パルスィが旧都の街並みを散策していると、突然、背後から勇儀の声が聞こえてきた。
勇儀:「お、パルスィじゃないか。仲直りはうまくいったか?」彼は笑顔で近づいてくる。
勇儀の姿が近づくと、パルスィは振り向き、やわらかな笑みを浮かべた。
パルスィ:「ありがとう、仲直り以上の結果が出たわ。」笑顔を崩さずに答えた。
勇儀:「やけに上機嫌だな。」彼は怪訝そうに眉をひそめる。
パルスィは少し頬を赤らめながら、照れくさそうに続けた。
パルスィ:「彼、この奇妙と呼ばれるこの目と耳をキレイと言ってくれたの。」
勇儀はふと目を細め、興味深そうに答える。
勇儀:「偏見がない奴なのかな。」彼は少し驚いた様子で言った。
パルスィは自分の頬に手を当て、少し恥ずかしそうに続ける。
パルスィ:「私ですら自分のことを嫌いになりかけたのに、彼は目を見てそう言ってくれたのよ。」
その時、勇儀の視線がパルスィの顔に留まり、少し目を見開いた。
(パルスィの奴、女の顔になってる…)
勇儀は照れ隠しにそっぽを向きながら、問いかけた。
パルスィ:「ねぇ、勇儀。」
勇儀:「な、何だよ。」少し声を震わせながら答える。
パルスィは首をかしげて真剣な表情になる。
パルスィ:「人間と妖怪って結ばれていいと思う?」
勇儀は少し考え込み、目を閉じてから答えた。
勇儀:「気が早いな。アイツの気持ちもあるから、少しずつ仲良くなればいいんじゃねえか。」
パルスィは静かに微笑みを浮かべながら、頷いた。
パルスィ:「そうよね…」
勇儀(果たしてユウスケにとって幸せになるかどうかだな。)
その後しばらくの療養が続き、ユウスケの傷は少しずつ回復していった。
パルスィは心配そうに声をかける。
パルスィ:「大丈夫そう?」
ユウスケは穏やかな表情で答えた。
ユウスケ:「ああ、日常生活はもう問題ないよ。」
パルスィはほっとした様子で、少しだけ笑みを浮かべながら言った。
パルスィ:「そう、ちょっと傷見せて。」
彼女はおもむろにユウスケの服をめくり、傷を確認する。
傷は小さくなり、確かに回復の跡が見えるが、パルスィの内心は複雑だった。
自分を守ってできた傷が消え、いずれ風化してしまうのではないかと、悲しさと寂しさが込み上げてきた。
パルスィがユウスケの服を上げて傷を見つめていると、数秒後にユウスケはその様子に気づき、静かに服を直す。
ユウスケ:「傷も消えていってるでしょ?」
パルスィは少し黙り込み、答えに詰まる。
パルスィ:「そうね……。」
ユウスケは心配そうに尋ねる。
ユウスケ:「何かあった?」
パルスィはため息をつきながら、静かに言った。
パルスィ:「この傷が完全に消えたら、ユウスケは私の事を忘れてしまうのかなって…。」
ユウスケは驚き、顔をしかめる。
ユウスケ:「?」
パルスィは少し怖がる様子で続けた。
パルスィ:「ユウスケはこれからいろんな人と関わり合うわけでしょ。私なんか、いつか忘れてしまうんじゃないかって。」
ユウスケは真剣な表情で応じる。
ユウスケ:「そんな訳……」
その瞬間、パルスィは急いでユウスケの肩を掴む。
パルスィ:「ないって言えるの!君には地霊殿のメンバーもいるけど、私には……」
彼女は声を震わせながら続けた。
パルスィ:「私には、ユウスケしかいないのよ!嫌われ者の嫉妬の妖怪なんて誰も好き好んで近づきもしない。見たよね、私がのけ者にされてるの。」
彼女は掴んだ肩に力を入れる。
パルスィ:「忘れないで!捨てないで!私にはユウスケがいるの!君が欲しいの!」
言い終えると、パルスィは肩から手を離す。
彼女は静かに声をひそめて、最後に言った。
パルスィ:「ごめんね、迷惑だったよね。でも毎日考えてしまうのよ。君が地底からもし出ていったらって……。今日はもう帰るね。怪我、回復してよかった。」
そう言うと、トボトボと家へと向かうパルスィの後ろ姿が見えた。