GQuuuuuuX格付けチェック・シロッコ様専用控え室   作:睡眠欲

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夜明け前

 無数の巨大な船体がコロニー壁面に沿って奥まで並んでいる様が延々と奥まで続いている。その光景を高台から見下ろす二つの影。

 

「我々ジオンがもつこの秘匿工廠以上の生産設備を連邦政府は保有しておりません。手前にある緑色の艦艇が、艦隊の主力を構成するムサイ級軽巡洋艦です。別の赤い艦艇が並んでいるラインはチベ級重巡洋艦、さらに奥にあるのは父上のグレート・デギンと同じグワジン級戦艦のライン、となります。」

 

「各艦はミノフスキー粒子下での戦闘も考慮しているためMS運用が可能なことが特徴です。参謀本部の仮想演習では今年の10月末の練兵完了を以て、連邦宇宙軍を無力化可能な試算になります。」

 

 デギンは無言で眼下を眺める。

 

「あちらがザンジバル級機動巡洋艦。大気圏突入能力を持ち、地球侵攻作戦での投入を予定しています。隣にあるのはヴァルキュリア級MS補修艦となっております。」

 

 淡々とギレンの解説を聞いていたデギンが口を開く。

 

「ギレン。勝てるのだな?人類史上初の宇宙戦争を起こして尚国民が納得する結末で」

 

「ご安心ください、勝ちますとも。初戦の1カ月で大方決着がつく算段です。この後の御前会議で詳細共有いたします故ご心配なく。」

 

 視察を終えたギレンは、御前会議の会場へと直行していた。彼の言葉を待つ者たちは、そのことを誰よりもよく理解していた。会議室の扉の先にはジオン公国の指導者層が一堂に会し、ジオンの命運並びにスペースノイド独立に関する最終確認を行おうとしていた。

 

会議場の中央に鎮座するのは、巨大な円卓であり、天井からは円形の照明が低く吊るされ、まるで出席者たちを舞台の上に縛りつけるかのように、その光は残酷なまでに明瞭だった。

壁面はすべて戦略マップとデータ投影機能を持つガラスパネルで覆われ、現在の地球圏と宇宙の戦力配備状況が赤と青の点で淡々と示されている。そこは、戦争という現実を最も近くに感じる場所であり、静謐にして苛烈な論理の場であった。

着席しているのはジオン公国の全軍統帥と政策中枢。ザビ家の三兄妹、主要将官、軍令部参謀たちが揃い踏みしている。ギレン・ザビは円卓の正面に立ち、姿勢を正した。そして、着席した一同を見渡し、静かに口を開いた。

 

「……諸君、まずはこの場に集っていただいたことに、心より感謝する」

 

 円卓に並ぶ者たちの目が、一斉にギレンへと向けられる。

 

「我々がいま座しているこの場は、かつてジオン・ズム・ダイクンが国是を論じた場でもある。本日は、その意思を我らがいかに継ぎ、そしていかなる形で果たすかを、最終的に定めることとなる。」

 

 誇りと威圧が混じる低く響く声は、戦争を指導する者としての決意であり、国家の未来を定める権限の確信でもあった。ギレンは着席し、円卓を支配する沈黙が再び広がった。

 

「……連邦宇宙軍は現在、サイド1・2・4・5・6の各バンチ、そして月面に戦力を分散しています。これは、我々による世論操作が功を奏した結果に他なりません。この分散された各戦力を各個撃破するのが基本方針となります。では、艦隊総司令ドズル・ザビ中将、詳細説明を。」

 

「遠方サイドの敵艦隊各個撃破を担当するのは宇宙攻撃軍が担当し、サイド5以外の駐留艦隊の奇襲殲滅を目的とする。目的達成後は月面にて補給を行い、サイド2領域へ展開し作戦第1フェーズは終了とする。尚、月面制圧に関してはキシリア・ザビ少将が担当する。」

 

「我が突撃機動軍は月面都市グラナダを始めとした月制圧作戦を担当します。グラナダは我が方からの工作により分離勢力を議会へ多数送り込むことに成功しており、現地実業家並びにメディアは親ジオンへと転向済です。既に待機済みの現地工作部隊によって防空網を無力化し、同時に艦隊とMSによる挺進降下作戦により速やかな占領を行います。その後月面マスドライバーによる隕石飽和攻撃を地球へ実施。連邦地上軍の迎撃能力を麻痺させ、第2フェーズであるブリティッシュ作戦への準備を完了とします。」

「ブリティッシュ作戦の詳細については出席者全員の理解のため、立案者である総帥よりご説明いただけますか?」

 

その言い回しには、わずかに針を忍ばせたような抑制された調子があった。室内の空気が一瞬、わずかに沈む。キシリアの目は兄への警戒心が垣間見え、ギレンは眉を僅かに上げ、ドズルは瞼を抑えた。

 

ギレンは立ち上がり、円卓の後方に設置されたガラスパネルのひとつに指先を向けた。その動作に応じて、スクリーンにサイド2宙域の立体地図が投影される。

 

「ブリティッシュ作戦は、我が軍の戦略構想における最終段階に位置づけられるものです。コロニー内部を制圧後、艦隊によりラグランジュ点より離脱させ、地球へ巨大弾頭と見立て投下します。目標は南米ジャブロー基地、連邦軍の最高司令部であり、指揮系統を根本から断ち切る事が目的です。」

 

 円卓の一同は沈黙したまま、それぞれの立場で地図に見入り、それが意味することを、理解できぬ者は誰ひとりとしていなかった。

 

「……この作戦が完遂された時点で、地球連邦軍は組織的戦闘能力を喪失します。無条件降伏を求めるに足る、完全な戦術的・戦略的優位を、我々は手にする。ジオン独立戦争の推移は以上となります。質疑応答等無ければ、後は公王陛下の御認可のみとなります。」

 

 ギレンは再び席に戻った。その表情には、冷たく計算された“勝利”という二文字だけが刻まれていただが、会議室を満たす沈黙の奥には、見えざる緊張が張り詰めていた。

 

 ザビ家の兄妹が同じ場に並ぶ機会は少なく、それが軍の最高意思決定機関の場であるならなおさらだ。ギレンの統率力を認めつつも、ドズルは軍人として殺戮を前提とした作戦のみ打倒連邦が可能な事に恥じ、硬く腕を組んで黙していた。キシリアは兄の視線を一度も見ることなく、自らの前に整えられた資料に視線を落としている。

 

 円卓の外縁、黙して耳を傾ける数名の将軍と参謀達はすでにこの戦争計画のより詳細に熟知しており、今さら疑念を抱く者などいない。だが会議には挙がらなかった毒ガスによる制圧について、硬い表情が剥がれない。

 

ギレンがブリティッシュ作戦を語り終えた直後、長き沈黙の後、重い空気を切り裂くようにして、円卓の上座から低く静かな声が響いた。

 

「……ギレン」

 

 老いた公王の身体は、照明の下でわずかに影を落としていた。彼の目はギレンにまっすぐ向けられていた。揺らぎも、感情の起伏もない——ただ一つの問いを宿す光だった。

 

「これらの作戦により、我がジオンは誠に独立を果たすのだな。」

 

「確実に。独立により地球圏に“ジオン”の名を刻むこととなります。」

 

 デギンはわずかに目を伏せ、そしてゆっくりと椅子の背にもたれた。やがて、デギンは席を少しだけ起こし、静かに宣言するように言った。

 

「——ならば、これを以て、“ジオン独立計画”を正式に承認する。」




ギレン「地球連邦を〜‼️ぶっ壊す‼️どうもジオン総帥のギレン・ザビです‼️」
地球「本当に帰って」
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