GQuuuuuuX格付けチェック・シロッコ様専用控え室   作:睡眠欲

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地球連邦政府下の組織構造さっぱり分からんので捏造。


甘味と酸味

 ジャブロー本部の将官専用ダイニング。本来ならば銀器と陶器が奏でる音だけが響くはずの空間に、今日はホロスクリーンと簡素な資料が並び、臨時の軍会議が執り行われていた。

 

 統合参謀本部議長ゴップ大将を筆頭に、連邦宇宙軍総軍司令ヨハン・イブラヒム・レビル大将、連邦地球軍総軍司令リチャード・コンウェイ大将、そしてRX計画の技術責任者たち——ミノフスキー博士とテム・レイ技術大尉が揃っていた。末席には地球連邦軍情報総局から派遣されたアリスミラー少佐の姿もある。

 

 

「……始めようか、ミノフスキー博士」

 

 ゴップの一言で場が動き出す。博士は無言で頷き、手元のタブレットを操作すると、中央のホロ投影にRX計画各種試作機の装甲構造と素材構成図が浮かび上がった。

 

 「RX計画における装甲材について、従来予定していたルナチタニウムの採用を見直し、代わりに新たに開発されたγ型への切り替えを提案します」

 

 ホロ上には、α型が依存するルナツーのイットリウム鉱脈、対するγ型が依存する地球圏内の資源構成が色分けされていた。

 

 「従来のルナチタニウムをα型と呼称します。α型については従来装甲より高性能ながら、資源供給線が宇宙に依存します。対して新開発のγ型は地球で資源調達から加工まで完結可能です。戦時の持続性、輸送負荷、量産体制……いずれも地球圏主導で賄える素材への転換は、資源戦略上、理に適っていると考えます」

 

 「開戦時に艦艇を護衛に回さなくて済むのは、宇宙軍としては有難い限りですな」

 

 レビル大将に続いてコンウェイ大将も頷いた。

 

 「地上戦力の整備にも簡単に転用可能な辺り、我々にとってもありがたい話だ」

 

 ミノフスキー博士は頷き、さらに補足した。

 

 「会議資料末尾には、α型とγ型の諸元比較を添付しております。各指標においてγ型はαを上回るか、同等。単なる資源確保の問題ではなく、純粋な素材の質としても選択肢となりうるものです」

 

 ゴップは一通り資料に目を通し、別の点へ話を移した。

 

 「特許権の所在については?」

 

 「開発者本人であるパプテマス・シロッコに所属します。」

 

  アリス・ミラー少佐が端末を操作しながら口を開いた。

 

 「軍情報総局の身辺調査結果を補足いたします。パプテマス・シロッコは個人資産管理会社"ムーンショット社"の代表であり、設立から2年の新興法人ですが、複数企業から大口の株式を購入しています。航空宇宙産業大手のハービック社、通信機器大手のスーズ社、メガ粒子砲設計で知られるブラッシュ社……いずれも連邦軍と関わりがある企業です」

 

 「さらに昨年、ムーンショット社は月面都市アンマンにて大規模なデータセンターを設立。地球圏全域から娯楽関連データを収集・蓄積しております。設立の際は先程の大手企業群の含めた政財界関係者からの個人的な寄付が多く寄せられた事で資金調達を達成した様で、これらの人脈は木星往還時のオンラインサロンにて築いたものでした。破天荒な経歴ではありますが軍への参画として問題点はございません。軍情報総局からの報告は以上となります。」

 

 ゴップは資料を閉じ、静かに言った。

 

 「装甲材の変更、スケジュールの調整、特許料支払い——すべて認めよう。予算局には私から。軍情報総局は監視を継続し、異常があれば直ちに報告せよ」

 

 誰も異を唱えなかった。会議の終了を告げるゴップの視線は、報告された事実ではなく、報告されなかった何かを見ているようだった。

 

 「申し訳ないが博士、この後時間があるなら付き合ってもらえないでしょうか。今朝の便で、少し良い食材が届いてね。どうせなら、味わっておきたかったんだ」

 

 先程の将官専用ダイニングから続いて案内された個室には、かつての地球圏が持っていた“豊かさ”の香りが立ち込めていた。

 

 ブルスケッタには艶やかなトマト、カルボナーラは卵とチーズが絡まり、地球産牛のタリアータには深い赤身と柔らかな脂が同居している。赤ワインは舌の上で穏やかに主張し、オリーブオイルが焼きたてのバケットの上で香り立つ。

 

 

 「……地球の重さを感じますな」

 

 ゴップがタリアータをゆっくり噛みながら言う。ミノフスキーは静かに頷いた。

 

 「技術も味覚も、手のひらに触れて初めて、本物になるものです」

 

 「だがな、博士」

 

 ゴップはグラスを置き、続けた。

 

 「本来のイタリアンなら、魚料理、チーズ、そして食後酒が出るはずだ。今日のこのコースには——“一皿”足りない気がしてならん」

 

 「……その足りない一皿とは?」

 

 「まだ亡命出来ていないジオンの科学者だ。まだ誰か残っているのではないか?」

 

 ミノフスキー博士はほんの一瞬、目線を落とした。やがて、静かにうなずいた。

 

 

 その時、食後のアフォガートが運ばれてきた。

 熱いエスプレッソが冷たいバニラジェラートを包み、湯気と香りが卓上を静かに満たす。

 

 ミノフスキーは慎重にスプーンを取り、ひと匙を口へ運ぶ。

 刺激の強い苦味と、思いがけない甘さが舌に混ざり合い、彼はわずかに表情を動かした。

 

 一方、ゴップは慣れた手つきでそれを味わい、口元にほのかな笑みを浮かべていた。

 

 「……アイスだけでもうまい。だがコーヒーをかけることで、味が締まる。甘いだけじゃ終わらない。全体が生まれ変わる」

 

 彼はスプーンを休めず、続ける。

 

 「あなたのような牛乳が土台を作り、調味料としてテム・レイ技術大尉が香りと甘味でRX計画を彩る。そして、あの少年——シロッコがコーヒーだ。苦味と熱、酸味と香りで、全体の輪郭を決めてしまう」

 

 その顔に浮かぶのは、どこか愉快げな満足の色だった。

 

 「戦術レベルで世界をひっくり返したあなたの粒子と、小型核融合炉。そして、弟子と更に不気味な傑物が一堂に会した。まるで誰かがこの“昼餐”を設計したような……私はね、今のこの味が楽しくて仕方がないんだ」

 

 ミノフスキーは、溶け合うアフォガートを見つめた。冷たいものと熱いもの。柔らかさと苦味。甘さと香り。コーヒーによって引き締まった美味さは格別だが、本来バニラアイスとなるはずだった一品は書き換えられた様に思えた。




ゴップ「連邦軍はリファラルキャンペーン開催中だけどアテ無いの?」
ミノフスキー「平時でも亡命必要だったのに無理やろ」
???「助けてぇ〜‼️NTに殺される‼️」
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