六花やゴーストリックの新規に少しばかり動揺と感動しておりますが、第三部第2章を投稿してまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。
第106話:苦い決別
精霊界各地で起こっている異常気象、天変地異、天災。最上位天使から命を受けたことで、俺も黙って見ていることはできなくなった。
既に「霊使い」たちに協力を依頼し、ドレミコードの孤軍奮闘ということはなくなったものの、やはり自分たちで直接外の世界を見て確かめなければ状況は詳しく分からない。
なので、俺も積極的にみんなと一緒にドレミ界の外に出て、実際に何が起きているのかを確かめるようになった。エグザムの時は、俺が
しかし得られた情報は、状況を好転させるとはいまいち言い難い。
まず、グレーシアと共に訪ねた天老……《
不調とは、風邪のような体調不良に加え、身体が人間態とドラゴン態の中間みたいになってしまい、自力で制御できないらしい。俺は実際にその姿を見てはいないから想像しかできないし、本人たちも好きでそんな状態になってはいないだろうから、見るのはやめておいた。
続いて六花。ドリーミアと話を聞いたが、こちらは何の影響もないという。六花たちが暮らす場所の天気は、《六花精スノードロップ》と《六花精ヘレボラス》2人の精神状態に左右されると聞くが、2人のほか仲間たちにも異常はないそうだ。天気はしんしんと降る穏やかな雪で、他の世界の悲惨な雰囲気を少しも感じさせない長閑な様子だった。
エンジェリアと行ったマドルチェ王国も、特に異常はないらしい。話を聞けたのは、《マドルチェ・プディンセス》とその執事《マドルチェ・バトラスク》、さらにはプディンセスが想いを寄せる《マドルチェ・シューヴァリエ》の3人。彼らも異常はないというし、トップである《クイーンマドルチェ・ティアラミス》もまた異常を検知はしていないとのことだ。
しかし、ビブリオとカタリナの住む町は、クーリアと行ってみたがひどい天候に見舞われていた。当人たちに異常がないのが幸いだが、豪雨は湿気がひどくなるから本にダメージが入る、とビブリオは愚痴をこぼしていた。その気持ちは俺も分からなくはないので、解決に力を入れているため少し辛抱してほしいと伝えている。
このように、異常が起きている世界・地域はバラバラで、共通点も今の俺には見当たらない。ドレミコードのみんなも、気づいたところはないらしい。
そんなわけで、今のところ手がかりはほとんどなかった。
不幸中の幸いとも言えるのは、ドレミ界はまだそんな悪天候に見舞われていないことぐらい。自分たちの住む世界までそうなってしまうと、ほかに気を回す余裕もなくなってしまうから。
◆ ◇ ◇
そして今日は、ファンシアと一緒に調査に出る。
しかし、行き先は少し心配なところでもあった。
「バトレアスさん、本当にいいの?」
「はい。やはり、自分の目で見なければいけないと思いまして」
ファンシアに聞かれるが、俺の意思は変わらない。
これから行くのは都市の世界。S-Forceに拘留・釈放されて以来、一度も行っていない場所だ。あの時の苦い思い出などがあるから、正直気が重い。しかし、ヴァーディクトの時もエグザムの時も、あの世界では必ず何かしらの異変が起きた。もしかしたら、今回も何か手掛かりが得られるかもしれない。
「じゃ、これね」
エンジェリアに手渡されたのはキャスケット帽。頭の部分をベルトで調整するタイプのため、男の俺でも被ることはできる。さらにミューゼシアに用意してもらった伊達眼鏡を掛ければ、変装の仕上がりだ。
S-Forceから釈放されたので、普通に考えれば何も後ろめたいことなどない。しかし俺は、治安維持組織に拘束されるのも初めてだった。釈放された後、どの面下げて街を出歩けばいいか、など分からない。結局、無防備に素顔を晒すのが恐ろしくて、変装することにしたのだ。
「うん、なんていうか……売れない三流ゴシップ記者みたいな感じね」
「ズバリ言ってくれますね……。まぁ、変装としてはそれが正解でしょうか」
ドリーミアの一直線な評価が心臓に来る。傍にいるグレーシアやファンシアが特に否定しない当たり、同じような感想を抱いているのだろう。しかし、普段の印象から離れられれば変装として合格なはずだ。
「それじゃ、行ってくるよ」
「何にせよ、お気をつけて」
ファンシアがゲートを開き、グレーシアとドリーミアに見送られながら、俺はファンシアとゲートをくぐる。
その先にあったのは、前と同じビルの合間にある路地。
そして案の定というべきか、雨が降っていた。
「ここじゃ傘は差せませんし、少しの間ご辛抱を」
「しょうがないか……」
俺が先導する形でファンシアと路地を進む。都市の世界にファンシアと来る時はいつも休日だったので、話し方もファンシアの意向で素の口調に戻していた。だが、今日は異常事態の原因調査という目的があるためやめておく。
やがて大通りに出たところで傘を差し、ファンシアが雨に濡れないようにした。
「普通の雨だね」
街を見回すファンシアの感想は、俺も分かる。
アロマの庭や霊使いの屋敷周辺の天気は、台風とかゲリラ豪雨とか、そういうレベルの雨風だった。しかし、この都市の世界は雨量自体それほどでもない。
だが、違和感はあった。
「雨だからと言って……これだけ静かなものでしょうか」
ここはそれなりに交通量が多い通りだったはずだ。しかし、道を走る車はほとんどなく、通行人だって目に見える範囲だと一人か二人ぐらいしかいない。まるでロックダウンでも起きているかのように、人気がなかった。
「で、どうする?」
「そうですね……まずは――」
辺りを見回すファンシアに問われ、知り合いがいそうな場所(S-Forceは除く)に行こうか提案しようとしたら。
「話でもどうだ? バトレアス」
雨の中、やけに通る男の声が響く。
振り返ればその先には、傘も差さずに佇む白いコートの銀髪の男。
「ウィズダム――!?」
その人物を認識した直後、視界が光で塗りつぶされた。
気が付けば、俺にとっては久しい、幾何学的な模様が天地に走る異空間に立っていた。
「え、何ここ……?」
ファンシアが俺の肩を掴み、不安そうに周囲を見回す。
どう説明するべきか少し考えたところで、俺とファンシアの目の前に菱形の光が生まれた。
『こうして現実で会うのは久しぶりだな』
「!」
光が収まって、そこに浮かんでいるのは、中心部が虹色に輝く砂色の正八面体。それを見たファンシアは肩を震わせ、身を固くした。
「エニアクラフト……」
『それと、初めまして。ファンシア』
今日まで、現実でエニアクラフトの姿を目にしたのは俺だけだった。俺の深層心理を基にした夢の空間でネイロスは対面したが、あれも現実とは言えない。だから、こうして実体を目にするのは、俺以外だとファンシアが初めてになる。クーリアやミューゼシア、アポロウーサだって会ったことはないだろう。
「エニアクラフト……こいつが……!」
そして、エニアクラフトと知るやいなや、ファンシアの表情が歪んだ。
それも無理はない。エグザムを巡り人々が傷つき、狂い、その中でドレミ界も襲われた。ともすれば、人を全滅させようとした危険な存在だ。
『敵意を抱かずにはいられない、か。それは無理もないな』
「当り前だよ! だって――!」
「ファンシア様」
やはり感情的ではない言葉を操るエニアクラフトを前に、ファンシアが感情を爆発させかける。
だけど俺は、それを制するべきだと思った。
「落ち着いて下さい。今のエニアクラフトは敵ではありません」
「でも、バトレアスさんはこいつらのせいで!」
「エニアクラフトとの話はついているんです。だからこそ、ファンシア様が俺のために怒る必要はありません」
「君が相変わらずで安心したよ」
俺とファンシアのやり取りを聞いて、陰から歩み出たウィズダムがにやりと笑い、エニアクラフトの内部が青色に変わる。
エグザムを使ったエニアクラフトの「実験」は確かに終わった。しかし、その過程で起きた出来事の全てをきっぱり許すのは俺でも未だに難しい。エニアクラフトの真意を直に聞いた俺でさえこれだから、巻き込まれるだけだったファンシアが疑ってかかるのも当然だろう。
だけど、エニアクラフトは現状俺を信用してくれている。だから今は、無闇に感情をぶつけて刺激するべきではないはずだ。
そしてエニアクラフトは、ファンシアの反応が自然と分かっているように、指摘しない。
『そう警戒しなくていい……と言っても無駄だろうが、本当に今回は話をするためだけに呼んだのだ』
エニアクラフトがそう告げると、ファンシアは息を吐いて自分の気持ちを冷やした。そんな彼女に代わって、俺は前に出る。
「何について話す?」
『今、多くの世界で起きている事象について』
それだけでもう、話を聞くには十分な理由だった。
するとそこで、ファンシアがまた顔を上げる。
「……考えたくないけど、まさか色々な世界でおかしなことが起きているのは、エニアクラフトのせい?」
「順当な邪推だな」
ファンシアの質問に、ウィズダムは何が可笑しいのか笑いながら答える。
それは、俺も頭の片隅で予想していた。エニアクラフトが作ったエグザムは、デュエルに使うだけで多大な影響を齎す。またエニアクラフト自身、人類を殲滅できるほどの力がある。何より、エニアクラフトは世界の外側で人類を観測し続けていた。天界さえも監視下にある。
つまり、やろうと思えば、エニアクラフトは今世界中で起きているような天災、異常現象を引き起こせるのではないか?
『その質問への答えはNOだ』
けれどエニアクラフトは、明確にそれを否定した。
『確かに我々の力を使えば、今世界で起きているような事象は再現できる』
「……!」
『だが、それは彼との取り決めに反するものだ』
目などないエニアクラフトだが、それは俺ひとりを見ているような気がする。その内部の輝きは紫色に変わっていた。
『彼との戦いを経て、我々は人類への見方を変えた。そして彼が示した可能性を信じ、我々は人類への攻撃を取り止め、行く末を見極めることにした。この判断が正しかったか、些か不明瞭な事態は起きたが』
何を指しているのかは分かる。ネイロスが俺の精神世界に攻撃したことだろう。
『バトレアスは、「人」がどのような存在かを機械である我々に説き、可能性を示した。結果として、我々は人類をより理解する道を選んだ』
「……」
『にもかかわらず、我々が人類の害となる事象を起こすのは公平に欠ける』
「……じゃあ」
エニアクラフトの言い分に、ファンシアはゆっくり声を上げる。さっきよりは敵意が薄まっていた。
「バトレアスさんがいるから……『人』をもう攻撃しないと」
『あくまで現時点では。具体的には、あの戦いで示したような強さを彼が失わない限り、我々が一方的に人に危害を加えるつもりはない』
無意識に、手に力が入る。
エニアクラフトは、確かに人類への攻撃を取り止めてくれた。だけどそれは、あくまで一時的。俺も理解しているつもりだったが、全ては俺にかかっているということになる。エニアクラフトを止めたことで、攻撃基準が俺になってしまったというのは、のしかかるものがあった。
『そして君は今回、位の高い天使族からとても重要な役割を与えられたな』
「……お見通し、か」
最上位天使から任務を与えられたあの場には、最上位天使と俺、そしてミューゼシアしかいなかった。その後ドレミ界に戻り、ドレミコードのみんなに話はしたが、天界以外でその話はしていない。それをエニアクラフトが知っているということは、やはり俺の内部から見ているのか、あるいは外の世界からすべてを見届けているのか。
『話したいこととは、そこまで複雑ではない。我々は
「何?」
『エグザムを使った実験を止め、君たちは自らを含めた人類を守った。そんな君たちは、今度はこの世界全てを巻き込まんとする大きな禍に立ち向かっている』
エニアクラフトをデュエルで止めたのは俺だが、あのデュエルではドレミコードのみんなの力を俺のカードに注ぎ込み、まるで一緒にいるかのように戦った。それをエニアクラフトは、俺ひとりではないドレミコードみんなの功績だと判断しているらしい。それは俺としても嬉しかったし、その方がありがたかった。
「……ボクらをこうして呼んだのは、激励のため?」
『それだけではない。耳に入れておくべきだろう情報もある』
ファンシアが疑わし気に聞くと、エニアクラフトの輝きは黄色に変わった。
『今回起きている事象は、悪意によるものではない』
「え?」
『そして、我々が全くの無関係とも言い切れない』
「!?」
告げられた情報に、俺とファンシアは声を出さずとも、驚きは共有できたことだろう。
そしてファンシアは、一歩前に出た。
「待って。その言い方だと、この騒ぎの原因をもう突き止めたように聞こえるんだけど」
『その通りだ』
「それなら――!」
『かと言って、原因を教えることはできない』
ファンシアが一瞬希望を持ったかのように顔を輝かせた。が、その希望をエニアクラフトは叩き落とす。
『言ったはずだ、我々は君たちの働きに注目していると。つまり、答えを簡単に教えては、君たちの真価を確かめることもできない』
「……ッ!」
『それに、我々から聞いた答えに従って君たちが行動し、この事態を解決させたとして……最上位天使が彼を認めるかはまた別の話になる』
「……なるほどな」
深呼吸をひとつ挟んで、俺はエニアクラフトを見上げる。
「あくまでお前たちは、俺たち『人』の動きを確かめるのと同時に、俺がちゃんと認められるようになるために、ちょっとだけヒントをくれたってことか」
『そうなる』
聞いただけでは全く事態を改善させるには至らない、ヒントと言えるかも疑わしいもの。しかしエニアクラフトは、注目しているからこそ、答えを教えずヒントだけを与えてくれた。それも、上位天使が文句をつけられないように、俺に対してのケアを含めたもの。
状況がかなり緊迫している今は答えそのものを教えてほしいものだが、それでは意味がない。
『そう悲観することはない』
エニアクラフトが告げるのと同時に、そこら中に広がる回路が輝きを増し始めた。
彼らが姿を消す予兆だ。
『君たちは既に手掛かりを掴んでいる。いや、正確には君たち自身が手掛かりになる』
「?」
『君たちが作ったつながりは、やがて君たちを答えに引き寄せるだろう。そして答えに辿り着いた時は……バトレアス、君が試される時だ』
「おい、どういうことだ」
分かるようでわからない、宙ぶらりんな答えに俺は言葉を投げかける。
だけど、空間の輝きは増すばかりだ。そこで、エニアクラフトの傍に立つウィズダムがニヤリと笑みを深めると。
「君は世界を二度救った。その重圧と因縁からは、簡単には逃れられないぞ」
あまりにも不気味で、寒気を抱く言葉だった。
「待て――!」
最後に制止の言葉を上げたが、それは聞き入れられず。
光が収まった次の瞬間には、俺とファンシアは雨の降りしきる大通りに立っていた。
「……」
傘を差すのも忘れて、俺とファンシアは雨の中、向かい合ったまま何も言えなくなった。
◇ ◆ ◇
結局俺たちは、ファンシアの「色々話を聞いていたらお腹が空いた」の一言で、少し早めの昼食に行くことにした。エニアクラフトやウィズダムの話は考えるべきだが、確かにあの話を理解するのに随分と糖分を消費したので、腹ごしらえには賛成だ。
場所は、ファンシアと初めてこの都市の世界に来た時と同じハンバーガーショップ。だが、訪れたそこはやはり空いている。というか、客が俺たち以外いなかった。
「本当、どうしてこんなに人がいないんだろうね?」
ハンバーガーに齧りつくファンシアは、店内を見回して小首をかしげる。店が営業しているということは、戒厳令でも敷かれているわけではなさそうだ。しかしこれだけ人がいないとなると、不安にもなる。
『先日、中央デュエルアリーナで発生した、デュエルシステムの暴走事故について、アリーナの運営委員会は未だ原因の特定には至っていないとのことです』
店内にはテレビも設置されているが、流れているニュースは明るいとは言えない。俺は炭酸飲料を啜りながらニュースを眺め、ストローから口を離すと自然にため息が漏れた。
「これも一連の騒動と関係があったり?」
「……可能性は、ありますね」
考えることと憂鬱な気分は同じようで、ファンシアは眉を下げながらポテトを頬張っている。
ニュースによれば、デュエルアリーナは閉鎖されているらしい。面識があるプロデュエリストのブライターに、何とかコンタクトを取って話を聞く、ということはできなさそうだ。というか、人の多く集まる場所に今行くのは少し緊張する。
ニュース番組が別の話題に変わった。世界的なサーカスグループ「
「報道ってのは、往々にして希釈ないし歪められるんだけど、残念ながらアレは全部事実なんだよね」
そんな言葉と共に、俺とファンシアの座るボックス席に、無遠慮にも二人組が座ってきた。
ひとりは、だぼついた黒いTシャツとジーンズを着こなし、グレーのニット帽を被る少女。ところどころが跳ねた黒いロングヘアだが、ストリートファッションという奴だろうか。
もうひとりの少女は、グレーのキャミソールと黒の短パン、その上に黒いジャンパーを着ている。だが、帽子を目深に被ってジャンパーのフードも被る、暗めな印象だ。
いや、そんなことより。
「あの……?」
ファンシアがハンバーガーを置いて2人に話しかける。店内には俺たち以外の客がいなかった。だから席も選び放題なはずなのに、なぜわざわざ俺たちと同じボックス席に座るのか。
「ありゃ、やっぱり気付きませんか」
ニット帽の少女はスマホを軽く操作しながらそう答えると、右手で自分の顔を隠す。
そして1~2秒程度でその手をどかすと。
「ハロー♪」
髪型は変わらなくても、露わになったその顔は最初に見た時と別人になり、声まで変わっていた。
そして、その顔と声には覚えがある。
《I:P マスカレーナ》だ。
「「!」」
それが分かると同時、俺とファンシアは座る位置をずらして距離を置こうとする。だけど、ボックス席の壁際なせいで逃げられない。
「ちょっとちょっと、人の顔を見るなりその反応はあんまりだと思いますよ?」
危機感なく、マスカレーナはずいと距離を詰めてくる。
だが、俺たちがこんな行動を取るのには理由があった。
「……S-Forceに目をつけられるぞ」
目線で後ろを示す。天井の隅には監視カメラが取り付けられている。この席の様子も映っていることだろう。街の監視カメラにアクセス可能なS-Forceに見つかれば、前の二の舞だ。
それ以前に、俺の「立場」は前と変わってしまっている。
「監視カメラの映像はループさせてますから大丈夫です」
「けど――」
「それ以上キョドキョドしてると、本当に怪しまれますよ?」
マスカレーナは声を潜めて、親指で別方向を指す。その先にあるのは、レジ。店員たちは俺たちの方をちらと見るが、すぐにレジの作業に戻った。怪しんではいないが、注意はしておこうという意思が伝わってくる。
ファンシアと顔を見合わせる。そして、ここは大人しく、だけど過度に親しくしない方がいいということにし、仕方なく座りなおした。
「……?」
そしてまた気になるのは、マスカレーナと一緒に席についた少女。俺たちに一切視線もくれず、黙々とポテトを食べている。マスカレーナと一緒にいるのだから、それこそ他人のはずがない。
「こっちも気づかないものなんですね」
俺たちが不審がるのを見て、何故かドヤ顔になったマスカレーナは、その少女にハンドサインを送る。それを受けて、ポテトを食べるのをやめた少女は、パーカーのフードを外し、被っている帽子のつばを少しだけ上に向ける。
つばの裏側には「NIN-NIN」と書かれていたが、重要なのはそこではない。はっきり見えた目の色は緑、お下げの髪は黒ベースで山吹色のアクセントが入っている。俺もファンシアも覚えがある人だ。
「……小夜ま――むぐっ」
ファンシアがその名を言おうとした直後、少女……《S-Force 乱破小夜丸》はファンシアの口を手で押さえた。
「……今の私は、『リトルナイト』です」
「ひほるはいほ?」
「わかりやすく言えば偽名ですよ」
静かに告げた小夜丸の言葉を、マスカレーナは補足する。
穏やかではない話だが、俺はすぐに状況を飲み込めた。
何せ前世でも、《S-Force 乱破小夜丸》は、ある時を境にS-Forceに反旗を翻し、マスカレーナと行動を共にするようになるストーリーだったのだから。そうしてマスカレーナと行動を共にする小夜丸こそ、《S:P リトルナイト》。つまり、今目の前にいる小夜丸改めリトルナイトその人だ。
「……なんだってまた」
口から手を離されたファンシアが、事情を尋ねる。小夜丸はオレンジジュースを啜って、静かに話し始めた。
「……エグザムの件で、司令官をはじめとしたみなさんが強硬姿勢を見せ、明かされた全次元の監視という最終目標に、疑問を抱きまして」
「疑問?」
「私はこのまま、こうしていていいのかと。私が信じる正義のその先にあるそれは、本当に善いものなのかと」
エグザムを巡る交渉の際、S-Forceの司令官ジャスティファイは、エグザムを5枚集めた暁には不穏因子や犯罪組織の徹底的な排除、さらに全次元を監視して秩序を維持するという目標を明かした。あの時クーリアは、その思想こそエグザムの付け入る隙だと指摘したが、全てが監視される未来など、いくら秩序を安定させるためとはいえ危険ではないだろうか。小夜丸の言う通り、善し悪しで言えば善しと言えない。
「そしてエグザムを失って以降、S-Forceの取り締まりは強化され……ターゲットの確保も生死を問わないようになりました。これまでは、生け捕りが基本だったのに」
リトルナイトの視線を受けたマスカレーナは、ハンバーガーを頬張りながら肩を竦める。彼女もターゲットだろうに緊張感がないが、彼女はそういうところがあった。
S-Forceが警備態勢を強めたのは、エグザムの力を失ったのをカバーするためだろう。「上」を一度知ってしまったから、それに近づくために手段を選ばなくなり始めているのかもしれない。
「私は、私の信じる正義に従うことを選び、彼女と行動を共にすることにしました。
リトルナイトの目は強い。S-Froceの現状を憂いているのも感じられる。
だけど俺たちは、過度に同情する立場にない。リトルナイトの判断の是非を下すことも今は許されなかった。
「……そうか」
だから、曖昧な相槌を打つことしかできない。
「……わざわざ相席したのは、身の上話を聞かせるため?」
改めて本題を聞く。ドレミコードにとっても赤の他人ではないリトルナイトのことは気になるが、その話をするためだけに俺たちに接触したとは考えにくい。何せマスカレーナも、迂闊に外を歩けないお尋ね者のはずだから。
「ちゃんとした用事もありますよ」
マスカレーナは、口の端についたケチャップを親指で掬い舐め取る。そして、空いた手でどこからか白い封筒を取り出し、俺に差し出してきた。
「あなたにです」
「……誰から?」
受け取らずに聞き返すと、マスカレーナは封筒をテーブルに置き、炭酸飲料を一口飲む。
「あなたとのデュエルで私が使った《ファイアウォール・ドラゴン》、覚えていますか?」
「ああ」
「あの時話したように、あれは私の伝手で借り受けたものでした」
そして、とマスカレーナはテーブルの上の封筒をとんとんと指で叩く。
「あのカードを私に貸してくれた人からですよ、この手紙は」
手紙の存在感が一層強くなる。エグザムに劣るが、限りになく現実に近い衝撃を生んだあの《ファイアウォール・ドラゴン》を貸すほどだ。民間人なわけがない。
「中身は何て?」
「さあ? いくら私でも、人さまへの手紙を勝手に読んだりはしませんし」
封筒を見るが、確かに六角形の封蠟は開かれた形跡がない。ここでマスカレーナに色々聞いても意味はないだろうし、リトルナイトが知るはずもない。
「……その手紙の差出人は、善人? それとも悪人?」
「まぁ、普通の物差しで測ればいい人ですかね」
「なら、その手紙にマスカレーナさんの意思が入っていたりもしない?」
「いいえ。私はただ、手紙をあなたに渡すよう頼まれただけです」
ファンシアの続く質問に、マスカレーナは息を吐いて炭酸飲料を飲み干す。
「何をそんなに怯えてるんですか? あなたたち、そこまで慎重じゃなかったですよね?」
「そうならざるを得なくなったんだよ」
訝しむマスカレーナにファンシアが説明しようとする前に、俺は軽く手を挙げて役目を引き継ぐ。マスカレーナとの付き合いは俺の方がわずかに長いし、ここまで及び腰になる理由は俺にある。
「……エグザムの件で、確かに俺は君の力を借りた。だけど結果として、俺は俺たちの上位存在に咎められ……殺されかけた」
天使族裁判では、俺がお尋ね者のマスカレーナと手を組んだことも焦点になっていた。だから、こうして不用意に接触してしまうと、また上位天使たちが俺を責める理由を作ってしまいかねない。
例え気心知れた仲でも、あの時の糾弾やプレッシャー、さらに俺を追い詰めた天使たちを思い出すと、今まで通りに接することはできなかった。
「……穏やかじゃない話ですね」
「ああ。S-Forceでの拘留なんて、ぬるま湯に思えるほどにな」
マスカレーナから笑顔が消える。
リトルナイトも、オレンジジュースを飲むのを止めてこちらの話に耳を傾けていた。ドレミ界に一時的に軟禁され、実際に天使同士の戦いを目にしたからこそ、他人ごとと思えないのだろう。
「最初に君に助けられたあの時、俺は君と逃げてS-Forceを倒し、余計なトラブルを招いた。それはまず、俺が弱かったからに他ならない。でも上位存在が問題視していたのは……君が『犯罪者』でもあったから」
こんな言い方は間違っていると、分かっている。相手に自覚があったとしても。
マスカレーナは、瞬きを一度するだけで気分を害した風ではない。
だけど、口にした俺自身、マスカレーナを傷つけたと後悔している。
「……君の助けがあったから、エグザムの混乱を収束できたと俺は思ってる。そうじゃなければ、今頃ひどいことになっていたかもしれない」
S-Forceと話をする場を設けられたのも、マスカレーナのおかげだ。でなければエグザムは集められなかったし、S-Forceが2枚のエグザムで何かを企てていただろう。そして、所在不明なエグザムをめぐり沢山の勢力が入り乱れる混沌とした事態……戦争になっていたかもしれなかった。
「だからこそ、本当に感謝してる。そして、こんな態度や言い方が間違っているのも分かってる」
テーブルの上にある手紙に目をやる。
マスカレーナに視線を戻した。
「これを俺が受け取らなかったら……君はどうなる?」
「……一応、会えるかどうかは分からない、と相手方には伝えています。だけどあちらさんも、それなりの情報収集力がありますからね」
脚を組みなおすマスカレーナは、一息つき。
「だから、あなたに会っても渡さなかったと知られれば……まぁ、一悶着あるでしょうね」
「……そうか」
誰であれ、あの《ファイアウォール・ドラゴン》をどうこうできる人だ。マスカレーナを凌駕する力と情報網を持っているのは間違いないし、高確率で相手はサイバース族。だとすれば、逃亡のスペシャリストのマスカレーナでも、逃げ切れないかもしれない。
「……ファンシア様」
「……うん」
最終確認をファンシアにし、俺はその手紙を受け取る。
「言った通り、君には借りがある。そんな君を危険に晒すわけにはいかない。だから、この手紙は受け取ろう」
「ありがとうございます」
「だけど……これきりだ」
手紙を掴む手に力が籠ってしまうが、俺はそれでもマスカレーナに頭を下げた。
「今までありがとう。そして……本当に、すまない」
本音を言えば、幅広い情報網を持つマスカレーナをまた頼りたい。だけどそれをすれば、今度は間違いなく、最上位天使は俺を許さない。マスカレーナにまで天使族の手が及ぶかもしれなかった。
この世界を巡る異変を解決できるなら、禁を破ってマスカレーナの手を借りて、それで最終的に俺が死罪を言い渡されて死んでもいいと思っている。だけど、本当にそうするとドレミコードのみんなが悲しむし、特にクーリアが許しはしないだろう。何より、ドレミコードの名誉を貶める。それだけはダメだ。
だからこそ、マスカレーナを頼れない。
そして天使族の体裁を考えれば、公私問わず接触するのもリスクが高すぎる。
つまり、縁を絶つしかないのだ。
それが恩人に対する態度でないとしても、他にやりようがない。
「……そうですか」
下げた俺の頭に、手が当てられる。感触的に、チョップの体らしい。
マスカレーナのその声には、特に怒りとか哀しみとかは感じられなかった。
「そこまで思い悩む必要はありませんよ。あくまで、私とあなたの『依頼関係』が終了したに過ぎないんですから」
「……」
「そして私も、あなたには恩があります。S-Forceの追跡を止めた上、今こうして私の生きる世界を存続させてくれたんですから」
音で、マスカレーナとリトルナイトが席を立ったのが分かった。俺が頭を上げると、マスカレーナは微笑んでいた。
「その手紙を受け取ってくれて、ありがとうございます」
「ああ」
「それでは……お元気で」
マスカレーナは最後に手を振って、自分のトレーを返却口に持っていく。リトルナイトも一礼し、同じようにマスカレーナの後に続く。
二人は俺たちを振り返ることなく、ハンバーガーショップを出て行った。
◇ ◇ ◆
「気持ちは分かるよ」
ハンバーガーショップを出て少ししてから、同じ傘の下でファンシアは話しかけてくれた。時間を置いたのは、俺に落ち着く猶予を与えてくれたのだろう。
「マスカレーナさんのおかげでエグザムの事件は解決した。それにさっきのやりとりで、バトレアスさんとマスカレーナさんは、少し仲が良さそうに見えたし」
一時的とはいえ、俺とマスカレーナは協力関係にあった。その過程でちょっとしたトラブルを招いたり、逆にデュエルを通して真正面から向き合ったりしたからこそ、ただの知人で片づけるのは難しい。
「そんな人とのお別れはつらいよね」
「……その通りです。けれど……」
水たまりを不用意に踏んでしまうが、どうでもよかった。
「……自分から、ああして別れを切り出すことなんてなかったもので」
嫌いな人は黙って距離を置いていた。初恋はフラれる側で、ドレミコードのみんなは家族も同然、この先命をかけて守り抜く。
だけど、例え「依頼」というビジネス関係でも、あんな風に親しい人相手に、自分から「お別れ」を伝えたことはない。
そして実際にそれを口にするのは、自分自身の心を引き裂くように苦しい。周りが許してくれないからだとしても、己を憎みたくなるほどに。
「ボクにも似たような経験があるから分かる。けど、ボクらはそういう存在なんだよ」
それは暗に、受け入れる以外に道はないと言っているようなものだ。
それがいい加減なアドバイスとは思わない。彼女は育ち盛りの少女のような身体だが、ドレミコードの天使として生きてきた年月は俺より遥かに長い。今の俺みたいな経験は、積んできたに違いなかった。
だから俺も、同じドレミコードとしてそうするしかない。
どれだけつらくても。
「まぁ、湿っぽい空気はそれぐらいにしようよ」
そう切り替えたファンシアが足を止めたのは、街角のケーキ屋の前。俺からすれば来るのはかなり久しぶりになる。それに、S-Forceにマークされていた状況を思うと緊張が走ったが、ここまで来て引き返すこともできない。意を決し扉を開けると、ドアベルが軽やかに鳴った。
「いらっしゃいま――あら」
カウンターに立っていた店員、《
その彼女とショーケース越しに話をしていた女性も振り返った。《ポワソニエル・ド・ヌーベルズ》だ。パリの通りにいても絵になりそうな私服の彼女もまた、笑顔を携えて俺たちにお辞儀をする。
「お久しぶりです、バトレアスさん。ファンシアさん」
「どうも」
見る限り、店内に2人以外の客も店員もいない。俺は少し安心し、キャスケット帽を脱いだ。
「イメチェン、でしょうか?」
「まあそんなところです」
ポワソニエルに聞かれ、俺は適当に誤魔化す。悪目立ちしないため、なんて言えるわけもない。
するとクーベルは。
「天使族裁判ぶりでしょうか?」
「え」
にっこりと、何てことの無いように告げられて、戸惑う。ファンシアもぎょっとしていたが、ポワソニエルだけは何のことか分からないらしく、きょとんとした。
そんな俺の反応に、クーベルはぱたぱたと手を振る。
「ごめんなさい。実はあの時、私も参加していたんですよ。最後にあなたを見たのはその時だったので……あなたからは、私は見えませんでしたよね」
「あ、そうでしたか……」
天使族裁判に参加していたのは上位天使のみだ。クーベルは、デュエルモンスターで言えばレベル5の融合ペンデュラムモンスター。特性として、上位天使に含まれているらしい。
裁判が開かれたあの場所で、俺の位置からは距離があり、参加している天使一人ひとりの顔は対話用のモニターがなければ認識できなかった。知り合いのクーベルがいても気付くのは難しい。
一方、事情を知らないらしいポワソニエルは、レベル1のペンデュラムモンスター。天使族裁判に参加できる階級にないのだろう。
「……あぁ、どうも普通の人と違うかと思ったら、同じ天使族の方でしたか」
「ええ、まぁ。最初に『
そのポワソニエルも、ようやっと俺たちが何者かを理解したらしい。階級が低いと、ドレミコードのように存在が秘匿されている同族も分からないようだ。ただし、俺は初対面の時まだ人間だった。普通の人と違う、というのは転生者だったからだろう。
「それにしても、物々しいですね。裁判なんて」
「それが実は……」
事情を知らないポワソニエルに、俺とファンシアで最低限説明をする。この場には天使族しかいないとのことだから、天使族の間で起きたあれこれも話しておく。今後、蟠りを残さないためにも。
「そうでしたか……」
「……すみません」
「いやいや、バトレアスさんは謝らなくていいって」
話を聞き終えたポワソニエルが口元を押さえると、俺は自然に頭を下げてしまう。幻滅してしまっただろうから。ファンシアが肩に手を置いて励ましてくれたが、今はあまり効果がない。
「私は裁判の時から、正当ではないと思いましたけどね……」
そこでクーベルの声がかかった。顔を見れば、彼女は優しく笑っている。
「だって、『À Table』では身体を張って私たちを守ってくれたじゃないですか。私たちからすれば命の恩人です」
「あの時のことは私も感謝しています。だからこそ、エグザムとやらの件でS-Forceに手配された時も、私はあなたを信じようって思いました」
「……ですが、実際に俺はあそこでトラブルを起こし、マスカレーナと逃げ出してしまいました。信用してくれていたのに、情けない限りです」
ポワソニエルも優しい言葉をくれるが、あの場で俺が逃げ出さなければ事態が拗れることもなかった。エグザムの件がどうなっていたかも分からなくなるが、2人が認めても俺自身があの時の自分の選択を許せない。
するとクーベルは、ショーケースに腕を置いて、俺を真っ直ぐに見る。
「確かに、天使の立場から見れば、それはあまり褒められたものじゃないかもしれません。けれど結果、この世界も、私たちの今も続いています。それに、S-Forceは事情を理解した上で釈放してくれたのでしょう? それなら、もう過ぎたことです。いつまでも気に病む必要はないですって」
クーベルは、微笑みを絶やさずに話す。ポワソニエルも同意するように頷く。
「だから……」
すると、クーベルは指で俺に近づく様に示してきた。それに従い、ショーケースに近づくと。
「私はあなたの処刑に反対しましたよ?」
耳元で囁かれる。
感じるのはくすぐったさとかではなく、心地よい胸の温かさだ。
「……それ、言っていいものなんですか?」
「普通はダメです。なのでこれは、私とあなたの間だけ、ということでひとつ」
自分の唇に指をあて、片目を瞑るクーベル。
俺の有罪無罪について多数決が取られた時をふと思い出す。確か《裁きを下す者-ボルテニス》が挙手を命じた際、俺の無罪放免に対して誰かが真っ先に手を挙げていた。まさか、あれはクーベルだったのだろうか。
ただ、流石にそれを聞くわけにはいかない。
だからここは、クーベルの言葉に対して「ありがとう」と答えるだけにしておいた。
バトレアスとクーベル、ポワソニエルの様子を見ながら、ファンシアは一息つく。
天使である自分たちに「寿命」の概念はない。この先、普通の人との「別れ」はまだまだ増えるだろう。さっきみたく、お互いに事情があるから距離を置く、なんて易しいものじゃないほどの別れが。
その時も、バトレアスはやはり落ち込んだりしてしまうに違いない。
それはドレミコードの仲間も同じだった。自分の役割や存在を自覚したばかりの頃、ファンシアも少し落ち込んだし、キューティアやエリーティアも思い悩む時期があったのだから。けれどそれも、長い時の中で「受け入れる慣れ」を身につけ、今では深く思い悩みはしない。
そしてそうなった時は、周りの誰かが寄り添うのも大切だ。例えば、今のクーベルやポワソニエルのように、他愛のない話をしたりすればいい。ドレミコードのみんなだって、同じことをするはずだ。
(……まぁ、クーリアさんに嫉妬されないぐらいにはしてほしいところだけどね)
それだけ思いながら、ファンシアも会話に混ざることにした。
《キャラクター紹介》
・《I:P マスカレーナ》
あらゆるデータを盗み届ける「運び屋」だが、血が流れるような罪は決して犯さない。「運び屋」として培ったパイプから様々な情報を得て、電子工作に長け、基本変装して行動するために決して捕まらない。過去にS-Forceのとある重要な機密情報を盗み見て以来、最重要危険人物としてマークされている。
使用デッキは【イビルツイン】。伝手で特殊なカードを調達し使用することもある。
クライアント関係を超え、戦友とも言えるバトレアスから決別を申し出られ、それなりに寂しく思っている。
・《S-Force 乱破小夜丸》/《S:P リトルナイト》
里長の命でS-Forceに所属していた、元エージェントのくノ一。気合が空回りしてポカをやらかすことが多いが、忍としての実力は本物。最初はS-Forceの理念に賛同していたが、エグザムを巡る戦いを経てそのやり方と思想に疑問を抱き、離反してマスカレーナと行動を共にするようになる。しかし、その状況についても葛藤し悩み続けている。
得意料理は和食全般。「いい奥さんになる」と里長が太鼓判を押すぐらいには家事全てを卒なくこなせる。
・《ポワソニエル・ド・ヌーベルズ》
オーベルジュ「À Table」の海鮮料理担当兼接客担当。店員の《サイクロプス》から「姐さん」と呼び親しまれている。自分の店で、人々が日々の喧騒から離れ癒されるのを願っている。天使としては階級が低いため、天使族裁判への参加権がなく、存在が秘匿されている同族を知らないことも多い。「À Table」で侵略者を撃退したバトレアスを信用し、以降良き友人となっている。使用デッキは【ヌーベルズ】。
客から告白されることがあるが、客と付き合うつもりはないため全て振っている。
・《聖菓使クーベル》
都市の世界の一角でケーキ屋を営む上級天使。自身の作るケーキを人々に食べてもらい、一時の安らぎを与えることを使命としている。菓子への造詣が深く、その腕はまさに一級品。同じ「料理」を司る天使としてポワソニエルとは仲がいいが、菓子作りの面ではライバル同士。「À Table」の一件に加え、自分の店によく来てくれるバトレアスを気に入っている。
お菓子に限りどれだけ食べても太らない体質。ポワソニエルはこれを最初に聞いた時、金剛力士像みたいな顔になった。