バトレアス LP4000 手札4
【モンスターゾーン】
ドドレミコード・クーリア ATK2700 レベル8
【魔法&罠ゾーン】
伏せカード1
【ペンデュラムゾーン】
左:レドレミコード・ドリーミア スケール7
レイ LP4000 手札4
【モンスターゾーン】
□□□ グランドレミコード・クーリア
□◆□ ATK2700
■■■ リンク3
【魔法&罠ゾーン】
カード無し
《三戦の才》で《グランドレミコード・クーリア》のコントロールを得た直後。
レイの身体が錨で繋がれたかのように重くなった。
「っ……?」
「レイ、どうした?」
ロゼもレイの異変に気づいたらしく、声をかけてくれた。しかしレイは曖昧に笑うだけにして、妙な感覚については伝えない。ロゼに無用な心配をかせたくなかった。
そしてレイは、この感覚の出所を調べてみる。
デュエルを観ているバトレアスの仲間たちからは、特に何かをしている感じはない。戦っているバトレアスは、モンスターを奪われたのが悔しいのか、表情がわずかに苦しそうだが、それ以上の違和感はないと思う。そして、コントロールを奪った《グランドレミコード・クーリア》……
(まさか……?)
デュエルディスクに置かれたそのカードを確かめる。「ドレミコード」なんてテーマはレイも知らないが、見たことがないカードなだけで、見た目は普通のリンクモンスターだ。
けれど、そのカードを見ていると、妙に心がざわめき立つ。何か特殊な力でも宿っているかのようだ。
もう一度、自分のフィールドにいる《グランドレミコード・クーリア》を見上げると。
「……!」
レイのことを見ている。それも、さっきバトレアスが呼び出した直後と違い、どこか怒っているような目で。
軍人であるレイですら恐怖するほどの眼力。
このカードと言い、この世界と言い、どうやらここはレイたちの常識が通じない場所らしい。
兎に角、さっきの感覚がこのモンスター由来なのは分かった。なら、そんなカードを残しておくのは意味で危険すぎる。
「魔法カード《モンスターゲート》発動! 自分のモンスター1体をリリースし、通常召喚可能なモンスターが出るまでデッキの上からカードを捲って、そのモンスターを特殊召喚、残りを墓地へ送る」
異常な雰囲気を醸し出していた《グランドレミコード・クーリア》をリリースする。更につらそうな表情をバトレアスがする当たり、どうやら彼にとっても大事なカードだったらしい。それに対して多少は悪く思うが、このためにレイはコントロールを奪ったのだ。勘弁して欲しい、と思いつつレイはデッキのカードを捲り始める。
1枚目、カウンター罠《レッド・リブート》。2枚目、通常魔法《貪欲な壺》。3枚目、通常罠《拮抗勝負》。4枚目、速攻魔法《閃刀機-イーグルブースター》。5枚目……
「捲られた私自身、《閃刀姫-レイ》を特殊召喚!」
フィールドに現れたのは、今のレイと全く同じ姿の少女。唯一違うのは赤い刀を持っているところだ。
閃刀姫-レイ
ATK1500 レベル4
そして、レイは残りの捲った4枚を墓地へ送る。初動のエンゲージを潰されたのもそうだが、《モンスターゲート》で魔法カードがほとんど墓地に行かなかったのもあまりよくない。戦略上魔法カードは墓地に溜めておいた方がいいのだが、仕方なく切り替える。
「現れよ、未来を切り拓くサーキット! 召喚条件は炎属性以外の『閃刀姫』1体!」
右腕を突き出し、空に出現したリンクサーキットへ自分と同じ姿のモンスターを飛び込ませると、炎の帯がリンクサーキットから現れた。
「リンク召喚! 迫り来る敵を焼き払う、紅蓮の一太刀! リンク1、《閃刀姫-カガリ》!!」
サーキットから飛び降りたのは、赤い鎧で武装したレイ自身。手にしている刀の赤みは増し、翼のユニットからは炎が噴き出している。
■□□ 閃刀姫-カガリ
□◆□ ATK1500
□□□ リンク1
「特殊召喚したカガリの効果発動! 墓地の『閃刀』魔法カード1枚を手札に戻すことができる。私はエンゲージを手札に戻す!」
「《ドドレミコード・クーリア》の効果発動! 俺のペンデュラムゾーンで一番高いスケール×300以下の攻撃力を持つ、相手フィールドのモンスター効果が発動した時、そのモンスターを破壊する。エフェクト・スタッカート!!」
墓地のカードを手にしようとしたところで、バトレアスが動いた。そのフィールドにいるクーリアがタクトを振ると、緑色の五線譜がカガリへと伸び、全身に巻き付くと締め付けて破壊してしまう。しかし効果は有効なため、レイの手札にエンゲージが戻った。
「墓地の私自身の効果。私の『閃刀姫』リンクモンスターが、相手の効果でフィールドから離れた場合、またはバトルで破壊された場合、このカードを特殊召喚する!」
魔法陣がフィールドに現れ、刀を構えるレイ自身が再び姿を見せる。
閃刀姫-レイ
ATK1500 レベル4
カガリを早い段階で破壊されたことで、想定していた動きをわずかに崩された。そして、手札に戻ったエンゲージは、メインモンスターゾーンにモンスターがいるため発動できない。
しかし、この程度ならどうということはなかった。
「再び現れよ、未来を切り拓くサーキット! 召喚条件は地属性以外の『閃刀姫』1体!」
メインモンスターゾーンを空けるため、そして次のターンに備えるために再びリンクサーキットを開く。フィールドにいたレイが再びサーキットに飛び込んだ。
「リンク召喚! 寄せ来る脅威を押しのける、黄金の剛腕! リンク1、《閃刀姫-カイナ》!!」
サーキットから降り立つ、黄色をベースにした装甲を身につけたレイ。周囲には手のようなユニットが4つ浮遊している。
□□□ 閃刀姫-カイナ
□◆□ ATK1500
□□■ リンク1
ところが、その姿が露わになると、レイの背中が恐怖するかのように震えた。
(本当に……何なの……?)
その動揺を他人に気取られないようにしつつ、頭の中で言葉にする。
《グランドレミコード・クーリア》のコントロールを奪った時とはまた違う感覚。デュエル中にこんなことになるのは初めてだ。今いる世界が、本当に危険であることを再認識する。
そして、このデュエルを長引かせるのはよくないと直感で判断した。
「特殊召喚したカイナの効果発動! 相手フィールドのモンスター1体は、次の相手ターン終了時まで攻撃できない!」
クーリアを指さすと、カイナの4つの手のユニットが菱形を形作り、黄色い光を放つ。それを浴びたクーリアの両腕は黄色に染まった。
「《閃刀起動-エンゲージ》発動! デッキから《閃刀術式-ジャミングウェーブ》を手札に加える。さらに、墓地に魔法カードが3枚以上存在することで、1枚ドローできる!」
合計2枚のカードを引き寄せる。ただし、追加ドローで引き当てたのは、前のターンに手札にあってほしかったものだ。このターンの最初のドローもだが、デッキの回りがあまりよくない。これもこの世界に来たせい、などとは思いたくないが。
「カイナの効果で、『閃刀』魔法カードの効果を発動する度に、私は100ポイントのライフを回復する」
レイ LP4000→4100
この程度は微々たる回復だが、無いよりはましだ。さらにもう1枚の手札を切る。
「魔法カード《閃刀術式-ジャミングウェーブ》発動! 自分のメインモンスターゾーンにモンスターがいない場合、フィールドにセットされたカード1枚を破壊。さらに、私の墓地に魔法カードが3枚以上存在していれば、フィールドのモンスター1体を破壊できる!」
発動した魔法カードから水色の波動が放たれる。しかし、バトレアスのフィールドに届く寸前で、彼は腕を振った。
「カウンター罠《ドレミコード・フォーマル》発動! ペンデュラムゾーンに『ドレミコード』がいる時、エクストラデッキの『ドレミコード』ペンデュラムモンスター1体をデッキに戻して発動!」
バトレアスが《シドレミコード・ビューティア》をデッキに戻す。すると、バトレアスのフィールドにビューティアの幻影が現れ、それがタクトを振ると白い音符や五線譜のシールドが出現した。
「この効果で、俺のフィールドの『ドレミコード』ペンデュラムモンスターは、その発動した相手の効果を受けない!」
「く……」
水色の波動がシールドに相殺される。《ドレミコード・フォーマル》のカードは霧散して、クーリアは依然としてその場に残った。
攻撃を安全に通すために伏せカードを破壊し、事のついでにクーリアを破壊できればと思ったが、あまり思った通りにはいかなかった。しかしジャミングウェーブの発動自体は成功しているので、カイナの効果でライフを回復できる。
レイ LP4100→4200
「三度現れよ、未来を切り拓くサーキット! 召喚条件は風属性以外の『閃刀姫』1体!」
次なるサーキットを開くと、カイナは4つの腕のユニットを伴いリンクサーキットに飛び込む。そして、緑の風を伴う光がサーキットからあふれた。
「リンク召喚! 疾風の如く敵を穿ち抜く、翡翠の弾丸! リンク1、《閃刀姫-ハヤテ》!!」
緑の稲妻を纏わせてフィールドに降り立ったのは、緑と銀の飛行ユニットを装備し、得物が刀から銃に変わったレイだ。
□□□ 閃刀姫-ハヤテ
□◆□ ATK1500
■□□ リンク1
やはり、背中に鈍く感じる悪寒が消えない。
それに気を取られないよう、バトレアスを見る。
「バトルよ! ハヤテは相手プレイヤーにダイレクトアタックできる!」
攻撃宣言を受けるとハヤテの銃が変形し、人の背丈ほどの砲になる。たが、ただ攻撃するだけではない。
「この瞬間、手札の《閃刀機-アディルセイバー》の効果発動! バトルフェイズにこのカードを捨てることで、『閃刀』モンスター1体の攻撃力をターン終了時まで1500アップさせる!」
「!」
カードを墓地へ送ると、ハヤテの砲台ユニットが輝き、白いパーツが追加され重厚な見た目に変わった。
閃刀姫-ハヤテ
ATK1500→3000
「行け、ベクタードブラスト!!」
砲口から薄い緑色のエネルギー弾が放たれる。それは不規則な軌道を描きながらバトレアスに迫り、直撃した彼を後方へと吹き飛ばした。
「ぐああああああああああああっ!!」
バトレアス LP4000→1000
地面に強く身体を打ち付けるバトレアス。それを見たロゼは、勝利が一歩近づいたのを実感してガッツポーズを取っている。レイとしては心が痛んだ。
「バトレアスさん!」
「俺は……大丈夫です……」
プリモアというらしい少女が、悲痛な思いを載せて叫んだ。バトレアスはゆっくりと立ち上がり、右手でみんなに無事を示す。とはいえ、声には痛みが残っていた。
「……ハヤテが相手に戦闘ダメージを与えたことで、効果を発動。デッキから『閃刀』カードを1枚墓地へ送る。私は《閃刀姫-ロゼ》を墓地へ」
ハヤテの砲台が元の形状に戻るのを見届けて、レイはデッキからカードを墓地へ送る。手札のカードも鑑み、次のターンに備えるためだ。
「メインフェイズ2。さらに現れよ、未来を切り拓くサーキット! 召喚条件は水属性以外の『閃刀姫』1体!」
最後の仕上げに、ハヤテをリンクサーキットへ飛び込ませる。青みを帯びた波紋がサーキットから拡散された。
「リンク召喚! あらゆる謀略を防ぐ、青藍の具足! リンク1、《閃刀姫-シズク》!!」
最後に現れたのは、深い青色の重厚な鎧を装備したレイ。その背中には盾のような交差したパーツが取り付けられている。
□□■ 閃刀姫-シズク
□◆□ ATK1500
□□□ リンク1
「1ターンで4種類のリンクモンスターを呼び出すとは……」
立て続けに現れたモンスターを前に、グレーシアが驚いている。これこそ、レイの戦い方だ。
「墓地のアディルセイバーの効果発動。私の場に『閃刀姫』が特殊召喚された場合、墓地のこのカードをそのモンスターに装備し、攻撃力を1500ポイントアップする!」
シズクの背後に現れる、翼のようなユニットを取り付けた白と金のロボット。それが変形してシズクに装着され、機械的ながら天使のような翼を生やす姿になった。
閃刀姫-シズク
ATK1500→3000
「さらにシズクの効果で、相手フィールドのモンスターの攻撃力・守備力は、私の墓地の魔法カード1枚につき100ポイントダウンする。私の墓地の魔法カードは6枚!」
レイがフィールドを指さすと、シズクの背中に取り付けられていたユニットが展開し、青い波紋を発生させた。それを浴びたクーリアは、苦しそうに身をかがめる。
ドドレミコード・クーリア
ATK2700→2100
「カードを1枚伏せてターンエンド。そしてこのエンドフェイズ、特殊召喚されたシズクの効果発動。同名カードが墓地に無い『閃刀』魔法カード1枚をデッキから手札に加える。私が選ぶのは《閃刀空域-エリアゼロ》よ」
今まで何度も精霊界でデュエルをしてきたが、今の攻撃の威力は、エグザムを交えた戦いに勝るとも劣らないものだった。
「く……っ」
腕を掴み、痺れを押さえつける。
最初のターンに感じた寒気はもうないし、レイが使うカードからも特に違和感はない。なら、さっきの普通ではない攻撃の威力は何だったのか。
分からないが、デュエルの方にも集中しなければ。
1ターン目から直接攻撃された上、《グランドレミコード・クーリア》を完全に利用されたので悔しい。最悪の事態は避けられたかもしれないが、【閃刀姫】相手に長期戦は好ましくないだろう。
「俺のターン!」
引いたカードと手札を見てみる。幸い、手札とエクストラデッキはまだ恵まれているので、積極的に勝利を狙っていく方がよさそうだ。
まずは、と手札のカードに手をかける。
「魔法カード《
「させない! 手札の《灰流うらら》を捨てて効果発動! デッキからカードを手札に加える効果を含む効果が発動した時、その効果を無効にする!」
カードを発動したところで、おでこを出した和服の少女が俺のフィールドに現れ、《幸せの多重奏》のカードをつつく。それで《幸せの多重奏》のカードは灰になって崩れ去った。
しかし、《幸せの多重奏》は手札を捨てるのとサーチが一連の効果になっているため、効果を無効にされれば手札を捨ずに済む。それに、このデッキの大敵ともいえる《灰流うらら》を消費させることができた(使われない方がよかったのだが)。
「俺のフィールドに、モンスターが存在しない、または天使族だけが存在する場合、手札の《暁天使カムビン》の効果発動。このカードを特殊召喚する!」
前のターンに引いていたそのモンスターは、赤みがかった白い翼を背中から生やす、少女の姿をした天使だ。
暁天使カムビン
DEF1800→1200 レベル1
「カムビンの効果発動。自身を含む俺のフィールドの天使族を任意の数だけリリースし、リリースしたモンスターのレベルの合計と同じレベルの天使族1体をデッキから特殊召喚する。俺はレベル1のカムビンをリリースし、レベル1の《ドドレミコード・キューティア》を特殊召喚!」
カムビンが翼を丸めて光となり、フィールドに現れたキューティアは、シズクに対して無邪気に両手を振って挨拶をした。天真爛漫な姿が微笑ましい。
ドドレミコード・キューティア
ATK100→0 レベル1
だが、キューティアがフィールドに現れると、最初のターンにも感じた寒気がまた背中に襲いかかってきた。
(何なんだ一体……!)
受けた攻撃がやけに効いたのといい、この寒気といい、デュエルに集中できなくなるようなことが起き続けて苛立ちを感じてしまう。
さっさとこのデュエルを終わらせて、この謎から解放されたかった。
「特殊召喚したキューティアの効果発動。デッキから『ドレミコード』モンスター1体を手札に加える。俺はビューティアを手札に加えて、このスケール2のビューティアをペンデュラムゾーンにセッティング!」
手札に加えたビューティアをそのままペンデュラムゾーンに置くと、光の柱と共にビューティアが姿を見せる。現実ではレイとロゼに手荒な真似をされた彼女だが、いつもと変わらない微笑みを携えていた。
「偶数のスケールがペンデュラムゾーンに存在することで、キューティアの効果により、俺の『ドレミコード』の攻撃力は自身のスケール1つにつき100ポイントアップする。キューティアは8、クーリアは1だ」
ドドレミコード・キューティア
ATK0→800
ドドレミコード・クーリア
ATK2100→2200
「そして、セッティングされたスケールでレベル3から6のモンスターが同時に召喚可能。よってペンデュラム召喚! 現れろ!」
右手を空に掲げると、空に開いた穴から3つの光が降り注ぐ。露わになったモンスターは、エクストラデッキにいたグレーシアとエンジェリア、さらに手札にいたエリーティアだ。
ソドレミコード・グレーシア
ATK2100→1500→1900 レベル5
ラドレミコード・エンジェリア
ATK2300→1700→2000 レベル6
ミドレミコード・エリーティア
ATK1100→500→1100 レベル3
シズクのリンクマーカーの1つは、俺のメインモンスターゾーンに向いている。よって、ミューゼシアを呼ばずとも、エクストラデッキから2体の「ドレミコード」をペンデュラム召喚することができた。
だが、同時にさっきから感じる寒気の強さが増す。それはもう深く考えないで、頭を振ってフィールドを見る。
「ペンデュラム召喚したグレーシア、エリーティアの効果発動! エリーティアの効果で、相手フィールドの魔法・罠カード1枚を手札に戻す!」
エリーティアがタクトを振り、その先端から泡が放たれると、レイの場に伏せてあった1枚のカードを包み込んで弾けさせた。
「そしてグレーシアの効果で、デッキから《ドレミコード・シンフォニア》を手札に加える」
あちらの墓地に《閃刀姫-レイ》がいる以上、『閃刀姫』リンクモンスターを迂闊に破壊すれば、あちらが動くチャンスを与えてしまう。だから、破壊はバトルで狙った方がいい。
「クーリアの効果発動! 1ターンに1度、相手フィールドの表側表示カード1枚の効果を、次の相手ターン終了時まで無効にする。この効果はペンデュラムゾーンに奇数のスケールがあれば、対象を2枚に増やせる!」
「!」
「対象はもちろん、シズクとアディルセイバー。レスト・オブ・スキル!」
伏せカードを減らし妨害の可能性を低くして、クーリアの頼もしい効果を発動させる。カイナの残存効果で攻撃はできないが、効果の発動は可能だ。クーリアが黄色い手でタクトを振ると、放たれた休符がシズクのユニットにへばりつき、ジャミングも止まる。
閃刀姫-シズク
ATK3000→1500
ドドレミコード・クーリア
ATK2200→2800
ドドレミコード・キューティア
ATK800→900
ソドレミコード・グレーシア
ATK1900→2500
ラドレミコード・エンジェリア
ATK2000→2600
ミドレミコード・エリーティア
ATK1100→1700
シズクのジャミングが解けたことで、「ドレミコード」の攻撃力は元に戻った。そしてこの状況なら、グレーシアとエンジェリアの効果により、「ドレミコード」が攻撃する時のレイの介入は許されない。クーリアは唯一攻撃できないが、他の4体でレイのライフは削りきれる。
「バトルだ――!」
だからバトルフェイズに持ち込もうとした。
しかしレイは、その宣言を聞くと笑い、手札の1枚を手にする。
「手札の《原始生命態ニビル》の効果発動!」
「しまっ……!?」
「このカードは、互いのメインフェイズに相手が5体以上のモンスターを召喚・特殊召喚したターンに効果を発動できる!」
大量展開、あるいはソリティアをするデッキの天敵と言っていい、手札誘発。その存在は覚えているが、まさか握られているとは。
そのカードをレイが掲げると、ドレミ界の空がわずかに明るさを増す。デュエルを観ているドレミコードたちも小さな悲鳴を上げた。
「ニビルの効果で、お互いのフィールドのモンスターを全てリリースし、このカードを特殊召喚!」
レイが告げた直後、フィールドの全てのモンスターが空から降り注ぐ強烈な光に飲み込まれ、巨大な隕石が姿を見せた。薄紫色の結晶のような本体に岩がへばりついたようなそれは、見るだけで命の危機をまざまざと予感させる。
原始生命態ニビル
DEF600 レベル11
「その後、この効果でリリースしたモンスターの攻撃力・守備力の合計のステータスを持つ《原始生命態トークン》を相手の場に特殊召喚!」
さらに俺のフィールドに現れたのは、触手のようなものをうねらせる異星の生命態。強い光を放つそれの全貌は分からないながら、俺のフィールドに居座り威圧感を放っていた。
原始生命態トークン
DEF6100 / ATK9800 レベル11
「せっかく呼び寄せた皆さんが……」
「で、でもあのトークンの守備力は、ちょっとやそっとでは超えられないはずです!」
俺のフィールドを見てエリーティアが残念がる。今折角並べた「ドレミコード」の仲間がトークンになってしまったのだから無理もない。俺もつらかった。
一方プリモアはまだ希望を持っているらしいが、このトークンが俺を守ってくれるとは少しも思えない。
「エクストラモンスターゾーンの相手モンスターが、私の効果でフィールドを離れた場合、墓地のロゼの効果を発動。このカードを特殊召喚!」
レイの場に魔法陣が現れ、闘志を露わに赤い刀を振るロゼが姿を見せる。その目は力強く、敵意に満ちていた。
閃刀姫-ロゼ
ATK1500 レベル4
俺のターンにも関わらず、フィールドの状況を逆転させられた。非常にマズい。
「カードを2枚伏せてターンエンド」
手札にモンスターはいない。シンフォニアは発動条件を満たしているが、このターンに挽回できる可能性が低い。残りの伏せカードと共に、次のターンに奇襲として使う方がいいだろう。
「私のターン、ドロー!」
そしてフィールドの状況を覆したレイは、引いたカードを見て小さく頷く。そのカードは手札に加え、別のカードを使った。
「フィールド魔法《閃刀空域-エリアゼロ》発動!」
それは前のターンに手札に加えていたもの。ドレミ界の景色が暗くなり、まるで戦闘シミュレーションゲームのような、簡易的な戦略マップの空間へと切り替わった。
「エリアゼロの効果発動。私の場の他のカード1枚を対象とし、デッキの上から3枚を確認。その中に『閃刀』カードがあれば、それを手札に加えて対象のカードを墓地へ送り、残りをデッキに戻す。私はニビルを選択」
それで「閃刀」カードを狙いつつ、さらに戦略の幅を広めるつもりか。
そんなことはさせられない。
「速攻魔法《ドレミコード・シンフォニア》発動! このカードは、俺のエクストラデッキで表側の『ドレミコード』ペンデュラムモンスターの種類によって効果が増える。今、エクストラデッキにいる『ドレミコード』は6種類!」
伏せていたカードを発動すると、俺の周りにプリモア、キューティア、エリーティア、グレーシア、エンジェリア、クーリアの幻影が現れる。今まさに、エクストラデッキにいる仲間たちだ。
「5種類以上の『ドレミコード』がいることで、相手フィールドのカード1枚を破壊する。エリアゼロを破壊!」
五線譜が螺旋のように絡み合った光線が空に向けて放たれる。それはエリアゼロが作り出した暗い空間に無数の皹を走らせ、ついには空間そのものを破壊し、元のドレミ界に景色が戻った。
「さらに奇数のスケールが俺のペンデュラムゾーンにある場合、1枚ドローできる。これでエリアゼロの効果は不発だ」
引いたのはファンシア。彼女の出番は次のターンだろう。そしてフィールド魔法は、効果処理時にフィールドに無ければ効果も適用されなくなる。
しかし、レイはまだ余裕そうだった。
「フィールドから墓地へ送られたエリアゼロの効果発動。デッキから『閃刀姫』を1体特殊召喚する! もう1体の私自身を特殊召喚!」
「!」
閃刀姫-レイ
ATK1500 レベル4
フィールドに現れたモンスターのレイは、隣に立つロゼと線を合わせると頷く。
「……ロゼ、あれを使うのは心苦しいけど」
「構わない。存分にやれ」
そうしてフィールドに2人の閃刀姫が揃ったところで、デュエルをしているレイがロゼの方を振り返る。さらに不安そうな声を向けたが、ロゼは腕を組んで力強く頷いた。
それを見て、レイも覚悟を決めたのか、右腕を伸ばす。
「現れよ、未来を切り拓くサーキット! 召喚条件は『閃刀姫』を含むモンスター2体。ロゼとニビルをリンクマーカーにセット!」
拓かれたサーキットへ、フィールドのロゼが駆け込み、ニビルは光に包まれるとバレーボール大の大きさになってサーキットへ吸い込まれる。そして、サーキットから巨大な機械のパーツがせり出してきた。
「リンク召喚! 絶対的な勝利へと突き進む、黒鉄の巨兵! リンク2、《閃刀姫-ジーク》!!」
全貌が明らかになったそのモンスターは、人の何倍もの背丈を誇る人型の黒いロボット。全身が鋼鉄の装甲に覆われ、全体像はドレスを着る姫のよう。胴体にはコックピットらしき部分があり、そこには黒いスーツに身を包んだロゼが座って操縦していた。
□■□ 閃刀姫-ジーク
□◆□ ATK1500
□■□ リンク2
「ジークの効果発動! リンク召喚が成功した時、フィールドのモンスター1体を次の相手エンドフェイズまで除外する。私が除外するのは《原始生命態トークン》!」
レイが指さした俺のフィールドのトークンに、ジークの両肩に付随していたユニットが照準を合わせ、赤いレーザー砲を放つ。それを浴びたトークンは霧散してしまった。
破壊だろうが除外だろうがリリースだろうが、トークンはフィールドを離れると「消滅」する。よって、次の俺のエンドフェイズになっても戻ることはない。やはり壁にすらならなかった。
「さらにジークの効果発動! 1ターンに1度、このカード以外の私のカードを対象とし、自分の攻撃力をターン終了時まで1000ポイントアップさせ、対象のカードを墓地へ送る」
対象になるのは、レイ自身。ジークの頭部にあるピンクのバイザーが光り輝くと、その全身で金色のラインが光り輝いた。
閃刀姫-ジーク
ATK1500→2500
そして、フィールドにいたレイは光へと変わり、ジークの頭部へと吸い込まれた。
「魔法カード《閃刀起動-エンゲージ》発動! 自分のメインモンスターゾーンにモンスターが存在しないことで、デッキから《閃刀起動-リンケージ》を手札に加える。さらに、墓地に魔法カードが3枚以上存在することで1枚ドロー!」
やはりというべきか、エンゲージは2枚以上投入しているらしい。サーチだけでなく追加効果のドローも美味しいから、当然と言えば当然だろう。
そしてドローしたカードを見たレイは頷く。
「永続魔法《閃刀機関-マルチロール》発動。そしてバトルよ。ジークでダイレクトアタック!」
永続魔法を発動しただけで、他は何もしないレイがすぐにバトルに持ち込んだ。
「バトレアスさん、危ない!」
デュエルを観ていたエリーティアが叫ぶ。この攻撃が通れば俺のライフは尽きてしまうし、ジークの巨大なレイピアの一撃は、現実でもかなりの傷を負うことになるだろうから。
「罠カード《ドレミコード・ムジカ》発動! このカードは俺の場の『ドレミコード』のスケールの種類によって効果を選べる」
攻撃宣言に際し、伏せていた次の1枚を使う。
「俺の場には偶数と奇数、両方のスケールがある。よって、偶数のスケールを持つ『ドレミコード』をエクストラデッキから特殊召喚する効果を発動。もう一度頼む、スケール4、グレーシア!」
光の柱の中にいるドリーミアがタクトを振ると、俺のフィールドで黄色い五線譜が渦を巻く。その渦の中から、淑やかな仕草と共にグレーシアが現れた。
ソドレミコード・グレーシア
ATK2100 レベル5
奇数と偶数のスケールが存在すれば、《ドレミコード・ムジカ》の効果で相手のカードを破壊できる。だが、それでジークを破壊してしまえば十中八九墓地のレイが蘇ってしまい、1500のダイレクトアタックを受けてやはり負けてしまう。
「《ドレミコード・シンフォニア》の効果で、3種類以上の『ドレミコード』がエクストラデッキにいることにより、俺の『ドレミコード』の攻撃力はターン終了時まで、自身のスケール×300ポイントアップ!」
ソドレミコード・グレーシア
ATK2100→3300
「さらに、グレーシアが特殊召喚したことで効果を発動し、デッキから《ドレミコード・ハルモニア》を手札に加える」
次のターンのために、このデッキの要でもあるフィールド魔法をサーチしておく。
また、《ドレミコード・シンフォニア》によるパンプアップで、攻撃力が「ドレミコード」で一番高くなるのはグレーシアだ。
「速攻魔法《閃刀起動-リンケージ》発動!」
しかし、レイは残りの手札を使ってきた。
「メインモンスターゾーンにモンスターが存在しない場合、私の場の他のカード1枚を墓地へ送り、エクストラデッキの『閃刀姫』リンクモンスター1体を、エクストラモンスターゾーンに特殊召喚する!」
ジークが光に包まれて消失すると、リンケージのカードから赤と黒の稲妻が迸る。それは程なくして安定し、赤と黒の光の筋となって絡み合いながらフィールドに降り注がれる。
「このカードは『閃刀姫』モンスターとしても扱われる」
「!」
「空虚な世界の果てに重なる2つの刀。不破の絆が、新たな光の未来を切り拓く! リンク2、《合体術式-エンゲージ・ゼロ》!!」
□□□ 合体術式-エンゲージ・ゼロ
■◆■ ATK1500
□□□ リンク2
宣言と共にフィールドに姿を見せたのは、《閃刀姫-レイ》と《閃刀姫-ロゼ》の2人。だが、2人共が戦闘で着るスーツを着用し、お互いの刀を交差させるように立つ。
そんな2人が放っているものは、紛れもなく俺への敵意だった。