・男主が承太郎の助手になった後。まだザ・ロック戦の前
・ご都合主義、捏造過多、キャラ崩壊あり。男主視点
半強制的に始まった承太郎の助手というバイトだが、今までやっていたバイトよりも、やり甲斐を感じている。
俺がこの仕事をやるのは、たまに休日の朝から呼び出される事もあるが、基本的には学校の放課後だ。
学校から直接杜王グランドホテルまで向かい、承太郎がいるホテルの一室で助手を勤める。
仕事内容は、研究資料等の整理、海辺でのフィールドワークのサポート、承太郎から言われた事をメモに取る、といった事以外にも……
その日の承太郎の気分に合わせてコーヒーや紅茶を淹れたり、仕事に集中し過ぎて休憩を忘れてしまう彼に休憩を促したり、同じく集中し過ぎて食事を忘れてしまう彼のために、自宅で作った軽食を差し入れしたり――
――なんて。途中から仕事内容がおかしいが、それらは俺が自分からやり始めた事だから、仕方ない。
ただでさえ今までも、そしてこれからもいろいろ背負っていくであろう男が、自分の体調管理を疎かにしたら駄目だろ!?
そう思ったら放って置けなくて、気が付いた時にはいろいろと世話を焼くようになっていた。
だが。給料は良いし、雇い主も以前のバイト先の店長とは比べ物にならないぐらいに頼りになる良い人だし、不満は全く無い。
そんなバイトを続けていると、いつの間にか5月に入っていた。ザ・ロック戦もそろそろだな……と思っていたら。
それよりも前に、俺にとって非常に重要な出来事が起こった。
その出来事の始まりは、承太郎が宿泊している一室に掛かってきた1本の電話。俺はその時、彼の側で研究資料を整理していた。
彼はその電話に対して日本語で応答したが、すぐに英語に切り替わる。あぁ、多分アメリカからの電話かな?と予想していたその時、
「何?――徐倫が高熱を出した?」
そんな言葉を聞いた俺は、さりげなく盗み聞きを開始する。徐倫の高熱って、この時期だったのか!
承太郎と電話相手の会話は、徐々に口論になっていった。内容は案の定、"徐倫のために帰って来て欲しいVS今は帰れない"の口論だ。
といっても、承太郎は表面上は冷静に対処しているが、電話相手の方が怒っているらしい。英語で怒鳴る女性の声が微かに聞こえた。これ、もしかして承太郎の奥さんか?
……その口論はやがて、痺れを切らした承太郎の奥さん(?)が電話を切るという形で決着してしまった。
「……騒がせて悪かったな、志、……どうした?」
「え?」
「何故、お前がそんな顔をする?」
「…………どんな顔になってますか?」
「……悲しそうな……辛そうな、顔だ」
嗚呼……顔に出てしまったか。昔の事を思い出したせいだな。
「承太郎さん、ちょっと電話から離れてこっちに来てください」
彼は訝しげな表情を見せるが、言われた通りにしてくれた。俺はイージスを呼び出して、俺と承太郎を囲む防音バリアを張る。
「このバリアには今、防音効果が付与されています。この中にいる限り、俺達の会話は外には聞こえないので、レッド・ホット・チリ・ペッパーによる盗聴を警戒する必要はありません」
「……本当に、便利なスタンド能力だ」
「それはどうも。……で、さっきの電話についてですが。承太郎さんって、やっぱり結婚してたんですね」
「確かに俺は結婚しているが、やっぱり、とは?」
「休日の朝から呼び出された日にあなたの左手を見ると、毎回薬指に指輪の跡が残っていたので。
きっと普段は、仕事中に傷が付かないように外していて、その代わりに眠る時だけ必ず付けているんじゃないかなぁ、と思ってました」
「…………さすがの洞察力だな。正解だ」
最初に指輪の跡がくっきり残っているのを見た時は、驚き過ぎて思わず二度見したぞ。それに、この人は本当に妻を愛しているんだなと、ちょっと嬉しく思った。
だって普段は外していても、わざわざ眠る時に必ず指輪を付け直すって事は、つまりそういう事だろう?
俺の両親の間では、あり得なかった事だ。
「……相手の方の怒鳴り声が、微かに聞こえました。誤解を解かなくていいんですか?」
「誤解、とは?」
「あなたの先程の様子では、向こうは確実に誤解してますよ。承太郎さんが、高熱を出した子供の事よりも仕事を優先する冷血漢なんだって。
……仕事が忙しい、としか言わなかったのは、奥さんやお子さんがスタンド関係の事を何も知らないからですか?」
「…………」
「無言は肯定と取ります。……おそらくあなたが何も話さないのは、奥さん達をスタンド使い関連の何らかの危険から遠ざけるためなんでしょう?
でもだからといって、あんな態度は良くないですよ。あれでは向こうが誤解するのも当然だ。
せめて少しだけでも、お子さんや奥さんの事を心から気に掛けていると、はっきり分かるような言葉を口にしていれば――」
「――知ったような口を利くんじゃねえ」
承太郎の怒気を含んだ声が聞こえ、はっと顔を上げる。……冷たい目で睨まれた。予想通り怒らせてしまったようだが、いきなり怒鳴られなかっただけでも、まだマシだな。
本当は、もっと距離を縮めてから踏み込むべきだったと思う。しかし、実際に相手と口論している承太郎を見ていたら、黙っていられなくなった。
例え嫌われたとしても、この先で救済がやりにくくなったとしても、俺は今のこいつに言ってやりたい!
自分の子供と妻の気持ちをちゃんと考えてくれ。――俺の父親のようなクソ野郎に成り下がる事だけは止めてくれ、と!
「志人。……これは俺の問題だ。お前には関係ない。俺の立場や気持ちも何も知らねえお前が、首を突っ込んで来るな!」
「あぁ、そうだな。あんたの事は知らねぇよ、でもな!あんたの子供の気持ちなら分かる!実の父親に蔑ろにされた子供の気持ちならよーく知ってる!
俺自身がそうだったからな!俺の父親は、幼い俺と俺の母親に、日常的に暴力を振るうようなクソ野郎だった!!」
「っ!?」
「ゆ、志人!」
「止めるな、イージス。……俺はどうしても、この人に言いたい事があるんだ」
目を見開く承太郎の胸ぐらを掴み、その目を睨みながら話を続ける。
「あの野郎は本っ当にクソでな、家では暴力を振るうが外では家族想いの良い父親を演じていた。それに合わせて俺と母親も、そんな父親を慕う演技を強要されたよ。
おかげ様で近所に住む人間達は、俺達が虐待されているなんて誰も気づかなかった。
まぁ、それも。ある日母さんがあのクソ野郎から俺を守ろうとして、クソ野郎と揉み合いになり、2人揃って階段から落ちて死んだ事で、いろいろ終わったけどな」
「…………」
「その後にやって来たクソ野郎の血縁者達も、これまたクズ野郎共でさぁ、母さんの遺品のほとんど売り払って金にしちまった。
遺されたのは、母が死ぬ直前に俺に直接渡してくれたロザリオだけだ。
そんな俺の唯一の味方で、幼い俺を引き取ってくれた母方の祖母も、俺が高校に入学する前に病気で亡くなってしまった。今の俺は独りだ」
……おっと、話が脱線したな。軌道修正しなくては。
「とにかく……承太郎さん。俺にとって、あんたは頼りになる良い人だ。きっとあんた自身には、奥さんや子供の事を蔑ろにするつもりは全く無かったんだろう。
だが!今のあんたは奥さん達に対して肉体的な暴力を振るってはいなくても、精神的な暴力は振るっている!彼女達の心を傷付けているんだ!!」
「――――」
「……俺の父親のようなクソ野郎にはならないでくれ。奥さんと子供の事を、もっと分かりやすく気遣ってやってくれ。
俺が尊敬している承太郎さんには、あのクソ野郎のような男になって欲しくない……あんたの子供にも、幼い頃の俺のようにはならないで欲しい」
「――――」
「家族をもっと大切にする父親になってくれ、頼むから!
例えば。直接会いに行けないなら、手紙を書いてSPW財団の人にこっそり届けてもらうとか、そういうやり方だってあるだろ!?
手紙だったら普段は口で言えない気持ちとか、愛情を伝える事だって出来るはずだ!
手紙の最後に、もし良かったら返信が欲しいとか書いておけば、財団を通して文通する事だって出来るじゃねぇか!?なぁ!?」
言いたい事を全部言って、息を整えながらも胸ぐらから手を離した。
そして承太郎に何か言われる前にと、イージスには中に戻ってもらい、自分の荷物を手にして出口の前に立ち、深く頭を下げる。
「雇い主に対して失礼な発言をしてしまい、大変申し訳ありませんでした。
解雇していただいても構いませんし、用がある時だけ呼び出すという形で雇用を続けていただいても構いません。
もちろん、その場合は給料が払われない事も覚悟の上です。どうぞ、ご自由に。……では、失礼します」
背後から引き留める声が聞こえた気がしたが、無視して早歩きで退出した。
(あーあ、やっちまった)
自分からは会いに行かない方がいいよな、これからは。あまりにも失礼な態度を取ってしまったし。今後、スタンド関連以外では関わらない方が良いだろう。
あーあ!スタクルの中でも最推しキャラに嫌われた!!泣きたい。
・海洋学者に嫌われたと思っている助手
あーあ!承太郎に嫌われた!!気まずいから出来る限り顔合わせないようにしよう!!(自棄)
実は4部時空での家庭環境も、混部時空とほとんど変わらない劣悪な環境だった。混部時空の者達は誰もそれを知らない。
いや、でもこっちでは婆ちゃんがしばらく一緒にいてくれたからマシだと思う……えっ?どっちもどっち??by混部時空の園原
承太郎に怒られると分かった上で、家族仲を改善するためにわざと踏み込んだ。
これで嫌われても、承太郎達が幸せになってくれるならそれでも良いと本気で思っている。推しの幸せのためなら俺の心を犠牲にしても構わない!!(´;ω;`)
地味にSAN値ピンチ。急募:混部時空のジョースター家、特に承太郎。
・SAN値をゴリゴリ削られた海洋学者
園原が助手として非常に優秀なので、彼を助手にした自分の判断を内心で褒め称えていた。世話を焼かれるのも悪くない。
と思っていたら、自分の家庭事情にずかずかと踏み込まれ、怒りを露にしつつもショックを受けていた……が、自分以上のヘビーな家庭事情を明かされ、SAN値ピンチ。
しかも。園原は言うだけ言って立ち去ってしまったので、謝罪したかったのにタイミングが合わず、SAN値ピンチの影響でスタプラさんの時止めを使う余裕も無く……
こうして、すれ違いが始まった。
……だが、園原からの助言はしっかりと記憶していたため、家族仲の方は改善する可能性大。