次の日、パルスィがユウスケの家を訪ねてきた。
「調子は?」と彼女が尋ねる。
「問題ない。」ユウスケは元気に答えた。
「いるものある?」パルスィは気遣いを見せる。
「能力で出せるからいいよ。」ユウスケは無理に頼む必要はないと言った。
「私、いらないじゃない。」パルスィは少し落ち込んだ様子でつぶやく。
その様子を見たユウスケは、慌て言った。「お腹減った!お腹減った。今すぐ何か食べたいな。お粥を食べたいお粥を!」
パルスィはその言葉に反応し、少し顔を上げた。「お粥?私が作ってあげようか?」
「本当に?」ユウスケの目が輝く。
「もちろん。でも、今から作るから少し待っててね。」パルスィは笑顔で答え、厨房の方へ向かう。
少し待っていると、パルスィはお粥を持って現れた。
「はい、お待たせ。今食べさせるね。」彼女は柔らかい声で言いながら、スプーンを手に持ち、ユウスケに近づく。だが、ユウスケは急いで起き上がろうとする。
「いいよ。いいよ。一人で食べられ…グハッ!傷が。」ユウスケは痛みに顔をしかめる。
「ほら見なさい。内臓やられてたのに簡単に一人で動ける訳ないでしょ。ほら、あーん。」パルスィは優しく言って、スプーンでお粥を口に運ぶ。
「ちゃんとお粥の味だ。」ユウスケは驚きながら感心する。
「お粥すら作れないとでも思った?」パルスィは少し自信満々の表情を見せる。
「妖怪はお粥なんて食べないかと思って。」ユウスケが言うと、
「偏見ね。ちゃんと食べるわよ。」パルスィは少しムッとして応じた。
彼が食べ終わるのを確認すると、パルスィは立ち上がり、にっこりと微笑む。「今日は帰るわね。また明日来るわよ。」彼女はそう告げて、ユウスケの家を出て行った。
外に出ると、彼女は心の中で微笑む。
(ユウスケのあの傷、私を助けるためにできたもの……フフフ、あの傷は彼が私を思ってできた傷。私が彼に傷を入れたら、一生の思い出になるかしら。)
パルスィは心の奥深くで、彼との特別な絆を感じていた。この思い出を大切にしながら、彼を守りたいという強い想いがさらに膨らんでいく。
1人になった家でユウスケはつぶやいた。
「介護されるとはこんな感じなんだな。ちょっとだけ老人の気持ちが分かった気がする。」
その時、こいしが突然話しかけてきた。
「人間って脆いよねー。」
ユウスケは驚いて振り向く。
「ん?こいし。いつからいたんだ?」
「えーとね!パルスィさんがお粥を作ってたあたりだよ。」こいしは明るく答えた。
「そうか……居るなら言ってくれればよかったのに。」ユウスケは少しホッとした。
「2人の愛しい食事の時間を邪魔しちゃダメかなと思って!」こいしは無邪気な笑顔を浮かべていた。
ユウスケは苦笑いする。
「それを黙って見られるのも恥ずかしいですけどね。」
「しかし珍しいもんだね。パルスィさんが自分のためとはいえ、怪我した人を毎日のように訪問するなんて。」こいしは少し驚いた様子で言った。
「優しいからじゃないのか。」ユウスケはそう返すが、何か別の気持ちも感じていた。
「異常だよ。喧嘩がはびこる地底では、相手を怪我させることはあっても、通い妻みたいなことをする人はどこにもいないよ。」こいしは真剣な表情で言った。
ユウスケはこいしの言葉を受けて、思わず考え込む。
「確かに、普通じゃないかもしれない。でも、彼女がそうしたいと思っているのなら……」
「どうするの?それとも、変わり者の橋姫と付き合うの?」こいしは冗談めかして尋ねた。
「まさか、パルスィは責任を感じて世話してくれてるだけで、好意はないと思うよ。」ユウスケは考えを巡らせた。
こいしは二人の関係をからかうように笑いながら言った。
「それならあんな目で見ないと思うんだけどな〜。」
ユウスケは少し複雑な気持ちになりながら、今後のことを考え始めた。
「違うよな?」