シドの勘違い消滅タグはこのためにある。
「護、お前だったのか…」
「初手そのセリフはNG、というかなんでそれ選んだし。」
「えぇいいじゃん、ちょうどいい状況だしさ。」
「それなりに感動する再会の場面なのに、なんでその言葉チョイスなんだよ!」
「いや、だってこういう時はそれっぽいセリフを言うべきじゃん?」
「いやお前の『それっぽい』の基準、どうなってんの?」
割と理想的な展開で再会することはできた、んだけども。
カミングアウトした後の一言目がこれって…やっぱり、こいつのテンションに追いつくのは無理だわ。
あまりにも言動が読めないし、好き勝手行動するしで…まぁ、実だからなぁ。(思考放棄)
というかそれ『勘違いによる悲しい別れ』のセリフだし…感動のシーンが滅茶苦茶だよ。
「というかそれより、どうしたんだよその姿!?すごいカッコいいじゃん!」
「え、あぁ…まぁ少し、な。」
姿のことを訊かれて、咄嗟に適当に答えたが…多分、顔に出てるんだろうなと思う。
姿の話から、自然とあの出来事たちを連想してしまって、気分がちょっとよくない。
…あぁ、雰囲気もよくなくなってる、でもって自分から話を振るのも…
「……ごめん。」
「…お前、空気読めたんだな。」
「流石の僕でもこの状況なら気づくよ、まずいことを訊いてしまったって。」
「ま、お前になら話しても大丈夫だと信じてるし…経緯を説明するよ。」
「ありがとう。」
そこから俺は、すべてを話した。
ルミナス=ノクターンとして、この世界に転生したこと。
訓練して、強くなったこと。
家族を絶対に護ると、誓ったこと。
…その直後に、家族を殺されたこと。
…その後、俺が実験体にされたこと。
…その結果、この人ならざる者のような姿に成ってしまったこと。
…それらすべてが、『ディアボロス教団』という組織の仕業ということ。
…その幹部であろう人物が喋っていたことから辛うじて記憶した、言葉の数々。
…復讐心に侵されて、復讐後の未来を探していること。
…生きるために盗賊狩りをして、情報を探していたこと。
そして…奇跡的にも出会った実に自分の正体を明かすため、色々したこと。
俺がルミナスとして生まれてから今までのすべてを、余すことなく話した。
「これで、全部。どうだった?」
「……………」
「…実?」
再び問いかけても、反応は帰ってこない。
まぁ、自分が実の立場だったとしても、同じような反応はしただろうな。
こうして並べてみると、情報量があまりにも多いし。
「…あぁ、ごめん。ちょっと凄い情報が雪崩のようにやってきて…」
「まぁ実際、凄い情報が凄い数あるわけだしね。」
「危うくブルスクになるところだったよ。」
「あ耐えきれないとブルスクになるんだ…どゆこと?」
「うーん、言った自分でもわからないや。」
相変わらず半ば反射的に会話してるなこいつ。
自分でもわからないことを言うなって、前世でもだいぶ言ったと思うんだけど。
「それで、さ…聞きたいことがあるんだけど、いい?」
「何だ?さっき全部話したと思ったんだが…」
「今までじゃなくて、これからの事…ここから君は、どうするつもり?」
「どうするつもりって言われてもな…とりあえずこれからも、盗賊狩りは続けるだろ?」
「うん、それで?」
「それで…あ待てよ?これじゃディアボロス教団に関する何かしら見つけない限り詰んでね?」
俺は、はたと気づいた。
ずっと「復讐だ」と思っていたが、そのための見つける手段を何も考えていなかった。
で、これまでだいぶ探しても何一つ見つけられてないから…明らかにまずい。
しかも仮に見つけたとしても、その後どうしていくか考えてなかったし…
そこまで考えてようやく自分の無計画さに気づき、軽く絶望した。
いわゆるガバガバチャートってやつじゃん、ダメだこれ。
「あぁ、まだ手がかりが何もないのか。」
「そうなんだよな…で、それが何か?」
「…さっきあんな話をしたばかりだし、気分を悪くさせるのも予想できる。その上で聞くけど…」
「僕と君の目標を合わせて、一緒に目指さない?」
「…え?」
突然の話に、思考が止まる…どういう、ことなんだ?
えーと、実の目標が『陰の実力者』で、俺の目標が『ディアボロス教団への復讐』だから…
「つまり、俺とお前で、『陰の実力者としてディアボロス教団に復讐する』という目標を目指すと?」
「そういうことだね。」
「…いやまぁ、俺としては別にいいけど。」
「本当!?」
「やっぱり一人だとどうしても無力感を感じるからな、仲間は多いほうがいい。」
「質より量、だね。」
「まあそれは実際そうなんだよな、やりすぎはダメだけど…で、なんでいきなりその話を?」
とりあえずしれっと協力関係を結んだことは置いといて…なんでいきなり?
いやまぁ、予想できるよ?
多分自分の陰の実力者ムーブに付き合ってくれる人が欲しいからだろうけど。
「理由が三つあってね。まず一つ目は、単純に協力してあげたいから。」
「君も言ったでしょ?『切磋琢磨しあった親友』って。それ、嬉しかったんだよ。」
「だからそんな親友であると言われた俺が、困っている君に協力してあげないなんてのはあり得ない。」
「君を助けてあげたいって、心の底から思ったんだ。」
…そうはっきり言われると、なんだか照れ臭くなってくるな。
俺が冷静じゃなかったら、思いっきり顔に出てると思う。
いやまぁ、さっきは冷静になれてなかったから顔に出てたと思うけど。
あれ、じゃあこれも顔に出てるんじゃね?
…これ以上このことを考えるのはやめよう、羞恥心でおかしくなりそうだ。
「二つ目に、僕の陰の実力者ムーブに付き合ってくれる人が欲しいから。」
で し ょ う ね 。
「まぁ、これに関しては君もうすうす予想できてるとは思うけどね。」
「実際、一人でカッコつけたセリフばっかり話すのって、精神的にきついんだよね。」
「だから、君がそれに何かしら反応してくれるだけでも気分は楽になると思うんだ。」
「悪いけど、君にはたくさん相手してもらうからね。」
予想できていただけに、たいして思うことはない。
強いて言うなら、頑張ってねとしか。
「そして三つ目…この出会いが『運命』だと思ったからだよ。」
「ん?それってどういう意味だ?」
「…実はね、陰の実力者ムーブをする上で、仮想の悪役を作っていたんだけど。」
「その悪役の名前がね……『ディアボロス教団』っていうんだ。」
「!?」
「そう…君が話してくれたディアボロス教団に関するすべてが、僕の作り話と一致している。」
「僕の作った妄想上の存在が、君の復讐相手である現実上の存在と完全に一致しているんだ。」
「…これを『運命』と呼ばずして、何と呼ぶの?って話だよ。」
…なるほど、そりゃブルスク直前になるわけだ…相変わらず表現が謎だけど。
自分が妄想した悪役が現実に存在していて、しかもすべて一致しているなんてね。
もしやこいつ、とんでもない運命力を持ち合わせているのかもな。
「…『奇跡』、とか?」
「なるほど、確かにそれもいい、ね…」
「っは…俺の陰の実力者としてのムーブが、まさかこの世界に導かれていた……!?」
「いや、違う。もしかして、俺の前世の記憶が、何かしらの力でここに作用して……?」
「違うと言い切れないのが怖いな…もしくは、途轍もない運命力を持っているとか?」
「確かにそれもありうる…俺がこの世界を、変えたのか…!?」
「とまあそれは置いといて…」
「うわぁ急に落ち着くな!」
「その言葉を待ってた!じゃなくて…」
「これが、僕が協力しようと思った理由。」
「僕の目標達成に君の復讐を利用するのは申し訳ないけど…全力で手伝うことは、約束するよ。」
「…わかった、これからよろしく。」
俺とシドは…護と実は固い握手をした…それも、とても固い握手を。
きっと実にとっては普通の握手だけど、俺にとっては違う。
この握手は…『必ずシドを、実を護る』という誓いでもあった。
「ところで、シドって情報収集が得意なのか?」
「え?別に得意じゃないけど。なんだったらちょっと苦手だし…」
「じゃあ…結局ディアボロス教団に関する情報集めに関する進展なくない?」
「ただ、一人から二人に増えたってだけで。」
「…どうしよっか?」
どうやら課題は、未だ残されているようだ。
すんごい書きづらかったっすわ、コレ。
これこそほんとうに怖いんよな…よし、なら催促でもしますか。
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んで…どっちに治させるかなんよな。