地底スタートの幻想郷生活 修正版   作:四国の探索人

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第15話 水橋パルスィvs宮出口瑞霊

瑞霊の指先に、ユウスケの能力によって生成された拳銃が現れる。

冷たい金属の銃口が、真っすぐパルスィへと向けられた。

 

 

 

「ただの妖怪が……どれだけ耐えられるかな!」

 

 

 

 

 

その声音には怒りと焦りがにじんでいた。

だが――次の瞬間。

 

 

 

引き金にかけた指が動くより先に、瑞霊の手が勝手に動いた。

グラリと銃口が逸れ、弾丸は空しく別の方向へ発射される。

 

 

 

パァンッ!!

 

石壁に弾が弾け、粉塵が舞う。

 

 

 

「……ちっ……!」

 

 

 

瑞霊は苦々しく舌打ちし、拳銃を握る手を睨みつける。

 

 

 

「こいつの体が……明確に拒否反応を示しやがる……!」

 

 

 

 

 

その隙を、パルスィは逃さなかった。

足音ひとつ立てず、嫉妬の瘴気をまといながら、するすると距離を詰めていく。

 

 

 

「借り物の体で、勝てると思ってるの?……この詐欺師」

 

 

 

 

 

パルスィの言葉は静かだが、鋭い刃のように瑞霊の神経を切り裂いた。

 

 

 

「畜生……来るな!来るんじゃねぇ……!」

 

 

 

瑞霊は後ずさりながら、銃をもう一度構えようとする。だが手は震え、狙いは定まらない。

 

 

 

「それ以上近づいたら――自殺する。こいつごと、吹っ飛ばしてやるからな……!」

 

 

 

 

銃口は自らのこめかみへと向き直されている。

その指には確かに、引き金を絞る力が込められていた。

 

 

 

パルスィは、迫る足を一瞬だけ止めた。

 

彼女の顔が微かに歪む。

“怒り”と“嫉妬”、そして――恐れ。

 

 

 

「……ふざけないで」

 

 

 

 

 

そう口にしても、足が止まった事実は否定できない。

 

彼女の脳裏を、“もし撃たれてしまったら”という最悪の未来がよぎる。

 

 

 

「ユウスケは……死なない……」

 

 

 

 

 

自分に言い聞かせるように呟いたが、手は握りしめられたままだ。

 

 

 

瑞霊はその反応を見て、ふっと薄ら笑う。

 

 

 

「あぁ?怖いか?なあ、お前も分かってんだろ。こいつが中にいるってことは、私が引き金を引けば、こいつも一緒に道連れってことだ。最も私は亡霊だから逃げおおせるがな」

 

パルスィは瑞霊の前に立ち、目を伏せながら呟いた。

 

「ごめんね、ユウスケ。こうするしかないの……」

 

 

 

 

 

彼女が翡翠色の手を掲げると、その周囲に無数の緑色の光が揺らめき始める。

それは、彼女の感情を具現化した“嫉妬の弾幕”――

 

 

 

瑞霊が構えた拳銃の銃口に狙いを定め、容赦なく放たれた。

 

 

 

「――ッ!」

 

 

 

 

 

瑞霊は目を見開き、とっさに引き金を引くが、その手には明らかな焦りがあった。

 

パンッ!

 

 

 

弾は弾幕の中心からわずかに逸れ、光の波を切るだけに終わる。

 

次の瞬間、パルスィの弾幕がユウスケの右腕を直撃した。

 

 

 

「あッ――!」

 

 

 

 

 

激しい閃光とともに、右腕が根元から吹き飛ぶ。

 

ユウスケの身体が膝をつき、痛みによる本能的な絶叫が響いた。

 

 

 

「クソが!……あ゛あ゛!? お前、頭おかしいんじゃねえのか!」

 

 

 

 

 

瑞霊は怒りに満ちた表情で、地面に拳を打ちつける。

 

 

 

「あーもういいよ!この体もクソも、どうでもいい!」

 

 

 

「ただし――こいつには死んでもらうぜ!」

 

 

 

 

 

歯を食いしばりながら、彼女は左手に拳銃を再生成しようとする。

 

だが、その瞬間。

 

 

 

パルスィの姿が一瞬で間合いを詰めた。

 

 

 

瑞霊が銃を構える暇もなく、パルスィの手が彼女――ユウスケの首をがっしりと掴む。

 

 

 

「妬ましい……妬ましい……! 私の大切な人を、汚したあなたが――」

 

 

 

 

 

その手から放たれるのは、ねっとりと絡みつく嫉妬の感情。

視界がねじれ、意識の奥に黒い靄が広がる。

 

 

 

瑞霊の表情が歪む。

 

 

 

「っ……うぅ……っ、な、何だ……この感情は……!」

 

 

 

 

 

怒り、孤独、承認欲求、愛されなかった記憶、他人の幸せを恨む心――

パルスィの心に巣食う“嫉妬”が、容赦なく流れ込んでくる。

 

 

 

「こんな……クソみたいなもん、見てられるかよッ!!」

 

 

 

 

 

悲鳴とともに、瑞霊の霊体がユウスケの肉体から弾かれるようにして飛び出した。

 

 

 

淡く揺れる紫の霊体――宮出口瑞霊は、忌々しげにパルスィを睨みつけながら、地の底へと逃げるように飛び去った。

 

 

 

「覚えてろよ!クソ女がッ!」

 

 

 

 

 

その声は、次第に遠く、霞んでいった――

 

 

 

パルスィは掴んだままのユウスケの身体をそっと支え、ひざまずく。

 

傷だらけの身体はまだ呼吸をしていた。

 

 

 

「……ユウスケ……」

 

 

 

「もう、絶対……離さないから」

 

 

 

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