空条承太郎の友人~原作介入~   作:herz

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・4回分という、かなり長めのエピローグ

・登場するキャラが多過ぎるため、いろいろと拙い点があると思いますが、見逃してもらえると嬉しいです。すみません……

・ご都合主義、捏造過多(特に登場人物達の心情について)、キャラ崩壊、男主×徐倫の描写あり




・エピローグ④。前半、男主視点。後半、承太郎視点




空条承太郎の幸福

 

 

 

 

 あの後。徐倫には主に、俺の知り合いの財団職員達……人事部の同僚や上司、それから別の部署の人達何人かを紹介して回った。

 その前に紹介したジョジョキャラ達も合わせて、徐倫の人脈は今日だけでかなり広がっただろう。これが後々、彼女の役に立つと良いんだが……

 

 

 さて。いろんな人達の所を回った俺達は、最後に承太郎達ジョースター家と、ポルナレフとシエルがいる場所に戻って来た。

 戻って来て早々、シエルが足元に纏わり付くので、抱き上げて頭を撫でる。原作6部が進行していた時はずっと構ってやれなかったからな。いつもより甘やかしてやらないと。

 

 それからしばらくは、承太郎達と会話しながら慰労会を楽しんで……

 自分の心の準備が出来た事と、徐倫が落ち着いたタイミングを見計らい、承太郎に視線を送る。……彼は微笑み、強く頷いた。うん、頑張ります。

 

 

「徐倫ちゃん。……ちょっと、聞きたい事があるんだが、今聞いても良いか?」

 

「うん、なに?」

 

 

 

 

 

 

「――すぐに結婚するか、恋人期間を楽しんでから結婚するか……」

 

「え」

 

「その2択だったら、どっちが良い?直感で答えてくれ」

 

「へ、えッ、なに、待っ、」

 

「5!4!3!2!1、はい!」

 

「こ、恋人期間ッ!恋人期間が欲しい!!」

 

「んん、了解」

 

 

 これで、この後伝える言葉が決まった。

 

 

「ポルナレフさん。シエルを一旦預けるので、少しの間お願いします」

 

「そ、それは構わないが、志人?今の言葉はどういう、」

 

「徐倫ちゃん」

 

「は、はい!」

 

「……おいで」

 

 

 ポルナレフには悪いが、今は答えられる余裕がない。こっちはさっきから徐倫にカッコ悪いところを見せないように必死なんだ。

 抱き抱えていたシエルを預けた後、徐倫に手を差し伸べた。……こちらに伸ばされた手を引いて、歩き出す。

 

 

 目指した場所は、満開の桜の木の下……露伴にはからかわれたが、確かに良い場所だ。

 この別荘の持ち主。元護衛対象である彼に、今これからやる事について予め許可を取っておいて、本当に良かったと思う。

 

 

「志人、さん?」

 

「…………さっきから何度もボロが出てたし、きっと答えはなんとなく予想がついているだろうが……まずはこのまま、俺の話を聞いてくれ」

 

 

 ざわつく周囲から痛いほど視線が集まっている中、俺は徐倫の両手をそれぞれ自分の両手で握り、口を開く。

 

 

「実は……ここで、君に告白されたあの日。君の告白に対してどう答えるか、その答えだけは既に決めていたんだ」

 

「えっ?」

 

「ただ、"答え"は決まっていても"覚悟"が決まっていなかった。……皆からこの場ですぐに告白の返事をしろと言われた時、俺はそれを拒否しただろ?

 君が大切だからこそ、その場の勢いで返事をするなんて軽率な真似はしたくない、と」

 

「……そっか。あれは、そういう意味だったんだ」

 

 

 "覚悟"が決まっていないのに、"答え"だけを先に言うのは……俺のプライドが許さなかったし、徐倫に対しても失礼だ。だから、あの場では言わなかった。

 

 

「10年もの間、君の想いに気づく事が出来なくて、すまなかった……

 初めて出会った日の翌日に、"将来の事はもっといろんな人に出会って、いろんな経験をしてから決めなさい"と……そう言った俺の言葉を、君はずっと覚えていたんだな」

 

「……そう。思い出したのね?」

 

「あぁ、思い出したよ。君に告白された後、幼い君から"大きくなったらユキトお兄ちゃんのお嫁さんになる"と言われた事も思い出した」

 

「あはは!懐かしい!」

 

 

 思い出した時は頭を抱えた。まさか、10年も前に言った言葉を彼女がずっと覚えていて、俺に言われた通りにしてから本気で俺の"お嫁さん"になろうとするなんて、そんなの想像できる訳が無い!!

 あまりにも、一途。さすがは承太郎の娘、さすがはジョースターの血筋だ、と。一周回って感心してしまったぐらいだ。

 

 

「……話は変わってしまうが、今日紹介した人達の顔と名前は覚えてくれたか?」

 

「ええ、もちろん。ちゃんと覚えたわよ」

 

「それは良かった。……万が一、この先の未来で、今回の事件のような大事が起こって……俺や承太郎さんを、すぐに頼る事が出来ないような状況になった時は、彼らを頼るんだぞ。いいな?」

 

「…………うん。分かった」

 

 

 おそらく徐倫も、俺の話した"万が一"があり得ると思ったのだろう。真剣な表情で頷いた。まぁ、これについては何事も起こらない事を祈るしかない。

 

 

「それから……もしも、俺が何らかの理由で徐倫ちゃんを裏切ってしまったら、その時も彼らを頼ってくれ」

 

「え?……どういう事?」

 

「…………未来は、突然変化するものだ。無論、俺も君の気持ちを裏切るつもりは全く無いが、そんなつもりは無くても君が俺に裏切られた、と。そう感じてしまうような出来事が起こるかもしれない」

 

「志人さんがそんな事をする訳がないし、きっとあたしも裏切られたなんて思わないわ!」

 

「……これは、念のためだ。――二度も男に裏切られている君のための、"保険"だ」

 

「っ!!」

 

 

 原作の中で、徐倫は刑務所に入れられる前に弁護士の男とロメオに裏切られている。今世でもやはりそうなったらしい。

 俺は、そんな彼女に安心してもらうために……彼女の心を護るために。承太郎や六車さんに協力してもらって、今日この時のために準備だけは先に進めていたのだ。

 

 

(そして、俺の"覚悟"が決まった)

 

 

 徐倫が……子供は出来なくても構わない、と。死ぬまで2人きりの夫婦でもいい、と。そう言ってくれた、あの時に。

 俺さえ側にいてくれたら後はなんでもいい、と。そう言い切った彼女の、心底嬉しそうな笑顔を見た、あの時に……"覚悟"を、決めたのだ。

 

 

 空条徐倫という1人の女性を、生涯をかけて護る"覚悟"を。

 

 

「…………正直に言って……俺はまだ、君のその想いに釣り合う程の恋心を抱いていない……それらしい、最近芽吹いたばかりの淡い感情なら、なんとなく、感じてはいるのだが」

 

「……それは仕方ないわよ。あたしの事を女性としてちゃんと意識し始めたのは、告白されてからでしょう?」

 

「うん。まぁ、な。……でも、俺なりの"愛"ならあると思っている」

 

「あ、"愛"……?」

 

「そう。"愛"」

 

 

 

 

 

 

「俺にとっての"愛"とは――1人の人間を、心の底から護りたいと想う心だ」

 

「――――」

 

「徐倫……俺は、お前の事を心の底から、一生をかけて護りたいと思った。そのおかげで、覚悟が決まったんだ。

 お前は先程、恋人期間を楽しんでから結婚する事を選んだな?……では、俺からはこう言わせてもらおう」

 

 

 さっきから心臓がずっとバクバク言ってる。周りの視線も痛いし、今すぐにでも逃げ出したい気分になっている。……それを無理やり抑えて、告げる。

 

 

「空条徐倫さん。結婚を前提に、俺の恋人に……いや――」

 

 

 そこで言葉を切り……今まで握っていた両手を離して、彼女の前で片膝を突いた。ますます騒ぎ出す周囲と、何故か聞こえる女性達の黄色い声と悲鳴。

 

 それらを意識的にシャットアウトして……服のポケットの中から小箱を取り出して、開いた。

 徐倫が目を大きく見開いて、両手で口を覆う。あぁ、やっぱり。答えは分かっていても、さすがにこの展開は予想出来なかったようだな。

 

 告白されてからずっと劣勢だったが、今この瞬間だけは優勢になれた気がする。

 

 

「――――婚約者になってくれませんか?」

 

 

 小箱の中身はもちろん、婚約指輪である。

 

 

 ちなみに、もしも彼女がすぐに結婚する事を選んでいたら、ここで言うセリフは"結婚してくれませんか?"になっていたはずだ。

 ……結局あまり変わらないって?うるせぇ、放っておけ!要はこっちの気持ちの問題なんだよ!

 

 

「改めて、返事を聞かせてくれ。徐倫」

 

「…………指輪」

 

「んん?」

 

「指輪、嵌めて」

 

「……分かった」

 

 

 立ち上がり、徐倫の薬指に指輪を通す。……彼女はそれをまじまじと見て、それからぽつりとこう言った。

 

 

「…………夢じゃ、ない」

 

「……あぁ、そうだ。夢じゃねぇよ。つーか、今の告白を夢扱いされたら俺が困るぞ?」

 

「うん。そう、よね……うん……ッ!!」

 

「徐倫?……っ、おっと!?」

 

 

 それまで呆然としていた徐倫が、急に素早く動いて俺に抱き着いて来た!

 

 

「――なる!婚約者になる!!志人さんと結婚するッ!!絶っっ対にッ!!」

 

 

 そして大声でそんな事を言ったせいで、せっかくシャットアウトしていたのに、それが無駄になる程の大きな歓声が周囲から上がった。

 

 おめでとう!とか、結婚式には呼んでください!とか、末永くお幸せに!とか、わたし達の"助手様"があァァァッ!!とか。

 いろいろ聞こえてくるが、結婚するのはまだかなり先になると思います!しばらく恋人期間に突入するので!

 

 ……んん?あれ?今の"結婚式には呼んでください!"ってジョルノの声に似てなかったか??

 あと、最後に聞こえた全く知らない女性の叫び声はどういう事だ?風花さんも言ってたが、やっぱり"助手様"って俺の事か!?

 

 

 その時、徐倫が顔を上げた。彼女の顔が徐々に近付いて来る。……俺も自然と自分の顔を近付けて、目を閉じた――

 

 

 

 

―――

――――――

―――――――――

 

 

 ――俺の娘と、未来の義息(むすこ)が口付けを交わした時。その日一番の歓声が上がった。

 ん?……歓声の中に、何やら女共の悲痛な叫び声も混ざっていたような……気のせいだろうか?

 

 

「…………ジョジョ?」

 

「ん?……なんだ、エリン」

 

「あなた、全然驚いてないみたいだけど……もしかして、志人君が今日徐倫にプロポーズするって、知ってたの?」

 

「……ああ、知ってた。それどころか、事前にいろいろ相談を受けていた」

 

「…………あら、まぁ……」

 

 

 志人に相談されたのは、あの子が徐倫に告白された後。ホテルの客室で2人きりになった時だった。

 

 

「えっ、と、だな――

 

 

 ――まだ覚悟が決まってないんだが、いずれ徐倫ちゃんには俺の方から改めて、結婚を前提に交際して欲しいとお願いするつもりでいる。

 

 だが、ただ告白するだけじゃ駄目だと思っている。……"保険"が必要だ。

 徐倫ちゃんは、二度も男に裏切られている。そんな彼女が安心して俺と結婚できるように、彼女の心を護るために、俺が万が一彼女を裏切ってしまった場合の、"保険"が必要だ。

 

 そのために、俺は――俺の事を知っている大勢の人達の前で、彼女に婚約指輪を贈りたい。

 

 まず、徐倫ちゃんには俺から多くの人を紹介して、人脈を広げてもらう。次にその人達の前で、婚約指輪を贈る。

 そうすれば、その人達全員が俺が彼女に指輪を贈った事の証人になってくれるはずだ。

 

 そして万が一、俺が彼女の気持ちを裏切ってしまったその時は、証人になってくれた人達を頼ってもらう。……彼らなら、俺を窘めてくれるだろう。

 そんな"保険"を用意した上で、さらに婚約指輪も贈れば……徐倫は、安心してくれるんじゃないかと、思って……

 

 

 ……なぁ、承太郎さん。どう思う?これぐらいやれば、徐倫ちゃんは安心してくれると思うか?

 

 あ、それから出来ればギリギリまでバレないようにしたいから、こっそり指輪のサイズを測る方法とか、なんかない?

 あと、違和感を感じさせる事なく大勢の人達を一ヶ所に集めるにはどうすればいいんだろうな?」

 

 

 ……という話を聞かされた俺は、一瞬唖然として、それから思わず大笑いした。

 

 告白に対する答えが、既に決まっていた事。そんなとんでもない計画について、徐倫の父親であるこの俺に相談するという予想外の行動。

 志人自身の真面目さと誠実さ。そして、その真摯な想いが俺の愛娘に向けられているという事実。

 

 それら全てが重なったせいで、しばらく笑いが止まらなかった。……これは徐倫の父親として、全力で協力してやらなければ。

 志人には全て俺に任せろと言って押し切り、徐倫の指輪のサイズをこっそり測る仕事と、志人が告白するための場を用意する仕事を引き受けた。

 

 その後の俺の行動は、我ながらかなり迅速だったと思う。

 

 志人の話を聞いた日の、翌日。……例の星の痣が消えた騒動の最中。

 ジョースター家で集まって話し合いをしていた時に、隙を見て時止めを使って徐倫の指輪のサイズを測った。

 

 そして。その日中にあの子に報告し、プッチ神父の下へ行く前に六車を巻き込んで、志人が告白するための場を用意するのに協力して欲しいと頼み込む。

 それから、六車にはいろいろと根回しをしてもらい……その結果、今回の慰労会が開かれる事になった訳だ。

 

 

 そんな経緯を簡単にエリンに説明すると、背後から肩に腕を置かれた。知っている気配だったため、避けはしない。

 

 

「おいおい承太郎!そんな面白い事やってたなんて聞いてねーぞ!?」

 

「……言ってないからな」

 

「ワシらにも教えて欲しかったのう……」

 

「……志人が出来る限り誰かにバレないようにしたいと言っていたから、それは仕方ない」

 

 

 俺の肩に腕を置いたのは、ポルナレフだった。その後ろにジジイがいて、スージーばあちゃんやお袋も一緒にいる。

 と、下から服の裾を引っ張られた。……静が俺を見上げている。その足元にはシエルが座っていた。

 

 

「……志人お兄ちゃんと、徐倫お姉ちゃん……結婚するの?」

 

「ニャア?」

 

「ああ、そうだ。……今すぐに結婚する訳ではないが、いずれはそうなるだろう」

 

「…………結婚したら、何か変わる……?わたしのお兄ちゃんと、お姉ちゃんのままでいてくれるかな……?」

 

「……大丈夫、そこは心配するな。例え結婚したとしても志人達は今までと変わらず、お前の事を妹として可愛がってくれるはずだ」

 

「ん、そっか」

 

 

 静は子供ながらに関係の変化を恐れたのか少し不安そうにしていたが、俺の言葉に納得してくれたようだ。今はシエルを構って遊んでいる。

 

 ……子供、か。そういえば先程、徐倫からこっそりと養子縁組について聞かれたな。なるほど、と思った。確かにそれなら、志人も安心して子育てが出来るかもしれない。

 エンポリオを養子にするという話には驚いたが、そこは財団側と追々相談する事になるだろう。

 

 

 その時、向こうから志人が徐倫の手を引いてやって来た。

 

 

「あの、承太郎さん――」

 

「未来の義息(むすこ)よ。娘ならやるから、思う存分幸せになれ」

 

「――って、まだ何も言ってないんですけど!?」

 

「お父さん、即答!?」

 

「っ、承太郎、おま、ッ、くく、ぶふっ!?ハハハハハッ!!」

 

「あらまぁ、あなたったら……」

 

「……相手が志人君なら、そう答える気持ちも分かるがのう……承太郎。娘を愛する父親としてそれはどうかと、ワシは思うぞ……」

 

 

 ……"娘さんをください"と言われる前に先手を打っただけだというのに、ポルナレフには爆笑され、エリンには苦笑いされ、ジジイには呆れられた。

 何故だ。志人が俺の義息(むすこ)になるのを拒む理由はないし、徐倫の事も安心して任せられるから素直にそうしただけだぞ、俺は。

 

 

「いや、あの!そうなんですけど、そうじゃなくて!!」

 

「ん?」

 

 

 と、志人が慌てている。……どうした?

 

 

「俺は、徐倫を自分の物のように扱うつもりはありません。……それでも強いて言うなら、徐倫は彼女自身のものであって、俺のものではない。

 だから俺は、"娘さんを俺にください"なんて事は言いません」

 

 

 なるほど、それを否定したかったのか……初対面でいきなり娘との結婚の許可を求めて来たどっかの誰かとは大違いだな。素晴らしい。

 

 

「…………その代わりに、といったらあれですが……その……」

 

「?」

 

「えぇっと……あー……」

 

「……志人?」

 

「志人さん?」

 

 

 何やら言いにくそうに……いや、恥ずかしそうにしている?……いったい何を言われるんだろうか。

 

 

「…………承太郎、さん」

 

「……なんだ?」

 

 

 

 

 

 

「俺、徐倫と、一緒に……ジョースター家の――あなたの家族になっても良いですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………え……?」

 

「お、……お父、さん?」

 

「ジョジョ――――泣いてるの……?」

 

 

 言葉が、出ない。……代わりに、涙が出た。嗚呼、そうか、

 

 

(俺は――この子と、家族になれるのか)

 

 

 志人は未来の義息(むすこ)だ。そんな事、とっくに分かっていた……はずだった。

 だが、どういう訳か。俺の中で"義息(むすこ)"と"家族"が上手く結び付いていなかったらしい。

 

 そのせいか、それを実感したのは今志人に"家族になっても良いか"と聞かれたその時だった。

 俺は、志人と家族になれる。学者とその助手という、突き詰めれば他人同士である関係から、家族だと認め合う関係になれるのだ。

 

 

 俺と志人の間に、明確な、繋がりが出来る……決してあり得ないだろうが、徐倫と離婚でもしない限りは一生切れる事の無い繋がりが出来るのだ。"家族"という、繋がりが。

 

 

「じょっ、承太郎、さん!?すみませんごめんなさい俺なんかが烏滸がましい事言ってしまってすみません本当に泣かせるつもりなんてなくて、あの、ご、ごめんなさいっ!!」

 

「待って待って志人さん落ち着いて??」

 

「どうして志人君がそんなに謝るの??」

 

 

 志人がパニックになって見当違いな謝罪を繰り返している。

 

 お前、普段は俺の心を読んでるのかってぐらい察しが良いくせに、なんでこういう時に限って俺の心が読めないんだ?

 ……馬鹿な子ほど可愛いとはこの事だろうか?いや、何かが違う気がするが、それはさておき。

 

 

 志人と……徐倫と、エリンを引き寄せて、3人まとめて抱き締める。

 

 

「承太郎さん……?」

 

「えっ、何?なんでいきなり!?」

 

「あらら?」

 

 

 言葉。何か、言葉を出したい。伝えたい。それなのに、涙が、止まらない。

 ただただ、俺の大切な宝物達を……理解者であり義息(むすこ)でもある男と、愛する妻と娘を抱き締める事しか出来なかった。

 

 

「…………そうか……」

 

「志人さん?」

 

「気づくのが遅れてしまって、すみません……承太郎さん。あなたは、今――

 

 

 ――幸せで、いっぱいになったんですね」

 

「っ!!」

 

「いっぱいになったものが、もう何年も出て来なかった涙となって溢れて来たんだ……」

 

「……ぐ、……うう……ッ!!」

 

 

 嗚呼、嗚呼!嗚呼ッ!!やっぱりそうだ!この子は!志人はいつだって!俺の言葉に出来ない想いを汲み取ってくれる……ッ!!

 

 

「…………ゆきと……ッ!!」

 

「……はい、何ですか?」

 

「おれは、こんなに――――しあわせになって、いいのか……ッ!?」

 

「っ、良いに決まってるだろうが!!」

 

「お父さん……ッ!!」

 

「良いのよ!いっぱい、幸せになって良いのよ!ジョジョ……!!」

 

「――――ッ!!」

 

 

 ……大の男が大泣きするのは、みっともない。必死に声を抑えて涙を流し続けた。

 

 

 だが、その大の男達……ポルナレフとジジイが大泣きしながら抱き着いて来たため、さすがに重過ぎて涙が引っ込んだ。

 志人達3人を潰さないように俺の方から離れて、仕方なくポルナレフ達を落ち着かせる事を優先する。やれやれだぜ、まったく……

 

 

「"幸せになっていいのか"だと!?何言ってるんじゃ、お前はッ!!」

 

「なっていいのか、じゃねぇよ!なれッ!!幸せになれーーッ!!」

 

「分かった、分かったから落ち着――っ、ああ、くそッ!やかましいッ!!」

 

 

 若い頃を思い出して久々にそう叫んだ。てめーらは泣くのか怒るのか、そのどっちかに統一しろ!!

 

 

 その時、背後から笑い声が聞こえた。……振り向くと、志人と徐倫が俺達を見ながら、笑顔で寄り添い合っている。

 そんな光景を見て、また泣きそうになった。……安心した。これからは志人の事を徐倫が、徐倫の事を志人が支えてくれるだろう。

 

 

 ――――比翼連理。……その言葉がよく似合う、仲睦まじい夫婦となってくれる事を願う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ああ、そうだ。なあ、志人」

 

「んん?何ですか、承太郎さん」

 

「――お前、うちに婿入りしろよ」

 

「ファッ!?」

 

 

 

 

 

 

 






・園原志人

 この度、徐倫にプロポーズ。指輪を贈って婚約者となった。

 実は告白されたその日のうちに、徐倫と結婚を前提に交際すると"答え"を決めていた。しかし、"覚悟"は決まっていなかった。
 そして、アナスイと衝突した後。自分さえ側にいてくれたら後はなんでもいい、そう言い切った徐倫の笑顔を見た瞬間。唐突に"覚悟"が決まった。――本気で護りたい、この笑顔。

 慰労会で徐倫に多くの人達を紹介し、道中何度か口を滑らせながらも、最後にはかなりベタだが桜の木の下でプロポーズ。
 園原にとっての"愛"とは、1人の人間を心の底から護りたいと想う心である。なお、それが向けられた相手は徐倫で2人目……最初の1人目は、言うまでも無いだろう。

 承太郎に家族になってもいいかと聞いた途端、泣かれてしまった事にパニック。烏滸がましい事言ってしまってすみません!!(錯乱)
 だが、すぐにその気持ちを察した。――幸せで、いっぱいになったんですね。ずっと泣く事が出来なかった承太郎がようやく涙を流してくれたのを、自分の事のように喜んだ。


 だがしかし後に、"婿入りしろ"と言われて再びパニックになった。
 むこいり?婿入り!?つまり俺は前世の最推しと同じ名字!?空条志人っ!?ファッ!?(錯乱)


・空条徐倫

 ――なる!婚約者になる!!志人さんと結婚するッ!!絶っっ対にッ!!

 紹介の途中で園原が何度かボロを出した事で期待はしていたが、突然のプロポーズ、しかも婚約指輪まで贈られて大歓喜。
 これ以降は恋人期間を楽しみながら、園原の様子を見て今度は自分から改めて逆プロポーズしようと企んでいる男前女子。……だってやられっぱなしは嫌だもん。

 園原に連れられて承太郎の下へ行き、"娘さんください"が聞けるのかなとワクワクしていたら、承太郎のまさかの即答に驚愕。あんた未来の義息(むすこ)大好きね!?知ってたけど!!
 しかし、そんな承太郎が"幸せいっぱい"になって泣いてしまったのだと知った時はもらい泣きした。お父さん……ッ!!


 で、"婿入りしろ"?ああ、うん、正直言うと思ってたわ!志人さんの婿入り大歓迎ッ!!


・空条エリン

 愛する夫と娘と未来の義息(むすこ)に囲まれて、こちらも"幸せいっぱい"。

 承太郎と園原がこっそりとプロポーズ大作戦を実行していた事に驚き、さらに未来の義息(むすこ)にあっさりと愛娘を差し出す夫に苦笑い。あらまぁ……
 だが、その夫が"幸せいっぱい"で泣いた事には娘と共にもらい泣き。幸せになって良いのよ!ジョジョ……!!


 婿入り?ふふふ、やっぱりね!ジョジョならそう言うと思ってたわ!大歓迎よ!!


星屑十字軍(スターダスト・クルセイダース)生存組

 ジョセフとポルナレフは"幸せいっぱい"で泣いた承太郎に対し、10年前に彼の本音を聞いた時の事を思い出して涙腺崩壊。承太郎は若い頃を思い出して久々に叫んだ。

 "幸せになっていいのか"だと!?何言ってるんじゃ、お前はッ!!なっていいのか、じゃねぇよ!なれッ!!幸せになれーーッ!!分かった、分かったから落ち着、――っ、ああ、くそッ!やかましいッ!!
 3人揃ってやかましいがしかしそこが良い、末永く仲良く騒いでくださいby作者


 ――次にお前さんは『お前、うちに婿入りしろよ』と言うッ!!……ああ、やっぱりそうなったのうbyジョセフ
 "婿入りしろ"?だよなぁ!お前ならそう言うって知ってたぞ俺ッ!!byポルナレフ


・空条承太郎

 "幸せいっぱい"で久々に……本っ当に久々に泣く事ができた。おれ、もう、いつしんでもいい……!!

 園原のためとはいえ、わざわざ時止めを使って徐倫の指輪のサイズを測ったり、六車を巻き込んで大規模な慰労会を開かせたりと、やりたい放題やっていた。
 そして満を持して、未来の義息(むすこ)――いやもう義息(むすこ)(確定)でいいか。義息(むすこ)が愛娘にプロポーズするのを温かく見守った。

 園原から家族になってもいいかと聞かれた事で、ようやくそれを実感した。
 園原との間に義父(ちち)義息(むすこ)という、おそらく一生切れる事の無い明確な繋がりが出来る事を、心の底から喜んでいる。

 園原という理解者と出会ってから今まで、少しずつ積み重ねて来た"幸せ"が"いっぱい"になり……
 もう何年も出て来なかった涙となって溢れて来た結果、承太郎は大泣き。……園原との間に明確な繋がりが出来た事は、彼の"幸せ"が溢れる前の最後の一押しだった。


「(もう二度と逃げられないようにさらに強固な関係にしなければ)――お前、うちに婿入りしろよ」






【後書き】

 承太郎の友人シリーズ「6部介入ネタ」及び「原作介入ネタ」は、これにて完ッ!です

 最後までご覧いただいた読者様、またコメントをくださった読者様、ありがとうございました!!

 さて。原作介入シリーズの今後についてですが

 内容さえ思い付けば、pixivにて。5部介入後に男主+ポルナレフ+空条家が杜王町に行く話や……
 原作5部の際に散々男主を邪魔していた"クソ爺"が巻き起こす騒動のお話……などを書けたらいいなぁ、と思っています

 ただし、本当に実現するかどうかはまだ分かりません!申し訳ありませんが、予めご了承くださいm(_ _)m


 これにて、後書きは終わりです。最後までご覧いただき、本当にありがとうございました!

                 ■herz■





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