トリガーの王子様   作:ワシの煩悩は百八式まである

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第6話

 

「忍田本部長、どういうつもりじゃ!」

 

「どういうつもり?……それはこちらのセリフだ。彼が有吾さんの子供だと証明するものが幾つか出てきた、彼自身に害意は無いのは分かっている。それなのにも関わらずトリガーを強奪しようとした……次があると言うのならば私が相手になるぞ」

 

「……成る程、ならば次は天羽を」

 

「止めておいた方が良いですよ……天羽が出て来ても今のオレ達なら倒せる。オレ達のサイドエフェクトがそう言ってる」

 

「迅……貴様っ……」

 

「まぁまぁ、話し合いましょうよ」

 

 太刀川達を全滅させた後にボーダー本部に足を運んだ。はじめて来るが偉い人達が如何にもな対立をしとる。

 迅がスラッと現れればよくも反逆してくれたのとタヌキみたいなおっさんが睨みつけるが迅は話し合いをしようという

 

「そうですね……ここは1つ交渉といきましょう」

 

「き、君は芸能人の君島!何故ここに!?」

 

「交渉ですよ……交渉人と言えば私ですからね……プリッ」

 

「!?」

 

 君様にイリュージョンして会議室に入ればキツネみたいなおっさんが驚く。

 芸能界で活躍し、スポンサーが引く手数多過ぎるが故に高校卒業後にスポンサードラフト会議が行われ、くじ引きでスポンサーが決まる君様にイリュージョン。交渉する場所じゃから交渉のスキルを持っちょるからの……迅がこっちにおるから便利じゃのぅ。

 

「き、君島じゃない……そうか、太刀川が言っておった迅のモノマネをしていた奴か!」

 

「そうです……私が誰なのか分かったところで1つ、交渉を……ここに迅くんの師匠の形見、風刃があります。それを差し出すので今度玉狛に入る新人を認めてくれないでしょうか?」

 

「君じゃなかった、仁王。その姿だと交渉スゴく上手なの分かるけどオレに任せてくれよ」

 

「まったく……オレがここに居る意味が無いぜよ」

 

「ど、どうなっとるんじゃ!?さっきからこの小僧と君島が……」

 

 君様のスキル、交渉を用いればよりスムーズになる。

 じゃけんども予知能力がある迅は自分が交渉するから見るだけにしてくれという。君様の交渉が出来ないならばオレが居る意味は殆ど無い。タヌキのおっさんが君様とオレが交互に視えることについて驚いている。

 

「仁王雅治、三門市立三門第三中学校3年。元硬式テニス部部長……テニスのプレイスタイルはオールラウンド、一流選手を変幻自在のイリュージョンと呼ばれるほどのモノマネテニス、例えるならば落語家が落語で煙草を吸う、蕎麦を啜る真似をしてホントに吸っている、食べているかと思わせる程に高度なモノマネで今年の夏に硬式テニス団体戦全国3位、個人シングルス優勝、個人ダブルス全国ベスト8,昨年はU−14の1人に選ばれて主にダブルスで世界と戦い日本を優勝に導いたダブルスの名手」

 

「唐沢くん、知ってるのかね!?」

 

「知っているもなにも、迅くんに頼まれましてね。どうにかして彼を玉狛支部に入隊させたいから手伝ってくれと……迅くんがスポンサー獲得や契約更新等の交渉の時に1回現場に来て手伝ってくれるで手をうちました」

 

 外務担当の唐沢さんがオレのプロフィールを言う。

 キツネみたいなおっさんが驚いとるけども唐沢さんは何事も無かったかの様にサラッと裏で交渉されている事を言う

 

「裏切ったのか!?」

 

「彼は近界民じゃないこの三門市の市民です……どうして彼をスカウトしたいかは聞いてないですが、迅くんを交渉の場に持ち込めるのは強い……例えば迅くんを遠いところに置いてその間に太刀川達を玉狛支部になんてね」

 

「なっ、何故それをしなかったのかね!?」

 

「採算性が取れないんだと思いますよ……オレの行動を物理的に制限したとしても玉狛には小南達が居るし実際に遊真から黒トリガーを奪うには遊真を倒さないといけない。オレが居ないとしても小南達を倒してからの黒トリガーはいくら太刀川さん達でもキツすぎる。奪うことが出来たとしてもそのトリガーは黒トリガー、誰でも使える物じゃない。適合者が居ない可能性が高い……オレ達との溝を深めて必死になって手に入れても使い物になりません、なんの成果も上げられませんでした……無駄じゃないですか?」

 

「む……」

 

「確かに……」

 

 空閑の持っとるトリガーは特定の人間しか使えん。必死こいて奪うことに成功しても全くと言って使えんのは骨折り損じゃ。

 トリックスターな迅を物理的に足止め出来る。迅そのものが現れるだけで充分な妨害工作になる。その迅を止める手を、可能性が低くてこっちに対して他にプラスになる利益がある要素があったりするのに使うのは盛大なまでに勿体無い。

 タヌキのおっさんもキツネのおっさんもそう言われればそうだなと納得をする。

 

「まぁ、概ねそんなところだね……迅くんを足止め出来る権利はいざという時にまで取っておく……今はその時じゃない、ただそれだけです……迅くんから聞きましたけど、この前のトリオン兵は偵察用のトリオン兵……人型近界民が本格的に侵攻する未来がボンヤリとだが視えているとも言われましてね……こんなところで迅くんを足止め出来る権利は使えない」

 

「むぅ……」

 

「じゃからと言って親父を人質に取るんは止めてくれんかのぅ?」

 

「……唐沢くん、なにをしたんだね!?」

 

「いえいえ、彼のお父さんが市役所の職員らしいのでボーダーに対応する部署にとね」

 

「脅しじゃないか!?」

 

「いいえ、ホントにボーダーに対応する部署に転属は決まりましたよ」

 

 ホントに減らず口を……絶対に裏でボーダーに対応する部署に転属させたんじゃろう。それも迅を使って。

 親父がボーダーに対応する部署の人間になる……あんまりいい気分じゃなか。何かの拍子でボーダー本部にやって来ててボーダー本部が襲撃されたとかになったら洒落にならんぜよ。

 

「それに彼とは別口で契約はしましたよ」

 

「……一応聞きたいんじゃが、アレって汚い金かの?」

 

「いや、オレがサイドエフェクトで宝くじの当たり番号予知して手に入れたから公平な金だぞ」

 

「唐沢くん、ホントになにをしたんだ!?」

 

「ボーダー側がスポンサー契約をすると言う形で彼と契約したんです」

 

「そういうのは私にも話を通してくれないと困るんだがねぇ……」

 

「その事については今は置いておいて……どうします?まだやり続けますか?オレは風刃を差し出しますよ」

 

 勝手にスポンサー契約したことに関してキツネのおっさんがいい顔をしない。

 キツネのおっさんはメディア関係担当じゃからスポンサー契約云々は割と大事な話……そして唐沢さんから受け取った数千万円は迅のサイドエフェクトで得た金……危ない汚い金じゃなくてよか。

 迅は風刃を差し出す。そこで考える。使えるかどうか分からないトリガーよりも色々と知ってる風刃が手に入る……それはとても魅力的、じゃけんども風刃って要するに斬撃を遠隔から飛ばす能力以外は無くて空中を飛んどる相手とかに相性が悪いんやないのか?

 聞いた話じゃ空閑は相手の能力を自分のスペックで再現するトリガーを持っとる、オレのイリュージョンも負けるとは言わんが互角ぜよ。

 

「…………いいだろう……空閑遊真の入隊を」

 

「違いますよ……玉狛支部に入隊するのは遊真以外に2名居る。それに加えてメガネくんが玉狛の子になる。それも認めてください」

 

「……空閑遊真達の入隊及び三雲隊員の玉狛支部転属を正式に許可しよう」

 

「ありがとうございます」

 

 とりあえず入隊の許可は認められた。言質は取ったから後は色々と出来る。

 

「迅……唐沢さんを使ってまで彼をスカウトした、その理由を説明するんだ。家族を人質に取るだなんてっ……」

 

「いや、コレに関してはオレが完全に悪いって事で……とはいかないか……」

 

 本部長さんがオレをスカウトしたことについて言ってくる。

 いくらなんでも最低な事をしていると説明を求められる。迅は自分が悪で構わないと言うが流石にコレは問題があると視線が訴えている。

 

「……まだちゃんと調べたわけじゃない、と言うかどういう感じで調べればいいのか分からないんだけど仁王は……なんだっけ?」

 

「ミラーニューロン」

 

「そう、それ。ミラーニューロンが人より強いサイドエフェクトを持っている……ボーダーに所属してくれたら色々なところで掛かる負担が少なくなるし可能性の幅を広げることが出来る。現に仁王は風間さんを倒すっていう快挙を成し遂げてる……」

 

「……迅、曖昧な言葉で真実を隠すな……正直に言え」

 

「はぁ、ダメか……じゃあ、ハッキリと言うよ。仁王はオレと同じサイドエフェクトを使える」

 

「!?」

 

 意味深な言葉や曖昧な言葉を使って言わない迅。

 ボーダートップの城戸さんが具体性に欠けているからハッキリと言えと言えば迅は自分の予知をオレが使う事が出来るとハッキリと言うた……迅はコレはあまり言いたくないと思っとう。まぁ、自分の能力が便利で何かの拍子で敵対したら尋常じゃなきぐれえ厄介じゃから当然と言えば当然。

 

「……それは……ホントなのか?」

 

「動揺したのぅ……まぁ、結論から言ってオレのモノマネ細胞ことミラーニューロンは人より強い。サイドエフェクトっちゅうのに分類されとる。故に動きだけじゃのうて能力もイリュージョン(モノマネ)が出来る……流石に風刃の適合者になるとかそういう外部関係は無理じゃったが肉体関係やったら大抵のもんは真似出来る。サイドエフェクトは道具じゃのうて肉体由来の能力、人間の能力の延長線上にあるもん、じゃからイリュージョン(モノマネ)が出来た」

 

 今まで動揺らしい動揺を見せとらんかった城戸さん。

 オレが迅の真似事を出来ると言うのが分かれば嘘だろうと驚いている……まぁ、この場に居る全員が驚いている。

 

「迅と同じ」

 

「同じじゃなか……あくまでもオレがイリュージョン出来るレパートリーの中に迅が入っとるだけじゃ」

 

「なら影浦や村上のサイドエフェクトも」

 

「会ったことは無いが迅のサイドエフェクトがサイドエフェクトの中でもS級の超感覚らしいからそれよりランク低いのはどうにかなるのぅ」

 

「成る程、確かに多少強引とは言えスカウトはしなければならないか」

 

 迅のサイドエフェクトをイリュージョンすることが出来るが、迅のサイドエフェクト限定じゃない。

 他にもサイドエフェクトを持っとる奴等がおるんなら理論上はコピーすることは可能じゃ……まぁ、流石に口頭だけじゃイリュージョンは出来ん、1回見んと出来んがの。唐沢さんは多少の無茶をしてもスカウトする価値はあると納得をしてくれた。

 

「入隊は認めてもらいましたし仁王を多少強引な手でスカウトした理由も納得がしましたよね?じゃあ、この話はコレで終わりだ」

 

「……おまん、卑怯じゃのぅ……ま、ええかの……オレは今まで通りにいかせてもらうぜよ」

 

 迅と同じサイドエフェクトを使える、そんな奴が居るならば迅は完全に不要になる。

 じゃから先にオレ達が玉狛支部の一員として入隊する、それを認めさせた……卑怯じゃのう……。

 

「ああ、そうじゃ。さっき言っとった情報1つ間違っとる……オレはダブルスの名手じゃのうてダブルスの方が使いやすいから出されるだけでシングルスの方が強い、当時の代表達はダブルスも出来るけどシングルスの方が得意な奴等ばかりでの、必然的にフォロー担当になったんじゃきぃ」

 

 そこは言っとかんと気が済まんぜよ

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