軽く窓ガラスを叩く音に、意識がゆっくり引き上げられる。
青い髪の青年は起き上がり、重たい瞼をどうにかこじ開けて窓ガラスを見る。もう何週間も降り続く雨のせいで、今なお雨音が部屋の中にまで聞こえてきた。それでも、窓を叩く音は雨の音と聞こえ方が違う。
寝起きで動きの鈍い手で何とかカーテンを開けると、窓を叩く相手はすぐに分かった。
「おねむのトコ悪いな、マスター」
「……どうした、コバルト」
窓を開けると、翼と首元に群青色の宝石を埋め込んだ鷲が、申し訳なさそうながらどこかおどけた感じで話しかける。《宝玉獣 コバルト・イーグル》は、雨に濡れた頭を翼で拭きつつ、マスターと呼ばれた青年を見た。
「さっき、エメラルド爺さんが遺跡で妙な気配を感じたんだと」
「……こんな夜更けに盗掘かよ」
「いや、どうもそんなんじゃないらしい。兎に角『尋常ならざる雰囲気』がするってさ」
エメラルド爺さんこと《宝玉獣 エメラルド・タートル》は、青年が見守る遺跡のすぐ近くに居を構え、遺跡に近づく不審な輩を監視している。そんな彼がそこまで言うとなれば、見飽きたトレジャーハンターの類ではないようだ。
「よし、すぐ行く」
「わりぃな」
青年も意識が完全に覚醒する。時刻は真夜中もいいところだが、その遺跡に近づく謎の人物が重要だ。何もかもがおかしくなり始めた最近は尚更。
遺跡の守り人としての正装に着替えて、杖を手に外へ出る。相も変わらず雨は降り続いているが、構っていられない。
「そいつは今も遺跡にいるのか?」
「あぁ、アメジストの姐さんたちが見張ってる!」
「分かった!」
コバルトの先導で青年は森の中を駆ける。10年以上暮らすこの森で迷うことはないが、それでも雨の降る夜の森は結構危険で心細くもなる。頼れる仲間が一緒にいてくれれば、幾分気は楽だ。
「よし……」
辿り着いた遺跡は、青年にとっては見慣れたものだが、古代都市のようにいくつかの建物が点在している。と言っても、まともに形が残っているのはごくわずか、他は大体外壁の一部か基礎部分ぐらいしか残っていない。それだけでも、歴史の考証には十分な材料となるので専門家から感謝されている。
「トパーズ、アメジスト、見張りご苦労さん」
「おう、来たかマスター」
声掛けに応えたのは、刃のような鋭い鬣を生やす白虎、《宝玉獣 トパーズ・タイガー》。首元には薄い金色に輝く宝玉が埋め込まれている。
「で、その怪しい奴はどこに?」
「あっちよ、中央の闘技場跡」
前脚でそちらを指すのは桃色の体毛の大柄の猫、《宝玉獣 アメジスト・キャット》。首元に大きな紫水晶の飾りをつけている。
「エメラルド爺さんから手は出さないよう言われてるから、監視だけだ。向こうも俺たちに気づいた様子はない」
「そうか。あっちは何人だ?」
「1人ね。でも気配が普通の人じゃなさそうで……迂闊に手を出すのは危険かも」
「とはいえ、放っておくわけにもいかないな」
アメジストの示した中央の闘技場跡は、この遺跡群の中でも特に状態がよく、ほぼそのままの形状を保っている。ざらに出現する盗掘者たちは大体その周囲の遺跡に踏み込むので、その点で言えば珍しい気もした。
だが言った通り、誰であろうと無断で遺跡に入る輩は無視できない。しかも今は世界中が異変に包まれている。その上、闘技場の真下には「あるもの」が封印されているのだ。そんな危なそうな奴を放っておくと、何をしでかすか、何が起きるか分からない。
「オレはここで待機するぜ。大した役にも立てねーだろうし」
「分かった、ここまでありがとう」
案内してくれたコバルトは、石柱のひとつに降り立ち、姿勢を低くする。片手を挙げて感謝を示し、青年はトパーズ、アメジストと一緒に遺跡の奥へ進んでいく。
その闘技場跡は円形で、およそ1000人ほどを収容可能な規模だ。過去に見学した
そんな遺跡の中心に、誰かがしゃがんでいた。雨のせいで姿はよく見えないが、あれが不審者だろう。
そしてその「何者か」が地面に手をかざすと、青い光をその場で輝かせ始めた。
あれはマズい。
「動くな!」
青年は駆け出し、その姿かたちが全く見えない「何者か」に声を放つ。アメジストとトパーズも横についた。
そして、宵闇の雨の中で、「何者か」は立ち上がると青年の方を見る。
「……トレジャーハンターじゃなさそうだな」
トパーズの声に、青年も同意見だと頷く。
長く赤い髪のその人物は、体つきで女だと分かった。しかし、姿がはっきり見えなかったのは夜雨のせいだと思ったが、違う。
だからこそ、この女は危険だと瞬時に把握できた。
「あーら、これはこれは。遺跡を守る宝玉獣と守り人ね? 随分勘のいいこと」
その女は全く臆する様子もなく、むしろ小馬鹿にする声で話しかけてきた。やはり危ない雰囲気だが、ここで退いては守り人の名折れになってしまう。だから青年は、さらに話しかけた。
「君は何者だ? 何の目的でここに来た?」
「それを聞いてどうするつもり? 邪魔するのよね? じゃあ話しても意味ないわ。あんたらには興味もないし、さっさとお家に帰りなさい」
青年に取り合わず、しっしっと手を振る女。トパーズは低く唸り、アメジストも威嚇するように牙を見せた。それを見てもなお、女は鼻で笑う。
「ペットの躾がなってないわね。そんな子が守り人なんて聞いて呆れるわ」
「マスターをバカにすると痛い目見るわよ、このスカポンタン」
「待て、アメジスト。刺激するな」
闘志を露わにするアメジストを青年が宥める。彼女が喧嘩っ早いのはいつものことだが、相手は選ぶべきだ。
「あんたを傷つけたくはない。そっちだって下手に大怪我を負いたくはないだろう。大人しく去れ」
トパーズは冷静に、されどその内に怒りを抱えながらも、女に交渉する。無駄だろうが、何のつもりか分からなくてもこのまま放ってはおけないし、マスターである青年を危険に晒したくもない。だからこそ、できる限りは抵抗の余地を相手に与える。
しかし女は。
「イ・ヤ」
そう言って、爪先で地面をつんと叩いた。
直後、轟音と共に地面が砕け、中から何かを現した。
「な――ッ!?」
隆起する土に脚を取られて後ろによろめくが、トパーズが何とか身体で支えてくれる。アメジストは軽い身のこなしで、既に距離を取っていた。
「どうせあんたたちはすぐ死ぬわ。だから教えてあげる」
そして女は、変わらない調子で自分の後ろを指さすと。
「私がここに来たのは、こいつの力をもらうためよ」
地面から姿を見せた巨大な結晶。
その中から竜が首を出すと、夜の静けさを引き千切らんとする咆哮を上げた。
◆ ◇
精霊界全土に及ぶ異常が起きて以来、ドレミコードの「浄化」は安全を考慮して取りやめになっている。その中でもクーリアは、霊使いたちの天門術を介した「依頼」があるため、この日もそこへ向かう準備をしていた。
そして、俺もまたクーリアについて行くことになっている。ドレミコードと天門術の関係に一枚噛んでしまっているし、この異常事態の解明を最上位天使から仰せつかっている。情報提供を約束している霊使いから、直接話を聞かなければならない。
「それでは、行ってきます」
「気を付けてくださいね」
「クーリア様もいることだけど……無理はしないでよ?」
「浄化」や「依頼」で出かける際にゲートを開くホールで、俺とクーリアはキューティアとドリーミアの見送りを受ける。この2人も最初に天門術で呼び出されたが、霊使いとのやり取りは全て俺とクーリアに任された。なので、こうして身を案じてくれているらしい。
「そうね、そこは注意すべきよね」
「……気をつけます」
ドリーミアの言葉に、クーリアから強めの視線を背中に受ける。これまでのあれこれがあってのことだろうが、立場上は本当に「気を付ける」ことしかできない。いざとなれば、俺は喜んでドレミコードの皆の盾になるつもりだ。
苦笑しつつ、俺は霊使いの屋敷へ繋がるゲートを開き、クーリアと共にそれをくぐる。
ゲートをくぐった先は屋敷の広間で、ダルクたちは待っていたかのようにそこに立っていた。こちらが次に来るのは一週間後と決めていたので、当たり前と言えばそうだが。
「お待ちしていました」
「出迎えありがとう」
アウスの挨拶にクーリアは微笑んで軽く手を挙げる。
だが、そこでウィンが封筒を手に歩み寄ってきた。
「クーリアさん、これを……」
「それは、手紙かしら? 私に?」
「はい。えっと――」
「私が世話になった人からね」
ウィンが説明しようとしたところで、ライナが説明を代わった。言い方から、前に天門術を使った「長老」なる人とは違うらしい。そしてウィンたちほかの霊使いも頷くあたり、全員が知っている人のようだ。
「その人は、どうして私に手紙を?」
「いやぁ、それは……手紙に書いてあるって」
クーリアは手紙を受け取るが、詳しい理由や目的はライナたちも知らないらしい。この手紙の差出人がどういうつもりで、天使であるクーリアに手紙を寄越してきたのだろう。何だか腑に落ちない。
それはクーリアも同じらしいが、とにかく中身を確かめようとクーリアは手紙の封を切ろうとした。
「お待ちを」
「?」
無礼なのは十分承知の上で、俺はそのクーリアの手を掴んで封を開けるのを止めさせる。その行動に、クーリアだけでなくライナやウィンたちも首をかしげていた。
「その手紙、自分が開けてもよろしいでしょうか? どうも、気になるところがありまして」
「……分かった」
嫌な予感がする、とまでは言えなかった。ライナたちやその手紙の主を疑うわけではないが、それでも適切な言葉とは思えないから。
クーリアも何か汲み取ってくれたようで、頷いて手紙を渡してくれる。
その手紙を会釈して俺は受け取る。封筒は糊で綴じられ、明かりに透かして見ても、中にあるのは三つ折りの便箋1枚ぐらいしか確認できない。
まずは慎重に糊をはがし、中にある便箋を取り出す。
そして、三つ折りになっていた紙を広げると。
「っ!?」
クラッカーが弾けるような音と共に、視界が真っ白に染まった。
「……バトレアス?」
クーリアがその名を呼んだが、意味はなかった。
そこにバトレアスの姿はなかったから。
「え、え……?」
一部始終を間近に見ていただろうウィンは、困惑して部屋をきょろきょろ見回している。エリアやヒータも同じような反応をしている。
「……これ、転移術式が書かれてる」
「一種のブービートラップだね……」
バトレアスがいたところに落ちていた便箋を拾い上げたアウスが、それを見てぽつりと呟く。手紙を覗き込んだエリアも続くと、クーリアはぽかんとしているライナを見た。
「手紙を渡してきたのは誰?」
「だから、私の世話になった人で……」
「どんな人?」
「……この『魔術界』で有名な魔法使いで、魔導工芸ギルドのリーダーだ」
ダルクが説明を引き継ぐと、クーリアは小さく息を吐く。
そしてダルクに詰め寄った。
「どうしてこんな真似をしたかは、聞いたかしら?」
「それは、全然……。その、あなた方からこの異常事態の解明に協力するよう言われた、って話をしたら、その場でそれを書いて『次にその人たちが来たら渡して』とだけ。まさか、内容が転移術式だなんて」
反応からして、この場にいる霊使いは誰も、あの手紙がそんな代物だとは聞かされなかったようだ。
すぐにクーリアはデュエルディスクを取り出し、天板を操作する。無論、バトレアスのディスクに施した強制帰還術式を発動するためだ。万が一のために、ミューゼシアが組んだその術式はクーリアも使えるようにしてある。
だけど、ディスクは反応を示さなかった。
クーリアはもう一度息を吐いて、今度はアウスを見る。手紙の内容を一目見て、転移術式だと理解した彼女を。
「その転移術式とやらが、どこに繋がっているかは分かるかしら?」
「特定は難しい……けど、時間がかかっていいのなら調べます」
「それならお願い。彼は私に……いえ、私たちにとって大切な仲間なの」
クーリアが頼むと、アウスはエリアと顔を見合わせて頷き、別室へ移動する。この手の魔術関連の資料をあたるようだ。
それをクーリアはただ待つ、というわけにはいかない。クーリアには「依頼」があるのだ。
「何か分かったら呼んでちょうだい。私は外で『演奏』するわ」
「あ、それなら中で待っていても……」
「そうだね。知らなかったとはいえ、仲間を危険な目に……」
ウィンとライナも罪悪感があるのだろう、クーリアに待つよう提案してくれる。しかしクーリアは、微笑みを返した。
「彼の強さは私も分かっている。彼は大丈夫だと信じているから、私は今やるべきことをするの。お気遣いありがとう」
そう告げて、クーリアは屋敷の外に出る。最初にここへ来た時同様、荒れた天気だ。高い木々でまだ影響は小さいが、開けた場所に行けばひどいことになるだろう。
そんな世界のどこかに、バトレアスは連れ去られた。
「……ふぅ」
寒さ由来ではない、小刻みに震える手を押さえる。
霊使いたちに話した通り、クーリアはバトレアスが強いのを知っている。彼自身はそれを頑なに認めないが、今までのデュエルでそれはクーリアも確信していた。だからこそ、本当に信じている。
それでも、離れ離れになると不安になってしまう。
強さを信じていてもこうなってしまうのは、それだけクーリアがバトレアスを愛しているからだ。
『大丈夫よ、クーリア』
そこで小さな煙と共に、クーリアの妖精体が姿を現す。彼女は、震えるクーリアの手を優しく包み込むように握った。
『バトレアスなら、大丈夫。それはあなたが一番よく知っているはずよ?』
「……分かってる」
『それでも心配なら……再会できた時に思いっきり抱きしめましょう?』
見上げる妖精体。彼女もまた、バトレアスがこれまで一度離れ離れになっても、時に命を落としかけても、またクーリアたちの前に元気な姿を見せてくれたのを知っている。だから、クーリアを同じ目線で励ますことができるのだ。
その言葉にクーリアは笑い、タクトを取り出す。
「……ハグだけじゃなくて、キスぐらいしても許してくれるわよね?」
『まー……多分?』
妖精体が苦笑いを浮かべながらバイオリンを取り出す。クーリアは少しだけ気持ちが楽になり、妖精体と視線を合わせてタクトを振り始める。
手の震えは治まっていた。
「……ここは?」
光が収まったのを確認し、バトレアスは目を開けて辺りを見回す。
そこは広々としたエントランスホールみたいな設えの場所。以前訪れたビブリオの書庫に似ているが、四方の壁は本棚ではなく普通の壁だ。正面の壁にある大きな窓の外では豪雨が降っている。
そして規模からして、ここは霊使いの屋敷ではない。
「場所を移動させられたのか……」
直前まで手にしていたはずの手紙がない。中身を読む前にこんなことになったので、内容は分からず仕舞いだ。しかし、恐らくあれが何かのキーになっていたのだろう。
(……結界か何かか?)
そしてバトレアスは、広間を見渡す。一見、特に目立ったバリアやお札は見つからないが、空間全体が何か目に見えないもので覆われているような感覚がする。それで息苦しさや肌のかゆみなどはないが、それもきっと普通の人間には感知できないだろう。それが分かってしまうあたり、いよいよ自分も人外になったのだなと改めて認識する。
その時、靴の音が響いた。
「……?」
見上げれば、2階から3人の女性が姿を見せたところだ。先導するのは、黒いスーツを着る焦げ茶色の髪の女性。左右に控えているのは、長い紫の髪をポニーテールにまとめるドレスの女性と、ウェーブがかったブロンドヘアを腰まで伸ばす薄緑色の装束の眼鏡の女性。
バトレアスは、その3人組に見覚えがあった。というか、眼鏡の女性はつい最近会った記憶がある。
「ようこそお越し下さいました、天使の方」
挨拶をしてきたのは、中央の黒いスーツの女性。階段を下りてくるその表情は、どこか冷徹に見える。そして、自分を天使と見抜いている時点で只者ではないと、バトレアスは理解した。
「……あなたは?」
「私はハイネ。魔導工芸ギルド『ウィッチクラフト』を取り仕切るマスターです。こちらは仲間のエーデルとジェニー」
ハイネと名乗った黒いスーツの女性。さらに手で示された紫のドレスのエーデルは手を振り、眼鏡のジェニーは淑やかにお辞儀をする。
(やっぱりウィッチクラフトか……)
前にビブリオからの「依頼」を受けてクーリアと共に魔法使いの街へ出向き、デートで立ち寄ったのがウィッチクラフトの工芸品店。そこでバトレアスは、会話こそしなかったがジェニーに会っている。ということは、この屋敷はあの街にほど近い場所にでもあるのだろうか。
いや、それよりもなぜここに呼び出されたのか。バトレアスはそれが分からない。
「……そうですか。自分はバトレアスと申します」
とにかく挨拶は大事だ。バトレアスが名乗り返すと、自分をマスターと告げたハイネは腕を組み、小さく頷いて。
(ほ、ほ、ほ、本当に『天使』が来ちゃうだなんてええええええ!? 助けてヴェール様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!)
心の中で泣き叫んだ。
* * *
事の発端は1週間前の朝。
「またこんなのか!」
「まぁまぁ」
頭を両手で押さえ、エーデルが叫ぶ。そんな彼女を宥めるように、赤髪の少女――《ウィッチクラフト・シュミッタ》――が声をやんわりとかけた。
「いや、しかし今回のは中々だな」
「結構ヤバいかも」
エーデルがそんな態度を取る原因は、テーブルに置かれていた手紙。それを読んだ長い黒髪の女性――《ウィッチクラフト・マルカ》――と、それを横からざっと読む薄いピンクのお下げの少女――《ウィッチクラフト・ピットレ》――の表情は曇った。
それは手紙の最後の署名で、このギルド「ウィッチクラフト」のマスターであるヴェールによるものと分かったのだが、問題は中身だ。
――霊使いの子たちを誑かすちょっと詳細不明な天使にこっちに来るよう言ったから、私が不在の時に来たらハイネが応対よろぴく☆(要約)
「天使って……あの『天使』さま?」
「他に何があるのさ……」
いまいち実感が湧かないのか、レモン色のボブカットヘアの女の子――《ウィッチクフラフト・ポトリー》――が小首を傾げると、シュミッタは手紙を読み返す。手紙に書かれている「天使」は、十中八九自分たちとは次元の違う世界に暮らしている天使に他あるまい。
「ただでさえ前にいきなり出かけた時も大変だったってのにさ~!」
「あの時は事情があったから、まぁ仕方ないが……エーデル、あまり髪を毟るとハゲるぞ」
ガシガシ頭を掻くエーデルをマルカが落ち着かせる。
普段からものぐさなヴェールが突然外出してしまうのは、よくあることだから仕方ない。それに大半は無意味ではなかったから、最終的には目を瞑ってきた。
しかし、今回はまた段階が違う。天使という超常存在が絡むとなれば前例がない。
すると、ポトリーと一緒に手紙を読んだジェニーは、何に納得したのか小さく頷く。
「よし、分かりました」
「何をどう分かったって?」
「とにかくハイネちゃんがキーマンってことです。それなら、いつその時が来てもいいように、今からちゃんと話を詰めておかないと」
「前から思ってたけどジェニーさんヴェールに甘すぎ」
楽観的なジェニーにエーデルが苦言を呈するが、にこにこ笑うジェニーにどこまで響いているかは分からない。
そして、肝心かなめのハイネは。
「もうダメです、おしまいです……ジ・エンドです……オワオワのオワです……」
手紙を読んでからというもの、この調子だ。この世の終わりと信じてやまない絶望顔。それを気の毒に思ったエーデルが溜息をつき手紙を指さす。
「っていうか、そもそも天使をこっちに呼び出す理由は何?『天門術』とかいう魔術で霊使いが呼んだって書いてあるし、正式な契約がされているなら疑わなくていいんじゃない?」
手紙には、ヴェールが霊使いから聞いた限りの話がまとめてあった。エーデルもそれを読み終えた上で、分かりにくいところがある。
霊使いは、世界規模の悪天候、天災級の異常事態を解決するために、「天門術」を発動して天使を呼び寄せた。その天使は、この事態を直接解決できる力を持ってはいなかったが、事態の解決に協力すると言ったらしい。
しかし、ヴェールがその話を聞いた際、呼び寄せた天使の詳細を霊使いたちは話せなかった。話す気はあるのに、口にしようとすれば舌がもつれ、ペンを持てば勝手に落とし、魔術を使った脳内会話も叶わない。ヴェールはそれを天使の力と判断し、同時に信用性を欠くと結論づけたのだ。
「その天使本人のことを一切他人に共有できないってのは、いくら天使だとしても真っ黒けっけだと、契約担当の私から見れば思うがな」
ギルドにおいて契約や特許関係の知識に精通しているからこそのマルカの意見に、エーデルは口を閉ざす。一理あるからだ。
「何か後ろめたいことでもあるみたいだね」
「ヴェールさんはそこを確かめたいんじゃないかな」
ピットレとシュミッタもマルカに同意している。そこまで聞いて、エーデルはひとまず頷いた。天使をこちらに呼び寄せる理由はそれで一応説明がつく。
「まぁ、百歩譲ってそういう理由ならいいよ。でもさ、やっぱりこういう時は本人がいてこそじゃないの?」
「ヴェール様、最近は頻繁に外に出てますからねぇ」
不安そうなポトリーが窓の外を見て、エーデルに続く。
霊使いたちが暮らす地域同様、この近辺も連日の暴風雨で迂闊に外を出歩けない。特に「ウィッチクラフト」は、外部から依頼を受けて魔導工芸品を製作するため、この天気では客足が遠のき収入も減る。死活問題だった。
普段からサボったり外を出歩く機会の多いヴェールは、こんな日にも外へ出て何かを調べているらしい。その真意は、エーデルにも分からなかった。
「兎に角……手紙を渡してしまった以上、後戻りができません。備えるしかないでしょう」
ジェニーの言葉に、ほとんどのウィッチクラフトは不承不承ながらも頷くしかなかった。形式上、ヴェールが不在の際にはハイネが代理マスターとなるが、ジェニーも落ち着き払った性格と聡明さで皆を引っ張っている。彼女がそうと決めた以上、他に取る方法もない。
「あぁ、私の命日、思ったよりも早かったなぁ……」
「いや、まだ死んだわけじゃないから……」
「それ以前に、その天使がアタシらに危害を加えるとも決まってないし」
「お手紙には、霊使いの人たちは『天使さんの印象は優しそう』って書いてありますよ」
虚空を見上げて涙を流すハイネを、シュミッタとマルカが励ます。ポトリーも付け加えたが、ハイネはギギギと首を3人に向ける。髪が顔にかかり絶望するその姿は恐怖を体現していた。
「だって……有無を言わさずこっちに呼び寄せたら、誰だって不機嫌になるでしょう……? しかも相手は天使ですよ……? ちょっと気が立ったからって理由で攻撃してきてもおかしくありませんよ……?」
天使という存在を知っていても、実際に会ったことがあるウィッチクラフトは
中でもハイネは根っからの心配性で、物事を大体悪い方向に捉えてしまう。だから、ハイネの中で天使とは「人間を見下し少しでも癪に障れば容赦なく攻撃するプライドの高い存在」というイメージで固まってしまっている。
そんな天使を、自分が応対しなければならないという事実が恐ろしいのだ。
* * *
何とかヴェールがいる時に天使が来れば、とハイネは心の奥で願っていた。しかし、自分以外の何かを盾にするような願いは中々叶わないものらしい。というか、あの手紙をヴェールが置いていった日以来、ヴェールは一度もここに戻ってきていなかった。
「一度お会いしましたね」
「……ええ」
ハイネが遺言を考えようとしたところで、ジェニーが先にバトレアスと名乗った天使と挨拶を交わす。それに反応したのはエーデルだ。
(何、ジェニーさん天使と知り合いだったの?)
(知り合いというか、街に出しているお店に来てくれたんですよ。あの時はお連れもいらっしゃったけど……)
エーデルとジェニー、ハイネの3人は、右手首に嵌めた腕輪型の魔道具を使い、声を出さずに脳内での会話を可能としていた。いくらエーデルとジェニーがついているとはいえ、ハイネだけに天使の応対をさせるのは荷が重いと判断し、いつでも脳内でアシストできるようにしたわけだ。相手が天使でなくても、人前でコソコソ話すのは印象が悪いし、なめられる。
(フーン……で、あの人何買ったの?)
(お連れの人が、お揃いのマグカップを2つ。カップルさんかしら?)
(へー、天使もデートとかするんだ)
(暢気なこと言ってる場合じゃないですよ!?)
会話が脱線し始めたエーデルとジェニーに割って入るハイネ。そんな彼女は、見た目こそきりっとした表情だが、脳内会話の声は半泣きなのが丸わかりである。
(相手は天使ですよ!? しかもあの人全然動じていませんし! 私なんかが相手したところでボロが出ておしまいですよぉ!)
(けれど、彼からは今のところ敵意や闘志などはまだ感じませんし、危害を加えるつもりもなさそうです。ハイネさんなら大丈夫ですって)
(そうだ、マルカさんです! マルカさん呼びましょう! あの人なら天使相手でも物怖じせず話せるはずです!)
(あの人2徹明けの爆睡中だし、今起こしたらフルボッコにされるかもよ……?)
(ふぇぇ……)
この期に及んで代役を立てたいハイネだが、残念なことに今まともに応対できるのはこの3人だけだ。
それにエーデルの言う通り、マルカは依頼が少なくなった今を好機と溜まりに溜まった書類を徹夜で片付けた結果、「起こしたらただじゃ済まさない」の言伝を残し、今も眠りこけている。起こせば碌なことにはならない。
シュミッタやピットレ、ポトリーはまだ幼く、天使の相手をさせるのは危険と判断し、別室で待機させていた。今ここで天使の相手が務まるのは、この3人しかいない。
(なんだ? さっきから黙りこくって……)
一方、3人が脳内で会話していることなど知らないバトレアスは、一向に話を切り出さないハイネたちを見て眉を顰める。隙を見てドレミ界に一度戻ることも考えたが、迂闊な動きは今見せない方がいいだろう。結界が張られているようだから、簡単には行かないはずだ。
そして、バトレアスが眉を顰めたのを、ハイネは機嫌を損ねたと勘違いした。
「んんーっ! 失礼、あなたをこちらにお呼びしたのは他でもありません、霊使いの皆さんとのことです」
「霊使い?」
咳払いをして動揺を押し殺し、冷静に話し始めるハイネ。それを横目に、エーデルとジェニーは「やればできるじゃん」と内心褒めたたえた。
「あなた方は、霊使いの方たちが発動した『天門術』によって呼び寄せられたと聞きました」
「仰る通りです」
「ですが我々は、あなた方が具体的にどのような天使なのかを、霊使いから聞くことができなかったのです。まるで呪いのように、あなた方のことを話せなかったと」
「それは……」
その理由をバトレアスは勿論知っている。ドレミコードがいない場所で、ドレミコードの情報を共有することは下界では基本できない。「基本」というのは、複雑な手順で断片的にでも共有を可能にしてしまったマスカレーナという存在がいるからだ。
「故に我々は、疑っているのです。霊使いのみなさんは、あなた方が世界の混乱を治めるために協力を申し出た、と言っていましたが……素性を他者に知らせないとなれば、天使と言えど疑わしいですから」
瞬きをするハイネ。
そこで彼女は、ふと思った。
(言いすぎちゃった! 疑ってるは言いすぎちゃいましたよねぇ!?)
(いや、まぁヴェールさんも疑ってるって言ってたし、いいんじゃない?)
軽い調子のエーデルの答えに、ハイネはさらに焦る。
そんな会話など知るはずもないバトレアスは、息をひとつ吐いた。それが呆れだと思ってしまったハイネは内心震えるも、バトレアスは視線を上げる。
「情報を霊使いのみなさんが伝えられなかったのは、我々の力によるものです」
「ふむ?」
「そんな我々を簡単には信じられない、というお気持ちは分かりますが……それは我々の使命がある以上、必要な措置であることをご理解いただきたい」
ドレミコードの使命を、今更バトレアスは取り違えたりしない。しかし、ウィッチクラフトが霊使いと知り合いだとしても、現時点で協力者ではない。ドレミコードの使命を話すわけにはいかなかった。
「……使命とは? 奇妙な力を使って口封じをするのが必要なほどの『使命』とやらを、話してはいただけますか?」
「それはできません、自分には」
だから、ハイネに問い返されてもそう答えるしかない。
ウィッチクラフトが全面的にドレミコードに協力してくれるのであれば、話は別だ。けれど、ハイネの厳しい表情(本人からすれば怯えを悟られないようにしているだけ)からして、そんな簡単な話ではないだろうとバトレアスは思う。
それ以前に、そういう話はバトレアス個人で決められない。グランドレミコードのクーリアやミューゼシア、あるいは正式なドレミコードの天使であるキューティアやドリーミアなどがいなければ、協力関係のあれこれを決める権利はバトレアスにないはずだ。
「霊使いの皆さんの屋敷に、我々のリーダーがいます。ですので、一度自分をそちらに戻し、改めて話をさせていただくというのは如何でしょうか」
バトレアスひとりではこの話を解決できない。それができる裁量があればいいが、勝手な真似をすると、上位天使がまたうるさくなる。情けなくても、ここちゃんとした立場のクーリアを頼るしかないのだ。
「それはできません」
「「え?」」
しかしながらジェニーがそれを否定した。それに疑問の声を上げたのはバトレアスだけでなく、ハイネもだ。
(え、え、え!? ジェニーさん!? なんでですか!? その方が話が早く進みません!?)
「仮にあなた方を引き合わせた場合、万が一にも我々に反抗する可能性がありますので」
「そんなつもりはありません。どうか、お考え直しを」
(そうですよジェニーさん! 考え直してください!)
知らないところで意見が一致するバトレアスとハイネ。しかしながら、ジェニーは笑顔を崩すことなく首を横に振る。この答えは譲らないと、笑顔が語っている。
「であれば……どうするおつもりで?」
「言葉だけでは信用に足りません。なので……」
バトレアスが尋ねると、ジェニーは答えを一度切り、ハイネを見た。その意図をハイネは理解できたが、
(ウソでしょ!? デュエルで聞けと!?)
(まぁ、確かにヴェールさんの手紙にもあったけど……かなり不安じゃない?)
(ハイネさんもデュエルの腕が立つのは分かっています。それに、あの人の言葉だけでは信用に足りませんし……彼らの力も未知数です。その「リーダー」と引き合わせて暴れ出したら、私たちには到底太刀打ちできませんから)
エーデルも懸念を示すが、ジェニーは「天使」という未知の存在を掛け合わせることの危険性を説く。
実を言うと、天使の相手をハイネに託したヴェールの意図を、ジェニーは予め聞いていた。だけどそれをハイネに話しては、ハイネのためにならない。だから他言しないようヴェールに言われ、できる限りハイネの成長につながるような立ち回りも求められていた。
故にジェニーは、多少強引にでも、ハイネにバトレアスの相手をさせたい。
(それに霊使いの子たちは、彼ら天使の性質を天門術の「詰めデュエル」で見極めた……。つまり彼ら本来の力を見ていないということです)
(……それを、霊使いたちに代わって見るってこと?)
(ええ。力を見誤ったまま手を取り合うと、時に大惨事を招きかねません。特に天使という未知の存在相手では)
(ぴえ……)
ジェニー本人の考えも述べると、エーデルは一応納得したようにするも、ハイネの声は半泣きに戻った。
(デュエルで聞くつもりか……?)
そしてバトレアスも、ハイネたちがどうするつもりかは何となく把握できていた。こういう時はデュエルがモノを言うと、経験則で理解している。
なのでやむを得ず、腰のベルトに提げているデュエルディスクに手を伸ばした。
(ほらほら、あちらはもう察したのかやる気ですよ)
(いやいやいや、やっぱり私には無理ですって!)
(でも、あんまり待たせると物理攻撃に出るかもね……というか、天使相手に肉弾戦とか勝てる気しないよ?)
エーデルがポロリと零すと、ハイネの肩がびくっと震える。
今この屋敷には、ヴェールお手製の結界魔術が発動している。この中では、ウィッチクラフトの魔女以外の魔術は発動せず、異能力を抑える効果もある。
それにバトレアスが気づいているかは分からないが、もし物理攻撃に出て来たら。押し倒されて、あれやこれやとひどいことをされるのではないか。
「それでは、デュエルで真相を確かめることにします!」
そう思い至ってから、ハイネがディスクを左腕に構えるまでは早かった。ぶっちゃけ怖いが、何もできないまま女としての尊厳を傷つけられるより、勝って生き延びたい。やられる前にやる、というわけだ。
「……分かりました」
バトレアスはハイネの葛藤などつゆ知らず、ディスクを腕に嵌める。デッキホルスターには、昨日ドリーミアにデュエル指南をした際に使った【ヒロイック】がそのままセットしてあるから、それを使う。
ジェニーとエーデルは、デュエルを観戦するために壁際に移動した。そして、いくら天使相手でも脳内会話はフェアではないとし、通信魔術をハイネのみ切断する。不安だが、ハイネはもう覚悟を決めていたので大丈夫だろうと、ジェニーは判断した。
ディスクを展開しつつ、バトレアスは考える。今のところ、ウィッチクラフトはドレミコードの存在を知らず、バトレアスという天使しか知らない。
となればこのデュエルは、ドレミコードがどのような天使かを示すものになるだろう。
だから、デュエルへの意識は今までとはまた変わる。例えデッキが戦士族でも、天使族に相応しいデュエルをしなければ。
一方のハイネも、色々なことを考えつつ、ハサミ型のデュエルディスクを展開する。
天使はやはり怖い。だけどここで自分が引けば、仲間が危険に晒される。バトレアスたちの真意は分からないが、これは仲間を守るための戦いでもあった。そのためなら、自分の臆病な気持ちは押し殺し、目の前の敵を倒すことに集中する。
そして霊使いたちも分からないであろう、あちら側のスタンスをデュエルで確かめなければならない。さもないと、今はギブ&テイクの関係である霊使いたちも、いずれ騙されてしまうかもしれないから。
((このデュエル、負けられない……!))
お互いに、どこかすれ違いながらも考えることは同じ。
そしてバトレアスとハイネは、ディスクを構えた。
「「デュエル!」」
バトレアス LP4000
VS
ハイネ LP4000
先攻はハイネが貰った。
しかし最初の手札を見て、ハイネは表情を変えずとも内心ぎょっとする。
(召喚できるモンスターがいない……手札事故だわ!)
モンスター、魔法、罠が揃っているが、最初に出せるモンスターがおらず、展開用のカードもない。これで先攻はかなり厳しい。
一方、後攻となったバトレアス。
彼もまた、最初の手札5枚を見て、顔色を変えずとも頭の中で頭を抱える。
(モンスターがレベル1しかいない……手札事故だ!)
モンスターの召喚自体はできるが、要のエクシーズに繋げられない。後攻でドローできるが、挽回のカードを絶対に引ける絶対の自信がバトレアスにはなかった。
そんなわけで、お互いに手札事故を起こした2人だが、お互いに動揺を悟らせたくはなかった。バトレアスからすれば天使の威厳を損ねるし、ハイネからすれば相手を心理的に有利にさせてしまうから。
だから2人は、手札から視線を上げ、相手の顔を見ると不敵に笑い。
「完璧な手札だ!」
「完璧な手札です!」
ハッタリをかました。
しかし、お互いにメンタルが頑丈でも楽天家でもない。
まずバトレアス。アニメで聞いたフラグ、あるいはブラフとして有名なそのセリフを告げたが、勿論ブラフだ。けれど、ハイネまでそう言うとは思わなかったし、あちらがその台詞を知っているはずがない。ハイネの手札は本当に完璧だと信じた。
そしてハイネ。後攻を取ったバトレアスを躊躇させために、ブラフとして先の発言をした。けれど、まさか相手が同じことを言うとは思っていなかったし、それがブラフと考えられる性格ではない。
だからこそ。
(なん、だと……!?)
(なん、ですって……!?)
お互い、相手のブラフを真に受けた。
《キャラクター紹介》
・《ウィッチクラフト・ハイネ》
魔導工芸ギルド「ウィッチクラフト」の職人にしてマスター代理。心配性かつ泣き虫で自己評価が著しく低いが、仲間が危機に晒されそうになった際には自分を奮い立たせて使命を全うする。けれどやっぱり本物のマスターであるヴェールに頼りがち。ヴェールやジェニーから見れば、弱気な性格を除けば素質は十二分とのこと。
使用デッキは【ウィッチクラフト】。マスター代理を任命されているため、仲間の力は全て把握している。
彼女が手掛けた衣類・服飾品は完成度が非常に高く、「魔術界」では名が通っている。
・《ウィッチクラフト・ジェニー》
「ウィッチクラフト」の運営担当。普段はヴェールあるいはハイネの補佐に回り、「ウィッチクラフト」のみんなが差し障りなく活動できるように陰ながらサポートをしている。ヴェールからは他のみんなとは別のベクトルで信頼を寄せられており、彼女の事情を知る数少ない人物。マスター代理のハイネを成長させるために、時に強引な手に出ることもある。
その過去は謎に包まれており、「ウィッチクラフト」年少組には「秘密です」で通している。
・《ウィッチクラフト・エーデル》
「ウィッチクラフト」に所属する職人のひとり。基本的に仲間思いで素直な性格だが、機嫌が悪くなると口も悪くなる。真相を知らないとはいえ、勝手に仕事をさぼって外を出歩くヴェールに度々不満を抱き、その度にとばっちりを受けるハイネを不憫に思っている。そのため、自分が「ウィッチクラフト」でも上位の力を持っているのも含め、ハイネへの助力は惜しまない。
宝飾品の製作を担当しており、その芸術性は貴族・王族からの評価が非常に高い。