予めご承知おきくださいませ。
バトレアス LP400 手札4
【モンスターゾーン】
裏側守備表示モンスター2
【魔法&罠ゾーン】
伏せカード1
【ペンデュラムゾーン】
右:シドレミコード・ビューティア スケール2
左:レドレミコード・ドリーミア スケール7
【フィールドゾーン】
ドレミコード・ハルモニア
エニアクラフト LP3400 手札2
【モンスターゾーン】
裏側守備表示モンスター2
【魔法&罠ゾーン】
一点着地
闇の護封剣
伏せカード1
【ペンデュラムゾーン】
左:
「俺のターン!」
《闇の護封剣》の効果により、ダルマ・カルマでセット状態にされたエリーティアとエンジェリアは、表示形式を変更できない。そして、今引いたカードでもまだ状況を打破するのは難しい。
となれば、エクストラデッキにいるドレミコードたちの力を借りる事になる。ペンデュラムモンスターはフィールドから墓地へ送られず、エクストラデッキに加わる。単純に考えれば、デュエルが進めば進むほどリソースには困らなくなる。
「ハルモニアの効果発動! 1つ目の効果で、エクストラデッキのプリモアを手札に加える。そして、召喚!」
ドレミコード・プリモア
ATK 0 レベル1
可憐な音階の天使を召喚する。このデュエルではかれこれ3回目の召喚となってしまい、そろそろ過労死と言われてもおかしくないレベルだ。現実に近いデュエルだからこそ、それに対する申し訳なさは強まる。
「召喚したプリモアの効果で、デッキから『ドレミコード』カードを1枚手札に加える」
サーチ効果や破壊効果に反応して「糾罪巧」は動き出す。だが、プリモアの効果を発動しても、エニアクラフトには動く気配はなかった。
「俺は《ドレミコード・クレッシェンド》を手札に加える!」
選んだカードは、ソルフェージア同様クーリアから託された力。選んだそのカードはデッキからプリモアの手に渡り、そして差し出される。
「無茶をさせてしまってすみません」
『いえ。むしろバトレアスさんに、つらい思いをさせてしまって……』
カードを受け取りながら、何度もフィールドに呼んでしまっている事に詫びる。プリモアもまた、俺がデュエルで心身ともに傷ついているのを案じてくれていた。なんと優しい子だろうか。
そんなプリモアからカードを受け取ってから、空に浮かぶハルモニアの五線譜を見上げる。
「ハルモニアの2つ目の効果を発動。ドリーミアのスケールを、そのレベル2つ分だけ上げる!」
レドレミコード・ドリーミア
スケール:7→9
「そして魔法カード《ドレミコード・クレッシェンド》発動! 俺のペンデュラムゾーンに存在する『ドレミコード』の枚数によって効果が変わる!」
さっきプリモアの効果で手札に加えていたそのカードをフィールドに置いて発動すると、淡い緑色の輝きを帯び始める。クーリアが力を注ぎ込んだ証だ。
「俺のペンデュラムゾーンに『ドレミコード』は2枚。よって、その2枚でペンデュラム召喚できるレベルを持つ『ドレミコード』ペンデュラムモンスターを、デッキとエクストラデッキから1体ずつ手札に加える」
『……』
「セッティングされたスケールは2と9。よって、エクストラデッキにいるレベル8のクーリアと、デッキのレベル4の《ファドレミコード・ファンシア》を手札に加える」
2枚のモンスターを手札に加えたところで、エニアクラフトの輝きが紫色に変わった。
「手札のクーリアは、俺のフィールドのペンデュラムモンスター2体をリリースして特殊召喚できる!」
前のターンに使った《トリアス・ヒエラルキア》同様、裏側守備表示であってもコストとしてリリースする分には問題ない。セット状態だったエリーティアとエンジェリアをリリースする。
「現れろ、流麗なる音階の天使!《ドドレミコード・クーリア》!!」
穏やかな風と共に現れるのは、ドレミ界では見慣れ、俺にとっては一番親しみのある姿のクーリアだ。
ドドレミコード・クーリア
ATK2700 レベル8
呼び出されたクーリアは、何も言わない。
けれど俺を顧みて、にっこり笑って頷く。それだけで、もう充分だ。
「クーリアの効果発動! 相手フィールドの表側表示カードを対象とし、その効果を次の相手ターン終了時まで無効にする。そしてこの効果は、俺のペンデュラムゾーンに奇数のスケールが存在する場合、対象を2枚にできる。俺が効果を無効にするのは、オクニリアと《闇の護封剣》!」
何が伏せられていようと、オクニリアのサーチ効果は放っておけない。それに、《闇の護封剣》の表示形式変更禁止も厄介だ。だから先にクーリアの効果を使う。
だが、そこでエニアクラフトの輝きが黄色くなった。
『フィールドまたは墓地のカードを対象とする効果を相手が発動した時、セットされているアスタピクシアを表側守備表示にして効果を発動』
「対象に取る効果まで……!」
一瞬で姿を見せたのは、キツネ型の白いロボット。こちらもこれまでに見た最上級の「糾罪巧」モンスターと同じで、巨大なビル並の大きさを誇り、9本もの太い尻尾がうねりを見せている。
糾罪巧-
DEF2500 レベル9
『アスタピクシアの効果で、発動した効果を無効とし、さらに相手の手札をランダムに1枚裏側表示で除外する』
姿を見せたアスタピクシアの顔が俺を見下ろす。さらにすべての尻尾が俺に向き、赤い光を蓄え始める。
アスタピクシアは、発動した効果を無効にした上で、手札を破壊する。これまでとは違う動きだ。
しかし、仕込みならこちらの方が先に整っている。
「俺のペンデュラムゾーンに奇数と偶数のスケールを持つ『ドレミコード』がいる限り、プリモアの効果によって、俺の発動した『ドレミコード』カードの効果は無効化されない!」
『何?』
「つまり、クーリアの効果は無効にされない。効果が無効にならなければ、俺の手札も除外されない!」
プリモアが静かに俺を振り向き、両手を合わせて祈るように目を閉じる。するとクーリアが白色のオーラに覆われると、タクトを振ってライトグリーンの五線譜を出現させる。それはオクニリアと《闇の護封剣》を縛り付けて、色を失わせた。
『なるほど。しかしながら、リバースしたアスタピクシアがフィールドにいる限り、君はフィールド及び墓地のカードを効果の対象にできない』
「!」
クーリアの効果が通ったのはいいが、アスタピクシアの永続効果は非常に強力だ。俺の【ドレミコード】においても、クーリアやビューティアを含め、多くのカードは対象に取る効果を持っている。それらが全部封じられたわけだ。
このまま放置はできないため、できる手を可能な限り打つ。
「セッティング済みのペンデュラムスケールを使い、ペンデュラム召喚! エクストラデッキより《ソドレミコード・グレーシア》、手札より《ファドレミコード・ファンシア》、《ラドレミコード・エンジェリア》!」
空に穴が開き、その中から色とりどりの光が降り注ぐ。《ドレミコード・クレッシェンド》のデメリットで、このターンに俺は「ドレミコード」しか特殊召喚できないが、大した制約にもならない。
ソドレミコード・グレーシア
ATK2100 レベル5
ファドレミコード・ファンシア
ATK1600 レベル4
ラドレミコード・エンジェリア
ATK2300 レベル6
「グレーシアの効果で、俺はデッキから《ドレミコード・スケール》を手札に加える!」
デッキからカードを選び、手札に加えようとすると、グレーシアが振り向く。
『勝負を決めるつもりですね』
「ええ、流石にこれ以上の戦闘は厳しいものがあるかと」
『だねぇ。バトレアスさん、大分ボロボロだもん』
グレーシアからカードを受け取るのを見ていたファンシアが、俺の姿を上から下まで眺めている。俺もつられて自分の姿を見てみるが、スーツの裾や襟が破れているし、そこら中に煤もついている。煤は適当に払ってみても簡単には拭えそうにない。エニアクラフトのデュエルが限りなく現実に近いせいだ。
「俺はともかく、皆さんを何度も呼び寄せているので……心苦しくもあります」
『その礼は、帰ってきたらたっぷり返してもらうからね~』
エンジェリアはこんな状況でもなお軽口を叩く。けれどそれが、却って心地よかった。
「魔法カード《ドレミコード・スケール》発動! 今現在、俺のフィールドに3種類以上の『ドレミコード』が存在する事で、ペンデュラムゾーンのドリーミアを手札に戻し、エクストラデッキのソルフェージアをペンデュラムゾーンにセッティング!」
「グランドレミコード」がいる事でこそ効果を発揮するソルフェージアを、今ペンデュラムゾーンに置いても意味はほとんどない。だが、ペンデュラムゾーンのカードをどうこうするのは、俺の手札にある《ペンデュラム・スイッチ》か《グランドレミコード・クーリア》の効果ぐらいしかない。なので、入れ替えるチャンスがあるのなら優先してそうする。ただ、「グランドレミコード」を呼び出すつもりは今のところないが。
「そして、7種類以上の『ドレミコード』が存在する事で、相手フィールドの表側表示カードを全て破壊する!」
『!』
ハルモニアの円環から、虹色の光の雨が降ってくる。それはエニアクラフトの場にいるアスタピクシア、オクニリア、さらに《闇の護封剣》と《一点着地》に降り注ぎ、それらすべてを破壊した。
「そしてハルモニアの3つ目の効果発動! 俺のフィールドの『ドレミコード』のスケールは、奇数4種類と偶数3種類。よって、お前の魔法&罠ゾーンにセットされているカードを破壊する!」
破壊すべきは、セットされているアトリマールにすべきかもしれない。
だが、あちらの効果が何か分からない以上、迂闊に破壊するのは危険が伴う。だから、ダルマ・カルマの時みたいな事を防ぐために、少しでもカードを破壊しておく。バトルフェイズに何かされるより、メインフェイズの方がまだ挽回の余地はあった。
指定されたカードが破壊され、露わになったのは《荒野の大竜巻》だ。
『セット状態の《荒野の大竜巻》が破壊された事で効果発動。フィールドの表側表示カード1枚を破壊する。私が破壊するのは《ドドレミコード・クーリア》』
その名の通りの竜巻が発生してこちらへと迫ってくる。前のターンの《リ・バウンド》同様、破壊されても効果を発動するカードだった。
しかし、今ここでクーリアを失うわけにはいかない。
「カウンター罠《ドレミコード・フォーマル》! 相手の効果が発動した時、ペンデュラムゾーンに『ドレミコード』が存在する場合、エクストラデッキの『ドレミコード』ペンデュラムモンスター1体をデッキに戻して発動!」
《ファインドレミコード・バトリア》をデッキに戻す。すると、俺のフィールドが黒い音符や五線譜で覆われた。前々から思っていたが、《ドレミコード・フォーマル》によって出現する音楽のシールドは、そのモンスターのテーマカラーによって変わるらしい。
「《ドレミコード・フォーマル》の効果で、その発動した効果を俺のフィールドの『ドレミコード』ペンデュラムモンスターは受け付けない!」
竜巻は音楽のシールドによって阻まれ、クーリアも難を逃れる。
それに安心しつつ、考えた。
エニアクラフトは、攻撃力が一番高いクーリアを破壊しようとした。とすれば、あのセットされているモンスター……恐らくアトリマールは、守備力がクーリアの攻撃力よりも低い。これまでに出てきた最上級の「糾罪巧」も守備力は全て2500だったから、アトリマールも同じだろうか。
それなら、このままバトルに持ち込んで大丈夫だろう。今なら、攻撃時にモンスター・魔法・罠の効果を発動させないグレーシアとエンジェリアが揃っている。エニアクラフトの場にもう魔法・罠カードはない。
だから、バトルフェイズへ突入する。
「バトルだ! 俺はクーリアで裏守備モンスターを攻撃! クーリー・レクイエム!!」
先陣を切るのはクーリア。タクトを振ると、妖精体がバイオリンを奏で、緑色の五線譜を裏側守備表示モンスターへと放つ。
そしてここで、裏側守備表示だったモンスターの姿が明らかになった。それは――
禁忌の壺
DEF3000 レベル9
「何!?」
石でできた巨大な壺。アトリマールではないし、その守備力はクーリアを上回っている。さっきの《荒野の大竜巻》でクーリアを破壊しようとしたのは、攻撃を仕掛けさせるブラフ。
クーリアの攻撃は《禁忌の壺》に直撃する。しかし攻撃力が足りないせいでびくともせず、その五線譜は跳ね返されると俺に向きを変え、腹部に直撃した。
「ぐは……っ……」
バトレアス LP400→100
『バトレアス!』
背中から倒れこむ。そこへ、クーリアが攻撃を止めて俺に駆け寄ってきて、上体を起こしてくれた。《グランドレミコード・クーリア》同様力が注がれているから、俺に触れる事は問題なくできるらしい。
そのクーリアは、涙を滲ませていた。
『ごめん、私のせいで……!』
「いえ、俺の考えが甘かったせいです……」
反射ダメージで俺が窮地に立たされ、その上傷ついたのをクーリアは深く後悔している。だが、自分を責めるのは間違いだ。
『リバースした《禁忌の壺》の効果を発動』
「グレーシアの効果で……偶数のスケールがペンデュラムゾーンにあると、俺の『ドレミコード』が攻撃するダメージステップ終了時まで……お前はモンスター効果を使えない……」
『なるほど。では、君のバトルフェイズはどうする?』
「終了、だ……」
律儀に聞いてくるエニアクラフトだが、勝手にターンを進められるよりずっとマシだ。クーリアに支えられながら立ち上がり、元の位置に戻る。グレーシアとファンシア、エンジェリア、プリモア、さらにはペンデュラムゾーンのビューティアも俺を不安そうに見ている。
反射ダメージで俺のライフはもう後がない。その上、勝負も決められなかった。
こうなった以上、やるべき事は次のターンに備える事だけ。
「エンジェリアの効果発動! スケール4のグレーシアをリリースして、スケール6のエリーティアをデッキから守備表示で特殊召喚!」
グレーシアが恭しくお辞儀をし、入れ替わるようにエリーティアが現れる。エニアクラフトの場に魔法・罠カードがないから効果は使えないが、戦闘ダメージを0にする事ができる効果は心強い。
ミドレミコード・エリーティア
DEF400 レベル3
「そして現れろ、清らかな旋律のサーキット! 召喚条件はペンデュラムモンスター2体。エンジェリアとファンシアをリンクマーカーにセット!」
その名を呼ばれた2人の天使がリンクサーキットへ飛び込むと、赤みを帯びた光が閃いた。
「リンク召喚!《グランドレミコード・ミューゼシア》!!」
□□□ グランドレミコード・ミューゼシア
□◆□ ATK1900
■□■ リンク2
ゆったりとフィールドに降り立ったミューゼシアは、俺を振り向くと眉を下げた。
『大丈夫……じゃないわよね』
「これしき……どうって事ありません」
『ごめんなさい、あなたにそこまでさせて』
「お気になさらず。そのための俺です」
正直言うと、身体への負荷はかなり溜まってきた。これ以上デュエルが長引くのは避けたいところだが、如何せんあちらの守りが硬すぎる。こちらの根気を保たなければ、決着がつくよりも早く身体が音を上げる。
「リンク召喚成功により、プリモアの効果発動! 俺は……《グランドレミコード・クーリア》をエクストラデッキに戻す!」
プリモアからカードを受け取るが、そのカードを左手に持ち替えつつ、右手を伸ばす。
「さらに現れろ、清らかな旋律のサーキット! 召喚条件はペンデュラムモンスターを含むモンスター2体以上! プリモアとミューゼシアをリンクマーカーにセット!」
プリモアとミューゼシアが顔を見合わせて頷き、2人でリンクサーキットに入り込む。
「リンク召喚! もう一度力を貸してくれ、《グランドレミコード・クーリア》!!」
縋るような情けない声を上げてしまったが、リンクサーキットから現れたグランドレミコードの力を宿すクーリアは、まさに聖母のように優しい笑顔を浮かべていた。
そしてその攻撃力は、俺のエクストラデッキにいるペンデュラムモンスター7体分、700ポイントアップする。
□□□ グランドレミコード・クーリア
□◆□ ATK2700→3400
■■■ リンク3
「俺はカードを2枚伏せて、ターンエンド」
最後に伏せるカードは、《トリアス・ヒエラルキア》でドローしていた《神風のバリア-エア・フォース-》と《ペンデュラム・スイッチ》。エニアクラフトは攻撃する意思を全く見せないが、俺のライフが残り100となった事で、攻勢に出るかもしれない。
そして、さっきの《ドレミコード・スケール》でソルフェージアをペンデュラムゾーンに置いたのも、結果的には良いだろう。勝負を決められなかったのは残念だが、これなら。
『私のターン』
エニアクラフトの手札が増える。
1枚はアトリマール……いや、オルギアとか言うカードの可能性もある。果たして、どう来るか。
『手札の《糾罪巧-
やはりアトリマールを温存していた。特殊召喚効果を持っているのが共通としても、それ以外の効果は見当もつかないから、《グランドレミコード・クーリア》の効果はまだ使えない。
『魔法カード《ペンデュラム・パラドックス》発動。エクストラデッキにある、同じスケールで異なるカード名のペンデュラムモンスター2体を手札に加える』
「何!?」
俺自身も使った事がある、エクストラデッキに行ったペンデュラムモンスターをペンデュラム召喚以外で再利用するカード。むしろ、手札に戻す事ができるこちらの方が状況によっては有利だろう。それこそ、はなからペンデュラム召喚せずその効果のみを活用するデッキにとっては。
「《グランドレミコード・クーリア》の効果発動! ペンデュラムゾーンで奇数のスケールを持つソルフェージアをリンク先に特殊召喚し、その効果を無効にする!」
だからこそ、その効果を使わせるわけにはいかない。《グランドレミコード・クーリア》の効果を発動させ、光の柱の中にいる2人の妖精体を呼ぼうとする。
けれど、エニアクラフトの輝きは赤くなった。
『私のターンに相手が効果を発動した事で、裏側守備表示のアトリマールを表側守備表示にして効果を発動』
「な……」
絶句する俺の前で、裏側守備表示だったモンスターが姿を見せた。
それは、頭上を覆いつくさんばかりに巨大な構造物。全体のカラーリングは青で、クジラにも宇宙戦艦にも見える形状をしている。これまでに見てきた「糾罪巧」の最上級モンスターとは違い、生物的な印象があまり感じられない。
糾罪巧-AtriF.MAR
DEF2500 レベル9
空に揺蕩うそのモンスターを見上げると、自分がプレス機で押しつぶされるような感覚に見舞われる。
この感覚は、今までとは全く違う。もしやこれが、エニアクラフトのエースモンスターなのか。
『アトリマールの効果で、《グランドレミコード・クーリア》の効果を無効にして破壊する』
「く……!」
これまでの「糾罪巧」と違い、効果を発動したカードを完全に破壊する効果。アトリマールの内部で黄色い光が蓄えられ始める。
そしてこれで、どうあっても《ペンデュラム・パラドックス》は防げないのが確定した。
「ソルフェージアのペンデュラム効果で、アトリマールの効果処理時にそれを無効にして、ソルフェージアを破壊する……!」
《ペンデュラム・パラドックス》を防げないなら、攻撃力の高い《グランドレミコード・クーリア》は残しておくべきだ。プリモアの効果でサルベージするチャンスはあるとしても、せいぜい後1回ぐらい。だから仕方なく、ソルフェージアを犠牲にする事を選ぶほかない。2人の妖精体が姿を消すと、アトリマールの輝きは弱まった。
グランドレミコード・クーリア
ATK3400→3500
『ペンデュラムゾーンから奇数のスケールがなくなった事で、《グランドレミコード・クーリア》の効果は適用されない。よって私は、エクストラデッキにあるスケール0のアイザレオンとアークテイルを手札に戻す』
これまでのターンで、使われると厄介なのは骨身に染みて理解しているカードを回収された。
そして、エニアクラフトの輝きが紫へと変わる。
『リバースしたアトリマールの効果発動。相手フィールドのモンスターを全て裏側守備表示にする。この効果で裏側守備表示となったモンスターは、永久に表示形式を変更できない』
「《ペンデュラム・スイッチ》発動!《ドドレミコード・クーリア》をペンデュラムゾーンに置く!」
永続的な裏側守備表示化も無視できない。伏せていたカードを発動させ、クーリアをペンデュラムゾーンに下がらせる。そして、リンクモンスターの《グランドレミコード・クーリア》は守備表示にならない。次のターン以降に効果を発動できるようになる。
その瞬間、アトリマールの随所から黄色い光線が放たれ、絨毯爆撃よろしく辺りを攻撃し始めた。それは俺のすぐ近くを掠め、さらに攻撃を受けてしまったエリーティアはすぐに裏側守備表示となってしまう。ごめん、と自然と謝罪の気持ちが口からついて出る。
『魔法カード《九字切りの呪符》を発動。手札またはフィールドから、レベル9のモンスター1体を墓地へ送り、2枚ドローする』
エニアクラフトが墓地へ送ったのは《禁忌の壺》。つくづく、前のターンに除去できなかったのが悔やまれる。
『魔法カード《ハーピィの羽根帚》発動。君のフィールドの魔法・罠カードを全て破壊する』
「ここで使ってくるのかよ……!」
一時は禁止カードにまでなった全体除去札。それが発動すると、突風が吹き荒れ、魔法&罠カードはもちろん、今までずっと俺のデュエルを見守ってくれたハルモニア、さらにペンデュラムゾーンにいたビューティアとクーリアまで破壊されてしまう。特にクーリアは、アトリマールの効果から守るためにペンデュラムゾーンに移動させたのに、却って破壊させてしまう結果になってしまった。俺の行動が裏目に出てしまった結果に、自分への苛立ちが強まる。
グランドレミコード・クーリア
ATK3500→3700
《グランドレミコード・クーリア》の攻撃力が上がるのが不幸中の幸いだが、貫通効果を持たない以上、いくら攻撃力を上げても意味がない。
『そして私は、手札のアークテイルの効果発動。このカードを相手に見せ、手札からモンスター1体を裏側守備表示で特殊召喚。さらに手札のアイザレオンの効果を発動し、モンスター1体を裏側守備表示で手札から特殊召喚』
最早隠すつもりもなく、さっき手札に加えた最上級の「糾罪巧」を特殊召喚してくる。どちらの効果も、発動させれば厄介なのは知っていた。
『そしてカードを1枚伏せてターンエンド』
手札を使い切り、エニアクラフトはターンを終える。
それでも、伏せられた2体のモンスターと、守備表示のアトリマールは俺に諦めを促すように、ムカつくほどの存在感を放っている。
セットされた2体の内、アークテイルは破壊効果から自分のモンスターを守り、アイザレオンは俺がチェーン発動したらフィールドのカードをバウンスする。さらにアークテイルはリバース後、俺の手で俺のモンスターが墓地へ送られたら、900のダメージ。アイザレオンは、俺の効果で手札にカードが加わったら、1枚につき900のダメージ。残りライフが100しかない今、どちらかの効果が使われた瞬間に俺の負けだ。
一方、俺のフィールドは《グランドレミコード・クーリア》と、裏側守備表示から変える事ができないエリーティアのみ。手札にも打開できるカードはなく、絶体絶命とはこの事だ。
「く……そ……」
膝から力が抜けて、青い空間の地面に倒れこむ。意識はまだ保てるが、このデュエルで受けた精神的・肉体的な苦痛で、もう体は悲鳴を上げていた。しかもこの圧倒的に不利な盤面に、心が白旗を準備し始めている。
『バトレアス……ごめん……』
クーリアの声が間近に聞こえる。下を向いていた俺の顔に、両手が添えられた。
「何故、あなたが謝るんですか……?」
この状況でクーリアが謝る意味がわからない。
何とか起き上がり、顔を上げる。
『あなたの事を守るって言っておいて、あなたに負担を掛けさせてばっかりで……』
クーリアは、膝をついて涙を流していた。
心を握り潰されるような感覚。このデュエルで受けたダメージなんて目じゃないぐらい、それは見ているだけでつらかった。
「何言ってるんです……」
手を伸ばし、クーリアの頬を伝う涙をそっと拭う。その涙にほんの少し混じる熱も、まぎれもなく現実だった。
「俺はこのデュエルで、何度もあなたに助けられてます。あなたの力が無かったら、俺はもう負けていた」
《グランドレミコード・クーリア》の効果には何度も助けられた。その効果があったからこそ、俺はまだ戦う事ができている。でなければ、状況はもっと悪化していたし、下手をすれば負けていた。だからこそ、そんな《グランドレミコード・クーリア》を一度は自分の手で葬らざるを得なかったのが悔しくてたまらない。
クーリアの手を握り、一緒に立ち上がる。自分の体に鞭を打って、無理矢理にでも心を奮い立たせる。今まで確かに力になってくれていたクーリアを泣かせてしまうなんて、死んでも死にきれない。
「そして、あなたを含めた皆さんの言葉があるからこそ、俺はまだ負けていません」
クーリアだけでなく、ビューティアやドリーミア、さらに他の皆と言葉を交わして戦えたからこそ、俺は孤独な戦いというものを強いられはしなかった。それもなければ、俺の心はとっくに折れてサレンダーしていただろう。
エニアクラフトを見上げる。内部の輝きは青だ。
「あなたをはじめとした皆さんが、俺のために力を託してくれた事。そして、挫けそうになった俺に寄り添う事……それこそが、エニアクラフトにはできない、『人』だけができる事です。それを全てが無意味だなんて、あいつらには思わせたくない」
『バトレアス……』
「だからクーリア様、俺は勝ちます」
クーリアの手を離し、ただその顔を見つめる。今だけは、痛みや苦しみを忘れて、その顔をじっと見る。
応じて、クーリアも元居た場所に戻った。それを見届けてから、デッキに指をかける。
「俺のターン――」
カードに指先が触れた瞬間、心臓が跳ねた。
けれどそれは、全く嫌な感覚ではない。むしろ、安心感すら覚えるもので。
何となく、次に引くカードが何か分かった気がした。
「ドロー!」
確信にも似た可能性を頭に描きつつ、引いたカードを確認する。
決して間違いではなかった。
「《ファインドレミコード・バトリア》召喚!」
黒い燕尾服を着る、ショートヘアの女性。俺自身が持つ唯一のカードであり、俺のドレミコードの「力」を注ぎ込んだカード。自分の力を注いだから、すぐに分かったのだろうか。
ファインドレミコード・バトリア
ATK 0 レベル1
「このカードを召喚した時、俺のペンデュラムゾーンにカードがない事で効果発動! エクストラデッキ・墓地・除外状態のカードの中から、スケールが奇数と偶数の『ドレミコード』を1体ずつ選び、その内の1体を手札に加え、もう1体とこのバトリアをペンデュラムゾーンに置く!」
《ハーピィの羽根帚》によってペンデュラムゾーンを更地にされた事で、逆にバトリアの効果を発動する機会に恵まれた。だが、同じ事はもう御免だ、このターンで決着をつける。
そして墓地と除外ゾーンに「ドレミコード」はない。よって、エクストラデッキから選ぶ事になる。
「俺はエクストラデッキから、スケール0のプリモアを手札に加え、スケール9のソルフェージアとバトリアをペンデュラムゾーンに置く!」
これでセッティングされたスケールは0と9。つまり、全てのドレミコードがペンデュラム召喚可能になる。
ただし、バトリアの制約効果で、このターンに俺はもう「ドレミコード」しか特殊召喚できない。
であれば、「あのカード」を使う以外に選択の余地はなかった。
ペンデュラムゾーンにいるバトリアを見る。彼女は、何も言わずに俺と視線を合わせて頷いた。俺がドレミ界で新たに手にしたカードであり、プリモアのように現実に現れる事もないドレミコードの彼女は、まるで他人には思えない不思議な感覚を抱かせる。
強いて言えば、
「ペンデュラム召喚! エクストラデッキより《ドドレミコード・キューティア》! さらに手札より《レドレミコード・ドリーミア》、《ドレミコード・プリモア》!」
3人のドレミコードが、空に開いた穴から光と共に降り立つ。特にキューティアは、このデュエルにおいてフィールドに呼ぶのは初めてだ。
ドドレミコード・キューティア
DEF400 レベル1
レドレミコード・ドリーミア
DEF400 レベル2
ドレミコード・プリモア
DEF400 レベル1
「特殊召喚したキューティア、プリモアの効果を発動。プリモアの効果で《ドレミコード・シンフォニア》を、キューティアの効果で《シドレミコード・ビューティア》を手札に加える」
2人のドレミコードのサーチ効果を発動させると、デッキから選んだ2枚がそれぞれの手に渡る。プリモアは全てを俺に託すような強い眼差しと表情で俺にそのカードを渡し、キューティアは。
『バトレアスさん。初めてあなたが、私たちの世界に来た時の事を覚えていますか?』
「え……?」
カードを差し出しながら、キューティアが尋ねてくる。質問の意図が分からずに聞き返すが、キューティアは優しい目で俺を見上げていた。
『あなたがあの時、侵略者とのデュエルを自分から引き受けた事で、私たちは今も無事でいられるんです。そしてそのデュエルを受けたのは、他でもないあなたが選んだ事です』
カードを受け取った俺の手を、キューティアはそっと包み込むように握る。それは昨日、クーリアが俺にしてくれたのと同じだ。
『バトレアスさんの今までの選択には、もしかしたら間違いがあったのかもしれない。私はあなたではないから全ては分かりませんし、是非も決められません』
「……」
『だけどこれだけは言えます。あの時のあなたの選択のおかげで、今私たちはこうしてあなたと一緒にいるって』
手を離したキューティアは、太陽のような笑顔を向けてくれた
『だからこそ、自信を無くさないでください。そして、あなたが勝つって信じてます!』
キューティアに励まされて、頷く。
「……現れろ、清らかな旋律のサーキット! 召喚条件はペンデュラムモンスター2体。キューティアとドリーミアをリンクマーカーにセット!」
その思いに応えるよう、リンクサーキットを展開する。2人の小さな天使が顔を見合わせてリンクサーキットに飛び込み、光を放った。
「リンク召喚! 優雅にして偉大なる音階の天使、《グランドレミコード・ミューゼシア》!!」
□□□ グランドレミコード・ミューゼシア
□◆□ ATK1900
■□■ リンク2
グランドレミコード・クーリア
ATK3500→3700
『……あのカードを使うつもりね?』
「……はい」
呼び出されたミューゼシアも、俺の狙いに気付いたようだ。
頷き、俺はデュエルディスクを操作する。
「『グランドレミコード』のリンク召喚成功により、プリモアの効果発動! 墓地の《
エニアクラフトは沈黙する。
まだ伏せカードは使う気配がない。
「ミューゼシアの効果発動! 手札のペンデュラムモンスター1体をエクストラデッキに加え、そのスケールが奇数なら偶数の、偶数なら奇数のスケールを持つペンデュラムモンスター1体をエクストラデッキから手札に加える」
『……』
「俺はスケール2のビューティアをエクストラデッキに加え、スケール1のクーリアを手札に加える」
手札に戻ったクーリアのイラストを見る。元々のイラストよりも、笑顔に深みが増したその姿を見ると、俺も自然と笑顔になれる。その顔こそ、俺がクーリアを好きになった理由のひとつだ。
「そして俺のフィールドのペンデュラムモンスター、プリモアと裏側守備表示のエリーティアをリリースし、クーリアを特殊召喚!」
優しい風が吹き、フィールドにいるプリモア、さらに裏側守備表示だったエリーティアが姿を見せてお辞儀をし、そして緑の波紋を生みながらクーリアが姿を見せた。
ドドレミコード・クーリア
ATK2700 レベル8
グランドレミコード・クーリア
ATK3700→3900
《グランドレミコード・クーリア》の攻撃力がアップするが、彼女の出番はここまでだ。このターンで勝負をつけるためには、もっと強力なモンスターが要る。
「……現れろ、清らかな旋律のサーキット!」
頭上にリンクサーキットを開く。
それを見上げつつ、呼び出すモンスターをエクストラデッキから取り出すと、足元に何かが纏わりつく感覚がした。
だけどもう、引き返せない。
「召喚条件は『ドレミコード』3体以上。リンク2のミューゼシアと、《ドドレミコード・クーリア》、《グランドレミコード・クーリア》をリンクマーカーにセット!」
両手を広げて宣言する。フィールドにいた3人――実質2人――の天使がリンクサーキットを見据える。そこでクーリアとミューゼシアは、俺に不安そうな目を向けてきたが、唇を引き締めてサーキットへ入り込んだ。
「とめどなき淀みの世界に響け、幸せの多重奏!」
そんな天使を受け入れたリンクサーキットから、虹色の光が溢れ出てきた。それを見たエニアクラフトの輝きもまた、虹色に変わる。
『これは……』
「リンク召喚! 降臨せよ、リンク4!《グランドレミコード・ファンタジア》!!」
サーキットが弾け、青い異空間を光が支配する。
その中に降り立ったのは、9人のドレミコードたち。誰もが大なり小なり金色の翼を生やし、服装にも豪華な装飾が追加されている。さらに、その内8人のドレミコードにつく妖精体は、ドレスが全体的に豪奢なデザインに変わっていた。
□■□ グランドレミコード・ファンタジア
□◆□ ATK 0
■■■ リンク4
『……なるほど』
エニアクラフトは、徐に話しかける。今までの滔々とした、悪く言えば人間的な感じがしないものではなく、感情のようなものが滲む喋り方だ。
『それが君の本当の切り札か』
「ああ」
【ドレミコード】における、俺にとっては混じりっ気のない最大戦力、真の切り札だ。
「このカードは、俺がみんなを助けたいと願って新たに生まれたものだ。心が弱くても、強く願って、手を伸ばしたからこそ、届いた」
『願う……?』
「そうだ。それも多分、心を持った人だからできる事だろう。だから、人だからこそ手にできたこのカードで、お前に勝つ……!」
エニアクラフトを指さす。
勿論、このカードを手にした時は、何の代償もなかったわけではない。人間をやめざるをえなかったが、それでも俺が人だったからこそ、このカードを創り出す事ができた。
けれど。
「……っ」
フィールドに出した瞬間から、脈拍が上がり始めた。胸も妙に苦しい。
力あるカードにはリスクが伴う、と誰かが言った。
この《グランドレミコード・ファンタジア》を手にしたのは、ヴァーディクトとのデュエル。自分の命と引き換えにしてでも、ドレミコードの皆を助ける力を望んだ結果、精霊界の理を無視して入手したのがこのカード。結果としてヴァーディクトは倒せたが、俺は普通の治療では治せないレベルの状態に陥り、死の淵を見た。
つまりこのカードは、マグノリアやミューゼシアの言葉を借りれば、正規の手順を踏まないで生まれたもの。
だからこそ、使う事にリスクがあるのではないかとずっと思っていた。
出自で言えば《ファインドレミコード・バトリア》も同じタイミングで発現した。しかし、カード単体の力で言えばこの《グランドレミコード・ファンタジア》の方が圧倒的に強い。その点で、俺はこのカードをより危険視していた。
だから俺は、このカードを使うのは、「このカード以外に頼れない時」と決めていたのだ(ミカエルとのデュエルでは、怒りのあまりそれを破ろうとしてしまったが)。
そして今こそ、その時だ。
「ファンタジアの攻撃力は、俺のエクストラデッキの『ドレミコード』1種類につき1000ポイントの数値になる……!」
グランドレミコード・ファンタジア
ATK 0→9000
『だが、1体の攻撃力を上げたところで、私のモンスターはいずれも守備表示。戦闘ダメージは届かない』
9000という攻撃力を前にしても、エニアクラフトは動じない。フィールドの状況でダメージは入らないと認識しているから。
そんなエニアクラフトに対して俺は。
「それはどうかな?」
デュエリストなら一度は言ってみたいこのセリフをぶつけ、手札のカードをフィールドに出す。
「魔法カード《幸せの多重奏》発動! 俺は2つ目の効果を選び、このターン、もう一度『ドレミコード』をペンデュラム召喚する効果を適用する!」
『!』
エニアクラフトの輝きが黄色になる。
俺は再び両腕を広げ、フィールドにいる9人のドレミコードの背を見た。
「天に宿る麗しの天使たちよ。淀みを濯ぐ清らかな旋律を、今高らかに奏でよ! ペンデュラム召喚!」
口上を力を込めて告げると、白い空間の天に穴が開く。その中から紫、オレンジ、緑の光が迸った。
けれど俺のフィールドの天使は、変わらず9人。その中でグレーシアとエンジェリア、クーリアだけが、「グランドレミコード」態とは異なる本来の姿に変わっていた。
ソドレミコード・グレーシア
ATK2100 レベル5
ラドレミコード・エンジェリア
ATK2300 レベル6
ドドレミコード・クーリア
ATK2700 レベル8
グランドレミコード・ファンタジア
ATK9000→6000
「そして速攻魔法《ドレミコード・シンフォニア》発動! 俺のエクストラデッキに3種類以上の『ドレミコード』が存在する事で、俺のフィールドの『ドレミコード』ペンデュラムモンスターの攻撃力はこのターン、そのスケール×300ポイントアップする!」
ソドレミコード・グレーシア
ATK2100→3300
ラドレミコード・エンジェリア
ATK2300→3200
ドドレミコード・クーリア
ATK2700→3000
5種類以上の「ドレミコード」がいる事で、破壊とドローの効果も使えるが、それはしない。これ以上、余計な真似をして勝ち目を潰す事はもう許されないから。
「バトルだ! グレーシアで、裏側守備表示モンスターを攻撃! グレースフル・ノクターン!!」
グレーシアがタクトを振り、妖精体が淑やかなメロディをサックスで奏でる。青い音符を纏った奔流がベルから放たれると、攻撃対象になったモンスターが姿を見せた。
糾罪巧-
DEF2500 レベル9
ビルに匹敵する巨大なサソリのロボットは、頭部にグレーシアの攻撃を受けて、爆散した。
「エンジェリアでもう1体の裏守備モンスターを攻撃! エンジェリック・マーチ!!」
今度はエンジェリアがタクトを振り、妖精体がトランペットを勢いよく吹く。オレンジの音符が混じるエネルギー弾がベルから射出された。
糾罪巧-
DEF2500 レベル9
巨大な機械仕掛けのライオンが姿を見せる。けれどそれも、エンジェリアの攻撃を顔面に食らい、叫び声を上げて爆発した。
「クーリアでアトリマールを攻撃! クーリー・レクイエム!!」
さらにクーリアがタクトを振ると、妖精体がバイオリンを奏でる。緑色の五線譜が出現し、空に浮かぶ巨大な青い建造物へと一直線に伸びる。それはアトリマールの中心部へ突き刺さり、内部から大爆発を起こして、爆煙と残骸の雨を降らせた。
「これで最後だ!《グランドレミコード・ファンタジア》でダイレクトアタック!」
フィールドにいる6人のドレミコードに攻撃を託す。
びきっ、という音が頭の中で響いた。
強烈な痛みに頭を押さえると。
『罠カード《波紋のバリア-ウェーブ・フォース-》発動。相手の直接攻撃宣言時、相手の攻撃表示モンスターを全てデッキに戻す』
最後の伏せカードをエニアクラフトが発動した。タイミングが限られているとはいえ、対象に取らないデッキバウンス。発動させると回避するのが難しいカード。
3体の最上級「糾罪巧」をフィールドに出してなお、そんな伏せカードを引いていたとは。強かな戦術は、素直に称賛したい。
だけど。
「《グランドレミコード・ファンタジア》の効果発動! 相手のカード効果が発動した時、俺のペンデュラムゾーンに奇数と偶数のスケールが存在する場合、その効果を俺のフィールドの『ドレミコード』カードは受けない!」
『……!』
「この効果は1ターン中、このカードのリンク素材としたモンスターの数だけ、使用できる!」
《グランドレミコード・ファンタジア》が……6人のドレミコードがタクトを振り、妖精体が揃って旋律を奏でる。その音は実体を持ち、色とりどりの五線譜や音符を描き出して、俺のフィールドを覆いつくす。
そして、ウェーブ・フォースのカードから空気を震わせるほどの青い波動が放たれるが、出現した音楽のシールドによってその影響は一切こちらにはない。
「ドレミコードの皆、頼む! ファンタジー・アンサンブル!!」
改めて攻撃宣言をすると、6人のドレミコード、さらにフィールドにいた3人、そしてリンク素材となったミューゼシアが半透明の状態で現れ、一斉にタクトを空に掲げる。その先に虹色の球体が出現すると、それはどんどん大きくなっていって、ついにはエニアクラフトと同じぐらいの大きさにまでなった。
『心……』
エニアクラフトが、何かを呟いた直後、その虹色の球体が動き出す。
その球体はエニアクラフトに直撃する直前で、弾けた。
エニアクラフト LP3400→0
まるでオーケストラのフィナーレのような爆発音が響き、鼓膜と身体を震わせると。
真っ白な空間は一瞬で黒に染まった。
□■□ 《グランドレミコード・ファンタジア》
□◆□ リンク4/光属性/天使族
■■■ 攻 0
リンク/効果
「ドレミコード」モンスター3体以上
このカードはL召喚でしか特殊召喚できず、L素材にできない。
(1):このカードの攻撃力は、自分のEXデッキの表側の「ドレミコード」Pモンスターの種類×1000になる。
(2):「グランドレミコード」モンスターをL素材としたこのカードは、
相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。
(3):自分のPゾーンに奇数と偶数のPスケールを持つ「ドレミコード」カードがそれぞれ存在し、
相手が魔法・罠・モンスターの効果を発動した時に発動できる
(この効果は、1ターン中にこのカードのL素材としたモンスターの数だけ発動でき、同一チェーン上では1度しか発動できない)。
自分フィールド(表側表示)の「ドレミコード」カードはその相手の効果を受けない。
【リンクマーカー:上/左下/下/右下】
次のうち、この作品で、デュエル外の登場人物として見てみたいのは?
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魔術師
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コード・トーカー
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ARG☆S
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ウィッチクラフト
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閃刀姫
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霊使い
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勇者トークン一行
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推しがいないんですが……
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全部書いて