予めご了承ください。
バトレアス LP4000
VS
ラベンダー LP4000
デュエルディスクが後攻を示す。初手の5枚は、中々悪くない。ラベンダーも、手札を見て頷いていた。
「私から行きます。私はフィールド魔法《アロマガーデン》を発動!」
いきなりフィールド魔法を発動してくる。そしてやはり、使用デッキは【アロマ】らしい。
だが、フィールド魔法が発動しても景色に変化はない。《ドレミコード・ハルモニア》や《六花来々》の時は明らかに変わったのだが、恐らく今いる場所がアロマたちの庭……つまり本物の「アロマガーデン」だからだろう。
「そして《アロマージ-ジャスミン》を召喚!」
白く長い髪、そして白いコートを着る少女が現れる。さっきまでお茶を一緒に楽しんでいたモンスターだ。
アロマージ-ジャスミン
ATK100 レベル2
「《アロマガーデン》の効果発動! 1ターンに1度、私の場に『アロマ』と名のつくモンスターが存在する場合、500ライフポイントを回復します。そして、次のあなたのターン終了時まで、私の場の植物族モンスターの攻撃力・守備力は500アップします!」
ラベンダー LP4000→4500
アロマージ-ジャスミン
ATK100→600
「ジャスミンの効果を発動。1ターンに1度、私のライフが回復した時、カードを1枚ドローします!」
【アロマ】はライフポイントをとにかく回復してライフアドバンテージを得つつ、回復時に発動する効果で相手を翻弄する。長期戦に持ち込ませると危険な相手だ。とはいえ、どのカードにどんな効果があるのかまでは、把握しきれていない。もう少し、自分の興味外のテーマの情報も得るべきか。
一方、カードをドローしたラベンダーは表情を輝かせた。そのカードは手札に加えて、別のカードを手にする。
「ジャスミンのもう一つの効果で、私のライフがあなたのライフを超えている場合、植物族モンスターをさらに召喚する事ができます。よって私は、チューナーモンスター《ステイセイラ・ロマリン》を召喚!」
「チューナー……」
現れたのは赤と白の旗を持つ、船員という意味でのセーラー服を着た少女だ。フィールドに降り立つと、こちらへの挨拶のつもりなのか両手の旗をひらひらと振る。
ステイセイラ・ロマリン
ATK1600→2100 レベル4
そしてチューナーが来たという事は、ほぼ確実にシンクロ召喚を狙ってくる。【アロマ】がライフアドバンテージを得続ける事以外はよく知らないため、何が来るにしても気を付けなければ。
すると。
「ベルガモット様! あなたにいただいたこのカードで、必ず勝利して見せます!」
ラベンダーが、ベルガモットたちがお茶をしているテーブルの方を見て声を上げる。そして、さっきドローしたであろうカードを手にすると。
「魔法カード《異界共鳴-シンクロ・フュージョン》発動!」
「あっ!?」
「このカードは、自分フィールドのチューナーとチューナー以外のモンスターを1体ずつ墓地へ送り、それらのモンスターを素材として召喚可能なシンクロ・融合モンスターをそれぞれ1体ずつ、エクストラデッキから特殊召喚します!」
使われたカード自体は知ってはいるが、およそ【アロマ】で使われるとは思いもしなかった。アニメと比べれば弱体化はしていてもカード効果の特性は失っておらず、効果さえ決まれば非常に強力なカードだ。
そのカードが発動すると、フィールドにいるジャスミンとロマリンの姿がブレ、それぞれが2体に分裂する。そしてジャスミンとロマリンが1人ずつ天へと舞い上がり、ロマリンが4つの光の輪に変わるとジャスミンがその中をくぐる。
「恵み深くも刺激的な香りが、淀む空気を一掃する! 来てください、《アロマセラフィ-スイート・マジョラム》!!」
先ほども一緒にお茶をしたマジョラムが姿を現す。しかし、着ている服は白がメインのドレスで、ステンドグラスのような羽根を背中から生やしている点が違う。
そのステータスが明かされる前に、フィールドに残るジャスミンとロマリンの足元に融合の渦が現れた。
「白く健気な香りよ、可憐な水の乙女と混じり合いて、新たな香りの境地を拓け! 降臨せよ、《アロマリリス-マグノリア》!!」
融合の渦から、クリーム色のゆったりとした服に、スイート・マジョラムと同じような翼を生やす薄い金髪の女性が姿を現した。その手には、アロマのディフューザーが据えられた杖が握られている。
アロマセラフィ-スイート・マジョラム
ATK2200→2700 レベル6
アロマリリス-マグノリア
ATK2600→3100 レベル8
2体のステータスはともに高い。まさかあんな方法で一度に融合・シンクロモンスターを揃えるとは。
「さらに私はカードを1枚伏せてターンエンドです」
テーブル席でデュエルを見ていたローリエが、感心したように息を吐いた。
「すごい……あんな風に2体も並べる事ができるんだ」
「そうだろ?」
その発想を先に思いついたらしきベルガモットが得意げに笑い、ビスケットを頬張る。それを見て、マジョラムはハーブティーを一口飲んでから話しかけた。
「彼女の事、随分可愛がっているのねぇ」
「まあ、あいつはあいつで今まで大変だったんだ。こっちに転生したんなら、少しでも楽しく暮らせるように手は貸したいんだよ」
「ラベンダーさんのデュエルの腕を鍛える事も、ですか?」
ローズマリーに問われて、ベルガモットの表情に少しだけ翳りがさす。どうやら、ラベンダーのデュエルはベルガモット仕込らしいが、事情もあるようだ。
「こないだのクソ野郎みたいに、デュエルを侵略の道具として使う奴がいるのが分かった。だから万が一、あいつも戦いに巻き込まれた時に少しでも助かるよう、力を貸してやりたいんだ」
ベルガモットの言葉に、ビューティアも賛同せざるを得ない。
今までデュエルとは、娯楽などを除けば何らかのいざこざに決着をつけるための手段に過ぎなかった。一番最近ビューティアの間近であった事は、クルヌギアスの件か。
ただ、ドレミ界が襲われた時や、ベルガモットたちの話から、デュエルを侵略の道具に使う不調法者が出てきたのも事実。最早、いつ誰がそんな奴からデュエルを挑まれるかも分からないのが今だ。
もしそうなった時のために、自分の身を自分で守れるようにするために、力を貸した。その考え方は、ラベンダーの身柄を引き取った立場からしてみれば、おかしくないだろう。
「ま、バトレアスとのデュエルがその練習になればいいだろう」
「ああ、そう言う理由でデュエルをさせたんですか。まあ、ラベンダーさんはそれに気づいた感じはありませんが……」
2人にデュエルをさせたのは、単なるベルガモットの気まぐれではなかった。その意図を理解したカナンガは、首を横に振りながらハーブティーを啜る。確かに、ベルガモットの提案にノータイムで賛成していたので、ラベンダーがその真意に気づいたとは考えにくい。
「でも、バトレアスさんは大丈夫ですかね? いきなりあんな、モンスターを2体も出されて」
そしてジャスミンが、デュエルフィールドを見て心配そうに言う。手段はともかく、強力であろうモンスターを先攻で2体も並べたのは驚きだ。
その時、ビューティアの目の前で、急に空気がぽんと音を立てて弾けた。ローリエが驚くが、ビューティアにとってはいつもの事だ。
袖の長い、白いドレスを着る妖精体が姿を見せる。ビューティアは、その小さな体を抱きかかえると、妖精体と一緒にデュエルを観る事にした。
「俺のターン、ドロー!」
シンクロ・フュージョンには面食らったが、それでもこちらの手札はかなり恵まれている。
まずは、定番ともいえる最初の一手だ。
「《ドドレミコード・キューティア》を召喚!」
むん、と気合を入れるように腕を構えるキューティアが現れた。
ドドレミコード・キューティア
ATK100 レベル1
「このキューティアを召喚した時、デッキから自身以外の『ドレミコード』1体を手札に加える事ができる。俺は《ソドレミコード・グレーシア》を手札に加える!」
俺にとっては馴染みのあるこの流れだが、精霊界でのデュエルでこの手順を踏んだ回数は少ない。前世なら何度もやってきたが、如何せん精霊界で【ドレミコード】を使う機会がそこまでない。なにせ、今まではドレミ界の外に出たら、デッキが勝手に別のものに変わっていたのだから。
だから、何故今は【ドレミコード】のままなのかが疑問だ。しかし、目の前のデュエルには集中しなければ。
「そして魔法カード《ドレミコード・エレガンス》を発動。このカードは3つの効果から1つの効果を選んで適用する。俺は、手札の『ドレミコード』ペンデュラムモンスターをエクストラデッキに加え、デッキからスケールが奇数と偶数の『ドレミコード』を1枚ずつペンデュラムゾーンに置く効果を選ぶ」
「『ドレミコード』、ですか……」
「よって、俺は手札のグレーシアをエクストラデッキに加え、デッキからスケール2の《シドレミコード・ビューティア》とスケール7の《レドレミコード・ドリーミア》をペンデュラムゾーンにセッティング!」
グレーシアをエクストラデッキに加えて、デッキから取り出すのは、この【ドレミコード】でもペンデュラムゾーンに置く頻度が一番多いであろう組み合わせ。だが、このデッキで召喚するモンスターや発動する効果を踏まえると、この2枚が一番いいのだ。前回のクルヌギアス戦では、手札に展開の起点となるキューティアがいなかったため、それを補えるようにあちらをセッティングしたのだ。
そして、デッキから取り出したドリーミアのカードのイラストが少し変わっている。前はその表情は笑っていたが、今はキリッとした顔だ。六花の件で気が強い面を多く見たから、多分それが反映されているのだろう。
「キューティアの効果で、俺のペンデュラムゾーンに偶数のペンデュラムスケールが存在する場合、『ドレミコード』ペンデュラムモンスターの攻撃力は自身のスケール1つにつき100ポイントアップする。キューティアのスケールは8だ!」
ドドレミコード・キューティア
ATK100→900
だが、ここでラベンダーが動いた。
「永続罠《恵みの風》を発動! このカードは1ターンに1度、3つの効果から1つの効果を選んで適用します。私は2つ目の効果で、墓地の植物族モンスター……ロマリンをデッキに戻し、500ポイントのライフを回復します」
ラベンダー LP4500→5000
「そしてライフが回復した事で、スイート・マジョラムとマグノリアの効果発動! マグノリアの効果で、私の植物族モンスターの攻撃力はターン終了時まで、回復した数値分アップします!」
マグノリアが杖を天に向けると、その杖に据えられているアロマが淡いオレンジの輝きを放ち始める。それに応えるのように、マグノリアとスイート・マジョラムがオレンジのオーラに覆われた。
アロマリリス-マグノリア
ATK3100→3600
アロマセラフィ-スイート・マジョラム
ATK2700→3200
「さらにスイート・マジョラムの効果で、私のライフが回復した時、相手フィールドのカード1枚を破壊します。私は《レドレミコード・ドリーミア》を破壊!」
今度はスイート・マジョラムが杖を振ると、白い粒子を帯びた風が吹き荒れる。その煽りを受けて、ドリーミアは消失してしまった。
得意げに笑うラベンダー。これでこちらのペンデュラム召喚を防げたと思っているのだろう。とはいえ、この程度はまだ挽回できた。
「フィールド魔法《ドレミコード・ハルモニア》発動!」
発動すると、庭の上空に環状の五線譜が浮かび上がり、空を彩るように音楽記号がいくつも出現する。ラベンダーはそれを見て「おお~」と感嘆の声を洩らし、デュエルを見ている【アロマ】の皆も物珍しそうに空を見上げている。
「そして、そのハルモニアの効果発動。エクストラデッキのドリーミアを手札に加える」
「くっ……」
「今手札に加えたドリーミアを、もう一度ペンデュラムゾーンにセッティング。これでレベル3から6のモンスターが同時に召喚可能!」
再び光の柱と共に現れたドリーミアは、胸を撫で下ろしていた。
一方のラベンダーは悔しがっている。ペンデュラム召喚を止めるためにドリーミアを破壊したのに、結果としてドリーミアは元のままだ。スイート・マジョラムの効果を無駄に使ってしまった事になる。
ともあれ、これで心置きなくペンデュラム召喚ができた。
「ペンデュラム召喚! エクストラデッキより《ソドレミコード・グレーシア》、手札より《ラドレミコード・エンジェリア》!」
空に開いた穴から舞い降りる2人の音階の天使。頭上には自身のペンデュラムスケールの数字が掲げられていた。
ソドレミコード・グレーシア(スケール4)
ATK2100→2500 レベル5
ラドレミコード・エンジェリア(スケール3)
ATK2300→2600 レベル6
「……ふ」
すると現れた2体のモンスターを見て、ラベンダーがかすかに笑った。それは上級モンスターが呼び出された事に対する武者震いか、それとも別の何かを感じているのか。
「グレーシアを特殊召喚した事で、効果発動。デッキから『ドレミコード』の魔法・罠カード1枚を手札に加える。俺は《ドレミコード・フォーマル》を手札に加える」
カードの破壊もしくは「ドレミコード」の特殊召喚が狙える《ドレミコード・ムジカ》と迷った。しかし、次のターンが来る事も考えてカードを選ぶ。
「ハルモニアの効果発動! 俺のフィールドの『ドレミコード』のペンデュラムスケールが奇数3種類以上、または偶数3種類以上の場合、フィールドのカード1枚を破壊できる。俺はマグノリアを破壊する!」
五線譜の輪が雷を帯び、フィールドで穏やかな笑みを浮かべるマグノリアに落ちる。人の形をしているモンスターを相手にするとどうしても良心が痛む。
ところが、雷を食らってもマグノリアはその場に残ったままだ。
「残念ですが、私のライフがあなたのライフを超えている場合、マグノリアの効果で私の植物族モンスターは効果で破壊されません」
「なるほど……」
さっきはスイート・マジョラムの効果をプラマイゼロにしたが、こちらはハルモニアの効果を無駄撃ちさせられてしまった。これでマグノリアを破壊できればこのターンに勝利もできたが、仕方ない。
「装備魔法《団結の力》をエンジェリアに装備! これにより、エンジェリアの攻撃力は、俺のフィールドのモンスター1体につき800ポイントアップする!」
「なっ……!」
クルヌギアスとのデュエルでは最終局面で使った、このデッキの隠し玉のひとつ。正直、もう少しモンスターが並んだり、あと一押しが足りない時に使いたいところだったが、この状況で後手に回ってはいずれ負けてしまうだろう。
カードを装備させると、エンジェリアは両手を広げ、その隣にいるキューティア、グレーシアと手をつなぐ。そしてエンジェリアを白いオーラが覆った。
ラドレミコード・エンジェリア
ATK2600→5000
「攻撃力5000……!」
「俺はエンジェリアでマグノリアを攻撃! エンジェリック・マーチ!!」
つないだ手を離し、エンジェリアがタクトを振ると、オレンジのエネルギー弾がマグノリアへと放たれ、打ち砕く。
今、ラベンダーのモンスターを攻撃で破壊できるのはエンジェリアのみ。そしてマグノリアの容易なパンプアップ効果と効果破壊耐性は、このデッキとの相性が悪い。先に除去しておくべきだ。
ラベンダー LP5000→3600
「この瞬間、《アロマガーデン》の効果を――」
「残念ながら、俺のペンデュラムゾーンに奇数のペンデュラムスケールが存在する場合、エンジェリアの効果で『ドレミコード』が攻撃するダメージステップ終了時まで、相手は魔法・罠カードの効果を発動できない」
まだ《アロマガーデン》には何かしらの効果があったらしい。だが、エンジェリアの効果でそれは許されない。
ともあれ、これでライフは僅かに逆転した。この状況でなら、ハルモニアの効果でスイート・マジョラムを破壊できたのだろう。つまり俺は順番を間違ってしまったわけだが、過ぎた事にはいつまでも執着せず、次の一手を考える。
「エンジェリアの効果を発動。スケール8のキューティアをリリースして、デッキからスケール6の《ミドレミコード・エリーティア》を守備表示で特殊召喚!」
声に合わせてキューティアが姿を消し、新たにエリーティアが姿を現す。そしてキューティアがいなくなった事で、ドレミコードたちの攻撃力アップもなくなった。
ミドレミコード・エリーティア
DEF400 レベル3
ソドレミコード・グレーシア
ATK2500→2100
ラドレミコード・エンジェリア
ATK5000→4700
「エリーティアが特殊召喚した事で効果発動! 相手フィールドの魔法・罠カード1枚を手札に戻す。《恵みの風》を手札に戻してもらう」
エリーティアがタクトを振り、生み出された泡が《恵みの風》のカードを包み込む。やがて泡が弾けると、そのカードはラベンダーの手に戻った。
「そしてカードを2枚伏せてターンエンド」
「エンドフェイズに、マグノリアと《アロマガーデン》の効果が終了します」
アロマセラフィ-スイート・マジョラム
ATK3200→2200
「まさか《団結の力》なんて使うなんて」
「まぁ、ペンデュラム召喚なら複数体呼びやすいし、理に適ってるっちゃそうだな」
ローリエも、バトレアスが使ったカードは予想外だったらしく驚いていた。ベルガモットは思案するように息を吐いてハーブティーを飲む。
「ライフは逆転されましたが、あれぐらいのライフ差なら誤差にすぎません。バトレアスさんも手札を使い切りましたし、状況はどう転ぶか……」
カナンガが冷静にデュエルを見つつ、茶菓子を手に取る。
後攻のバトレアスのターンが始まった時点で、ラベンダーのライフはまだ4500。ビューティアは【アロマ】のデュエルも余興の一環で見た事があるため、ラベンダーは回復が不十分だったと言わざるを得ない。
けれど2人のライフポイントの差は400。カナンガの言う通りでライフ差は僅差でしかなく、《アロマガーデン》の効果だけで逆転できてしまう。そうなれば、またラベンダーに有利な状況が形成されるだろう。
(頑張って……)
このデュエルの勝ち負けで、何かしらの状況が変わりはしない。ベルガモットはラベンダーの練習にもなると言っていたが、迷宮姫やクルヌギアスの時のような大きすぎる代償もない。だから気楽にデュエルを楽しんでほしいところだが、それでもビューティア個人の願いとしては、同じ仲間であるバトレアスに勝ってほしかった。
ぎゅっと妖精体を抱きしめる。妖精体もデュエルに集中しているのか、こちらを見はしなかった。
「私のターン、ドロー!」
引いたカードは《アロマリリス-ロザリーナ》。いいタイミングで引く事ができた。この1枚があれば、【アロマ】は様々な盤面を構築できる。
だが、気をつけなければならない事もいくつかあった。
まずはバトレアスの伏せカード。1枚はまず間違いなく、さっきのターンに手札に加えた《ドレミコード・フォーマル》だ。
そして、唯一守備表示のエリーティア。あちらは偶数のペンデュラムスケールがある時に「ドレミコード」ペンデュラムモンスターの戦闘で発生するダメージを0にするはずだ。やはり備え無しに攻撃をしても無意味。
となれば、残りの手札も加味してやるべき事は。
「チューナーモンスター《アロマリリス-ロザリーナ》を召喚!」
まずは、ドローしていたロザリーナを召喚する。これを出さなければどうする事もできない。これまで召喚した「アロマ」とは違って、妖精のように肩に乗るサイズの、黒いワンピースを着て翼を生やす少女が現れた。
アロマリリス-ロザリーナ
ATK0 レベル1
「このロザリーナを召喚した時、デッキからチューナー以外の『アロマ』モンスターを特殊召喚できます。ただしこのターン、植物族モンスターしか特殊召喚できません。私は《アロマージ-ローズマリー》を特殊召喚!」
ロザリーナがラベンダーのデッキに杖を向けると、デッキのカードが薄いピンク色のオーラを纏いだす。そしてその中から取り出されたカードをフィールドに出した。さっきまで一緒にお茶をしていたジャスミンが現れた。
アロマージ-ローズマリー
ATK1800 レベル4
「レベル4のローズマリーに、レベル1のロザリーナをチューニング!」
宣言するとロザリーナが杖を振りながらくるくる回転し、ひとつの光の環へと変わる。ローズマリーは跳躍し、その輪をくぐった。
「安らぎの蒼き香りよ、この地に潤いをもたらさん! シンクロ召喚! 現れろ、《アロマセラフィ-ローズマリー》!!」
そして青い風と共に現れたのは、スイート・マジョラムのように白い翼を背に生やしたローズマリー。手に持つ杖も少し大きくなっている。
アロマセラフィ-ローズマリー
ATK2000 レベル5
その攻撃力は、今のままではシンクロモンスターにしても低めだ。その力を存分に発揮させるために、手札のカードを手に取る。
「魔法カード《
「何!?」
ラベンダー LP3600→5600
これでライフは再び逆転し、先ほどよりも差は広まった。【アロマ】の特性を十分に活かせる。
「ライフポイントが回復した事で、ローズマリーとスイート・マジョラムの効果発動! まずスイート・マジョラムの効果で、《団結の力》を破壊します!」
スイート・マジョラムが杖を振り、白い粒子が入り混じる風を巻き起こす。それに煽られて《団結の力》は破壊されると共に、エンジェリアを覆っていた白いオーラも消えた。
ラドレミコード・エンジェリア
ATK4700→2300
「さらにローズマリーは、対象とした相手フィールドの表側表示カードの効果をターンの終わりまで無効にできます。私はエリーティアの効果を無効化!」
「!?」
目を見張るバトレアス。同時に悔しそうに歯ぎしりをしているのも見えた。
チェーン処理の手順として、同じタイミングで自分の強制効果が発動した場合、その順番は自由に決められる。だから、バトレアスがセットしている《ドレミコード・フォーマル》は、2番目に発動したスイート・マジョラムの効果に対してしか発動できない。先に発動したローズマリーの効果は妨害される事なく「ドレミコード」に対して使えるのだ。
「……そうか」
ローズマリーが杖を振り、青い風を発生させると、それを受けたエリーティアが色を失う。それに胸が痛むのか、バトレアスの表情が歪むが、こちらの取った戦術で何かに気づきもしたらしい。
そしてその予想は、多分当たりだ。
「ええ、バトレアスさん。私は『ドレミコード』を知っているんですよ」
やっぱりそうだった。これまで戦った相手……侵略者やクルヌギアスは、「ドレミコード」の効果を知らない風だった。
だが、このラベンダーは知っている。こちらの《ドレミコード・フォーマル》の効果を知っているようなチェーンの組み方、さらにローズマリーの効果で迷わず守備表示のエリーティアの効果を無効にした。それで気付かされた。やはり、「ドレミコード」のカードが一般流通する世界から転生したからだろう。
「実は、私の友人が【ドレミコード】を使っていましてね。あなたのデッキと100パーセント一致しているとは思いませんが、効果は大体把握しています。だから、この状況でそちらのエリーティアを無力化すると、あなたにとって厄介なのも分かりました」
その通りで、エリーティアがいなくなったために戦闘ダメージを0にする事ができない。
「さらに、私のライフがあなたを超えたため、ローズマリーの効果により、私の植物族モンスターの攻撃力・守備力は500ポイントアップします!」
アロマセラフィ-ローズマリー
ATK2000→2500
アロマセラフィースイート・マジョラム
ATK2200→2700
「そして《アロマガーデン》の効果を発動。ライフポイントを500回復! そして、私の植物族モンスターの攻撃力・守備力を、次の相手ターン終了時まで500アップ!」
ラベンダー LP5600→6100
アロマセラフィ-ローズマリー
ATK2500→3000
アロマセラフィースイート・マジョラム
ATK2700→3200
さっきのターンよりもさらにライフ差が広がった。しかもあちらのモンスターの打点は共に高い。劣勢が濃厚になる。
「さあ、バトルです! まずはスイート・マジョラムでエンジェリアを攻撃! エキサイト・ツイスター!!」
スイート・マジョラムが笑みを深めながら杖を振り、紫と白のツートンカラーの突風を巻き起こす。ダメージは900とそこまででもないが、このままではライフに加えフィールドのアドバンテージも失ってしまう。
突風が吹き荒れ、エンジェリアが身構えるが。
「罠カード《和睦の使者》! このターン、俺のモンスターはバトルでは破壊されず、バトルで受けるダメージも0になる!」
フィールドを覆う光のバリア。突風は止み、モンスターも守る事ができる。
「二段構えの防御でしたか。私はカードを1枚伏せてターンエンドです」
「俺のターン、ドロー!」
ここで引いたのは《神風のバリア-エア・フォース-》。相手モンスターの攻撃に反応して発動し、攻撃表示モンスターを全て手札に戻す罠カード。効果自体は強力だが、このターンには使う事ができない。
「永続罠《恵みの風》発動! その効果で私は墓地のマグノリアをエクストラデッキに戻し、500ポイントのライフを回復します」
ラベンダー LP6100→6600
「そしてライフが回復した事で、スイート・マジョラム、ローズマリーの効果を発動! ローズマリーの効果で、ハルモニアの効果をこのターン無効にします!」
ローズマリーが天へと杖を掲げると、青い風が天に向けて吹き荒れる。空に浮かんでいた環状の五線譜は消失し、周りを彩る音楽記号も消え去ってしまった。
「そしてスイート・マジョラムの効果で、エンジェリアを破壊!」
スイート・マジョラムが巻き起こす、粒子を帯びた風を受けてエンジェリアは消滅してしまう。さっきのターンにリクルート効果を見せたから、それを警戒しての事だろう。そしてやはり、チェーンの順番は《ドレミコード・フォーマル》を発動させないものだった。
これで、こちらのフィールドに残るモンスターはエリーティアとグレーシアのみ。だが、いずれも攻撃力はラベンダーのモンスターを越えられない。
目を閉じて、展開を考える。デッキ、エクストラデッキの状況、そしてまだデッキに残る「ドレミコード」のカードを思い出す。
そして、このターンでの勝利はできないが、大きくダメージを通す方法が考えついた。
「現れろ、清らかな旋律のサーキット!」
まずは腕を前に突き出し、リンクサーキットを出現させる。フィールドにいる2体の「ドレミコード」が構えた。
「召喚条件はペンデュラムモンスター2体。グレーシアとエリーティアをリンクマーカーにセット!」
その名を呼ぶと、2体の天使は軌跡を描きながらリンクサーキットへと飛び込み、強い光が放たれる。
「リンク召喚! 現れよ、優雅にして偉大なる音階の天使!《グランドレミコード・ミューゼシア》!!」
輝く光の中から姿を見せるビューティアは、スカートの端をつまんで淑やかに挨拶をして見せた。
□□□ グランドレミコード・ミューゼシア
□◇□ ATK1900
■□■ リンク2
「そしてセッティング済みのペンデュラムスケールは2と7。よって、レベル3から6のモンスターを同時に召喚可能!」
光の柱の中にいる2人のドレミコードが、俺を見てこくりと頷く。ハルモニアの効果は無効になってしまっているため、これまでのように円環の五線譜が煌めいたりはしないが、それでもやる事は変わらない。
「天に宿る麗しき天使たちよ。淀みを濯ぐ浄化の旋律を、今高らかに奏でよ! ペンデュラム召喚!」
宣言すると、空に現れた穴から赤と青の光が降り注ぐ。その中から姿を見せたのは、グレーシアとエンジェリアだ。
ソドレミコード・グレーシア
ATK2100 レベル5
ラドレミコード・エンジェリア
ATK2300 レベル6
「ペンデュラム召喚が成功した事で、ミューゼシア及びグレーシアの効果発動! グレーシアの効果で、デッキから《ドレミコード・シンフォニア》を手札に加える。さらにミューゼシアの効果で、ペンデュラム召喚したグレーシアのスケールと同じ数のレベル……つまり、レベル4の《ファドレミコード・ファンシア》をデッキから手札に加える!」
手札に来たファンシアのイラストは、やはり自信満々な笑顔だ。それを見ると、不利な状況でも勇気が湧いてくる。
そしてグレーシアの効果で手札に加えた《ドレミコード・シンフォニア》だが、まだエクストラデッキの「ドレミコード」ペンデュラムモンスターが2種類のため発動はできない。
「ミューゼシアのもう一つの効果を発動。手札のペンデュラムモンスター1体をエクストラデッキに表側で加え、そのスケールが奇数なら偶数の、偶数なら奇数のスケールを持つペンデュラムモンスター1体をエクストラデッキから手札に加える事ができる」
「?」
「よって俺は、手札のスケール5のファンシアをエクストラデッキに加え、スケール8のキューティアをエクストラデッキから手札に加える」
この効果を使えば、ハルモニアの効果が使えなくてもエクストラデッキに行ったペンデュラムモンスターを回収する事ができる。奇数と偶数のスケールが揃わなければ使えないのが難点だが、この状況なら非常にありがたい。
「そして、手札に加えたキューティアを召喚!」
ドドレミコード・キューティア
ATK100 レベル1
「その効果で、デッキから《ドドレミコード・クーリア》を手札に加える。さらに、ペンデュラムゾーンに偶数のスケールが存在するため、キューティア及び俺のフィールドの『ドレミコード』ペンデュラムモンスターの攻撃力は、自身のスケール1つにつき100ポイントアップ!」
フィールドに現れたキューティアが、既にフィールドに居るグレーシア、エンジェリアと視線を合わせると頷き合う。
ドドレミコード・キューティア
ATK100→900
ソドレミコード・グレーシア
ATK2100→2500
ラドレミコード・エンジェリア
ATK2300→2600
「そして、エンジェリアの効果発動! スケール4のグレーシアをリリースし、デッキからスケール6のエリーティアを特殊召喚!」
グレーシアが恭しくお辞儀をしながら姿を消し、入れ替わるようにエリーティアが現れる。こちらもまた、礼儀正しく頭を下げながらフィールドに現れ、その頭上には自身のペンデュラムスケールである「6」の数字が浮かび上がった。
ミドレミコード・エリーティア
ATK1100→1700 レベル3
そしてこれで、エクストラデッキにいる「ドレミコード」は3種類になった。
「速攻魔法《ドレミコード・シンフォニア》発動! 俺のエクストラデッキに『ドレミコード』ペンデュラムモンスターが3種類存在するため、このターン、俺のフィールドの『ドレミコード』の攻撃力は、自身のスケール1つにつき300ポイントアップする!」
「っ!」
ドドレミコード・キューティア
ATK900→3300
ミドレミコード・エリーティア
ATK1700→3500
ラドレミコード・エンジェリア
ATK2600→3500
「バトル! まずはキューティアでローズマリーを攻撃! キューティクル・エチュード!!」
キューティアは攻撃名を聞き、タクトを力いっぱい振る。すると、チョコレート色のト音記号が出現し、回転しながらローズマリーに直撃して破壊した。
ラベンダー LP6600→6300
アロマセラフィ-スイート・マジョラム
ATK3200→2700
そしてローズマリーがいなくなった事で、パンプアップ効果もなくなる。ここが攻める時だ。
「エンジェリアでスイート・マジョラムを攻撃! エンジェリック・マーチ!!」
オレンジ色のエネルギー弾が出現し、勢いよくスイート・マジョラムへと放たれる。さっき破壊された事へのお返しのつもりなのか、エンジェリアは随分と楽しそうな笑顔だった。
ラベンダー LP6300→5500
「エリーティアでダイレクトアタック! エリーティック・バラード!!」
今度はエリーティアがタクトを振り、川の流れのような水色の奔流を生み出し、ラベンダーへと放つ。あくまで余興だが、それでも直撃はさせないよう念じると、その奔流はラベンダーの横を流れて空へと消え去った。
「っ……」
ラベンダー LP5500→2000
「ミューゼシアでダイレクトアタック! グランド・コンダクター!!」
「くっ……!」
ペンデュラムモンスターではないミューゼシアは、エンジェリアの効果でのサポートを得られないが、ここは強気で行くべきだと思った。
攻撃させると、ミューゼシアはピアノの鍵盤のような翼を広げて風を巻き起こす。金色の粒子と、同じく金色の五線譜がラベンダーへと向かい、それもまたラベンダーには直接当たらず脇を掠めた。
ラベンダー LP2000→100
あと少し、削り切れなかった。
エンジェリアの効果でエリーティアではなく、自身をリリースしてもう1体のファンシアを呼んでいたら、ライフを削りきれただろう。しかし、前のターンにラベンダーは《アロマガーデン》の効果を発動する素振りを見せたので、それを考えてエンジェリアを残した。結果としてもう一息だったが、それでも6600もあったライフを一気に100まで減らしたのだ。上々と言っていいだろう。
「メインフェイズ2に入る。手札のクーリアは、俺のフィールドのペンデュラムモンスター2体をリリースする事で、特殊召喚できる!」
「!」
「俺はキューティアとエンジェリアをリリース!」
名前を呼ばれた2人のドレミコードがお辞儀をしながら姿を消す。すると、穏やかな風が吹いた。
「現れよ、流麗なる音階の天使!《ドドレミコード・クーリア》!!」
優しい微笑みとともにフィールドに現れるクーリアを見て、妙な安心感を抱く。
自身の効果を使って特殊召喚するのは、前世でも経験した事がない。きっと、こういう時のためにある効果だったのだろう。
ドドレミコード・クーリア
ATK2700→3000 レベル8
ミドレミコード・エリーティア
ATK3500→2900
「そして、クーリアの効果発動! 1ターンに1度、相手フィールドの表側表示カード1枚の効果を、次の相手ターン終了時まで無効にする。この効果は、ペンデュラムゾーンに奇数のスケールが存在する場合、対象を2枚に増やす事ができる!」
「くっ……!」
「俺は《恵みの風》と《アロマガーデン》の効果を無効にする! レスト・オブ・スキル!!」
効果名を聞いてクーリアは頷き、タクトを振る。その先端から緑色の休符が無数に発生し、対象とした《恵みの風》、さらに空へと放たれる。アロマの庭の風景は変わらなかったが、《恵みの風》のカードは石板となってしまった。
バトルフェイズ前にエリーティアの効果で手札に戻さなかったのは、再利用を防ぐのと、魔法&罠ゾーンを擬似的に封鎖するためだ。ライフ回復を能動的にできる《恵みの風》は厄介だが、この状況ならお荷物になる。
「俺はカードを1枚伏せてターンエンド。そして《ドレミコード・シンフォニア》の効果も終了する。さらにローズマリーの効果も切れ、ハルモニアの効果も復活する」
ドドレミコード・クーリア
ATK3000→2700
ミドレミコード・エリーティア
ATK2900→1100
最後に伏せるのはエア・フォース。戦闘ダメージを0にするエリーティアがいるとはいえ、ミューゼシアは話が別。しかも効果はバレているため、不意を突くのは最早不可能。であれば、この罠カードがキーになる。
とはいえ、ラベンダーのライフは100、手札は0。次のドローで
鉄壁、フラグ、なんて言葉が頭に浮かぶが、兎に角、次のラベンダーの引きで全てが決まる。
「私のターン、ドロー!」
ドローカードに目を落とし、ラベンダーは僅かに目を見開いた後、俺を見た。
「バトレアスさん。先ほどはお見事でした」
「?」
「劣勢ながらもここまで状況を一気に覆されたのは想定外です」
改まって話しだし、困惑する。一体何のカードを引いた?
「最初のターンに使ったシンクロ・フュージョン、あれはベルガモット様からアドバイスをいただいたカードです」
「……そのようですね」
使う時もそんな感じの事を言っていたので、今更驚きはしないが。
「そして、今引いたカードもそうです。これはベルガモット様から
言い方に引っかかりを抱く。単にもらったわけでも、アドバイスを受けて入れたカードでもないらしい。
「このカードをあなたに使うのは、少々気が引けます。けれど私は、大切な方の前で、その方からいただいたカードを自力で引き寄せた上で使わず負ける事は、自分で許せない……」
それはつまり、今引いたその特別なカードを使わなければもう勝機はないという事だ。
「だから、バトレアスさん。どうかこのカードを使う事を、お許しください」
多分だが、引いたカードは特別な力を持っている。あるいは前世にも存在しない、新たに作り出されたカードだろう。どうやって作ったか原理は分からないし、それを使われるのに怖さもある。
だが、ラベンダーの目は力強いし、表情は真剣。意思は固そうだ。それを俺が嫌だと言うのも、彼女の意思を拒むのも少し後味が悪くなる。
このデュエルはあくまでも親睦を深めるためのもの。何かが懸かっているわけでないから、もし負けたとしても特に損害はない。
それに、オリジナルのカードが出るなんてアニメでも多々ある事だ。非現実的な事が起きても、ある程度受け入れられるぐらいには自分も精霊界に毒されている。
だから俺は、頷いた。
それに対してラベンダーは、感謝か謝罪か、頭をわずかに下げてから、ドローしたカードをフィールドに出す。
「魔法カード《導きの風》発動!」
発動したのは通常魔法。アロマの庭で、アロマの皆が笑顔でこちらを向き、手を差し伸べているイラストだ。
「ベルガモットさん、あれって……」
「しまったな……忠告し忘れた……。って事は、
ラベンダーがそのカードを使った瞬間、アロマの皆が妙に浮足立った。特にベルガモットは、ローズマリーに声をかけられると、バツが悪そうに頭を掻く。
だが、ビューティアもラベンダーが使ったカードには違和感を抱いていた。あのカードは、これまでに両者が使った、いや今まで見てきたデュエルで使われたカードとは全く違う、妙な力を感じる。クルヌギアスのデュエルでさえも感じなかった感覚だ。
妖精体もそれに気づいたようで、不安そうにビューティアを見上げる。その髪を、ビューティアは安心させるように撫でた。
「ビューティア様。完全にこっちのミスでなんだが……」
そこへベルガモットが話しかけてくる。さっきまでとは違う、深刻に事態をとらえているようなトーンだ。
「このデュエル、バトレアスの負けだ」
オリジナルカードの効果は次回明かされます。
また、さらに別のオリジナルカードも登場します故、予めご了承ください。