橋から少し歩くと建物が立っていた。
ドアの上には大きな文字で「香霖堂」と書いてあった。
「ここが香霖堂か」
「そう、ここは私の店さ。とりあえず中に入って座って話すとしようか」
と言いドアを開く。
中を見てみるとアンティーク品や、コーヒーミル、自分の見たことのない器具などが所狭しとと置いてあった。
「すごいな、どれも年季が入っているが今もなお色褪せない輝きを放っている」
「ああ、そう言って貰えると嬉しいよ。すまないんだが、そこにある椅子を奥まで持って来てくれるかい?」「わかった」
「さて、とりあえず食事としようか。君も随分お腹が減っているんじゃないか?」
「恩に着る。2日何も食べてなくて腹が減っていたんだ」
というとおそらく厨房である方向へ彼が向かっていく。
一人になったのもあり軽く思いにふける。
彼が怖い人じゃなくてよかった。ナズーリンの時も思ったがこの土地の人々は思ったよりフレンドリーなのかもしれない。
それにしてもここが香霖堂か。ここで売っているものを見た感じ、年季の入ったアイテムを蒐集していると言った感じだな。部屋に何かあっただろうか...
そういえばナズーリンはフィギュアを持って行っていたな。後で買い取ったか確認してみよう
あとは...名前も聞いていなかったな。後でそれも聞いてみるか。
「お待たせしてすまないね。今とりあえず準備できる物を持って来たよ」
と言い彼が戻ってくる。
彼が持って来たお盆には朝食で食べるには充分というほどのものだった。
艶々としたハリのあるご飯に黄身が半熟の目玉焼き、カラッとした見た目の干し肉に豆腐とワカメの味噌汁と言った内容だ。
「普段あまり食事を取らないものでね。有り合わせだが食べてみてくれ」
「では早速、いただきます」
まず白米を一口、口に含む。米から溢れてくる甘さを直で感じる。米は少し硬めでしっかりとした食感だ。
すかさず味噌汁を一口。カツオや昆布と言った出汁の風味を感じた後に味噌の風味が口内に広がる。これは、美味い。
干し肉はどうかと箸で取って食べてみる。
肉の旨みが凝縮されていて、噛みごたえがある。しかし全く動物の臭みはしない。
そして目玉焼きの白身部分も食べてみる。どうやら塩コショウの味付けをしてくれているらしい。胡椒というスパイスと塩というアクセントが卵の旨味を引き出してくれている。
気がついたら、もう既に完食してしまっていた。
「...とんでもなく美味しかった。ご馳走様でした」
「それはよかった。口にあったようで何よりだよ」
「さて、ではそろそろ商談に移らせてもらおうか」
「よろしく頼む」
「まず、君についてなんだが部屋ごと転移して来た。と言っていたね。どこに転移して来たんだい?」
「ああ、ナズーリンが言うには無縁塚と言ったところだそうだ。朝目が覚めたらもう部屋ごとって感じだな」
「彼女に会ったのか。なるほど、それならここの名前を聞いたことがあるのは納得だ。で、君は今どうしたい?」
「? どうしたいって言うのはどういうことだ?」
「説明が足りなかったね。君は今、幻想郷に居るっていうのはわかっているとは思うけれど。君が元々いた所に帰ることだって出来るんだ」
「帰ることができる?そんなこと可能なのか」
「勿論さ。君の意思次第にはなってしまうがね」
食事シーンで筆が乗りまくったのでめっちゃ書きました。もっと描写すべきものあるだろ