ドレミコードの従者は元人間   作:プロッター

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第99話:大樹の使い

 プリモアが倒れて4日が経つ。

 幸いと言ってはいけないが、彼女は高熱に冒されはしたものの、以前の俺みたく意識を失ったりはせず、受け答えもできる。症状としては風邪に近かった。

 

「……りんご、食べさせてください……」

「はい、どうぞ」

「あーん……」

 

 そして俺は、日中ほぼプリモアの看病にあたっている。

 普段からプリモアは甘えてくるところが多く、内容によっては俺も今まで応えないでいた。しかし、こうして調子を崩してしまっている今は、俺に対するお願いもこのように落ち着いたものになっている。だから、できる限り応えようと決めていた。

 

 思い出すのは、まだ俺自身も子供だった頃、病気になった際に親が看病をしてくれた時のこと。

 凡人の俺の親もまた、尖ったところなどない至って普通の両親だ。放任主義でなければ行き過ぎた管理教育などもなく、今のプリモアのように俺が具合が悪かった際には優しくしてくれた。

 これが、子供を持つ親の気持ちか、と俺は今更ながらに思う。そして同時に、両親へ心から感謝した。

 

 

「プリモア、調子はどう?」

 

 そこでクーリアが部屋にやってきて、ベッドの脇に膝をつく。寝転がっていたプリモアは、上体を起こさず、身体の向きを変えてクーリアを見た。

 

「昨日よりは、ちょっと……よくなったかも――こほっ、こほっ」

「まだ苦しそうね……」

 

 気丈に笑おうとしたプリモアだが、すぐに咳をしてしまう。クーリアはそんなプリモアの髪をそっと撫でた。その顔には、やはり優しさと慈しみがあり、本当の母親のように穏やかな目つきをしている。

 

「……少し、休みなさい」

「はい……すみません……」

「謝らなくていいのよ」

 

 肩を優しく叩き、クーリアはプリモアを寝かしつける。布団を被り直し、少ししてからプリモアは眠りに就いた。眠れないほど体調が悪かったらどうしようかと思ったが、そこまででもないので一安心だ。

 俺もまた、少しだけプリモアの髪を撫でて、起こさないようにクーリアと共に部屋を出る。

 そして俺たちは、顔を見合わせた。

 

「……本当に、どうしてでしょうね……」

「分からないわ……何もかも」

 

 談話スペースに向かいながら考える。俺の疑問に、クーリアも額を指で押さえた。

 プリモアの体調は、命に別条こそないものの、連日芳しくない。俺が知る限りこんなことは今まで一度もなかったし、俺がS-Force(セキュリティ・フォース)に拘留されていた3か月の間にも、やはりなかったとクーリアは言う。

 だとすれば、ドレミコードの「浄化」の不調と関係があるのかもしれない。

 いや、プリモアがドレミコードの力の源でもあるからこそ、彼女の不調が「浄化」に影響を及ぼしているのか。卵が先か鶏が先かみたいな問題になってきてしまい、頭を振る。

 

「あ、どうだった? プリモアちゃん……」

「まだ、あまりよくならないわね……」

「そうですか……」

 

 談話スペースでは、エンジェリアとエリーティアがトランプで遊んでいるところだった。2人もプリモアが心配だったらしいが、いい答えを返せず申し訳なく思う。2人とも眉を下げてしまった。

 そこで、窓際で日向ぼっこをしていたグレーシアが振り返る。

 

「普通の風邪でも、ここまで長引くことはないのでは?」

「ですね……そうなると、やはり何か他の問題が……」

 

 グレーシアの意見に頷く。

 あの日以来、「浄化」は休みとなっている。ビューティアやファンシアが一時命の危険に晒され、おまけに部外者のレイとロゼがドレミ界に来てしまったため、同じようなことが起きるのを避けるためだ。本当なら世界の「浄化」は休むべきではないだろうが、安全には代えられない。

 そんなわけで、日中はドレミコードのほぼ全員が屋敷に留まっている。ミューゼシアは既にこの事態についてアポロウーサに相談したようだが、まだ明確な対処法は聞かされていない。

 そしてみんなが、プリモアのことを心配していた。ドレミコードでは一番新しく仲間に加わり、数奇な出自を持つ彼女だが、既に俺たちにとっては大切な仲間であり家族でる。心配しない理由はない。

 それと、俺がネイロスによって精神世界に攻撃を受けた結果、俺は何日も寝不足が続き不調をきたしていた。その時、みんながどれだけ俺のことを心配していたのかを、改めて理解する。

 

「……マグノリア様に診てもらいますか」

「……そうね。それが一番いいと思う」

 

 兎に角、プリモアの状態は放っておけない。俺が提案すると、キューティアとチェスをしていたビューティアが頷いた。

 こういう事態で、【アロマ】の面々、特にマグノリアを頼るのは定番になってしまっている。それでも、ドレミコードで解決できない以上は他の人の手を借りるしかなかった。ドレミコードの事情を知っていて、かつ心身の不調の回復に長けた彼女たちを。

 

「明日、プリモアの調子が今と変わらなければ、アロマの庭へ行きましょう」

 

 クーリアがそう判断する。俺を見て告げたのは、俺に一緒に来るようにということだろう。無論、言われるまでもなくそうするつもりだ。

 体調がよくなればそれでいいが、逆に悪化した場合は無暗に外へ連れ出すのもつらくなる。だから、「調子が変わらなければ」としたのだろう。

 

◆ ◇ ◇

 

 翌日。プリモアの体調は回復せず、また悪化もしていなかった。

 できれば治ってほしかったが、こうなっては仕方がない。マグノリアの下に行き、診てもらうのが一番だろう。

 

「大丈夫ですか?」

「はい……ごめんなさい……迷惑、かけちゃって」

「気にしないでください」

 

 プリモアを背負って部屋を出て、玄関に向かう。

 プリモアには、マグノリアに診てもらうことを提案し、あまりにも動くのがつらければ無理に連れて行きはしない、と伝えている。だけど、プリモアは動くにしても一苦労、というわけではなく、本人も「これ以上みんなに心配をかけたくない」と告げた。その健気な心に感動しつつ、大事を取って俺が背負って連れて行くことにしたのだ。

 プリモアの背丈はキューティアとほとんど変わらず、見た目通りと言っていいかは謎だが、そんなに重くはない。だけど熱が出ているせいか、背中に感じる温かさは人肌以上のものだった。

 

「クーリア様、お願いします」

「分かったわ」

 

 玄関では、既にクーリアがタクトを持って待っているところだった。俺が近くまで来ると、クーリアはプリモアの髪を少しだけ撫でる。安心したように、プリモアが少しだけ息を吐いたのが伝わってきた。

 そして、クーリアはタクトを振ってゲートを開く。この先にあるのがアロマの庭だ。

 

「では行ってまいります」

「そんなに時間はかからないと思うわ」

「気を付けてくださいね……」

「プリモアちゃんもね」

 

 エリーティアとキューティアの見送りを受けて、俺とクーリアは頷きゲートをくぐる。

 ところが。

 

「うわっ!?」

 

 ゲートの先は、土砂降りだった。

 さながら滝壺みたいな音を立て、凄まじい勢いで地面にたたきつける雨粒。雷鳴が空のあちこちで響き渡り、ものの数秒で全身がびしょ濡れになってしまうレベル。

 たまらず、俺とクーリアはドレミ界にUターンした。

 

「え、ど、どうしたんです……?」

「すごい雨よ……」

「えぇ……?」

 

 エリーティアとキューティアに、クーリアが端的に告げる。2人は顔を見合わせて、まだ開いているゲートの先を覗き込んだ。

 そして顔を引っ込めて振り返った2人の髪と顔は、やはりびしょ濡れになっている。

 

「言ったでしょ……?」

「「はい……」」

 

 自分の行動を呪っているキューティアとエリーティアに、クーリアが苦笑しながらゲートを閉じる。

 しかし、ゲートを開いた場所は間違っていないはずだ。雨で視界は霞んでいたが、その先にアロマの庭のゲートがあったのは見えた。荒れに荒れたあの天候は偶然らしい。

 それなら日を改める、というわけにはいかない。何せ、プリモアは原因不明の高熱に見舞われている。いい加減何とかしないと、本当に大事になりかねない。

 

「バトレアス、これを」

 

 言いながらクーリアが渡してきたのは、2着のレインコートだ。ひとつは俺、もうひとつのサイズが小さなものはプリモアに着せる。さらにクーリアもライトグリーンのレインコートを着て、さらに大きめの傘を用意する。こんな重装備の雨具で出かけることなど、ドレミ界ではなかった。

 そして、クーリアが再び玄関にゲートを開く。今はまだ何も聞こえてこないが、たぶん天候は変わっていないはずだ。

 ゲートをくぐる前に、クーリアが傘を開いて俺と身体を寄せ合い極力濡れないようにする。特に、合羽を羽織っていてもプリモアに雨粒が当たらないよう、やや斜め後ろ向きにした。

 それから俺とクーリアで視線を合わせ、頷き合い、意を決してゲートをくぐる。

 やはり、土砂降りだった。

 

「早く、急いで!」

 

 地面に落ちる雨粒もだが、傘に降り注ぐ雨の勢いも激しい。クーリアは普段よりも大きな声で言ってくれるが、雨の音に相殺されて普通の声量にしか聞こえない。

 それでも急いでいるのは確かなので、すぐにアロマの庭の門の前まで行き、クーリアが鐘を鳴らす。音がほとんど響かないが、果たして聞こえるだろうか。

 だが、ほどなくして門の向こうから誰かがこちらへ走ってくる。厚手のレインコートを羽織るその人は、フードから覗く眼鏡でカナンガだと分かった。

 

「どうされました!?」

「ちょっと、プリモア様の様子を診ていただきたく! マグノリアさんに!」

「分かりました! どうぞ中へ!」

 

 雨の音に負けないように、俺も声を大きくして用件を端的に伝える。カナンガもそれに大声で応えながら門を開けて招き入れ、俺とクーリアはすぐさま中へ入る。そして、カナンガの先導でアロマの庭を早歩きで抜けた。

 せっかくの色とりどりの花々が咲く辺り一帯も、雨のせいでとてつもなく暗く感じる。その途中、庭のあちこちに妙な杭のようなものが刺さっているのが気になったが、脚を止めている場合ではない。さらに家屋まで離れているため、合羽と傘で多少なんとかなっても、豪雨が容赦なく体温を奪ってきた。俺は別にいいが、クーリア、特に今のプリモアには非常に負担が重い。

 やがて、降りしきる雨の中、どうにかアロマのみんなが暮らしている建物まで辿り着くことができた。

 

「プリモア様、大丈夫ですか?」

「はい……」

 

 玄関で一度プリモアを降ろし、レインコートを脱がして、俺とクーリアもレインコートを脱ぐ。豪雨に晒されたのはほんのわずかな時間だが、湿気が尋常ではない。服の内側が大変気持ち悪くなっていた。

 

「大変でしたね、この雨の中……」

 

 そんな俺たちにタオルを渡してくれたのは、俺と同じ転生者のラベンダー。頭を下げつつタオルを受け取り、まずはプリモアの髪や手を拭いていく。レインコートのおかげで幾分マシだが、クーリアの傘はほとんど意味がなかった。おかげで足元は水没している。

 

「どうかしたの?」

「プリモア様の熱がここ数日下がらなくて……」

「あらまぁ……」

 

 ローリエとマジョラムも姿を見せ、様子を尋ねてくる。マジョラムはプリモアの額に手を当てて、ざっと熱を測ってくれる。そして「確かにね」と高熱を認めた。

 

「それじゃこの雨も、尚更大変ですよね……」

「それでも、あなた方以外には頼れそうになくて」

 

 心底同情するようにローズマリーが言うが、クーリアの言う通りでもある。この手の病気においては、アロマの方がずっと詳しいだろうから。

 

「プリモアちゃん、大丈夫!?」

「頭が、くらくらします……」

「大変……! マグノリア様、早く!」

 

 そして、見た目年齢がプリモアに近く、前回来た時に大分打ち解けたジャスミンは、血相を変えてマグノリアを呼んでくれた。それが聞こえたのか、部屋の奥からマグノリアが早足でやってくる。

 

「どうしたのかしら?」

「プリモアの熱がここ最近下がらなくて……診てもらえます?」

「分かったわ。こっちへいらっしゃい」

 

 手招きをされ、クーリアがプリモアを背負って部屋に入る。診察は男の俺よりクーリアが立ち会った方がいいだろう。なので俺は、しばらく待機となった。

 

「なんつーか、普通に母と娘って感じだな」

 

 ベルガモットが頭を掻きながら告げた。確かに、今の光景は俺から見てもそう言う風に見えたので何も言えない。しかも、プリモアはクーリアの力を少し受け継いでいるので、親子と評するのも頷けた。

 

「それにしても、ひどい天気ですね……」

 

 ラベンダーが渡してくれたタオルで髪を軽く拭きながら、窓の外を見る。雨は収まるばかりか強さを増しており、閉じられた部屋の中でも雨の音が大きく聞こえた。

 

「アロマの庭でも、こんな風に降ることがあるんですね」

「いえ、私たちも初めてよ、こんなのは」

 

 マジョラムが窓辺に両手をついて、外を眺める。憂鬱なのだろう、溜息を小さく吐いていた。

 

「ここ5日ほど毎日こんな感じで」

「5日も?」

「雨季ならまだしも、今はそんな時期じゃないし……」

 

 ローズマリーとローリエの言葉に、俺は引っ掛かりを抱く。

 プリモアが倒れ、レイとロゼがドレミ界に来たのも同じ5日前だったはずだ。

 

「……こんな天気じゃ庭作業もままならないですよね」

「本当に。一応、マグノリア様と、アロマセラフィの力で最低限花を守ることはできていますが……本格的なガーデニングはできませんし」

 

 カナンガが言うには、庭の至る所にあった杭は、マグノリアやアロマセラフィの力で花々を守るのに必要な目印のようなものらしい。だけど、それだけで花が順調に育ちはせず、自然の恵みが必要になるのだそうだ。

 花が育つには適度な日光と雨水、良い土と風が必要なのは俺も知っている。しかし、この天気でそれらが賄えるはずもない。多分だが、今咲いている花もこのままではマズイだろう。

 

「なんでこんな天気が続くのか……分かんないです」

 

 椅子に座り、ジャスミンは一息つく。天気が悪いと気分も下がり気味になるのは、誰でも同じようだ。

 

「バトレアス、ちょっと来て」

 

 そこでクーリアに呼ばれた。プリモアが診察を受けていた部屋から覗かせたその顔は、明るくない。すぐにそちらへ向かい、部屋に入って戸を静かに閉めた。

 診療台ではプリモアが横になっており、マグノリアは椅子に座って俺たちを見る。

 

「……容態は、あまりよくないと?」

「そこまで悲観するほどでもないわ」

 

 恐る恐る聞いてみるが、マグノリアは安心させるように笑う。

 だが、何も問題はない、大丈夫というわけではないはずだ。

 

「症状自体は、普通の風邪と変わらない。だけど、この子の身体を調べて分かったことがある」

 

 俺が前にマグノリアに診てもらった時のように、プリモアもマグノリアの魔力的な何かで診断を受けたらしい。診療台で仰向けになっているプリモアの不安そうな視線がぶつかったので、安心させるようにその手を握る。

 

「この不調は、外部から何らかの影響を受けているということよ」

「……?」

 

 俺はクーリア、プリモアに視線を巡らす。だが、やはり2人もどういうことだか全くわからないらしい。

 

「……それは、気候とかアレルギーとか、そう言う話じゃないですよね」

「そうね。そんな『医学的』なものじゃない、『魔術的』というべきか……兎に角、原因は分からないけれど『何か』の影響を受けているのよ」

 

 やはり、俺が知っている原理や理屈で生じる問題ではなさそうだ。そして、マグノリアをもってしても上手く説明できないとなれば、結構な厄介事の気がしてくる。

 続いてクーリアが、少しマグノリアに寄った。

 

「その『影響』を取り除かない限り、プリモアのこの症状は治らないんですか?」

「……残酷な話になるけれど、そうなるわね」

 

 プリモアの頭をそっと撫でるマグノリア。自分でもつらい答えなのはよく理解しているらしい、表情と手つきで分かる。

 

「だけど、症状を和らげることはできる。私たちのアロマを使ってね」

「……お願いします」

 

 俺たちにはどうしようもない。その「影響」が何由来なのかを調べるのは勿論だが、プリモアが苦しまない方法があるのならそれには縋りたい。クーリアも同じらしく、マグノリアを見て頭を下げると、マグノリアは頷いて立ち上がり、隣の部屋に向かおうとする。俺はプリモアを抱き上げて、マグノリアの後に続く。クーリアも後ろから続いているのは、足音で分かった。

 マグノリアが招き入れた部屋は、様々なアロマやハーブ、その他植物が詰められた瓶がいくつも並んだ棚に囲まれた部屋だ。不快な匂い、逆に甘ったるい香りなどは全くしない。窓際には、何かのメモ書きや空の瓶、道具がいくつも置かれた机がある。どうやら、ここは調香に使う部屋らしい。

 

「少し時間をもらうわ。だから、待っていてちょうだい」

 

 指示されたソファにプリモアを寝かせ、頭にクッションを敷いて少しでも負担を少なくする。

 そしてマグノリアが、棚に並ぶ瓶をいくつか手に取り、机に置いて椅子に座ろうとした直後。

 

『マグノリア』

 

 すぐそばに、クーリアたちドレミコードが連れている妖精体のような、小さな女の子が現れた。マグノリアと同じような明るい茶髪をお下げにして、黒いドレスを着るそれは、《アロマリリス-ロザリーナ》だと気付いた。

 

「どうしたの?」

『面倒なお客様よ』

「……分かったわ」

 

 ロザリーナの一言で、マグノリアの気分が少し下向きになったのは、俺も感じ取れた。

 そして、マグノリアは瓶を机に置くと、一息ついて振り返る。

 

「ごめんなさい、ちょっと席を外すわね」

「分かりました」

 

 言葉遣いこそ柔らかいが、ほんの少しマグノリアの声には苛立ちが交じっていた。俺もクーリアも下手に刺激できず、そのままマグノリアを通す。プリモアが心配だったが、マグノリアにとっても無視できない相手であれば、ここはそちらを優先させるべきだろう。

 

「けほっ、こほっ……」

「……大丈夫よ、プリモア」

 

 その間に、クーリアはソファの傍に膝をつき、寝転がるプリモアと視線の高さを合わせる。相変わらず熱は落ち着かず、咳も零しているが、それでもクーリアは真剣にプリモアと向き合っている。

 俺もまた膝を曲げ、プリモアを励ますように手を握った。

 

◇ ◆ ◇

 

 戸を開けてすぐ、その客人は目に入った。

 ジャスミンやローリエと同じぐらいの背丈で、柳の葉のように長い緑色の髪。身体は薄茶色で、脚は木の根のように太く指がない。紫水晶の瞳は、あどけなさと不気味さを両立させていて、額に咲く小さな花は薄気味悪いほどに奇麗だ。

 《メリアスの木霊(こだま)》。ロザリーナが「面倒」と言った理由はすぐに分かった。

 

「如何な御用かしら、メリアス」

 

 マグノリアは戸を閉めて、歩み寄りながら問いかける。

 メリアスはこちらの世界で、敬うべき上位存在というわけでもない。なので、マグノリア自身もそうだが、アロマの面々は特にメリアスに傅いたりしないし、メリアスも特に気にしていない。

 そして、雨に打たれたらしいメリアスは、指を少し振って身体についた水滴を飛ばし、身体を浮かせてマグノリアと視線の高さを合わせた。

 

「少々、気になることがありましてね」

「伺いましょう」

「この天候です」

 

 メリアスが指さす窓の向こうでは、相も変わらず土砂降りが続いている。

 

「先日から続くこの悪天候、単なる自然現象とは言い難いものがあるんですよ」

「ふむ。それで?」

「これについて、我らが『主』に話してみたところ、こう仰ったのです。『大地の気が乱れている』と」

「なるほど……」

 

 メリアスの主が誰かはマグノリアも知っているが、メリアスやその主の言い分は一理ぐらいあるだろう。この天気は明らかに普通ではない。そして、その「主」の性質を考えれば、大地のエネルギーの流れを掴めたとしても不思議ではなかった。

 しかし、今の話と、メリアスがここに来る理由は結びつかない。

 

「では、なぜあなたはこちらに」

「あなた方が、その気の乱れに関与しているのではないかと思ったのですよ」

「何を根拠に?」

 

 飛躍した推測にマグノリアが問うと、メリアスは視線をラベンダーに移した。

 

「聞けば、彼女はこの世界の外から来たそうですね」

「ええ、その通りです」

「ということは、彼女は純粋な『植物界』の者ではない。元々この世界の存在でない以上、我々の世界に何らかの影響を及ぼしてもおかしくはないかと」

 

 ラベンダーが、口のなかで歯を食いしばる。

 その傍らで、ベルガモットが前に歩み出た。

 

「つまり、お前はウチのラベンダーを疑ってるのか。この悪天候は、こいつのせいだと?」

「その通りです」

「バカ言ってんじゃねえぞ」

 

 ベルガモットの声に凄味が混じった。

 怒っているのは分かる。マグノリアも同じだから。

 

「いきなり来たかと思えばラベンダーのせいとか、どういう了見で物言ってやがる」

「我が『主』は、この庭に『気』の乱れがあると告げたのですよ」

 

 メリアスが変わらない調子で告げると、全員が黙り込んだ。

 「主」がどういう存在でどんな力を持っているのか、ラベンダーは会ったことも説明したこともないから知らない。しかし、マグノリアを含めアロマの庭のみんなは知っている。

 だから、「主」がそうと告げたことは、嘘とは思えなかった。 

 

「そして、ここにあるその『乱れ』の原因となれば……自ずとすぐに何か分かるでしょう」

「……証拠不十分では?」

 

 メリアスが指を立てて説明するが、カナンガが言い返した。

 「気の乱れ」の原因がこの庭という話は、ひとまずは置いておく。だが、それがラベンダーだというのは、結論が早すぎだ。

 

「そうです。ラベンダーさんがここにきてもう1年以上経ちますが、今までずっと何もなかったんですよ」

「ですが、この先何もないという保証もないはずです。もしかしたら、あなた方が彼女を迎え入れた瞬間から綻び始めていたかもしれない」

 

 ローズマリーの言葉を聞き、メリアスはラベンダーをじっと見つめる。

 見つめられたラベンダーは、唇を噤んだ。

 

「それに彼女は、外の世界から来たにも関わらず、こちらの存在と『繋がり』を得たようだ」

「……っ」

「ただでさえこの世界の存在でない上に、そんなことをすれば……どんな影響をもたらすかなど、あなた方でも想像がつかないはずですよ」

 

 言われたラベンダーは、目を逸らした。

 メリアスが何を言っているのか、思い当たる節があるのだろう。そしてその内容はマグノリアも理解している。改めて言及する必要もないが。

 そしてマグノリアは、ドレミ界に転生したバトレアスという例を知っている。彼もまた、様々な経緯があって、マグノリアのこれまでの常識では想像もつかなかった事態に巻き込まれていた。だから、メリアスの言葉はある意味的を得ている。

 

「私の言い分に文句があるのなら、否定してごらんなさい。ラベンダー」

「……」

 

 挑発的にメリアスが問いかけるが、ラベンダーは反論しない。彼女自身、この異常気象の理由が分からないはずだ。そして、自分との因果関係はないと断言できる証拠も、自分だけでは見つけられないのだろう。

 

「いい加減にしろよ、テメェ」

 

 そんなラベンダーの肩を、ベルガモットが抱き寄せた。

 そして隠そうともしない怒りを、メリアスにぶつける。

 

「さっきから聞いてりゃ随分とデケェ口を叩くな? 大した証拠もねぇのにラベンダーを悪人扱いしやがって。お前の『主』が何を知ってるのか知ったこっちゃねぇが、もっと理屈を詰めてきやがれ」

「……」

「それとも、老いさらばえて細かいことを考える脳味噌が朽ちてきたか?」

 

 メリアスの髪が揺れたのが、マグノリアには見えた。

 こんな見た目だが、メリアスはかなりの長命だ。ベルガモットが老人呼ばわりするのもある意味間違いではないが、ナイフのように鋭い言い方だ。

 さらにベルガモットは、呆れたように息を吐き、さらに続ける。

 

「お前の主様も気の毒だな。お前みたいな奴に慕われるなんて、信奉する奴が選べないってのは可哀想――」

「それ以上、我が主を侮辱するな」

 

 メリアスの紫水晶の瞳に、赤い光が差す。ベルガモットの煽りが効いたらしい。

 メリアスは自然を大切にする人だが、それが行き過ぎて自然界には存在し得ない「不純物」を蛇蝎の如く嫌っている。ラベンダーのように、この世界には本来いないはずの人にも排他的だった。その上「主」を強く慕い、「主」のためなら手荒な真似をするのも厭わない危険な存在だ。「面倒」と敬遠されるのにはそういう理由がある。

 

「私の言葉を聞けないなら、デュエルで決着をつけるまでです」

「上等だ、やってやる」

 

 そんなメリアスがここまでやって来たら、口で何を言おうと大人しく下がりはしない。

 それが分かっていたから、ベルガモットは身勝手な言い分に対する怒りも含め、メリアスを煽った。そして、正統なデュエルに持ち込んだことで、ベルガモットは不敵な笑みで応じる。

 

「ベルガモット様……」

 

 だがそこで、ラベンダーがベルガモットの手を取った。

 

「私のせいであれば、私が――」

「お前のせいと決まったわけじゃねえ。だから、お前が気に病む必要はない」

 

 普段からラベンダーに向けている、ベルガモットの優しくて、どこか落ち着く笑み。それを見て、ラベンダーが口を閉ざした。

 

「お前がこの世界に染まっちまったのは、半分は俺のせいでもある。せめてもの償いだ」

「償いだなんて! 『あれ』は私も望んで――」

「お前のことは俺が守る」

 

 遮るベルガモットの言葉に、ラベンダーは言葉を切らざるを得なかった。

 

「それは、お前がこっちの世界に来て、この庭に引き取ることを決めた時から俺自身で誓ったことだ」

「……」

「これはその一つに過ぎない。お前が背負う必要はねぇよ」

 

 ラベンダーの肩を軽く叩き、ベルガモットは前に出る。メリアスは興味まるでなしと言いたげな顔だ。

 

「マグノリア様は、あの子の治療最優先で」

「……そうね、任せるわ」

 

 ベルガモットは、マグノリアがさっきまでいた部屋に視線を送る。そこで休んでいる、病人のプリモアを早く何とかする方が、マグノリアにとっては重要だった。ここはベルガモットに任せるべきだろう。

 そのプリモアの仲間であり、保護者でもあるバトレアスも、ラベンダーと同じで外から来た人間。彼も転生した身で、それなりに苦労が多かったと聞く。ラベンダーもまた、そんな苦難に晒されてしまうのかと、マグノリアは少し不安になった。

 

◇ ◇ ◆

 

 外に出たメリアスは、豪雨に打たれるのも気にせず両腕を広げる。

 すると、庭に生えていた木々が音を立てながら枝葉を伸ばし始め、それらは巨大な渦を巻き、やがて屋根のようなものを形成する。その防水性はかなりのもののようで、枝の下に雨水は一滴も落ちてこない。雨音もほんの少しだけ小さくなった。

 

「流石にこの雨の中でデュエルをするのは、いくらあなた方相手でも無礼でしょう」

「ふん」

 

 慇懃なメリアスの言葉に、ベルガモットが鼻息で答え、デュエルディスクを嵌める。本体は横長の六角形、盤面は四葉のクローバーが横に並んだディスクだ。

 一方のメリアスは、デュエルをする位置につくと、地面から木の根のようなものが延び、デュエルディスクのように葉を伸ばす。そこにはデッキホルスターのようなものもついていた。即席のデュエルスタンドらしい。

 ラベンダーは、マグノリアを除く仲間と一緒に外へ出て、デュエルを観ることにする。だが、メリアスは姿を見せたラベンダーを一瞥し、ベルガモットに向けて意地の悪そうな笑みを浮かべた。

 

「このデュエルに私が勝てば、彼女の身柄を引き渡していただきましょう」

「で、殺すのか」

「物騒な物言いをする。ですが結果的に、そうなるかもしれませんね」

「そうかい。なら、俺が勝ったら今までのことは詫びてもらうぞ」

 

 ベルガモットの言葉に応えず、メリアスは肩を揺らす。失笑もの、と言いたげに。

 ラベンダーは、最早両手を握りしめてこのデュエルの行く末を見届けることしかできなかった。

 

「「デュエル!」」

 

ベルガモット LP4000

VS

メリアス LP4000

 

「私の先攻。私は《聖種の地霊(サンシード・ゲニウス・ロキ)》を召喚」

 

 メリアスはまず、黄土色の台座のようなものに据えられた種を呼び出した。そのモンスターはラベンダーも見覚えがある。

 

聖種の地霊

ATK 0 レベル1

 

「現れよ、限りなき枝葉のサーキット! 召喚条件はレベル4以下の植物族1体。ゲニウス・ロキをリンクマーカーにセット、リンク召喚!」

 

 地面に出現したリンクサーキットに、種が静かに植えられる。すると、地響きと共に巨大な樹がリンクサーキットから生えてきた。

 

「現れよ、リンク1!《聖天樹の妖精(サンアバロン・ドリュアス)》!!」

 

 そのモンスターは、幹の太い巨大な樹。幹の中央部分には人の顔にも似た模様が刻まれ、枝からは浅い緑色の巨大な実がなっている。その樹が生えた場所は、メリアスの背後だ。

 

□□□ 聖天樹の妖精

□◆□ ATK 0

□■□ リンク1

 

「ドリュアスがゲニウス・ロキを素材にリンク召喚したことで、効果発動。デッキから『サンヴァイン』魔法・罠カード1枚を手札に加える!」

「させるか。手札から罠カード《無限泡影》発動」

「何?」

「こいつは俺の場にカードがなければ手札から発動できる。そしてその効果で、お前のモンスター1体の効果をターン終了時まで無効にする」

 

 メリアスの動きをベルガモットはすぐに止めた。強力な罠カードが発動すると、ドリュアスの根元から青い炎が燃え上がり、ドリュアスの葉を全て燃やし尽くして灰にしてしまう。

 

「まぁいいでしょう。私は手札を1枚捨てて、永続魔法《聖蔓の社(サンヴァイン・シュライン)》を発動。このカードは1ターンに1度、墓地のレベル4以下の植物族通常モンスター1体を特殊召喚できる。ゲニウス・ロキを復活!」

 

 ドリュアスの効果を止められてもメリアスは狼狽えず、次の手に移る。ドリュアスの後ろに石造りの小さな社が現れ、その中から聖なる種が再び姿を現した。

 

聖種の地霊

DEF600 レベル1

 

「再び現れよ、限りなき枝葉のサーキット! 召喚条件は『サンアバロン』リンクモンスターを含む植物族2体。ドリュアスとゲニウス・ロキをリンクマーカーにセット、リンク召喚!」

 

 またしても地面に現れたサーキットに、ゲニウス・ロキが沈む。そしてフィールドのドリュアスは、根元から蔓を伸ばしてリンクサーキットに突き刺し、やがて光に包まれた。

 

「現れよ、リンク2!《聖天樹の精霊(サンアバロン・ドリュアデス)》!!」

 

 光が収まると、ドリュアスより一回りほど大きな樹がそこに聳えていた。枝葉が広がり、なっている実もオレンジ色に変わり、太い幹を囲むようにいくつもの細い幹が伸びている。そして、幹の中央部分にあった顔はなくなり、代わりに正面に赤い花が咲いていた。

 

□□□ 聖天樹の精霊

□◆□ リンク2

■□■ ATK 0

 

「私はカードを2枚伏せてターンエンドです」

 

 攻撃力0のリンクモンスターと伏せカードが2枚。確実に何かを狙っている動きだ。

 そしてラベンダーは、あのモンスターの能力を知っている。だからこそ、下手に攻撃に出てはならないとベルガモットに念を飛ばす。

 

「俺のターン、ドロー」

 

 ベルガモットは静かにカードを引き、落ち着き払った様子で手札を切った。

 

「永続魔法《アロマガーデニング》を発動。そして《アロマージ-ジャスミン》を召喚」

 

 先に永続魔法を発動した上で、仲間を呼び寄せる。銀の髪を靡かせる、白い服の少女・ジャスミンが現れた。

 

アロマージ-ジャスミン

ATK100 レベル2

 

「『アロマ』モンスターを召喚したことで、《アロマガーデニング》の効果発動。俺は1000ポイントのライフを回復する」

 

ベルガモット LP4000→5000

 

「そしてライフが回復したことでジャスミンの効果発動。カードを1枚ドローする」

 

 手札の損失を最小限にできるジャスミンは、【アロマ】の初動としてもってこいだ。ラベンダーは小さく頷く。

 

「ジャスミンの効果で、俺のライフが相手より多い場合、さらに植物族モンスターを召喚できる。よって俺は、《アロマージ-ローズマリー》を召喚」

 

 ジャスミンのすぐ隣に、青い服を着るローズマリーが現れる。彼女はジャスミンと視線を合わせると頷き、杖をメリアスに向けて構えた。

 

アロマージ-ジャスミン

ATK1800 レベル4

 

「バトルだ」

「ドリュアデスの効果により、私の場に他のモンスターがいなければ、あなたの攻撃は私へのダイレクトアタックになります」

「なら、ローズマリーでダイレクトアタック」

 

 バトルフェイズに入った直後にメリアスが忠告するが、ベルガモットは全く動じない。攻撃を命じられたローズマリーが杖を振り、青い風を発生させた。それはドリュアデスにも吹き付けるがびくともしない。

 

メリアス LP4000→2200

 

 そして、決して少なくないダメージを受けたにもかかわらず、メリアスは笑っている。

 

「この瞬間、ドリュアデスの効果発動――」

「できねぇよ。ローズマリーの効果で、俺のライフがお前より高い場合、俺の植物族が攻撃するダメージステップ終了時まで、お前はモンスター効果を発動できない」

「何?」

 

 その余裕もローズマリーの効果によって消された。ドリュアデスの効果を封じられたことに、メリアスは機嫌を悪くしたのか目つきが鋭くなる。

 

「さらにジャスミンでダイレクトアタック」

 

 今度はジャスミンが杖を振り、銀色の風を巻き起こす。やはりそれはドリュアデスに吹き付け、メリアスの身体をも叩いた。

 

メリアス LP2200→2100

 

 ドリュアデスの効果が発動する隙を与えずにダメージを通した。どうやら、ベルガモットはあのモンスターたちの力を知っていたらしい。もしかしたら、ラベンダーの知らないどこかで【サンアバロン】と戦ったことがあるのかもしれない。

 

「メインフェイズ2に入る。現れろ、香しき癒しのサーキット! 召喚条件は植物族2体。ローズマリーとジャスミンをリンクマーカーにセット!」

 

 ベルガモットが生み出したリンクサーキットに2人の仲間が吸い込まれると、銀色の風がそこから吹き荒れた。

 

「リンク召喚! リンク2、《アロマセラフィ-ジャスミン》!!」

 

 サーキットからぴょんと跳び出たのは、先ほどまでフィールドにいたジャスミンと同じ少女。ただし、背中からは「アロマセラフィ」共通のステンドグラスみたいな翼が生えている。

 

□□□ アロマセラフィ-ジャスミン

□◆□ ATK1800

■□■ リンク2

 

 しかしそのモンスターを見た瞬間に、メリアスはまた嗤った。

 

「それは予想していましたよ。罠カード《破壊輪》発動!」

「!」

「このカードは相手のターン、相手のライフ以下の攻撃力を持つ相手モンスター1体を破壊、その元々の攻撃力分のダメージを私は受け、同じ分のダメージを相手に与える!」

 

 メリアスの発動した罠カードから出現したのは、手榴弾がいくつもついた金属の環。それはひとりでにフィールドに現れたジャスミンの身体を拘束し、次の瞬間爆発した。

 

「すまねぇ、ジャスミン……!」

 

 粉微塵に吹き飛んだ仲間に、ベルガモットは心からの詫びを入れ、ラベンダーもまた心が痛む。デュエルを観ているジャスミンも、目を逸らしていた。

 

メリアス LP2100→300

 

ベルガモット LP5000→3200

 

「そしてこの瞬間、ドリュアデスの効果発動。これは止められないでしょう?」

「チッ……」

「1ターンに2度まで、私が戦闘・効果でダメージを受けた場合、その数値分のライフを回復。さらにエクストラデッキから『サンヴァイン』リンクモンスター1体を特殊召喚する。現れろ、《聖蔓の癒し手(サンヴァイン・ヒーラー)》!」

 

メリアス LP300→2100

 

 メリアスの身体が輝きを放ち、ライフが回復する。

 続いて、ドリュアデスの枝からなる果実のひとつが割れ、新たなモンスターが現れた。赤いドレスを着る茶髪の女性は、スカートの部分が花のような形で、脚には蔦のようなものが巻き付いている。

 

□■□ 聖蔓の癒し手

□◆□ ATK600

□□□ リンク1

 

「特殊召喚したヒーラーの効果発動。私の場の『サンアバロン』リンクモンスター1体を対象とし、そのリンクマーカー1つにつき300ポイントのライフを回復する。ドリュアデスのリンクマーカーは2つ。よって600のライフを取り戻します」

 

メリアス LP2100→2700

 

 《破壊輪》によるダメージを打ち消し、おまけにこのターンで受けたダメージを最小限に押さえ、ベルガモットとのライフ差を縮めてきた。

 【サンアバロン】相手に、中途半端なダメージはこの通りほとんど打ち消されてしまう。だから必要になるのは一撃必殺と、相手のターンの攻めをいかに凌げるか。

 ベルガモットは手札に視線を落とし、さらにカードを切る。

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」

 


 

《プリモアのおねだり》

 

レベル1「手をつないでください!」

レベル2「頭撫でてください!」

レベル3「あーんしてください!」

(以下バトレアスは不応)

レベル4「ぎゅってしてください!」

レベル5「今夜一緒に寝させてください!」

レベル6「ほっぺにチューしてください!」

レベル7「一緒にお風呂入りましょう!」

 

 

クーリア「……あんな風に臆面もなくおねだりできるのが羨ましいわね」

ミューゼシア「レベル7超えて8以上行った人が何を言っているのやら」

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