で見下していた。当然の報いだろ。

 園原からある事を相談され……大笑い。さすがは未来の義息(むすこ)!これは全力で協力してやらないとな!(ノリノリ)




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