・レッド・ホット・チリ・ペッパー戦
・ご都合主義、捏造過多、キャラ崩壊あり。男主視点
ある日。承太郎から呼び出されて、町中から離れたある場所へ向かった。
……といっても、俺の場合は承太郎から話を聞いた仗助を経由して呼び出されただけなのだが。
あの人はきっと、俺とはあまり話したく無いんだろうな。分かってはいたが、それでも結構へこむ。
しかし、今は私情を挟んでいる場合じゃない。俺の感情は二の次で、音石を捕まえる事を優先しなくては。
ただ。今回は少し確かめたい事があるため、現場には立ち会うが出来る限り介入はせず、原作の流れをあまり変えないようにしようと思っている。
確かめたい事というのは、俺がその場にいる状態で原作の流れを積極的に変えなかった場合、どうなるのか、だ。
レッチリ戦前に起こった、ザ・ロック戦とラブ・デラックス戦。
それからパール・ジャムの一件には全て立ち会っていないが、仗助達から話を聞いた限りでは、原作通りに進んだらしい。
だが、同じく俺がその場にいなかったサーフィス戦では、承太郎が原作とは違った行動を取った。今回は、そんな彼の行動を確かめたい。
今のところ、俺がその場にいなくて原作介入もしていないのに、原作通りの行動を取らなかったのは、俺が知る限りでは承太郎だけだ。
この世界は現実だと思っているが、俺が救済した場面以外では基本的に原作通りに進んでいた。
しかし今後、承太郎が原作とは異なる行動を頻繁に取るとすれば、話は変わって来る。
それに合わせて、仗助達の行動も変化するかもしれない――つまり、原作の崩壊。
この世界がより現実らしくなり、俺の原作知識がほとんど使えなくなる可能性が高まる。所謂、バタフライエフェクトも怖いんだよなぁ……
最悪の場合。以前俺が危惧したように、原作では死ななかった人が、この世界では死んでしまうかもしれない。
その全てを護る事は、俺1人では無理があるだろう。だが、俺に出来る範囲であれば、どうにかして護りたい。
閑話休題。……呼び出された場所に行くと、のっけからイレギュラーが起こっていた。
「――こんにちは、形兆
「……お前か。その呼び方は止めろ」
「先輩は先輩じゃないですかー」
「ちっ……」
「うっす、志人さん」
「こんにちは、志人さん」
「やぁ、億泰君、康一君」
億泰と康一だけでなく、形兆の姿もあったのだ。俺に先輩と呼ばれた彼は、渋い顔でジロリと俺を睨む。あら、怖い。
俺が形兆を先輩と呼んだのは、その呼び方の通り、彼が同じ学校の高校3年生で先輩だから。
この呼び方は、俺が普段からこいつに会った時にやっている、挨拶代わりのおふざけ。ただのコミュニケーションである。
「で、形兆さんも承太郎さんに呼び出されたんですか?」
「……少し違う」
「んん?」
「兄貴は承太郎さんだけじゃなくて、財団からも指示されたんだってよ」
「あぁ、なるほど。例のボランティアですね」
「正確には無償労働、だ。自分から進んで社会活動をするボランティアではない」
現在の形兆は、SPW財団の保護観察下に置かれている。
弓と矢を使った事で複数のスタンド使いを生み出すたけでなく、殺人という罪を犯してしまった形兆だが。その行動に至るまでの事情や、本人が反省しているのを考慮した結果。
高校卒業まで財団からの依頼で無償労働を続けて、卒業後は財団職員として正式に雇用される事……という形で、罪を償う事になったそうだ。
……そうだよな。本来なら原作では生存していない形兆がいるんだから、今後も俺の意思は関係なく、彼が関わって来るのは当然か……
今までのザ・ロック戦やサーフィス戦その他には、たまたま偶然形兆が関わっていなかっただけであって、既に原作崩壊は始まっていると考えた方がいいだろう。
その後。仗助と承太郎もやって来て、さっそく承太郎が口を開く。
「電気が通っている町中では、レッド・ホット・チリ・ペッパーの話をするのは危険だ。こんな野原に集めたのは、奴に話を聞かれないためだ。
だが、その話をする前に……志人、君」
「っ、はい。何、ですか?」
いきなり呼ばれてびびった。すると、承太郎は俺を見て眉をひそめ、すぐに視線を外す。
あぁ、何か不快な思いをさせてしまったんだな、ごめんなさい……しかも、呼び方が君付けに戻ってる。距離が出来てしまった。
イージスに指摘されて、呼び捨てされている事に気づいた時は、ちょっとでも仲良くなれた気がして嬉しかったんだよなぁ……
「君のスタンド……イージスホワイトは、防音効果があるバリアを張れたはずだな?」
「はい、そうですけど……?」
「それを張ってくれ。俺達を囲むように――ただし、そのバイクは中に入れるな」
……おっと?これは、まさか?
「了解です。……イージス」
「はーい。じゃあ、皆は承太郎の周りに集まって。そこだとバイクも入っちゃうから」
全員が承太郎の周りに集まったのを確認してから、防音バリアを張った。そこで、仗助が声を上げる。
「あっ!バイクを避けたって事は、もしかしてバッテリーの中を警戒して……?」
「……その通りだ、仗助。鋭いな」
「えっ?ど、どういう事?」
「2人だけで納得してねぇで、俺達にも教えろよぉ」
「…………ちっ、そういう事か。億泰にバイクを使わせたのは失敗だったな……」
仗助に続いて、形兆も気づいたようだな。逆に、康一と億泰は首を傾げている。
「兄貴にも分かったのか!?じゃあ、志人さんは?」
「……おそらくだけど、バッテリーの中にチリ・ペッパーがいる可能性を考えたんじゃないかな?
奴はきっと、電気がある場所なら何処にでも現れる。バイクのバッテリーの中も、例外では無いはずだよ」
「ふふ……」
「!?」
たった今推測したように見せかけてそう発言すると、承太郎が笑った……気がした。思わず見上げたらいつもの無表情だったので、気のせいだと思うけど。
「……志人君が言ったように、バッテリーの中に奴がいる可能性も無い訳ではない。本当にいるかどうかは分からないが、念のために警戒しておけ」
全員に警戒を促した承太郎は、そのまま本題に入る。
レッチリの本体を見つけ出す事ができる、老人のスタンド使い……ジョセフ・ジョースターが、今日の正午に港にやって来る、という話だ。
その話を聞きながら、俺は別の事を考えていた。
(――やはり承太郎は、原作から外れた行動を取るようになっている)
前向きに考えれば、これは良い変化だ。きっかけが何だったのかは知らんが、多分いろんな意味で勘が戻って来ているのだろう。
これなら、6部で生存する可能性も上がったかもしれない。……しかし、その分。承太郎の今後の行動が予測出来なくなってしまった。
だが。こればっかりは今から深く考えてもどうしようも無い、か。まずは、レッチリ戦を無事に終える事の方が先だな。
「……で、そのスタンド使いの護衛が、今回の俺達の仕事ですか?」
「そうだ。これから、全員で港へ向かうぞ。……志人君。話は終わった。バリアは解除して構わない」
「分かりました」
形兆の問い――承太郎にはちゃんと敬語使うんだな――に対し、承太郎がそう答えて、俺に対しても防音バリアの解除を許可する。
そして、言われた通りに解除した瞬間――愛すべきお馬鹿、もとい億泰がやらかした。
「よく分かんねぇけど、とにかく。今日の正午に港に来るスタンド使いの爺さんが、あの野郎の本体を見つけてくれるって事か、」
「億泰ッ!!」
「へ?」
慌てた様子で形兆が制止したが、もう遅い。バイクのエンジンが掛かった!
「会話が何も聞こえなくなった時は焦ったが……そういう事だったんだなあ!確かに聞いたぞ!!」
「レッド・ホット・チリ・ペッパー!?本当にバッテリーの中にいたんだッ!?」
「この愚弟がッ!!園原が何のためにバリアを張っていたのか、ちゃんと聞いてなかったのか!?」
「くそッ!志人さんがバリアを張った意味が無くなっちまった……!!」
……その後は、原作通りの展開だ。バイクで逃げる奴の下へ、億泰がスタンド能力で追い付いて、最終的に地下の電気ケーブルに吸い込まれたが、仗助のスタンドのおかげで助かった。
それから急いで港へ向かったところ、承太郎の話ではあと20分程で船が到着するという。……原作通りだった。ここまで、は。
「船に向かうのは――俺と、志人君だけだ。それ以外はこの港に残れ」
「えっ」
億泰じゃねぇのかよ!?
「この中で最も護衛に向いているのは、君のスタンド能力だ。故に、護衛対象の側にいてもらう。……あの事で俺に対して不満はあるだろうが、今は力を貸してもらうぞ」
「は、はい……」
確かに、承太郎の言う通りだ。妥当な人選だろう。……しかし、彼に対して不満がある?
いやいや、逆だろ。俺が彼に対して不満があるのではなく、承太郎の方が俺に対して不満があるんじゃないのか?例の事で、まだ怒っているはずでは?
「…………あの、志人さん……」
「仗助?」
いろいろ疑問はあるが、それを無理やり頭から飛ばしてモーターボートの準備を進めていると、仗助がこっそりと話し掛けて来た。
「大丈夫っスか?承太郎さんと2人きりで」
「!」
「あの人と、何かあったんだろ?」
……そういえば、仗助だけはサーフィス戦の後に勘づいていたんだった。
だが、あまり心配を掛けたくないので、大丈夫だと笑って伝える。……それでも、仗助は不安そうに俺を見つめていた。やめてくれ、黒柴。そんな目で見ないで。
気を取り直し、あとの事は仗助達に任せて、承太郎と共にモーターボートで船へと向かう。……会話は無く、しばらく気まずい沈黙が続いたが、
「…………志人君」
「っ、はい」
「……この一件が終わったら、君と話したい事がある」
「…………はい。分かりました」
その沈黙が、承太郎によって破られた。……多分、正式に解雇されるんだろうな。またバイト探さないと。あぁ、泣きたい。
……やがて。モーターボートが船に到着し、俺は老ジョセフと対面した。
本当に御老体だな……2部と3部の元気だった頃と比べると、少し寂しく思った。耳もかなり遠くなってるみたいだし。
で、つい先程。康一のエコーズが、音石を倒した事を報告しに来たらしいのだが……
(――音石が、降参した?)
原作とは違い、音石はある程度戦った後に向こうから素直に降参してきたが、仗助が念のためにボコボコにして、今は気絶しているという。
今回は仗助と康一だけでなく、虹村兄弟がいた事で敵わないと判断したのだろうか?
あの4人を全員倒した上で船に向かい、さらに俺と承太郎を退けてジョセフを殺すというのは、さすがに無理があると考えたのか?
……何にせよ、気絶しているというなら、レッチリ戦はこれで終わりか。ほっとした。
「ところで、ユ
おいこら、ジョセフお爺ちゃん。ユ
「何ですか?」
「仗助は、生まれたのも知らずに16年も放っといたワシの事……何か、言ってたかね?」
そういえば元々、億泰との間でもこんな会話があったっけ?…………あー、そうだなぁ……
「仗助とは、あまりそういう会話はしませんでしたが……
港で待っている彼は、今頃。あなたへの憎まれ口を叩きつつ、内心ではかなり戸惑い、不安に思っているのではないかと……」
「…………そう、か」
「しかし、」
「?」
「俺が知っている、東方仗助という男は――例えどんな事情があっても、結局は血の繋がった家族を邪険に扱う事ができない、お人好しの、心優しい少年です」
「――――」
「どうか、彼を……俺の可愛い後輩を、大事にしてやってください」
そう言って、深く頭を下げた。……徐倫もそうだが、もちろん仗助にも。俺のような、父親に蔑ろにされた子供として育って欲しくない。
原作を見ている限り、ジョセフなら問題無さそうだが、念のためにお願いしておこう。
すると、頭の上に何かが乗った。……撫でられている?という事はこれ、ジョセフの手か。
「君は……いい子じゃのう」
「はい?」
「もう一度、名前を聞かせてくれんか?」
「……園原、志人です」
「うむ……志人君。君のような子が、仗助の先輩で良かったわい」
「??」
名前をちゃんと覚えてくれたのはありがたいが、何故か機嫌が良さそうだった。
―――
――――――
―――――――――
その後。音石が船に乗り込んで来る事もなく、無事に港に到着した。
港には地面に倒れている音石と、その近くに立つ仗助、康一、虹村兄弟がいる。……仗助はやっぱり怪我をしていた。後で応急処置してやらないと。
ジョセフは杖さえあれば、介助が無くても歩けるようだが、一応彼の後ろにいるとしよう。万が一、何かがあった時に守れるように。
……あ、そうだ。本来なら杖が折れていて上手く歩けなかったジョセフを、仗助が支えるっていうシーンがあったよな?あれが無くなってしまったか……
――そんな事を考えていた俺は、油断していた。既にレッチリ戦は終わったと、そう思い込んでしまったのだ。
仗助達の焦った声と、バチバチという電気の音。それに気づいてはっと顔を上げた時には既に、奴のスタンドがジョセフの目の前にいて、
(バリア、いや
少し前に編み出した切り札も間に合わないと判断した俺は、咄嗟にジョセフを押し退けて前に出る。そして死を覚悟した、その時。
何故か、レッド・ホット・チリ・ペッパーが海に沈んでいた。
(…………あ、ありのまま、今起こった事を話すぜ!俺は奴の前に立ち塞がったと思ったらいつの間にか、)
「志人!」
「うおおう!?はっ、はい!!」
脳内大混乱の間に、某悪魔で執事の声で名前を呼ばれ、慌てて返事をする。
そちらを見ると、思ったよりも近い距離に承太郎がいて驚いた。その背後にはスタープラチナがいる。
時を止めた上で、奴を海へと殴り飛ばしたんだな!?助かった……
「無事か?」
「あ、だ、大丈夫です…って、それよりもジョセフさん!!咄嗟に押してしまってすみません!お怪我は!?」
「いや、ワシは大丈夫じゃ。君のおかげで助かった、ありがとう。……倒れた時に杖が折れてしまったが、怪我は無いぞ」
「良かった……!」
「他人の心配よりも、自分の心配をしろ!俺の祖父を庇ってくれた事には礼を言うが、次からはあんな無茶は止めるんだ。分かったな!?」
「うっ……ご、ごめんなさい……」
ジョセフの心配をしたら、承太郎に怒られてしまった。確かにあれは、傍から見たら無茶な行動だったよな……すみませんでした。
そんな話の最中、誰かの悲鳴が聞こえてきた。……あ、音石がクレイジー・Dにボコボコにされてる!?
しかもバッド・カンパニーの射撃まで加わってないか、あれ!?何故か仗助と形兆が激怒していて、康一と億泰が必死に2人を止めようとしている。
「……やれやれだぜ。個人的には
「お、おう……」
「弓と矢が何処にあるのかを奴から聞き出すために、生け捕りにしなければ。……志人君、君はここでジジイと一緒にいてくれ。俺は、彼らを止めてくる」
「りょ、了解です……」
承太郎はそう言って、背後に黒いオーラを背負い、騒ぎの中心へと向かった。否、黒いオーラというのは俺の幻覚だけど。
……さて、その後の音石についてだが。奴はクレイジー・Dとバッド・カンパニーによる猛攻で、瀕死の重傷を負った。
承太郎が2人の暴走を止めて――彼はどさくさ紛れに音石を思い切り足蹴にしていた。何故??――仗助が治療した事でなんとか生き延びたが、今度こそ完全に気絶してしまい、財団職員達によって確保された。
それから。俺の下へ駆け寄って来た仗助は、過保護なくらい俺を心配してくれた。
無事である事を確認すると涙目で座り込んでしまったので、その頭を撫でておく。ごめんな、そんなに心配させて。
あと、形兆も何か言いたげな目で俺を見ていたので、もしや心配してくれたのかと聞くと、何故か逆ギレされた。解せぬ。
……でも、否定しなかったって事はそういう事だよな?このツンデレ兄貴め。
あぁ、そうそう。ジョセフの杖が折れた事で、さっき無くなったはずのシーンが復活した。
仗助が照れた様子でジョセフの手を握っているのを、微笑ましく見守る。……ようやく一件落着だな。
だがしかし。俺にはもう1つ、イベントが残されている。……モーターボートの上で、承太郎と約束した事だ。
「それでは、承太郎さん。我々はこれで、失礼させていただきます」
「……いや、少し待ってくれ」
「はい?」
仗助達には先に帰ってもらい、承太郎と財団職員達がいる場所に近づくと、そんな会話が聞こえてくる。
「これを……アメリカにある俺の自宅に、直接届けてもらえるか?」
承太郎は、2通の封筒を財団職員に手渡した。……あれって、まさか!?
「これは?」
「…………見て分かるだろ、手紙だ。――妻と、娘に、宛てた」
「えっ!?」
「……別に、届けるのが無理ならそれでも、」
「いやいやいやいや!!大丈夫です!責任を持って!確実に!お届けしますッ!!」
「…………中身は見るなよ」
「もちろんです!お任せください!!」
やけに張り切って敬礼した財団職員達が、手紙を受け取って立ち去っていった。……残された承太郎が、こちらに振り向く。
ぱちっと目が合うと、承太郎は大きく目を見開き、目を泳がせて分かりやすく動揺を見せて、帽子の鍔を下げる。そんな彼の、目の前に立った。
「……お前に言われた通り、手紙を書いてみただけだ。何か文句あるか?」
「いえ、ありません!…………あ、あの、」
「ん?」
「本当に、すみませんでした。……あの日。無遠慮に踏み込んだ挙げ句、言いたい事だけ言って立ち去ってしまって、」
「違う」
「えっ?」
「本当に謝るべきなのは、俺の方だ……すまなかった」
弱々しい声で謝罪され、思わずぎょっとする。
「……先程、君と話したい事があると言っただろう?あの日からずっと、君に謝りたいと思っていたんだ」
「えっ……?でも、俺に対して怒っていたのでは?」
「それは、君の家庭の事情を聞くまでの話だ。……話が終わって、すぐに謝りたかったのだが、君は出て行ってしまったからな……」
「あっ」
そういや、あの日は承太郎に引き留められても無視しちまったんだよな……!つまり俺が悪いって事じゃねぇか!?
「すみませんでした!俺が話を聞こうとしなかったから……!」
「だから、違うと言っているだろう。謝るべきなのは、俺だ。君が辛い過去を話さざるを得ない状況を作ってしまった、俺が悪い」
……どうやら、自分が悪いという主張を取り下げるつもりは無いらしい。それなら、
「じゃあ、どっちも悪かったって事にしておきましょう。あなたの話を聞こうとしなかった、俺にも責任があります。
勝手に1人で全てを抱え込まないでください。――承太郎さんだって、ごく普通の人間なんですから。
何でもかんでも1人で背負っていたら、いつかあなたが潰れてしまうのではないかと思うと……心配です」
実際に、原作見てると本当に心配なんだよな。特に6部。
それに今世で助手やってた時も、俺が休憩を促さなかったらずっと働き続けてたし……この人、本当に大丈夫?
……ところで。承太郎から反応が返って来ないんだが?
「承太郎、……さ、ん?」
…………おい。
「何ですか、その顔」
「……顔?」
「――心底安心したかのような、気の抜けた表情なのに……泣きそうな雰囲気、というか」
「っ、」
俺がそう指摘した次の瞬間、その顔が引っ込んで、いつもの無表情に戻った。……何だったんだ?今の。
「君は、……お前は俺の事を、ごく普通の人間として扱い……心配して、くれるのか」
「そうですけど……それぐらい、当たり前の事でしょう?」
「当たり前…………そう、か」
承太郎は深くため息をつき、徐に俺の頭へと手を伸ばす。それからぐしゃぐしゃと頭を撫でられた!
「ちょっ、何ですか!?」
「なあ、志人」
「は、はい?」
「俺の助手を続ける気はあるか?……その気があるなら――これからも、俺を支えてくれないか?」
そんな言葉に驚いて、彼の目を凝視する。……無表情だが、その翡翠の瞳や彼が身に纏う雰囲気から、強く懇願されている事を読み取った。
嗚呼、そうか。……表情にはあまり出ない承太郎の気持ちを理解するには、その目を見て、雰囲気を感じて、それで判断すればいいのか。何だか、最適解を得た気分だ。
「――分かりました。……引き続き、承太郎さんの助手を勤めさせていただきます」
そう言った途端、承太郎が心底嬉しそうな笑みを浮かべたので、思わず二度見した。
なお、後日――
「じょっ、承太郎さん!?何か給料がすげー上がってるんですけど!?これ、普通のバイトに払う金額じゃねぇって!高い高い!!」
「お前という、貴重かつ有能な人材に見合った額だ。素直に受け取れ。あと、俺は余分な金を返されても受け取るつもりは無い」
「そんなっ!?」
――というハプニングが起こった事を、追記しておく。
・海洋学者と仲直りした助手君
徐々に原作崩壊が進んでおり、本来死亡しないはずのキャラが死亡する可能性などを警戒している。バタフライエフェクトがマジで怖い。
なお。"継続は力(以下略)"という自分の発言が、承太郎に多大な影響を与え、それが原作崩壊のきっかけとなった事に、こいつは未だに気づいていない。
原作とは異なり、承太郎と共に船へ向かって老ジョセフと対面。可愛い後輩を大事にして欲しいと頭を下げた。これにはジョセフもにっこり。
そして。原作とは違う展開になった事に焦り、咄嗟にジョセフの身代わりになろうとしたお人好し。承太郎の戦闘の勘が戻っていなかったら、ジョセフも園原もここで死んでいたかもしれない……
レッチリ戦後、手紙を出すという助言通りの行動に出た承太郎に対し、驚愕。それからすれ違っていた事に気づき、無事に仲直りする事が出来た。
改めて助手を引き受けたが、後日給料がヤバイくらい上がった事に気づいて唖然とする。
・助手君と仲直りした海洋学者
戦闘の勘が戻って来ているのは良いが、その弊害として今後の彼の行動が読めなくなった。
園原がジョセフを庇ったのを見て、慌てて時止めして救出。スタンドの特訓を継続していたおかげで、反射的に動く事ができた。
大事な助手と祖父に手を出されて、内心激おこ。弓と矢の情報のために音石を生け捕りにしたが、ついどさくさ紛れに足蹴にしてしまったのはご愛嬌。
園原の助言通り、手紙を書いて妻と娘に届けてもらう事にした。後に返信が来て文通が始まる予定。家族仲も改善していく。
仲直りは出来たし、相手は自分を普通の人間として心配してくれるし、とてもご機嫌。給料だって遠慮なく上げちゃう。
……しかし困ったな。全てを片付けてアメリカへと帰る時、俺はこの最高の助手を手放せるだろうか――?
・激おこの仗助君と形兆ニキ
それぞれの大切な恩人&後輩が危うく死ぬところだったと分かった瞬間、プッツン。
普段はそんなに仲が良くないくせに、こういう時だけ息ぴったり。音石を瀕死の重傷へと追い込んだ。
・大惨事になったレッチリ
園原の言葉に影響された承太郎が、原作から外れて好き勝手に動いた事で、バタフライエフェクトからの、因果応報で大惨事。
原作とは違い、敵側の戦力が倍増したので、ある程度戦ってから素直に降参。
しかし。捕まる事を覚悟した上で一矢報いるために、気絶した振りをしながらその時を待ち、隙を突いてジョセフを狙った。
その結果、スタプラさんによって返り討ちに。黒豹さん、狂犬黒柴君、ぶちギレニキの怒りを買うだけで終わってしまった。無茶しやがって……