スペオペ世界でモンスターを専門に狩っている狩人の話   作:アスピラント

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戦虎ヴォルガンタイガー

 惑星ルヴェル――それは青く澄んだ海がどこまでも広がる、温暖な気候に恵まれた美しい星た。エリスの船が大気圏を抜け、ラダリエ沿岸生態圏へと降下していくと、眼下にはエメラルドグリーンの海がきらめき、白い砂浜が弧を描いていた。まるで観光地のパンフレットにでも載っていそうな、南国の楽園のような風景が広がっている。

 

 船が着陸すると、ハッチが開き、ガルダたちは潮風を感じながら外へ降り立った。湿り気を帯びた暖かな空気が肌を包み、ヤシのような高い木々の間から、鮮やかな羽を持つ鳥が飛び交うのが見える。波の音とともに、遠くからは生態系特有の動物たちの鳴き声も聞こえてきた。

 

「うわぁ……すっげぇキレーだな……バカンスにはたまらないな」

 

 リルルが目を輝かせながら、砂浜に降り立つとすぐに裸足になり、足元の感触を確かめる。

 

「砂がめちゃくちゃさらっさら! こんなとこで任務って、初めてかもなぁ」

「遊びに来た訳じゃないぞ」

 

 レクスディアも腕を組みながら周囲を見渡してからぼやいた。

 

「こんな南国みたいな環境が広がる惑星で、俺たちは命がけの狩りってわけか――最高だな」

 

 普通の人ならば絶対バカンスを選ぶだろうが。

 ここにいるのは狩人ばかり。もう頭の中はどう狩るかしかなかった。

 

「まず研究拠点へ向かいましょう。あそこにいる研究チームは私のいるチームになります! この異変に関する重要な情報を皆さんに共有しますので」

「何人ぐらいのチームだ?」

「10人になります」

 

 ガルダの質問に対してエリスはすぐに答えた。

 研究チームは予算が少なく、人員はかなり小規模だった。しかし一人一人の地道な努力のおかげもあってか、かなりの成果を出してきたようだ。

 

「――我々も……かなり苦労してきました。なので……この生態系の事は誰よりも熟知しています」

「あんたらみたいな研究者のおかげで狩人も安全にクエストを遂行出来るからな、素直にすげぇわ」

「ありがとうございます……えへへ」

 

 リルルの賛辞にエリスは照れ臭そうに頭をかく。

 

「研究チームに被害はなかったのか?」

「安全を考慮し、森の奥へはいかないようにしていました」

 

 レクスディアが冷静に辺りを見回しながら言う。

 

「何せ大人しい動物でさえ、まるで種族が変わったように襲い出したので……。研究所付近のエリアから外へは原則出ないようにするしか……」

「それも確かにそうだな」

 

 周り全てが敵というのは中々にしんどい。

 きっとエリス達の心労は尋常じゃないだろう。

 

「あ、見えてきましたね」

 

 しばらく歩くと、研究拠点の建物が見えてきた。周囲には観光地とは思えない、設備の整った研究施設がひっそりと佇んでいた。エリスは建物の前で足を止め、端末で接続の確認をしてから、入り口に向かって歩みを進める。

 

「皆さん! イェーガーさん達を連れてきましたよ!」

「エリス!」

 

 エリスはドアを開けると、すぐに笑顔を見せて声をかけた。中にいた研究員たちが、驚いた表情を浮かべつつも笑顔で迎え入れてくれた。

 

「やっと救い主が来てくれたような気分だ……感謝する。私は研究グループのリーダーをしてるダグラだ。よろしく」

「ガルダだ、よろしく――」

 

 初老の男が握手を求めて手を差し出す。

 ガルダ達はすぐに握手して、軽く自己紹介を済ませるとエリスが早速切り出した。

 

「ダグラさん……早速で申し訳ないですが、情報共有を」

「ああ、わかった。ちょっと待ってくれ……よし、起動した」

 

 エリスが話を切り出すと、ダグラが準備していたデータをホログラムとして展開した。

 

 ホログラムが展開されると、薄暗い研究室の中に、ラダリエ沿岸生態圏の詳細な地図が浮かび上がった。そこには、異変が発生した地点を示す赤いマーカーが複数点灯している。

 

「最初に異変が確認されたのは、ここだ」

 

 ダグラは指を動かし、海岸線に近い密林地帯を拡大する。そこに表示されたのは、無数の生物の活動記録。通常の行動パターンから逸脱した動きを示す赤い軌跡が、複雑に絡み合っていた。

 

「およそ二週間前、このエリアの小型生物が突如として凶暴化し、互いに殺し合うようになった。それだけなら異常行動として片づけられたかもしれんが……問題は、それが急速に広がっていったことだ」

 

 彼の指がホログラムの別の地点を指し示す。時間経過とともに、異変がまるで波紋のように広がり、より大型の生物へと影響を及ぼしている様子が表示された。

 

「最初は小型の草食生物だった。それがやがて中型の捕食者に波及し、今ではこの地域の頂点捕食者クラスにまで影響が出始めている。襲撃の報告件数は増え続け、もはや手が付けられない状況だ」

「なるほど……これは確かに外的要因と言わざるを得ないな……」

 

 レクスディアはじっとデータを眺める中でダグラはホログラムの拡大表示を続けながら、さらに詳しい説明を始めた。

 

「この異変を引き起こしている要因を探るために、我々は異常行動を示した生物のサンプルをいくつか回収した。そして、解析の結果――ある未知の成分が体内に蓄積されていることが判明したんだ」

 

 ホログラムが切り替わり、今度は研究データの一部が映し出される。そこには、分子構造を示す複雑な図と、それに付随する数値データが並んでいた。

 

「この物質を仮に《X-03》と名付けた。我々の分析では、この成分は神経系に影響を及ぼし、攻撃性を飛躍的に高める作用を持っている可能性が高い。さらに厄介なのは、通常なら体外へ排出されるはずの異物が、なぜか生物の体内で増殖する性質を持っていたことだ」

「増殖……」

 

 ガルダが眉をひそめる。

 

「そうだ。通常、異物が体内に侵入すれば、排泄や代謝によって除去される。しかし《X-03》は、宿主の代謝機能を乗っ取るかのように増殖し続け、やがて脳神経にまで影響を及ぼす。結果、理性が破壊され、狂暴化する――というわけだ」

「なるほどな……」

 

 レクスディアが腕を組みながら唸る。

 

「で、その成分の発生源は特定できているのか?」

「それが問題でな……」

 

 ダグラは深いため息をつくと、ホログラムを操作し、新たなデータを映し出した。そこには《X-03》の構造解析結果とともに、拡大された成分組成の比較データが表示されている。

 

「この成分は、自然界のどの生物にも本来存在しない。もしくは、何らかの影響で自然界の物質が変異し、異常な成分に変わったのかもしれない」

 

 ガルダはホログラムを見つめながら言った。

 

「じゃあその《X-03》の発生源を突き止めるには……データが足りないと?」

「この物質をより詳細に解析できれば、拡散経路を逆算し、発生源を特定できる可能性がある。ただし……」

「ただし?」

「充分なサンプルを回収する必要がある」

 

 ダグラは険しい顔で続けた。

 

「我々がこれまで回収したサンプルは、小型生物のものばかりで、含有量が少なすぎる。だが、より大型の生物――特にこの生態系の頂点捕食者クラスの個体ならば、充分すぎるほどの《X-03》を蓄積していると考えられる」

「なるほどな……」

 

 ガルダは顎に手を当て、考える素振りを見せた。

 

「で、どいつを狩ればいい?」

 

 ダグラは少し躊躇した後、ホログラムを切り替える。そこに映し出されたのは、巨大な肉食獣の姿だった。

 

「ヴォルガンタイガー……この地域の頂点捕食者だ。通常の状態でも手に負えない獣だが、《X-03》の影響を受けた個体はさらに危険だろう」

「……体格も大きいです……本当に危険です。やっていただけますか?」

 

 つまりいつもよりは強い――イェーガーにとってはたまらない言葉だ。

 

「「喜んで」」

「な、なんて……いい笑顔……」

 

 軽くエリスは引いていた。

 

 ◆

 

 ヴォルガンタイガーの生息域へ向かうため、ガルダたちは研究拠点を後にし、森の奥へと進んでいった。温暖な気候と豊かな自然に満ちた惑星ルヴェルだが、今やその生態系は異変に蝕まれつつある。

 

 ジャングルに足を踏み入れると、海岸の穏やかな雰囲気とは一変し、木々が生い茂る湿った空気が肌を包み込む。太陽の光が葉の隙間から斑模様を作り、地面には絡み合うように根を張った植物が広がっていた。どこかから、鳥の鋭い鳴き声が響き、遠くで枝葉がざわめく音がする。

 

 エリスと研究員たちは拠点に残り、彼らの進行を遠隔モニタリングしていた。

 

《ガルダさん、こちらからも周囲の生物反応を探知しています。慎重に進んでください》

 

 通信越しにエリスの声が響く。ガルダは軽く頷き、周囲を警戒しながら歩を進める。

 

「やれやれ、ここまで来ると本格的なジャングルだな……。何が出てくるかわからねぇヒリヒリ感がたまらねえわ」

 

 リルルが棍棒を肩に担ぎながら言った。

 

「楽しそうに言うなよ、既に狩りの最前線だ」

 

 レクスディアが冷静に言いながら、手に持った槍を軽く回す。その動作一つとっても、彼が戦いに慣れた戦士であることを物語っていた。

 

「けど、ここまで痕跡が多いのは異常だな……」

 

 ガルダはしゃがみ込み、地面に残った痕跡を観察する。爪痕、血痕、無残に破壊された獣の骨。捕食者が食べ散らかした跡とはまるで違う……単なる殺戮が行われた跡たま。肉食、草食関係なく獣たちが理性を失い、無差別に暴れ回った痕がそこかしこに残っている様は、かなり異様という以外に言葉が見つからない。

 

「まだ……これ新鮮だぞ……数分ぐらいしか経ってねぇ」

 

 アポロニアが訝しむ様子で言った。彼女の髪に宿るエネルギーが微かに煌めく。狩人達は気づいた、本当に微かではあるが獣達が蠢く音が耳朶に触れている。

 

《皆さん! 気をつけて! 猛烈な速度で複数の生体反応が向かっています!》

 

 その言葉の直後だった。

 

「ルォォォ!!!」

 

 突如として、ジャングルの奥から唸るような鳴き声が響き、茂みが激しく揺れた。次の瞬間、数匹の草食獣――だが、本来の穏やかな姿はどこにもなく、目が血走り、泡を吹いた獣たちが、狂ったようにガルダたちへと突進してきた。

 

《エオドランカー……!? 気をつけて!》

 

 エリスの鋭い叫びとともに、巨大な影が跳び出してきた。

 

 それは、全長三メートル近い獣――エオドランカーだった。もともとはこの地域に生息する温厚な草食動物で、長い首と二本の大きな牙を持ち、群れで生活する習性を持っている。普段は密林の低木や水辺の草を食む生き物であり、肉食獣に襲われると高い脚力を活かして逃げるのが特徴だった。しかし、今のエオドランカーは違った。

 

 濁った目が血走り、泡立つ唾液を口から垂らしながら、猛然と突進してくる。その太い前脚が地面を踏み砕き、かつての臆病な性質は影も形もなくなっていた。

 

「くるぞ!」

 

 ガルダが叫ぶや否や、最前線に立っていたレクスディアが槍を構え、一瞬のうちに踏み込んだ。

 

「出番だ……王の槍(ムクンダワムファルメ)

 

 彼の槍が閃くと、獣の一匹が跳ね上がり、そのまま地面に叩きつけられる。レクスディアは無慈悲に槍を奮って狂気に身を落とした獣の心臓を貫くと、そのまま尋常じゃない膂力で吹き飛ばした。

 

「――――ァアアア!!」

 

 だがそれで終わりではない。周囲から次々と獣が現れ、彼らを取り囲むようにして襲いかかる。

 

「こっちも負けてられないぜ!」

 

 リルルがニヤリと笑いながら、背負っていた巨大な棍棒を振り上げた。その材質は、彼女が最初に倒した怪物の骨と鉱石を融合させたものであり、ブリード由来の怪力を最大限に活かす武器だった。

 

「ぶっっ潰れろ!!!」

 

 彼女が棍棒を振り下ろすと、大地が震え、直撃を受けた獣がその場で吹き飛んだ。土煙が舞い、周囲の木々が揺れる。

 

「派手にやるじゃねえか!」

 

 ガルダも負けじと動く。

 ナノテクノロジーによって強化された彼の体が、一瞬で獣との距離を詰め、拳を叩き込んだ。衝撃波が走り、獣の巨体が木々に激突する。

 

「威力は絞らないとねー……私の場合は」

 

 アポロニアが息を整えながら呟く。彼女の周囲には、エネルギーが渦巻くように漂っていた。

 

「シッ!!」

 

 彼女の手から放たれた光の刃が、獣たちを切り裂いていく。斬撃が空間を歪ませるほどの熱量を持ち、直撃を受けた獣は苦しげな悲鳴を上げながら崩れ落ちた。

 

「ルォォォ……」

 

 相手が只者じゃないと知ると、獣達が怯む。

 そんな姿を見て、ガルダはニヤリと笑う。

 

「今度はこっちから行かせてもらうぜ」

 

 ◆

 

 一方、モニター越しにその戦闘の様子を見守っていたエリスと研究員たちは、驚きと興奮の入り混じった声を上げていた。

 

「すごい……あれがイェーガーたちの実力か……」

 

 研究員の一人が感嘆の声を漏らす。その目には、ガルダたちの戦いぶりに畏怖の念が浮かんでいた。彼らはイェーガーたちがどれほどの戦闘能力を持っているのか、実際に目にするのは初めてだったが、そのスピードと精密さには圧倒されるばかりだ。

 

 そんな中でエリスはモニターを凝視し、眉をひそめた。

 

「待って、何かおかしい……」

 

 真剣な声色を維持し、思わず通信を切ることなく呟く。目の前で繰り広げられる戦闘がただの獣の群れの暴走とは違うことに、直感的に気付いたのだ。

 

「見てください、あの動き……」

 

 研究員が別のモニターを操作しながら言う。映し出されたのは、ガルダたちが戦うジャングルの中で暴れ回るエオドランカーたちだ。確かに、暴力的に突進してくる姿は狂気じみているが、その動きに一貫したパターンが見え隠れしていた。

 

 ガルダの拳が一匹の獣を打ち倒し、リルルの棍棒が別の獣を吹き飛ばすその背後で、エオドランカーの一匹が素早く立ち上がり、周囲を見渡していた。まるで指揮を執っているかのように、獣たちは一斉に動きを止め、彼の動きを追って一方向へと整然と向かう。明らかに、ただの暴走ではない、何かがこの獣たちを操っている。

 

「……指揮、されてる?」

「まさか……」

 

 エリスの意見に研究員たちは黙り込んだ。エオドランカーたちは今や無秩序に暴れるのではなく、指示に従って行動しているように見える。

 

「この異常な動き……もしかして、X-03がこのエオドランカーたちを支配しているのか?」

 

 ダグラの言葉に、研究員たちも思わず肩を震わせる。普通、獣たちは群れを成して行動するが、あれほど冷静に、そして確実に一匹の獣が群れを動かすとは考えにくい。彼女の眉間には深い皺が刻まれていた。

 

「ただの感染症ではない……何か、もっと高度な何かが――」

 

 その瞬間、エリスはふと背筋を冷たく感じた。視線をモニターに戻し、あらためてその場の戦闘を見守った。エオドランカーの群れの中に、何かが潜んでいる気がしてならない。何者か、あるいは何かの意識が、この異常事態を引き起こしているのではないか。

 

 エリスがモニターに目を凝らしている間、研究員の一人が焦った様子でキーボードを叩きながら言った。

 

「エリスさん、今、脳波計測のデータが届きました……!」

 

 その言葉に、エリスは一瞬で振り向き、画面のデータに注視した。計測器が捕らえた脳波のグラフが、通常の動物とはかけ離れた異常なパターンを示していた。脳波が規則的に乱れ、急激な波形を描きながら何かを伝えようとするように変動している。

 

「これ……どういうこと?」

 

 エリスが低い声で呟くと、研究員が慌てて説明を始めた。

 

「ええと、ここに示されている波形は、明らかに異常です。通常、獣の脳波はそれぞれ個体差はありますが、こうも短時間で集団のすべてが同調することはありません。それに、明らかに外的な刺激を受けている様子が伺えます。」

「外的な刺激? つまり、何かが意図的に……?」

 

 エリスが顔をしかめた。脳波の異常はただの生物学的な暴走ではなく、何者かが意図的にその動きをコントロールしているような、まるで操り人形のような兆候を示していた。

 

「はい……脳波の変動があたかも……外部からの指令に反応しているようなんです」

「外部からの指令……ね」

 

 これがただの偶然の暴走でないことを確信し、心の中で警鐘が鳴り響いたエリスは通信をオンにする。

 

「皆さん! 凶暴化した生き物たちですが――」

 

 忠告をしようとしたまさにその時――脳波計が激しく反応した。

 

 ◆

 

「ガァァアアア!!!」

 

 その時、茂みの中から突然、何かが飛び出してきた。足音を立てずに駆けるその影は、異常な速さでガルダたちに迫っていた。はじめはただの獣のように見えたが、その姿がはっきりと見えると、戦場の空気が一変した。

 

「……ヴォルガンタイガーだ! 多分!!」

「多分!?」

「見た目が変わりすぎてるからだよ!! ガルダ!」

 

 

 リルルが叫んだ。

 だが目の前に現れたそれは、もはやただのヴォルガンタイガーではなかった。その体は変異を遂げており、筋肉が異常に膨れ上がり、鋭い牙や爪が不自然に伸びている。皮膚は赤黒くひび割れ、目の奥には狂気じみた光が宿っていた。レクスディアがそれと相対し、無理に踏ん張って後退するが、その足元がすぐに崩れていく。

 

「なんだこいつ……」

 

 ガルダは戦いながら軽口を叩いた。

 

「資料とは随分違った見た目だな」

「何食ったらこんなんなるんだよ!」

 

 その声に、リルルも警戒しつつも笑い返すことなく、急いで反応を引き締めた。

 

「おおお!!!」

 

 ヴォルガンタイガーは、怒りに満ちた声で吠えると、その周囲で暴れている草食獣たちが一斉に静まり、まるで部下のように従い始めた。変異した草食獣たちは、まるで指示を受けたかのように、ヴォルガンタイガーの周囲で整然と動き出し、その後、ガルダたちに向かって激しい突進を仕掛けてきた。

 

「おおっと!? 偉く従順だな……天敵によぉ!」

 

 リルルが叫ぶ間もなく、ガルダたちは次々に襲いかかってくる獣たちに対応しなければならなかった。ヴォルガンタイガーの計略に嵌り、まずガルダが目の前に現れた草食獣に足元を取られてしまう。

 

「ちっ!」

 

 ガルダは地面に膝をつくが、すぐさま立ち上がり、反撃の体勢に入った。ヴォルガンタイガーは、それを見越していたかのように、今度は一匹の草食獣を盾にしてリルルに迫る。

 

「リルル! 気をつけろ!」

 

 ガルダが声を上げるが、リルルは一歩踏み込んで棍棒を振り下ろす。しかし、ヴォルガンタイガーはその獣を盾にし、リルルの攻撃を見事にかわした。その動きはまるで戦術を持つかのようで、ガルダたちはその巧妙な戦法に振り回されていた。

 

「くっ、こいつ……!」

 

 ガルダは一瞬の隙をついてヴォルガンタイガーの体に攻撃を加えようとするが、そのタイミングで背後から別の草食獣が突進してきた。ガルダはその攻撃をかわしつつ、再びヴォルガンタイガーに目を向ける。

 

「うっぜぇなぁ!」

 

 リルルが叫ぶ間もなく、ガルダたちは次々に襲いかかってくる獣たちに対応しなければならなかった。ヴォルガンタイガーの計略に嵌り、まずガルダが目の前に現れた草食獣に足元を取られてしまう。

 

「ちっ!」

 

 ガルダは地面に膝をつくが、すぐさま立ち上がり、反撃の体勢に入った。ヴォルガンタイガーは、それを見越していたかのように、今度は一匹の草食獣を盾にしてリルルに迫る。

 

「リルル! 気をつけろ!」

 

 ガルダが声を上げるが、リルルは一歩踏み込んで棍棒を振り下ろす。しかし、ヴォルガンタイガーはその獣を盾にし、リルルの攻撃を見事にかわした。その動きはまるで戦術を持つかのようで、ガルダたちはその巧妙な戦法に振り回されていた。

 

「くっ、こいつ……!」

 

 ガルダは一瞬の隙をついてヴォルガンタイガーの体に攻撃を加えようとするが、そのタイミングで背後から別の草食獣が突進してきた。ガルダはその攻撃をかわしつつ、再びヴォルガンタイガーに目を向ける。

 

「こいつ、どうやって草食の連中を……」

 

 草食獣が、まるで部下のように従っている。まさに異常な行動だ。

 

 やはり異常物資のせいか――その間にもヴォルガンタイガーは凶暴化した草食獣と共に連携を取って、波状攻撃を仕掛けてくる。リルルはその攻撃をかわしながら反撃しようとするが、草食獣が盾となって動きを封じる。ガルダは一歩後退しつつも、その複雑な攻撃に対してあくまでも冷静に対処していた。

 

「ガルダァ! ちょっと下がりな!!」

 

 その時、アポロニアが飛び込んできた。

 赤く輝く炎のエネルギーを身にまとい、彼女はその身を燃やすようにヴォルガンタイガーに向かって突進していった。彼女の周りには熱を帯びた炎が渦を巻き、その一歩一歩が空気を震わせる。

 

「これで周りを一掃する!!」

 

 アポロニアの声と共に、周囲の空気が一気に温度を上昇させる。彼女が放つ炎のエネルギーは、ヴォルガンタイガーの周囲に猛火を吹き上げ、迫る獣の体を焼き尽くし始めた。

 

「っ――!」

 

 ヴォルガンタイガーは一瞬その動きを止め、体を焦がす炎に苦しみながらも、しぶとく反撃しようとする。しかし、アポロニアはその隙をついてさらに圧倒的な炎の力を解き放ち、彼を圧倒する。

 

 しかし今いち決めきれない。

 周りにいる獣達の種類も増えている。

 

《皆さん……!》

 

 エリスも不安な様子を隠しきれていない。

 だが狩人の目に一切の焦りはない。

 むしろ……より闘志に満ち溢れていた。

 

「よし……向こうが無理矢理従わせる奴なら」

 

 ガルダはチームメイト3人を見やると、声高らかに言った。

 

「こっちはチームワークと行こうや……なぁ」

「「「だな」」」

「行くぞ!!!」

 

 ガルダが声を張り上げると、アポロニア、リルル、レクスディアが一斉に頷き、その場で即座に役割分担をする。目の前に迫る草食獣たち、そしてその後ろに控えるヴォルガンタイガー。その攻撃の嵐を突破するためには、何よりも連携が必要だった。

 

「リルル、突っ込んで! 俺がその隙を作る!」

「了解!」

 

 リルルは素早く駆け出し、棍棒を構えてヴォルガンタイガーに近づく。草食獣たちが彼女を取り囲んだが、彼女はそれを計算に入れていた。前に出ることで獣たちの注意を引き、その隙に他のメンバーに攻撃のチャンスを与える。

 

「へ……! みっけ!」

 

 その隙をガルダは見逃さなかった。足元を引き寄せ、身体の中に隠されたナノテクノロジーを駆使して、驚異的なスピードでヴォルガンタイガーに接近する。その瞬間、彼の武器となる手のひらに、エネルギーが流れ込む感覚が走った。

 

「レクスディア! 今だ!」

「任せろ!」

 

 レクスディアは自分の槍を素早く調整し、草食獣たちがリルルに迫った一瞬の隙を突いて、槍を大きく振り下ろす。槍先が地面を叩き、鋭い音を立てて草食獣たちを引き寄せた。そのタイミングでリルルが猛然と棍棒を振り回し、周囲の草食獣を一掃していく。

 

「くっ!」

 

 ガルダがヴォルガンタイガーに迫るその間隙を突き、アポロニアが炎のエネルギーを一気に高めて、爆発的な勢いで前方に突進する。彼女の炎が空気を震わせ、その周囲を一気に焼き尽くしながら、迫る獣たちを葬り去った。

 

 ここまで僅か1分に満たない時間だ――ヴォルガンタイガーの体内に潜む異形が焦る。

 

「この一撃で決める!」

 

 アポロニアはそのまま、炎のエネルギーを集束させてヴォルガンタイガーに向けて放つ。猛火がその体を包み込み、ヴォルガンタイガーが一瞬だけ身動きできなくなる。動きが鈍くなりながらもヴォルガンタイガーはその巨体を揺らし、再び反撃しようとするが、それも読み通りだった。

 

「こっちもだ!」

 

 ガルダが声を上げると、次の瞬間……身体から放たれたエネルギーが弾け飛び、手から出てきた剣の刃に走る。ヴォルガンタイガーがその爪で反撃しようとするが、ガルダは軽やかに回避し、剣を深々と突き刺すと先端だけを叩き折る。

 

 

「ギャオォオ!?」

 

 刃が突き刺さったまま残り、痛みによってヴォルガンタイガーは動きを止めた。

 

 あとは一撃を与えるだけ――そう判断したアポロニアとガルダは同時に駆け出し、拳に力を込めて勢いよくヴォルガンタイガーの心臓部に狙いを定めた。

 

 穿つは心臓、放たれるは絶死の拳。

 2人の狩人はいつもの決め台詞を叫んで殴り抜く。

 

「「BLAST!!!」」

「!!?」

 

 2人同時の拳撃に、突き刺さったままの刃がヴォルガンタイガーの心臓を食い破る。凄まじい量の血を口から吐き出した戦虎は、悶える暇すらなく地面に倒れ伏した。

 

「中々面白かったぜ、ただ……こんな化け物にされたのは可哀想だけどな」

 

 ガルダは獣の亡骸を見下ろしながら呟く。

 この奪った命を無駄にしてはいけない。

 異常の原因を突き止め、この星を元に戻すきっかけにすると、固く誓いながら。




ちなみにガルダたちは環境ぶっ壊しすぎないよう、火力デカすぎるのは極力控えてます
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