ドレミコードの従者は元人間   作:プロッター

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第一部序章
第1話:知らない世界


 頭の天辺から爪先まで、肉や骨を潰されているかのように痛い。自分がうつ伏せに倒れているのは理解できても、その痛みで起き上がれない。目を開ける事すらつらかった。

 

「大丈夫ですか? 聞こえますかー?」

 

 不意に声が響く。声の感じからして少女のようだ。

 何とかその声に反応を示したいが、声は出ないし、手足も自由に動かせない。

 

「んー……脈はあるから、生きてはいるっぽいけど……」

「どうしましょう……今は私たちしかいないのに……」

 

 誰かが手首に触れてきたと思ったら、別の少女の声が聞こえた。手袋を嵌めている、と感触で分かるくらいには触覚が機能しているらしい。

 聞こえてくる声で、心配しているのは分かった。

 正直、頭も体もそこらじゅうが痛い。けれど徐々に痛みは引きつつある。それに、知らない誰かにこれ以上心配をかけるのも申し訳ないと思ってしまう。

 だから、自分の身体に鞭を打って、どうにか体を起こした。

 

「あっ、起きた!」

「大丈夫ですか!?」

 

 喜ばしそうな、そして案じるような2人の声。

 頭を軽く振って、ゆっくりと眼を開ける。視線を上げると、やはり2人の少女の姿が目に入った。

 1人は、白のトップスとピンクのスカートに、焦げ茶色の髪をおさげにした子。もう1人は、黄色い髪を後ろで縛り、白いシャツの上から赤いベストを着てスパッツを履く少女。どちらも、自分より年下と見える。

 

 どういうわけか、2人の声を聞いたのは初めてなのに、その姿はどこかで見たような気がする。

 

「だ、大丈夫ですか?」

「……ああ、何とか」

 

 おさげの少女が尋ねてくる。偏頭痛とも違う頭の痛みや重さはまだ残っているし、身体もだるくて立ち上がれない。けど、受け答えはできるぐらい意識ははっきりとしてきた。

 それにしても、どうしてこんな状態になっているのか。

 

「えーと、お兄さん、お名前は?」

「俺……? 俺は……」

 

 今度は黄色い髪の少女が尋ねてきた。

 聞かれて、自分の名前を言おうとした。けれど。

 

「名前、名前……」

 

 肝心なそれが思い出せない。

 

「俺は……あれ?」

「ヤバい! 『キューティア』、お水持ってきて!」

「は、はいっ!」

 

 そんな反応を危篤と判断したのか、ズバッと黄色い髪の少女がおさげの少女に指示を飛ばす。

 そこで耳にした『キューティア』という名前。2人の姿と同様、その名前には聞き覚えがあった。自分の名前は思い出せないのに。

 

「えっと、ちょっと待ってて」

 

 黄色い髪の少女が傍に膝をつくと、腰に提げていた細長いケースから細く白い棒を取り出す。

 直後、少女の目の前に何かが現れた。その少女と同じ黄色い髪で、赤をベースにした袖の長い服を着ている。だが頭身が非常に低く、女の子というより妖精と表したほうがいいサイズだ。しかも楽器のアコーディオンを持っている。

 

「いくよ」

 

 そして、黄色い髪の少女が細い棒を振り始めた。規則性を持った動きのそれで振っているのは指揮棒(タクト)だ。

 その動きに合わせて、黄色い髪の妖精もアコーディオンを奏で始める。何の曲かは分からないが、明るい感じがした。

 

「……おぉ」

 

 それを聞いていると、自然と身体のだるさや痛みが徐々に薄れてきた。泥にまみれたような思考も、少しずつ正常になっていくのを感じる。

 

「どうかな。気分がよくなるように演奏してみたんだけど……」

 

 少しの間演奏をし、こちらの変化を察したのか黄色い髪の少女が様子を尋ねてくる。アコーディオンを持った妖精も、演奏を止めて不安そうにこちらを見た。

 

「ああ……だいぶ楽になったよ。ありがとう」

「ホント? よかったぁ~」

 

 さっき目覚めた直後と比べて、ずっと気分がいい。黄色い髪の少女は、安心したようにほっと息を吐く。アコーディオンを持つ妖精は得意げに頷いた。

 

「『ファンシア』さん、お水持ってきました~!」

 

 そしてそこへ、お下げの少女――キューティアと呼ばれた少女が戻ってきた。手には水の入ったコップがある。

 

「さ、どうぞ」

「ありがとう」

 

 キューティアから受け取り、ゆっくりそれを飲む。常温のそれが身体に流れ込むと、ようやく身も心も落ち着いた。深く息を吐く。

 

「助かったよ、ありがとう」

「いえいえ。でも、お兄さんはどうやっててここに……?」

「大丈夫? どこから来たとか、覚えてる?」

 

 落ち着いたところで、キューティア、そして『ファンシア』と呼ばれた黄色い髪の少女から問われる。

 先ほどより意識ははっきりしている。これまでの記憶を思い出すのも難なくできた。どこから来たかも、今まで何をしていたかも分かる。

 だが、思い返せば返すほど、今の状況がありえなかった。そして肝心の名前は、思い出そうとすると頭にノイズが走り、視界も黒く塗りつぶされるような錯覚に陥って、結局思い出せない。

 

「……ここは、どこ?」

「『ドレミ界』という場所です」

「ドレミ界……?」

「そ。ボクたちの住んでる世界だよ」

 

 とにかく、今の状況を知りたい。質問してみると、2人は後ろを振り返りながら答える。さらに、こちらが見やすいように身体をどかしてくれた。

 けれど、その景色を目にしても、自分の置かれている状況が分からない。どころか、一層現実味を感じられなくなった。

 目の前には、絵画のような黄色い大地が広がっていた。ビルなどの近代的な建物は見る限りなく、少し離れた場所にあるのは西洋風の噴水。空は薄いピンク色で、白い雲の合間には島のような岩まで浮かんでいる。

 

「本当に……?」

 

 正気を疑う光景に、息を吐きながら間抜けな声が漏れる。また容態が悪くなったのかと、キューティアとファンシアが声をかけてくるが、余計に頭がどうにかなりそうだった。

 見覚えのある2人の姿。

 聞き覚えのあるその名前。

 『ドレミ界』と呼ばれる世界。

 そして、ここへ来るまでの自分の記憶を照らし合わせると。

 

 彼女たちは、デュエルモンスターズの「ドレミコード」であり、ここは彼女たちが住んでいるという「設定」の世界という事になる。

 

「マジか……」

「あの……」

「あ、いや……。大丈夫、独り言だ」

 

 右手で額を抑える。心配そうなキューティアに対し、笑顔を取り繕う。

 同時に、冷静に自分の置かれている状況を整理しようと努めた。

 

 遊戯王デュエルモンスターズ。

 これまで住んでいた世界においては、世界的に有名なトレーディングカードゲームだ。アニメが放送されて、何万種類とカードがあり、大会も大小問わず開かれ、今なお多くのファンに支えられている。

 自分自身、子供の時からデュエルモンスターズで遊んでいた。といっても、友達同士、仲間内で戦うのが基本で、大会に出たりはしていない。せいぜいが小さなオフ会に何度か参加するぐらいだ。

 

 そんな自分が今、そのデュエルモンスターズの「ドレミコード」の世界にいる。

 そんなの、何かの悪い冗談としか思えない。

 ここに来る直前に何があったかは思い出した。だからこそ、今見ているこれは、夢か幻覚かもしくはそれに近い何かだろう。

 たまらずに、空を見上げる。呆ける自分をどうしたらいいのか、キューティアとファンシアは顔を見合わせていた。そんな彼女たちの頭上に広がる薄いピンク色の空は綺麗だった。

 けれど。

 

「……あれは何だ?」

「え?」

「あれって……」

 

 ひとつ、気になるものが見えた。指さすと、キューティアとファンシアも、そちらを見上げる。

 空のある一点。飛行機雲などとは違う、皹のような線が空に入っていた。

 

「何でしょう……初めて見ました」

「ボクも……っていうか、あの皹、まだ広がってない?」

 

 ファンシアに言われて、注意深く見てみる。確かに、空に生じた皹は、今も蜘蛛の巣のように広がり続けていた。

 明らかな変化が生じたのは、次の瞬間。

 ガラスが割れるような音と共に皹割れた空が砕け、そこから黒い煙が降り注がれた。

 

「うわっ!?」

 

 煙から距離を取るように後ずさる。先ほどまで身体が動かなかったのに、やけに俊敏な動きができたのは生存本能だろうか。キューティアとファンシアも、その煙から避けつつこちらを庇う姿勢を取って様子を窺う。

 やがて黒い煙が収まり、空は元に戻った。

 そして、煙が降り注いだ黄色い大地には誰かが立っている。メタリックな黒いスーツで全身を覆っていた。頭には、目の部分に三日月のような模様が入ったヘルメットを被っていて、髪も肌も全く見えない。金属質な感から、鎧と兜のようだ。

 

『邪魔をさせてもらうぞ?』

 

 その黒い鎧の人物は、ヘルメットによるものかくぐもった声で問いかける。声からして男だが、敵意は剥き出し。友好的な目的でここに来たとは考えにくい、と俺でも分かる。

 

「……あなたは何者ですか」

『歪な世を正し、秩序を成す者だ』

「なるほど……。まともじゃなさそうだね」

 

 キューティアの質問への答えは、名前ではなく目的のような、ひどく抽象的なもの。ファンシアのコメントには全面的に同意する。

 それにしても、キューティアだって今の事態には戸惑っているだろうに、先んじて前へ出た。そして、得体の知れない鎧の男に話を持ちかけている。見た目に反して物怖じしない性格らしい。

 

「何が目的でしょう」

『君たちと手を組みたい、我が目的のために。協力するなら、今は大人しく引き下がろう。この世界もそのままにしてやる』

 

 あの男が言う目的は、様々な意味に捉えられる。が、平和的なものとは到底思えない。自分如きがそれを理解できるなら、キューティアたちにも分かるだろう。

 

「……お断りします、と言ったら?」

 

 案の定の答えを返すキューティア。横にいるファンシアを窺うが、こくこくと頷いている。登場の仕方、雰囲気、目的からして、何の迷いもなく「喜んで」とは言えまい。

 鎧の男もその返事は予期していたらしく、左腕を掲げた。

 

『実力行使』

 

 すると、掲げた左腕の部分からブレードのようなものが展開された。しかもよく見ると、左手首に近い部分にはデュエルモンスターズのカードらしきものがセットされている。

 

「デュエル、ですか……」

『その通り』

 

 やはりここはデュエルモンスターズの世界らしい。いざこざはデュエルで決着をつける。話し合いは意味がない。アニメの遊戯王も大体そんな感じだった。

 ただ、「デュエル」と聞いてキューティアは躊躇いを見せた。もしかしたら、デュエルの方は苦手なのかもしれない。その反応を見て鎧の侵略者はため息をついた。

 

『歯向かう割に戦う術を持たないとは。虚勢ほど空しいものはないな』

「……っ」

 

 尊大な言葉にキューティアは言葉に詰まる。ファンシアはそれを聞いて歯ぎしりをしているが、彼女もデュエルの腕に自信がないらしく、どうすべきか迷っている様子だ。

 すると、侵略者がこちらに顔を向ける。

 

『そこの人間、貴様はどうだ?』

「え……?」

『ここにいるなら貴様もこの世界の端くれだろう? ならば戦わない理由もあるまい。丁度()()()()()()()()ようだしな』

「何を……」

 

 勝手に話を進めるのに反論しかける。だが、侵略者は無言で俺を指さした。

 正確には、左腕を。

 

「これって……」

 

 示された場所……左腕には、ワインレッドと金色で構成された、何かの機械が付けられていた。皿のような円形のそれは、天板に液晶画面が取り付けられ、手首に当たる部分のスロットにはデュエルモンスターズのカードの束がセットされている。

 直感で、デュエルディスクだと気づいた。なぜ今まで気づかなかったのか。改めて触れてみるが、機械質な見た目と質感に対し、腕時計ぐらいの重さしか感じない。どういう理屈と仕組みなのか。

 

『さあ、どうする? 選択肢はそうないと思うがな』

 

 そして今や、侵略者は俺の方しか見ていない。

 キューティアもファンシアも、デュエルには自信がないらしい。それでも侵略者の提案を飲み込むつもりはない。であれば、ここで言いなりになるか、デュエルに応じるか。そして勝たなければ、この「ドレミ界」には必ず良くないことが起こる。

 となると……。

 

「……分かった」

 

 今見ているこれが、夢か現実かは分からない。だが、夢でこのままだと目覚めが悪いし、現実だともっとよくない。それに、女の子に庇われ助けてもらったままなのも何だか釈然としなかった。

 そして、確かに自分は決闘者(デュエリスト)である。

 だからどうにか立ち上がり、前へ出ようとする。だが、そこでキューティアが抗議するように前に立った。

 

「ダメです、あなたはさっきまで倒れてたんですよ!?」

「そうだよ! あいつは絶対ヤバいって!」

「ありがとう。だけど、このままだと2人もこの世界も無事じゃ済まないと思う」

 

 ファンシアも止めようとするが、2人に対しては微笑んでみせる。

 病み上がりなのは身を持って理解している。だが、体の調子はほとんど戻っていた。デュエル程度なら問題ないだろう。

 それに、あの侵略者が只者じゃないのは十分伝わっている。言動はまともじゃないし、真正面から戦うのも少しだけ怖い。

 それでも。

 

「それなのに、このまま黙って見過ごすなんてできない」

 

 そう言って、キューティアやファンシアに離れるよう告げて、侵略者と向かい合う。そして左腕を構えると、デュエルディスクが自動的に展開された。モンスターゾーンは五線譜を模したデザインになっている。

 

『では、いざ尋常に』

 

 鎧の男もデュエルディスクを構える。傍若無人な物言いが目立つが、礼儀はしっかりしている方なのかもしれない。

 

『「デュエル!」』

 

■■ LP4000

VS

侵略者 LP4000

 

 液晶画面にライフポイント、さらに『SECOND』という文字が表示された。後攻という意味だろう。

 そしてお互いに、最初の手札である5枚をドローする。

 

(やっぱりか……)

 

 ドローする前から何のデッキかは予想していた。そして手札を見て、その通りなのを確認する。

 だが、最初はあちらのターンだ。慎重に見極めなければ。

 

『こちらからゆくぞ。我は魔法カード《影依融合(シャドール・フュージョン)》を発動。手札・フィールドのモンスターを素材とし、「シャドール」の融合召喚を行う』

「【シャドール】か……」

『我は手札の《シャドール・リザード》と《シャドール・ビースト》を融合!』

 

 フィールドに毒々しい色の渦――《融合》のイラストに描かれているものと同じだ――が出現し、侵略者の手札にある2枚のカードが吸い込まれた。

 こんな状況にもかかわらず、ソリッドビジョンシステム(と仮定する)でデュエルの演出を間近で見られる事に、妙な昂ぶりを覚えてしまう。

 

『地を這う闇の竜よ、常闇に吠える獣と混じりて、暗黒を彷徨う龍使いへと変貌せよ! 融合召喚! 出でよ、《エルシャドール・ミドラーシュ》!!』

 

 融合の渦が輝きを放ち、禍々しい龍を操る緑の髪の人形が現れる。

 それが姿を見せた瞬間、空気が重くなったのを感じた。

 

エルシャドール・ミドラーシュ

ATK2200 レベル5

 

『そして、融合素材となったビーストとリザードの効果を発動。リザードの効果により、デッキから「シャドール」のカード1枚、《影霊の翼(リーシャドール)ウェンディ》を墓地へ送る。さらにビーストの効果で、カードを1枚ドローする!』

 

 「シャドール」は、メインデッキに入るモンスターはほぼ全てリバースモンスター。そして、リバースしたり効果で墓地へ送られると効果を発揮する、融合召喚を軸に戦うテーマだ。俺は【シャドール】デッキを持ってはいないが、展開力と制圧力の高さは話に聞いている。

 

『そして、墓地へ送られたウェンディの効果を発動。このカードが効果で墓地へ送られた場合、デッキから自身以外の「シャドール」を裏守備表示で特殊召喚できる。我は《シャドール・ファルコン》を特殊召喚」

 

 フィールドに巨大な魔法陣が出現する。そこから緑色の糸が侵略者のデッキへと伸び、1枚のカードをフィールドに呼び寄せた。

 

シャドール・ファルコン

DEF1400 レベル2

 

 侵略者のフィールドに、丸いフォルムの黒い鳥が出現したが、すぐさま裏側守備表示状態になった。

 

『そしてカードを1枚伏せてターンエンド。ちなみに、ミドラーシュが場にいる限りお互いに1ターンに1度しかモンスターを特殊召喚できない。覚えておく事だ』

 

 1ターン目は特に大きな展開をしてこなかった。ただし、ミドラーシュというそれなりに厄介なモンスターを残して。

 皮肉に聞こえる忠告を聞き流し、デッキに指をかける。机の上でのデュエルなら数多く経験したが、デュエルディスクを使ったデュエルは流石に初めてだ。ドローにさえ緊張が走る。

 

「俺のターン、ドロー!」

「頑張ってください、お兄さん!」

「頑張れー!」

 

 ドローしたところで、キューティアとファンシアから応援された。それに対し、俺は頷いてドローカードを見る。

 このデッキで知る限り、かなり良い方の初手と言えた。

 

「《ドドレミコード・キューティア》を召喚!」

 

 フィールドに現れたのは、今まさに応援してくれたキューティアと同じ姿のモンスター。ミドラーシュが場に出た時も思ったが、自分の知っているモンスターがこうして立体映像で出てくるのは何とも不思議で、そして高揚する。

 

ドドレミコード・キューティア

ATK100 レベル1

 

「え、『ドレミコード』って……」

 

 そして、フィールドに出てきたモンスターを見て、キューティア自身は困惑していた。ファンシアも驚いているらしい。

 もしかしたら、「ドレミコード」はこちらの世界ではそこまで流通していないのだろうか。あるいは、こんな野郎が女の子のモンスターを使うのに少なからず引いているのか。後者ならちょっと凹むが、今はデュエルだ。

 

『攻撃力100……ただの雑魚ではあるまい』

「その通りだ。キューティアを召喚した事により、デッキから自身以外の『ドレミコード』ペンデュラムモンスター1体を手札に加えられる」

 

 攻撃力で判断しないあたり、向こうもデュエルには慣れているらしい。

 すると、液晶画面が突然切り替わり、「SELECT」の文字と共にデッキの「ドレミコード」ペンデュラムモンスターが一覧で表示された。音声認識機能だろうか、その便利さを実感するのは後にし、画面をスライドさせて目当てのカードを探す。

 同時に、どのカードがどれぐらいの割合で入っているのかも確かめさせてもらった。何せ、デュエル前にそれは確認できなかったから。

 

「俺は《ソドレミコード・グレーシア》を手札に加える」

 

 目当てのカードをタップすると、自動でデッキからカードが1枚せり出された。確認すると、確かにグレーシアだ。

 

「そして俺は、スケール2の《シドレミコード・ビューティア》と、スケール7の《レドレミコード・ドリーミア》で、ペンデュラムスケールをセッティング!」

 

 さらに、手札の2枚の「ドレミコード」を魔法&罠ゾーンの両端にセットすると、モンスターゾーン上に色鮮やかな「PENDULUM」の文字が出現する。

 そしてフィールドの両端に光の柱が出現した。その中には、白いドレスを着る水色の髪の糸目の女性・ビューティアと、明るい茶髪にレモン色の服の少女・ドリーミアがいる。

 

「キューティアの効果で、俺のペンデュラムゾーンに偶数のペンデュラムスケールが存在する場合、俺の『ドレミコード』ペンデュラムモンスターの攻撃力は、自身のペンデュラムスケール1つにつき100ポイントアップする。キューティアのスケールは8、よって攻撃力が800ポイントアップ!」

 

ドドレミコード・キューティア

ATK100→900

 

「さらにこれで、レベル3から6のモンスターが同時に召喚可能!」

『む……』

「ペンデュラム召喚! 《ソドレミコード・グレーシア》、《ラドレミコード・エンジェリア》!」

 

 声に合わせて天に広がった穴から、2体のモンスターが新たに降り立つ。深い紫のドレスを着る薄紫のロングヘアの少女・グレーシアと、銀髪にオレンジのドレスを着た女性・エンジェリアだ。

 召喚口上を言う度胸は今のところない。

 

ソドレミコード・グレーシア

ATK2100 レベル5

 

ラドレミコード・エンジェリア

ATK2300 レベル6

 

『ペンデュラム召喚か……』

 

 侵略者の男が悔しがっている。

 昨今のデュエルの高速化により、1ターンに何回も特殊召喚をするテーマも多い。だからミドラーシュの制約は、今でもデッキによっては刺さる。しかもその攻撃力は2200、さらに効果で破壊されない。これを突破するにはひと工夫が必要だ。

 けれどペンデュラム召喚は、レベルと条件次第で一度に最大で6体ものモンスターをフィールドに出せる。メインデッキのモンスターがペンデュラムモンスターのみの「ドレミコード」は、ミドラーシュの影響を全くとは言わないがあまり受けないのだ。

 

「グレーシアが特殊召喚した事により、デッキから『ドレミコード』の魔法・罠カード1枚を手札に加える事ができる。俺は《ドレミコード・ハルモニア》を手札に!」

 

 再びデュエルディスクを操作し、このデッキのキーカードでもあるフィールド魔法を手札に加えつつ、デッキの魔法・罠カードの比率も確かめる。手札に加えたハルモニアは、フィールドの状況を鑑みて温存する事にした。

 

「そしてキューティアの効果で、『ドレミコード』ペンデュラムモンスターの攻撃力はそのスケール×100ポイントアップ!」

 

 すると、グレーシアの頭上に「4」、エンジェリアの頭上に「3」の数字が現れた。それはそれぞれのペンデュラムスケールと同じだ。

 

ソドレミコード・グレーシア

ATK2100→2500

 

ラドレミコード・エンジェリア

ATK2300→2600

 

「バトル! まずはエンジェリアでミドラーシュを攻撃!」

 

 エンジェリアがタクトを振るうと、音符を纏ったオレンジの波動がミドラーシュへと向かう。音からして炎のようなものなのか、ミドラーシュは燃え尽きて消え去った。

 

侵略者 LP4000→3600

 

『我はこの瞬間、墓地へ送られたミドラーシュの効果を――』

「悪いが、それはできない」

『何?』

「グレーシアの効果で、俺のペンデュラムゾーンに偶数のペンデュラムスケールが存在し、俺の『ドレミコード』ペンデュラムモンスターが攻撃する場合のダメージステップ終了時まで、お前はモンスターの効果を発動できない!」

 

 「シャドール」の融合体が、どのような形であれ墓地へ送られると、墓地の「シャドール」魔法・罠カードを手札に戻せるのは知っている。だから、リバースモンスターも多い「シャドール」にグレーシアの効果は覿面だ。

 

「続けて、グレーシアで裏守備表示の《シャドール・ファルコン》を攻撃!」

 

 今度はグレーシアがタクトを振ると、青い四分音符が周囲に無数に出現し、リバースした《シャドール・ファルコン》へと殺到する。だが、その効果はグレーシアの効果によって発動できず、四分音符に串刺しにされた《シャドール・ファルコン》は消滅した。

 

「最後はキューティアでダイレクトアタック!」

『ならば、リバースカードを――』

「エンジェリアの効果で、ペンデュラムゾーンに奇数のスケールが存在し、『ドレミコード』ペンデュラムモンスターが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードの効果を発動できない!」

『……っ!』

 

 伏せていたカードを発動しようとした侵略者は、それも阻まれるとこちらを睨めつけるように顔を下に向ける。

 エンジェリアとグレーシアの効果が噛み合えば、こちらの攻撃はほとんど妨害されなくなる。それがこのデッキの強みのひとつだ。

 キューティアがタクトを振ると、チョコレート色の巨大なト音記号が出現し、回転しながら侵略者へと飛んでいく。侵略者はデュエルディスクでガードしたが、後ろにのけぞった。

 

『く……ッ!』

 

侵略者 LP3600→2700

 

「おっ、キューティアの攻撃変わってるね」

「言わないでくださいっ!」

 

 観戦しているファンシアとキューティアがそんな事を言っている。俺としても、キューティアの攻撃方法はちょっと独特だと思った。

 さて、もう少し手札が揃っていれば、このターンで勝負を決められたかもしれない。だが、「シャドール」相手にこれなら十分だ。

 

「メインフェイズ2にエンジェリアの効果を発動。自分フィールドの『ドレミコード』ペンデュラムモンスター1体をリリースして、そのモンスターとペンデュラムスケールの差が2つの『ドレミコード』ペンデュラムモンスター1体をデッキから特殊召喚する!」

 

 ここで呼び出すモンスターは一択だが、リリースするモンスターは少し迷う。だが、後の事を考えて選んだのは。

 

「スケール4のグレーシアをリリースし、スケール6の《ミドレミコード・エリーティア》を守備表示で特殊召喚!」

 

 グレーシアが光の粒子と共に消え、新たにフィールドにモンスターが呼び出される。水色のドレスとウェーブがかった黒のボブカット、そして眼鏡をかけた少女だ。

 

ミドレミコード・エリーティア

DEF400 / ATK1100→1700 レベル3

 

「フィールドでリリースされたペンデュラムモンスターは、エクストラデッキに加わる」

 

 すると、デュエルディスクのデッキとは反対側の部分がわずかに開いた。そこがエクストラデッキなのだろう。

 そして、グレーシアをそこに置く前から、そこにはカードがなかった。

 

「さらに、特殊召喚したエリーティアの効果を発動。相手フィールドの魔法・罠カード1枚を手札に戻す!」

 

 エリーティアがタクトを取り出すと、その先端に泡が浮かび始めた。

 

『ならば我は、この罠カード《針虫の巣窟》を発動! 我のデッキの上からカードを5枚墓地へ送る!』

「一気に5枚も……」

 

 だが、バウンスしようとしたカードを発動された。そしてキューティアはその効果に驚きを示す。

 自身のデッキを破壊する行為は、デッキ切れを早める行為だが、同時に第二のデッキとも言われる墓地を肥やす事ができる。それに、【シャドール】は効果で墓地へ送られた時に効果を発動するカードが多いから、至って無難な採用カードだ。

 フィールドに出現した魔法陣に、侵略者のデッキの上から5枚のカードが吸い込まれる。だが、侵略者の男は唸った。

 墓地へ送られたカードは公開情報として、こちらのデュエルディスクにも表示されていた。送られたのは《堕ち影の蠢き》《魂写しの同化(ネフェシャドール・フュージョン)》《影牢の呪縛》《魂源への影劫回帰(プルシャドール・アイオーン)》《影依の原核(シャドールーツ)》。モンスターが1体もいないので内心ほっとする。

 

『効果で墓地へ送られた《影依の原核》の効果により、墓地から別の「シャドール」魔法・罠カード1枚を手札に戻す。我は《影依融合》を選ぶ』

「俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

 ターンを終えたところで、このデッキの出所を疑問に思う。

 キューティアとグレーシアの効果でデッキのカードを確認した際、このデッキの9割近くが「ドレミコード」で構成されているのが分かった。さらに()()()()()()()()が1体だけだったり、魔法・罠カードの枚数も考慮すると、メインデッキに関しては自分が紙で持っているデッキと推測できる。

 けれど、エクストラデッキは元々0枚だった。持っていたデッキは、エクストラデッキにリンクモンスターやエクシーズモンスターを数種類入れていたのに。何故、エクストラデッキだけはないのか。

 それにしても、あちらが【シャドール】でこちらが【ドレミコード】、効果もママならカードプールとルールはOCG準拠と見ていいだろう。それで初期ライフが4000はかなりハードだなと思わなくもない。

 

『我のターン、ドロー!』

 

 そんな事を考えていたら、侵略者が苛立たし気にカードをドローした。思ったような妨害ができず、一方的に展開を許してしまったのが悔しいのか。

 だが、ドローしたカードを見た瞬間。

 

『……』

 

 侵略者の空気が変わったように感じた。ヘルメットを着けているので表情は分からないが、何となく笑っているように見える。

 

『我は魔法カード《貪欲な壺》を発動。墓地のモンスター5体をデッキに戻してシャッフル、その後2枚をドローする』

 

 侵略者の墓地には「シャドール」が丁度5体いる。侵略者は墓地からそれらを取り出すと、デッキとエクストラデッキに戻す。そして自動的にデッキがシャッフルされ、2枚を新たにドローした。

 

『《影依融合》を発動。手札の《シャドール・ヘッジホッグ》、《影依の炎核(ヘルシャドール)ヴォイド》を融合する!』

 

 再び現れる毒々しい渦。効果の有用性を鑑みるに、ヘッジホッグはさっきの《貪欲な壺》でドローしたのだろう。

 

『闇に潜む小さき命よ、業火の巨人とひとつになり、深淵より異形を呼び覚ませ! 融合召喚! 出でよ、《エルシャドール・アプカローネ》!!』

 

 出現したのは、巨大なヒレを持つ魚が下半身の、青い髪の人形。手に持っている杖には鏡がついていた。

 

エルシャドール・アプカローネ

ATK2500 レベル6

 

『特殊召喚したアプカローネ、墓地へ送られたヴォイド、ヘッジホッグの効果発動! ヘッジホッグの効果で、デッキから自身以外の「シャドール」を手札に加える。我が加えるのは《シャドール・ビースト》。そしてヴォイドの効果で、フィールドのモンスターの属性の種類だけ、我のデッキの上からカードを墓地へ送る!』

 

 侵略者の声に合わせて、フィールドの全てのモンスターの脇に属性が表示された。アプカローネは闇、キューティアは地、エリーティアは水、エンジェリアは炎。『ドレミコード』の属性がばらけているのもあって、侵略者に4枚の自己デッキ破壊を許してしまった。

 4枚のカードをめくった侵略者は、誇らしげにそれらをこちらに見せる。

 

『墓地へ送られるのは《おろかな埋葬》《神の写し身との接触(エルシャドール・フュージョン)》《シャドール・ドラゴン》《星なる影(ネフシャドール)ゲニウス》!』

 

 さっきとは違い「シャドール」が2体。これは少しまずい。

 

『そしてアプカローネの効果! 相手フィールドの表側表示カード1枚を対象とし、そのカードの効果を無効にする。我が対象にするのはキューティア!』

 

 アプカローネの杖につけられた鏡から青い糸が伸び、キューティアを縛り上げる。縛られたキューティアは、髪、瞳、肌、服が灰色一色になってしまった。

 

「ああっ……」

 

 そして、観戦するキューティアもまた、自身の姿を見て悲しそうな声を漏らした。勿論、使っている俺もモンスターがこんな姿になってしまうのは悲しい。

 

『キューティアの効果が無効になったため、お前のフィールドのモンスターの攻撃力も元に戻る!』

 

ドドレミコード・キューティア

ATK900→100

 

ミドレミコード・エリーティア

DEF400 / ATK1700→1100

 

ラドレミコード・エンジェリア

ATK2600→2300

 

『墓地へ送られた《星なる影ゲニウス》と《シャドール・ドラゴン》の効果を発動! まずはドラゴンの効果で、相手フィールドの魔法・罠カード1枚を破壊する。《レドレミコード・ドリーミア》を破壊!』

 

 ペンデュラムスケールの高いドリーミアを選んだのは、高レベルモンスターのペンデュラム召喚を封じるためだろう。またしても地面に魔法陣が出現し、漆黒の糸が伸び始める。

 

「カウンター罠《ドレミコード・フォーマル》を発動! 自分のペンデュラムゾーンに『ドレミコード』が存在し、相手が効果を発動した時、エクストラデッキの『ドレミコード』ペンデュラムモンスター1体をデッキに戻して発動する!」

 

 エクストラデッキからグレーシアのカードを取り出し、デッキに戻す。

 直後、漆黒の糸がドリーミアへと殺到するが、色とりどりの音符と五線譜で彩られたバリアがフィールドを覆い、糸は弾かれた。

 

「これにより、その発動した効果を俺の『ドレミコード』ペンデュラムモンスターは受けず、その効果でペンデュラムゾーンの『ドレミコード』は破壊及び除外されない」

『まだだ。ゲニウスの効果で、対象とした相手モンスター1体はこのターン、フィールドで発動する効果を発動できない! 我はエリーティアを対象とする!』

 

 未だフィールドに残る魔法陣から、何かの破片のような茶色の物体が飛来し、エリーティアに降り注がれる。エリーティアは不快そうな表情を浮かべた。

 

『バトルだ。アプカローネでキューティアを攻撃! ドゥーム・オブ・ディープ!!』

 

 侵略者の声に合わせ、アプカローネが杖を再び構え、取り付けられた鏡から水色の糸が無数に伸びてくる。さらに、下半身の魚の口から白いエネルギー弾が放たれた。糸が絡むように纏わりついたエネルギー弾を正面から受け、キューティアは破壊されてしまう。

 

「すまない、キューティア……」

 

 その時、破壊された事による衝撃が身体を叩く。感じるのは熱ではなく、冷たさだった。アプカローネの基になっているモンスターが水属性だからかもしれないが、ソリッドビジョンにしては随分と現実味を帯びている気がする。

 

■■ LP4000

 

「あれ、ライフが……」

 

 そして、観ていたファンシアは不思議そうに呟いた。本来なら2400の戦闘ダメージが発生しているはずだからだろう。

 

「エリーティアの効果により、俺のペンデュラムゾーンに偶数のペンデュラムスケールが存在する場合、『ドレミコード』ペンデュラムモンスターのバトルで受けるダメージは0になる!」

『なるほど、キーはそいつか……』

 

 攻撃力の低いキューティアを残した事について、侵略者はそちらに何かしらの能力があると思い、パンプアップを消すのも兼ねてアプカローネの効果で無効にしたのだろう。

 だが、キューティアの効果は召喚時のサーチと、パンプアップだけだ。しかもエリーティアの効果は永続効果だから、ゲニウスの効果も意味はない。キューティアには申し訳ないが、侵略者はうまい具合に引っ掛かった。

 

『では、そのモンスターにはご退場願おう。我は速攻魔法《超融合》を発動!』

「何!?」

 

 しかし、続けざまに発動したカードには驚愕せざるを得ない。

 《超融合》は、数ある融合系カードの中で今なお強烈な存在感を示すカード。融合召喚主体のデッキなら入っていてもおかしくはないが、効果は非常に厄介だ。

 

『手札を1枚捨てる事で、互いのフィールドのモンスターを素材に融合召喚を行う! そしてこの時、お互いに効果を発動する事はできない!』

「相手モンスターも融合素材に……!?」

『融合するのはアプカローネと、貴様のエリーティア!』

 

 キューティアが驚きの声を上げる。そのリアクションは、まさにアニメで初めて《超融合》を見た時の自分と同じだ。

 侵略者が手札の《異次元からの埋葬》をコストとして捨てる。すると、アプカローネの杖から水色の糸が伸び、エリーティアをがんじがらめに縛りあげた。そして、侵略者の背後に出現した雷を帯びる融合の渦に、アプカローネに巻き込まれる形で引きずり込まれてしまう。

 

 手札コストは要るものの、フィールドのお互いのモンスターを使って融合召喚。しかもチェーンできないという非常に強力な効果だ。

 しかし、このカードが実際にOCGで出た当初は、素材の緩い融合モンスターというものがあまりなく、評価はそこまでではなかった。

 けれど、時代が進むにつれて素材の縛りが緩い融合モンスターが出回り、《超融合》の評価は上がった。今ではチェーンできないことも併せて、回避しにくい妨害札としても広く使われてしまっている。

 

『深淵より来る異形よ、知の足らぬ水の天使を取り込み、冷厳なる悪魔へと成り果てよ! 融合召喚! 現れ出でよ、《エルシャドール・アノマリリス》!!』

 

 そして出現したのは、氷のような装飾がついた翼と鎧をまとう人形。真っ白な顔は無表情で、恐ろしさを抱かせる。

 

エルシャドール・アノマリリス

ATK2700 レベル9

 

「ひっどい、知が足りないなんて! エリーティアはボクたちの中でも一番の勉強家だよ!」

 

 侵略者の口上に抗議するファンシア。キューティアも怒った顔をしているが、侵略者は知った事かとばかりに鼻であしらうだけだ。

 

『墓地へ送られたアプカローネの効果を発動。デッキまたは墓地から「シャドール」カードを1枚手札に加え、手札を1枚墓地へ送る。我はデッキより《影依の偽典(シャドールーク)》を手札に加え、手札から《シャドール・ビースト》を墓地へ送る』

 

 手札に加えたカードを見て少し焦る。あのカードは厄介だ。

 

『そして、ビーストの効果で1枚ドロー!』

 

 そしてドローしたカードを見た瞬間。

 

『これはいいカードを引いた。アノマリリスでエンジェリアを攻撃!』

 

 何のカードを引いたかは気になるところだが、攻撃を仕掛けてきた。エリーティアがいなくなった今、バトルダメージは普通に受けてしまう。それでも400のダメージなら、まだ微量で済む。

 

『この瞬間、速攻魔法《決闘融合−バトル・フュージョン》発動! 自分の融合モンスターが相手モンスターとバトルする時、バトルフェイズの間、その相手モンスターの攻撃力を自分のモンスターの攻撃力に加える!』

「!」

 

 ドローしていたのは、融合モンスターを手軽にパワーアップできるカード。融合モンスターメインのデッキには自分も投入している。

 しかし、あちらの攻撃時に発動するとは。しかも素の攻撃力で勝っているのに使うのは、エンジェリアの効果を意識してか、こちらにダメージを少しでも多く与えたいと思っての事だろうか。

 

エルシャドール・アノマリリス

ATK2700→5000

 

「攻撃力5000!?」

『やれ、アノマリー・アイシクル!!』

 

 ファンシアが驚きを示すと、アノマリリスの手からつららがいくつも放たれエンジェリアを貫き破壊した。凄惨な姿に胸を痛める。

 すると、他のつららがこちらにも向かってきて、反射的に腕で顔や身体をできる限り守る。

 だが、守りきれなかった脚や腕をつららが掠めると、その部分から血が噴き出した。

 

「え……」

 

■■ LP4000→1300




ここまで読んでくださりありがとうございます。
切りどころが難しく結構長くなってしまいましたが、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
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