シャニPとアイドルがいちゃいちゃするだけの話 作:馬鹿とオタク
あさひ『今から事務所に行きます』
P『了解!気をつけてな』
最近、あさひがこまめに連絡を返してくれるようになった。
気がする...とかではなく、明らかに前の2倍くらいに増えている。
あさひ『今、お花屋さんの前にいます』
とまあ、こんな風に明らかに連絡の量が増えた。
少し前までのあさひからは想像もつかないくらいだが、あさひの長所といえる行動力が無くなったわけではない。
なんならその長所はめきめきと成長を遂げていて、冬優子や愛依も相変わらず苦労しているようだ。
P『そのあたりは車が多いから気を付けて。あと、細かく連絡してくれるのは嬉しいが、ちゃんと前を見て歩くこと』
あさひ『わかりました』
ただこうして連絡が増えたことによって、迷子や遅刻が激減した。
それはかなり嬉しいが、こうして連絡しているときに歩きスマホなんかをしていないかが心配だ。
周りをよく見ているときもあれば、まったく見えなくなる時もある。あれだけの集中力があるからこそのあのパフォーマンスができるのだと思うが、こういう時はどうしても心配になってしまう。
あさひ『虹をつかまえました』
「画像を送信しました。」というポップアップとともに虹の写真が送られてきた。
そういえば今朝は少し雨が降ったっけ。
写真には綺麗な虹の写真が写っていた。でも、写真にはいつもと違う違和感があった。
あさひの顔が写っていた。いわゆる自撮りだった。明らかに自撮り慣れしていない人の写り方だ。
笑顔というわけでもないし、なんならカメラを覗き込むように写っていて、あさひも虹も半分ずつくらいしか見えていない。
一生懸命さに頬が緩みつつも、新しいことに挑戦する姿勢を評価しなければ。
P『綺麗に写ってるよ』
あさひ『虹がですか』
もしかして冬優子あたりの影響かな。冬優子が自撮りする時は写したいものが全部綺麗に写るようにとるし、この前も自撮りについて愛依とすごく盛り上がってた気がする。おそらくそれを聞いていたのだろう。
P『あさひもとても可愛く写ってるよ』
...返信が無くなった。虹の「綺麗」とあさひの「可愛い」がどう違うのか。とか考えてしまっているのかも知れない。
あさひ『今本屋さんの前です』
「画像を送信しました。」
今度はあさひの自撮りだ。それ以外には特に気になるものは写っていない。
自分一人に絞ってみたわけか。確かに、さっきよりはちゃんと取れているな。
あさひ『どうですか』
P『うん、とても可愛いよ』
あさひ『冬優子ちゃんとどっちが可愛いですか』
なるほど。冬優子の自撮りに勝とうとしているのか。でも、冬優子の完璧に計算された自撮りにはまだまだかなわないな。
P『まだまだ冬優子には敵わないな』
あさひ『そうですか』
あさひ『今カフェの前です』
写真は送られてこなかった。納得できる何かを見つけたのか、それともわからなかったから直接聞くことにしたか...。それにしても、この今どこどこにいるって報告してくるの、何かの影響だろうか。
あさひのことだから何か意味があってやっているのだとは思うが...こちらとしては徐々に近づいてるのがわかるからいいんだけども。
あさひの意図を読み解こうとしていると、電話がかかってきた。あさひからだ。
P「もしもし、どうかしたか?」
あさひ「プロデューサーさん!今コインランドリーの前にいるっす!」
P「事務所までもうすぐだな。気を付けて来るんだぞ?」
あさひ「はいっす!じゃあ切るっす!」
P「え?ちょ...」
切れた...。今度はメッセージじゃなくて電話か?
まるでメリーさんみたいだな。いや、実際には返事もしてくれるし正体もあさひってことはわかってるんだが...。
数分後、また電話が鳴った。
あさひ「プロデュサーさん!今ペットショップの前にいるっす!」
P「ペットショップ...?ああ、着いたんだな」
通話したまま窓の方へ向かう。下を見ると、同じく通話したままのあさひの姿があった。
あさひもこちらが顔を出すのを待っていたようで、目が合うと大きく手を振ってきた。あわせて手を振り返す。
P「見えてるぞー。早く上がっておいで」
あさひ「はいっす!じゃあ切るっすね!」
あれから数分経ったのに、あさひが事務所に入って来ない...。
おかしい、あの場所から事務所に来る方法なんて、階段を上るだけだから1分とかからないはずなのに。
この100mもない距離の間で何かあったのだろうか。
とりあえず、事務所を出て探してみよう...。
事務所を出て、階段を下りる。
階段を降りきっていざ辺りを見渡そうとしたところで、背中に何かがぶつかる衝撃を受けた。
あさひ「捕まえたっす!」
タックル...ではなく、後ろからあさひに抱き着かれたようだ。
あさひが無事だったことに安堵しつつ、何をしていたのか、どこにいたのかを聞かなければならない。
P「おっと...あさひ!...どこにいたんだ?」
あさひ「階段の上っす。プロデュサーさんが事務所から出てくるのを待ってたっすよ」
P「そうだったのか...でもどうしてすぐ事務所に来なかったんだ?」
あさひ「それは...秘密っす。でも、意味が無いわけじゃないっすよ。実験っす」
P「実験?それは...危なくないやつか?」
一番重要なことだ。できれば納得するまであさひの好きにやらせてあげたいが、危険が伴うものはさせられない。
あさひ「うーん...どうなんすかね。でも、冬優子ちゃんもおんなじことで悩んでたっす。それを確かめるための実験っす!」
P「冬優子も?」
となると、ぶっとんだものではないようだが...。まあ、力になれそうな悩みなら今度冬優子に聞いてみるか。
P「それ、俺も力になれそうか?」
あさひ「はいっす!というか、プロデュサーさんじゃないと多分意味がないっすね」
P「俺じゃないと?...うーん、ますます謎だ。......で、俺にしがみついて何かわかったか?」
あさひ「そうっすね...。これは意味がないってことがわかったっす」
あさひは俺の体に巻き付けるように回していた手を離すと、何か考え込んでしまった。
俺じゃないとダメで冬優子とあさひが悩んでること......ダメだ、仕事のこと以外考えられないが、あさひの行動と仕事がどう結びつくのか見当もつかない。
あさひ「うーん...やっぱり最初のやつぐらいしか思いつかないっす」
P「それって、メッセージとか電話とかを細かく送って来てたやつか?」
あさひ「それっすね。『時間』はこの方法が一番と思ったっす」
P「時間...?うーん...よくわからないが、俺にできることなら何でもするから遠慮せず言ってくれ。じゃあ俺は事務所に戻るけど、仕事の話もしたいから区切りの良い所で事務所に来てくれたら助かる」
あさひ「はいっす!」
あさひ「うーん...とりあえず、プロデュサーさんの時間を独り占めする方法はこれでいい...。体と心は...冬優子ちゃんに今度聞いてみよっと!」