空条承太郎の友人~原作介入~   作:herz

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・虹村兄弟戦の後、ザ・ロック戦の前

・ご都合主義、捏造過多。男主視点





空条承太郎の助手(半強制)

 

 

 

 

 ――突然ですが。園原志人(肉体年齢)17歳、バイト先から解雇されました。原因は、虹村兄弟戦介入後にバイトに遅刻した事。

 

 

 数年前から続けていたバイトだったが、今年の始めにバイト先の店長が変わった時から、いつかは辞める事になるだろうなぁ、と予想はしていた。

 その新しい店長が何故か俺の事を嫌っていて、そのせいか待遇も悪くなり、居心地が悪くなったからだ。

 

 あの店長はおそらく、俺を解雇する機会をずっと待っていたんだろう。

 虹村家から慌ててバイト先に向かったら、散々俺を馬鹿にした後にその場で解雇を告げられたし。

 

 元々金は貯めていたから、いきなり辞める事になっても生活は何とかなる。

 しかし、今は次のバイト先を探し始めたばかりの段階で、未だに見通しが立っていない。……困ったなぁ。

 

 

 そんなある日の休日。俺は気分転換のために、前髪も眼鏡も取っ払った素顔のまま、自宅周辺から離れた場所で散歩している。

 

 だが、何の目的もなく散歩している訳ではない。この散歩のついでに、いつか皆でスタンドの特訓が出来そうな場所を探そうかと考えていた。

 原作で関わりそうに無い所で、人気の無い広い場所が理想なんだが……そんな都合の良い場所が、すぐに見つかる訳もなく。

 

 ……いつの間にか、杜王グランドホテルの近くまで来ていたようだ。

 

 

(結局、良さそうな場所が見つからなかった)

 

(今日はまだ、探し始めたばかりの初日だし。そんなに焦らなくても大丈夫だと思うよ?)

 

(……それもそうだな)

 

 

 ただ歩くだけでは暇なので、話し相手としてイージスを呼び出していた。

 会話は心の中で出来るし、独り言を言う変人だと思われずに済むし、不審者として呼び止められる事も無い。

 

 

 ただし。それは相手がスタンド使いじゃなければ、の話である。

 

 

「――志人君……?」

 

 

 横合いから名前を呼ばれ、そちらを見る。……白いコートを着た美丈夫と目が合い、彼の翡翠の瞳が大きく見開かれた。

 

 

「っ、承太郎さん!?」

 

 

 ここは確かに杜王グランドホテルの近辺だが、まさか早々に承太郎と出会すとは思わなかった。イージスが出ていたから、この顔でも俺だと分かったんだろうな。

 

 スタンドを引っ込めて、慌てて前髪を下ろし、懐から取り出した眼鏡を掛けた。今さら取り繕っても無駄だろうが、この目付きの悪さを隠すためには仕方ない。

 俺の素顔を知っている、東方家の人達ならともかく。まだ出会ったばかりの人間と話す時は、睨まれていると勘違いさせないためにも、前髪と眼鏡は必須だ。

 

 すると。そんな俺を見た承太郎が首を傾げた、次の瞬間。

 いつの間にか、スタンドを出した彼が俺の目の前まで来ていて、前髪と眼鏡を勝手に退けていた。こいつ、時止め使いやがったな!?

 

 

「いきなり何するんですか!?」

 

「……やはり、そうか。随分整った顔をしているくせに、何故隠す?」

 

「承太郎さんには負けます。それに、顔は良くても目付きがこれ(・・)なので。高校に入学する前は、いろいろ大変だったんですよ」

 

「その、睨むだけで人を殺しそうな目付きの悪さか……」

 

「…………あなた、結構言いますね」

 

 

 思わず睨むと、ほんの一瞬ぎょっとしてから無表情に戻り、謝罪された。あの承太郎が相手でも、俺の睨みは割と効果があるらしい。

 

 

「それより、眼鏡返してください」

 

「俺の前では素顔を隠さないと、君が約束してくれるなら」

 

「えっ?でも……ずっと睨まれているような気になりませんか?」

 

「……そんな気もするが、俺は気にしない。君は、本気で睨んでいる訳では無いのだろう?」

 

「それは、そうですけど……あー、はい。分かりました、約束します」

 

「ん。……君は何故ここに?スタンドまで出して、何をしていた?」

 

 

 素顔を隠さないと約束すると眼鏡を返されたが、急に話が飛んだ。

 そこで、人間関係の悪化が原因でバイト先から解雇された事、その気分転換のために適当に散歩していた事、イージスは話し相手だった事を話す。

 

 皆で特訓できる場所を探していた事は、盗み聞きを警戒していたので話さなかった。まだ音石が捕まってなくて、電線も近くにあるからな。

 ……って、それを考えるとイージスを出したまま外を出歩くのも駄目か!何処で誰が見ているかも分からないし……

 

 俺が馬鹿だったな。今日はもう仕方ないが、明日からは気をつけよう。

 

 

「……それは、災難だったな」

 

「いえいえ、むしろあれで良かったんですよ。元々辞める事は考えていたので。まぁ、まだ新しいバイト先が見つかってなくて、タイミングはちょっとだけ悪かったんですけどね」

 

「それで気分転換に散歩を、という事か……」

 

「はい。……ところで、承太郎さんはこれから何処かに行くんですか?」

 

「ああ……海岸に行こうとしていた。……弓と矢の件で滞在期間を伸ばす事になったのは予想外だったが、それを理由に本職の方を疎かにする訳にはいかないのでな」

 

 

 あー、なるほど。……原作でもこんな感じで研究を続けて、4部の最後でヒトデに関する博士号を取った、って事なのかな?

 できれば、本職以上に家庭の方を疎かにしないでもらいたいのだが……いや、駄目か。

 

 この人が妻と娘から離れたのは、彼女達を守るためだ。

 弓と矢の件……かつてのDIOの手下が関係している事、敵か味方かも分からないスタンド使いが増産された事が判明した今、家族の下へ戻るという迂闊な行動を取る訳にもいかないのだろう。

 

 もしも。承太郎を追跡する敵スタンド使いが現れて、妻と娘の居場所を突き止められてしまったら?敵が承太郎を倒すために、彼女達を人質に取ったとしたら?

 ここまでの話は、あくまで俺の憶測に過ぎないが、彼はそんな可能性を恐れているのかもしれない。

 

 

 ……承太郎との間に、それなりの信頼関係を築き上げる事が出来れば、家庭の事にも踏み込める……か?いけるかな?

 でも、失敗したら6部での救済どころじゃなくなるかもしれない。彼を怒らせて関係を絶たれたら、アウトだ。

 

 3部ならともかく。4部以降の承太郎は、自分の内側に踏み込もうとする人間を、とことん拒絶しそうな気がするんだよなぁ。

 で、拒絶した結果。むしろ自分の方が傷ついて、めちゃくちゃ固い殻の中に引きこもってしまう……そんな雰囲気を感じる。

 

 

 閑話休題。……踏み込むかどうかは保留にして、地道に信頼関係を築くだけなら、ありだよな?まずは、積極的に関わってみよう。

 

 

「――仕事の邪魔はしないようにするので、承太郎さんについて行っても良いですか?

 もしかしたら俺が、というかイージスの能力なら、何か手伝える事があるかもしれません」

 

 

 ……まさか。この提案がきっかけで、後に俺と承太郎の関係を大きく変化させる事になるとは。この時の俺は、夢にも思わなかった。

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

「……君のスタンド能力でどう手伝うのかと、不思議に思っていたが……なるほど。これは確かに便利だ」

 

「おっ。良かったな、イージス。褒められたぞ」

 

「わーい、褒められたー」

 

「……俺はイージスだけでなく、志人君の事も褒めたつもりだったんだが……まぁ、いい。その調子で、次も頼む」

 

「了解です」

 

 

 承太郎と共に海岸へやって来た俺は、スタンド能力をフル活用して、彼の研究を手伝う事になった。

 

 

 きっかけは、海岸でいろいろ調査していた承太郎の、こんな一言。

 

 

「船さえあれば、海に出てさらに調査する事もできるんだが……」

 

「船、ですか」

 

「ああ……船があれば、この辺りの海中にどんな海洋生物がいるのか、直接調べる事ができる。

 しかし、今回の長期滞在は急に決まった事だからな。様々な理由で船を借りる余裕は無いし、スタンド使いの一件が絡んでいる以上、本格的な調査に集中し過ぎるのも良くない……」

 

 

 そんな話を聞いた時、俺は閃いた。――イージスのバリアを使えば、魚を海水ごと捕まえる事ができるのでは?と。

 イージスを呼び出していろいろ試してみたところ、海中に潜る彼と視界を共有しながら、バリアで魚を囲って捕まえる事が可能だと分かった。

 

 それ以降。海中で魚を捕まえては、承太郎の下へそのまま運ぶという行動を繰り返している。

 周囲に誰もいなくて良かったな。スタンド使いじゃない人間からすれば、何故か海水が丸く固まって空中に浮いているという、不思議映像にしか見えないだろう。

 

 

「この魚はイシダイ……じゃねぇな。何だこれ」

 

「そう。これはイシダイではなく、カゴカキダイという。

 見分け方は、縞模様が背びれから胸びれの方向に伸びているのが、イシダイ。頭から尾の方向に伸びているのが、カゴカキダイ。

 

 ……といっても、縞模様の魚は他にもいるからな。イシダイと同じく、横縞があるタカノハダイや、カゴカキダイのように縦縞があるニセモチノウオとか。

 それらを見分けるなら、縞模様よりも大きさや形、色で判断しなければ」

 

「……んん?イシダイが横縞で、カゴカキダイが縦縞?それって、逆では?」

 

「いや。魚類学上はそれで合っている。人間の言う縞模様の基準と、魚の縞模様の基準は違うんだ。魚の場合、頭を上にした時の状態で縞模様が縦か、横かを判断する」

 

「へぇ!……つーか、そもそも魚の模様や色が種類ごとにこんなに違うのは何でだ?この模様や色って、どうやって決まるんですか?」

 

「それは…………」

 

 

 再び魚を捕まえて、承太郎による解説を聞いていたら、相手が急に黙り込んでしまった。……どうかしたのか?

 

 

「……すまない」

 

「えっ?何で謝るんですか?」

 

「…………」

 

「承太郎さん?」

 

「…………喋り過ぎた」

 

「はい?」

 

 

 彼は帽子を深く被り、目元を隠してそっぽを向く。……もしかして"気恥ずかしい"とか、そんな事考えてるのか?あの(・・)空条承太郎が?

 

 いや。この人だって俺と同じように、現実で生きている人間な訳だし、そういう一面があるのも当然か。

 

 

「……できれば、そのまま続けてくれませんか?承太郎さんの解説、聞いていて楽しいので」

 

「楽しい?」

 

「はい!もっと聞きたいです」

 

「…………そう、か」

 

 

 恥ずかしがっている事は指摘せずに笑顔でそう言うと、向こうも安心したのか、再び解説が始まった。

 承太郎先生の解説は分かりやすく、本当に楽しい。つい、時間を忘れていろいろ聞いてしまう。

 

 

「ちょっと、志人?」

 

「何だよ、イージス」

 

「質問ばかりしてると、承太郎の仕事の邪魔になるんじゃない?」

 

「あっ」

 

 

 イージスに指摘されて、ようやく我に返る。最初に仕事の邪魔をしないって言ったのは俺の方だったのに、思い切り邪魔してしまった。

 

 

「そうか、そうだよな!?すみません、承太郎さん!俺、もう黙ります!」

 

「――ふッ、く、くくく……ッ!!」

 

 

 思わず自分の手で口を塞ぐと、何故か承太郎が噴き出した。笑ってる!4部承太郎が分かりやすく笑ってるぞ!?

 

 

「承太郎、さん?」

 

「……存外、面白い奴だったんだな」

 

「はぁ?」

 

「さっきから、ちょいちょい口調が雑になっていたが……それがお前の素か」

 

「あー……すみません。素顔がバレたせいか、学校やバイト先でやってるような猫被りも面倒になってしまって……やっぱり駄目でしたか?」

 

「いや、駄目ではない。そのままで良い。……質問も、邪魔ではないな。聞きたい事があるなら、いつ聞いてくれても構わない」

 

「は、はい。ありがとうございます!」

 

「……お前は、良い生徒だな。志人」

 

「??」

 

 

 質問を許されたのは嬉しいが、何故か頭を撫でられた。

 

 

 疑問に思った事はその度に質問しつつ、承太郎の研究を手伝い続け……気がついた時には、もう夕方になっていた。そろそろ帰らなくては。

 

 

「……悪かったな。こんな時間まで付き合わせてしまって」

 

「いえいえ。こちらこそ、いろいろ聞き過ぎてしまってすみませんでした」

 

「いや……お前のおかげで、いつも以上に調査が進んだ。ありがとう」

 

 

 心なしか、最初の時よりも表情が穏やかになっているような気がする。未来の博士のお役に立てたのであれば、何よりだな。

 

 

「俺も、貴重な体験をさせてもらってありがとうございます。1日だけでしたが、承太郎さんの助手になれた気がして、楽しかったです」

 

「――――助手」

 

「んん?」

 

 

 承太郎が一瞬目を見開き、何かを考えるような仕草を見せる。……しばらくして、彼は俺の目をじいっと見つめてきた。な、何ですか?

 

 

「……英語は得意か?」

 

「一応、読み書きはどちらもできますよ。ついでに、英会話もそれなりに」

 

 

 前世の記憶を思い出す前は読み書きしか出来なかったが、今では前世の仕事の影響で会話も出来る。

 ちなみに、今世でも読み書きが出来るのは、洋書を原文で読むために独学で学んでいたおかげだ。前世もそうだったが、今世の俺はそれ以上に読書大好き人間である。

 

 

「それは好都合。……書類整理はどうだ?」

 

「以前、バイト先でそれを手伝っていた事もあったので……多分、人並みには出来ると思います」

 

 

 本当は、前世の仕事中に散々やった事だからかなり慣れているが、園原志人の年齢でそこまで出来るのは少々不自然だ。ここは誤魔化しておこう。

 

 

「海洋学や、海洋生物自体に興味はあるか?」

 

「あるからこそ、今日はあなたにいろいろ質問していたんですが?」

 

「そうだったな」

 

「……で?一体何がしたいんですか?まるで面接、みたい、な……?」

 

 

 えっ?あれ??……んん!?

 

 

「……気づいたか。お前の言う通り、ここまでの質問は簡単な面接だ。そして、お前は見事に合格した。

 

 という訳で、志人。――俺が杜王町に滞在している間、俺の助手として雇われてくれ。もちろん、給料はしっかり払う」

 

 

 ――突然ですが。園原志人(肉体年齢)17歳、バイト先から解雇されて間も無く、未来の博士の助手になりました。なお、拒否権は無さそうです。

 

 いや。俺は彼に信頼されるためにも、最初から引き受けるつもりでいたが……

 まだ出会って1ヶ月も経っていない人間を、そんな簡単に自分の懐に近づけちゃっていいんですかね?3部主人公様??

 

 

 

 

 

 

 






・空条承太郎の助手(半強制)

 気分転換のために素顔で散歩していたら、承りに見つかった。呑気にスタンド出して歩いてたらそりゃバレる。

 スタンド能力で水槽を作り出し、承太郎の研究のお手伝い。承太郎先生の海洋生物解説が面白い。海洋学への興味が増した。

 この度、助手に任命された(半強制)。以後はフィールドワークに付き合ったり、ホテルで研究資料の整理をしたり。
 お疲れの海洋学者様のためにお茶を淹れたり、休憩を促したり……そんな事をしながら、承太郎と信頼関係を築き上げていく。

 なお。承太郎が"君"から"お前"、"志人君"から"志人"へさらっと呼び方を変えた事に気づいていない。イージスは園原の背後で呆れていた。気づけよ、本体。


・助手を確保した海洋学者

 園原の素顔を知り、珍しく驚愕。わざわざ時止めを使ってまで、再び隠された素顔を暴く。最近、時止めを使う事に遠慮が無くなってきた。

 園原が海洋生物の話を嫌がらずに、しかも楽しそうに聞いてくれた事が嬉しい。好感度、親密度が上がっている。
 その上とても良い人材だったので、助手として雇う事にした(半強制)。自分で書いておいてなんだが、この人チョロ過ぎない??by作者

 だがしかし、後に。雇ってみたらあまりにも優秀過ぎて、手放す事が非常に惜しくなってしまうという、誤算が生じる。





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