空条承太郎の友人~原作介入~   作:herz

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※今回と次回、それから次々回と賛否両論になりそうな話が続きます。また、ご都合主義、捏造過多、キャラ崩壊も激しいので注意

※いろいろおかしな点があると思いますが、見逃していただけるとありがたいですm(_ _)m




・前回の話の翌日――2012年3月21日。原作では承太郎達が死亡していた日に起こった、とても"奇妙な"出来事

・ご都合主義、捏造過多(特にジョースター家と星の痣、緑色の赤ん坊について)、キャラ崩壊あり。最初は承太郎視点、途中から男主視点




――――そんな、"奇妙な"夢を見た

 

 

 

 

 眠りについたはずの俺は、気がついた時には既に、真っ白な空間の中に立っていた。

 

 周りが白い霧に包まれている、不思議な空間だった。霧が深過ぎて遠くが見えない。

 もしや、何らかのスタンド能力による攻撃か?20年以上前の、あの砂漠の旅の途中に夢の中で襲われた事を思い出した……否、知ったというべきか?

 

 前世の記憶がある志人から"原作"の話を聞いて、当時の自分の身に何があったのかを知ったのだ。

 花京院は詳細を話してくれなかったから、現実での出来事は覚えていたが、夢の中で起こった出来事までは知らなかった。いや、覚えていなかった。

 

 それはともかく。……周囲を警戒していた俺は、誰かの足音が近付いて来るのを耳にした。スタープラチナは……

 

 

(……出て来ない。スタンドが、使えない)

 

 

 本当にただの夢なら良いが、もしもスタンド攻撃だった場合はまずいな……そんな危機感を抱いたその時、霧の中から足音の主が現れる。

 俺と目線の高さが同じの、大柄な男だった。そして、顔、は――

 

 

(――昔見た、若い頃のジジイの写真……あの顔立ちと、似ている……?)

 

 

 さらに、星の痣が疼く……という事は、

 

 

「ジョナサン、ジョースター……?」

 

 

 声を震わせながらそう呼ぶと、俺の先祖……ジョナサンは、笑って頷いた。

 夢枕に立つ、というやつだろうか?何か俺に伝えたい事があって百年以上前に死んだご先祖様がわざわざやって来た、と?……そんな馬鹿な。

 

 そこまで考えて思わず頭を振ったところで、彼の口が動いた。……何かを話している?

 

 

「……おい、何を言ってるのか全く聞こえないぞ」

 

 

 声も何も聞こえなかったためそう言うと、ジョナサンは目を見開き……それから、寂しそうに微笑んだ。次いで、彼は自分の口元を指で叩く。

 

 

「口の動きで、何を話しているのかを読み取れ、って事か?」

 

 

 ……頷いて肯定された。さっそく、それを読み取ったのだが……不思議な事にこの男は、日本語を話していた。

 

 

「――"ごめんね"……?」

 

 

 そう聞くと、ジョナサンは頷いた。それから再び口元を叩く。続きがあるようだ。

 

 

「――"ありがとう"?」

 

 

 読み取ったそれを口にすると、また頷かれる。……それから不意に近づいて来て、何故か抱き締められた。

 驚いたが、嫌ではない。むしろ……どういう訳か、ほっとする。頭まで撫でられているのに、不思議と抵抗する気にはなれなかった。

 

 

 と、次の瞬間。体から、何かが剥がれ落ちたような感覚を感じた。これは――首の、左後ろ?

 

 

「おい、今……っ、待て!何処に行くッ!?」

 

 

 立ち去ろうとしていたジョナサンを呼び止めると、彼はゆっくりと振り向く。……今にも泣きそうな顔で、無理に笑っていた。

 おそらく俺に心配させないためだろうが、そんな顔をするぐらいなら我慢せず泣いてしまえばいいのに……

 

 ジョナサンはそのまま、俺に向かって大きく手を振り、それから背を向けて……霧の中へと、消えていった。

 

 

 キラキラと輝く1つの星が、空中を漂いながら、その後をついて行く――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――そんな、"奇妙な"夢を見た。

 

 

(…………何だったんだ?今のは……)

 

 

 ホテルの客室のベッドから起き上がり、首を傾げる。……時計を見ると、まだ早朝と言える時間帯だ。随分と早くに目が覚めちまった。

 隣のベッドでは志人が眠っている。この子は昨日大活躍してたしな。もう少し寝させてあげた方が良いだろう。

 

 志人を起こさないように静かに動き、顔を洗うために洗面所へ向かった。それから、なんとなく鏡を見て……息を呑む。

 

 

 

 

 

 

(――星の痣が、無い……)

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 ラスボス戦を終えた日の、翌朝。眠りから覚めてしまって起き上がると、時間はまだ早朝だった。

 眠い目を擦ってぼーっとしていると、承太郎が洗面所のある方からやって来る。

 

 

「……すまん、起こしたか?」

 

「いや……大丈夫。……それより、承太郎さん。何があった?」

 

「…………分かるのか」

 

「その目を見て、雰囲気を感じれば分かる……あんたの身に、何か思わぬ出来事が起こったのだと」

 

 

 最近は承太郎の方が俺の心を読むばかりだったが、長年の付き合いでいろいろ分かるようになったのは俺も同じだ。

 承太郎は今、何らかの予想外の出来事が起こったせいで動揺し、困惑しているらしい。眠気が一気に吹き飛んだ。

 

 

「…………痣、が」

 

「痣?……あの、星の痣か?それが?」

 

「……消えた」

 

「は?」

 

「消えたんだ……綺麗に、無くなっている」

 

「…………見せてもらっても?」

 

「ああ……ほら」

 

 

 承太郎が背中を向けてしゃがみ込む。……確かに、首の左後ろにあるはずの星が、無い!

 

 

「志人……何か、心当たりは無いか?お前の前世の記憶には?」

 

「…………いや……無いな。俺は星の痣について、原作で語られている内容以上の話は知らない」

 

 

 ジョースターの血を引いているほとんどの者に、この星の痣がある事。

 しかし例外として、ジョナサンの体を乗っ取ったDIOや、その息子達にも痣がある事。

 それから後に、DIOの骨から生まれた緑の赤ん坊を取り込んだプッチ神父と、その双子のウェザーにも星の痣が出た事……

 

 知っている事といえば、それぐらいだ。それ以上の事は分からない。そう話すと、承太郎は俯いて何かを考え始める。

 

 

「承太郎さん?」

 

「…………夢を、見た」

 

「、夢……どんな?」

 

「……ジョナサン・ジョースターが出て来る夢」

 

「――――」

 

 

 ……詳しい話を聞いてみると、承太郎は夢の中でジョナサンと出会ったらしい。

 

 何故か彼の声は聞こえなかったが、口の動きを読んで謝罪と感謝をされた事だけは理解したそうだ。

 そして抱き締められて、頭を撫でられて……首の左後ろから、何かが剥がれ落ちる感覚を感じた。

 

 その後。ジョナサンは今にも泣きそうな顔で無理に笑って、承太郎に向かって大きく手を振り、立ち去って行った。

 ――そんな彼を、空中に漂う1つの星が追い掛けていったのだという。

 

 

「その星が、もしかしたら、……志人?」

 

「…………承太郎さん……その夢の事なんだが、」

 

 

 その時、携帯の着信音が聞こえた。……承太郎の携帯だった。

 彼は俺に、視線だけで"出てもいいか?"と聞いてきたので、頷いた。俺の話は後でも良いだろう。

 

 

「……仗助?どうした?」

 

 

 相手は仗助か。こんな朝早くに何の用だ?……すると、仗助の話を聞いていた承太郎が、目を見開く。

 

 

「――お前と徐倫も、痣が消えたのか……!?ああ、そうだ。俺もだ。ついさっき目が覚めたら、星の痣が消えていた!」

 

 

 何?仗助と徐倫の痣まで!?どうなってんだ!?

 

 

 と、俺が驚いた時。再び携帯の着信音が聞こえて来る。今度は俺の携帯だった。相手は……ジョルノ。

 

 

「…………もしもし?」

 

「おはようございます、Fratello(兄さん)。朝早くからすみません。承太郎さんの携帯に繋がらなかったので、あなたに電話を掛けたんですが実は、」

 

「星の痣が消えた?」

 

「……ええ、その通りです。あなたがそう言ったという事は、もしや承太郎さんも?」

 

「ああ。しかもそれだけじゃない、仗助と徐倫ちゃんも痣が消えてしまったらしい。今、承太郎さんが電話で話している」

 

「なるほど、それで……という事は、彼はどうなんでしょう?徐倫の仲間の中に1人、ジョースター家ではないですが星の痣がある人がいますよね?」

 

「ウェザーさんか!ちょっと待っててくれ。承太郎さんから徐倫ちゃんを通して確認してみる」

 

 

 さっそく確認してもらったところ、ウェザーからも痣が消えていたという。これは、つまり……プッチ神父もそうなのでは?

 それに。今は離れた場所にいるジョセフや承太郎の母親、ホリィさんの方も気になる。あとは……他のDIO息子達3人もだな。

 昨日知ったんだが、奴らの身柄は財団職員が確保してくれたらしい。そっちも確認してもらおう。

 

 その後は俺と承太郎で手分けして、方々に連絡を取る事にした。

 神父とDIOの息子達の方は、財団職員である俺が六車さんに電話を掛けて、ジョセフとホリィさんの方は承太郎が電話を掛けて確認する。

 

 こんな朝早くにも関わらず、ありがたい事に3人共電話に出てくれた。

 その場ですぐに確認が取れたのは、ジョセフとホリィさんだ。彼らも星の痣が消えていたらしい。

 

 神父とDIOの息子達の方は、六車さんによるとちょっと時間が掛かりそうだという。

 彼らが拘束されている場所が別々で、その上こちらの話に応じてくれるかも分からないため、確認するのに時間が欲しいとの事。

 

 そうなる事は予想していたので、俺も六車さんにはそんなに急がなくても大丈夫だと言ったが……

 良い意味でクソ真面目な彼は、さっそく動き出すだろうなぁ。六車さん、すみません。

 

 

 さて。六車さんから連絡が来るまでに、身支度と朝食を済ませる事にしよう。徐倫と仗助とジョルノには、朝食後に俺達が使っている客室に集合するようにと伝えた。

 

 徐倫を通して、ウェザーも誘ってもらったのだが……彼は、自分はジョースター家の人間ではないから遠慮すると言って、辞退したそうだ。

 後々話せる範囲でいいから事情を教えてくれればそれで良い、とも言っていたらしい。

 

 

「……だったら俺も、ジョースター家の人間じゃないし遠慮した方が、」

 

「お前は良いんだよ」

 

「そうっスよ、志人さん!」

 

「シドは例外ですよ」

 

「というか、志人さんはあたしの未来の旦那様なんだから、もうほとんどジョースター家の一員でしょう?」

 

「なっ!?だっ、旦那様!?」

 

 

 朝食後。ジョースター家に加えて、何故か俺も話し合いの場に同席する事になったのだが……

 俺の腕に自分の腕を絡ませて密着して座っている徐倫からそんな事を言われ、元々赤面していたところにさらに熱が集まってきた。旦那様って徐倫お前なぁ!?

 

 と、その時ちょうど六車さんから電話が掛かって来た。

 ニヤニヤしている仗助とジョルノから揶揄される前にこれ幸いと徐倫には離れてもらって、電話に出る。

 

 

「お疲れ様です、六車さん。……確認出来ましたか?」

 

「はい。全ての確認を終えましたので、ご報告いたします」

 

「あ、ちょっと待ってください…………これで良し、と」

 

「園原さん?」

 

「今、スピーカー機能を使ってます。この場には承太郎さんに仗助、徐倫ちゃんにジョルノ……ジョースター家の4名が同席しているので、このまま報告をお願いします」

 

「えっ!?あ、はい!かしこまりました、ご報告させていただきます」

 

 

 まず、DIOの息子達3名について。……奴らは意外な事に、全員素直に話に応じてくれたそうだ。

 そして確認を取ったところ、3人の体からも星の痣が消えていた。さらに――

 

 

「――そいつらも、ジョナサンの夢を見たのか……」

 

「はい、その通りです。……ところで疑うつもりは全く無いのですが、空条さん。

 ジョースター家の皆様も、ジョナサン・ジョースターの夢を見たという話は、事実、なんですか?」

 

「……ああ、間違いない。俺と仗助達3人、それからジジイとお袋の夢の中に、ジョナサンが現れた」

 

 

 そう。ジョナサンの夢を見たのは、承太郎だけじゃなかったのだ。仗助達も、ジョセフも、ホリィさんも。皆がその夢を見ていた。

 そして、DIOの息子達の夢の中にもジョナサンが現れた。……しかし、先ほど念のために確認したのだが、ウェザーはその夢を見ていないという。

 夢を見る条件は、ジョースターの血を引いている事か?いや、でも……

 

 おっと。それはともかく、DIOの息子達が素直に話に応じてくれた理由だが。

 

 彼らは夢の中でジョナサンと出会い――"父親の温もり"を知ったのだと、口を揃えてそう言っていたらしい。

 そして目を覚ますと、不思議な事に心が落ち着いていて……財団職員とも、素直に会話する気になれたのだとか。

 

 

「……その気持ちは、僕にも分かる気がします」

 

「ジョルノ?」

 

「あの人に抱き締められて、優しく頭を撫でられて……凄く、ほっとしたんです。救われたような気分になれました。

 幼少期からずっと、それを知る機会はありませんでしたが……きっと、あれが"父親の温もり"というやつだったんでしょうね……」

 

 

 …………実の父親がクソ野郎だった身としては、彼ら3人が素直になった理由と、ジョルノの気持ちが理解できたような気がする。

 

 

「それで、プッチ神父の方はどうだったの?」

 

「…………それが、ですね……」

 

 

 徐倫にそう問われた六車さんは、何やら口ごもりながらも報告を続けた。

 

 

 彼によると、神父は錯乱状態に陥っていたそうだ。

 

 奴は酷く混乱していて、しかも暴れ出したので今はかなり厳重に拘束されているらしい。そして、暴れている最中にいろいろ喋っていたという。

 ……その途中で素数が混ざったりしてかなり分かりにくかったようだが、なんとか話の要点をまとめたところ。

 

 奴も、ジョナサンの夢を見ていた。……夢の中ではたくさんの星が空中に浮いており、その中心にジョナサンがいた。

 突然現れたジョナサンは、神父に向かってつかつかと歩いて近づき、そのまま奴を殴った。

 

 

 殴った?――殴った!?ジョナサンが?プッチ神父を!?

 

 

「おォ!?やるじゃねェか、あの人!」

 

「意外ですね。夢の中では、とても穏やかそうな人に見えたんですが……」

 

 

 ジョナサンを褒める仗助と、首を傾げるジョルノ。……俺が頭に思い浮かべたのは、"君が泣くまで殴るのをやめない"という例のセリフと原作の場面だ。

 神父はあの時のディオほど殴られた訳では無いようだが、きっとジョースターの爆発力(元祖)を思い知った事だろう。

 

 で、神父を殴ったジョナサンは、殴られて倒れ込んだ神父を抱き起こし――自分で殴り倒したくせに――奴の首筋に触れた。

 すると……ジョナサンの腕の中には、いつの間にか緑の赤ん坊がいた。そして彼はそのまま、赤ん坊を連れて立ち去った……

 

 

 …………緑の、赤ん坊。

 

 

「えっ……!?それって、まさか!ご先祖様があの赤ん坊を神父から奪ったって事!?」

 

「…………にわかに信じがたいが……神父は、本当にそう言ってたのか?」

 

「はい……錯乱状態に陥った理由は、どうもその緑色の赤ん坊を奪われたせいだったらしく……

 頻りにその赤ん坊を――DIOとの繋がりを返せ、と。そう叫んでいたそうです」

 

 

 …………いろいろ、突っ込みたい点はあるが。そうすると話が進まないため、あえて無視する。

 さて。これで大体の情報が出揃った、のか?……おそらく一番大きいと思う爆弾を落とすのは、後回しにするとして。

 

 それからはジョースター家で1人ずつ、自分達が見た夢の内容を語っていった。

 

 ジョセフとホリィさんが見た夢については承太郎が、DIOの息子達3人が見た夢については六車さんが詳細を話している。

 といっても、全員が見た夢の内容は承太郎が見た夢と大体同じだったようだが……たった1つだけ、相違点があった。

 

 

「星の数が違いますね……」

 

「そうね……あたしは9つ、お父さんは1つ、仗助さんは4つ、ジョルノさんは5つ……それから、ひいおじいちゃんが2つ、ホリィおばあちゃんが3つ。

 あと、DIOの息子達3人が見た星が、それぞれ6つと7つと8つ、か」

 

 

 全員が見たという、ジョナサンの周りを漂っていた星……その数が、異なっていたのだ。

 

 

「その全ての星の正体が、ジョースター家の人間がそれぞれ持っていた星の痣が実体化した物だったとしたら……

 ジョナサンは俺、ジジイ、お袋、仗助、ジョルノ、その他DIOの息子達、そして徐倫の順に、夢の中を訪れて行ったのか?」

 

「となると、年長者から順番に?いや、でもそれだと承太郎さんからじゃなくて、ジジイから始まるはずだし……」

 

 

 確かに、仗助の言う通りだ。年長者から順番にという法則だったら、ジョセフから始まっていないとおかしい。

 

 

「…………ところで、志人」

 

「え、……はい。何ですか?承太郎さん」

 

 

 急に、承太郎から呼ばれて首を傾げる。何だろう?

 

 

「……お前。こっちの話を聞きながらも、さっきから何を考えている?」

 

「…………」

 

「こういう話し合いの場で、ずっと黙り込んだままというのはお前らしくない……普段のお前なら、もっと積極的に発言しているはずだ」

 

「確かに……志人さんらしくないっスね」

 

「……シド。何かあったんですか?」

 

「志人さん……?」

 

 

 4人の目が、俺に向けられた。……参ったな。

 

 

「……あんた達をさらに混乱させるのは良くないと思って、もうしばらくは黙っていようと思ってたんだが……

 それに、これに関しては証拠もないし……事実だと証明する事ができない……」

 

「それでも構わない。言ってみろ」

 

 

 承太郎の声が優しい。多分、この人なら証拠が無くても、疑わしいと思っても、それを表に出さずに受け入れてくれるんだろうな……うん。この人を信じて、思い切って今話してしまおう。

 

 

 そう決意した俺は……おそらく、今までの話の中で一番大きいと思う爆弾を落とした。

 

 

「――俺も、見たんだ。ジョナサン・ジョースターの夢を……」

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 真っ白い空間と、深い霧……気がついた時には、そんな場所に1人で立っていた。

 

 

(何処だ?ここ……)

 

 

 これは夢だと、自覚は出来ている。俺は確かに眠ったはずだ。明晰夢なんて普段は見ないんだが、それはさておき。

 ジョジョ3部の、デスサーティーンを思い出す。……まさか、スタンド攻撃か?

 

 

(イージス!……イージス?おい!?)

 

 

 心の中で呼び掛けても、反応が無い。スタンドが出せない。……そんな状況に対して焦っていた、その時。霧の向こうから、キラキラと輝く物が飛んで来た。

 それは所謂、星型多角形の形をした、キラキラと輝く何か。……わざわざ面倒な表現しなくても、単純に"星"と言えばいいか。

 

 "星"は俺の周りをぐるりと一周してから、目の前に降りて来た。それをなんとなく、両手で皿を作るようにして受け止める。

 

 

(……何だろう?これ……何か――知っている、気配がする……ような?)

 

 

 よく分からない感覚だ。何故か、この"星"を知っている。そんな気がした。悪い感じはしない。むしろ……強く惹かれる。

 それからまた、状況が変化した。バタバタと走る足音が近づいて来る。"星"はそのままにしながら警戒していると……

 

 

「…………は……?」

 

 

 霧の中から、かなり焦った顔をしたジョナサン・ジョースターが現れた。

 なんで!?俺の夢、どうなってんだ!?原作介入にこだわり過ぎて、ついには夢の中にまで初代主人公が現れるようになってしまったのか!?

 

 ジョナサンと、目が合った。……俺を見てぎょっと目を剥いている。何をそんなに驚いているんだ?

 それから彼の視線が下に動き……俺の手の中にある"星"を見て、何故か音は聞こえなかったが、ため息をついた。

 どうやら安心している様子。もしかして、この"星"を見失って探していた?それで先程、あんなに慌てていたのか?

 

 

 そこでふと、ジョナサンの周りに"星"がたくさん浮かんでいる事に気づいた。数は、8つ。俺の手の中にある"星"も含めたら、9つだ。

 さらに、彼の腕の中で何が動いた事にも気づく。そこを見ると……緑色の、赤ん坊が。

 

 

(なんであの赤ん坊が、ジョナサンと一緒にいるんだ……?)

 

 

 しかも緑の赤ん坊は、どういう訳か俺から目を離そうとしない。赤い目でじいっと、俺を見つめている。

 すると、ジョナサンが俺の目の前まで近付いて来て、自分の口元を指で軽く叩いた。それから口が動く。

 

 

「……もしかして。口の動きを読んでくれ、という事ですか?」

 

 

 先程のため息で、何故か音が聞こえなかったのを思い出してそう聞くと、頷かれた。

 ……言われた通り口の動きを読んだが、何故日本語を話せるんだ英国紳士。それとも夢の中だから何でもありなのか?

 

 

「…………"ありがとう"?……何のお礼かは全く分かりませんが、どういたしまして?あなたにお礼を言われる程の何かをやった覚えはありませんが……」

 

 

 突然の感謝に対してそう返すと、声は聞こえないが、ジョナサンは大笑いしているようだ。今の俺の返事、何かおかしかったか?

 しばらくして。笑いが収まった様子の彼は、再び口元を指で叩く。

 

 

「…………"伝えて"?」

 

 

 いったい何を、誰に伝えろと言うんだ?……と、また口が動き始めた。

 

 

「――"さだめ(・・・)は僕が全部持っていく"……?」

 

 

 さだめ(・・・)?全部持っていく?どういう意味だ?

 

 

 その時。視界の端で、緑色の手が動くのが見えた。……緑の赤ん坊が、俺に向かって両手を伸ばしている。

 まさか、俺に抱っこしろと?……いやいや、そんな馬鹿な。

 

 

(あ、そうか。俺じゃなくて、この"星"に興味があるのか!)

 

 

 それなら納得出来ると思って、未だに手の中にあったその"星"を差し出してみたのだが、緑の赤ん坊はぺしっと"星"を払い除け、身を乗り出した。危ない!

 ジョナサンも少し慌てていたが、赤ん坊はなんとか俺が受け止めた。しかし、受け止めた後も落ち着きが無い。

 

 

「おい、大人しくしろ、って、あ!?」

 

 

 肩の上まで登って来た赤ん坊は、俺の服の中から勝手にロザリオを取り出した。20年以上前から肌身離さず身に付けている、母さんの形見だ!

 頼むから口に含んだりとかするなよ……!と、戦々恐々しながら様子を見ていたら、ロザリオをまじまじと見つめて――

 

 ――微笑んだ。……赤ん坊らしくない、切なさを感じる儚い笑みだった。

 それに思わず目を奪われていると、赤ん坊は一度ジョナサンがいる方を見て、それから何故か俺の頭を小さい手で撫でる。どういう状況だ、これは??

 

 

 すると次の瞬間、ジョナサンが俺から無理やり緑の赤ん坊を取り上げた。彼は険しい表情で……探るような目で、赤ん坊を見ている。

 

 

「あの……どうしたんですか?」

 

 

 俺が心配してそう声を掛けると、ジョナサンは慌てて頭を振り、それから苦笑いを浮かべて俺に手を振った。さらに、こちらに背を向けて立ち去ろうとしている。

 

 

 その背中に、何故か承太郎の姿が重なった気がした。

 

 

「っ、――ジョナサン!!」

 

 

 俺はつい、そう呼び止めてしまった。彼は驚いた様子で振り向いている。やっちまった。でも口は止めない。彼に、どうしても言いたい事が出来たのだ。

 

 

「あんた、1人で何か抱え込んでるだろ?」

 

「――――」

 

「今のジョナサンは……あんたの玄孫と、よく似ている。勝手に全てを背負って1人で戦っていた時の、あの人と。

 あんたも、あの人と同じだ。俺達と同じ、人間なんだよ!だから……だから……!」

 

 

 自分でも何を言ってるのか、分からなくなってきた。でも、今のジョナサンをこのまま1人で行かせる訳にはいかないと思って、必死に言葉を考える。

 

 

「これから、ジョナサンが何処へ行くのかは分からないけど、でも――あんたの子孫達を、忘れないでくれ。

 あんたが持つ、黄金の精神を受け継いだ彼らの事を!忘れないでくれ……!!

 

 

 ――ジョナサンの心に彼らがいる限り!あんたは絶対に!孤独にはならないっ!!」

 

「――――」

 

「1人じゃない……あんたは、1人じゃ、ないんだ……!!」

 

 

 ジョナサンが、泣いている。俺もボロボロ泣いた。訳も分からず次から次へと涙が出て来る。

 立ち去ろうとしていた所から戻って来た彼が、俺の頭を撫でた。……承太郎の撫で方とそっくりだった。凄く、ほっとする。

 

 ……やがて、大きな手が離れて行った。顔を上げると、彼の口が動く。

 

 

「…………"僕は、1人じゃない"……あぁ、そうだよ。あんたは、1人じゃない」

 

 

 俺の言葉に笑って頷いたジョナサンは今度こそ、9つの"星"を引き連れて、緑の赤ん坊と共に霧の中へと立ち去って行った――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――そんな、"奇妙な"夢を見た……」

 

 

 俺が語り終えると、承太郎達は言葉を失っていた。

 

 

「…………もしも。あんた達の夢の話と、俺の夢の話が、繋がっていたとしたら……おそらくプッチ神父の夢の中に出た後、あの人は俺の夢の中に現れたんだと思う。

 いや、現れたというか――あの"星"に導かれたというか、引っ張られて来たというか……?まぁ、これはただの勘だけど」

 

 

 ……承太郎達は、未だに黙り込んだままだ。もう少し、話を続けてみよう。

 

 

「それで、夢の中であの人が"伝えて"と言っていた、"さだめ(・・・)は僕が全部持っていく"という言葉についてなんだが。

 あの人が承太郎さん達の星の痣を持って行った事と、神父から緑の赤ん坊を奪った事……それらも合わせて考えると――

 

 ――さだめ(・・・)とは、宿命。ジョースター家が……承太郎さん達が持っていた宿命や、DIOとの因縁。

 それら全てを持って、逝く(・・)という意味だったのではないか、と。俺は、そう思っている」

 

「…………」

 

「あの人は、もしかしたら……百年以上前に亡くなった後、何らかの形で承太郎さん達の事をずっと見守っていたんじゃないか?

 そして今回。DIOとの因縁にようやく決着がついたというこのタイミングで姿を現し、もう二度と、自分の子孫達が過酷な運命に巻き込まれないように、全てを持って逝ってくれたんじゃないか……?」

 

 

 真実はおそらくジョナサンしか知らないし、それを確かめる方法は無い。でも……本当に、そうだったら良いなと、思う。

 

 

「…………俺にはあんた達の星の痣のように、目に見える証拠が無いから、ここまでの話はただの妄想だと切り捨てるのも簡単だな」

 

「…………六車」

 

「は、はいっ!?」

 

 

 と、ずっと黙っていた承太郎が急に、六車さんを呼んだ。

 

 

「志人の話だが、お前は全て聞かなかった事にしてくれ」

 

「えっ……?」

 

「……この話だけは、財団には報告するな、という事だ」

 

「…………分かりました。私は、何も聞いていません」

 

「ああ、それで良い」

 

 

 あぁ、やっぱり。これはさすがに承太郎も信じてくれないよな、と。一瞬諦めたのだが……その承太郎が、俺を見てニヤリと笑った。

 

 

「――こんな素敵な"物語"が、ジョースター家以外の多くの人間に知られちまったら、勿体ねえだろ?」

 

「――――」

 

「……今後。その話はジョースターの血を引く者と、その配偶者や子供以外の人間には秘密にしておこう。

 ジョースター家の人間のみが知る事が出来る、ジョナサン・ジョースターの感動秘話だ……

 これなら、妄想だと言って切り捨てる奴らはほとんどいなくなるだろ?そもそも、ジョースターの人間しか知る事が出来なくなるんだからな」

 

「…………お父さん……っ、それ、良いッ!素敵じゃない!!」

 

「グレートだぜ、承太郎さんッ!!」

 

「つまり、この話はジョースター家で代々語り継がれていく訳ですか……ふふ、夢があっていいですね」

 

 

 ……承太郎の思わぬ提案を聞いて、俺が唖然としている中。徐倫達3人が盛り上がっている。

 

 

「…………信じて、くれるのか……?俺が見た夢と、こんな妄想話を」

 

「ああ。信じる」

 

「大丈夫よ、志人さん!この中に、あなたを疑う人間なんて誰もいないわ」

 

「ええ、その通りです。僕達は、シドを信じます」

 

「志人さんを信じるのは当然だけど、今聞いた話はすげェ感動したし!万が一嘘だったとしても、全然構わないっスよ!」

 

「……そう、か……ありがとう」

 

 

 4人共、俺の話を信じてくれるという。……承太郎に言われて、話してみて正解だった。

 

 俺はジョースターの人間じゃないから……こんな夢を見たといっても、心優しい承太郎達はともかく、他の人間には間違いなく疑われるだろうと思っていた。

 しかし、それならジョースター家だけの秘密にすればいい、と。承太郎がそう言ってくれて……嬉しかった。

 なんというか。俺なんかがジョースター家の一員になれたような、そんな気がして……

 

 

 ……と、そこまで考えた俺は、こう思った。

 

 

(――もしも俺が徐倫と結婚したら、この人達の義理の家族になれるのか……)

 

 

 …………少しずつ。本当に、少しずつだが。自分の中で覚悟が決まっていくのを、確かに感じている。

 

 

 だが、それはそれとして。

 

 

(まだいろいろ謎が残ってるよなぁ……)

 

 

 その後も承太郎達と俺は、ジョナサンが現れた夢について話し合った。

 しかしその場で謎を解明する事は出来ず、俺が見た夢に関する話は除いて、それ以外の情報を財団にも共有したのだが……

 

 

 ……結局それ以降、謎が全て解明される事は無かった。

 

 

 

 

 

 

 






・"奇妙な"夢を見た助手くん

 ジョースター家の人間ではないのに、何故かジョナサンの夢を見たという爆弾を投下。

 早朝からジョナサンの夢を見た事で目が覚めてしまった。後に承太郎達もその夢を見たと聞いて驚愕。
 しかし明らかに自分が見た夢とは内容が違う。明確な証拠も無いため、彼らをこれ以上混乱させないためにも黙っていた。

 だが、承太郎に促されて詳細を明かした。何故か知っている気配を感じる"星"、現れた初代主人公、不可解な行動を取る緑の赤ん坊……本当に、"奇妙な"夢だ。

 自分と承太郎達が見た夢の内容から、ジョナサンの目的を推測。本人曰く妄想との事だが、承太郎達は彼の推測を信じている。
 自分を信じてくれる承太郎達に対して、愛情が深くなった。少しずつだが、徐倫の気持ちと向き合う覚悟が決まりつつある。


・"奇妙な"夢を見たジョースター家

 例え夢でも、まずはスタンド攻撃を疑ってしまうのがスタンド使い達の悲しい性。

 夢の中でご先祖様が現れた事にびっくり。全員漏れなく謝罪と感謝を伝えられ、ハグとナデナデをされた。……何故か抵抗する気になれない不思議。
 翌朝も長年見慣れていた星の痣が無くなっている事にびっくり。朝から全員揃って軽くパニック状態に。

 なお。園原が見た夢とその推測については、後にジョナサン・ジョースターの名前と共に、ジョースター家で実際に語り継がれていく事になる……


・錯乱状態に陥った神父

 最終決戦で多数のスタンド使い達からフルボッコされた挙げ句、夢の中でも初代主人公に一発殴られた。泣いても良いと思う。本当にごめんなさいby作者

 夢の中でジョナサンと出会ってすぐにぶん殴られてしまった。その上、DIOとの繋がりでもあった緑の赤ん坊を奪われてしまい、現実で錯乱状態に陥る。
 なお。緑の赤ん坊を奪われた事で、容姿やスタンドも元に戻っている(スタンドは封じられたまま)。


・突然現れた初代主人公

 愛する子孫達には温かな抱擁を与え、憎き黒幕には鉄槌を下した。

 彼が夢の中に現れたのは、自分の子孫達がもう二度と過酷な運命に巻き込まれないように、全てを持って逝くためではないかと、園原は推測している。

 最後は9つの"星"と緑の赤ん坊と共に、霧の中へと去って行ったようだが――?






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