ちょっとやりすぎ283プロ   作:馬鹿とオタク

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「プロデューサーさんがはづきさんと一緒に寝てたっす!」『えっ!?』

「わっせ、わっせ......!」

 

芹沢あさひは一段飛ばしで階段を駆け上る。額に汗が滲むが気にしている時間は無い。

早く行かなければならないのだ。

 

事務所に入ると素早く靴を脱ぎ、ドアを開けようとドアノブに手をかけた時、壁の向こうの違和感に気が付く。

 

あさひ「......誰もいない?」

 

そんなはずはない。防犯の面からも考えて誰もいないときは鍵をかけているはず。

......まさか。身内以外の人間がいるのではないか?おそるおそるドアを開けて中を覗く。

 

そこには、二つ並んだデスクで突っ伏して寝ているプロデューサーと椅子に寄りかかったアイマスク姿のはづきさんがいた。

二人そろってこうして寝ていることはかなり珍しい。

 

あさひ「......まだ来てないか」

 

しかし彼女、芹沢あさひの探し人は彼らではない。今日の遊び相手とは事務所で待ち合わせをしていたのだが、30分ほど早く着いてしまっていたようだ。

 

あさひ「そういえば、果穂ちゃん今日は寮でお泊りって言ってたっけ」

 

あさひ「......迎えに行ってあげよっと!」

 

ここで騒いで起こしては悪いだろうと、プロデューサーとはづきはそのままにして事務所を後にした。

事務所から寮まではそこまで遠くは無い。それにここで30分待つより、何か面白そうなものを探しながら寮に向かう方が断然良いだろう。

音が立たないように扉を閉め、寮へと駆け出した。

 

 

 

 

あさひ「果穂ちゃーん!迎えに来たよー!」

 

門が閉められていて入れないため、寮の前で果穂を呼ぶ。

あさひの声が響いてから少しした後、寮の扉が開いた。

 

樹里「おーあさひ、おはよ」

 

あさひ「樹里ちゃん!おはよっす!果穂ちゃんいるっすか?」

 

樹里「ああ、今支度してるよ。外は暑いし入って待ってな」

 

あさひ「はいっす!」

 

 

リビングに着くと、千雪が寝間着姿で座っていた。

テーブルの上に目を向けると、パンにベーコン、レタスなどの朝食のような食事が千雪の前にだけ置いてあった。

 

千雪「あさひちゃん、おはよう」

 

あさひ「千雪さん、おはようっす!......千雪さんは今朝ごはん食べてるっすか?」

 

千雪「そうなの。昨日ちょっと夜更かししちゃって......」

 

あさひ「そうなんすね!美味しそうっす!」

 

千雪「ふふ、恋鐘ちゃんが作っておいてくれたの。よかったら少し食べる?はい、あーん......」

 

ベーコンを一口大のサイズにカットして、あさひの前に差し出した。

 

あさひ「────ん、美味しいっすー!」

 

千雪「うふふ、流石恋鐘ちゃんね。────うん、とっても美味しい♪」

 

樹里「じゃあ、果穂を呼んでくるからちょっと待っててくれ」

 

あさひ「はいっす!」

 

 

しばらくして、支度を終えた果穂が階段を駆け下りてきた。

 

果穂「あさひさん、迎えに来てくれたんですか!」

 

あさひ「うん!事務所にはちょっと早く着いちゃって、果穂ちゃんと早く遊びたかったからこっちに来たよ!」

 

果穂「わぁっ!ありがとうございます!」

 

あさひ「それに、事務所はプロデューサーさんとはづきさんが一緒に寝てたから多分起こしちゃうと思う!」

 

あさひの口から飛び出した言葉に、千雪がお茶を吹き出した。

そのまま椅子から飛び上がり、あさひの肩を両手でつかむ。

 

千雪「あ、あさひちゃん!!!??それ、本当!!?」

 

あさひ「わっ!千雪さんどうしたっすか?」

 

普段の落ち着いた千雪からは考えられない大きさの声に、寮の住人が集まってくる。

降りてきたのは樹里、恋鐘、羽那の3人のみで咲耶と凛世は出かけているようだった。

 

樹里「どうした!?」

 

恋鐘「どがんしたと~!?」

 

羽那「なになにー?」

 

果穂「わ、わかんないです...。千雪さんが急にびっくりして...」

 

千雪「ぷ、プロデューサーさんがはづきと......」

 

恋鐘「プロデューサーとはづきがどがんしたと~?」

 

千雪「プロデューサーさんがはづきと一緒に寝てたみたいなの────!!」

 

 

 

 

あさひ「行ってくるっす!」

 

果穂「行ってきますー!」

 

樹里「おー、気を付けてな!」

 

駆け出していくあさひと果穂に手を振り、姿が見えなくなった辺りでドアを閉める。

 

樹里「さて...と」

 

一息ついてリビングに戻ると、そこには目も当てられないような光景が広がっていた。

 

羽那「つまり、プロデューサーとはづきささんが────」

 

千雪「は、羽那ちゃん!待って!それはまだ決まってないから...!」

 

恋鐘「ぷ、プロデューサーがそげんこつ事務所でするわけなか!」

 

羽那「どうだろう~...あさひちゃんもすぐこっちに来たみたいだったよね?見間違いとか?」

 

千雪「う、うん。きっとそうよね...」

 

恋鐘「~~!!ここで話しても埒が明かんばい!直接プロデューサーとはづきに聞くしかなか!」

 

樹里「お、おい恋鐘!プロデューサーとはづきさんのプライベートの問題なんだからそういうの聞くのは────」

 

恋鐘「そいやったらこれはうちらのプライベートの問題やけん!千雪、羽那、樹里!いくばい!」

 

樹里「あ、あたしもか!?~~もう!どうなっても知らねーからな!」

 

 

 

 

P「ははっ、結局二人ともデスクで寝ちゃいましたね」

 

はづき「そうですね~。昨日気づいたときはもうダメかと思いましたけど~...ん~、体痛...」

 

P「はづきさんのおかげですよ。俺一人だったらどうにもならなかったと思います......!」

 

昨日の夕方、先方から急に電話がありその対応に追われていた。一人では確実に間に合わず、はづきさんの力を借りて何とか今日に間に合わせることができた。しかし、二人ともその場で力尽きてしまい朝まで仲良く寝てしまっていた。

 

P「はづきさん、顔に手の後が付いて赤くなってますよ」

 

はづき「そういうプロデューサーさんこそ~、ペンの後がくっきり見えてますよ~」

 

P「えっ!ははっ、本当だ...!」

 

さて、午後の支度をはじめようとした時、すごい勢いで玄関が開く音がした。

はづきさんと一体何が起きたのかと顔を見合わせていると、ドタドタと複数人が走ってくる。

 

羽那「お疲れ様でーす」

 

恋鐘「はづき~~!!プロデューサ~~!!」

 

P「ど、どうした恋鐘!それに羽那、千雪、樹里まで...」

 

千雪「プロデューサーさん......!あさひちゃんが言ってたこと、う、嘘ですよね...!」

 

あさひが何か言ってたのか...?というか、あさひと今日は会ってないはずだが...。

 

P「なんのことだ?あさひって...今日は会ってないぞ?」

 

樹里「...やっぱり、あさひの見間違いなんじゃねーのか?」

 

P「すまん樹里。何がなんだか...」

 

樹里「仕事中に押しかけてごめんな、プロデューサー。あたしから説明するよ。今朝、あさひが寮に来たんだけどさ────」

 

なるほど、あさひは俺とはづきさんがデスクで寝てたから起こさないようにしてくれてたんだな...。

それにしても、恋鐘と千雪の取り乱し様は凄い...早く誤解を解かないと。

 

P「実は昨日────」

 

 

羽那「じゃあ、プロデューサーとはづきさんはデスクで寝ちゃってただけなんだ?」

 

P「ああ、そうだ」

 

千雪「そうだったんですね...!なんだ、はづきがてっきり...」

 

はづき「千雪さん~?」

 

恋鐘「じゃあうちらの誤解やったとね!」

 

P「はは...誤解が解けて良かったよ」

 

樹里「あたしも誤解だって言ってたんだけど、恋鐘が直接聞くまでわからないって聞かなくてさ...」

 

恋鐘「だって~...本人に直接聞くまでわからんかったんやもん~...」

 

樹里「はいはい。じゃ、これ以上仕事の邪魔しちゃ悪いしあたしたちは帰るよ。仕事頑張ってな」

 

P「おう。また明日」

 

はづき「お気を付けて~」

 

 

そうして、無事に恋鐘たちの誤解も解くことができたし、あさひと果穂も良い夏休みの思い出を作れたそうだ。

そして、これからは何があっても二人一緒に事務所で寝落ちすることだけは避けようと決意したのだった。

 

 

 

はづき「それにしても、困りましたね~...。そんな訳ないってすぐわかると思うんですけど~」

 

P「ははっ、普段の距離感が近く見えちゃってたりするんですかね」

 

はづき「......それなら、普段からもっと距離感を置いてコミュニケーションをとる必要がありますね~」

 

P「ああっ、あまりいじめないで下さいはづきさん...!」

 

はづき「ふふ、プロデューサーさんが先に酷いこと言ったからですよ~」

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