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勝手に、嫉妬しないで。えななんの苦悩なんて知らない、どうでもいい貴女のどうでもいい八つ当たりなんか、羨望なんか聴きたくない。
貴女は私が持っていない物を持っている、才能が無いと足掻く貴女を。
「はぁっ…はぁ…」
勝手に、共感しないで。Amiaができなかった事なんて興味ない、受け入れようとしたの、抵抗なんて…したく、なかったの。いい子であろうとしたから、いい子じゃないといけないから。
好きにしたらいいって言うのなら、もう放っておいて。
「……はぁっ…」
勝手に、救おうとなんてしないで。それなら縋らないでよ、消せない呪いだから何?分からないから何?増えたところで変わらない?なら放っておいてよ。呪いだとしても?空っぽのくせに、私のことなにもしらないのに。何で貴方達は…
「…はぁ…っ…」
私って、結局何なんだったの。教えてよ、お母さん、お父さん……歩。
こんな、がらんどうの場所で、逃げるように走り、何時間そうしたんだろう。そうやって、さいごはしゃがみ込んで、わからないまま考える。
味なんてしなかった、なりたいものは否定されたから。
救うだなんて言ってほしくなかった、自分が、水の中に沈むゴミみたいな気分になるから。
消えたかった。ぬるま湯に沈められて、吹雪の中に放り出されたような想いを何度も繰り返して…そうやって生きるくらいなら何も感じずにきえたかった。
そうしたかったのに、貴方が邪魔だったから、邪魔だったのに…。
『その時は雪が、『まだ見つかっていない』って言ってくれればいい』
邪魔だから、伸ばされた手を振り払ったはずなのに。
『自分でも訳が分からないんだよ!』
振り払った手を見た時、刃に裂かれたように胸が痛んだのは、なんで?
「わから、ない」
消えたいのに、何回もそう思ったのに。呪いみたいに、足枷みたいに、押し付けられた言葉が、そうする事を許してくれない。
この場に縫い付けられたように、足が動かない。もう、動きたくない。
貴方が、逃げて良いっていったから逃げたのに。消えたいから、辛いから、貴方の手を振り払ってまで、逃げたのに。
「なにも、分からない…。分かりたくないよ…」
悪い夢ならなにもかも、忘れれたはずなのに、目を閉じても、開けても、変わらない灰色がそこに在る。
うんざりだ、こんな空っぽな場所なんて。
「消えたい」
零れた言葉も、何もかも消えてしまえばいいのに。
「消えてほしくないよ」
ふと、視界の先に、制服に身を包んだ、白と黒の誰かが見えた。
「……何度何度も、歩は本当にしつこいね。」
今の私はわらっているのだろうか、うらんでいるのだろうか。貴方をうらめば、貴方は受け止めてくれるのかな。
…
「なんで?いつもいつも、貴方はそうやって付きまとう。いい加減にしてよ」
灰、黒、白、そうやって彩られたセカイの隅っこでしゃがみ込んだまふゆは、コチラを睨みつけたまま、僕を疎んだ。
今更どの面下げてと、自分でも正直、思う、思うけれど…
「そうやって、接する事しか、できないから。……ごめんね、まふゆ」
「……は?」
唐突に謝った僕を、まふゆは困惑した顔で見ていた。
今までの彼女にとって、僕の行動というのは酷くチグハグで、不気味に映るのだろうか。助けると言っておきながら何もせず鍵を渡してそれっきり、話もしなければ触れ合いもしない。……触れ合うのは、ダメか。
「今まで、僕は救うと言っておいて、何もせずにまふゆにあずけて、それで…結局君をまた、傷つけた」
「……」
「……でも、消えることは嫌だ。消えてほしくないよ」
出来る事なんてない。それでも、沈黙を重ねてるまふゆに対して伝える。いつかそうした様に、それしか自分は、できない。
「それで?」
「……終わり」
「くだらない、消えてよ」
「僕が今消えて、まふゆが消えない保証なんてないから」
「そんなの関係……っ来ないでよ」
膝を抱え、拒絶の言葉を零すまふゆを無視し、隣に同じように座る。
やり方がずっとわからないまま。きっと、寄り添うだけではダメだ。じゃあ、他は?
「……ずっと、分からないままだったんだ」
「……」
「君との二年間、ずっと分からなかった。側にいたはずなのに、壁越しで話をしてた気分だった」
君を救うといって始まったこの二年間、始めたつもりだったのに、二年間ずっと…ううん、五年前から止まったままだった、君に言ったこと、致命的に間違えて、傷口を抉って…それで、のこのこと救うって……遅かったのに。
「嘘、付かないで……貴方は話してすら、いなかった」
まふゆはずっと、分からなくても感じていた。自分がとまったままだったこと。
…でも、それなら。なんであの時の君は、救われた様に笑ったの?
「…」
「ずっと貴方は、隣に居ただけ。そんなの、意味なんてある訳ない」
「そう、だね。自分のことに必死だったから。気づいてなかったフリして…ごめん」
そうやって恨みをぶつける様に言葉を吐くまふゆに、また謝る。その裏で考える、なんで、彼女は…僕は、探そうとしてるんだろう。
『もう、良い』
何が?何が、もう良いんだろう。あの時笑った事と……
「……もう良い。前もそう言ったのに、本当にしつこいね?」
「……そうだね。自分でも分からないくらい、君に執着してばかり。そんな理由、ないのに」
笑った時、僕はなんて思ったんだろう。手を取ろうとした時のことは覚えている、ただ…
「ただ、まふゆが項垂れて、苦しんでいたから。手を伸ばしただけなのに……」
「余計なこと、しないで欲しかった」
そうやって嗤って見せたまふゆの顔を見つめ、思ったことが一つ。
「まふゆに拒絶されて、咄嗟についた嘘みたいに。その場きりで流せばよかったのに、しなかった理由」
ずっと、君の笑顔が離れない。手を差し伸べたあの時に笑った顔が、家から出ていく時に笑いながら拒絶した顔が、今も無理に嘲る様に笑う顔が、離れない。
「なんで、貴方が……縛られて、いないの」
笑うことをやめて、僕を手に入らないものの様に見つめるまふゆを見て
「君に、笑って欲しいから?」
腑に落ちた言葉を溢した。
「……ふざけてるの?」
「ふざけてない」
「自分のためって言ってよ」
「自分のために生きれるなら、僕は君の手を取ったりしない」
だって僕は、奏に手を伸ばさなかったもの。母さんに自分のこと、晒そうとしなかったもの、ミクや他のみんなに、隠し通そうとしたもの。きっと、信頼なんて出来なかったから、怖かったから。
だけどまふゆにだけは、手を伸ばして、こうやってここまで来れた、音楽を捧げてしまおうと思えた。
「……嘘。全部、全部自分の空っぽの想いを、綺麗事で満たしたいだけだよね?」
「……それは」
空っぽの想いを満たしたいだけ、最初はきっとそうだった。
「なら、もう良いでしょう?話は……」
「待ってよ」
立ち上がり早足で去ろうとするまふゆの手をつかむ。まだ終わらせないでよ。終わらせないから。
「はなして」
「最初は、どうせくだらない人生に、花を添えたいってどこかで思ってたんだ」
鏡みたいに他人を写して、なりたい自分を考えてつくって、音楽を作って……それで。
「なら…なら貴方のエゴに私を巻き込まないで、人生に花を添えたいなら、私じゃなくても良いでしょ!?」
立ち上がり、振り払おうとする手を強く握る。
まふゆの言ってることは当たっている、エゴだろう、満たしたいと願う自分のエゴ、だから趣味だった音楽なんて投げ捨てて…また、鏡合わせにして……。
「君の救われた様な、光を見た様な笑顔を見た時!そうやっていつか…君にもう一度!同じ顔をさせてあげたいなって本気で思ったんだ!嘘じゃない!」
「そんな顔してない!嘘つかないで!」
手は離さないまま、まふゆにがむしゃらに思い至った事を垂れ流し続ける。このまま離したら、僕は絶対、自分を殺したくなる程後悔する。そんな未来は嫌だ。
「してた!絶対に…覚えてる!」
変わるなら変えたい、僕がそうしたって、何も変わらなくても、この子が報われない未来なんて要らないから。変えるために、変わりたい。
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