目が覚めると夜になっていた。ベットのすぐそばにある窓をのぞいてみるともう真っ暗闇といってもいい状態だった。
「おや、目が覚めたか。随分疲れていたようだね」
と、商品を拭きながら霖之助が答える。どうやら店はもう閉じたようだ。
「おかげさまでよく眠れたよ。あんたには助けてもらってばかりだな」
「外からきて疲れているだろうからね。なに、村社会のようなものだと思ってもらえればいいかもしれないね」
といいつつ、近くの商品に布をかける。
「今日は泊っていくといい。おなかはすいているかい?」
「いいや、昼間にいただいたご飯の腹持ちがいいみたいだ。あまりお腹はすいていないかな」
「じゃあ紅茶だけでも入れておこうかな。君も飲むだろう?」
「ああ、いただきたいな」
会話を終えて霖之助は部屋から出ていく。彼には手間をかけるな。
そういえば、こっちの世界に来てからお風呂に入っていないな。彼はどうしているのだろう?
「待たせたね。熱いからやけどに注意しながら飲むといいさ」
「ありがとう。いただきます」
入れてくれた紅茶からは、もものいい香りがした。口に含んでみると、ほのかな甘みとともに口の中に紅茶特有の苦みなどが広がる。
「どうだい、紅茶はお口に合うかな?お茶を自分でブレンドするのに最近はまっていてね」
「風味も出ていてとてもおいしいと思うな、流石だ」
「そういってもらえるとありがたいね。このお茶はまだ誰にもふるまったことがなかったからちょっと不安だったんだ」
「いや本当にいいと思う。何なら毎日飲みたいくらいだな」
「そこまでいうなら売りに出してみてもいいかもしれないね。検討しておこうかな」
「そうだ、ここに来てから風呂に入れていないんだが何かいい場所はないか?流石に数日はいってないのは不潔だと自分で思ってな...」
「ふむ、それなら近くに温泉がある。この時間でも空いているだろうし地図でも書こうか?」
「ああ、頼んだ」
ということで温泉へ向かうことになった。それにしても近場に温泉があるなんて随分といいところに住んでいるんだな、と思う。
鼻歌を歌いながら道を進む。随分とこの近くは整備されているようだ。
soul'd out2曲分くらい歌い終わったくらいか。道沿いに歩いていると奥の方に小さな光が見えてきた。
「あれが温泉か。かなり大きい見た目をしてるな」
建物正面の右側には『温泉 どなたもごゆるりと』と書かれた看板が置いてあった。
感心しながら中に入ると転移前に見た銭湯のような景色が広がっていた。
受付に行こうとすると後ろから声を掛けられる。
「こんにちは!この近くでは見ない顔ですね!どこからいらっしゃったんですか?」
すごい、守屋神社にすら行っていないのになんかすごいのがでてきちゃったぞ~?