ドレミコードの従者は元人間   作:プロッター

52 / 81
第51話:ありがとう、そして

 マドルチェ界から戻ったエンジェリアは、食堂で一服していた。傍らには自分で淹れたコーヒー(ミルクやや多め)があり、ほろ苦く温かいそれを飲むと、だらけそうな自分の気持ちが少し整えられる。

 

(バトレアスさん、上手くやれてるかな)

 

 マドルチェ界から帰った後、バトレアスは身なりを整え直してクーリアの部屋へ行った。それ以降の事については、エンジェリアも知らない。下手にそちらへ行って邪魔するのもさすがに無粋だから、こうしてできるだけ離れた場所にいる。

 

「おや、エンジェリアさん。お疲れ様です」

「グレーシア。お疲れ~」

「コーヒーブレイクかしら?」

「ええ。用意しましょうか?」

 

 そこで、「浄化」から帰ってきたグレーシアとビューティアが食堂に入ってきた。2人にも労いのためにコーヒーを用意する事にする。しかしビューティアは、食堂を見回しながらエンジェリアに尋ねた。

 

「バトレアスさんは?」

「あー、今ちょっとクーリアさんとお取込み中」

「?」

 

 コーヒーを用意しつつ答えると、ビューティアは向かいの席に首を傾げながら座る。と、エンジェリアの隣に座ったグレーシアも興味を引かれたのか、話しかけてきた。

 

「何かあったのですか? バトレアスに」

「まぁ、ちょっとね……」

 

 エンジェリアは少し考える。だが、この2人は恐らくバトレアスとクーリアの関係には気づいているだろう。だから、話してもいいはずだ。

 

「……クーリアさんとバトレアスさんが、何かこう……イイ感じなのは気づいてる?」

「それは、まあ」

「ええ」

 

 案の定、2人は頷いた。

 これなら話しても問題ないだろう。

 

「実はね、今日の依頼でマドルチェの王女様と話をしたんだけど……そこでバトレアスさん、クーリアさんとの事について話した。クーリアさんの名前は出してないけどね?」

「……依頼とは言え、何故そんな話を?」

「あー、まあ王女様が恋愛について話がしたかったみたいでね。だから、恋愛経験あるバトレアスさんにバトンタッチしちゃった」

「エンジェリアちゃん……」

 

 ビューティアが困ったような笑顔を向けてくる。

 何が言いたいかは分かっていた。本来はドレミコードの自分が依頼の対応をすべきだったからだ。それについては反省の気持ちがある。かと言って、エンジェリアは恋愛経験がないため、1人だけでは《マドルチェ・プディンセス》の力にはなれなかった。

 

「それでまぁ、王女様と話をして、バトレアスさんもクーリアさんと改めて話をする事にしたみたいで」

「話って?」

「何かあったんですか?」

 

 そこでさらに聞いてきたのは、同じく「浄化」から戻ってきたドリーミアとエリーティア。後ろには、ファンシアやキューティアもいる。時計を見れば、もう大体皆が「浄化」から帰ってくる時間だった。

 

「……クーリアさんが、先にバトレアスさんに告白したんだって」

「え、そうだったんですか!?」

 

 それに大きく反応したのはキューティア。エリーティアも目をぱちくりさせており、ドリーミアとファンシアは顔を見合わせている。

 多分、2人の仲の良さには誰もが気づいているだろう。しかし、どちらから告白をしたかについては、よほど信じられないらしい。どんなシチュエーションでしたのかは知らないが、エンジェリアも内心、あのクーリアの方から告白するなんてと思ったが。

 

「だけどバトレアスさん、まだ返事ができないんだって。昔それで自分が傷ついたから、気持ちがちゃんと確かなものになっていないのに告白の返事をするのを、嫌ってる」

「……それは、彼の『前世』かしら」

「うん。でもね、その王女様が、クーリアさんも不安になっている、って言ってね。それでバトレアスさんも、気持ちが変わったみたい」

 

 その時の光景を思い返すと、エンジェリア自身甘酸っぱい気持ちになる。

 ドレミコードが女所帯であり、「浄化」や「依頼」、あるいは休日に外へ出ても、誰かに恋するなんて機会はなかった。だから、男であるバトレアスがここへ来て、あまつさえクーリアと恋愛関係にまで発展するというのは非常に目新しかったものだ。

 そして、そんな2人の様子を見たり、マドルチェ界でバトレアスやあの王女……プディンセスの話を聞いて、胸が少し温かくなっている。恋とは、見聞きしているだけで気持ちを和やかにするものらしい。

 

「じゃあ、今バトレアスさんは……それについてクーリア様とお話を?」

「多分ね。それで――」

 

 ビューティアの問いに頷いたその時だ。

 

「……っ?」

 

 妙な気配を感じ取った。

 それはエンジェリアだけではないらしい、ビューティアやグレーシア、と言うかこの場にいる自分を含めたドレミコードの全員が反応している。

 

「今のは……」

「……迷宮姫様がバトレアスさんとデュエルをしていた時みたいな感じ」

 

 エリーティアとファンシアの言葉に、エンジェリアはすぐに立ち上がる。グレーシアとビューティアも同じく、さらに食堂の外へ出て、さっきの感覚の出所に向かう。後ろから他のドレミコードたちが続いてくるのが足音で分かった。

 感じるのは、屋敷の外。すぐに玄関の扉を開けて、外へ出る。

 その先に広がっていたのは、ドレミ界ではありえない光景だった。

 緑の草木が生え、カラフルな花々が地面を彩っている。ドレミ界には、このような通常の世界と同じ植物は一切存在しないはずなのに。

 そしてその奥で。

 

「うあああああああああああああああああああああああああっ!!?」

 

 バトレアスとクーリアが、デュエルをしていた。

 それも、痛ましい戦いを。

 

* * *

 

バトレアス LP400 手札3

【モンスターゾーン】

カード無し

 

【魔法&罠ゾーン】

カード無し

 

【ペンデュラムゾーン】

左:ミドレミコード・エリーティア スケール6

 

【フィールドゾーン】

ドレミコード・ハルモニア

 

 

クーリア LP1000 手札0

【モンスターゾーン】

ラドレミコード・エンジェリア ATK2300 レベル6

ドドレミコード・クーリア ATK2700 レベル8

シドレミコード・ビューティア ATK2500 レベル7

 

【魔法&罠ゾーン】

攻通規制

 

【ペンデュラムゾーン】

右:シドレミコード・ビューティア スケール2

左:レドレミコード・ドリーミア スケール7

 

【フィールドゾーン】

ドレミコード・ハルモニア

 

 

「う、く……」

 

 何とかデュエルをしていた場所まで、脚を引きずりながら戻る。

 そこまでの俺の動作で、決してこのデュエルが普通のものではないと、駆けつけたドレミコードの皆は確信したらしい。

 

「どうして、こんなデュエルを……お2人が?」

 

 エリーティアが心配そうに俺を見て、さらにクーリアに視線を移す。

 そしてエンジェリアが一歩前に出て、俺を見た。

 

「バトレアスさん! クーリアさんと話をしたんじゃないの……?」

「……それが、話をする前にデュエルを挑まれて」

 

 答えても、エンジェリアは納得がいかない様子だ。しかし、俺にはそれ以外答えようがない。

 更にエンジェリアは、クーリアに顔を向ける。

 

「クーリアさん、どうしてバトレアスさんとデュエルを?」

「……彼を、二度と危険な目に遭わせないためよ」

「だったらどうして!」

 

 質問には冷静に答えるクーリア。それに対して困惑するように声を上げたのはファンシアだ。

 

「バトレアスさんをあんなに痛めつけるの!?」

 

 ファンシアに問い詰められて、クーリアは両腕を下ろし、俺に視線を向けてくる。

 

「彼は、私たちを守るために、何度も身体を張って、命をも賭けて戦ってきた」

「……」

「皆も、それは知っているでしょう?」

 

 クーリアに問われて、ファンシアはおろかドレミコードの誰も反論はしない。

 一番皆にとって克明なのは、ヴァーディクトの件だろう。あの時、あれの手で意識を奪われ、結果として俺が命を投げざるを得なかった状況は、誰も忘れたわけではないはずだ。

 

「そして今日」

 

 クーリアが俺を見る目は、俺を責めているような感じがした。射竦められたように、背中に力が入る。

 

「あなたは、この間の迷宮姫の件があってもなお、エンジェリアを守ろうとして彼女について行った」

「……」

「あなたは迷ったはずよ。あのデュエルで、あなたは深手を負ったからこそ、今日の『依頼』に同行すべきかを迷い、少なからず恐れもした。そうでしょう?」

「……その、とおりです」

 

 そう。今朝、エンジェリアからは「依頼」に同行するかの選択肢を与えられた。その選択肢自体を設けたのは、恐らく「依頼」で使う楽譜を作り上げたミューゼシアだ。

 そして、エンジェリアと一緒に行くのを選んだのは俺自身の意思。

 だが、俺はあの時確かに一抹の不安が頭を過っていた。迷宮姫と繰り広げてしまったような、痛ましいデュエルをまたするのではないかと。

 

「ですが今日、デュエルはありませんでした」

「だけど次も同じ、という保証はない。そして、また迷宮姫の時みたいに怪我をするかもしれない……もしかしたら、今度こそ本当に命を落とすかもしれない」

 

 平和的に事が運べばどれだけいいか。だけど現実はそうはいかない。迷宮姫の件もそうだし、最初にドレミコードへの依頼「依頼」でグレーシアに付き、天老の下へ行った時も同じだ。最終的に誤解は解けたが、あの時も俺は負けたら命をとられるデュエルを強いられた。

 また、同じような事が起きないという保証は、確かに無い。

 

「私には、それが耐えられない。その可能性を考えるだけで、胸が苦しくなる。気が狂いそうになる」

 

 自分の胸に手を置いたクーリアは、うつむく。

 そして。

 

「あなたの事が好きだから。愛しているから」

 

 頭の中で火花が散ったような感覚。その言葉を告げられるのは2度目だが、慣れない。

 そして今、初めてクーリアは、ドレミコードの皆の前で俺への好意を明かした事になる。今までは確信が持てなかった人も、これで理解しただろう。

 

「そんなあなたが傷つく様を見るのも、思い浮かべるのも、悲しい」

「それが」

 

 口を挟んできたのはミューゼシアだった。クーリアの使ったカードがもたらした異常を、彼女も感知したらしい。ヴァーディクトの時と同じだ。

 他の皆も、いきなりミューゼシアが現れた事に驚いているようだ。しかし当人は他の人の反応より、クーリアを気にしている。

 

「バトレアスを傷つける事にどうつながるわけ? あなたのやっている事は、矛盾しているわ」

「理解してもらうためです」

 

 ミューゼシアの質問に、クーリアは間髪入れずに答えた。

 

「デュエルで傷つく事の恐怖を知ってもらうため。そして、もう二度と戦って傷つかないために」

「……」

「このデュエルでバトレアスが負けたら、彼は二度とデュエルをしない。そういう約束で彼も納得しています」

 

 ミューゼシアに厳しい目を向けられるが、事実だ。小さく頷く。

 そしてクーリアは、短く息を吐き、泣きそうな笑顔を浮かべた。

 

「分かっています。こんなやり方は、間違っているって。バトレアスが好きなのに……こんなやり方しかできないなんて」

 

 クーリアの声に、震えが混じり始めた。そして、自分の身体を自分で抱きしめる。

 さらにクーリアは、目尻に涙を浮かべながら俺を見た。

 

「あなたが私の事を嫌いなら、それでもいい」

「っ……」

「だけど、どうか理解して。私はあなたを愛している。だからこそ、あなたには傷ついてほしくない! 自分から危険を冒してほしくない! だから!」

 

 クーリアが前に出て、叫んだ。

 

「あなたが私を嫌いでも! 私の存在がまだあなたの心の片隅にでもにいるのなら! どうかもう戦わないで!! ずっと私と……私たちと一緒にいて!!」

 

 クーリアの悲痛な叫びがこだまする。

 

 自分が情けなかった。

 

 この世界に来て、ずっと俺の事を考えてくれていたクーリアに。

 大きな業を背負ってまで俺を助けてくれたクーリアに。

 俺の事を好きだと言ってくれたクーリアに。

 そんな言葉を言わせてしまうなんて。

 

――多分その人、不安になっているわよ?

 

 プディンセスの言葉を痛感する。

 クーリアはその通り、不安になって、しかも俺が返事をしないのを「クーリアが嫌い」と捉えてしまったのだろう。

 

 フィールドの状況。彼女の写し身《ドドレミコード・クーリア》が出た瞬間に空気が変わり、フィールドには草木が生え、クーリア自身の様子もおかしくなった。さらに、その攻撃の威力は半端ではなく、常人ならただでは済まないもの。

 原因は紛れもなく、例の白紙のカードだ。

 

――私の仲間を、傷つけるなァああああああああああああああッ!!!

 

 迷宮姫とのデュエルでも、同じ力に脅かされた彼女は豹変した。

 それは、彼女が仲間を大切にしていて、その上で俺がデュエル上で彼女の仲間のモンスターを破壊したから。

 つまりあの白紙のカードは、ここまでの影響力をフィールドに及ぼすだけでなく、所有者の感情を歪め、暴走させる。

 迷宮姫は仲間意識を負の方向に強くした。

 そしてクーリアは、俺に対する気持ちを捩じれさせた。その根底には、俺が好きだから、傷ついてほしくないという思いが、本当にあるのだろう。

 であれば。

 

「クーリア、あなたいい加減に――」

「ミューゼシア様!」

 

 痺れを切らしたらしいミューゼシアに、俺はここに転生して初めて、ミューゼシアに向けて声を荒げた。それでミューゼシアも動きと言葉を止めて、俺を見る。

 

「……ここは、俺に任せてもらえませんか」

「だけど――」

「どうか」

 

 ミューゼシアを真っ直ぐに見据えて告げる。

 今のクーリアに必要なのは、他でもない俺の言葉だ。それを伝えるためには今しかない。それを中断するわけにはいかなかった。

 やがてミューゼシアは、こちらの意を汲んだかのように一歩引き、静観する姿勢を取る。それを見て、クーリアは涙を指で拭い、小さく笑った。

 

「現れなさい、清浄なる旋律のサーキット!」

 

 クーリアが空に手を伸ばし、五線譜を描きながらリンクサーキットが出現した。

 

「召喚条件はペンデュラムモンスターを含むモンスター2体以上。我が身クーリアとビューティア、エンジェリアをリンクマーカーにセット!」

 

 3体のドレミコードが光を描きながらリンクサーキットに飛び込む。中から現れたのは、チョコレート色のチューブドレスに身を包み、腰から金色の翼を生やす天使。先ほど俺のフィールドから消えてしまったのと同じモンスター。

 

「その胸に抱く熱情を糧に、穢れを濯ぐ旋律を響かせよ! リンク3!《グランドレミコード・クーリア》!!」

 

□□□ グランドレミコード・クーリア

□◆□ ATK2700

■■■ リンク3

 

 現れてしまった、「ドレミコード」の大天使。その表情は、クーリアの思いを知った今となっては悲しみを感じるような笑み。口上の「胸に抱く熱情」は考えるまでもない。

 そしてその傍らに、妖精体の姿はなかった。

 

「この《グランドレミコード・クーリア》の攻撃力は、私のエクストラデッキの表側のペンデュラムモンスター1体につき100ポイントアップする。今私のエクストラデッキのペンデュラムモンスターは6体!」

 

グランドレミコード・クーリア

ATK2700→3300

 

「私はこれでターンエンド。さあ、バトレアス。どうする?」

 

 ターンを終えたクーリアが、俺に問いかける。

 それはこの盤面に対してどう打ってくるか、だけでなく、サレンダーするかどうかを選ばせているのでもあるだろう。

 無論、そのつもりはない。そうしたら、クーリアはずっとあのままだろうから。

 

 ただし、盤面自体はあまりよくないのも事実。

 《グランドレミコード・クーリア》は、1ターンに1度だけ俺が発動した効果を無効にし、ペンデュラムゾーンで奇数のスケールを持つ「ドレミコード」を特殊召喚する効果がある。俺が何かを使ったところでクーリアはそれを発動し、ペンデュラムゾーンにいる《レドレミコード・ドリーミア》を守備で呼び出すつもりだ。

 一方のこちらは、ペンデュラムゾーンにはスケール6のエリーティアしかおらず、フィールドゾーンのハルモニアは効果が無効になっている。手札は4枚あるが、いずれも攻め手にはいまいち足りない。しかも《攻通規制》でモンスターを3体以上並べると攻撃そのものができなくなる。攻めるのには少々厳しいのが実情だ。クーリアの残りライフは1000と、頑張れば削りきれる数値なのに、異様に高い壁のように感じた。

 

「バトレアスさん……」

 

 デュエルを観ていたキューティアが、不安そうな顔を俺に向けているのが見えた。

 その心配は俺に対してだけではなく、クーリアにもあるだろう。だってキューティアは、クーリアに憧れていると言っていたのだから。そして今のキューティアは、クーリアの次のリーダーとなれるように努力しているのだから。

 そのクーリアを見る。涙を拭い、普段から俺に向けている表情とはかけ離れた、闘志に満ちた顔を今はしていた。それだけならまだいいが、それは根底にある俺を大事にしたい気持ちのあまり、行き過ぎた気遣いと言える歪なもの。あの白紙のカードによって作り出されたものであっても、俺の事を愛しているという感情が素になってしまっている。

 

――あなたが私の事を嫌いなら、それでもいい

 

 その言葉を思い出すと、胸が痛む。涙をにじませた顔を頭に浮かべると、心が締め付けられる。

 

 どうか、そんな事を言わないでほしい。

 どうか、そんな顔をしないでほしい。

 

 俺にとってのクーリアは――

 

(……そうか)

 

 デュエルに勝ってから、言おうと思った。

 だけどそれではもう遅い。白紙のカードに囚われて、感情をむき出しにしたクーリアを見て、答えを出すのを先送りにする事がどれだけ愚かかを理解した。

 告げるなら、「知った」今しかない。

 

「……クーリア様」

「?」

 

 デッキに手は置かず、指もかけず、ちゃんと2本の脚で立って、クーリアと視線を合わせる。

 

「……あなたが俺をどれだけ大切に思っているか、何故こんなデュエルを挑んできたか、それはよく分かりました」

「……なら」

「だけど俺は、戦う事を辞めたくありません」

「どうして!」

 

 クーリアが声を荒げた。

 

「私はこんなにも……あなたを愛しているのに!」

 

 叫ぶ。声が木霊する。

 その気持ちに呼応するかのように、周囲に生えている木々が音を立てながら伸び始めた。

 自分の気持ちを聞いてもなお、危険を冒そうとする俺に苛立っているのは分かっている。

 そうだとしても俺は、戦うなと言う進言に首を縦には振れない。

 

「……本音を言わせてもらえば、俺だって命を賭けて戦うのは怖いです」

「だったら!」

「けれど、ドレミコードの皆さんは……俺以上につらい状況に身を置いている。あらゆる世界の淀みを取り除くために、『浄化』の旋律を奏でるという、使命を果たすために」

 

 世界を直接変えられる力を持っていても、彼女たちはそうしない。それは、外から世界を見ているだけの自分たちにそんな権利はないと理解しているから。

 だから、その淀みを取り除くきっかけを与えるだけ。

 だけどそれには、つらい思いも伴っていただろう事は想像がつく。どれだけ残酷で、無常で、理不尽で、つらい出来事を見ても、手を差し伸べる事が決して許されない。きっかけだけを与えて、それで変わらなければどうしようもない。直接手を出せば救えただろう命さえ、見捨てざるを得ない。

 

「そんな皆さんの下にいる俺に、『浄化』の力はありません。できる事は、皆さんの生活をサポートする事ぐらい。そして……」

 

 左腕に嵌めたデュエルディスクを見る。転生してから何度か故障したり傷ついたりしているが、見た目こそ変わらない。前世には存在しない、未来技術が詰まったこれは、今の俺のアイデンティティのひとつでもあった。

 

「デュエルの腕です」

 

 右手に力を籠める。

 

「俺だって、できる事なら平和に生きたい。命がけの戦いなんてしたくない。それでも、皆が自分の使命と向き合って懸命に生きているのに、俺ひとりだけ戦いに背を向けてのうのうと過ごすだけだなんて、俺にはできない!」

 

 クーリアも、誰も、何も言ってこなかった。

 それで皆がどう思っているのかなんて、考えるのは後でいい。

 

「そして俺は、死ぬつもりで戦ってなんていない! ヴァーディクトの時は仕方なかったけど。でも! あなたがあれだけ泣いた姿を見て、もう一度あんな真似をしようなんて思っちゃいない!」

 

 俺がヴァーディクトとの戦いから目覚めた直後、クーリアは声を上げて、気が済むまで感情のままに泣き続けた。その時の事は、俺を抱きしめる腕の強さや、胸に伝わってくる熱、泣き声や顔と一緒に覚えている。クーリアの俺に対する気持ちを思うと、あれだけ泣いた理由にも頷ける。

 だからこそ、俺は二度と自分の命を投げ出そうとは思わない。

 

「俺は皆のために、戦う力を捨てたりはしない。必ずあなたの、皆の下へ戻ってくる! ここに誓います!」

 

 クーリアの唇が震えている。

 泣き出しそうなそんな顔は、クーリアには似合わない。

 だから、もうひとつ大切な事を伝える。今の状況で、それを告げてクーリアが笑ってくれるかは疑わしいが、関係ない。他のドレミコードたち全員が俺たちを見ているが、どうでもいい。

 

「そして……俺は決して、あなたの事が嫌いなんかじゃない」

「……!」

 

 右手と、手札のカードを歪めないように左手を力強く握る。

 

「……クーリア様。俺の事を好きだと言ってくれて、本当にありがとうございます」

 

 一つだけ息を吐いて、今できるだけの笑顔を浮かべて、クーリアに話しかける。

 

「俺は前世で失敗し、自分の気持ちも明確でないまま返事をするのをよしとしませんでした。それで返事が遅れたのは、本当にごめんなさい」

 

 今クーリアが欲しているのは、返事が遅れた理由ではない。それは俺だってわかっているが、これは必要な事だ。

 

「そしてこれが、真剣に考えた俺の答えです」

 

 クーリアが頷いてくれた。

 不思議な事に、今だけは、あの白紙のカードのプレッシャーも感じない。

 

「あなたは、俺がここへ来てからずっと、俺の事を気にかけてくれた。『バトレアス』と言う、この世界での俺の大切な名前を与えてくださった。そして、俺の命を救ってくれた」

 

 ドレミ界へ転生してからもう大分経つ。

 だけど、クーリアはずっと、ドレミコードのリーダーとして俺の事を案じてくれていた。それだけでなく、愛するものとして俺の事を見守り、さらには死の淵にいた俺の命をも救ってくれた。

 

「前世から、俺にとってのあなたは愛用する【ドレミコード】のエースで、ここに来るまでは決して手の届かない憧れの存在でもありました」

「……」

「だけどこうして、ひとりの女性としてあなたと接する事で、今まで知りえなかったあなたの魅力にも気づく事ができた」

 

 実は甘いものが好物だったり、それで体重管理に上手くいかなかったら凹んだり、それでも優しいところは変わらなくて、仲間を大切に思っていて。

 

「あなたは、完璧で隙のない人かと思ったら、そうでもなかった。だけどそれは決してマイナスではなく、むしろあなたをより近しく感じられる要素だった。優しくて……冷静で頼りになって。時折落ち込む事はあっても、最後には前を向いて! そして何より、笑顔がとても綺麗で!」

 

 これまでのクーリアの事を思うと、自然と俺自身も笑顔になれて、胸が温かくなって、頭の奥に穏やかな熱が宿る。

 そして今の変わってしまったクーリアを見ると、つらくて、胸が握りつぶされるように苦しくなる。

 ずっと胸に仕舞っておいたまま、それでも覚えているこの感覚は。

 

 

 

「俺はそんなクーリアの事が、大好きです!!」

 

 

 

 つうっと、クーリアが涙を零した。

 今度は、俺の言葉が響き渡る。デュエルを観ている誰も茶々を入れたりはしない。

 そして、俺の目の前で唐突に光が弾ける。

 

『……バトレアス』

 

 それは、クーリアの妖精体。しかしながら、《グランドレミコード・クーリア》のイラストにあった、装飾が豪奢なものではない。《ドドレミコード・クーリア》のイラストにある、袖の長い黒色のドレスを着ている。度々現実で接する姿だ。

 その妖精体は、握りしめていた俺の右手を包み込むように握ると、俺の目の前に移動し、訴えかける。

 

『お願い。どうかクーリアを……助けてあげて』

 

 ドレミコードの人間体と妖精体は、目に見えないつながりがある。親子とも姉妹とも言えない、けれど特別なつながりを持っているからこそ、妖精体もクーリアがどれだけ苦しんでいるのかを理解しているらしい。

 そんな妖精体に対する答えは、決まっていた。

 

「はい。それが、今の俺の使命ですから」

 

 その答えに、妖精体は頷いて目を閉じ、自分の額を俺の手にこつんと当てる。そうして妖精体は姿を消してしまうが、代わりに俺の手には光が宿った。それはとても温かくて、力が自分の奥底から湧いてくるのを実感できる。さっきの攻撃で受けた身体へのダメージも、薄まっていった。

 そして、その光が宿った右手の指を、デッキにかける。

 

「俺の、ターン!!」

 

 力に身を委ねて、カードを引く。

 そのカードを見ると。

 

(……これは)

 

 初めて見るカード。デッキに入れた覚えはないし、存在すら知らない。もしも存在していたのなら、絶対見落とすはずはないだろう。

 多分だが、これは妖精体と俺が力を通わせた事で生まれたカード。それでも、以前のように体の感覚がなくなるような感じがしないのは、俺があの時と違いドレミコードになったからか。

 そして、そのカードを見て思い浮かんだ感想はただひとつ。

 

(いいカードだ)

 

 効果も、イラストも、カードの名前も、全てが「いい」。

 だけどそのカードを使う前に、やるべき事はある。

 

「《エキセントリック・デーモン》召喚!」

 

 まず召喚するのは、《ペンデュラム・ホルト》でドローしていたモンスター。羊の骸骨を模した兜に黒い服、そして白い羽根の装飾が派手な女性の悪魔だ。このデッキでは唯一、メインデッキに入る悪魔族モンスターである。

 

エキセントリック・デーモン

ATK800 レベル3

 

「そして、この《エキセントリック・デーモン》をリリースし、効果発動! フィールドのモンスター1体を破壊する! 俺は《グランドレミコード・クーリア》を破壊!」

 

 ばいばーい、と言うかのように《エキセントリック・デーモン》が手を振りながら姿を消す。そして、彼女が元居た場所から雷が発生し、《グランドレミコード・クーリア》へと迫った。

 

「《グランドレミコード・クーリア》の効果発動! その効果を無効にし、ペンデュラムゾーンのドリーミアを特殊召喚!」

 

 涙を指で掬ったクーリアが腕を伸ばす。心境に多少の変化はあったかもしれないが、デュエルを諦めてはいないようだ。

 グランドレミコードの力を得たクーリアがタクトを振ると、迫りくる雷が消滅する。そして、ペンデュラムゾーンにいたドリーミアが《グランドレミコード・クーリア》の左斜め後ろに軽く跳んで着地し、片膝をついた。

 

レドレミコード・ドリーミア

DEF400 レベル2

 

「そしてデッキから、偶数のスケールを持つグレーシアをエクストラデッキに加える」

 

グランドレミコード・クーリア

ATK3300→3400

 

 しかしこれは、俺にとって思い通りのもの。クーリアも、今の効果は使わされたと理解しているのか、それとも別の理由か、表情が苦々しい。まるで、さっきのターンに同じ《グランドレミコード・クーリア》の効果を使わされた俺だ。

 ともかく、これでさっき引いた新しいカードが発動できる。俺はそれを、迷う事なく魔法&罠ゾーンに発動した。

 

「魔法発動!《幸せの多重奏(ドレミコード・ハピネス)》!!」

「それは……!?」

 

 クーリアも驚愕している、俺が発動したカード。

 それはやはり、新たに生み出されたカードだからこそ、【ドレミコード】を使うクーリアさえ知らないはずだ。

 イラストに写っているのは、キューティア、ドリーミア、エリーティア、ファンシア、グレーシアが妖精体と共に並んでいる姿。5人ともが生き生きと、あるいは穏やかな笑顔でこちらを見ている。俺としては、見ているだけで自分まで笑顔になれるような光景だ。

 そして、そんな彼女たちと一緒に過ごす俺に、何としてもこの光景は守らなければならないと意識を引き締めさせる。

 

「このカードは、3つの効果から1つの効果を選んで発動できる。俺が選ぶのは、1つ目の効果!」

 

 見た限り、3つの効果はどれも有用だ。どれにするかは少し悩んだが、確実に勝利できる効果は1つ。

 

「手札を1枚選んで捨てて、デッキからスケールが異なる『ドレミコード』2体を手札に加える! 俺が手札に加えるのは、スケール8のキューティアと、スケール4のグレーシア!」

 

 効果で捨てるのは、《ファインドレミコード・バトリア》。これも効果自体は申し分ないが、もう通常召喚権を使ってしまった以上は使う事ができない。だから今回の役目はなかった。

 そして手札に加えたモンスターを公開し、さらに動く。

 

「そして、相手フィールドのモンスターより1体多い数まで、手札の『ドレミコード』を特殊召喚できる!」

「なっ!?」

「来てくれ、キューティア、グレーシア!!」

 

 2体のドレミコードをフィールドに呼び寄せると、その2人もやはり、元気のよく明るい笑顔を俺に向けてくれた。さらに、既にペンデュラムゾーンには偶数のスケールが存在するため、キューティアの効果により攻撃力は自身のスケールの100倍アップする。

 

ドドレミコード・キューティア

ATK100→900 レベル1

 

ソドレミコード・グレーシア

ATK2100→2500 レベル5

 

「そして、特殊召喚したキューティア及びグレーシアの効果! グレーシアの効果で《ドレミコード・ハルモニア》を手札に加え、キューティアの効果で《ラドレミコード・エンジェリア》を手札に加える!」

 

 消費した手札を即座に補充する。

 さらに俺は、《ペンデュラム・ホルト》で手札に加えていたもう1枚のカードを手にする。

 

「スケール2の《シドレミコード・ビューティア》をペンデュラムゾーンにセッティング!」

 

 今もクーリアのフィールドのペンデュラムゾーンにいるのと同じ、ビューティアをペンデュラムゾーンに置くと、ディスクに「PENDULUM」の鮮やかな文字が浮かび上がった。

 

「フィールド魔法《ドレミコード・ハルモニア》を発動!」

 

 効果が無効になってしまっているハルモニアを墓地へ送り、同じフィールドを発動する。それでも景色は、クーリアが既に同名カードを発動しているため変わらない。

 

「その効果で、エクストラデッキのドリーミアを手札に加える。そしてペンデュラムゾーンに『ドレミコード』が存在するため、ドリーミアの効果発動! 自身を特殊召喚する!」

 

 本当のところ、ここまでする必要ない。だけど俺は、この後の展開を考慮して、考えてこうした。ドリーミアがフィールドに現れると、俺に対して小さく頷く。

 

レドレミコード・ドリーミア

ATK600→1300 レベル2

 

「さらに、ハルモニアの2つ目の効果発動! エリーティアのスケールをそのレベル3つ分だけ上げる!」

 

ミドレミコード・エリーティア

スケール:6→9

 

「これで、レベル3から8のモンスターが同時に召喚可能!」

 

 両腕を広げて、光の柱にいる2人のドレミコードを見上げる。

 エリーティアは、穏やかな笑顔を返してくれた。

 ビューティアは、目をわずかに開き、穏やかな眼差しを俺に向けてくれた。

 

「天に宿る麗しの天使たちよ。新たな決意を乗せた旋律を、今高らかに奏でよ! ペンデュラム召喚!」

 

 空に開く穴から、2つの光が降り注がれる。

 

「《ラドレミコード・エンジェリア》!」

 

 まずはオレンジの光の中から、エンジェリアがウインクとポーズを決めながら、お転婆な印象そのままに降り立つ。

 

ラドレミコード・エンジェリア

ATK2300→2600 レベル6

 

 そして、次は緑の光。

 その姿が露わになる前に。

 

「この身は終生貴女のために。流麗なる我が最愛の音階の天使!《ドドレミコード・クーリア》!!」

 

 俺の決意を高らかに宣言すると、光の中からクーリアが姿を見せる。

 その表情は先ほどと違ってとても輝いているように見えて。

 何よりフィールドに出したカードの中で、クーリアは嬉しそうに笑っていた。

 

ドドレミコード・クーリア

ATK2700→2800 レベル8

 

「……それが、あなたの本音、という事なのね」

 

 デュエルをしているクーリアは、涙を指で拭う。

 俺は、力強く頷く。

 今のクーリアの召喚口上が、俺のクーリアに対する混じりっ気のない気持ちだ。

 

「クーリアの効果発動!《グランドレミコード・クーリア》と《攻通規制》の効果を無効にする! レスト・オブ・スキル!!」

 

 効果名に、フィールドのクーリアが頷く。得意げにタクトを振ると、音符を纏った風が吹き荒れた。それを浴びた《グランドレミコード・クーリア》は瞳を閉じて項垂れ、色を失う。《攻通規制》のカードもただの石板となった。

 

グランドレミコード・クーリア

ATK3400→2700

 

「バトル! 《ドドレミコード・クーリア》で《グランドレミコード・クーリア》を攻撃! クーリー・レクイエム!!」

 

 クーリアがタクトを振り、その妖精体がバイオリンを軽やかに奏でる。すると緑の五線譜が現れて《グランドレミコード・クーリア》へと伸び、その全身を包み込むように球状に形を変えると、内側から光が弾けた。

 

クーリア LP1000→900

 

「ドリーミアで攻撃! ドリーム・オーバーチュア!!」

 

 ドリーミアが攻撃するのは、自身と同じモンスター。この状況で、他のドレミコードと仲間同士で戦わせるのは胸が痛む。だからせめて、同じ姿のモンスター同士で戦わせるために、意図的に呼び出したのだ。

 ドリーミアがタクトを振ると、妖精体はフルートで優しい音色を奏でる。そして黄色いへ音記号を生み出すと、それは回転しながらクーリアの場のドリーミアへと飛んでいき、接触する直前でドリーミアを巻き込み自爆した。

 

「キューティアでダイレクトアタック! キューティクル・エチュード!!」

 

 最後はキューティアがタクトを振って、妖精体がハーモニカを元気よく奏でる。憧れの存在であるクーリアを直接攻撃させるのは心苦しいが、これが一番クーリアに与えるダメージが最小限で済む。それを全て理解したように、キューティアは俺を振り返ると笑った。

 そして、妖精体がハーモニカを奏でた事で、チョコレート色のト音記号が現れ、回転しながらクーリアに迫る。それもまたクーリアに直接当たりはせず、その手前で弾け、風船が破裂するような風と音、僅かな衝撃をクーリアに与えた。

 

クーリア LP900→0

 

「クーリア様!」

 

 ライフが尽き、フィールドにいる「ドレミコード」たちの姿が消えるのを待たず、クーリアの下へ駆けだす。そうしなければダメだと、本能が理解していた。

 そして駆け寄ったところで、クーリアは足の力が抜けたのか、前のめりに倒れかけた。すぐさまその身体を前から支える。

 

「……大丈夫ですか?」

 

 話しかけると、クーリアは力なく笑った。

 

「……バトレアス、ありがとう。そして……」

 

 とん、とクーリアは俺の胸に顔を埋めて。

 

「……ごめんなさい。あなたを、傷つけて、しまっ……て……」

 

 それを最後に、クーリアは瞳を閉じ、身体を完全にこちらに預けてくる。呼吸と、胸の律動は感じ取れるから、大事には至っていない。

 そんなクーリアを無理に起こせず、俺はこれまでの後悔と謝罪の気持ちを抱きながら、クーリアを抱きしめる事しかできなかった。

 


 

幸せの多重奏(ドレミコード・ハピネス)

通常魔法

(1):以下の効果から1つを選択して発動できる

(このカード名の以下の効果はそれぞれ1ターンに1度しか選択できない)。

●自分の手札を1枚選んで捨て、デッキからPスケールが異なる「ドレミコード」Pモンスター2体を手札に加える。

その後、相手フィールドのモンスターの数+1体まで、

手札から「ドレミコード」Pモンスターを特殊召喚できる。

●このターン、自分は通常のP召喚に加えて1度だけ、

自分メインフェイズに「ドレミコード」モンスターをP召喚できる。

●自分のPゾーンの「ドレミコード」カード2枚を特殊召喚する。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。