シャニPとアイドルがいちゃいちゃするだけの話 作:馬鹿とオタク
透「ねー、プロデューサー。今度の日曜日ってオフ?」
事務所に忘れ物をしていたらしく、学校帰りに透が事務所に来ていた。
忘れ物はすぐに見つかったようだけど、すぐには帰らず今はソファで仕事している俺の横に座っている。
P「ん?......ちょっと待ってくれ、えーっと...。透はオフの予定だな」
透「あー...違う違う。私じゃなくて、プロデューサーが」
なんだ、俺の話だったのか。日曜日は...そんなに急がなきゃいけない仕事はないし、午前中には片づけられそうだな。
P「俺か?......日曜は......や...すみだな、うん。俺も午後から休みだよ」
透「午後から?じゃあ──見に行こうよ、花火」
花火。それに見に行くっていうことは花火大会があるのか?
そもそも、この時期に花火大会って全く聞いたことないんだが、冬でもやってるものなのか。
P「花火か?別に構わないけど......っていうか花火って冬でもやってるのか?」
透「うん。なんかさ、冬の方がキレイに見えるんだって。先生が言ってた」
P「そうなのか!?花火って言ったら勝手に夏だ!...って気がしてたけど......どんな風に見えるのか見てみたいな」
透と話しながら冬の花火について軽く調べてみる。
...なるほど。冷たい空気は屈折が起こりにくいし、夏よりも澄んだ空気だから綺麗に見えるのか。
確かに、夏の花火ってテレビとかで見ても煙で少しくすんでたりするな...。
透「じゃあけってーい。楽しみにしてるから、プロデューサーと花火見るの」
P「ああ、俺も楽しみだ。......ところで、時間とか場所とか聞いてなかったんだけど、もしかして車が必要だったりするか?」
そういえば花火を見に行こうって話だけをして大事なことを何も聞いてなかった。
時間とか場所とか...車が必要だったりしたら遠出になるだろうし、親御さんにも連絡が必要だろう。
透「あー.........はい、これ」
透がスクールバッグから一枚のチラシを取り出した。
P「ん?ああ、これ花火大会のチラシか。.........うん、ここなら歩いて行けそうだな。透もそれでいいか?」
場所はそんなに遠くないけど......20時開始か。かなり遅いな。
さすがにこの時間に高校生を外に出すには連絡しないと...。
透「うん、だいじょーぶ」
P「じゃあ...よく見える場所探しも含めて3、40分前くらいに出たほうがいいかな。透の親御さんにも連絡しておかないといけないし、家に迎えに行くから何かあったら連絡してくれ」
透「うん。ねぇ、プロデューサー」
透「プロデューサーはさ、誰かと花火って見たことある?」
P「んー...ああ、あるよ」
透「え───────」
あの頃は...小学校低学年か、それよりもう少し小さかったかな。
......記憶はほとんどないけど、近くで見て想像よりも音が大きくてびっくりして泣いたことは覚えてる。
さすがにこれは恥ずかしくて言えないけれど。
P「実家の近くで花火大会があったんだ。それで、小さい頃に母親に連れられてさ。あんまり覚えてはないんだけど......とにかく、音が大きくて迫力があったなってぐらいには覚えてるかな」
透「──────そうなんだ。よかった。」
そういえば、そこそこ近くでやってたのにそんなに見に行ったことなかったな。
部屋の窓から少し見えるくらいで毎年満足してた気がする...。
P「よかった......のか?まあ、楽しかった記憶もあるし......それに、夏の花火を見てないと冬の花火と見比べられないからな」
透「あー...うん。そうそう」
話をしていると、透のスマホから軽快な通知音が鳴る。
どうやら何か忘れていたようで、スマホを見た途端「あっ」と声を上げてすぐに帰り支度を始めた。
透「そういえば。樋口に宿題を見せ......じゃなくて、樋口の家に行くって言ってたんだった」
P「......宿題はちゃんと自分でもしないとダメだぞ?」
透「だいじょーぶ、取引してるから。樋口が前からで、私が後ろから。半分ずつでウィンウィン」
両手のピースでWを作って「イエー」なんて言ってる。かわいいなこいつ。
P「...そうか。じゃ、もう日も暮れてきてるし早くいかないとな。送っていくよ」
透「え。やった」
P「......では。帰りも責任をもって私が送り届けますので...はい、はい。ああ...!いえ、私としましてもこれで何か透さんに得られるものがあればと...はい、はい!ありがとうございます!」
透のお母さんは思ったよりもすんなり許してくれたな。お父さんには言っておきますから...なんて言ってたけど、帰り送ったときにぶん殴られたりしないだろうか......。心配になってきた...。
透「終わった?話」
P「ああ、じゃあ行こうか」
透「長かったでしょ。お母さん、人と話すの好きだから」
P「いやいや...透のことを大切してるのがすごく伝わってきたよ」
透「────プロデューサーからも」
P「え?」
透「プロデューサーからも、伝わってくるよ」
透「大切にしてくれてるの」
P「この辺りかな...。っと、もうすぐ開始時刻か...それにしても、結構人が多くなってきたな......」
結構早く着いたつもりだったが、かなり時間がかかっちゃったな。
冬の花火なんて、俺が知らないだけで結構人がいるんだな。動き回るわけじゃないが、はぐれる心配はしておかないとな。
透「......ねープロデューサー。手、つなごうよ」
なんてことを言いだすんだ。
P「え!?いやいや......急にどうしたんだ?」
透「あー......はぐれちゃう...かも?」
P「疑問形なのか......。でも、確かに人が多くなってきたし、絶対にはぐれないとも言えないか......」
これでもし透に何かあるなんてことは絶対に避けなければならないし、身の安全を考慮するとそれが一番手っ取り早いか...。こんなところを誰かに見つかったら、この前みたいに冬優子にめちゃくちゃ叱られそうだ......。
透「そーそー。だから......ん」
P「これ......見つかったらスキャンダルだな...」
透「大丈夫だいじょーぶ。見つからないから、誰にも」
一体その自信はどこから出てくるんだ......。
なんて思っていると、最初の花火が打ち上がった。
P「......おっ。始まったか」
花火大会もだいぶ佳境に入ってきた。
花火が打ち上がり始めると、お互いの声は聞こえなくなるので、花火に集中しつつ透の方をたまに見る。
数回に1回目が合うたびに微笑みあったりしていたが、ここ一番の盛り上がりを見せているところで、透が声を掛けてきた。
ただ、透は花火の方を向いたまま。透の目に反射する花火に心を奪われそうになったが、俺も本物の花火の方を見る。
透「プロデューサー!!───────!!」
聞こえない、それはそうだ。2人とも花火の方を見ているのだから。
P「なんだってー!?ごめん!!花火で聞こえない────!」
透だって声が聞こえづらいこと分かってるだろうに。
透「───────!!!」
花火の音はまだまだ絶えることはない。
P「もう1回言ってくれないか──────!!?」
透「───────!!!!」
花火大会は無事終了した。こんなに間近で見たのは本当に久しぶりだ。それに、透が言ってた通り冬の方が綺麗だった...気がする。
P「すごく綺麗だったな、誘ってくれてありがとう。...透は楽しめたか?」
透「うん、キレイだった」
P「そういえば、花火が上がってた時に何か言ってたよな?......なんて言ってたんだ?」
透「んー...ヒミツ。でも、ちゃんと伝えたから」
花火で聞こえてなかったけど...。透がいいならいいか。
P「?...ちゃんと伝わってるといいんだけど......」
透「だいじょーぶだって。ダメだったらもう一回言うから」
もうすぐ透の家に着くといったところで、透が突然立ち止まった。
振り返った透は、先ほどまでの、『楽しかったことが終わって帰路に就くとき』特有の寂しそうな表情と打って変わって、何か思いついたような表情をしている。
P「透?」
透「プロデューサー」
P「...何か思いついた?」
透「うん。...今度さ、やろうよ。花火」
P「え...また花火大会があるのか?」
透「ちーがーう。今度はさ、花火買ってやろ」
打ち上げ花火の後は、手持ち花火か。というか、そんなに透が花火好きだったなんて知らなかったな。
それに断る理由もないし、透がやりたいと思ったことはできるだけさせてあげたい。
P「あー...そういうことか。いいな...うん、次オフが被ったときにでもやろうか」
透「やった。プロデューサー、早くオフになれーってお願いしとくから」
P「ははっ...誰にお願いするんだ?」
透「え......。うーん.........社長とか?」
P「それは......社長困るからやめとこうか。......俺も、早く休みが取れるように頑張るよ」
透「──────プロデューサーはもう頑張ってるじゃん。だから、私も頑張ってお願いする。頑張るぞー、おー」
P「......ありがとな。透」
透「まかせて、明日もプロデューサー休みにするから」
P「...ははは!......いやいや...!それは早いって...!」