最強のエンジョイ勢(偽)が逝くジークァックス   作:ブラボ10周年…そんな僕を騙そうとしてる

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一体どれだけの読者がこの話を受け取ってくれただろうか……
ここまで生き残った君達はこの混乱の幕引きを託すに相応しい存在だろう。

私からの最後の依頼は4月8日のジークアクスの視聴及び、フロムソフトウェアのブラッドボーン10周年のお祝いだ。

この作戦が成功しなければ、我々ガンダムファンならびに地底人に未来は無い。

全てはこの時の為に在った。『読者』と呼ばれるその称号で

未来(次回作)を救ってくれ

追記
PS4、5でPS3部作のアーマード・コアがプレイできるようになったので是非遊んでみてください。爽快感ありますよ



5話 vs軍警

モニターに丘陸地帯の起伏のある土地で2機のACが対戦を行っている。

藍色の機体は肩に拡散バズーカとレーザーブレード、両腕に火力型リニアライフルとエツジン。

対して灰色の機体は肩にパルスシールドと初期ミサイル、両腕にパルスブレードと火力型アサルトライフルを装備している。

攻めているのは灰色の機体、LOADER4だ。ブースターによる高速移動を行いながらミサイルと火力型アサルトライフルで追い詰めてくる。

一方、俺の操る藍色の機体、LOCKSMITHは足の止まる拡散バズーカは使用せずにサテライト戦法で時折クイックブーストでの急な方向転換でロックを外しながらリニアライフルとエツジンで迎撃を行っている。

 

「ねぇ……」

 

「何だ?」

 

「これゲームしてるだけじゃない?」

 

今、やっているのはAC6をベースにした3人称メカアクションゲームだ。

ゲームといっても市販はされておらず機体のモーションパターンのデバック用ソフトを少し弄ったものだ。

MSは基本的に2つの操縦桿と2のペダルで操作を行う。前後上下左右の移動、カメラの操作、ブースターの制御、兵装のトリガーと実は基本動作はゲームのコントローラーでやるのとそこまで変わらなかったりする。

ゲームのようにOSが適切なモーションをその場その場で実行・提示してくれるのでMSでは機体性能もさることながらOSの性能とパイロットの判断力がものを言う。

 

「これもれっきとしたトレーニングだ」

 

「本当?」

 

「モビルスーツは1人称視点だから実際の動きを知れる3人称視点のシュミュレーションとしてゲームが適切だ」

 

「それに機体の動きをイメージ出来なかったらそれを機体に反映出来ない。現にそうだろ?」

 

「う!?」

 

初めにザクのコックピットをベースとしたお手製シミュレーターVer.1.07.2をやらせてみたが基本的な動く、跳ねる、ライフルを撃つまではスムーズに出来たが他はてんで駄目だった。

これは新兵でも多いらしく日常的な動作の延長線は出来てもモビルスーツ独特の動きや無重力機動がイメージできないことが問題らしい。いくら機体側がオートマチックである程度やってくれるとはいえその選択肢が頭にないのではできることもできないだろう。

 

「おっと、隙あり」

 

「あっ!ズルい!」

 

LOADER4の動きが止まった所をリニアライフルのチャージショットを打ち込み怯ませた瞬間を狙いハンガーから持ち替えたレーザーブレードのチャージを始める。

チャージの終わったレーザーブレードに合わせて機体が大きく弧を描くように回転する。青白い閃光がLOADER4に1回、2回とあたりAPを消し飛ばす。

 

YOU WIN。

画面に自機が勝利した事が表示された。

 

「大人げない……」

 

そう言ってコントローラーを投げ出し椅子へと身を投げ出した。

 

 

「反省として動き過ぎだな。盾と機体の角度を変えるだけで十分いなせる。あとはスタッガーした時にパルスプロテクションを張れば仕切り直せたな」

 

「それフロイトだけでしょ。普通は鉄砲撃たれたら避けるし怯んだら頭真っ白になるよ」

 

「別に避けるなとは言ってない。その避け方が大袈裟ってだけだ。攻撃やアラートを見てからじゃ基本的に遅い。銃口と敵機の角度、周囲の状況から攻撃の座標を割り出せれば最小限の移動で済む」

 

「出来るか!」

 

怒鳴られた。多少の経験は必要だがそんなに難しいことだろうか?あのアムロ・レイの後ろに目を付けろと言う

伝説的なセリフを再現するにはこれくらいはできないとお話にならない。

 

「とは言え上出来だ。俺の時なんて目じゃないな」

 

「最初から凄かった訳じゃないんだ」

 

「正直言えば全て当時の俺を上回ってるぞ。なんせ手探りだったからな」

 

驚いた顔を見せる。

そもそも前のフロイトは学習機能付きシミュレーターでの適性検査にすら通れなかったのだ。当然、お手製シミュレーターでも悲惨な結果だった。

それに比べるとアマテはやはり才能があると言っていいだろう。

シミュレーターとは言え簡単に基本動作の操縦が出来た。ガンダムの主人公達はアムロ・レイを除けばそれなりにMSの操縦に繋がる事をしていたが、アマテは何もしていないにも関わらず驚異とも取れる成長性を見せる。

やはりニュータイプは何か受信しているのだろう。

 

「意外か?」

 

「何でも卒なく熟せそうだから正直意外です。それにデブリを蹴りながら進むなんて芸当。私じゃ出来ない」

 

「何事も積み重ねだ。近道をせず過程を楽しめば自ずと出来るようになる。まぁ……あれは普通やらないけどな」

 

「操作してみて分かったけどアレって可笑しいですよ」

 

「源義経の八艘飛びは知ってるか?アレをモビルスーツで再現してみたんだ。人間に出来ることは大抵は再現できる」

 

呆れた表情を見せる。自然とその顔を崩したくなり頭を撫でた。

 

「……セット崩れるんですけど」

 

「すまんな」

 

 

 

 

「そろそろ、実戦と行こうか」

 

「実戦?フロイトと今、戦ってもボコボコにされるのは目に見えてるし。まだ、いいよ」

 

「いや、俺とじゃない」

 

「誰?」

 

「軍警」

 

 

「なんで軍警と戦うの?」

 

船から降りてそのまま、警察が所有するドックの方へフロイトと共に移動を始めた。

いきなり軍警と戦うと言ったがどう言うことなのだろうか?言われるがままついて来たはいいが疑問は尽きない。

 

「模擬戦だなアーキバスのというよりACという種類の兵器がどう言う物か知りたいらしい」

 

興味なさげに説明の為だけの短的に言い切った。

本心としては本当にどうでもいいのだろう。機会があったから私を同行させた。それだけだろう。

 

「なんだ?テロリストかなんかだと思った?」

 

「少し……」

 

「素直だな。まあ、俺が連邦系のテロリストでもサイド6には手を出さないさ。旨味がない」

 

やれるけどやらないという。犯罪者予備軍の様な事を言っているが社会人としてこんな人でもやっていけてるのは良いことなのでだろうか?

 

フロイトは軍警のドックの守衛に社員証を見せ、無重力化の慣性で進みながら脇を締め掌を見せない敬礼を行いゲートを通り過ぎた。元軍人だけあって様になっていた。

通り過ぎた先は先ほどの通路と同じ様な作りではあるものの制服を着た警官が行き来してるのもあり少し身体が強張る。

 

「なんか警察の施設入るのって緊張する」

 

「そうか?大人になれば車の車庫証明やら道路通行許可でお世話になる」

 

「絶対に道路使用ってのは私はやらないでしょ。知らないけど」

 

慣れた動作で来客用のロッカールームへと到着した。

 

「さて、ノーマルスーツに着替えるか」

 

あいよ、と女性用と思わしきノーマルスーツをロッカーから取り出し私の方へ投げ渡す。低重力下である為、ふよふよとだが真っ直ぐに私の元に届く。

 

「着たことないんですけど何処まで下に来てていいんですか、これ?」

 

「肌着1枚程度が限度じゃないか?多分」

 

俺は雰囲気で着ていると言いたげな投げやりな言葉に少したが、その後の汗かくから下着でもいいぞと去り際のノンデリ発言によって苛立ちに変わった。

 

「デリカシーのない人」

 

苛立ちながらもノーマルスーツを広げる。宇宙服は授業で何回か来たことがあるがこんなウェットスーツの様なものは初めてだ。

サイズは自動調節機能というなんか便利なものが手首のデバイスについているらしく下着姿になり、つま先から履き込みファスナーを閉じ着込んだ。

 

「サイズは大丈夫か?」

 

自動調節の音を聞いたのか様子を伺いにフロイトが現れた。

 

「大丈夫だけどさ。これ結構恥ずかしんだけど……」

 

スパイ映画で出てくる様なぴっちりとした。体型のラインがくっきりと現れるスキンタイトな姿だ。

 

「……お前、結構着痩せするタイプか」

 

「じろじろ見ないで!と言うかなんでフロイトは厚手なの?不公平じゃない?」

 

もしかしてそう言う趣味?腕を体に寄せる。

 

「これか?まだ怪我してるから耐G性能を上げたノーマルスーツだ。普段はお前の来てるのと同じタイプだ」

 

これ重くて苦手なんだよなと呟きながら肩を回している。

とはいえ私の格好には思うところがあったらしくロッカーからジャケットを取り出し羽織わせてくる。

 

「あ、ありがとう」

 

「気にするな。コックピットまでは羽織っておけばいい。それとコックピットに入った後はしっかり空気漏れがないかの確認を行っておけよ。コックピットの気密性を当てにするな」

 

 

 

《おはようございます。メインシステム。パイロットデータの認証を開始します》

 

《認証を確認しました。メインシステム起動。作戦行動を再開します》

 

コックピットに入ると背中の金具が自動的にシートに接続され機械に火が入る。

アームレイカーとフットペダルを動かし機体の動作確認を行う。それからセンターパネルをいじり武装の確認も始める。

 

「問題なし……と」

 

『手を出せ。宇宙まではエスコートする』

 

モーションにはそんな動作はない。そんなことはフロイトも承知のため私を試している。マニュアルにて腕を動かしフロイトの操るロックスミスのマニュピレーターにかろうじて手を乗せた。

コックピット内に振動が走る。機体各所のセンサーのデータを元に振動と音を再現しているらしい。4Dの映画を見ているかの様な気分になる。

 

「どう?」

 

『上出来だ』

 

マニュピュレーター同士の接触により接触回線が開き先ほどよりクリアになったフロイトの声が届く。

そのままドックから出て宇宙へと出た。

2度目の宇宙だ。前と変わらず星々の煌めくありきたりな宇宙が広がる。

 

『模擬戦のルールは頭部メインカメラの破壊だ。ビーム兵器の使用は白兵戦用の物のみ。銃火器は炸薬量を大幅に減らされてるから有効打になるのはブレードくらいだな」

 

『戦闘は不意打ちと牽制のセッションだ。勝つには如何に相手の意表を突けるか。そして超えるかにかかっている』

 

「マヴってのはその不意打ちを効率よく行えるんだっけ?」

 

『そうだ。だが慣れればソロで出来ることだ』

 

そう言い張るがマヴ戦術が流行っていると言うことはソロでできる人間が少数なのは自明の理だろう。

シミュレーターでもわかるが明らかにパイロットとしても上位だろう。比較対象がないとはいえゲームの限られたモーションを組み合わせて事細かに変態機動を行う人間が普通なのは考えられない。

 

『攻めと受け。どっちが好みだ?』

 

いきなりだが戦闘の好みのことだろう。この人はところどころ言葉を端折ったり変な言い回しをする。

 

「どちらかと言うと攻める方が私は好き」

 

『俺と逆だな』

 

「そうなの?シミュレーターでは結構、前に出てたけど」

 

『苦手だからこそハンデになるだろ?それに引き撃ちの塩試合よりは白熱した戦いの方が楽しい』

 

通信越しでもわかるその嬉々とした発言。

 

「バカみたい。楽に勝てるならそれでいいじゃん」

 

『正論は面白くない』

 

しばらく雑談をしながらオートパイロットで宇宙を移動しているとコックピット内のスピーカーからノイズ音が発せられた。

 

『両者、領域に着きましたのでテストを開始します。全力で戦ってください』

 

《敵機を確認。MS-06ザク。武装はマシンガンとヒート・ホーク、クラッカーを装備。オプションパーツの高出力ユニットを装備した機動戦が得意です》

 

《脅威となるのはクラッカーによる爆撃、およびフラッシュによるカメラの焼き付きです。投擲物には警戒を推奨します》

 

COMボイスと主にモニターに拡大されたザクの姿とCGで表示された武装の詳細が現れる。

先ほどまではなかった悪寒が体を襲う。成り行きとはいえモビルスーツで戦闘を行う実感が遅れてやって来た。

正面にはこちらを迎え撃つべく2機の軍警と書かれたショルダーシールドの青いザクが突出してくる。初めから近接戦を挑むつもりなのか、前方のザクの手には刃の部分が赤く発熱してるヒート・ホークが握られている。

 

「私はどうすればいいの」

 

『……攻めの戦いの方を見せる。見てろ』

 

フロイトの操るロックスミスがアサルトブーストを起動させザク達へと向かう。

 

フロイトに対して後衛のザクが何かボールのような物を2つ投擲する。

一つ目のボールが閃光を発し一時的にモニターが白くなり、続けて爆発が起きる。

復活したモニターにはライフルを構えた無傷のロックスミスが現れ逆に爆風で仰反るザクたちが写る。

おそらく打ち抜いたのだろう。あのボールの様な物を。

 

《クラッカーと呼びます。MS用の手榴弾です》

 

あれがクラッカー。親切なCOMボイスだ。

 

ザクの怯んでいる最中、近づきレーザーブレードを振るう。ザクも負けじとヒート・ホークで迎撃し後ろからマシンガンが放たれる。

クイックブーストでマシンガンを回避しブレードをそのまま後衛のザクへと振り翳し腕を切断する。

切り落とされた腕が爆発しそのままフロイトはザクたちから抜け出した。

 

抜け出したフロイトに向かって機体を動かす。

 

「凄い……苦手って嘘じゃん」

 

あの一瞬の攻防で1機を落としかけている。おそらくやろうと思えばあそこで模擬戦は終わっていただろう。

 

『まあまあだな。悪くもなく良くもない』

 

「私いらなくない?」

 

『いる』

 

『今度はアマテも参加だ。次は相手の攻撃に合わせて二手に分かれる』

 

「はい!」

 

《強力な攻撃が予測されます。注意してください》

 

機体のアラートと警告のアナウンスと共に後方のザクがクラッカーと呼ばれる爆弾を投げつけてきた。

放たれたクラッカーは大きく爆炎を発生させる。モニターが煙によって白くなるなかフロイトと逆の方向へ進み左右に大きく分かれる。

敵機が視界から大きく外れた形になったザクだがそのまま速度を落とすことなく、分散して私たちを追う。

ジェネレーターの出力をブースターに回し圧倒的な推進力を得られるアサルトブーストを使えば容易に引き離せるが、フロイトからは何も指示がない為、後ろから追ってくる銃撃をスラスターで避け牽制としてアサルトライフルを打つだけに留める。

 

『引き付けてる方とは逆を撃て』

 

フロイトの通信を聴くと同時にアサルトライフルを構えフロイトを狙うザクに狙いを定め弾丸とミサイルを打ち放つ。

通常、自分を狙う一番近い相手から優先して対処するのが定石……らしい。だがこれは普通の行動ではない為、フロイトのいう相手の意図を超える行為。すなわち不意打ちと言えるのだろう。

私の放った攻撃がフロイトに向かっていたザクに当たり、私の目の前の片腕のザクに拡散バズーカが刺さる。

 

「この隙に!」

 

予想外の攻撃に怯んだザクに対してアサルトライフルを放ちながら、左腕のブレードを起動する。

ブレードは緑色の閃光を放ちながら登録したモーションを実行し、頭部に向かって大きく振りかぶる。

しかしブレードが頭部を溶断しきる前に片腕のザクに蹴りを入れられ、大きく距離を離されブレードは宙を切った。

 

「くそ!」

 

 その直後、フロイトから逃げて来たザクが合流し一時的に戦線を離脱した。

 

『落ち着け実戦のコックピット狙いならアレで堕ちてる』

 

「でも!」

 

ザクを追って来たフロイトが肩に手を当て接触回線で私を宥めてくる。

初めてとはいえチャンスを物にできないのは悔しい。

 

『実戦ではビームだろうが実弾だろうが当たりどころが悪ければ一撃で機体が駄目になる。追うぞ』

 

「次はどうするの?」

 

『高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に対応する』

 

「つまり行き当たりばったりじゃん」

 

『嘘だ。本当なら引きたい所だがACのデモンストレーションだ。攻める。コンビネーションアタックってのをやってみるか』

 

『アマテ、盾を構えながら前に出ろ』

 

「一機離れた!」

 

『ああ』

 

ターゲティングから外れたザクは円を描くように斜めに進み。私たちの後ろを取る機動を取り始めた。

フロイトはリニアライフルをチャージさせ撃ち放った。吸い込まれるようにザクの手に持ったマシンガンへと着弾し手首から大きく破壊された。

 

「凄い」

 

あの距離から接合部を正確に当てれるんだ。

 

『マヴ戦は互いの死角を補うのが重要だ。ああやって集合と散開を繰り返しながら敵の油断を誘う。相手のペースに飲まれないことが重要だ』

 

『だからこそ攻める』

 

フロイトが先行して片腕のザクに接敵する。リニアライフルを放ちながら左右へと機体を揺らしながら追い詰めていく。

ザクの背後へと回りレーザーブレードが輝きブレードの展開を予期したザクは旋回しショルダーシールドでブレード受けようとした。

しかしブレードは輝きを止めフロイトも通り過ぎていった。

 

ブレードキャンセル。

フロイトのよく使うフェイントかつ強制的に動作を止める緊急回避の技術だ。これにはシミュレーターという名のゲームで変なコンボで活用されていた。

 

この場合はフェイントだ。

 

「こういうことでいいんだよ、ね!」

 

私に対して背中を見せたザクに対して至近距離からアサルトライフをお見舞いする。いかに低威力とはいえ直接攻撃を受けた頭部が吹き飛ぶ。

そのまま、アサルトブーストを起動させフロイトに追いつく。

 

「コンビネーションでしょ?」

 

ロックスミスのマニュピレーターを器用に動かしサムズアップのハンドサインを作ると私の機体の後ろへと下がる。

シールドを起動させながら最後のザクへと突き進む。

ザクの攻撃を盾で受けながら螺旋を描く様に進む。速度を落とすとフロイトが前に出て来てリニアライフルによる攻撃がザクを襲い、反撃としてクラッカーを投げ込むタイミングで私へと交代する。

この攻守交代のコンビネーションに焦りを覚えたザクは破れかぶれでヒート・ホークを取り出し向かってくる。

 

フロイトの方を見つめる。

その雰囲気から考えていることは同じだと悟り。ほぼ同時にアサルトブーストを起動させる。

代わる代わる移動していた私たちが急に並走して直進してくるのに困惑し、ヒート・ホークの行き場を失ったザクに対してすれ違いざまにブレードを放つ。

ほぼ同時に頭部にレーザーブレードとパルスブレードが当たり最後のザクは動きを止めた。

 

「終わった……」

 

汗をかき暑苦しくなったヘルメットをとる。

初めてとはいえなかなか上手くできたのではないだろうか?そう自画自賛しているとコックピットのスピーカーから通信が繋がり始めのノイズ音が走る。

 

「終わりのアナウンスはまだだったっけ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『流石ですね。続けてで悪いですがもう一戦行っていただきます。では始めます』

 

「そんな!」

 

ヘルメットを持ったまま絶叫する。

こんなのは認められない。フロイトのやつが私に言ってなかったに違いない。

フロントパネルを操作しフロイトに向かって抗議を行う。

 

「どういうこと?まだやるの!」

 

『らしいな。俺も知らなかった。だが……』

 

「だが?」

 

『騙して悪いがって奴だな。貴重な経験だぞ?』

 

明らかに嬉しがっている声がコックピットに伝わる。

騙されて嬉しがる馬鹿はフロイトただ一人だけだ。こんな人間が何人と居てたまるか。

 

《新たな敵機を確認。MS-06ザク2機です。装備は撃破機体と変わりません。連携攻撃に注意してください》

 

二機のザクが螺旋の軌跡を描きながらマシンガンを放ってくる。遠くではあるもののそれなりの衝撃が機体を揺らす。

急いでヘルメットを被り直し機体を操作する。盾を展開しながら後ろへと後退する。

後退しながらも敵は近づいてくる。

 

「囲まれてる!」

 

スラスターを吹かせフロイトのロックスミスと背中合わせになり、接触回線を開通させる。

周りのザク達が弧を描く様に徐々に距離を詰めてくる。

サテライト戦術だ!

私かフロイト、それとも両方がこの輪から出ない限り一方的に攻撃され続ける。

 

『大きく動くなよ。追い込んでるんだ、まだだ』

 

フロイトのロックスミスと背中合わせになり、接触回線で話し会う。

まだ?何かあるのだろうか?

その姿勢のまま迎撃を続けるが当たらずついに両方のザクがヒート・ホークを取り出し加速を始める。

それでもフロイトは何も言わない。額に変な汗をかきはじめる。

距離が10mを切った所だ。

 

『今だ』

 

フロイドの声に合わせて背中合わせのまま上昇していく。

その直後、速度の乗ったザク2機が正面衝突を起こした。

すかさずライフルを当てる。それに合わせて拡散バズーカも発射された。

 

『前の連中より練度が低い。アマテ、自分なりにやってみろサポートする』

 

フロイトの操るロックスミスが私の隣を通り過ぎる。

そのまま敵のザク達へと飛んで行き蹴りを入れると瞬く間に宇宙へと溶け込むように消えていった。

 

フロイトの腕前だ。あの瞬間でレーザーブレードの斬撃かリニアライフルで2機の頭部を容易に破壊できたであろうに牽制だけ行って撤退した。

宣言通り私が動かなければならないようだ。

 

「やってやる」

 

フットペダルを踏み込みブースターを吹かせ、機体を前へと進める。

このまま闇雲に突っ込んでもあの二機の連携にやられるだけだ!どうにかして1対1に引き込まなければ。

イメージだ。

フロイトの考え、そして何処に飛んでいるか。

目を瞑り頭の中でイメージする。

敵の位置、動き。

 

頭に電流が走るとさっきのイメージよりも鮮明に敵機の位置とフロイトの動きが見えた。

そこから考えられる行動も。

 

「なんかわかったかも!」

 

ザクに向かってブースターを吹かせて向かっていく。

継続的に弾が飛んでくるが機体を揺らし最小限の被弾で突き進んでいく。

 

『やはり盾持ちの方は素人だ』

 

『ならとっとと堕としてバズーカ持ちを2人でやるか』

 

急制動を掛けそのまま肩のシールドを展開する。

すかさず上空から散弾が降り注ぎ爆発が周囲に広がる。

爆風に紛れてアサルトブーストで目の前のザクを突き飛ばす。

 

『何!』

 

「これで二人きりね」

 

『舐めるな!女ごとき!』

 

カメラで後方を確認しもう一機のザクがフロイトの攻撃に気を取られているのを確認する。背面からの攻撃は気にしなくてよさそうだ。

 

前方のザクは体勢をすぐさま立て直し、左手でマシンガンを連射しながら右手にヒートホークを構えながら突撃してくる。

次の手を悟られぬ様、シールドを展開しながらライフルを放つ。

装甲の傾斜によって弾かれ有効打とならぬまま目前へと接近を許す。

 

「パルスアーマー!」

 

『ヒートホークが弾かれた!?』

 

音声入力によりエキスパンション機能である緑色のシールドのような物が展開されマシンガンとヒートホークを弾く。原理は知らないけど一時的に大抵の攻撃を防げるシールドを展開できるらしい。しかし戦闘中1度しか使えない隠し球。

持続時間はおおよそ10秒。それが無敵時間だ。

 

「食らえ!」

 

軍警のザクに対して肩のミサイルをありったけ打ち込み怯ませる。

そして蹴りを入れ、衝撃により離れていくザクに左手のブレードを起動させる。

 

「いけぇぇ!」

 

チャージされた斬撃が頭をとらえ吹き飛ばす。

 

「や、やった?アラート!?上から!?」

 

『マヴはやられたがこれで1対1に……』

 

アラートの方へカメラを向けると上からザクがヒートホーク片手に突き進んでくる。

パルスアーマーの展開は既に終わり、シールドもクイックブーストもENが心もとない為、使えばこの一撃は回避できても次撃は避けられない。

機体をザクの正面に向け頭を守るように両腕をクロスさせ防御を試みる。

 

『仲間はずれはよくないなお巡りさん』

 

次の瞬間、コックピット内に独特な発砲音が2発分流れる。手を退けるとメインカメラには頭を撃ち抜かれた最後のザクが写っていた。

 

「フロイト!」

 

『悪くない』

 

最大望遠でやっと見える程の距離にロックスミスは居た。

模擬戦終了の信号弾が放たれ、別の軍警のザクたち敗者の牽引作業を行う為かそそくさと動き始めた。

 

「何が悪くないだ!サポートするって言ってたじゃん!やられそうだったよ」

 

巡航速度で隣に着けたフロイトに対して胴体を小突きながら接触回線で文句を言う。

 

『やられてないだろ?なら良くないか?』

 

「良くない!」

 

『これでテストを終了いたします。流石は蒼い流星。この程度では実力を測れませんか』

 

『別人だろ?この機体名は蒼い流星に肖っただけだ。俺はアーキバスのフロイトだ』

 

『そう言うことにして置きましょう。お疲れ様でした』

 

「蒼い流星?」

 

『一年戦争時に活躍した連邦のパイロットだ。名をロック・スミス。十中八九、プロパガンダで作られた架空の人物だろ』

 

気になるならあとでネットで調べて見るといい。そう呟くとドックの方へと機体を進めていった。

あの感じは嘘をついている。関係者なのは間違い無いだろう。

 

「まあ、後で調べてみるか」

 

 

 

 

 

 




次でやっとジークアクスくんが出てきます。
良くて今週中。遅くて来週の火曜日に投稿できそうです。

そして申し訳ありません……本当は放送日に完結させる予定だったのですが、仕事が多忙なもんで。
エタりはしません。プロットはあるんで何がなんでも描き切ります。
今後ともよろしくお願いいたします!
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