最強のエンジョイ勢(偽)が逝くジークァックス 作:ブラボ10周年…そんな僕を騙そうとしてる
ギリギリ入場できたのでラッキーでした。色々ありましたがBloodborneのコスプレっていいですね。
誤字報告、感想大変ありがとうございます。執筆の助けになっております。
今後、この作品は本編追っかけで頑張っていきます。
無理なら既に執筆済みの最終話を投稿し全てを終わりにするのでエタりはしないでしょう。
投稿が遅れた理由は仕事です。申し訳ありません
デブリの漂う
周囲には機影はないがOSからは周囲に巡回する2機のモビルスーツの存在を指し示している。
「座標はここだな。オールマインド頼む」
『了解しました』
ブルーディスティニーのカメラアイから光信号が放たれ、それからするといくばくも経たぬうちに前方に戦艦が現れる。
光学迷彩によって宇宙に溶け込んでいた黒鉄の要塞。連邦の元主力艦マゼランその改修艦。マゼラン改。
前方の主砲2機を撤去し甲板と2本のカタパルトと内部に格納庫を拵えたペガサス級とはまた違った航空戦艦といった趣の船だ。
前方の甲板の誘導員の指示に従いながらガイドビーコンを使わないアナログな方法でスラスターで微調整を繰り返しながら着艦を成功させる。
「隊長のお帰りだ!補給急げ!」
エアロックが下がるのを確認しコックピットハッチを開けると整備班が待ってましたとばかりに作業を手際よく始める。鼻腔に微かに香る鉄の焼けた匂いから宇宙から戻ってきたことを実感させる。
整備員から水を受け取りそのまま、コックピットから離れ他の作業員と異なるヘルメットの人物へと声を掛ける。
「整備長、急で済まないがオーバーホールも頼む。装備は対モのF兵装。3日は滞在する予定だ」
「舐めてもらっちゃ困りますよ。2日もあれば十分です」
「頼もしい。なら頼む」
「了解!お前ら!簡易整備のあとオーバーホールだ!ん?F兵装!?」
戦争か!?
あとから何やら気がついた整備長の絶叫が聞こえたが気のせいだろう。(すっとぼけ)
艦橋へと続く通路へと向かう途中、横目でハンガーの機体をみる。数にしてMS5機と戦闘機1機。
乗ってきたブルーともはや追加パーツが多すぎて素体がジム・クゥエルであろうことが微かにわかる機体が3機、ボードで隔離されているハンガーに1機、支援機であろう戦闘機が1機。付け加えるなら哨戒に出ている2機を含めれば7+1と搭載スペースをフルで使っている。
あの囲いの内側を覗いてみたさに後ろ髪を引かれる感覚があるがまずは報告が先と誘惑を振り切りその場を後にした。
モビルスーツの格納庫から艦橋は位置的に真上でエレベーターを使えばすぐに到着した。
ブリッジ内に入ると他の船員が作業を中断しコチラに向かって敬礼を行う。
「帰還を歓迎します。フロイト隊長。そろそろ座りすぎで腰が痛くなってきたところです」
「悪いがその席は当分温めてもらう」
「ははは、当分も何も座る気ないでしょう?あなたは」
握手をしブリッジから作戦会議室へと艦長と共に移動する。
ここの艦長とは一年戦争からの付き合いだ。レビルの派閥の出で艦隊戦にもMS戦にも理解のある俺には勿体無い艦長だ。
一応、この世界のティターンズは連邦のエース派閥だ。しかしヴェスパーに関しては民間に偽装している特殊部隊に過ぎない。キャリアを半分ドブに捨ててまで参加している連中が多いので士気が高いのはいいことではある。
部屋に着くと既に席には紅茶と茶菓子が用意されていた。
艦長は脱帽し、俺は床にヘルメットを転がし紅茶へと口を付けしばし艦長との雑談を楽しんだ。
「さて本題ですが、戻られるほどのことですか」
「報告書だ」
タブレットへとデータを送る。
本当はオーバーホールを頼んで代替機でイズマに戻る予定だったがオールマインドが戦闘データとここに向かう時にキャッチしたサイコミュの反応を直接報告しろとうるさかった。
「拝見致します」
何分かタブレット対艦長のにらめっこが始まった。戦闘データまで目を通し始めたのを見て面倒なことに巻き込まれたと後悔を始めた。
やる気出してコロニー内でガンダムとジオンの新型をしばくべきだったか?と論文の添削をハラハラして待つ学生のような気分を味わうことさらに数十分が経過した。
「これは……かなりまずい状況ですな」
「我々、ヴェスパー……いや、ティターンズを超えて連邦本隊も動く事態に発展しかねない」
「そこまでか」
知っててここに来たのではないのかという視線が刺さる。
正直、戦うこと以外最近は考えない様にしているから何も答えられない。戦況が変わりそうな今、そろそろ兵士として徹するのは辞め時かもしれない。
「そこまで、ですよ。赤いガンダムまでならこちらで対処できました。しかし鹵獲されたペガサス級にサイコミュ搭載型のジオンの新型。政治的にも早急に対処すべき案件。スネイル閣下とルナツーの方への報告は私の方で行っておきます」
「助かる。何分、政治はわからんからな」
「……せっかく天才なのですから少しは世俗に興味を持っていただきたいものですな」
「政治はスネイルとホーキンスの管轄だ。俺ら第一隊は暴力装置、だろ?」
「ふっ違いありませんな。またあの時のように暴れ回りたいものです」
「こんな情勢だ。そろそろだろう」
少し冷めた紅茶を飲み干し席を立つ。
お飾りの俺がいつまでも艦長を拘束するのは部隊として良くないだろう。
「オーバーホールが終わるまではここにいるのでしたらスネイル閣下からの新しいおもちゃが届いてますよ」
「ハンガーの機体か?」
「ええ、まだ調整中ですがニタ研から受領したそうです。持っていかれます?」
「ニタ研?おいおい、あいつら俺をまだニュータイプだと思っているのか?」
懲りない連中だ。
「研究者様の考えることを理解する物差しは持ってないゆえに」
とりあえず見るだけ見ていかれては?
そう、艦長の言葉を背中で聞きながら作戦会議室を後にした。
◆
更衣室でパイロットスーツからヴェスパーの制服に着替え例のハンガーへと向かった。
艦長から連絡を受けたのか囲いが外されハンガーにいた姿が明らかになっていた。
ティターンズらしい濃紺の機体色、視線制御用であろうウイングバインダー、胸部に光るカメラアイ、そして何よりガンダムセンチネルに登場するガンダムMk-Ⅴに似た悪人面のガンダムフェイス。またしても己の知らぬガンダムだ。
「またガンダムか」
「ええ、連邦のエースたるあなた様にはやはりガンダムに乗っていただかねば」
隣には軍服に白衣を羽織った長い髪を後ろに結んだ女がタブレット端末片手に近づいてくる。
その瞳に光はなく表情の動かぬその姿は氷を連想させる。手袋の隙間から微かに見えるコネクター、乱れのない歩幅のなかで僅かに後ろにを庇う動作……感覚からして強化人間の可能性が高い。研究者兼テストパイロット。それも強化人間手術を自分から受けたとすれば相当な狂人な可能性がある。
「MSW-004、ガンダムグリンブルスティ」
聞いたことのない名前だ。宇宙世紀のガンダムはいくらでも歴史の隙間に外伝を差し込んでくる。その全容を知ってるものなどいないだろう。
「ニュータイプ専用か強化人間用だろ?」
「あなた様の元搭乗機もニュータイプ研究所でのMSでしてよ」
「不快だな。俺はニュータイプではない」
「ええ、それは理解しています。しかし強化人間であれば十全に扱うことができるだけで蒼い流星たるあなた様にこそ使って欲しい」
横から機体データを見ろと言いたげにタブレット端末を差し出してくる。仕方なくタブレットを受け取り機体データを拝見する。
GセルフやVガンダムと同様のホリゾンタル・イン・ザ・ボディ方式のコアブロックシステム、戦艦に使われるレーザーロケットを小型化しコアファイターと脚部に搭載、Eパック式のビームライフル、腕部にボックスタイプのビームサーベル。
かなりシンプルにまとまっているが何より目を見張るのはその速度、もはや宇宙世紀版トールギスと言っていい。逆にいえば特殊なサイコミュ兵器は搭載されてない。殺人的な加速力と強力なビームライフル、そしてその速度を制御するためのフレーム。玄人好みの機体だ。
「コアブロックシステムに推進機にレーザーロケットエンジン3機、準サイコミュにシャーマン・フレームか随分と詰め込んだな」
「ええ、この機体の設計思想はアレックスと同じです。圧倒的な推進力、高度な反応速度、新システムへの拡張性」
淡々とこの機体の特徴を無表情で並べる研究員。感情が全く篭っていないがアレックスのことを引き合いに出すあたり俺に対する点数稼ぎは心得ているようだ。
「無論のこと複合OSの三号7式OSにも対応しています」
オールマインドと
「興味が湧いてきたな。いつ使える?」
わくわくとした感情を隠せず研究員へと問い掛ける。
ニュータイプ研究所と聞いてテンションは下がったのは確かだが、この知らないガンダムは面白そうだ仮面でもつけて殺人的加速だ!とでも言ってゼクス・マーキスごっこの一つでもやりたい気分だ。
「乗り気になっているところ悪いですがコアブロックシステムの全天周モニターの調整とレーザーロケットエンジンの出力調整に難航してまして……」
……ガンダム討伐には間に合わなそうだ。
「まあ、それは仕方ない」
「それとオプションで神経接続をご用意していますが如何なさいますか?」
「わかってて言ってるならその喧嘩、高値で買い取るぞ?」
「あなたの思考速度に身体がついてこれていません、しかし三号7式OSとシャーマン・フレームで遅延なく反映することは可能です」
ですが。と間を取った。
「本当は
その言葉には先ほどのセリフを朗読するAIのような淡々とした物が消え、信念、情熱と言えるような力のある物を感じた。
タブレット端末を研究員へと落ち着けキャットウォークを渡りコックピットへと向かう。
「まず、先に言っておく。諦めろ」
「……理由を伺っても?」
コックピットの前に立ち研究員の方に振り向き右の親指を立て理由を話す。
「まず、強化人間手術は発展途上だろ?次世代型に更新できる保証はない」
現在の強化措置は薬物投与と脳に機械的に負荷をかけニュータイプ能力を強引に引き出す精神的強化と肉体を外科手術とナノマシンにより機械と置換し強靭な反応速度と耐G性能を高める肉体的強化の二種類がある。
前者の精神的強化は持続性はあるが研究員の進める肉体的強化はコネクターの規格が新しくなったらお払い箱なんてことも考えられる。
「二つ、手術の成功率だ。体に障害が残って満足に戦えないまま終えるのは詰まらない」
人差し指を立て最後の理由を話す。
単純に後遺症が怖い。ナノマシン程度ならやってもいいが体に異物を入れるのは感覚を取り戻すまでに時間がかかる。精神的強化なんてニュータイプの素養が一切ない俺がやっても精神崩壊のリスクを負うだけだ。
俺自体、受けるつもりはないが、そもそもスネイルが許可しないだろう。一回冗談でお前みたいに握力1tにしたいと言ったらブチギレられた記憶がある。あの時の顔は今でも覚えている。面白かった。
「そうですか。今回は諦めましょう」
しぶしぶと言った様子で諦めたそうだ。
お飾りとはいえこの船のトップにこのいい様、相当肝が据わっている。面白い女だ。
コックピットへと乗り込みシステムに火を入れる。
機体は動かせなくともシミュレーターとして遊べるだろう。
すると隣の座席に研究員が乗り込んできた。
「お前面白いな。名前は?」
「ケイト・マークソンと申します。以後お見知りおきを」
◆
「いないや」
貰った社員証を使いフロイトの拠点である船に勝手に入ったがその主人たるフロイトは不在だった。
普段は、常時照明が点灯し何やら機械の動作音が響く船内だが、まるで血の通わなくなったかのように薄寒さが支配する空間となっていた。
夜逃げを疑ったが、それならば船ごと動かすであろうことから急用で出かけているのだろう。
というかパイロットスーツに急いで着替えた名残であろう衣服が床に散乱している。どうせ私たちの騒ぎを直接見に飛び出したのだろう。そういうことをやりかねない危うさを奴は持っている。
「あと3日しかないのに」
そう呟いた言葉は虚空へと消える。
タイミングが悪い。それに尽きる。いつ戻ってくるかわからないがすぐに戻ってきて欲しい。
身から出たサビとはいえクランバトルに参加を迫られている。その相談もしたかったのだ。
親には相談なんかできず明確に頼りになるのはフロイトただひとりだろう。一般的なパイロットが軍警ならば大きく逸脱している操縦テクニックをもつ彼ならば誰にも負けないだろう。
「少しだけ待ってみるか」
ガレージの横に設置されたプレハブ小屋の外の洗濯機に脱ぎ捨てられた衣服をぶち込み、洗濯が終わるまでの間待ってみることにした。
冷蔵庫の中から適当に飲み物を取り出しふと棚に綺麗に展示されたフィギュアに目が止まる。
「MSっぽいけどよくできてるな」
かすかに臭おう塗料の匂いに眉を潜めながら羽の生えたフィギュアを手に取る。
並べられたフィギュアには統一感があるようでない、どこかシリーズ物の主役だけを集めた展示に感じられた。
「RX-78 NT-1 ガンダム アレックス……」
棚の中に一際丁寧に展示されたフィギュアのプレートの名をつぶやく。
ガンダムという名、その姿は差異はあるもののこの間見たガンダムに面影がある。その場でスマホで検索をかける。
「一年戦争時、ルナツー攻防戦で活躍した連邦のMS」
搭乗者は……
「パイロット名はロック・スミス。通称、蒼い流星又は蒼い死神って」
蒼い死神。
無理やり戦わせた軍警の模擬戦でフロイトに対して言われた名だ。
連邦のエースパイロットで一年戦争の末期にあらわれ流星が堕ちるような短さでその力を見せ、確実といわれたジオンのルナツー攻略を阻止したエース。この間、検索した時に見たシャア・アズナブルと違い公式的に一切姿を見せていない実在を疑われている人物……らしい。シャア・アズナブルと比べて記事の文章量と出典の数が物語っている。唯一と言っていい添付資料のルナツーでの戦闘記録の動画があるので見てみる。
「あいつじゃん」
動画サイトに違法にアップロードされたであろうジオン側からの交戦記録には蒼いガンダムが丸い戦闘機であろう物を引き連れて戦場を縦横無尽に駆け巡り、通ったスラスターが描く軌跡の後から爆発が起きている。命が失われているにもかかわらず美しさすら感じる軌道。
過剰な動きはせず最小の動きで攻撃と回避行動を行い、回転を行うような近接攻撃。
その戦闘の癖からしてフロイトそのもので間違い無いだろう。
「あんな強くても解雇されるんだ」
あんな性格だ。軍でも扱いきれなかったのだろう。どちらが偽名かわからないがジオンから恨まれる立場で宇宙で活動しているのなら身分を隠すのはしょうがない。軍警の上の人間にはバレているようではあったが。
「速く戻ってきてくれないかな」
その後も帰ってこず、次に会ったのは初めてのクランバトルが終わった翌日だった。
ほう……「次話」ねえ……
確かに、君は正しく、そして幸運だ。
まさにフロムソフトウェアの血の医療、その秘密だけが、君を導くだろう。
だが、よそ者に語るべき法もない。
だから君、まず我ら、フロムゲーを受け入れたまえよ……