GQuuuuuuX格付けチェック・シロッコ様専用控え室   作:睡眠欲

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変わりげのない7月、ジャブロー地下にて

地球連邦政府軍事省の本庁舎と南米基地ジャブロー。広大な敷地の中に複数ある食堂の一つに2人の士官が腰を下ろしていた。温度と湿度が一定に保たれた人工環境は地上のうねる空気や地下鍾乳洞の湿度とは無縁の快適さを提供している。昼食の時間が一段落し、客の姿もまばらな食堂で、ひときわ目立つ赤髪の女性がトレイを持って現れた。

 

「あなたが……パプテマス・シロッコ特務大尉?」

 

その名は、ジャブローの軍内部ネットワークでもたびたび目にする存在だ。民間から招かれた技術顧問にして、幾つもの新兵器研究と配備計画に携わる鬼才。その名は多くの士官たちの間で囁かれていた。

 

「ええ、そうですが……以前お会いしたことが?」

 

「ビアンカ・カーライル准尉よ。少し前からあなたの噂は聞いてるの。大反撃のキーマンは誰か、って。」

 

「自分は裏方ですよ。わざわざ探したんですか?」

 

「まあね。半分は好奇心ってやつ。あなた個人で立ち上げから導入までした対MS装備とか、裏方のおかげで自分たち前線組はかなり助けられてるって話よ。噂に聞いたわ、有線誘導のやつでしょ?」

 

「既存対戦車ミサイルを古臭い光ファイバー式有線誘導に変えた件ですね。それを運用する為の61式用砲塔と携行用のランチャーもセットで提案してそこそこ活きてる様です。」

 

「しかも、それが通ったってことは、あなたが提案だけじゃなくて運用シナリオまで作ったってことね?」

 

「まぁ既存の生産ライン再編案と必要人員の再配置、導入スケジュールまでしたんで自信はありましたよ。承認されたのは少し驚きましたが。」

 

「噂のRX計画の天才キーマンが驚く? 大方上が通さないわけないでしょ。前線にそのミサイル何度も輸送してるけど、かなり評判いいから自信持ちなよ。イケてるってさ!」

 

「まぁ本命の大反撃関連がごたついてますけどね。テスト、テスト、テスト、体系違いの新兵器導入はさすがにさっきの話みたいに上手くいかないんで。」

 

シロッコの目が遠くなり乾いた笑いをしているのを見ると、噂の連邦でのモビルスーツ導入は本当なのだろう。食事を終えたビアンカが立ち上がる。

 

「大反撃についてこの後ちょっと教えてよ。時間良い?」

 

「勿論。」

 

ジャブローの食堂を出た後も、2人は歩きながら言葉を交わした。食堂からつながる回廊は、天井のLEDが植物を模した形状で、通路全体をまるで森林の中の小道のように演出していた。清涼な空気が循環し、かすかにミントのような香りが漂っている。

 

「それにしても、既存兵器の改良とか装甲に新合金の導入とか、同じ若手として凄いわ」

 

「欲しいものが無い以上自分で作るしかないのが悩みなんですよね。動けば何とかなる」

 

「その動きで周囲を騒めかせてるのはマジ(本物)の天才ってやつだね。上官も時々あんたのプロフィールを人事システムで見て驚いてるわ」

 

「名前ばかりが一人歩きするのは本意ではないですが……注目される立場というのも、仕事のうちか」

 

ビアンカが肩をすくめた。

 

「人気者ってのも大変だね。でもさ、そんな中であんた自身は何を望んでるの?」

 

シロッコは一瞬立ち止まる。

 

「……“変化”かな。連邦政府への鬱憤が爆発した以上、対テロ戦争が延々続くだろう。政治家にでもなって世を整えてみるのも一興、といったところかな。」

 

「なるほど、派手でも王道だね。大きく考えてる奴は好きだな。それで? その“変化”の一歩目が噂のRX計画ね?」

 

「ジオンのザクを簡単に蹴散らせる勝利の“鍵”がRX計画ですよ。私はビアンカ准尉をよく知らないが、もし機会があるならその目で輸送した先でRX計画導入後の新たな戦場を見てほしい。確実に戦局は逆転する。」

 

「その言葉、忘れないでよ。戦場で逃げまわるのは嫌いなの」

 

そう言って、ビアンカは軽く笑った。その笑顔にはどこか清々しい決意の色が浮かんでいた。通路の終わりが近づき、2人は午後課業の為別れた。

 

「まさかビアンカ・カーライルとは、アナハイムのタイタンズ建国まで考慮する必要があるのか。これでは0083の立ち回りも再考しなければ…。来週からのペガサス建造も含めいよいよ表舞台に立つか」

 

格納庫に並ぶ複数のRX-75(ガンタンク)77(ガンキャノン)78(ガンダム)を見上げ改めて思う。

 

「原作キャラはいるものの私の知るガンダムの造形ではないのが理解に苦しむな。設計している時に全体デザインはわからんとはいえ、ルナチタニウムγ、いや秘匿名称ガンダリウムγの採用1つでこうも変わるのか。」

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