シャニPとアイドルがいちゃいちゃするだけの話 作:馬鹿とオタク
......お、いたいた。
撮影が終わる時間を見越して到着する連絡をしていたし、俺のことを探しているみたいだ。
もう少し俺を探している咲耶を見ていたい気持ちを抑えつつ、声をかける。
プロデューサー「お疲れ様、咲耶。ごめんな途中までしか見れなくて...でも、その様子だと心配なさそうだな」
声をかけると、素早い動きで咲耶が振り向く。
パッと花が咲いたような笑顔を見せてくれるものだから、ついこの笑顔を活かした咲耶に似合いそうな仕事は無いか考えてしまう。
咲耶「プロデューサー...!...急な打ち合わせなら仕方ないさ。フフ...たとえ途中まででも、私の姿はアナタを虜にできていたかな?」
P「ああ、もちろんだ!俺はスカウトした時からずっと咲耶に魅了されっぱなしだよ」
咲耶「フフ...アナタにそう言ってもらえて嬉しいよ。ところでプロデューサー......一つ、聞いてもいいかな?」
P「うん?なんでも聞いてくれ」
すると、急にしどろもどろになる咲耶。...どうしたのだろうか。
咲耶「その...わがままを言ってしまうようで申し訳ないのだけれど......」
P「...?この後どこか出かけたいところがあるのか?」
咲耶「違うんだ...!それもとても魅力的な提案だと思うけれど、その...」
P「大丈夫だ。俺に叶えられることだったらなんでも言ってくれ」
咲耶「その.........今日の...!私の服についての感想をアナタの口から聞きたくて......」
服...?衣装のことか?うーん......途中までしか見られなかったから、俺の中途半端な感想でいいのだろうか...。
今日の撮影衣装はクールでカジュアルで......いつも通り咲耶のかっこよさを活かした衣装だったな。
P「うーん...。そうだな。クール目な衣装で咲耶のスタイルを十分に引き出せていた衣装だったと...「違うんだ!」おお...!?」
違う!!!???違うってなんだ...?褒め方が違うのか?そもそも褒め方に正解があったのだろうか?咲耶のスタイルは抜群だし、それに最大限に合ってた衣装だったと思うんだが...。もしかして、今回のような衣装を指す横文字があるのか...!?そもそも咲耶が褒め方が違うなんて言うのだろうか、いや、あの咲耶をもってしても大きな声を出さなければならなければいけないほど俺が間違っていたのか...。
P「あ、そ、そうだな。今日の衣装はとっても...「衣装のことではなくて......いや、衣装を褒めてくれたのもすごく嬉しいのだけど...その...今着ている...服の感想が欲しいんだ...」あ、ああ...」
今着ている服のことだったのか。どうしてそんなに恐る恐る聞いてきたのか少し気になっていたけれど、確かにいつもの咲耶のファッションとは違う。来るときは打ち合わせが入ったことに意識が持っていかれていて気付かなかった。
服は恋鐘や霧子のようなふわっとした白色を基調としたいわゆる「かわいい」系統の服で、制服以外ではあまり見ないスカート。髪もメイクさんにやってもらったのか、いつもは髪を後ろで縛っていることが多い咲耶だが、今日は髪を下ろして巻いている。
......確かに普段の咲耶からはあまり想像つかない格好だけど、似合っていないかと言われればとても似合っている。ただ、普段とガラッと印象が変わるからか、出会ってから服について何も言わなかった俺に聞くのは勇気がいることだっただろうし、だからこそいつもの余裕のある口ぶりじゃなかったんだろう。
今も顔を赤らめながら少し上目遣いで早く感想を求めているその表情が死ぬほど愛らしい。今すぐにでも抱きしめたいくらいだけど、それで咲耶に拒絶されたりでもしたら立ち直ることができない...。だが、それだけの感情を伝える義務が俺にはある気がする。
P「すごく可愛いよ。最高だ。衣装もとてもかわいいし、何よりもそれを纏っている咲耶がたまらなく可愛い。端的に言って大好きだ。今どうして咲耶を満足させられるほど語彙を勉強してこなかったのか悔しくて悔しくてしょうがない...!」
咲耶「わ、わかった!わかったから!私から願ったことだけどこれ以上は...勘弁してくれないか...!」
頭の中で語彙を探していると、目の前にはゆでダコのように顔が真っ赤になった咲耶がいた。
でも、褒めすぎたとは思わない。なぜなら、そもそも咲耶がこんな風に感想を求めてくれることがないから。いつもは褒める側に回っていて、たとえ褒め返されたとしても帰ってくる言葉のほとんどは「かっこいい」。そんな咲耶が言われ慣れていない「可愛い」を求めてくれているということが嬉しくて仕方がない。
P「それで...どうして今日はそんな可愛らしい服装なんだ?」
先ほどの赤面からだいぶ立て直した様子の咲耶に質問する。
心に落ち着きが出てきたようで、もう先ほどのようなことにはならないだろう。
咲耶「ああ...その、最近は結構レッスンが立て込んでいて、アナタと会う機会があまりなかっただろう?」
言われてみると確かにそうだ。事務所で少し話したりする機会はあれど、大体は咲耶がレッスン室にいるか俺が事務所にいないかだったな。
咲耶「だから、プロデューサーに次会うときはいつもと違う装いをしてみようと思ってね。ただ、私は普段からこんなに可愛らしい服を着させてもらうこともないから、アンティーカのみんなに手伝ってもらったんだ」
P「なるほど...」
確かに、このコーディネートからは結華や摩美々あたりの「どうだうちの白瀬咲耶はこんなのもいけちゃうんだぞ」というやる気のようなものを感じる...。特にファッションに強いあの二人ならこういう時ノリノリで咲耶の服を選んでいる姿が想像できるな。
P「...じゃあ、今日は俺が咲耶をエスコートしようか。...んんっ...さぁ、いきましょうお姫様。お手をどうぞ」
咲耶「おや......。フフッ...それじゃあ、今日はお言葉に甘えるとしよう。...どこに連れて行ってくれるのかな、王子様?」
なんて子芝居を挟みつつ、俺たちは撮影スタジオをあとにした。
P「じゃあ、すぐに車取ってくるから咲耶はここで待っていてくれ」
咲耶「ああ......おや、プロデューサー。少し待ってくれるかい?」
P「ん?どうした?おっと...」
呼び止められて後ろを振り返ると、咲耶が首元に手を伸ばしてきていた。何をされるのかと思っていたら、おもむろにネクタイを直し始めた。曲がっていたのか。
咲耶「ネクタイが曲がっていたよ。今日は私の王子様なんだ、身だしなみはしっかりしてもらわないとね。それと、そのネクタイ...ちゃんと使ってくれているようで嬉しいよ」
P「咲耶がくれたネクタイだからな。大切に使わせてもらってるよ。じゃあ、車取ってくるな」
P「お待たせ、どこか寄りたいところあるか?なかったら寮まで届けるけど......」
咲耶「じゃあ寮までお願いするよ、王子様」
P「......そ、その王子様って言うの、そろそろやめないか...?さすがにそろそろ恥ずかしくなってきた...」
咲耶「おや、ダメだよ。今日一日は私の王子様と言ってくれたじゃないか。それに、さっきあれだけ褒め倒されたんだ。私なりの仕返しさ」
P「うぐ、ああ...わかった。男に二言はない。腹をくくるよ...(咲耶の王子様なんて言ったか...?)」
P「よし、到着だ」
咲耶「ありがとう、王子様。そうだ、少し待っていてくれるかい?渡したいものがあるんだ」
P「お?なんだ?」
咲耶「見てのお楽しみだよ。大丈夫、きっとアナタも気に入るはずさ」
P「お!楽しみにしておくな」
そして車から出て行った咲耶は、小さな箱を抱えて数分ほどで戻ってきた。
咲耶「お待たせ、王子様。これをアナタに渡したかったんだ」
P「箱?......開けてもいいか?」
咲耶「うん。きっと喜んでくれると思う」
P「これは...香水...?」
開けて入っていたのは香水だった。でも、これは......。いや、咲耶がそんな間違いするかな...?
P「なぁ咲耶。悪いんだが、これって女物...」
咲耶「おや、もう気付かれてしまったね。...実はそうなんだ。でも、アナタにもきっと似合う香りだと思ってね。...受け取ってくれるかい?」
P「咲耶がそこまで言うのなら...ありがとう。大切に使わせてもらうよ」
咲耶「ああ、ぜひアナタに使ってほしい。...そして今度でいいから、感想を聞かせてくれるかい?」
P「ああ、約束だ。じゃあ、俺はこの後も仕事があるから...今日はお疲れ様。明日咲耶はオフの予定だったはずだから、ゆっくり羽を伸ばしてくれ」
咲耶「ああ、プロデューサーも、くれぐれも無理はしないでおくれよ?」
P「心配ないよ。じゃあ、また今度事務所で」
咲耶「......さて、私ももうすぐ新しいのを買わないとね...」
P「ふぅ......今日は少しハードスケジュールだったな...」
P「そういえば、今日咲耶がくれた香水、俺に似合うって言ってたけど女物みたいだし、一応どんな匂いなのか確認しておくか...」
P「ん......?確かにいい匂いだけど...なんだ?どこかで嗅いだことのある......」
P「うーん...わからない。まあ、咲耶も太鼓判を押してくれているんだし。次会うときにでも付けていくか...」