トリガーの王子様 作:ワシの煩悩は百八式まである
オレ達の入隊を認めさせた。太刀川達と出会ったとしてもあんまりいいイベントは起きん。
普通に何事も無かったように日常を送っとる。
「ニオーは毎日玉狛支部に来ないんだな」
「本業がボーダーじゃないからの……しかし、三雲の奴遅いのぅ」
学校が終わったのでそのまま玉狛支部に直接向かう。
しかし三雲の奴が遅かった。呼び出しをくらっとる……一応は授業態度とかは模範的な生徒じゃから怒られる事は無い筈じゃがの。
「遊真くん……仁王先輩お疲れ様です。……修くんは?」
「オサムの奴はこーちょー室に呼び出された」
「……え!?」
「なにしたんじゃろうか……暴力事件に巻き込まれたとかかのぅ」
「今までのオサムの態度から見て否定出来ないのがなんとも言えない」
「修くんだからね」
ホントになんで三雲が校長に呼び出されたのかが分からんぜよ。
見えないところで暴力事件に巻き込まれたとかそういうのが普通にありえそうで怖い。
幼馴染のトリオン怪獣こと雨取も三雲ならばありえるかもしれないと説を否定しきれん……説を否定しきれんのが三雲らしいのぅ。
「遅れてすまない」
「大丈夫だよ、今来たところだから」
「オサム、なにやらかしたんだ?」
「……どうしてやらかした前提なんだ」
「だってオサムだし」
雨取が来て10分ぐらいしてから三雲が来た。
空閑がなにをやらかしたかを聞けばやらかした前提なのをツッコまれるがオサムだからで解決される。
「校長先生に呼び出されたって、なにがあったの?」
「……卒業式の答辞をしてくれないかって」
「荷が重くないか?」
「トージ?」
「簡単に言えば代表者が挨拶をする事だよ……修くんが?」
三雲の奴、校長に卒業式の答辞を頼まれてたみたいじゃった。
答辞がなんなのか分からん空閑が聞けば千佳が答えるがどうして三雲が?となる。
「普通は生徒会長がするものだよね?」
「その筈なんだけど……辞退したって」
「まぁ、嫌々やっとったらしいからの」
そういうのは普通は生徒会長がするものだと言うが、確か生徒会長は誰も出んくてくじ引きで代表者決めてそのまんま当選、なぁなぁで生徒会長やっとった。答辞の挨拶なんかしてられんと思って先日のヒーローの三雲に押し付けた、そんなところじゃろう。
「引き受けたのか?」
「ああ、台本は既に完成してるらしいからそれを読み上げればいいだけだからって……台本は貰ってる」
「本じゃのぅて手紙じゃのう」
空閑が結局引き受けたか聞けば引き受けた事を認める。卒業生の答辞は台本読めばええだけじゃから三雲にお鉢が回ってきた。
既に台本は出来ていると蛇腹折りされとる手紙を出す……人前に出て緊張してアガるタイプじゃないしマイクを使うから数回練習すればいいこと。
「仁王。根付さんからコレ書いといてくれって頼まれたから書いといてくれ」
「プロフィール欄か……了解じゃ」
そんなこんなで玉狛支部に向かえば林藤支部長がプロフィールを記入してくれと1枚の書類を渡してきた。
使っとるラケットとか身長とかそう言うのを書かないといかん、そこからメディアに対してどうやって売り込むのかを考える。
メインはテニスプレイヤー、副業はボーダー隊員。じゃから嵐山隊の様な売り出し方は出来ん。まずはオレからデータを集めてと言ったところ。流石にここでペテンにかけるわけにはいかんから真面目に書かんとな。
「え〜っと……冬の雪解けが」
「なにしてるんだ?」
「烏丸先輩……その、中学の卒業式の答辞を任されまして」
「そういうの生徒会長の仕事じゃないのか?」
「その生徒会長が辞退したんですよ」
モサッとしたイケメンが三雲の答辞を見てなにをしとるんじゃと聞き三雲は説明する。
そう言えば修は中学3年生だったなとここで思い出す……後輩じゃから威張るというのは烏丸先輩はしない。パイセンは威張りたいが。
「なんで修なの?……もっとこう、部活動の部長とか……仁王、あんたテニス部の部長だったんでしょ?」
「パイセン、オレは校長から嫌われとるんじゃよ……」
「あんた…………なにしたのよ?」
「ちょっと今年の校長の夏のボーナスを破産させての……いや〜思い出すだけでも涎が出そうじゃ。エンペラーブリアンは」
気の所為か何時来ても居る気がするパイセン。
因みにじゃが今は学校の宿題とかを終わらせる勉強の時間、空閑が自分の名前が漢字で書けなかったり分数の四則演算が怪しかったりするのが判明したりしたから一般教養を学ばないかん時間じゃ。1つ下の雨取は中学2年じゃから普通に学校から課題なり宿題なり出とる。家でやるよりも成績の良いパイセンとか頼れるメガネ女子の宇佐美先輩がおるから玉狛支部の方が意外と効率が良い。
「オレがテニスで全国行ったのは知っとりますじゃろ?……全国行けたから団体戦のメンバー食べ放題で1番高いコースの焼肉奢ると校長が言うた後に個人戦で優勝したから食べ放題じゃなか注文形式の焼肉屋に連れてってもらった。優勝したオレは特別にシャトーブリアン3皿まで許された」
「シャトーブリアン……なんだそれは?」
「とりまる、知らないの?焼肉の中で1番高い肉よ、食べ放題じゃまず置いてない注文形式の方でも置いてるとこ少ないわ」
シャトーブリアン3皿まで許された事を言えばそもそもでシャトーブリアンが分からん烏丸先輩。
最高級の肉だと分かればそれは自分が知らなくて当然だと納得をするが……まぁ、程遠いと言えば程遠いの。
「校長が注文形式の焼肉屋に連れてきてもらって……そこ、肉屋から直接卸しとる焼肉店で肉のレパートリーが豊富でシャトーブリアンがありまして……1皿、9000円じゃったかの?」
「9000円、だと……………それを三皿だから27000円……」
明らかに住んどる世界が違うとショックを受ける烏丸先輩……まぁ、普通に手が出んの。
「シャトーブリアン3皿まででそれ以外はなんでも好きに頼んでええ言われたから……その店、常連客になったらエンペラーブリアン出す店で交渉してエンペラーブリアンを出してもらった……シャトーブリアンは3皿までじゃがエンペラーブリアンは全く制限されとらんかったからの、団体戦のメンバーで店から無くなる程に食い尽くしたぜよ」
「仁王……名前からしてエンペラーブリアンはシャトーブリアンの上位互換だと思うから聞かないが……お前」
「シャトーブリアンは3皿まで、しかしエンペラーブリアンと言う商品は制限されとらん……お会計が100万以上で校長の夏のボーナス破産させたぜよ。それを恨まれとるんじゃ」
「……いや、あんたが悪いじゃない!?」
校長の夏のボーナス破産させた話、単純に焼肉を食べて破産させただけじゃい。
パイセンはオレが悪いと言うがオレはちゃんと言いつけ通りシャトーブリアン3皿で済ませた……エンペラーブリアンは何皿かは忘れたの。
「焼肉奢ってくれる言うたんは校長じゃ。オレが個人戦で優勝したから食べ放題じゃなか注文形式の焼肉屋になった……奢る言った校長が中学生の胃袋をナメとったんじゃよ」
「…………あんたに仮に焼肉奢ることになったら食べ放題にしないといけないわね……」
校長の夏のボーナス破産させた事について語ればパイセンは下手に焼肉が奢れないと危惧する。
あん時は校長が言った通りに食ったからオレは悪くない……オレは悪くねえ!!
「記入するところが多いのぅ」
「え〜っと……身長、体重、利き腕、通ってる学校、足のサイズ、視力、得意技、プレイスタイル、使用しているラケットとシューズのメーカー、学年、クラス、出席番号、得意科目、苦手科目、入っている委員会、誕生日、星座、血液型、趣味、家族構成、好きな色、好きな食べ物、今一番欲しい物、苦手なもの、女性のタイプ、デートに行きたいところ、テニス以外の特技、小遣いの使い道、座右の銘、好きな歌、好きな映画……」
「……もうすぐ中学卒業じゃから書いても直ぐにプロフィール更新せんといかんのが腹立たしい」
プロフィールを記入していくんじゃが記入するところが多い。
もうすぐ中学卒業じゃから学校関係をリセットせんと……最低でも後4回はコレを書かんといかんのは手間じゃの。
「明らかにプライバシーの侵害なところがあるけど、いいのか?」
「まぁ、プロになるっちゅうんはそういう事じゃと認識しとるからの」
好みの女性とか明らかに要らないプロフィールだと三雲は思っとるが、プロはプロフィールを出すもんじゃ。
そういう事に関しては文句は言わん……ただの、このご時世に手書きはめんどくさい。パソコンでどうにかならんかの。
「しかし、
「烏丸先輩、オレはまだプロじゃないぜよ」
「……スポンサーが付いてるってのはプロじゃないのか?」
黙々とプロフィール欄を書いていると烏丸先輩がプロテニスプレイヤーが居るのが実感出来ないという。
まず大前提に言うことがある。それはオレはまだプロじゃないと言うことだ。
「違いますよ……テニス協会からプロ認定されんとプロになれんとです」
「でも仁王は世界大会に出て中学生プロテニスプレイヤーを倒したんだろ?」
「そうじゃけどそれはそれこれはこれでのう……まぁ、ボーダーの個人ランク戦みたいにポイント稼いでランキングを上げてったら書類審査通ればプロじゃきぃ。オレが今までに出た大会の殆どは中学生の部活動の大会けん。せやから先ずはテニス協会にアマチュア登録、そこからランクを上げるために大会に出てポイント稼がなダメなんぜよ」
「ボーダーみたいにポイントがあるのか……」
「からすま先輩、知らないんだね」
「まぁ……テニスと言ったら遊ぶ程度なら良いけど本気でやろうと思えば金がかかるメジャーなスポーツの代表格だからな」
「その分リターンも大きい……4大大会の賞金は1億円以上あるからの」
「……生々しい話だが仁王の左腕に1億円の価値が……仁王、なにか欲しいものはないか?」
「京介、やめるんだ」
「冗談ですよ、レイジさん」
今の間にオレに媚びを売ろうとする真似をする烏丸先輩。
玉狛第一の隊長ことレイジさんがみっともないからやめるように言えば冗談という。冗談なのは分かっているが、そういうことをする時点でダメだと呆れている。
「走りに行くぞ」
「あ、はい」
「遊真くん、行ってくるね」
「いってらっしゃい」
「んじゃ、軽く行くかの」
トリガーを使えばトリオンで出来た肉体、トリオン体に換装する。
その為に筋トレは不要……しかし生身の肉体を上手く動かせる奴が強いと言う傾向がある。運動神経抜群=強いボーダー隊員と言うのが割と多い……例外はあるにはあるがの。生身の肉体を鍛えていて損は無いし雨取も三雲もポジションや戦闘スタイルからして走り続けないといけない。走って肉体の感覚を掴む、トリオン体の感覚を掴む。そういう特訓。
しかしヘマをやらかして常時トリオン体の空閑はそれが不要、まぁ、それが無くともボーダートップクラスの実力者と同価値の実力を持っとる。基礎の卒業は永遠に無いが既にある一定のレベルにまで完成された実力を持ってて……一般教養に勤しまないといかん。
「ぜぇぜぇ……」
「分かってたこととは言えおまん、体力無いのぅ」
軽い3kmのランニングをする。1kmを越えた辺りから三雲は息切れを起こしていた。
雨取は疲れは出とるけどまだまだ走れる……この特訓はじめてそんなに間もないから仕方ないとは言え仕方ないか。
「大丈夫か、仁王……俺達にわざわざ合わせなくてもいいんだぞ?」
「大丈夫です……テニススクールでトレーニングは死ぬほどやらされますから……プロフィール欄書くのにストレス溜まってスッキリしてまし」
レイジさん達のランニングペースに合わせている。
レイジさんは遅れている三雲のやつを気遣ってペースを落としちょるから自分のペースで走っていいと言うが、コレは多少のガス抜きの為のランニング、休む時はしっかりと休むけども最低限のトレーニングはする。
「それに見た目ほど楽じゃないです……足と腕に鉛が重りつけとるんで」
今は冬じゃから長袖で見えんが10kgほど重りを装備しとる。
まぁ、3kmのランニング程度じゃ重りの重さが負荷になって運動を妨げるっちゅんは無いのぅ。
「それでも足りん思ったら分身して負荷かけますから」
「……分身?」
「「こんな感じやな」」
「……!?……どうなっている?」
「単純ですよ、高速で動いて残像を残してるんです……この状態やったら後8人ほど増やせるから見ますか?」
高速で動いて分身を作り上げる。
レイジさんが見るのははじめてじゃからどうなっとるか驚いてるけど高速で動いて残像が居るように見せとるだけじゃ。
「…………それは俺でも会得可能か?」
「素早さとステップにコツが居るから……テニスのスタイルがカウンターパンチャーで1から5段階評価でスピード4テクニック4以上無いと出来ん技術じゃ……レイジさんは筋肉が戦闘用の筋肉じゃからの、スピード2,5に近い3でアグレッシブベースライナーに近いから難しいの」
「…………生身の運動能力には自信があるんだがな」
「まだまだだね……プリッ……」
使えそうな技術だからと思ってるみたいじゃがレイジさんにこの技術の会得は難しいぜよ。