ちょっとやりすぎ283プロ   作:馬鹿とオタク

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第二回 プロデューサーの膝争奪戦

にちか「1、2、...、4、1、2────」

 

美琴「1、2、3、4、1、2......?」

 

鏡越しに目が合った美琴が足を止める。

にちかはおそらく部屋に入ってきた瞬間に気づいてくれたっぽいけど...。

 

美琴「プロデューサー...来てたんだ。ごめん、気づかなかった」

 

P「いや、今来たところだよ。二人ともお疲れ様」

 

にちか「お疲れ様ですー。何しに来たんですー?」

 

目を細めて頬を膨らませるにちかは怒っているように見える。これが美琴の前じゃなかったら後二言くらいは小言を言われていたことだろう。

 

P「はは...手厳しいな。......これ、差し入れだ。良かったら食べてくれ」

 

美琴「ありがとう。後でいただくね」

 

ん?...レッスンを止めたということは休憩かと思ったが、中断させてしまったかな...。

 

美琴「実は、にちかちゃんがお弁当を作ってきてくれてるの」

 

なるほど。

にやり、とにちかが勝ち誇ったような顔でこちらを見ていた。別に勝負していたわけではないが...。

 

まあ、弁当を受け取ってもらえなくてへこんでいた時よりかは断然いいかな。

 

にちか「あ、先に言っておきますけど、私も自分で用意してるのでー」

 

P「はは...了解だ。ところで、レッスンはあとどのくらいの予定なんだ?」

 

美琴「うん。次が入ってるみたいだから...少し休憩したら出ようかな」

 

P「そうか。じゃあ俺も終わるまでここにいるよ」

 

そうして休憩を始めたところで、美琴が何かを思い出したのかあっ、と声を漏らした。

 

美琴「プロデューサー、聞きたいことがあるんだけど、いい?」

 

P「どうした?」

 

美琴「あのね、にちかちゃんから聞いたんだけど...」

 

にちか「あっ、み、美琴さん!その話は...」

 

にちかがかなり慌てた様子で静止に入る。何か聞かれたらマズイことだろうか。

不満とかなら俺にできることなら叶えてあげたいけど...。

 

美琴「...?この話、プロデューサーにはしちゃ駄目だった?」

 

にちか「いや...ダメじゃないです!ダメじゃないですけど......うう、わかりました。プロデューサーさん、く、れ、ぐ、れ、も!ちょーしに乗らないでくださいねー」

 

調子に乗る...?褒められるってことか?

といっても、最近何か褒められるようなことしたかな...。

 

P「?...お、おう、わかった」

 

美琴「じゃあ聞くね」

 

美琴「プロデューサーの膝が気持ちいいって聞いたんだけど本当?」

 

P「......え?」

 

美琴「...?プロデューサーの膝が気持ちいいって「い、いや!聞こえてる!聞こえてるから!」」

 

P「お、俺の膝が...!?」

 

俺の膝にヒーリング効果があるらしい。意味が分からない。アロマでも出ているというのだろうか。

膝を露出したことは海に行ったとき以外ないはずだけど...。

 

美琴「うん、そう噂になってるの」

 

P「噂に!?どの界隈でなんだそれ...!」

 

にちか「283のアイドルの間で、です!もー、ちょーし乗るの禁止って言ったの忘れましたー?」

 

P「いや、これは驚いてるだけで...勘違いだ!」

 

P「詳しく聞いてもいいか...?発信元とか...」

 

美琴「私もにちかちゃんから聞いただけだから...にちかちゃんは知ってる?」

 

にちか「一応...ただ、発信元かは微妙な感じですけど...」

 

にちかが言うには、誰かが膝に座った、か膝枕してもらった。というのをどこかで言ったらしい。

で、それを面白がって広めたのがいて...おそらく全員に広まってるとみて間違いなさそうだ...。

 

......おそらく言ったのは透で、広めたのは...大体想像つくけど、ここで不明な情報を補足するのもあまり意味は無いだろうし、今は黙っておこう。

 

美琴「それで、噂は本当なの?」

 

P「はは、どうだろうな......」

 

美琴「......プロデューサー、確かめさせてくれる?」

 

P「い、いやいや「ま、待ってください美琴さん!そんな簡単に男の人の膝の上に乗るのはダメですー!!」」

 

よく言ったにちか!正直、あのままだと流されてしまうところだった。もちろん俺にだって拒否しようという気持ちはあるのだが、あまりうまく行ったことはない。いつもなんだかんだ流されてしまう。

 

美琴「そうなの?」

 

にちか「で、ですです!」

 

美琴「......もしかして、にちかちゃんもプロデューサーの膝の上に乗りたかったり、する?」

 

にちか「へ?」

 

な、何を言い出すんだ美琴...!

 

にちか「い、いやいやいや!そんなわけ無いですよ!私はそんな、興味なんて...!」

 

美琴「そうなんだ。じゃあ、私が座るね。プロデューサー、そこに座ってくれる?」

 

なぜか決定事項になっていた。

俺の知らないどこかで錆びついた運命の鍵が回っていたらしい。

 

にちか「ま、待ってください!やっぱり私が先に座ります!プロデューサーさんの膝が美琴さんにふさわしいか見極めますから!」

 

いや、美琴にふさわしい膝ってなんだ?

仕方ない、もうこの流れからして断ることは俺にはできなさそうだ...。

 

にちか「い、いきますよ...!」

 

P「よ、よし、来い...!」

 

にちか「え...えいっ!」

 

勢いをつけて乗ってきたが、驚いたのはその軽さだった。

確か、公式プロフィールでは...

 

にちか「ちょちょ、何か失礼なこと考えてないですか!?ホントありえないんですけど!!」

 

P「ま、待ってくれ!まだ!まだだから!」

 

にちか「まだ!?白状しましたねこのっ...!!」

 

P「うわっ!に、にちか!膝の上で暴れるのはやめてくれ!い、痛い痛い!骨が痛い!」

 

にちか「やめないですー!あはは!おりゃおりゃー!」

 

美琴「ふふっ、二人とも楽しそうだね」

 

 

 

その後、膝の上で暴れ出したにちかをなんとか鎮めることができた。

レッスン終わりということもあって疲れていたはずなのに、しばらく暴れていた。おかげで膝はボロボロだ。

 

にちか「ちょっと、匂い嗅ぐの止めてもらえますー?プロデューサーさん呼吸するの禁止でお願いしますー」

 

P「はは...無茶言わないでくれ...」

 

美琴「にちかちゃん、そろそろ...」

 

にちか「あっ、すみません!そろそろレッスン室出る時間ですよね!」

 

P「すまん!もうそんな時間か!」

 

美琴「あ、ううん。そうじゃないの...」

 

 

美琴「私も乗っていいかな?」

 

なんとか誤魔化せたかと思っていたが、全然そんなことは無かった。

どうやらにちかも有耶無耶にしようとしていたようで、覚えていたことに驚いたのか固まっていた。

 

にちか「...あ、は、はい!どうぞ...!」

 

一瞬、膝の圧迫感から解放される。

 

美琴「じゃあプロデューサー、お邪魔します」

 

お邪魔します。と、この状況に似つかわしくない掛け声とともに新たな圧迫感に襲われる。

今度も驚くくらい軽い。ちゃんと食べているのだろうか心配になってきた。

 

美琴「...」

 

P「...」

 

にちか「...」

 

P「......美琴?」

 

美琴「?」

 

P「その...どうだ?」

 

美琴「どうって...?」

 

P「いや、ほら、乗り心地?とか...」

 

変なことを聞く俺に対して、美琴は顎に手を当てて考え始める。

しばらく考えた後、眉を八の字にして申し訳なさそうに口を開いた。

 

美琴「うーん......あまりわからなかったかも。ごめんね、せっかく乗せてもらったのに」

 

P「いや、別にいいんだ。はは...」

 

美琴「でも...」

 

P「でも...?」

 

美琴「ちょっと安心した...のかも。言葉に言い表そうとすると難しいんだけど、そんな気がしたの」

 

P「はは、そうか。俺が何か美琴の役に立ったのならよかったよ」

 

美琴「うん、ありがとう。...あ、そろそろレッスン室開けないとだから、また今度よろしくね。にちかちゃん、この前使ってたレッスン室が開いてるみたいだから次はそこに行こうと思うんだけど、いいかな?」

 

にちか「......あ、はい!すぐ準備します!」

 

P「ははっ、二人とも応援してるぞ!」

 

美琴「ありがとう、プロデューサーも頑張ってね」

 

にちか「失礼しますー、いっぱいお仕事取ってきてくださいねー!」

 

 

そうして、準備を終えて出ていくにちかと美琴を見送る。

よし、俺も頑張るか...!

 

 

もしかしてさっき、また今度って言ったか...?

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