部屋ごと幻想入り   作:まはらさばく

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ちょいながめです


じゅうろくわめ

朝、すずめの鳴き声とともに目が覚める。

「よく寝たな...久々に疲れが取れた気がする」

それに気づいてかなのかはわからないが、霖之助が部屋の向こうから声をかけてくる。

「ああ、おはよう。ぐっすり眠れたようだね」

「おかげさまで助かった。本当にありがとう」

「感謝ついでにもう一つ感謝してもらおうかな」

と、いいながら靴を手渡してくる。

 

「あ、そういえば靴はいていなかったな...完全に忘れてた」

「流石に石とか踏んだら痛いだろうからね。これは選別みたいなものさ」

「足のサイズもぴったりだな。今度いい商品を持ってくるから楽しみにしておいてくれ」

「ああ、期待しておくとするよ。これからどこへ行くんだい?」

「そうだな、いったん自分の部屋まで戻ろうと思っててさ。そのあとは何も決めていないや」

「そうか...ま、帰るまでの間まだまだ猶予があるだろうしいろいろ試すのもありかもね」

靴を履きつつ会話をする。これが手製なんだとすればとんでもなく手先が器用なんだろう。

「いろいろアドバイス等助かったよ」

「これでも知識は豊富な方だからね。またわからないことがあったら来るといい、力になれそうなら協力するとも」

しっかりと靴紐を締めて立ち上がる。後ろには霖之助が腕組みをして立っている。

 

「また会おう」

「またな」

 

霖之助と別れて自分の部屋の方向へ歩き始める。久しぶりの帰還な気がする。

来るときに越えた橋を渡る。そういえばこの橋を渡るのも久々だな。

「にしても、最近肌寒いな...来た当時はまだあったかかった気がするんだが...」

などと独り言を言いながら歩いているとけもの道が見えてくる。

一応入る道が間違っていないかどうかをスマホで確認しながら歩き続ける。

 

しばらく歩くと四角い形をしたでっかい塊が、木々の間に見えてくる。

コンクリートの見た目からして確実に自分の部屋だ。

久々の我が部屋にテンションが上がり部屋に向かって走り出す。

 

部屋の正面について扉を開ける。

「我が部屋よ!私は帰ってきたァ!」

「おかえりー、なかなか遅かったね」

「ごめんごめん、近くの探索をしてたら思ったより熱が入っちゃってさ... ん?」

しっかりと部屋の中を見渡すと布団をかぶりながら部屋の中でゴロゴロとしているナズーリンを発見した。

 

「なんで?」

「あー、別の物もなんか貰おうかなって思って昨日来たんだけど君がいなかったからさ、こうして部屋を守っていたわけだよ」

「お、おう...ありがとう...」

「でさ、部屋を死守した報酬が欲しいんだけど、なんかもらってもいい?」

「わかった、なんかあげるからちょっとだけ待っててくれ」

 

水を汲んできた電気ポッドを使って水を沸かす。あったかいお湯を部屋で使えるようになったのは革新すぎるな。

「へぇ、そんなのもあるんだ。お湯を簡単に沸騰させることができる機械なんてみたことがないや」

「自分がいた世界でもこれは革新的な機械だったよ。めっちゃ使い勝手いいし」

「ふーん...」

なんて会話をしていると電気ポットがカチッと音を立てて沸騰したことを伝えてくれた。

 

紙コップにたまたま部屋に置いていたカップスープをお湯で溶いてナズーリンに渡す。海老のビスクのやつだ。

「うーん、やっぱりこの味だよな。コトコトシリーズで一番好きだね」

「こんな簡単にスープを作れるなんてそっちの世界はすごいんだねぇ」

「...流石に電気ポッドは渡さないからな」

「ちぇっ、残念。普段使いにもよさそうな感じしたんだけどなぁ...」

 

「さて、報酬の話だけど。何が欲しいんだ?」

「うーん、迷うねぇ。割と本気で電気ポッドが欲s「駄目だ」だよねぇ」

「電気ポッド系の使いやすいもので言えば何かあったかな」

と思い、部屋の中を探し出す。電子レンジや電気ポッドは使い勝手いいからあげたくないな...

なにかいいものは...あったな。これにするか。

そういって物品を棚から取り出す。

 

「なにこれ?」

そういって疑問になるナズーリンに説明をする。

「これはデスクライトと言ってこんな風にテーブルに置いて使うものだ」

今回出したデスクライトは電池で動くもので、根元にスイッチが一つと横に動かせそうなレバーが一つついている。

 

まずはスイッチを押す。ピカッと電気が付いた。

「結構まぶしいんだね、これ」

「そんな時にはここのレバーを横にスライドすると...」

電源横についている調節レバーを引くと光が弱くなっていく。

「おー、調節もできるんだね。夜に書き物をするときとかに使いやすそうだ」

「そうそう、大体そんな感じで使える感じだ。結構使えそうじゃない?」

「確かにこれは使いやすそうだねぇ」

そういってナズーリンは物品を品定めする。普段からいいものを見る審美眼は鍛えられているはずだ。

 

「うん、じゃあこれにするね。部屋でぬくぬくしただけでこれがもらえるなら十分だよ」

「ん?うん...それならよかった」

 

もしかして物をとられただけか?これ




久々に一日休みだったのでちょい長めです。
なんかナズーリンっていいよね。
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