予めご了承くださいませ。
バトレアス LP4000 手札2
【モンスターゾーン】
ファドレミコード・ファンシア ATK1000 レベル4
ソドレミコード・グレーシア ATK1500 レベル5
【エクストラモンスターゾーン(左)】
ラドレミコード・エンジェリア ATK1700 レベル6
【魔法&罠ゾーン】
伏せカード1
【ペンデュラムゾーン】
右∶ドドレミコード・クーリア スケール1
左∶ドドレミコード・キューティア スケール8
【フィールドゾーン】
ドレミコード・ハルモニア
テータ LP4000 手札1
【モンスターゾーン】
S-Force ラプスウェル DEF2500 レベル7
S-Force プラ=ティナ DEF2000 レベル6
S-Force エッジ・レイザー DEF1000 レベル4
S-Force 乱破小夜丸 DEF1000 レベル2
【魔法&罠ゾーン】
カード無し
テータが独自に手にした《S-Force スクランブル》によって形勢はひっくり返った。S-Forceのフォーメーションを前に俺のドレミコードは劣勢に立たされ、しかもこのターンは戦闘ダメージを与えられない。このターンでの勝利は不可能だ。
何より、相手フィールドにモンスターが5体もいる。このままターンを渡すのは非常に危険だ。各種特殊召喚の素材に利用されるのはもちろん、プラ=ティナの効果で攻撃力を下げられたままでは、戦闘破壊もほぼ確実。次のターンに逆にこっちが負けてしまう。
であれば、それを避けるために、さっき手札に加えたカードを使わない手はない。
「魔法カード《
捨てるカードは、このターンの最初にドローしていた《ドレミコード・スケール》。しかしこれは、単なるコストにしたつもりはない。
まずは手札に加えた2人のドレミコードをテータに公開し、その上で。
「そして、相手フィールドのモンスターより1体多い数まで、手札の『ドレミコード』を特殊召喚する!」
「いいカードを持ってるな……!」
皮肉を交えて感心するテータに対し、フィールドに現れたビューティアは恭しく頭を下げる。さらにプリモアは、薄い灰色のドレスを翻してくるりと一回転して見せた。
ここで重要なのは召喚する位置。ビューティアは小夜丸、プリモアはラプスウェルの正面に召喚しておく。
シドレミコード・ビューティア
ATK2500 レベル7
ドレミコード・プリモア
DEF400 レベル1
「どうやらそのカードも、君が新たに手にしたカードのようだな」
「……まぁ、そんな感じです」
《幸せの多重奏》がただのカードでない事にテータも気付いたらしい。そういった小さな違和感は、俺も人間だった頃から気づけていた。テータもその例に漏れず察知できるようだ。
「なら君も、本気で勝ちを狙っている、という事か」
「ええ、それは勿論です。こちらとしても、エグザムは譲れません。何より、デュエルですから」
「そうこないとな」
やりとりに満足気に笑うテータ。
本当に、敵同士でデュエルなどしたくなかった。
「プラ=ティナの効果で君のモンスターの攻撃力は600ポイント下がる!」
意識がデュエルに戻る。ビューティアは紫のオーラに包まれると、苦しそうに前屈みになってしまった。
シドレミコード・ビューティア
ATK2500→1900
しかし、すぐにその影響から救い出す事を心の中で誓う。
「特殊召喚したプリモアの効果発動。デッキから『ドレミコード』カードを1枚手札に加える。俺が手札に加えるのは、《レドレミコード・ドリーミア》だ!」
前のターンに、ラプスウェルとグラビティーノのコンボによって、ビューティアとドリーミアは1枚ずつ除外されてしまっている。今、フィールドに呼び、手札に加えたビューティアとドリーミアがそれぞれ最後の1枚だ。除外ケアのカードが皆無だからこそ、この2体は死守したい。
そして、俺がやろうとしている事を考えると、このままリンク召喚をするのはまずい。グラビティーノの効果で、「S-Force」の正面にいる俺のモンスターはフィールドを離れると除外される。リンク素材にするとエクストラデッキには行かず除外されてしまうから、まずはグラビティーノを何とかしなければ。
「バトルだ! 俺はビューティアでグラビティーノを――」
「残念だが、君のモンスターの正面に『S-Force』がいる場合、小夜丸の効果で君はその正面のモンスターにしか攻撃できない!」
「なら、ビューティアで小夜丸を攻撃! ビューティフル・アラベスク!!」
明かされた小夜丸のもう一つの効果は攻撃対象の制限。しかし支障はさほどない。ビューティアを小夜丸の正面に出しておいたのは正解だった。攻撃宣言をすると、ビューティアの抱える妖精体がハープを奏で、足元から長大な連符が出現して小夜丸へと向かう。
「ビューティアの効果発動! このカードが、俺のペンデュラムゾーンで一番低いスケール×300以上の攻撃力を持つ相手モンスターとバトルする時、その相手モンスターを破壊する!」
最小のスケールはクーリアの1、小夜丸の攻撃力は800。問題なく、ビューティアの効果が通用する。ビューティアのけしかけた連符が勢い良く振られると、小夜丸突き飛ばして破壊した。知人と同じ姿のモンスターを攻撃するのは心苦しいが。
シドレミコード・ビューティア
ATK1900→2500
これで、S-Forceが正面にいなくなったため、ビューティアの攻撃力は元に戻る。さらに、他のドレミコードは攻撃対象を自由に選べるようになった。
「エンジェリアでグラビティーノを攻撃! エンジェリック・マーチ!!」
エンジェリアの妖精体がトランペットを強く吹くと、音符を纏うオレンジのエネルギー弾がベルから放たれる。それはグラビティーノを貫き、破壊した。
ソドレミコード・グレーシア
ATK1500→2100
戦闘ダメージを通せない以上、これ以上の攻撃はあまり意味はない。
だから戦闘以外の方法であちらのモンスターを破壊すべく、メインフェイズ2に移行した。
「エンジェリアの効果を発動。『ドレミコード』ペンデュラムモンスター1体をリリースし、そのモンスターとスケールの差が2つの『ドレミコード』をデッキから特殊召喚する。スケール4のグレーシアをリリースし、スケール6の《ミドレミコード・エリーティア》を守備表示で特殊召喚!」
グレーシアが淑やかに頭を下げて姿を消し、新たに現れるのはエリーティア。こちらもややおっかなびっくりと言った具合でお辞儀をした。傍らに漂う妖精体は静かに笑う。
ミドレミコード・エリーティア
DEF400 レベル3
エリーティアは特殊召喚時、相手の魔法・罠カードを手札に戻す事ができる。だが、今あちらの場に魔法・罠カードはないため、そちらの効果は使えない。しかし、偶数のスケールがペンデュラムゾーンにあれば、「ドレミコード」ペンデュラムモンスターの戦闘によるダメージを0にできる。それだけでも十分だ。
「現れろ、清らかな旋律のサーキット! 召喚条件はペンデュラムモンスター2体!」
そしてグラビティーノがいなくなった事で、除外の心配もなくリンク召喚ができる。リンクサーキットが頭上に開くと、エンジェリアとファンシアがその中へ飛び込んだ。
「リンク召喚! 優雅にして偉大なる音階の天使、《グランドレミコード・ミューゼシア》!!」
再びフィールドに現れるミューゼシア。先ほど同様に微笑みを携えながらリンクサーキットから降り立ち、妖精体は守るように周囲を漂う。しかし、エクストラモンスターゾーンの前には「S-Force」がいるため、プラ=ティナの効果は避けられなかった。
□□□ グランドレミコード・ミューゼシア
□◆□ ATK1900→1300
■□■ リンク2
「プリモアの効果発動! 俺が『グランドレミコード』をリンク召喚した時、墓地の『ドレミコード』カードを1枚手札に戻す事ができる。《ドレミコード・スケール》を手札に」
「だがエッジ・レイザーの効果で、『S-Force』の正面にいる君のモンスターは、リンク3以上のモンスターのリンク素材にできない。さあ、どうする?」
どうやらテータは、ミューゼシアを呼んだのはさらにリンク召喚を重ねるためと思っているらしい。しかし、このデッキでリンク2のモンスターはミューゼシアだけだ。これ以上のリンク召喚はしない。
「俺のペンデュラムゾーンに『ドレミコード』がいるため、《レドレミコード・ドリーミア》を手札から特殊召喚!」
さっきのターンにはビューティアともども除外されてしまったドリーミア。フィールドに現れると、少しこっちにもの言いたげな視線を向けるが、すぐテータに視線を戻す。
レドレミコード・ドリーミア
DEF400 レベル2
「魔法カード《ドレミコード・スケール》発動! このカードは、俺のフィールドの『ドレミコード』ペンデュラムモンスターカードの種類によって効果が追加されていく。まず3種類以上存在するため、ペンデュラムゾーンのクーリアを手札に戻し、エクストラデッキのエンジェリアをペンデュラムゾーンに置く」
光の柱の中に浮かぶクーリアが姿を消し、入れ替わるようにエンジェリアが現れる。足元のスケールも1から3へと変わった。
「さらに5種類以上存在するため、手札の『ドレミコード』ペンデュラムモンスターを特殊召喚する。来てくれ、クーリア!」
最後に空いているモンスターゾーンにクーリアを呼び寄せると、彼女は俺の方を振り返り、優しく微笑んでくれた。
ドドレミコード・クーリア
ATK2700 レベル8
「そして7種類以上の『ドレミコード』が存在するため、相手フィールドの表側表示カードを全て破壊する!」
「何!?」
俺が告げると、テータの余裕は崩れ、フィールドにいるドレミコードたちがタクトを取り出して空へ向ける。それぞれのタクトから放たれた、色とりどりの光が集まっていき、虹色の光の球が生まれた。
その光球を見上げたミューゼシアが頷くと、全員が一斉にタクトを振り下ろす。それに導かれるように、虹の光球はテータのフィールドへと飛んでいき、巨大な爆発を起こしてS-Forceを巻き込み破壊した。
「S-Forceがいなくなった事で、俺のフィールドのモンスターの攻撃力は元に戻る!」
グランドレミコード・ミューゼシア
ATK1300→1900
「これでターンエンドだ」
手札はもうない。エッジ・レイザーがいなくなった事で、さらなる展開もできると言えばできるが、ひとまずはここまでにしておく。
「やった!」
「あの状況からさらに逆転できたのは僥倖ですね」
デュエルを後ろで観ていたエンジェリアとエリーティアの声が聞こえる。一時はどうなるかと思ったが、どうにかボードアドバンテージを取り返す事ができた。
対する向こうは手札1枚。あちらも本気で勝ちを狙っている以上、このまま終わる事はないだろうが。
「俺のターン、ドロー!」
重要な1枚。それを見て、テータは頷いた。
「《S-Force オリフィス》召喚!」
召喚したのは、西部劇のガンマンみたいな風貌の青年。ただし、持っている銃は古めかしいリボルバー的なものではなく近代的なもの。そのカードは、前のターンに特殊召喚したグラビティーノの効果で手札に加えたものだったはずだ。
S-Force オリフィス
ATK1800 レベル4
攻撃力は下級アタッカーとしては十分だが、ただそのモンスターを立てたわけではないだろう。
「開け、正義を司るサーキット! 召喚条件は、種族が異なる『S-Force』2体!」
「……?」
リンク召喚は予想できたが、召喚条件には首をひねる。テータの場にはモンスターが1体だけなのに、リンク素材を2体要求するモンスターとは……
「手札の《S-Force レトロアクティヴ》は、俺のフィールドのモンスターを素材に『S-Force』をリンク召喚する際、手札からリンク素材にできる!」
「!」
「よって俺は、フィールドにいるサイバース族のオリフィスと、手札の戦士族のレトロアクティヴをリンクマーカーにセット!」
「まさか、そんな有能なカードを引いていたとは……」
驚く俺の前で、フィールドにいたオリフィスと、手札から現れたレトロアクティヴ……濃いピンク色のスーツに身を包んだ戦士がリンクサーキットに飛び込み、サーキットが光を放つ。
その時、妙な胸のざわめきを抱いた。
「リンク召喚! 現れろ、リンク2!《S-Force リサーチャー・テータ》!!」
そしてリンクサーキットから現れたのは、白衣を着て、背中に機械のユニットを装備し、バイザーを着けている赤髪の青年。
それはまさしく、今デュエルをしているテータの姿とほとんど同じだった。
□■□ S-Force リサーチャー・テータ
□◆□ ATK1500
□■□ リンク2
「そのモンスターは……」
「さっきの《S-Force スクランブル》と同じさ」
その言葉だけで分かった。
どうやらこのモンスターも、テータが独自に手にしたカードのようだ。思えば、同じ転生者のラベンダーも2枚持っていたし、俺自身も2枚以上持っている。テータが同じ枚数手にしていても、おかしくはなかった。
「リサーチャー・テータの効果発動。リンク召喚が成功した時、手札の『S-Force』カード1枚を除外する事で、相手の魔法・罠カードを全て手札に戻す!」
「だけどそっちの手札は――」
「ご心配なく。墓地のレトロアクティヴは、『S-Force』モンスターが手札を除外して効果を使用する際、代わりに除外できる!」
「くそ……」
リサーチャー・テータの目の前に魔法陣が出現し、腕を組みながら現れたレトロアクティヴが、頭上に広がる黒い渦へ吸い込まれる。それを見届けたリサーチャー・テータの背中にある機械ユニットから、パラボラアンテナのようなものが出現して光を放った。その光を受けたカードを手札に戻すというわけだろう。破壊されないだけまだましだが、ただでその効果を通したくはない。
「クーリアの効果発動! 俺のペンデュラムゾーンで一番高いスケール×300以下の攻撃力を持つ、相手フィールドのモンスター効果が発動した時、そのモンスターを破壊する! エフェクト・スタッカート!!」
効果を宣言すると、クーリアがリサーチャー・テータにタクトを向け、その先端から五線譜が放たれる。効果を止める事はできないが、展開の起点になりうるリンクモンスターは残したくない。
しかしリサーチャー・テータは、クーリアの放った五線譜を真正面から受けてもなおびくともしなかった。
「リサーチャー・テータの効果で、正面に相手モンスターがいる俺の『S-Force』は、相手の効果では破壊されない!」
「なんだと……!」
「さあ、魔法・罠カードを全て手札に戻してもらう!」
得意げに指さすテータ。俺は仕方なく、ペンデュラムゾーンで光を浴びてつらそうにしているキューティアとエンジェリア、さらにハルモニアを手札に戻す。景色はさっきまでの白い空間に戻った。
「そして俺は、この効果で手札に戻したカードの数だけドローする!」
ついでとばかりにテータは3枚もドローする。魔法・罠カードによる妨害を潰す上、手札の補充。恐ろしいカードを手にしたものだ。
そして、新たにドローしたカードを見てテータは笑う。
「魔法カード《死者蘇生》発動! 墓地のジャスティファイを特殊召喚!」
再びフィールドに現れる魔法陣。その中から、パワードスーツを着るS-Forceの司令官が姿を見せた。
忘れてはいないが、そのカードはエグザム。ジャスティファイが現れた直後、空気が重くなったような感覚と共に、身体全体が強張る。
■■■ S-Force ジャスティファイ
□◆□ ATK2600
□□□ リンク3
「く……っ!」
そして、使う当人にも影響はある。呼び出したテータは、ただの片頭痛とは思えない表情で頭を押さえていた。
しかしそれでも、その目は力強く俺を見据えて。
「再び開け、正義を司るサーキット!」
右腕を伸ばし、リンクサーキットをまた展開させる。ジャスティファイの効果を使うでもなく、即座にリンク素材にするとなれば、さらに強力なモンスターを呼び寄せるに違いない。
「召喚条件は――くっ、効果モンスター2体以上……。リサーチャー・テータと、リンク3のジャスティファイを……リンクマーカーにセット!」
エグザムの影響で苦しそうにしながらもテータが宣言すると、ジャスティファイの身体がさながら分身のように3つに分かれ、リサーチャー・テータと共にリンクサーキットへと入り込む。
次の瞬間、リンクサーキットは稲妻を纏う寒色の竜巻を発生させた。
「これは……!?」
「これって、私が使ったカードによく似てる……っ!」
デュエルを観ていたマスカレーナが、両腕で風を凌ぎながら声を上げる。その通りで、これは彼女が《ファイアウォール・ドラゴン》を呼び出した時とよく似ていた。戦った俺も覚えている。
しかし、これはあの時よりもはるかに勢いが強く、伝わってくる風の強さと冷たさが克明だった。
「出でよ、リンク4!《トポロジック・ボマー・ドラゴン》!!」
竜巻を引き裂き、中から飛翔したのは、ずんぐりとしたオレンジ色のドラゴン。尻尾はメビウスの輪のように、翼はクラインの壺のように複雑な形状をしている。さらに身体の至る所で緑色の光が灯り、全貌が明らかになると怒号を上げて空気を震わせた。
□■□ トポロジック・ボマー・ドラゴン
□◆□ ATK3000
■■■ リンク4
その咆哮が響くと、《トポロジック・ボマー・ドラゴン》を中心に、隕石が落ちたかのような皹が空間に広がる。地響きまで起き始め、真っ直ぐ立っているのも難しくなってきた。
「2枚目の、エグザム……!?」
デュエルを観ていたミューゼシアが、声を上げる。
1枚目はさっきの《S-Force ジャスティファイ》。だが、この《トポロジック・ボマー・ドラゴン》も同じような影響を現実に及ぼしている。マスカレーナとのデュエルで使われた《ファイアウォール・ドラゴン》とは、サイバース族のリンク4という点が同じ――アニメでデータストームと呼ばれる嵐の中に潜んでいた点も共通している――だが、今感じているこれは全くの別ものだ。
このプレッシャーと影響力は、エグザムに間違いない。
「ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」
そして、呼び出した当のテータ。ジャスティファイ1体を従えるだけで苦しそうにしていたが、吹っ切れたように雄叫びを上げた。
天を仰いでひとしきり叫んだテータは、やがて顔を下ろして俺を見る。
その目に、妖しい赤い光が宿っていた。
「手札の《リンク・インフライヤー》は、リンクモンスターのリンク先となる俺の場に特殊召喚できる!」
さっきまではまだ正義感ある言動を見せていたテータ。しかし今や、声は勢いに溢れ、モンスターをフィールドに出す仕草もやや乱暴な具合だ。そんな彼が呼び出したのは、ハンググライダーのような姿のモンスターだった。
リンク・インフライヤー
DEF1800 レベル2
「この瞬間、《トポロジック・ボマー・ドラゴン》の効果発動! リンクモンスターのリンク先にモンスターが特殊召喚された時、メインモンスターゾーンの全てのモンスターを破壊する!」
「来るか……!」
宣言されると、《トポロジック・ボマー・ドラゴン》の翼に白いエネルギーが宿り始め、それはやがて魔物の目のようにも見える形状の翼へと姿を変える。
そして、何かの前触れのように風が吹き始め、《トポロジック・ボマー・ドラゴン》が両腕を構えた。
「みんな伏せて!!」
クーリアが叫ぶ。
瞬間、再び《トポロジック・ボマー・ドラゴン》が咆哮を上げ、それを中心に強烈な嵐が吹き荒れる。視界の端で、デュエルを観ていたドレミコードたちやマスカレーナが姿勢を低くしたのを捉えつつ、俺も頭を下げる。
ほとんど台風も同然な強烈な風。気を抜けば問答無用で全てを薙ぎ払うような嵐が空間を埋め尽くし、その中で必死に耐える。
やがて頭上から、連続して爆発音が聞こえた。風の勢いで顔を上げられないが、発動した効果によってメインモンスターゾーンの「ドレミコード」が全滅してしまったのだ。やっとの思いで呼び寄せたモンスターたちが、何もできず一瞬で破壊されてしまうのはとても悲しい。
「……落ち着いた?」
風が収まり、グレーシアが呟いたのが聞こえてから、俺は顔を上げて様子を確かめる。
やはり現実への影響は大きかった。《トポロジック・ボマー・ドラゴン》はただ効果を発動したに過ぎないが、さっきの嵐で姿勢を保っていたのはテータだけ。ドレミコードも、マスカレーナも、S-Forceの3人でも、烈風を凌ぐように姿勢を低くしている。そして空間の壁や床、天井には獣の爪痕のような亀裂が走っていた。
「バトルだ!《トポロジック・ボマー・ドラゴン》でミューゼシアを攻撃!!」
そして、デュエルフィールドで無事だったのは、エクストラモンスターゾーンにいたミューゼシアのみ。けれどこの状況はどうする事もできず、《トポロジック・ボマー・ドラゴン》が放った黄色い光線からは守れない。心の中で詫びながら、ミューゼシアが光線に打ち砕かれるのを見届けるしかなかった。
「ぐうう……っ!」
そして、エグザムの攻撃故に衝撃波も半端ではない。何とか後ろに吹き飛ばされるのを堪えるだけで精いっぱいだ。
バトレアス LP4000→2900
「まだだ!《トポロジック・ボマー・ドラゴン》が相手モンスターを攻撃した場合、ダメージ計算後に効果発動! その相手モンスターの元々の攻撃力分のダメージをお前に与える!」
続けざまに発動する効果で、《トポロジック・ボマー・ドラゴン》が羽ばたくと、交差した赤い烈風が迫る。エグザム由来のものだからこそ、受けるのはまずいと理解していても躱す術がなく、もろに受けてしまう。
「ぐは……っ……」
バトレアス LP2900→1000
後ろへ突き飛ばされ、白い壁に背中を打ち、全身が一瞬で熱くなる。
「バトレアスさんっ!!」
「大丈夫!?」
床に倒れ込むが、プリモアとクーリアの声が聞こえた。
正直、かなり痛い。迷宮姫の時みたいに視界が霞んで思考が遅くなるが、どうにか頭を振って立ち上がる。
「大丈夫、です……!」
「魔法カード《貪欲な壺》発動! 墓地のジャスティファイ、エッジ・レイザー、プラ=ティナ、乱破小夜丸、オリフィスをデッキに戻して2枚ドローする!」
俺が立ち直ったのを確認してから、テータはメインフェイズに手札を補充してくる。また一山来そうな予感だ。
「そしてカードを1枚伏せてターンエンド!」
展開はそれ以上せずにターンを渡してくる。
何とか敗北は避けられたが、それについて気が緩んだ直後、さっきの攻撃の余波で喉が痛みを訴え咳き込んでしまう。
「げほっ、ごほっ……!」
「バトレアスさん……!」
心配そうにキューティアが声を掛けてくるが、俺は笑って大事ではないのを伝える。
しかしそこで、鼻で笑ったのはテータだ。
「涙ぐましい痩せ我慢だな。苦しいのなら、潔くサレンダーしてくれて構わないぞ?」
「お断りします……エグザムは渡せませんし、さっきのなんか比べ物にならない攻撃をこっちは経験してますから。本当に、大した事はありません」
以前戦った《
「そっちこそ、エグザムの力に振り回されるぐらいなら、使わない方がいいと思いますがね……」
「振り回される? 俺がか?」
意味不明、とばかりにテータは笑っているが、彼はもうとっくにエグザムに汚染されてしまっているのが分かった。その仕草も、さっきのサレンダーを促す言葉も、これまでのテータからはかけ離れた言動。エグザムの影響で心が歪んでしまったからだろう。
その証拠に。
「……」
デュエルを観ているプラ=ティナと小夜丸。特にプラ=ティナは、テータが有利な状況に立ったにもかかわらず、悲しそうな顔をしている。あちらが勝てばエグザムを全て入手できるから、普通なら勝利に近づけば近づくほど前のめりになるはず。だけどそうなっていないという事は、やはりテータの今の様子に納得がいっていないのだろう。ジャスティファイに関してはフルフェイスのヘルメットなので全く分からない。
兎に角、相手方の事を深く考えすぎると、下手な同情心で勝利を取りこぼしてしまう。負けられないのはこちらとて同じだ、集中しないと。
「俺のターン、ドロー!」
まずもって厄介なのは《トポロジック・ボマー・ドラゴン》。あれを残したまま次のターンが来たら、効果でモンスターを全滅させられるか、ダメージを受けて負けるかのどっちかだ。だからこのターンに勝利ないし除去しなければならない。
そして、今引いたカードは除去ができるカードだ。
「俺はスケール3のエンジェリアと、スケール8のキューティアでペンデュラムスケールをセッティング!」
引いたカードを発動する前に、その力を最大限生かせるよう、さっきのターンにバウンスされたペンデュラムスケールを再度配置する。光の柱の中に現れたエンジェリアとキューティアは、準備万端とばかりに俺を見て頷く。だがペンデュラム召喚はまだ早い。
「速攻魔法《ドレミコード・シンフォニア》発動! このカードは、エクストラデッキにいる『ドレミコード』ペンデュラムモンスターの種類によって効果が追加される。今、俺のエクストラデッキには7種類の『ドレミコード』がいる!」
その時、ふと後ろに気配を感じて振り返る。
そこにはまさに、エクストラデッキにいるクーリア、ビューティア、グレーシア、ファンシア、エリーティア、ドリーミア、プリモアが、半透明の状態でそこに佇んでいた。そして俺に笑顔を向け、勇気ともいえる何かが胸の中に湧いてくる。
「速攻魔法《禁じられた聖冠》発動! このターン、《トポロジック・ボマー・ドラゴン》は効果が無効になり、攻撃できない代わりに、バトルでは破壊されず、自身以外が発動した効果を受けず、またリリース及び融合・シンクロ・エクシーズ・リンク素材にできない!」
「そんなの……どうにもできないじゃない……!」
そこでテータが先に伏せカードを発動してきた。7種類もの「ドレミコード」がいる事で、強力な効果を使われると警戒したらしい。告げられた効果を聞き、ドリーミアが困惑と焦りが混じった声を上げる。
赤黒いオーラに覆われた《トポロジック・ボマー・ドラゴン》が、敵意むき出しの咆哮を飛ばしてきた。凶悪な耐性を得てた事で、ドリーミアの言う通り、このターンにあのモンスターをフィールドからどかす事はほとんど不可能だ。そして確実に、あれは俺を敗北へと追いやる。
つまりこのターンに勝利しなければ、俺の勝ち目はないわけだ。
「3種類以上の『ドレミコード』がいる事で、このターン、俺の『ドレミコード』ペンデュラムモンスターの攻撃力は、自らのペンデュラムスケール1つにつき300ポイントアップする。さらに5種類の『ドレミコード』がいるため、相手フィールドのカード1枚を破壊する。俺は《禁じられた聖冠》を破壊する!」
《ドレミコード・シンフォニア》から薄いピンク色の光線が放たれる。既に発動して役目を終えているが、チェーン発動してフィールドに残っていた《禁じられた聖冠》を打ち砕く。全くの無意味と思っているのかテータは悪い笑顔を浮かべているが、破壊する事に意味があるのだ。
「俺のペンデュラムゾーンに奇数のスケールが存在する場合、さらに1枚ドローする!」
そして、引いたカードに目をやる。
これなら、行ける。
「そして7種類以上の『ドレミコード』がいる事で、エクストラデッキの『グランドレミコード』リンクモンスターを特殊召喚する。三度お力添えを、《グランドレミコード・ミューゼシア》!」
□□□ グランドレミコード・ミューゼシア
□◆□ ATK1900
■□■ リンク2
フィールドに現れたミューゼシアの表情は上品なものだが、これで3ターン連続で召喚した事になる。3枚投入しているとしても、偉大なグランドレミコードの天使を酷使してしまうのは、従者としては落第点だろう。
現実はどうかと思い、振り向く。《トポロジック・ボマー・ドラゴン》の影響を考えてか、ミューゼシアは他のドレミコードと一緒に姿勢を低くしている。そんな中でも彼女は、俺を真っ直ぐに見てゆっくり瞬きをする。気にしないで大丈夫、という意味合いと考えておこう。
「フィールド魔法《ドレミコード・ハルモニア》を発動!」
先ほど戻されてしまった、ドレミコードが戦う舞台。《トポロジック・ボマー・ドラゴン》によって傷つけられた空間が、再び色とりどりの音楽記号で彩られる。
そこでテータが意味ありげに笑ったのが気になったが、気にせずプレイを続ける。
「俺は1つ目の効果を発動! エクストラデッキのプリモアを――」
「性懲りもない奴め! 相手のフィールドでモンスター・魔法・罠カードの効果が発動した時、手札の《幽鬼うさぎ》を墓地へ送って効果発動! そのカードを破壊する!」
最後の手札をテータが切ると、白い髪に赤い角が生えた、あずき色の着物の少女がフィールドに半透明で現れる。その少女がお札のようなものを空へ放ると、ハルモニアの音楽記号が粉々に砕け散り、雪のように降ってくる。それを浴びながら、《幽鬼うさぎ》は姿を消した。
効果を発動したフィールド魔法は、フィールドに無ければ効果が適用できない。よって、手札に戻そうとしたプリモアもエクストラデッキにいるままだ。こうなると、最小限のカードだけで戦うしかなくなる。
「セッティング済みのペンデュラムスケールは3と8。よって、レベル4から7のモンスターが同時に召喚可能!」
2つの光の柱の中にいるエンジェリアとキューティアを見上げ、俺は両腕を広げる。
「天に宿る麗しの天使たちよ。淀みを清める旋律を高らかに奏でよ! ペンデュラム召喚!」
宣言すると、白い天井に穴が開き、紫と白の光がフィールドに降り注がれる。その中から現れたのは、戦闘面で強い能力とステータスを持つビューティアと、攻撃とサーチに優れた効果を持つグレーシアだ。
シドレミコード・ビューティア
ATK2500 レベル7
ソドレミコード・グレーシア
ATK2100 レベル5
「ペンデュラム召喚成功により、ミューゼシアとグレーシアの効果を発動。グレーシアの効果で《ドレミコード・ムジカ》を、ミューゼシアの効果でグレーシアのスケール数と同じレベル4のファンシアを、それぞれデッキから手札に加える」
このターンで勝負を決められなかった時に備え、状況に応じて効果が選べるムジカを手札に加えておく。
「《ドレミコード・シンフォニア》の効果で、ビューティアとグレーシアの攻撃力は、それぞれのスケール×300ポイントアップする!」
シドレミコード・ビューティア
ATK2500→3100
ソドレミコード・グレーシア
ATK2100→3300
「そして、ファンシアを召喚!」
念には念を入れ、下級アタッカーとしての攻撃力は申し分ないファンシアを呼び寄せる。そして、《ドレミコード・シンフォニア》の効果で攻撃力がすぐに上がった。
ファドレミコード・ファンシア
ATK1600→3100 レベル4
「その程度の攻撃力、大したものじゃないな」
しかしテータは、少しも動じていない。例え攻撃力が《トポロジック・ボマー・ドラゴン》を上回っていても、あちらはこのターンバトルで破壊できない。それにテータのライフはまだ4000、このまま全てのモンスターで攻撃したところで受けるダメージは500ポイント。しかも、モンスターを残せば返しのターンで効果の発動を許してしまう。
だけど。
「バトルだ! グレーシアで《トポロジック・ボマー・ドラゴン》を攻撃! グレースフル・ノクターン!!」
バトルフェイズに入り、グレーシアの攻撃が始まる。そのタクトに従って、妖精体がサックスを軽快に奏でると、青い光線がベルから放たれる。それを受けた《トポロジック・ボマー・ドラゴン》だが、体勢をやや前に傾けるだけで破壊される事はなく、攻撃を受け流した。
テータ LP4000→3700
「ファンシアで攻撃! ファンシー・ワルツ!!」
ファンシアが指揮をすると、妖精体がアコーディオンを奏でて赤色の八分音符をいくつも生み出す。それらはランダムな軌道を描きながら、《トポロジック・ボマー・ドラゴン》に殺到した。
テータ LP3700→3600
「ビューティアの攻撃! ビューティフル・アラベスク!!」
ビューティアが左手でタクトを振り、右腕で抱えられた妖精体がハープを奏でる。優しい旋律と共に黒い五線譜が地面から現れ、《トポロジック・ボマー・ドラゴン》へと迫った。
「ビューティアの効果で、俺のペンデュラムゾーンで一番低いスケール×300以上の相手モンスターとバトルする時、その相手モンスターを破壊する……けど、《禁じられた聖冠》の効果で、他のカード効果は受けないんでしたよね」
「よくわかってるじゃねーか!」
テータが嗤う前で、ビューティアが放った五線譜は《トポロジック・ボマー・ドラゴン》の表皮を掠めるだけに終わってしまった。
テータ LP3600→3500
「この程度、蚊に刺されたぐらいでしかない!」
3度の攻撃を加えてもなお、500ポイントしかライフを削れない。息巻くテータを前に、俺は手札のカードに視線を落とし。
「ミューゼシアで攻撃!」
迷わずミューゼシアを攻撃させる。
するとテータは。
「トチ狂ったか! 攻撃力1900程度で攻撃なんざ自殺行為だぞ!」
暴力的な笑みを浮かべて、《トポロジック・ボマー・ドラゴン》を指さす。その通りで、ミューゼシアの攻撃力は1900しかなく、攻撃力3000の《トポロジック・ボマー・ドラゴン》を攻撃すれば俺は1100ポイントの反射ダメージを受けて自滅する。
「そんなに死に急ぎたいなら、望み通りやってやる! 迎撃しろ、トポロジック・ボマー!」
命令を受けた《トポロジック・ボマー・ドラゴン》が、首を引き、先ほどのビーム砲を撃とうとする。
誰もが息を呑み、それでもフィールドのミューゼシアがタクトを振ろうとしたところで。
「速攻魔法《一曲集中》発動! 俺のリンクモンスターがバトルする時、その攻撃力をバトルの間、リンク先にいるモンスターのレベルとランクの合計×400ポイントアップさせる!」
「!?」
「ミューゼシアのリンク先にいる、ビューティアとグレーシアのレベルの合計は12。よって、ミューゼシアの攻撃力は4800ポイントアップだ!」
最後の手札を発動すると、ビューティアとグレーシアの妖精体が、それぞれハープとサックスを奏でる。淑やかなメロディが奏でられると、ミューゼシアの金色の翼が一層輝き、力強く広げられた。
グランドレミコード・ミューゼシア
ATK1900→6700
「そんな……バカな……!?」
「ミューゼシアで《トポロジック・ボマー・ドラゴン》を攻撃! グランド・コンダクター!!」
ミューゼシアとその妖精体が、息を合わせてタクトを振る。そしてミューゼシアの翼が羽ばたくと、音符が混じった金色の強風が吹き荒れる。同時に《トポロジック・ボマー・ドラゴン》が黄色いビーム砲を放つが、それは金色の風に押し返されていく。
ぶつかり合うエネルギーの余波は空間全体に広がり、さらにミューゼシアの起こした風と、押し返されたビーム砲がテータを直撃した。
「ぐああああああああああああああああっ!!」
テータ LP3500→0
エグザムを交えた戦闘の衝撃で、テータは後ろへ吹っ飛ぶ。そんな彼を、プラ=ティナが先んじて駆け出して受け止めると同時、フィールドにいたモンスターたちは姿を消した。《トポロジック・ボマー・ドラゴン》も消滅し、はびこっていたプレッシャーも消える。
「テータ、しっかりして!」
抱えたテータに呼び掛けるプラ=ティナ。どうやらテータは、気を失ってしまったようだ。エグザムを使いデュエルで負けた迷宮姫やミカエル、そしてクーリアと同じだった。
俺も声を掛けようとしたところで、目の前に2枚のカードがひらひらと舞い降りてくる。手に取ったそれは、真っ白ながらも淡い赤と青のオーラを放っている。
ドレミ界でも見つけられなかった、2枚のエグザム。
つまりこれで――
「バトレアス!!」
クーリアが俺の名を叫んだ。
視線をそちらへ向けようとしたら、視界が急に横にずれる。次の瞬間には、身体の後ろ全体に強い衝撃が走った。
「ぐ……!?」
声がまともに出ない。感じるのは、首を圧迫される感覚。そこでようやく、何が起きたのかを理解する。
ジャスティファイが、俺の首を掴んで壁に押さえつけていた。
「貴様らにエグザムは渡さん」
「ちょっと、それは――」
「突入!!」
ファンシアが抗議しようとしたが、ジャスティファイが合図のような声を張り上げる。
ばたばたと足音がそこらじゅうで鳴り響いた。それは決して、一人や二人分ではない。
「S-Force……!」
首を絞められながらも、視線は動かせる。誰がここへ来たのかはすぐに理解できた。
「約束が、違う……!」
「誰も、我々が負けたら君たちにエグザムを渡すとは言っていないぞ」
首を絞められているため、絞り出すような声しか出せないが、ジャスティファイは悪びれもせず答える。リアリストとは、まさに彼のような人ではないだろうか。
「全員動くな! 大人しくしろ!」
男の鋭い声が響いた。視線を向けると、ラプスウェルをはじめとしたS-Forceが、マスカレーナだけでなくドレミコードの皆にまで銃を向けているのが目に入る。ゲートを開こうとタクトを振ろうとしたクーリアの腕を、名前も知らないエージェントが掴む。
首を絞められているのとは別の理由で、血の気が引いた。
「君は多次元手配されている事を忘れたのか? そんな君やマスカレーナがいる場所に、何の備えもなく我々が来るとでも?」
何も言えない。エグザムの取引を持ち掛けたところで、俺が手配されている事に変わりはないから。
だが、マスカレーナは秘匿性が高い空間を用意すると言っていた。でなければ、マスカレーナ本人が例え姿を隠してでもここに来るはずがない。今みたいに増援が来るような隙も与えないはずだ。現にマスカレーナも、この事態に困惑してS-Forceに包囲されている。
考えられるのは、
「エグザムを……利用したのか……!」
「エグザムの反応を追跡する発信機だ。その信号を、エグザムの技術力を利用した本部の受信機で追跡していた。どんな場所であろうと見つけ出す」
「く……あ……」
「まあ、特定には時間がかかったが……君は時間稼ぎに一役買ってくれた。いい仕事をした、と褒めてやる」
自分の歯を砕きそうになるほどに、食い縛る。
S-Forceからすれば、さっきのデュエルは時間稼ぎに過ぎず、エグザムを譲る気なんかこれっぽっちもなかった。
「バトレアスさ――」
「聞こえなかったか、動くな!」
プリモアの声、さらにそれに被さるS-Forceの警告。
俺はともかく、何の罪もないはずのドレミコードたちに対する仕打ち、さらに俺自身の見通しの甘さに対する苛立ちが抑えられなくて、ジャスティファイの腕をどうにか掴む。だが、相手はパワードスーツなのでびくともしない。
そして、それに応じてジャスティファイは首を絞める力を強めた。
「……う」
視界が、狭まってきた。
思考が、遅くなる。
身体が、抵抗を止めてしまう。
「見苦しいぞ。敗者にはご退場願おうか」
声が聞こえて。
視界が真っ白になった。
□■□ S-Force リサーチャー・テータ
□◆□ 光属性/戦士族/攻1500
□■□ リンク2
リンク/効果
種族が異なる「S-Force」モンスター2体
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがL召喚した時、自分フィールドに魔法・罠カードが存在しなければ、
手札から「S-Force」カード1枚を除外して発動できる。
相手フィールドの魔法・罠カードを全て持ち主の手札に戻す。
その後、自分はこの効果で相手の手札に戻った数だけドローする。
(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
自身の正面に相手モンスターが存在する、自分フィールドの「S-Force」モンスターは、相手の効果では破壊されない。
【リンクマーカー:上/下】
次のうち、この作品で、デュエル外の登場人物として見てみたいのは?
-
魔術師
-
コード・トーカー
-
ARG☆S
-
ウィッチクラフト
-
閃刀姫
-
霊使い
-
勇者トークン一行
-
推しがいないんですが……
-
全部書いて