最強のエンジョイ勢(偽)が逝くジークァックス 作:ブラボ10周年…そんな僕を騙そうとしてる
いや、本当に。プロットを変えざるを得なくなってしまいました。
隔週で投稿が理想ですが変則的な投稿になります。
これからも頑張って執筆していきますのでよろしくお願いいたします。
「フロイトはどのクランで参加してるの」
MSを使っての模擬戦後、コックピットの中でそのままフロイトの乗るロック・スミスに通信を繋げ問う。
コックピットから降りずわざわざ通信で聞くのは息が整っていないのもあるがパイロットスーツの中とヘルメット内で汗が張り付いており匂いなどが気になるからだ。そのままの姿で出るなどそこまで私は女を捨てていない。ある意味、時間稼ぎとも取れる。
この実践形式での模擬戦はジークアクスでのクランバトルの後から始まった。今までどこにいたか問い詰める前に御愁傷様と言われた時は怒りが消え、困惑の方が優った。MSの動きでパイロットが私であると察したらしい。一周回ってキモさを感じる。
現状の対戦成績はでは全戦全敗。クランバトル想定でも2〜3回程度でほぼ勝てていない。
最近になってフロイトの言うニュータイプ能力?なるものの使い方がわかってきたが、クランバトルの対戦相手とは違い全くと言い切っていいほど殺気が感じられずあまりフロイト相手では使い物になっていない。
『……参加してる前提か?』
少しの間を置いてフロイトからの返答が返ってきた。
「どうせ参加してるのに、いちいち聞くのは無駄っしょ」
『特定のクランで参加はしてない。適当に1人捕まえるか助っ人で飛び入り参加が基本だな。あと俺はもう手を引いたがお前も辞めた方がいいぞ』
「分かってるよ……私のマヴはお金が必要らしいからそれが溜まったら辞めるよ。それにそろそろ進路決めなきゃいけないしこんなことずっと続けるわけないじゃん」
シュウジがお金が必要な理由は聞いていない。彼はあまり自分のことを話したがらないしフロイトとは別ベクトルで変人だ。
非合法の賭けなんて辞めた方がいいのは分かりきっている。だけど自分の思う通りに動くMSとシュウジとのクランバトルでのキラキラと非日常感は捨てがたい。だから次のことが決まるまでの間だけの参加と決めている。
MSを活かせる職など建設業か軍人でどちらも親は納得しない。かといってキラキラを求めて学問に走るのも性に合わない。だがいつかは決めなくてはならないのだろう。学生としてのモラトリアムがもう直終わろうとしている。
「なら安心だな」
フロイトはコックピットから顔を出し答えた。そのまま、ワイヤーを使いMSから降りていった。
汗も引き、清涼剤で匂いを誤魔化しフロイトに合わせて自分もコックピットを離れた。
彼は私とは対照的に汗一つかいておらず涼しい顔をしている。それが私とフロイトとの実力の差に見えてならなかった。
「で、この間の私たちはどう?お眼鏡に適った?」
「今後に期待って所だ」
「えー、一回も負けたことないのに。そりゃ、二人がかりでもフロイトを倒すのは今は無理だろうけど」
「理由を述べるならアマテはもう少し追い込まれる経験とニュータイプ能力がもう少し覚醒すれば化ける。赤いガンダムのパイロットは逆にニュータイプ能力に頼りがちだな」
「そんな相手いないもん」
「その内、強い奴とも当たるさ」
仮設のハウス前に新設されたベンチに腰掛ける。
フロイトが冷蔵庫から取り出してきたスポーツドリンクを受け取る。
「話しは変わるがあのMSの整備のツテはあるのか?」
「正直な所、相当ヤバいんだよね。簡易的な整備は出来てるけど連邦系?は専門外らしくどんどん摩耗してきてるし、碌な射撃兵装も調達出来てないんだよね」
冷たいスポドリで喉を潤わせながら今のジークアクスの現状を伝えた。
推進材の補充とジークアクスの保管はポメラニアンズの方でやってくれているがクランバトルに出るたびに必ずモニターに警告が出ている。
さらにいえば銃火器の類をシュウジ共に持っていない為、必然的に近接戦闘に持ち込む必要が出てき、それが機体の摩耗を早めている。
「相当手こずっているようだな。手を貸そうか?」
「本当に!ラッキー!じゃあ、ビームライフル!」
「整備くらいはやってやるがビームライフルはダメだ」
「えーケチ」
「エネルギー系の兵装は高い。Eパック式だろうが内蔵式だろうが補充設備がないと補充代で金が無くなる。それに実弾は実弾で隠れた利点があるが……今はいいか。カタログを渡すから実弾から選べ」
武装のカタログが表示されたタブレット端末を差し出してくる。フロイトに向かって遺憾の意を示すために睨みつけるが顔を背けられるだけで通用がしない。
自由気ままを気取っているが意外にも金に煩いという新しい一面があったようだ。
◆
「ブートセクターウイルス侵入、増殖を確認。送信データの暗号プロトコルを凍結。これでミスっても問題ないな。あとは自爆をどうするか。面倒だから管理者権限でそっくり書き換えるか」
直立するトリコロールの機体のコックピットの中でノートパソコンをコックピットに繋ぎセキュリティを解除していく。いくら頑丈なプロテクトだろうがこの頭脳を前には算数ドリル……は言い過ぎか。高校数学のチャート式の白くらいの難易度だ。
アマテとの約束通りジオンの新型、ジークアクスの整備を行うことになった。
隠し場所はネノクニのスラム街の中のジャンク屋の一つ、そのガレージ。クランバトルではポメラニアンズを名乗っているらしいが俺の記憶に残っていない為、大したチームではないのだろう。
鳴かず飛ばずのチームがこんな機体とそれを扱えるパイロットをセットで手に入った。まさに棚から牡丹餅。だが厄ネタの塊であるからそれが災いに転じるのはそう遅くはないだろう。ガンダムとはそう言うものだ。
「見え見えのデセプションだな。カウンターを解除。セキュリティーのコードを初期化……管理者権限をコピー。リファクタリング開始。完了っと」
これで問題なくこの機体、ジークアクスのデータを余すことなく閲覧できる。多少のトラップはあるがあとはオールマインドでどうにかできる範疇だろう。仮に失敗してもデータ消去や自爆機能は取っ払っている。数時間アクセスできないだけで済むだろう。
「操縦系がイカれてるな。やはりブートキャンプとオールマインドでやるか」
ガチャガチャとアームレイカーを操作するが警告が表示される。内部データを見るに動くには動くが一部回路がショートしている。
あの最初にこのジークアクスに乗っていたパイロットは何故、サイコミュ制御をせず通常の操縦系で操作をしたのかは謎だ。明らかにサイコミュ制御が主眼とされおまけ扱いの操作系でかなり無茶をされた痕跡がある。まあ、調べれば原因は後に分かるだろう。
ライトタイプ・ガンキャノンのOSをインストールさせる。これでパソコン上で無駄に9割のメモリを消費しているメモリ喰いオールマインドの操作で動く。
「オールマインド。コア・ファイターを射出する相番頼む」
『タイミングはどちらで?』
「お前でいい」
近くに待機させていたザクにコックピットからコックピットに飛び移る。既に機体に火は入っている為、そのままゆっくりとジークアクスの背後へと回り込む。
マニュアルへと変更し、繊細な操作でユニバーサル・ブースターポッドを両手で掴む。圧力計を確認し変に力がかからないように監視を行う。
数秒後、機体からコア・ファイターが分離し、そのままゆっくりと地面に下ろす。
「フロイトさんだっけ?本当に連邦のOSで動いたんだ」
身長の低めの金髪頭のと黒髪の細身の男の二人組がコアファイターの方へ近きながら話しかけてくる。
「当たり前だろ?フィールド・モーター駆動にコアファイターは元は連邦の技術だ。それにこいつは学習型コンピューターの類似品がついてるからある程度の無理は聞く」
コックピットから身を乗り出しブートキャンプで動かせた原理を話す。
本当は細かな修正はオールマインドが随時、修正を行いながらさながら自転車操業のようにひいこら動かしているが、彼らには関係ないだろう。実際は行った通りにできるがもう一つの目的のためには学習型コンピューターいや、オメガサイコミュとは別の系統で動かさなくてなならない。
「後は俺がシステム周りとコックピットを担当するから駆動系はそっちで頼めるか?」
「この作業手順書通りでいいんだな」
「ああ、問題ないはずだ。不具合が出た時用に一応作業前に写真を撮っておいてくれ」
ザクから降り黒髪の細身の男へとバトンタッチする。
用意した木箱から新中古品の軽キャノンの内装パーツをザクの手で摘みジークアクスへと近づけザクの手を足場とクレーン代わりに整備を始めた。
多少のコネクターの合う合わないがあったがフィールド・モーター自体はほぼ同じ物を使っているため、大多数のパーツを軽キャノンがら部品取りできた。
その辺の機械工学的な作業は任せておきたい。正直、得意ではない。だから壊れたらユニット単位で交換で終わるACを仕事でも使いたいが今は時期ではない。
駆動系の交換作業が始まり先ほどまでタイプ音が響くだけだった物静かなガレージ内が活気に溢れていく。
「オールマインドどうだ」
『問題ありません。あの程度のコピーガードなど私には無いに等しいです。船に戻り次第、オフラインにて解析を行います。ブート用のOSにバックドアを仕込んでおきました。よろしいですね』
「ああ。アマテには悪いがな」
もしもの時のために外部からメインOSから仮想OSであるライトタイプ・ガンキャノンのOSに切り替える機能とサイコミュが異常値を検知した時にオールマインドに通知が来るように細工を行った。
この世界のサイコミュ兵器はそれほどまでに怪しいのだ。
『鹵獲されたガンダムの場所はお聞きにならないのでしょうか?』
「わかってて言ってるだろ?もう無駄だ。今更、動いた所で連邦のタカ派は止まらない。あのキシリア・ザビもここイズマの方に来るらしいしな」
『御愁傷様とお伝えいたします』
「どうせシャリア・ブルに阻止されて以上終了だ。本隊の脱出支援がこのコロニーの最後の任務だ」
日系のコロニーというのも中々に良かった。魂の故郷に似ている環境というのは過ごしやすかった。そして成り行きとは言え人に物を教えるという得難い経験をした。教職というのも中々に面白いものだ。だがそれももうじき終わる。アマテに教えるのもあと少しだろう。
「フロイトさん!社長がお呼びです!」
「わかった。今行く」
◆
「作業中悪いね。金額についてもう一回聞きたくてね」
ガレージと隣接したカネバン有限公司の事務所の来客用ソファーに腰掛ける。
THE・小規模企業の事務所といった趣の部屋の中央に社長であるアンキーと呼ばれる齢30代程度だろうか?赤髪の女。一応、今回の依頼人ということになる。
「値切りか?流石にあれ以上は下げられないぞ」
いかにも不満ですといった体を示す。金のことなんて全く興味ない為、実は赤字だったりする。だがジークアクスのデータの価値を考えればむしろプラスとなる。だがこれ以上、買い叩かれると今度はオールマインドからの会計攻撃にホーキンスの攻撃のMAV戦術を喰らうことになり面倒なことになる。
「逆だよ逆。安すぎるんだよ。未知の機体のほぼオーバーホールに近い整備に武装のレンタル込みでザク1機分で済むなんて……何かやらせようとしてるのかい」
「成り行きとは言えインターンで雇ってる従業員が非合法の賭けに参加して金銭のやり取りまでしてるんだ。口封じ代で減額してるだけだ」
「それだけならありがたいけどね」
「不愉快だな。聞きたいことがあるならとっとと聞けばいいだろ?」
レッグホルスターに携帯していた拳銃を目の前の机に放り投げる。ドン、という音の後、静寂が事務所内を支配する。
スネイル相手に培った相手の余裕をぶち壊す交渉術その1だ。ない腹の内を探られるほど不愉快なことはない為、私怨が大いに入っていることは否定できない。
「……ならアンタ、連邦の蒼い死神だろ?なんでそんな奴がこのイズマコロニーなんかに居るんだい?」
「さあ?俺はアーキバスの社員だ。ジャンク屋風情に言う内容ではないが、アーマード・コアという商品を公社や軍警相手に売り込みしに来た。疑わしいのは理解するが」
幾許かの沈黙の後、女社長が切り込んでくる。
どうやらジオン系の事情通らしい。聞けと言ったが馬鹿正直に答えるとは言っていない。というか俺の正体、バレバレすぎやしないか?正規の連邦軍としてはルナⅡ防衛戦とコンペイトウ奪取作戦と戦後のちょっとした小競り合い程度しか外部への露出はしていないはずだ。……自信はないが。
「アーキバスは私たちで言うところにポメラニアンズだ。違うかい?」
「連邦は既にPMCのドミトリーという手を持ってる。さらに言えばアーキバスは連邦の半官半民。ドミトリーとは違い公的に連邦とは深い繋がりがある。遊びとは言えクランバトルなんてしたら真っ先に戦争だ。どうだ?納得したか?」
「じゃあ、あの蒼いMSでクランバトルに参加してる蒼い死神でないアンタは?悪ふざけにしてはやりすぎだよ」
「バレてたか。だが仕事と趣味は分けて考えるべきだ。そうだろ?」
「……」
再び女社長は黙った。
偶然とはいえMSの訓練されたアマテがジオンの最新鋭機を盗んできてジオンが追う赤いガンダムと共にクランバトルに堂々と参加しているのは明らかに裏があると考えられても仕方がなさはある。そこに連邦系の人間がバックにいる。3アウト、バッター交代だ。
全て偶然で俺も半分は巻き込まれているようなものなので女社長と似た立場なのだから勘弁してほしいものだ。
「忠告だが……クランバトルからはそろそろ手を引くんだな。そろそろ軍警の末端が痺れを切らしそうだ。それに連邦の動きも活発になっている」
ついでとばかりに軍警の上層部からの垂れ込みを伝える。これは本当にサービスだ。
それと同時に机の拳銃を投げ渡され流れるようにレッグホルスターへとしまう。
「……そうだね。はぁ……早いところ足を洗うべきか」
「まあ、ア……いや、マチュが世話になってる間は俺も少しは協力しよう。なんならアーキバスに来るのはどうだ?」
「遠慮しとくよ」
「つれないな」
「社長お客さんです」
少しは緩やかな雰囲気になったその時、予想外の来客が現れる。
ジャンク屋には場違いなほんわかとした黒髪のボブカットの女性。だが身のこなしと重心のぶれなさからただの一般人でないことが分かる。
顔を再び見て驚愕した。
シイコ・スガイ。
退役したと記憶している自分とは別ベクトルで有名な連邦の撃墜王。
恐らくは連邦のタカ派からの刺客がついに現れた。
◆
「あの女の人、同僚だったりしないの?」
「同じ戦場にいた事はあるが面識はない。それに戦歴で言えば俺と比較する事すら烏滸がましいぞ」
「スーパーユニカムってそんなに凄いんだ」
改札でガンダムを討つと明言した。シイコさんと別れた後、作業の終えたフロイトと公園で話をしていた。
朱を含んだ光が差し込む公園、周りには小学生やら主婦、学生が溢れていた。私の心の内など知らないように賑やかな時間が過ぎていた。
「100機撃墜は常人ではなし得ない。それに俺はどちらかと言うとMAの撃破で評価されてたからな」
「へーMAって何?」
「後で教える。今は魔女について話したい。そう言う気分だ。あの魔女のスティグマは凄いぞ」
「スティグマ?」
「敵機にワイヤーを射出しそれを支点に攻撃、回避を行う。トリッキーで初見では見破れない必殺の戦術だ」
「わざわざワイヤーを引っ掛ける意味あるの?ビームライフル当てればいいだけじゃ無い?」
「それが理想だが戦争の末期では連邦の主力のライトタイプガンキャノンとジオンのゲルググでは性能差がそれなりにあってな。当てるのも回避するのも工夫が必要だった。このスティグマは正しくジャイアントキリングの為の術。いきなり目の前から消えたり遠心力で急に振られたりしたら平常心ではいられないだろう?」
クラスのオタクの男子のように、しかし聞き取りやすい速度で顔をキラキラさせながら楽しそうに語る。
でも今知りたいのはそういうことではなかった。
「ねぇ……シャアって人じゃないのにシイコさんは赤いガンダムのパイロットを殺す気なの?」
「殺すだろうな。復讐に走るMSのパイロットにはありがちだ。パイロットの有無ではなくその機体に憎悪を向ける」
フロイトは語る。
MSで戦闘をしているとモニターに映るその機体に執着や恐怖を覚えてしまう。
戦後でもPTSDでザク、軽キャノンを見るだけで震えが止まらなくなったり、攻撃的な性格に変わったりする人が多いそうだ。
戦場で目立つエース機ではその傾向は顕著らしい。シイコさんは赤いガンダムに対してそれが出てしまっているそうだ。
「どうにか止められないの?」
「双方、死なずに復讐心を無くす。戦場にそういう常識は通じない。どちらかが死ぬまで終わらない死の螺旋。巻き込まれたら下手しなくても死ぬ。やめておいた方が無難だ」
「フロイトならできるでしょ」
期待を込めて少し挑発的に聞く。あれほど強いフロイトだ。本気で殺しに来ている人間を止める方法を知っているはずだ。そうであって欲しかった。
「あるにはある。俺には無理だがアマテお前にならできるやつが」
「本当!?」
「だがやる義理はないだろ。魔女は今日あっただけ。赤いガンダムのパイロットもマヴとはいえ赤の他人。なぜ命を賭ける」
「シュウジは……私のマヴだし友達だよ。人殺しにしたくないし殺されたくもない」
「青いな。……まあ、そういうのもいいか」
フロイトは公園のベンチから立ち上がり私の前へと立った。
「赤いガンダムのパイロットと会わせろ。話はそれからだ」
この作品の次話、ですか?
うーん…すみませんが、聞いたことはありません。
けれど、それがガンダムであれば、視聴するべきは機動戦士Gundam GQuuuuuuXでしょう。
機動戦士Gundam GQuuuuuuXは、日本テレビ系で毎週火曜24時29分に放送していますからね。
また、Amazon Prime Videoで毎週水曜午前1時に最速配信しております。
そこに、ガンダムの源があるという…噂です。
ゴホゴホゴホ……
…この作品は呪われています。
あなた、事情もおありでしょうが、できるだけはやく離れた方がいい。
この作品で何を得ようとも、私には、それが人に良いものとは思えません。