地底スタートの幻想郷生活 修正版   作:四国の探索人

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第2話 安全の確保

ユウスケは地面に座り込み、手に持った拳銃を眺めながら、先ほどの謎の現象を試すことにした。

 

「生成、弁当。スマホ。」

 

彼が声に出すと、目の前にコンビニ弁当とスマートフォンが現れた。

 

「この弁当、俺がいつも食ってるやつか。」

 

驚きながらも、ユウスケは弁当を手に取り、恐る恐る口に運ぶ。味は変わらず、いつものように美味しい。ひと安心しながら、次にスマートフォンの電源を入れてみる。「よかった、俺の携帯だ。しかし、俺は拳銃なんて持ってない。持ち物でなくとも出せるのか?」

 

頭が混乱する中、試しに「ショットガン」と叫ぶと、見事に彼の手にショットガンが現れた。

 

「分からないが、どうやら知ってる物を生成出来るようだ。」

 

彼は驚きを感じながらも、その新たな力を理解しようと努めた。

 

ユウスケはショットガンを握りしめ、意を決して洞窟の奥へと進む。一歩踏み出すたびに、彼の周囲は暗闇に包まれ、その静寂は不安を煽るが、先を急ぐ。しばらく進むと、徐々に光が見え始めた。

 

「外か?」

 

希望を胸に、ユウスケはその光に向かって足早に走り出した。

 

彼が光のある場所に辿り着くと、その場に立ち尽くした。目の前には広大な空間が広がり、そこには先ほど彼を襲った妖怪や鬼たちがうごめいている。彼の心は再び恐怖に包まれる。周りを見渡すが、人間の姿はどこにも見当たらない。自分だけが異質であることを理解した。

 

ユウスケの近くを通る者たちは、彼を一瞥し、好奇心に満ちた視線を向けてくる。

 

「人間がここにいる…?」

 

その視線に彼は一瞬怯んだが、すぐに意を決し、冷静さを取り戻そうとした。ここにいる者たちが敵でないことを願うしかなかった。

 

 ユウスケは逃げ出そうにも、元来た道には出口が見当たらない。恐怖に駆られながら、彼は周囲の端の方をそろりそろりと歩いたが、その瞬間、彼の存在に気づいた妖怪たちが集まり始めているのを目の当たりにした。

 

「人間の匂い。角がないから鬼ではない…」

 

一匹の妖怪が言った。彼らは久しぶりの獲物に興奮し、少しずつユウスケとの距離を詰めていく。ユウスケは、自分の心臓の高鳴りに耳を澄ませながら小走りで逃げようとしたが、妖怪の足音が近づくのを否応なしに聞いてしまう。

 

「やばい、逃げなきゃ!」

 

彼は意を決して全力で走り出したが、数体の妖怪も一緒に走り出す。それに伴い、彼の心中に恐怖が広がっていく。距離が1メートルほどになると、ユウスケは覚悟を決め、振り返った。ショットガンを構えて引き金を引く。

 

近距離での射撃は危険を伴ったが、彼の腕はブレることなく弾は全て妖怪に命中した。派手な音と共に妖怪が倒れこむが、ユウスケの望んだ静寂は訪れなかった。

 

倒れた妖怪を見て、周りの仲間たちが興味を持つように彼の方へと近づき始める。

 

「おもちゃを見るように」じっと見つめる妖怪たち。その視線が彼の肩を重くする。

 

ユウスケはショットガンの重みをしっかりと握りしめながら、次の行動を考えなければならない。

 

逃げるべきか、戦うべきか、選択の幅が狭まっていく中で、彼の心に一つの決意が芽生える。

 

「今度はもっと大きな弾を用意して、ここから出る!」

 

ユウスケは再び心に火を灯し、次の瞬間には彼の意志を込めて

 

「生成、グレネード」を言い放った。

 

果たして、彼はこの広大な空間をどう切り抜けるのか。妖怪たちの目が光る中、運命の行方は果てしなく続いていく…

 

 ユウスケは次々と妖怪たちを銃火器を使って退けていく。彼の必死の抵抗を見て、周囲にいた観客たちが集まり始めた。腕に覚えのある妖怪たちは、彼が勝てば今晩の獲物が手に入ると考えて挑戦してくる。

 

何体か倒し、徐々に自身の力を感じ始めたが、突然、角のある一体の鬼が近づいてきた。その姿は他の妖怪たちとは異なり、威圧感を放っている。

 

「よく人間がここまでやったもんだ。だが、鬼相手に同じ事が出来るかな。」

 

その鬼は挑発的に笑いながら、手始めに石を投げつけてくる。ユウスケは反射的に避けたが、鬼はそのま力強く飛びかり、その手でユウスケの首を絞めつける。

 

「終わりだ!」

 

鬼の冷酷な声が響く。ユウスケは必死に抵抗し、拳銃を体に押し当て引き金を引こうとするが、鬼の硬い皮膚に弾は弾かれ、効果を示さなかった。

 

「ぁ…ぅ…。」

 

力が次第に抜けていき、意識が薄れていく中、突然、どこかから声が響いた。

 

「乱暴狼藉は止めなさい。」

 

その声はっきりとした存在感を持っていた。

 

「なんだ地底の引きこもりか!」

 

怒りと驚きを混ぜながらモブ鬼が振り返る。

 

「ここはルール無用の地底。オメーの言う事なん、、、」

 

その言葉が終わる間もなく、光の弾がけたましい音を立て飛び出し、モブ鬼は瞬時に吹き飛ばされてしまった。驚愕の瞬間にユウスケは目を見開いた。

 

 「私がただの引きこもりじゃないことを忘れないことね。」

 

 そう言って周囲を見渡すさとりの目は凛としていた。

 

その言葉を聞き、初めて彼女の存在を認識したユウスケは、混乱しつも感謝の意を示した。

 

「誰か知りませんが、ありがとうございます。」

 

「妖怪達が騒いでると思ったらあなたがいたの。事情は知らないけど一度話を聞くわ。着いてきて。」

 

さとりは指示を出し、彼女の隣を歩くように促した。

 

周囲の妖怪たちは彼女の威厳に驚き、道を開けて退いていく。その隙間を通り抜けて、ユウスケとさとりは進んでいく。彼女の家へ向かう道のりの途中、ユウスケはその大きな建物を目にする。

 

「家、というか屋敷だなこれ。」

 

 彼はその荘厳さに思わず声を漏らした。

 

「まあ、住む人はそんなにいないのだけどね。」

 

 さとりは淡々と答える。彼女に導かれ、ユウスケは広々とした室内に入っていく。

 

「そこのソファーにかけていいわよ。一応話してもらいましょうか。何故あなたはあそこにいたの?」

 

 さとりはソファーを指し示し、ユウスケを座らせる。

 

 ユウスケは思い詰めた表情で続けた。

 

 「えっと、私は大学生をしているユウスケと申します。キャンプをしていたのですが、、、」

 

 彼はこれまでの経緯を話し、洞窟に迷い込んだことや妖怪たちとの遭遇について詳しく説明した。

 

さとりは静かに話を聞いた後、少し考え込む。

 

 「洞窟の出入り口がなくなったか…恐らく。あの妖怪がスキマを地底の洞窟に繋げたのね。」

 

ユウスケは驚いて尋ねた。

 

 「そうだ。何故ここは妖怪がいるんですか?」

 

「何故って言われても…落ち着いて聞いて。」

 

さとりは柔らかい口調で続けた。

 

 「ここは幻想郷の地底。あなたの世界とは厳密に言えば違う所なの。妖怪などが跋扈する所で、地上に行けば人間もいるけど、あなたが知る外の世界ではないわ。もう元の世界へ戻るのは諦めることね。」

 

ユウスケはその言葉にショックを受けた。

 

「そんな…。戻れないなんて、どういうことですか?」

 

さとりは彼の視線を受け止め、少し心を痛めた。

 

 「あなたがこの地に入ってしまった以上、元の世界への道は厳しいの。ここでは、様々な妖怪や幻想が生きていて、多くの人間はここに来ることはできない。もちろん、戻る手段を見つけることも可能だけど、それには相応の力や知識が必要なの。」

 

 ユウスケが落ち込む中、扉が開いた。そこには、赤い髪におさげが特徴的な火焔猫燐が現れた。

 

お燐は部屋に入る。

 

「さとり様、今帰りました。」と告げる。

 

さとりは微笑んで、「お帰りなさい、お燐。」と返す。

 

お燐は一瞬、ユウスケに目を向けて驚いた。

 

 「さとり様、突っ込んでいいのか何故人間がいるんですか?」

 

さとりは淡々と説明する。

 

 「スキマ妖怪によって外の世界から来たらしいわ。落ち込んでるみたいだから、どこか空き部屋に案内してあげて。」

 

お燐は頷いて

 

「ニャるほど。分かりました。ほら、いくぞ人間。」とユウスケに声をかけた。

 

ユウスケはその声に少し戸惑いながらも立ち上がった。

 

 「は、はい。お世話になります…。」

 

お燐は軽快に歩き出し、ユウスケを空き部屋へと案内する。

 

 「この幻想郷では、少し変わったことが多いけど、安心して。私たちがいる限り、危険な目には合わないから。」

 

ユウスケはお燐と話しながら、不安を少しずつ和らげていく。

 

 「そうなんですね…でも、どうやってここから出られるのか全然分からなくて…。」

 

お燐は優しく振り返り

 

 「大丈夫。まずはここでの生活に慣れて、情報を集めることが大事だよ。妖怪たちと交流しながら、少しずつ状況を理解していこう。」

 

部屋に着くと、お燐が鍵を開け、中に入るよう促す。

 

「ここがあなたの部屋。落ち着いたら、また一緒にご飯でも食べに行こう。」

 

ユウスケはその言葉にほっとし、部屋を見回した。自分が異世界にいるという実感が改めて湧いてきた。

 

「ありがとうございます。頑張ってみます。」

 

お燐はニャっと笑い

 

 「それじゃ、また後でね!」と言い残して、去っていった。

 

部屋に一人残されたユウスケは、少しずつ心を落ち着けることに努めながら、新しい生活に向けた第一歩を踏み出す決意を固めた。

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