スペオペ世界でモンスターを専門に狩っている狩人の話   作:アスピラント

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序章が終わります


来たる嵐に備えよ

「え、師匠先にここにいたんですか」

「ああ、そうさ。ついでにバロルがこのX-03をばら撒いている事も把握済みだ」

 

 シルヴァーの乱入のおかげで一命を取り留めたガルダ達は、エリス達がいる研究所に戻っていた。ただこの依頼に関しては、すでにシルヴァーが裏で手を回していた案件らしく、ガルダ達は揃って唖然としていた。

 

「じゃあエリスさんも……仕掛け人みたいなもん?」

「すみませんアポロニアさん……実はシルヴァーさんからの頼みで、もう分析結果は完了していて……口裏合わせしながら進めてました」

「もう誰も信じらんねぇ」

 

 リルルはぐでっとソファに倒れ込みながら言った。

 無理もない、いくら根回しされた案件とはいえトワイライト級を前にして、死を覚悟するほどの事態にまで追い詰められたのだ。文句の1つや2つ――いや10個ぐらいあってもおかしくない内容だった。

 

「言葉で伝えるより、直接戦った方がわかる。特に若手は自信過剰になりがちだ。今起きてる事態をしっかり認識してもらうために、今回は仕込みをした」

「……なら今何が起きているんですか師匠」

 

 そんな中でアポロニアはもう仕事モードに切り替えて問うと、シルヴァーはリボルバーのシリンダーを外し、机に置いた。カチンという金属音が響き、場の空気が再び引き締まる。

 

 そのまま彼女は腕を組み、壁のスクリーンを指で操作した。

 モニターに映し出されたのは、いくつもの星系図と感染経路のグラフだった。

 

「――X-03は、今や連邦の監視外宙域を中心に蔓延している。特に文明化が進んでいない、辺境惑星や採掘コロニーが主な感染源だ」

 

 銀の髪が淡い光を反射する。

 淡々としたその声には、抑えた怒りのようなものが混ざっていた。

 

「発見されたのはおよそ5年前。最初はただのウイルスとして分類されていた。当初は無害とされていたんだが――1年も経たないうちに、最初の変異が確認された。以降、計3回の変異が確認されている。今流行しているのは、3回目の変異を起こした奴だ」

 

 スクリーン上に、X-03の分子構造図が拡大される。

 複雑に絡み合った鎖状構造の一部に、不自然な改変痕が見えた。

 

「こいつの特徴は、宿主の神経伝達系を直接乗っ取る点だ。動物の運動野や自律神経を制御し、まるで操り人形のように動かすことができる。さっきのバロルもその例だ。知能がなくても、行動制御が可能になる」

「だから感染すれば、トワイライト級でも支配されると」

 

 レクスディアの問いに、シルヴァーは小さく頷いた。

 

「そうだ。X-03の進化過程を見る限り、感染対象は変異を重ねるごとに格上の怪物になっている。最初は小型哺乳類とかだったのに、次は肉食動物、そして今はイェーガーが対応しなきゃいけない怪物まで支配されている。このまま放置すれば、ラディアント級以上の生体すら侵される可能性がある」

 

 室内が静まり返る。

 リルルが天井を仰ぎながら、低く唸った。

 

「冗談じゃねぇ……あんなもんが銀河中で湧いたらマジでやばいぞ」

「しかも一部は空間転移を身につけて、他の星に現れた奴もいる。ここで戦った奴がまさにその例だ」

「あいつ単体でワープしたんですか!? 船もなしに!?」

「そうさ」

 

 アポロニアは愕然とする。

 恒星間航行を自力で行ってしまうようになれば、もう被害規模は想像つかない。冗談抜きで銀河の危機だ。

 

「ただ……何の手掛かりがない訳じゃない」

 

 シルヴァーは短く返すと、次のデータを表示した。

 DNA配列の比較表と、人工的な酵素反応曲線。

 学術的な内容が並ぶその画面を、エリスが補足するように口を開いた。

 

「これが、シルヴァーさんが送ってくださったサンプル解析の結果です。天然のウイルス由来では説明できない“人工的な修飾痕が複数見つかりました。特に鎖の終端部の構造は明らかに人工合成です」

 

「つまり、誰かが作った?」

 

 アポロニアの問いに、シルヴァーは静かに視線を向けた。

 

「可能性は大いにある。だが私は最初から人工だったとは思っていない。元となる天然物質が存在したんだ。そして誰かが、それを人為的に方向付けた」

「……何のために」

「さぁな、犯人がいればソイツに聞くしかない。わかってる内容はこんぐらいだ」

 

 その場にいる全員が、背筋を冷たくした。

 まさかそんな危機が迫っていたなんて――ガルダ達若き狩人は難しい顔をする。

 

「だが恐れすぎる必要はないぞ、お前たち」

 

 しかしシルヴァーの表情は明るい。

 

「確かに脅威だが、まだ間に合う。私たちより上も把握してるし、対策は考えている。その作戦は近いうちに始動するんだが……お前ら4人を含めた若き狩人は中核になる」

「俺たちが……?」

 

 トワイライト級でもない自分達が何故――と思っていると、シルヴァーはウィンクしながら言った。

 

「ああ、何せお前たちは期待されている若手だからな」

 

 何故だろうか。

 期待してくれたら嬉しいはずなのに嫌な予感がする――ガルダ達は顔を引き攣らせる。

 

 こういうときに感じた嫌な予感は大体当たるのだから。

 

 

 夜のクルーシブル・ノヴァ、その中央区にある酒場――ドラケンの巣は、今日もハンターたちのざわめきで満ちていた。

 狩りを終えた者、依頼に失敗した者、ただ飲みたいだけの者――それぞれがグラスを傾け、明日の命運も知らずに笑っていた。

 

「おー! シルヴァーさん戻ってきたのねー!」

「まぁな……あの人がいると、色々とややこしいけどな」

 

 カウンターの奥で声を上げたのは、女性店員のリサだ。

 栗色の髪を後ろで束ね、明るい笑顔を絶やさない彼女は、ここの名物でもある。ガルダとアポロニアも、依頼帰りにはいつもこの店に顔を出していた。

 

「とりあえず肉と酒。あと肉」

「……お前な、もうちょっと順序考えろ」

 

 アポロニアはすでに半分寝たような目で注文していた。

 そして出てきた肉皿を前に、何も言わずに食べ始める。

 ナイフとフォークを使うどころか、ほぼ素手で。

 その勢いに、リサが苦笑する。

 

「また修羅場だったんだねぇ」

「修羅場っていうか……地獄の入口だな」

 

 ガルダはグラスを傾けながらぼそりと呟いた。

 視界の端には、まだ戦場の光景がちらつく。

 あのバロルの咆哮、焦げた空気、そして師匠の一撃。

 忘れろという方が無理だった。

 

「トワイライト級だったんだって? 格上の化け物じゃん」

「ああ……。正直、勝てる気がしなかった。でも師匠が来てなきゃ、今ごろ俺たちは餌になってたな」

 

 リサは目を丸くする。

 

「君らも相当強いと思うけど、シルヴァーさんはよりやばいんだね」

「ヤバいっていうか……あの人、人間やめてるからな」

「……いやいや、いくらなんでも――」

「いや、マジで。修行のときなんか、本気で死ぬかと思った。手加減って言葉を辞書で知らねぇんだ、あの人は」

 

 リサは苦笑しながらも、どこかゾッとした顔をした。

 アポロニアは肉を噛みちぎりながら、口の端で言葉を継ぐ。

 

「でもそのおかげで、今がある。本気で殺されるかもって思いながら鍛えられるとね、感覚が研ぎ澄まされるのよ。あの人、狩りのセンスは異常だから」

 

 リサは感心したように頷いた。

 

「でも怖くない? そんな訓練……」

「怖ぇよ」

 

 ガルダは即答した。

 

「でも、怖ぇ思いしなきゃ強くなれねぇ。自信過剰になったらやつから獲物になる。だからそういう意味じゃ……あの人は肉体的にじゃなく、心の中まで強くしてくれた恩人だ」

「私も同じく、恩人だし尊敬してる狩人よ」

 

 アポロニアがフォークを置き、軽く頷いた。

 

「死ぬ寸前の感覚って、悪くないのよ。あの瞬間、頭の中が真っ白になって、心臓だけが生きてる感じ? 生きるために動くっていう、原始的な本能が蘇るの。だから狩人は、死に近いほど強くなる」

「言い方が怖いんだけど」

「事実よ」

 

 アポロニアは肩をすくめて笑い、ワインを一気に飲み干した。ガルダは苦笑しつつも、彼女の言葉を否定はしなかった。

 師匠に叩き込まれたのは、まさにその感覚――“死を意識して生きろ”という哲学だ。

 

「そんな人が俺達みたいな若手を強くしてやるって言ってくれてる。勿論怖さもあるけど……上に上るためには必要だ」

「そうよ、私たちはゼニスになる。狩人の頂点になって、英雄になる。富、名声が欲しくないなんて奴はいないわ!」

 

 ガハハとアポロニアは笑う。

 品がない夢と笑う奴がいるが、知ったことじゃない。どんなに取り繕っても、文明社会を生きる奴らで富や名声を欲しがらない奴のが珍しい。狩人(イェーガー)はただ素直なだけだ。

 

(だから狩人(イェーガー)って好きなんだよな、人間離れした強さを持ってるけど、誰よりも人間らしいから)

 

 リサは新しいグラスを差し出しながら、クスリと微笑んだ。

 

「……じゃあ、これからまた修行の日々?」

「たぶんな。師匠の下につくってことは、イコールで地獄行きだ」

「うわぁ……が、頑張って」

「うん……俺もそう思う」

 

 ガルダは乾いた笑いを漏らし、グラスを掲げた。

 その向こうで、アポロニアがまだ肉を頬張っている。

 相変わらずの食欲、相変わらずの無鉄砲さ――それが少しだけ、救いに思えた。

 

「一体……何をやらされるんだろうな」

 

 その言葉と共に、ガルダは再び酒を煽った。

 グラスの中で、光が揺れた。

 まるで次の嵐を予感するかのように。

 

 

 オルディーナ銀河連邦の首都惑星――ヴァルディア・プライム。その中心に聳える巨大な建造物《セレスティア・ドーム》は、銀河中のあらゆる政治決定が行われる場として知られている。

 透明なドームの内側には、百を超える代表席が円状に並び、中央には巨大なホログラム投影装置が鎮座していた。

 今まさにそこで重要な会議が行われようとしていた。

 

「議題――X-03現象に関する特別緊急審議、これより開会します」

 

 議長の重い声が響き、天井に設置されたホログラムが一斉に点灯する。空間に浮かび上がったのは、シルヴァーを筆頭にしたラディアント級狩人が5人、そして――

 

「この度はお時間をいただき、誠にありがとうございます」

 

 漆黒の外套をまとい、背丈は二メートルを超える男が口を開く。銀色の瞳が淡く輝き、髪は夜空のような濃紺、醸し出す雰囲気はまさに歴戦の猛者だった。

 

 それもそのはず。

 彼はアストラ級狩人であるゼノ=ヴァルディアンという男だ。シルヴァーよりも狩人の歴が長く、実力も上回っている猛者だ。

 

「私が貴方達を集めた理由ですが、端的に言うと――銀河の危機を救う為のお力添えを仰ぐためです」

 

 ゼノの声は低く、重力を持つように響いた。

 その一言で、広間のざわめきが止まる。

 

「この問題は我々だけでは止めきれない可能性があります。そこで銀河を守るための連携が必要になります。シルヴァー……資料を」

 

 彼の隣で、シルヴァーが一歩前へ出る。

 

「ここ数ヶ月で確認されたX-03の感染例は、連邦宙域内だけで47件。だが管轄外を含めると、実際の被害数はその十倍を超える。これはもはや局地的な災厄ではない。いずれ銀河規模の被害になるのは時間の問題です」

 

 ホログラムに切り替わった映像には、複数の星図が映し出される。赤く点滅する点は感染地を示しているが、ある宙域では赤に染まりつつある。

 

「しかし、だな」

 

 発言権を得た一人の議員が立ち上がる。

 紺のローブに連邦徽章を飾った男は、この銀河連邦の中でも最高クラスの権力を持っている。

 

「被害報告を見る限り、まだ限定的だ。これより危険な怪物など、我々は何度も対処してきたはずだ。今回も、狩人の範囲で処理可能なのでは?」

 

 その言葉に、シルヴァーは無表情のまま答えなかった。

 代わりに、ゼノが静かに視線を向ける。

 

「まだ限定的、ですか……」

 

 低い声が、空間に響いた。

 次の瞬間、ホログラム映像が変わる。

 そこには、かつて滅んだ惑星群の記録映像が流れ始めた。

 都市が崩壊し、生態系が一夜で壊滅していく光景。

 空を覆う黒い霧、そして生物たちが変異し、互いを喰らい合う地獄。

 

「これが五年前、最初のX-03感染惑星《メルガ=セクト》の末路だ。報告を過小評価した結果、あの星は地図から消えた。先程のように“まだ大丈夫”と判断した結果……このような結果になりました」

 

 その一言で、場の空気が凍りつく。

 シルヴァーが前に出て、静かに続けた。

 

「このまま進化を放置すれば、X-03は意思を持つ可能性が指摘されています。ただのウイルスではなく、群体知性として進化すればもう対応が難しくなる」

 

 ゼノの瞳が淡く輝く。

 その瞳には、過去と未来を同時に見通すような鋭さがあった。

 

「我々はこの現象を、“第十の災禍”の萌芽と捉えている」

 

 会場がざわついた。

 第十の災禍――その響きに、誰もが息を呑む。

 

 かつて銀河史に名を刻むほどの災禍が九つあった。

 それは宇宙文明を何度も滅亡寸前に追いやった九つの事件であり、いずれも狩人を筆頭に数多もの文明が手を貸して、ようやく解決した災いである。

 

 最後に起きたのは今から1000年も前だが、この時の傷は今も残っているし、当時を体験した者たちは災禍など2度と経験したくないと言って、トラウマになっているほどだ。

 

「今はまだ、被害は点にすぎない。だが、このまま感染が連鎖すれば――いずれ新しい災禍として記録されるだろう。それを防ぐためには、連邦単位では足りない。我々は星々の枠を超えて、この問題を専門的に取り組むチームが必要と考えています」

 

 そしてゼノは言った。

 

「名付けてユニオン・ハント・プログラム、狩人を中心に据えて、連邦がバックアップし、狩猟対象となる怪物相手に狩猟を行う特殊作戦だ」

 

 ゼノの声が、議場全体に響く。

 その重さに押されるように、誰もが息を潜めた。

 

「つまり君たちは――」

 

 議長が言葉を選びながら尋ねる。

 

狩人(イェーガー)の独自組織を作り、連邦の軍事力を共有したいと?」

 

 シルヴァーが頷いた。

 

「はい。資金、物資、そして情報。それらを統合し、X-03の掃討に全力を注ぐ。現状、我々の観測網では半数の宙域が“監視不能”です。だからこそ、連邦の協力が必要なんです」

「メンバーの選定は?」

「もうすぐに始める予定です、まずは若手を中心に……試験を受けさせて能力があると判断した者を組み込みます」

 

 議長の問いにシルヴァーは淡々と語る。

 詳細な内容は決まるまでは伏せるが、試験を受けさせる上でも無駄死にさせる訳には行かないため、候補として上がった狩人に個別に連絡が行き、そこで特別なクエストを受けてもらう流れになっていた。

 

「……ふむ」

 

 静寂。

 数秒の沈黙のあと、議長が深く息を吐いた。

 

「……わかりました。議会としても、もはやX-03を軽視できません。連邦防衛局および財務局に命じ、支援体制を整備します」

「ありがとうございます」

「……詳細なチーム編成はそちらのメンバーが決まった後にでも。なるべく早めにお願いします」

 

 ホログラム通信が途切れた。

 残された議員たちは、誰も言葉を発せなかった。

 まるでその場に、“嵐の前の静寂”が訪れたかのように。

 

 ――一方で狩人側というと。

 

「さて……もう候補者達は君らが中心に見つけたんだっけ?」

 

 ゼノは軽い口調で5人いるラディアント級の狩人に問う。

 

「はい、活きがいいのは既に」

 

 まず最初に声を発したのはヴァルド・グリーヴァスだ。

 筋骨隆々で全身に刻まれた傷跡と黒鋼の義手が印象的な近接戦闘のスペシャリストである男だ。

 元軍人であり、プラズマブレードを二刀で操る姿は剣鬼と称される。

 

「私は幾つかのクランに声をかけてる」

 

 そして無感動に言ったのはセリカ・ヴァーンという白衣の上から防弾ローブを羽織る女性だ。冷徹な科学者にして狩人である彼女は生体兵器学に精通しており、今回のX-03に関する研究班の中核でもある。

 瞳は琥珀色で、常に何かを観察しているような目をしている。

 

「我はクルーシブルに張り出してるな、自信ある奴は来いって感じで」

 

 シルヴァーの隣にいるラウド・ニクスは挑発的な笑みを携えていった。彼は透き通った肌をした人型種族なのだが、機械のアーマーでエネルギーを人型に留めている、いわゆるエネルギー生命体であり、戦場では文字通り稲妻になって敵を仕留める。ちなみに軽口が多く、シルヴァーの古くからの戦友でもある。

 

「自分はもう決めてる」

 

 そして4人目――メルフィナという女は、会話をすぐ切るようなテンションで言った。彼女の出自は謎に包まれている。薄紫の髪を艶やかに光らせながら、もうリストはゼノさんに提出してると言った。

 

「シルヴァーはあれだろ? 弟子を入れるんだろ?」

 

 するとラウドがシルヴァーと肩を組みながら言うと、シルヴァーはニヤリと笑って言った。

 

「ああ、だけど事前にちゃんと強くなってるか……私なりの訓練をさせるつもりさ。もしダメなら――受けさせない」

「君なりの優しさだな」

 

 厳しい事を言うシルヴァーとは対極に、ゼノはクスリと笑って言った。事実そうなのだが、シルヴァーは面白くなさそうな顔をした。

 

「優しくはないですよ、ゼノさん。ただ……足手纏いになるぐらいならいらないって意味ですよ。実際……足を引っ張る奴がいれば他のメンバーにも危害が及ぶ。だから若手の中から選ぶ際に……厳しい条件とか課すんでしょう?」

「それはそうだ」

 

 5人とも声はかけたが、勿論試験ありきだ。

 このユニオン・ハント・プログラムは若手を多く取るつもりだが、作戦の中核はラディアント級のサポートに入る中級の狩人になる。つまりガルダ達よりは実力も経験も勝っている狩人達だ。足を引っ張るなら除外するのは当たり前の話だった。

 

「とは言え、こういうときじゃないと得られない成長機会もある。強くなってもらうには絶好の機会」

 

 セリカは冷静に言った。

 彼女自身も若手には期待していた。

 

「取り分け上を目指すなら……ここに入らないとね」

 

 そしてシルヴァーもすぐに同意を示す。

 この嵐をうまく乗り切るガルダ達を想像した彼女は、戦意マシマシな笑顔で思った。

 

(高みに至るチャンスだぞ……若手共)

 

 出来れば自分なんか踏み台にしてでも活躍してみろ――そう思いながら。




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