仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダー W×獄王×カラーズ NOVEL大戦トリニティ   作:アカミツ書庫

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 加速する運命は
 交わる時を待つ

 地獄への道も
 ただひたすら走るために


第二話 Wの始動/奇妙な依頼

 妖怪・九尾の狐との戦い、謎の戦士との喧嘩を終えて、私――結月紫は事務所まで戻ってきた。

 事務所の前でバイクを停めていると、背後に気配を感じて振り返る。

 

「ゆかりさん、今戻ったんですか?」

 

 振り返った先にいたのは、黒髪をロングにした上でサイドテールも携えた女性――ミリアル・ボルコフ。かつて水都を震撼させたテロ組織の一員だったが、紆余曲折あって我が探偵事務所の仲間となった人だ。

 ミリアルは買い物袋を片手に提げていた。どうやら買い物に行ってくれていたらしい。

 

「ええ、少し野暮用がありましてね。ミリアルも今帰りですか?」

「はい、所長に買い出しを頼まれまして。それとそのついでに、お客さんを案内してきました」

 

 ミリアルはそう言うと、後ろに居た人物を示す。そこには二人の人物が立っていた。

 一人は白髪混じりの茶髪をした壮年の男性、もう一人は美しい緑色のロングヘアーをした女性だった。

 男性の方が一歩前に踏み出すと、こちらに向かって口を開いた。

 

「やあ、君が探偵かな? こちらのお嬢さんに虚音(うろね)――いや、紲星探偵事務所はここだと案内してもらったんだが」

「っ! はい、私が探偵です。ご依頼ならぜひ中で聞かせてもらいますよ」

 

 男性が口にした言葉に、私は思わず反応する。ひとまず三人を事務所の中に案内することにした。

 

 ☆

 

 男性と女性をソファに座らせ、私はその向かいに座る。更にその隣にあかりが座る。

 男性は一つ咳払いをしてから、口を開いた。

 

「俺は東堂健児。こっちは娘の東堂早苗。水都の隣町で雑貨屋を経営している者だ」

「……よろしく」

 

 男性――健児さんはそう自己紹介を行い、女性――早苗さんが一言返す。

 それを受けて、私も自己紹介を返す。

 

「改めまして、探偵の結月紫です。こちらは所長の紲星燈。早速ですが、依頼をされに来たということですが?」

「ああ、実は人を探して欲しくてね」

 

 健児さんは上着のポケットから、一枚の写真を取り出して、テーブルの上に置いた。

 写真に写っているのは、黒髪黒目の爽やかな顔立ちをしている青年だった。歳の方は20代前半といったところだろうか?

 

「彼の名前は桜井カズキ。ウチの雑貨屋で住み込みで働いている青年だ。彼が数日前から行方不明になってしまってね。最後に向かったのがこの水都なんで、この街で消息を絶ったと思われる。彼を見つけて、保護して欲しい」

「人探しですか。失礼ですが、依頼を受ける前にいくつか確認したいことがあります。よろしいですか?」

「ああ、構わないよ」

 

 私の言葉に、健児さんは朗らかな笑みを浮かべる。対して早苗さんはムッとした表情で腕を組んでいる。

 親子でもここまで違うものか、と思いながら私は質問する。

 

「まず、彼がこの街に来た経緯を教えてもらえますか?」

「ああ、俺が仕事を頼んでね。この街でやって欲しいことがあったんだ。だが、その途中で連絡が途絶えた。何かあったんじゃないかと思ってる」

「なるほど、ちなみにどんな仕事だったかを聞いても?」

「それはーーまあ色々とね。個人的なことだよ」

 

 どうやらその辺りを教えてくれる気は無いらしい。ワケありの依頼人は少なくないが、ここまでストレートなのも珍しい。

 

「分かりました、では次の質問を。彼はこの街に知り合いがいたりしますか?」

「俺達の知る限りでは、いないと思う。一年ほど前に上京して、ウチで働き始めたから、元から知り合いがいたということは無いはずだ。無論、俺達の知らないところで、友達を作っていた可能性もあるがね」

「なるほど」

 

 ひとまず誰かの家に転がり込んでいる可能性は低そうだ。

 私がそう考えていると、健児さんが事務所の中を見回し始める。

 

「ところで、虚音威風(イフ)という男はいないのかな? 実のところ、俺は彼に依頼をしたくてここに来たんだが」

「……おじいさまのお知り合いですか?」

 

 健児さんの言葉に、あかりが口を開く。

 私も思わず目を見開き、驚いてしまう。まさか、おやっさんの知り合いだったとはーー

 

「おじいさま、もしかして君があかり君か。名前が同じでもしかしたらと思っていたが。イフから何度か君のことを聞いたことがあるよ。だから君が所長を務めているんだね」

「はい、今はおじいさまから私が受け継いでいます」

「受け継いだ……そうか、イフはもう……」

「……はい、おやっさんは一年前に亡くなりました」

 

 あかりから引き継ぐように私が説明すると、健児さんはソファに背中を預けて目を閉じる。しばらく無言でそうしていると、やがて目を開いてこちらを向く。

 

「すまない、アイツとはよく仕事で付き合いがあってね。最近連絡を取っていなかったから、死んでいることは知らなかったが――イフの跡を継いでいるのが君達なら、安心して依頼を頼める。引き受けてくれるかな?」

「――そうですね」

 

 私は一言返事をしてから考える。

 おやっさんの知り合いなら、下手にドーパント絡みの事件になる可能性も低いだろう。少なくとも目の前のこの人からは、そういった後ろ暗いものを感じない。

 ならば彼の元で働いていた青年も、犯罪に手を染めるような人物では無いと思える。きりたん辺りに言わせれば、また甘いだのハーフだの言われるかもしれないが。

 私は一つ咳払いをしてから、改めて答える。

 

「分かりました、その依頼を引き受けましょう。良いですよね、あかり?」

「はい、おじいさまの知り合いとなれば、引き受けない理由がありませんから」

 

 私がそう言うと、あかりも賛成してくれる。

 健児さんはホッと胸を撫で下ろしたように、笑顔を見せる。

 

「ありがとう、ではよろしく頼むよ」

「――ちょっと待って」

 

 すると、これまで無言を貫いていた早苗さんが口を開いた。彼女は立ち上がり、こちらを見下ろす形になる。

 

「アタシも一緒に行かせてもらえるかしら。アイツの、カズキのことはよく知ってる。それなりに役に立てると思うんだけど」

「一緒にですか?」

 

 まさか同行を頼まれるとは。気が強そうな見た目からは想像も出来ない要求に少し驚いた。

 とはいえ、依頼人の頼みを断るのは忍びない。私も立ち上がり、右手を差し出して答える。

 

「もちろん、それが依頼人の望みであれば、叶えるのが探偵です。こちらこそよろしくお願いします」

「――うん」

 

 私が差し出した右手を、早苗さんが握り返す。華奢で細い手を握ると、力が入って強張っているのを感じる。この依頼は、彼女にとっても大事な事なのかもしれない、と私は思う。

 

「ひとまず、街で聞き込みから始めようかと思います。それで良いですか?」

「ええ、任せるわ」

 

 早苗さんの了承を得た私は、彼女を連れて事務所を出る。

 バイクの後ろに早苗さんを乗せて、私は水都市内へと走り出した。

 

 ☆

 

 十数分ほどで私達は市街地に辿り着いた。

 探偵の基本は聞き込みからだ。道行く人に写真を見せて、桜井カズキのことを見ていないかどうか聞いていく。地味に見えるが、これが一番大事なことなのだ。

 しかし――

 

「……目撃者がいませんね」

 

 二時間程駆け回ったが、目撃者はいなかった。馴染みの人々からも有益な情報は出てこなかった。

 やはり大きな騒ぎや問題を起こしていないような人だと、早々人の記憶には残らないようだ。

 

「ねえ、本当に見つけられるの?」

「ま、まあ、最初のうちはこんなものですよ。探偵の仕事は気力と忍耐が大事なんです」

 

 早苗さんが疑惑の視線を向けてくるので、ひとまず誤魔化しておく。

 ううっ……じっと見てくる視線が痛い……!

 私がそんな風に考えていると、目の前に一台のバイクが停まった。

 

「ゆかりやないか、何してるんや?」

「ついなさん!」

 

 こちらに声をかけてきたのは、赤みがかった白髪をドリルのようなツインテールにした女性――如月(きさらぎ)追儺(ついな)

 ついなさんはバイクから降りて、こちらに歩み寄ってくる。

 そんな彼女を見て、早苗さんが問いかけてきた。

 

「知り合い?」

「はい、如月追儺さん。水都署の警視さんです。私とは仕事でよく付き合いがあるんですよ」

「そういうことや、よろしくなお姉さん。それにしても、随分な美人さんやな。デートでもしてるんか?」

「いやいや、そんなわけないでしょう。依頼人ですよ、彼女は」

 

 私がそう言うと、笑顔を浮かべていたついなさんも真面目な顔付きになる。仕事モードになったらしい。

 私は早苗さんに許可を取り、桜井カズキを探していることを話した。

 

「ふむ、人探しか。あいにく今のところは警察の方にもそういう情報は入ってへんな」

「そうですか、私も街の人々に聞いて回ってるんですが、まだ有益な情報は無いんですよね」

「何か事件に巻き込まれてるなら、何かしら痕跡があるはずやからな。ただ単に出掛けてるってことはないんか?」

 

 ついなさんがそう言うと、早苗さんが答えてくれる。

 

「それは無い――と思う。アイツは真面目だから、どこかに出掛けるなら必ず連絡をくれる。それも無しに帰ってこないなんて、ありえないわ」

「ふ〜ん、随分と信頼しとるんやな。それなら早いところ見つけたらんとな」

「……別に、そんなのじゃないわ」

 

 早苗さんはそう言って、そっぽを向く。

 だがその耳はうっすらと赤くなっている。図星を突かれて恥ずかしくなった、というところだろうか。

 

「――まあ、早く見つかることに越したことはありませんからね。必ず見つけ出しますよ」

 

 私はそう言って、二人と更に会話を進めるのだった。

 

 ★

 

 ゆかり達が街で捜査を行なっていた頃。

 その姿を密かに眺めている存在がいた。

 《ソレ》は闇の中でうごめきながら、自身の端末となる羽虫を通して、ゆかり達の様子を伺っていた。

 

「ようやく見つけたぞ、仮面ライダー共。それにあの女は――」

 

 羽虫の視界が早苗に向けられると、《ソレ》は邪悪な笑みを浮かべる。

 

「ああ、奴の記憶にあった女か。ならばあの女も殺してやらねばな。全てを奪って、絶望する顔を拝まねばならんからな」

 

 《ソレ》が右手を動かすと、闇の塊のようなドス黒い煙が現れ、どこかへと消えていく。

 《ソレ》は笑みを深めると、心底愉快そうに語る。

 

「とはいえ、まずは小手調べだ。ゆっくりとじわじわと、嘆き苦しませてからの方が楽しいからな」

 

 ★

 

 最初に気付いたのはついなだった。その次にゆかりが気付く。

 自分達に近付く嫌な気配。それがまもなく現れることに。

 戦いの中で鍛えられた直感のようなものが、危機が近付いていることを知らせてくれる。

 

「ーーゆかり、何か来るぞ」

「ええ、私も感じました。早苗さん、私達のそばにいてください」

「え? ――分かった」

 

 真剣な表情を浮かべる二人に何かを察したのか、早苗も素直に頷く。

 すると、三人の目の前に異変が起こる。

 空間が歪んだかと思うと、そこから無数の石ころのようなものが落ちてくる。その石ころは地面に落ちると、変化を起こす。

 一瞬で巨大化すると、人型の怪物へと姿を変えていく。それは灰色の小さな鬼のような姿で、右手に短い棍棒を持っている。瞳は黒く、体型は一・五メートル程の大きさである。

 ゆかりとついなは初めて見る相手に怪訝な顔をするが、早苗は驚いた表情を見せる。

 

「コイツらは……餓鬼(がき)!? なんでこの街に……!」

「餓鬼? 早苗さんは奴らを知ってるんですか?」

「ゆかり、話は後や。コイツらはウチらのことを狙ってるみたいやぞ」

 

 ついなが言う通り、餓鬼共はゆかり達を見据えて構えている。明らかにこちらに敵意を持った姿であった。

 ゆかりは疑問をひとまず置いておき、上着の内側からダブルドライバーを取り出す。

 そして隣に立つついなも、懐からある物を取り出す。

 それはバイクのハンドルとメーターをかたどったような物――アクセルドライバー。

 ついなはドライバーを腰に装着、更に自らが使うガイアメモリを取り出す。

 

「行きますよ、きりたん!」

『むっ、またですか。今日は忙しいですね』

「よっしゃ、ウチも張り切るかぁ!」

 

《サイクロン!》

《ジョーカー!》

《アクセル!》

 

 ゆかりがジョーカーを、事務所にいるきりたんがサイクロンを掲げる。その隣でついなもメーターの形を表したAのメモリ――アクセルメモリを掲げ、同時にあの言葉を叫ぶ。

 

「『変身!』」

「変っ……身!」

 

《サイクロンジョーカー!》

《アクセル!》

 

 ゆかりの姿が仮面ライダーダブルに変わり、ついなの姿もまた変わる。

 全身が赤い装甲に覆われ、頭部にはアルファベットのAをかたどったパーツが付けられて、複眼が青く染まる。背中と両足にはバイクの車輪を思わせるパーツがその存在感を主張する。

 これこそが仮面ライダーアクセル。水都を守る第二の仮面ライダーである。

 

「さあ、行きますよ。きりたん、ついなさん!」

『ええ、手早く済ませましょう』

「さあ、振り切るで!」

 

 ダブルとアクセルが走り出すと、餓鬼達も二人に向かって殺到する。

 まるで最初から彼女達を狙っていたかのように、迷いなく向かっていく。

 その光景を見た早苗が、一人で呟く。

 

「アイツらも――仮面ライダー……!」

 

 その視線の先で、ダブルとアクセルが餓鬼達とぶつかり合う。

 素早い身のこなしで敵を薙ぎ払うダブル、重さを感じさせるパワフルな動きで吹き飛ばすアクセル。

 二人が強いことを感じ取ったのか、餓鬼達もわずかにたじろぐ。その隙を突いて、ダブルとアクセルはメモリを取り出す。

 

《トリガー!》

《エンジン!》

 

 ダブルはドライバー左側のメモリを青いトリガーメモリに交換。アクセルは専用武器であるエンジンブレードとエンジンメモリを取り出し、メモリをブレードに装填する。

 

《サイクロントリガー!》

《エレクトリック!》

 

「ハアッ!」

「食らいやっ!」

 

 ダブルが持つトリガーマグナムから、風を纏った弾丸が放たれて餓鬼の身体を撃ち抜いていく。速度の速い弾丸が殺到することで、複数の餓鬼の動きを封じていく。

 対してアクセルは、電撃を纏ったエンジンブレードを振り回して、餓鬼共を切り裂いていく。剣から流れる電撃が、餓鬼の全身を痺れさせて動きを止める。

 前方にいた餓鬼が動けなくなるのを見て、後方に控えていた餓鬼共が、忌々しげに唸り声をあげる。

 

「コイツら、やはりドーパントではないですね。本当になんなんですか?」

『先程の九尾の狐と同じ、妖怪という存在と見るべきでしょうか。どうにも興味深いです』

「妖怪やと? なんか聞いたことがある気がするな」

「本当ですか、ついなさん?」

 

 三人が話していると、背後から物音が聞こえる。

 振り返ると、二体の餓鬼が早苗の近くに立っていた。どうやら戦いの最中に隠れて回り込んでいたらしい。

 ダブルとアクセルは、急いで早苗の元に駆け寄ろうとする。

 

「『危ない!』」

 

 思わず叫ぶダブル。

 だが、早苗は慌てることなく餓鬼と対峙する。

 一体が棍棒を振り下ろすと、早苗はそれを横に避ける。そのまま硬直している餓鬼の顔面に向かって、掌底を叩き込む。まともに受けた餓鬼は軽く吹き飛ぶ。

 更に早苗は、もう一体の餓鬼に向かって、回し蹴りを叩き込む。スカートがひるがえるのも気にせず、力を込めて蹴りぬく。

 顔面を蹴られた餓鬼は、一体目と同じく吹き飛んで、仲良く地面を転がった。

 目の前で起こったことに、ダブルとアクセルも思わず驚いた。

 

「えっ……強くないですか?」

『生身であんなに動けるとは……』

 

 困惑するダブル、それを見て体勢を戻した早苗が叫ぶ。

 

「アタシは大丈夫だから、早くコイツらを倒して!」

 

 早苗の叫びに我に返り、ダブルとアクセルは地面に倒れている餓鬼を起こしてから投げ飛ばす。

 

「っ! 分かりました!」

「しゃあ、ぶっ飛ばすで!」

 

 トドメを刺すべく、ダブルはサイクロンメモリをトリガーマグナムに装填し、銃身を起こしてマキシマムモードにする。

 隣のアクセルは、エンジンブレードの刀身を倒し、エンジンメモリを一度引き抜いてから再装填、トリガーを引いて構える。

 

《サイクロン! マキシマムドライブ!》

《エンジン! マキシマムドライブ!》

 

「『トリガーエアロバスター!』」

「ハアッ!」

 

 ダブルが片手で構えたトリガーマグナムから、無数の風の弾丸が放たれる。それは面制圧に長けた弾幕となり、餓鬼の集団を貫いていく。

 アクセルはそこから逃れた餓鬼達に向かって走り出す。そして、エネルギーの込められたエンジンブレードで切り裂いていく。その軌跡はまるでAの文字をかたどったようになっていた。

 《ダイナミックエース》と呼ばれる、アクセルの必殺技である。

 

「絶望がお前達の、ゴールや」

 

 アクセルがそう呟くと、餓鬼達の身体が爆発する。

 ダブルに撃たれた方も全員が爆散して消滅した。

 

「これで、片付きましたかね?」

『おそらくは。少なくとも近くにはもういないようです』

 

 そう呟くと、ダブルはふう、と息を吐いて、トリガーマグナムを下ろす。

 アクセルも残心を解いて、ダブルの元へと戻ってくる。

 

「なんとかなったな。しかし、けったいな相手やったな。ドーパントではなく、妖怪やったっけ?」

「ええ、多分ですけどね。ついなさんは何か知りませんか?」

「う〜ん、方相氏(ほうそうし)としてどこかで聞いた気はするんやけどなぁ」

「それはアタシが説明するわ」

 

 そうして話している二人に、背後にいた早苗が声をかける。

 

「早苗さん、あなたは妖怪について知ってるんですね? さっきもあの怪物を餓鬼と呼んでましたし」

「ええ、よく知ってるわ。()()()()がずっと戦っている相手だからね」

『アタシ達……?』

 

 疑問符を浮かべるダブル達。早苗は彼女らを見据えて、口を開いた。

 

「奴らは《妖怪》。人を喰らい、人を殺し、平和を脅かすバケモノ。――そして、アンタ達に探して欲しいと頼んだ男、桜井カズキは奴らと戦う《仮面ライダー》。アンタ達と同じ、ね」

「桜井さんが……仮面ライダー……?」

『これは――興味深いことになってきましたね」

 

 早苗の告げる事実に驚愕するダブル。

 今回の依頼は、いつも以上に難解なものになりそうだと、彼女達は思うのだった。

 

 ★

 

 一方その頃、赤獅子(あかじし)ダイヤとレイ・キリエは、水都のとあるビルの屋上にいた。

 ダイヤは屋上の端に座り込んで、ハンバーガーを食べている。その近くにはバーガーショップの袋が大量に投げ捨てられている。

 レイはその隣に立ち、彼の様子を眺めていた。

 

「ダイヤさん、そんなにたくさん食べてたら、身体壊しちゃいますよ」

 

 呆れたような表情でレイはそう言う。

 対するダイヤは、不機嫌そうにハンバーガーを頬張りながら答える。

 

「食わずにいられるかってんだ。ただでさえハヤトのことで苛立ってたのに、カズキまでいなくなっちまったんだぞ。それなのにオレはなんにも出来てねぇ。食わなきゃやってられねえよ」

「それはそうかもしれませんけど……」

 

 変わらずハンバーガーを食べ続けるダイヤ。

 ここ最近で立て続けに起こる事態に対して、非常に苛立っていた。

 レイも同じ気持ちであったが、ダイヤほど落ち着きを失ってはいない。とにかく彼を止めようと、さらに声をかけようとした時。

 

「随分と苛立っているようだね。あまり良い状態とは言えないな」

 

 二人の背後から、誰かの声が聞こえてくる。ダイヤとレイは、すぐさま背後を振り返る。

 屋上の出入り口の辺りに、一人の人物が立っていた。

 それは白髪の上に色鮮やかな六色のメッシュを入れた中性的な人物。ダブルとダイヤの戦いを見物していた者だった。

 

「君達の色は、《赤》と《紫》。でも今はその色が、不安や怒りに混じって鮮やかさを失いかけている。そんな人達を放っておくことはできないね」

「――誰だ、テメェ」

 

 奇妙なことを口走る相手に対して、ダイヤは苛立ち混じりの警戒心をあらわにする。その場から立ち上がり、真正面から相手を見据える。

 そんな彼の様子を見て、メッシュの人物は穏やかな口調を崩さずに続ける。

 

「そんなに警戒しないで欲しいな。ボクも君達と同じような立場にいる人間だよ」

「――なに?」

「ボクの名前は染谷(そめたに)色希(しき)。そして、仮面ライダーカラーズ。君やこの街の守護者と同じ――仮面ライダーである者さ」

 

 その言葉に、ダイヤとレイは驚きの表情を浮かべる。

 ダブル、獄王、そしてカラーズ。

 三人のライダーが交錯する時は、近い。

 




☆キャラ紹介

 ミリアル・ボルコフ…『ボイロ探偵W』の登場人物。
 元はテロリストだったが、色々あって探偵事務所入りした。
 元ネタはCoeFontのミリアル

 虚音威風…『ボイロ探偵W』の登場人物。
 結月紫の師匠にして、紲星燈の祖父。
 本編一年前に死亡している。鳴海荘吉ポジ

 如月追儺…『ボイロ探偵W』の登場人物。
 国家特別捜査官「方相氏」、怪奇事件専門の捜査官。現在は水都署に勤める。
 仮面ライダーアクセルの変身者でもあり、ダブルの仲間。照井竜ポジ。
 元ネタはついなちゃん

 東堂早苗…『仮面ライダー獄王』のメインヒロイン。
 勝ち気で高圧的、だがその内には他人を思いやる優しさを持つ。ツンデレ。
 
 東堂健児…『仮面ライダー獄王』の登場人物。
 早苗の父親で常に冷静さを保った穏やかな人物。おやっさんポジ。
 虚音威風とは知り合いだった模様。

 桜井カズキ…『仮面ライダー獄王』の主人公。
 水都で消息を絶ったようだが……?

 染谷色希…『仮面ライダーカラーズ』の主人公。
 人の魂を色として見ることができる能力を持つ。
 中性的で男女どちらとも取れない風貌。

 ここまでお読みくださり、ありがとうございます。
 前回から一ヶ月半ほど経って、ようやく続きを提供することができました。お待たせして申し訳ない。
 今回はボイロ探偵と獄王のキャラが、より多く絡む話になりました。ひとまず予定通りに進んでホッとしております。ここからは少しずつギアを上げていくことになります。
 三作品のキャラが徐々に揃っていく状況、果たしてどうやって収束していくのか。ご期待いただければ幸いです。次回はもう少し早く提供できるようにしたいところです。

 それでは今回はこの辺で。
 次回もお楽しみに。
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