空条承太郎の友人~原作介入~   作:herz

59 / 63


・4回分という、かなり長めのエピローグ

・登場するキャラが多過ぎるため、いろいろと拙い点があると思いますが、見逃してもらえると嬉しいです。すみません……

・ご都合主義、捏造過多(特に登場人物達の心情について)、キャラ崩壊、男主×徐倫の描写あり




・エピローグ①。前回の話から数日後。最初、男主視点。途中でジョルノ視点が入り、再び男主視点に戻る




原作介入編――エピローグ
再会と、慰労会の始まり


 

 

 

 

 徐倫達、脱獄組との話し合いから数日後――SPW財団主催の、慰労会が開かれる事になった。

 プッチ神父が起こした事件の最中、ジョースター家の人間とその仲間達や財団職員、みんながそれぞれ奮闘した事を労うための慰労会である。

 

 開催場所はあの最終決戦が行われた、資産家男性の別荘の庭。

 あそこならかなり広いから大勢の人間が入れるし、今はジョルノがスタンド能力で生やした桜の木があるから雰囲気も良い。慰労会にはぴったりだろう。

 

 

 資産家男性の護衛を担当していた俺は、六車さんと共に財団職員の代表として彼の下へ向かい、慰労会の会場として別荘の庭を貸してもらうために交渉を行ったのだが。

 交渉するまでもなく、彼は快く庭を貸し出してくれた。俺に護衛してもらった事と、戦闘後にちゃんと後片付けをしてくれた事……それから、例の桜の木を生やしてくれた事のお礼だという。

 

 日本の文化に興味関心のある彼としては、経緯はどうであれ庭に桜の木が生えた事はとても嬉しかったようだ。

 むしろ誰かに自慢したいので、金はいくらでも出すから慰労会には大勢の人を呼んでくれと言われた。

 

 財団職員としては、スポンサーである彼に頭が下がりっぱなしだ。

 俺のせいでフレッダメンテの奴らに狙われて、しかもあんな大事に巻き込まれたのに文句も何も言わないなんて……

 そんな彼に報いるために、六車さんとも話し合い、慰労会に関しては出来る限り彼の意向に沿う事にした。

 

 しかし……こちらとしてはさらに申し訳ない事に、彼には俺の個人的なお願いもしなければならない。

 恐る恐る事情を説明して、俺が慰労会中にやりたい事の許可を取ると……予想通り、彼は驚愕した。

 

 だが、驚きながらも笑って許可を出してくれた。本当にありがたい事だ。この借りはいつか必ず、何らかの形で返すことにしよう。

 

 

 閑話休題。……ホテルに滞在している者達は、そのほとんどが既に慰労会の会場へ向かっているが、ジョースター家の人間と俺は、まだホテルから出発していない。

 それは何故かというと……会場へ向かう前にこのホテルにやって来る、ある人達と会うためだった。

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

「…………Fratello(兄さん)……」

 

「んん?」

 

「本当に、僕がその場にいて良いんですか?――ジョースター家の、家族同士の再会の場に」

 

 

 今日は、財団主催の慰労会が行われる日だ。そこに僕達、マフィアの人間も参加出来ると聞いた時は驚いたが……

 それ以上に驚いたのは、このホテルに承太郎さん達以外のジョースター家の人間がやって来る事。そして……その再会の場に、僕も呼ばれた事だった。

 

 僕はプッチ神父に宣言した通り、"泥"よりも"星"を……DIOの血よりもジョースターの血を選んだ。

 しかしそれでも、僕がDIOの息子であるという事実は変わらない。

 

 ここに来る者達の中には、承太郎さんの祖父と母もいるらしい。以前聞いた承太郎さんの話によれば、DIOのせいで散々な目に遭ってしまった人達だ。

 彼らもいる場所に、僕なんかがいても良いのだろうか?家族同士の再会の邪魔になるだけではないのか?

 

 

 ……そんな不安を口にすると、シドは笑って、平然とこう言った。

 

 

「承太郎さんも徐倫ちゃんも、仗助も良いと言ってただろ?万が一何かいざこざが起こったとしても、あの人達がお前を庇ってくれるさ。あ、もちろん俺もだが。

 まぁ、そもそも。ジョースター家の中には、お前がDIOの息子だからって文句言って来るような心の狭い人間は誰もいないけどな」

 

「…………」

 

「……それでも不安なら、俺とポルナレフさんとシエルと一緒にいるか?あの人達も来るみたいだし」

 

 

 ああ、そうか。その場にいるのはジョースター家の人間だけじゃない。シドもポルナレフさんも、シエルもいるんだった。

 ……そうだな。彼らと一緒にいた方が安心できるだろう。心が落ち着くまでは、そうさせてもらう事にした。

 

 シドの提案に頷きを返して、それから承太郎さん達と共にホテルのとある一室へ向かった。

 今回の再会のために、わざわざホテル側に許可を取って広い部屋を貸し切りにさせてもらったそうだ。

 先ほど連絡があり、僕達以外のジョースター家の人間とポルナレフさんとシエルは、既にその一室で僕達を待っているらしい。

 

 

「……というか、ジョルノ」

 

「はい?」

 

「ある意味、お前以上に深刻に悩んでる奴が前にいるし……それと比べたら、お前の悩みは案外マシかもしれないぞ?」

 

「…………なるほど」

 

 

 苦笑いを浮かべるシドの視線の先には……憂鬱とした空気を纏った仗助がいる。確かに、彼よりは僕の方がまだマシかもしれない……

 

 

「…………はあァー……」

 

「……仗助。そんなに心配しなくても、俺の母と祖母ならお前を受け入れてくれるはずだ……ジジイはともかく、その子供であるお前に罪は無い」

 

「お父さんの言う通りよ、仗助さん。おばあちゃんもひいおばあちゃんも優しい人なんだから。安心して」

 

「……そう言ってくれるのはありがたいけど……でもなァ――普通は不倫相手との間に出来た子供とか腹違いの弟なんて簡単に受け入れられるもんじゃねえだろォッ!?」

 

「いや、まあ、……普通は、そうだけど……」

 

「…………やれやれ、だな」

 

 

 仗助のどうしようもない叫びに対し、承太郎さんも徐倫もさすがに対応に困っているようだ。

 

 以前から仗助の名前と、彼が承太郎さんの親戚である事。それから家族関係で少々複雑な事情がある、とだけ聞いていたが……

 まさか、その複雑な事情というのが不倫だとは思わなかった。しかもあの不動産王、ジョセフ・ジョースターの不倫……

 

 ……僕も、ある意味不倫で出来た子供という事になるのだろうか?

 いや、そんな事を言ったら死後に体を奪われてしまったジョナサン・ジョースター……僕のもう1人の父に対して申し訳ないな。止めよう。

 

 

「今まで仗助はスージーさんとホリィさんに会う機会が無かったというか、意図的に避けていたというか……とにかく2人に会って無かったからな。ああなってしまうのも仕方ないだろう」

 

「…………えっと、ご愁傷様です?」

 

「いや、そんなお悔やみの言葉を言うような事態にはならないはずだから大丈夫、…………うん、多分」

 

「…………」

 

 

 シドの言葉に不安を感じたが、そんな事を話しているうちに目的地である部屋のすぐ近くまで来てしまった。……ん?何やら向こうが騒がしいような?

 

 

 

 

「――ニャアァッ!!ウニャー!!」

 

「こら、シエル!うるせえぞッ!!」

 

「あらまぁ、どうしたのかしら?急に落ち着きが無くなったわね……」

 

 

 

 

「…………うちの子の鳴き声だ」

 

「やはり、これはシエルの声ですか」

 

「……志人の匂いか何かを感じ取ったんじゃないか?」

 

「ああ、早く会いたくて騒いでるって事?」

 

「シエルのやつ、相変わらず飼い主大好きだよなァ」

 

 

 シエルの鳴き声を聞いた途端、シドが早足になった。……きっと、早く会いたいのはシエルだけでなく、彼も同じなのだろう。

 その証拠に、彼にしては珍しくノックもせずに部屋の扉を開いていた。

 

 

「シエル……!!」

 

「ニャアーッ!!」

 

「ごめんなぁ、ずっとほったらかしにして!ただいま!!」

 

「ゴロゴロゴロゴロ……」

 

 

 一目散に駆け寄って来たシエルは、それを受け止めた飼い主の腕の中で満足気に鳴いている。飼い主とペットの再会……感動物だ。

 

 そんな感動の再会を果たしたのは、彼らだけではない。向こうでは承太郎さんと徐倫が1人の女性と抱き合っている。

 彼女が空条エリンさんか?……なるほど、さすが徐倫の母親。美人だな。

 

 

 それから、心配していた仗助は――

 

 

「――まあ、なんてことッ!JOJOにそっくりだわ!!」

 

「あらやだカッコいい……!若い頃の承太郎みたいで素敵ッ!!」

 

「え、あ、どっ、どうも……??」

 

「こらこら、お前達……仗助が困っておるぞ?その辺にしておきなさい」

 

「ねえ、パパ!どうしてこんなカッコいい弟くんにすぐに会わせてくれなかったの!?」

 

「そうよ!こんなにあなたにそっくりな子なら大歓迎だわ!もっと早くに会いたかった!!」

 

「…………そんな事を今言われても、どうしようもないんじゃが……」

 

「……おじいちゃん、どんまい」

 

「おお、静……!わしの味方はお前だけじゃ!」

 

「え、静!?お前、しばらく会わないうちにデカくなったなァ!?」

 

「……うん。大きくなったよ?」

 

「今、何歳だっけ?」

 

「……12歳」

 

 

 ……どうやら、彼の悩みは杞憂だったらしい。ジョセフさんの妻もその娘も、彼に随分と好意的だ。

 あと、ジョセフさんの側にいる少女……シズと呼ばれていたし、彼女がジョースター家に養子として迎えられたという、静・ジョースターなのだろう。

 

 

(…………なんだか、気まずくなってきたな)

 

 

 どうも居心地が悪い……さっき言われた通り、シド達の側にいさせてもらおう。

 そう考えて、シドがいる方を見ると……彼は、ポルナレフさんに頭を撫でられていた。シエルも一緒になって笑っている。

 

 

 彼らは、僕が思っていた以上に"家族"になっていた。

 

 

(――――場違いだ……)

 

 

 3つの"幸せな家庭"を目にした僕は、そう思ってしまった。居ても立ってもいられず、静かに部屋から立ち去ろうとして、

 

 

「ジョルノ」

 

「っ!!」

 

 

 名を呼ばれて、肩が跳ねた。……ゆっくり振り向くと、シドが優しく微笑んでいる。

 

 

「おいで。……大丈夫だから」

 

 

 ……その手招きに引き寄せられるように、彼の側に近づいた。ブチャラティやアバッキオと同じで、彼にもいろいろ見透かされているような気がする。

 

 

「おう、ジョルノ。久しぶり」

 

「……お久しぶりです、ポルナレフさん」

 

「ニャー!」

 

「はい、ジョルノ。シエル持って」

 

 

 ポルナレフさんと簡単な挨拶を交わすと、シドがまるで荷物のようにシエルを手渡して来た。なんとなく受け取る。……もふもふだ。癒される。

 

 

「承太郎さん達とジョセフさん達を呼んで来る。そのままポルナレフさんと話しながら待ってろ」

 

「えっ、ちょっ、Fratello(兄さん)!?」

 

 

 いきなり呼んで来られても困るんだが!?

 

 僕がそんな文句を言う前に、シドは足早に立ち去ってしまった。本当に呼んで来るつもりか!?

 

 

「心の準備が……!!」

 

「ニャウー」

 

「まあまあ、落ち着け」

 

「ポルナレフさん、でも……」

 

「志人もすぐには来られないはずだから、まだ時間はあると思うぜ。……ほら、見ろよ。あれ」

 

 

 と、ポルナレフさんが示す方向を見ると……シドはエリンさんに抱き締められて慌てていた。それに負けじと徐倫も抱き着いた事で、さらに動揺している。

 

 

「エリンさんは志人の事も心配してたし、あの様子じゃあしばらくは戻って来れないだろう」

 

「…………そのようですね」

 

 

 ほっとした。……確かに、まだ少しは時間があるようだ。

 

 

「……あのなぁ、ジョルノ」

 

「はい」

 

「変に遠慮すんなよ」

 

「……シドから何か聞きましたか?」

 

「まあ、大体な。……いろんな意味でジョースター家に近過ぎる自分よりも、ジョースター家から少し離れた位置にいる俺の言葉の方が、今のジョルノには届くはずだから頼む、と。そんな事を言われた」

 

「…………あの人は、まったく……」

 

 

 本当に、何もかも見透かされているらしい。

 

 

「確かにお前はDIOの息子だ。その体に流れる血は、ジョースター家だけでなくDIOの物も含まれているだろう」

 

「…………」

 

「でもな……それでもお前は、今では実質ジョースター家の家長のような立場になっている承太郎から、ジョースターの人間として認められた男だ。

 それに、10年前。承太郎がお前に言ったはずだぜ?

 

 ――お前は、DIO本人ではない。汐華初流乃、いや、ジョルノ・ジョバァーナという、ジョースターの意志を継いでいる1人の人間だ、って」

 

「――――」

 

「さあ、胸を張れッ!お前も立派なジョースター家の一員だ!」

 

「うッ!?」

 

「ウニャッ!?ニャオーッ!!」

 

「おお、悪いシエル。ジョルノも強く叩き過ぎたか?悪かった」

 

 

 気合いを入れさせるためか、ポルナレフさんが僕の背中を叩いた。

 その力が強過ぎて前のめりになり、危うく腕の中のシエルを落としそうになった。シエルが不満そうな鳴き声を上げる。

 

 だが、叩かれると同時に不安がふっ飛んでいったような気がした。先程よりは心も軽い。

 ……実は結構痛かったのでその腹いせに口にはしないが、代わりに心の中でポルナレフさんにお礼を伝えた。

 

 

 その直後、シドが承太郎さん達とジョセフさん達をつれてやって来た。……もしかすると彼は、僕が立ち直るタイミングを見計らっていたのかもしれない。

 

 

「彼が、ジョルノ・ジョバァーナくんです。例の事件の時は、彼と彼の仲間達に助けられました」

 

「……あまり詳細は話せないが、とある組織のリーダーを務めている男で、なかなか見所のある奴なんだ」

 

「この前初めて会ったばかりだけど、根は結構良い奴なんスよ!」

 

「そうそう!あと、髪は金髪だけど目の色をよく見て。あたしやお父さんとよく似てるでしょう?」

 

 

 シドと承太郎さん、仗助と徐倫が……僕を気遣ってくれているのが分かる。…………嗚呼、そうか、これが――

 

 

 

 

 

 

(――"家族の温もり"、か……)

 

 

 "父親の温もり"は、夢の中でジョナサンが教えてくれた。……"家族の温もり"は、彼らが教えてくれた。

 

 

 ……自然と笑顔になり、口を開く。

 

 

「初めまして。ジョルノ・ジョバァーナです。……訳あってジョースターとは名乗っていませんが、それでも、僕は――

 

 

 ――ジョースターの血を引いている事を、誇りに思っています」

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 ジョースター家が家族同士で感動の再会を果たし、仗助はスージーQ、ホリィさんと打ち解けて、ジョルノもジョースター家の一員として無事に受け入れられた。……慰労会前にやるべき事は、これにて全て完了だ。

 

 ジョセフ達も慰労会に参加すると聞いた時から、仗助とジョルノのためにもそういう場を設ける必要があるだろうと考え、承太郎と六車さんに相談して急遽時間を作ってもらった。

 そのおかげで、仗助もジョルノも良い顔をするようになったし、やって正解だったと思う。俺もシエル、ポルナレフと再会する事が出来たし、大満足である。

 

 

 その後。全員で慰労会の会場へ向かうと、そこには既に大勢の人達が集まっていた。ちなみに、慰労会は立食形式だ。皆それぞれ飲食と会話を楽しんでいる。

 このほとんどが財団職員達で、それ以外はジョースター家や杜王町組やパッショーネの面子がいるぐらいだろう。

 

 会場である資産家男性の別荘の周りは、一部の財団職員達がシフト制で警備をする事になっているから、関係者以外は立入禁止となる。

 これなら、まだ刑務所側との交渉が途中である脱獄組も、承太郎やパッショーネの面子のように命を狙われやすい人間達も、安心して慰労会を楽しむ事ができるはずだ。

 

 

「……なんか、やけに注目されてる気がするな」

 

「確かに、そうね……ちょっと視線が痛いかも」

 

 

 現在。俺は承太郎達と別れて、徐倫と一緒に会場内を歩いていた。

 彼女には、俺から改めて紹介しておきたい人達が何人もいるのだ。今はその人達の下へ案内するために、行動を共にしているのだが……

 

 どういう訳か、俺達に注目が集まっている。……周囲は俺達を見て、ひそひそと何かを話しているようだ。時々、女性達の黄色い声も聞こえて来る。

 

 

「…………もしかして、あたしが志人さんにくっついてるから?」

 

「あぁー……なるほど」

 

 

 確かに、それはありそうだな。最近では当たり前になってしまったが、徐倫は俺に告白して以降スキンシップが激しくなった。

 今やっているように、俺の腕に自分の腕を絡ませて密着して来るのはよくある事だ。

 

 

「……何も言わないの?」

 

「んん?」

 

「こんな状況だと、いつもの志人さんなら恥ずかしそうに遠回しに離れるように言うでしょ?……言わなくていいの?」

 

「…………ちなみに、そう言ったら君は本当に離れてくれるのか?」

 

「やだ。離れない」

 

「ですよねー……」

 

 

 うん。知ってた!俺には分かってたぞ、結局そうなるだろうなって!だから言わなかった……というのもあるが、理由はそれだけではない。

 

 

「……まぁ、今日は慰労会だからな……あの事件中にたくさん頑張った徐倫ちゃんへのご褒美、的な?」

 

「あら、それは嬉しいわね。ありがとう」

 

「…………それに、」

 

「?」

 

「俺は、――君にこうしてくっつかれるのが"嫌だ"と言った覚えは一度も無いし、これから先も、……死ぬまで、いや死んでも言うつもりは無いし……」

 

「え」

 

「あ、形兆さん達だ!よし、いろいろ紹介始める前にちょっと寄って行こうか!」

 

「ちょっ、ちょっと待って志人さん!今のどういう事!?」

 

「黙秘権を行使するっ!!」

 

「言い逃げなんてずるいッ!!」

 

 

 やっぱり言うんじゃなかった!……慌てて徐倫からの追及をかわしつつ、なんとか杜王町組の下へ到着した。

 

 

「――志人先輩、お久しぶりだど!」

 

「よお、志人!」

 

「重ちーくん、裕也さん。久しぶり」

 

「2人も来てたのね!」

 

「徐倫ちゃんも久しぶり!」

 

「おっ、徐倫!?お前美人になったな!?」

 

「え、そう?ふふ、ありがとう。裕也さん」

 

 

 杜王町組の中には、重ちーと噴上もいた。彼らは仗助達のように、脱獄組の手助けをする事は無かったが……

 その代わりに、ポルナレフやシエルと共にジョセフ達の護衛についていたという。

 

 ジョセフ達の下には、プッチ神父は関わっていなかったものの、承太郎に恨みを持つ奴らが集結していたらしい。

 だが。彼ら3人と1匹のおかげで、そいつらは一人残らず蹴散らされたそうだ。

 その件に関して徐倫と共に心から感謝を伝えると、重ちーと噴上は誇らしげにしていた。うん、本当によくやってくれた。ありがとう!

 

 

 ……って、あれ?そういえば、

 

 

「露伴先生と仗助と、康一くんと由花子ちゃんがいないな?彼らは何処に行ったんだ?」

 

「露伴は知らん。いつの間にか消えていた。……仗助は、アナスイの所にいるはずだ。詳細は聞いていないが、どうも奴に何かがあったらしい。

 一度はこっちに来たんだが、心配だから見張りついでにアナスイの側にいると言って、すぐに去って行った」

 

「康一はジョルノと話したいからって、さっき俺達と別れたぞ。由花子も康一と一緒だぜぇ」

 

 

 俺が疑問を口にすると、虹村兄弟が答えてくれた。行方が分からない露伴と、ジョルノに会いに行った康一達はまだいいとして……アナスイ、か。

 

 おそらく、数日前の徐倫とのやり取りが後を引いてるんだろう。

 仗助はホテルでアナスイと同室だし……本人が自分から話す事は無さそうだが、もしかしたらウェザー達から事情を聞いたのかもしれない。

 

 徐倫の様子を窺う。――能面のような無表情だ。さっきまで噴上達とあんなに楽しそうに話してたのに!

 そんな彼女の様子に気づいたのか噴上と重ちー、形兆と億泰が固まってしまった。

 皆が俺に"何があった?"と目で聞いてくるが、俺は頭を振るしかない。ごめん、俺も状況がよく分かってないんだ。

 

 

 と、その時。いったい何処へ行っていたのか、露伴がふらっと現れて口を開いた。

 

 

「……おい、どうした?何やら変な空気が流れているようだが」

 

「お、おう先生!おかえりッ!!」

 

「何処に行ってたんだ?」

 

「あの桜をスケッチしていた。いかにも外国らしい背景と日本の桜の組み合わせなんて、なかなか描く機会がないからな。今のうちに描いておこうと思って」

 

「ああ、なるほどな!そいつは良いッ!!」

 

「せ、先生!!おら、その絵みたいど!」

 

「…………汚すなよ?」

 

「もちろん!!」

 

 

 そんな露伴に対してこれ幸いと、話題を変えるためなのか形兆達が群がった。

 露伴も珍しく空気を読んでくれて、素直に応じている。ある意味助かったぜ。ありがとな、先生!

 

 ……しかし次の瞬間、露伴が俺を見てニヤリと笑った。嫌な予感。

 

 

「あ、そうだ!志人君」

 

「…………何ですか、露伴先生」

 

「――あれ(・・)、楽しみに待っているぞ?あの桜の木の下はなかなか良い。オススメだ」

 

「えっ?何の話だど?」

 

「どういう事だ?」

 

「あーっと!そういえば行かなきゃいけない所があったな!徐倫ちゃん、行くぞ!!」

 

「え、えっ?志人さんッ!?」

 

 

 嫌な予感が的中した!形兆達に追及される前に退散、退散!!

 案の定。形兆達から呼び止められたが、それを無視してそのまま当初の予定通り、徐倫を連れていろんな人の所に顔を出す事にした。

 

 さて、あとは徐倫からも追及されるだろうから、それをなんとか回避して……って、あれ?徐倫が無言で俯いている。どうした?

 

 

「徐倫ちゃん?」

 

「…………手、握ってる」

 

「手?」

 

「…………あたしが告白してから初めて、……志人さんから、触れてくれた……」

 

「!!」

 

 

 思わず手を離そうとしたら、強く握り返された。……俯いている彼女の耳が、赤い。

 

 

「嬉しいから、このままが良い……」

 

 

 そんな事言われたら、離せないじゃねぇかくそう……!!

 

 

 ……結局。次の人達の所に到着するまで、手は握ったままだった。周囲からの視線がますます多くなった気がする。

 

 

「六車さん、風花さん!……と、あれ?」

 

 

 まずは、財団職員の中でも俺が特に世話になっている六車さんと風花さんの下へ行ったのだが……そこにトリッシュもいた。財団職員同士、3人で何か話し合っていたのだろうか?

 

 

「そ、園原さん!?徐倫さんまで……!!」

 

「風花さん!噂の人達が2人揃って来たわよ!」

 

「グッドタイミングですね!!さっそく聞かせてもらいましょう!」

 

 

 六車さんが俺達を見て焦り顔になり、トリッシュと風花さんが獲物を見るような目で俺達を見る。……またもや、嫌な予感。

 

 

「先程から、この会場内で噂が流れておりまして――徐倫さんが園原さんに告白したという話は事実なんですかっ!?」

 

「嘘なの!?本当なの!?どっち!?」

 

 

 は?会場内で噂になってる、だと!?いつの間にそんな事に……って、そうか!さっきから俺と徐倫が注目されていたのはその噂のせいだな!?

 

 

「ああ、それなら本当よ。あたしから志人さんに告白したの」

 

「ちょっ、徐倫ちゃ、」

 

「そんなあぁぁぁっ!?」

 

 

 と、俺が驚いている間に徐倫があっさり暴露してしまった。その暴露を聞いていたのか周囲がざわつき始めて、それから風花さんが悲鳴を上げる。

 

 

 え?風花さん、いきなりどうした??

 

 

「あああぁぁ!なんてことっ!!これは近い将来"助手様ロス"が起こる予感しかしないわ!!博士様と助手様ファンクラブの皆にも今のうちにその衝撃に耐える準備をしておくように忠告しましょうそうしましょうっ!!」

 

「ふ、風花さん!また暴走してるわよ!?しかも今回は"推し"の目の前じゃないッ!落ち着いて!!」

 

「というか私の方が"助手様ロス"で立ち直れなくなるかも……っ!!いやあああぁぁぁっ!!」

 

「風花さん!しっかりしてッ!!」

 

 

 

 

「??……な、なんだ?どういう事だ?」

 

「…………志人さん、ごめん。六車さんと一緒にいてくれる?」

 

「徐倫ちゃん?」

 

「あの人達とは初対面だけど……ちょっっと、おはなし(・・・・)しないといけないみたいだわ。ここで待ってて」

 

「アッ、ハイ……」

 

 

 と、徐倫が有無を言わさない口調でそう言って俺から離れて、未だに大騒ぎしている風花さんとトリッシュを引きずって何処かへと去って行く。……あの人達、本当にどうしたんだ??

 

 

「えっと……六車さん?」

 

「は、はい!」

 

「風花さん達は、いったいどうしちゃったんですか?」

 

「あー、その、えー……っとですね。園原さんと空条さんは一生知らない方がいい事だと思います」

 

「…………それなら、気にしないようにしますね」

 

「そうしてください」

 

 

 六車さんの言葉に素直に従う事にした。……なんか、"助手様ロス"だとかファンクラブだとかいろいろ聞こえたけど聞かなかった事にしよう、うん。

 もしや10年前に俺が"尊い"という感情を教えてしまったのがそもそもの原因かと思ったけど気づかなかった事しよう!うん!!

 

 

「しかし……ちょうど良かった」

 

「んん?」

 

「イージスの防音バリアをお願いできますか?少々、お話したい事が……というか、見てもらいたい物がありまして」

 

「……了解です。イージス」

 

「はーい」

 

 

 言われた通り、自分と六車さんの周りに防音バリアを張ると……六車さんは、懐からある物を取り出した。

 

 

「手紙、ですか?」

 

「はい。……例の事件に巻き込まれた、全ての人達に対するメッセージだそうです」

 

 

 首を傾げつつ、手渡されたその手紙をひっくり返し、差出人を確認する。

 

 

 

 

 

 

 

 差出人――エンリコ・プッチ。

 

 

「…………中を見ても?」

 

「はい。どうぞ。……既に中身の検分は済ませてあります。

 プッチ神父は私の目の前でこの手紙を書いたので、何らかの細工を施す暇も無かったはずです。手紙の内容にも、不自然な点はありませんでした」

 

 

 六車さんがそう言うなら、大丈夫だろう。さっそく手紙を読み始める。

 

 

 その手紙には主に、俺と承太郎と徐倫達を含め、今回の事件に巻き込んでしまった人達への謝罪と……

 自分の計画を阻止してくれた事への、感謝の言葉が綴られていた。

 

 俺にいろいろ言われて、自分が"悪"であると認めた事。自分の中にいた緑の赤ん坊が消えて、DIOとの繋がりが無くなった事実を素直に受け止めた事……

 それによって、憑き物が落ちたような心境になったらしい。

 不思議と、妹に対してだけでなく俺達に対する謝罪と感謝の気持ちを抱いたので……数日ほど悩んだ末に、この手紙を書く事にしたそうだ。

 

 

 しかし――"天国"を目指そうとした事。そのために自分がやった事に関して、後悔はしていない。そして結果的に、俺達に敗北した事にも悔いは無い。

 それ故に。自分にどのような罰が下ったとしても、抵抗する事なく受け入れる……無論、それが死刑であっても大人しく従う。

 

 例え、過去に妹が亡くなった一件に関して同情されたとしても、情状酌量の余地は無い、と。我ながらそう考えている。

 どんなに重い罰が下っても構わないから、どうか自分に罪を償わせて欲しい。

 

 

 ……プッチ神父からの手紙には、そんな事が書かれていた。

 

 

「…………これ、プッチ神父が自分の手で書いた手紙、ですか?本当に?」

 

「……そう疑いたくなる気持ちも分かりますが、本当です。あの男は私の目の前でこの手紙を書き、私もその場で全て読みました。間違いありません」

 

「そう、ですか……」

 

 

 妹に泣きながら謝罪してたし自分が"悪"だと認めていたし、きっと今ならどんな罰であっても素直に受け入れてくれるだろうと、俺は確かにそう思っていたが……

 

 

「いくらなんでも、改心するの早過ぎじゃないか?奴の身に何があったんだ……?」

 

「何が、って……プッチ神父をここまで改心させたのは園原さん、あなたじゃないですか」

 

「え?いえ、俺は奴に自分が"悪"である事を認めさせただけで、それ以外は別に何もしてませんよ?」

 

「…………そんなあなたに向けて、奴からの伝言を預かっています」

 

「伝言?」

 

 

 

 

 "園原志人……君は、私が克服すべき運命ではなく……私を正しい方向へと導いてくれる運命だったようだ。

 

 

 天使をその身に宿す者ではなく――守護天使。私の心を本物の善へと導くために遣わされた、天からの御使いそのものだったのかもしれない……"

 

 

 

 

「……という伝言です。……一応キリスト教の神父である奴にそこまで言わせるなんて、余程の事だと思いますよ?

 よって、プッチ神父を改心させたのは間違いなく園原さんです!」

 

「…………そうかなぁ?」

 

「そうなんですよ!!まったく、あなたは相変わらずこういった事に自覚が足りませんね!!」

 

「あ、はい、すみ、ません……?」

 

「そうだそうだー!六車さん、この無自覚人たらし天然ジゴロウルトラ鈍感本体にもっと言ってやって!」

 

「……イージス?お前やっぱり反抗期か??」

 

 

 六車さんだけでなく、自分のスタンドからもボロクソ言われてしまった。解せぬ……

 

 

 その後。徐倫が風花さん達を連れて戻って来たので、改めて彼ら3人の事を彼女に紹介した。

 

 徐倫は何故か、風花さんとトリッシュと仲良くなったようだ。何やら3人でこそこそと会話している事もあったしな。

 "助手様マル秘エピソード"とか、"博士様と助手様のツーショット"とか……

 そんな言葉がちらっと聞こえて来たが、俺としては聞かなかった事にしたい。下手に突っ込んだら藪蛇になりそうだから。

 

 

 そして今は、徐倫とトリッシュと共にジョルノ達護衛チームの下へ向かっている。

 トリッシュはそろそろジョルノ達の所へ行こうとしていたらしく、せっかくだからと一緒に行く事にしたのだ。

 

 

「それで?さっき言ってたトリッシュさんが"推してる"っていう人はどんな男なの?」

 

 

 んん?……トリッシュが、"推してる"??

 

 

「えっと……男だけど、綺麗な顔してる。でも中身は男前!カッコいい!!

 あたしをちゃんと女性扱いしてくれるし、冷静で、頭も良くて、仲間思いで、ちょっとお人好し……あ、そうだ。シドと似てるタイプっていえば分かるかしら?」

 

「ああ、なるほど!そういうタイプか……女にモテモテだけど浮いた話は一切聞かない、って感じの?」

 

「そうそう!あと、どういう訳かおかっぱ頭がよく似合ってるのよね……後ろ姿だけでも美人に見えてしまうのが不思議だわ――そういう所も"尊い"」

 

 

 …………なんてことだ。俺が風花さんに教えた"尊い"という感情が、巡り巡って原作キャラにまで影響を及ぼしてしまったらしい。なんかいろいろごめんなさい!!

 というか、このトリッシュの"推し"ってもしかしなくてもあの人だよな!?

 

 

 

 

 

 

 






・ジョルノ・ジョバァーナ

 承太郎達以外のジョースター家と顔を合わせる事になって不安を感じていたが、最後には全員からジョースター家の一員として認められ、一安心。

 "幸せな家庭"を築く人達の再会に対し、自分の悲惨な幼少期を思い出して場違いだと思った。……逃げよう。
 しかし。園原に優しく引き留められ、シエルによるアニマルセラピーを受けて、ポルナレフからも諭されてようやく立ち直った。

 承太郎達から"家族の温もり"を教えてもらい、自然と笑顔になる。僕は――ジョースターの血を引いている事を、誇りに思っています。


・ジョースター家+ポルナレフ+猫草

 それぞれ、互いにずっと心配していた家族との感動の再会を果たした。

 空条家はしばらく無言で抱き合い、ジョセフ達の所ではスージーQとホリィが初対面した仗助を見て大興奮。夫/父親にそっくりッ!!
 静はジョセフに引き取られてからすくすくと育ち、現在では少々感情表現が控えめで大人しいものの、可愛らしい女の子へと成長している。
 ポルナレフと猫草もといシエルも、園原と再会。ジョルノ曰く、"僕が思っていた以上に家族になっている"、との事。

 この度、ジョルノがジョースター家の一員として改めて認められた。
 これ以降、ジョースター家で何らかの集まりがある時は、ジョルノも呼び出されるようになる……かもしれない。


・杜王町のスタンド使い達

 重ちーと噴上が久々に登場。原作6部が進行していた裏で、ポルナレフやシエルと共に奮闘していた2人。
 しかし、仗助と広瀬夫妻が不在。広瀬夫妻はジョルノの下へ。仗助はアナスイの下に行ったらしいが、いったいどんな話をしているのだろうか――?

 会話の最中、露伴がよく分からない発言をした。彼の言うあれ(・・)とは何か。桜の木の下がオススメとはどういう事なのか――それは、後々判明する。

 それはそれとして。能面顔の徐倫が怖過ぎる……((゚□゚;))by虹村兄弟+重ちー+噴上


・六車従兄妹ズ+トリッシュ

 風花とトリッシュは園原と徐倫の噂を聞いて大騒ぎ、六車はそんな2人に振り回されていた。

 噂が事実であると知って、博士様と助手様ファンクラブの会長もとい風花が発狂。
 "助手様ロス"に耐え、――耐え、っ耐えられない!!いやあああぁぁぁっ!!

 その後。徐倫によって連行された風花とトリッシュは、彼女とおはなし(・・・・)する事に。しかし、最終的には仲良くなった。
 園原曰く、"助手様マル秘エピソード"や"博士様と助手様のツーショット"なんて言葉がちらっと聞こえたらしい……

 徐倫とトリッシュの会話の中で、トリッシュの"推し"がおかっぱ頭の男である事が判明。いったい誰ラティなんだ……?(すっとぼけ)


・エンリコ・プッチ

 手紙という形で、間接的に登場。六車の目の前で書かれた手紙が、園原の手に渡った。

 どうやら自分が"悪"である事と、緑の赤ん坊というDIOとの繋がりが無くなった事実を素直に受け止めた事によって、改心した模様。
 今では多くの人達を巻き込んでしまった事について申し訳なく思っており、自分を止めてくれた園原達に感謝しているという。

 ただし、"天国"を目指そうとした事に関しては後悔しておらず、しかしそれ故に自分にどんな罰が下ったとしても受け入れるつもりでいるようだ。
 彼曰く、園原は守護天使。彼を本物の善へと導くために遣わされた、天からの御使いそのものだったかもしれない……との事。

 六車はこれを受けて神父を改心させたのは園原だと確信したが、例の如く本人にはその自覚が無い。相変わらず自覚が足りませんね!!by六車





  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。