ユウスケはお燐が部屋を出た後、一人で考え込んでいた。
「安全な所に来れたのはよかったが、妖怪はびこる世界か、、、ここの人は割と人間の見た目だけどやっぱり人を食べてるんだろうか。」
そのとき、突然声が聞こえた。
「今は食べてないよー。」
驚いて声のする方を見ると、緑色の帽子が特徴的な古明地こいしが立っていた。
ユウスケは困惑した。
「えっと、君は?」
こいしはにこやかに答える。
「私?私は古明地こいし。さとりお姉ちゃんの妹だよ。そっか、今まで見えてなかったんだね。」
ユウスケは名乗った。
「ユウスケだ。全く気付いてなかったよ。一応聞くけど俺って食糧として連れてこられたの?」
こいしは少し戸惑いながら言った。
「お兄さん。食べたら美味しそうだけどお姉ちゃんが連れてきたからなぁ。」
ユウスケは冗談めかして言った。
「せめて、一撃で殺してから食べてくれ。」
こいしは笑顔で答える。
「分かった!お姉ちゃんに言っておくね。」
ユウスケは少し震えながら心配していると、扉が再び開いた。
さとりが入ってきて言った。
「こら、こいし。勝手にその人を食糧に決めないの。」
こいしは驚いて反応する。
「えっ、お姉ちゃん。食べないの?」
さとりは優しく微笑んで答える。
「私達は人なんてもう食べてないでしょ。それにこの人はスキマ妖怪がわざわざ地底に連れてきたの。食べたらこっちが怒られるわ。」
こいしは納得したように言った。
「じゃあ、お客さん?」
さとりは頷いた。
「そんな所ね。」
ユウスケは少しホッとして尋ねる。
「殺されない?」
さとりは確信を持って言った。
「少なくとも私の目が届く範囲では誰にも殺させないわ。」
ユウスケは部屋の端っこにいたが、少しだけさとり達の方に寄った。
さとりは話題を変えた。
「こんな話している場合じゃなかったわね。2人ともご飯よ。」
こいしは嬉しそうに声を上げる。
「わーい!ご飯だ。今日は何?」
さとりはニコニコしながら答えた。
「オムライス!」
こいしはその言葉にさらにテンションが上がり
「やったー!オムライス大好き!」と歓声を上げた。
ユウスケはその様子を見て、心の中で少しだけ安心感が広がった。新しい環境に慣れ始めることができそうだと感じた。
ユウスケが部屋に着くと、そこにはお燐と長い髪が特徴的な霊烏路空がいた。
お燐が声を掛けた。
「さっきぶり、気分は落ち着いた?」
ユウスケは少しだけ笑いながら答えた。
「少しだけ。」
霊烏路空が明るく名乗った。
「こんにちは、お兄さん。私は霊烏路空。みんなからはお空と呼ばれてるよ!」
ユウスケは微笑みながら返した。
「よろしく。」
お空は心配そうに聞いた。
「どうしたのお兄さん?元気ないねぇ。」
お燐が事情を説明した。
「外の世界から来たばっかりなのに命を狙われたのだから仕方ないニャ。」
さとりが冗談を交えつ続けた。
「それにさっきこいしに“食べちゃうぞー。”と言われて震えてたしね。」
ユウスケは慌て言った。
「待てよさとり、恥ずかしいから言わないで。」
こいしは明るく笑いながら言った。
「あっ!お兄さんが始めて笑った!」
ユウスケは少し照れくさを覚えつも、場の雰囲気に和みを感じていた。
「まぁ、食べられるかもって思ったら緊張もするよね。」
お空はにっこりと笑顔を浮かべ
「そんなこと気にしなくて大丈夫だよ!私たち、仲良くなれるからね。」と励ました。
お燐は頷きながら
「そうだよ。ここでは友達ができるから、少しずつ慣れていこう。」と言った。
ユウスケはその言葉に少し安心し
「ありがとう、みんな。少しずつ慣れていければいいな。」と返した。
その時、こいしが思い出したように言った。
「あ、お姉ちゃん、さっきご飯の準備って言ってたよね?」
さとりは微笑みを浮かべながら答える。
「そうよ。おいしいオムライスが待ってるから、みんなで食べましょう。」
ユウスケの緊張が少し和らぎ、彼は
「それなら楽しみだな。」と前向きな気持ちを持つことができた。
ユウスケが夕食を終え、自室で寝ようとしていると、さとりが静かに部屋に入ってきた。
さとりは優しい声で言った。
「辛いと思うけど、ここにはずっといていいからね。」
ユウスケは心が温まるように感じ
「ありがとう。さとり。」と素直に感謝の気持ちを伝えた。
彼は緊張からかなかなか眠れずにいたが、さとりが優しく頭を撫でてくれた瞬間、心が落ち着くのを感じた。不思議と、安心感が広がり、いつの間にか寝入ってしまった。
ゆっくりとした呼吸が部屋に満ち、ユウスケは夢の中へと旅立っていった。異世界にいることを忘れるかのように、心地よい眠りに包まれながら、彼は新しい生活の始まりを感じていた。