「ふう」
「うふふ。お疲れ様。炎山君」
「ああ。舟子もお疲れ」
副社長としての今日の仕事が終わったので車に乗りこむと一息吐く。
秘書の舟子が俺を労いながら社内に設置してあるドリンクバーでコーヒを入れて差し出してくれた。
「美味しい……そろそろ良い時間だな。何処かで飯でも食べて行くか」
「ええ!?炎山君とご飯!? 良いの!?……ごめんなさい。弟たちが私の帰りを待ってるから」
コーヒーを一口飲み舟子を食事に誘うと嬉しそうにしていたが、大切な弟たちの顔を思い浮かべて残念そうに断りを入れる。
「タイチとアツホの分は後で持ち帰りで頼んだら良いさ」
「……!?そうね!……ありがとう!私、タイチとアツホに電話するわ。アクアマン、家に電話をお願い!」
「しゅーねーちゃん。分かったぴゅ」
「炎山君。少しだけごめんね」
「ああ。分かった」
弟たちの夜ご飯を心配していたが、俺の提案を聞き嬉しそうにするとPETを取り出してアクアマンに自宅に電話を掛けてもらい話していた。
「この辺りで美味しい店ってあるか?」
舟子が話す間に運転手に話しかける。
「ええ。炎山様の父上、秀石様が昔から食べに行かれているイタリアンのお店があります」
俺の問いかけに伊集院家で長く働く運転手がこの付近で父が通うおすすめのお店を教えてくれた。
「そうか。ならその店に車を向かわせてくれ」
「はい。承知しました」
運転手に指示を出して付近にあるイタリアンのお店に車を向かってもらう。
「タイチとアツホに連絡入れてきたわ!」
「ああ……!?車を隅に寄せて止めてくれ!」
違和感を感じ目の前を注意深く確認すると信号機に異常を感じて運転手に指示を出した。
「は、はい!」
運転手はすぐに指示に従い道路の端っこに車を止めてくれる。
「どうしたの?」
俺の焦った声に問いかける舟子だが、答える前に目の前ですぐに問題が起こる。
ドカーン!!
大きな音と共に走行している車同士がぶつかる。
「事故!?もしかして私の不幸が……」
「そんな訳あるか!あれを見てみろ」
舟子が自分の不幸の所為と落ち込むが、その考えをバッサリと否定し信号機に異常がある事を指さす。
「信号機が……両方青!?」
「ああ。恐らくウイルスに信号がやられた……WWWの仕業か……」
全ての信号が青になる異常な光景。最初はウイルスの仕業だと思ったが、これだけの悪事をするのは奴ら……WWWしかない。
「その通りだ。流石は炎山君だ」
舟子の問いに事故の原因を推測して犯人を答えると、ネット世界の平和を守るネットエージェント、魚の模様をしたヘルメットとマントを着用した男、ビーフ司令が答え、側には赤い帽子を被り素顔を隠す少女、みゆみゆ。
黒い頭巾を被り黒いマントを羽織った少女、黒バラ仮面が車に乗り込んでいた。
「お前たち、いつのまに車に乗ったんだ?」
「貴方たちが車を端っこに止めた時よ」
「ええ。その隙に乗り込ませてもらったわ!」
俺の問いかけにみゆみゆと黒バラ仮面が答える。
「この中なら大丈夫よね」
「そうね」
みゆみゆと黒バラ仮面は帽子や頭巾を脱ぎ変装を解き素顔を表す。
「久しぶりね炎山君!」
「ああ」
「またお店に花たちを見にきてね」
「ああ。近々母さんのお墓にお供えする花を買いに行こうと思ってるからその時に邪魔させてもらう」
「ええ!!何時でも来てちょうだい!!」
黒バラ色仮面の正体でもある赤いバンダナを付け青い服を着た緑色の髪の少女、サロマ。デンサンタウンで花屋を営んでいる。
亡くなった母親の墓に供える花を買いに何度か店に行き仲良くなった。
「炎山君は久しぶりだけど、舟子は昨日お店に来てたわね」
「そうなのか?」
「え、ええ……みゆきさんの占いは女の子に有名だから」
みゆみゆの正体、紫色の帽子を被り、紫色
の服を着た緑色の髪の少女、黒井みゆき。
都市でもあるデンサンタウンで骨董品店を営んでいて、彼女は占い師でもあり、舟子が言ってるように、女性が占い目当てで店に来ることもあるらしい。
舟子も何度か行った事があるみたいだ。
ビーフ指令に頼まれ事件の現場で何度か顔を見せ何故か俺を目の敵にしていたが、認められたのか今はそうでもないみたいだ。
「キミたち、炎山君にひっつきすぎではないかね?」
「ええーそうですか?」
「久しぶりに炎山君に会えたんですから良いじゃないですか!」
ビーフ指令の言葉にみゆきは惚け、サロマは開き直る。
二人は車の中が広く席は沢山あるのに何故か俺の隣に座る。狭い……
「全然良くないわ!!炎山君から離れて!!」
目の前の席に座っていた舟子は不機嫌そうに怒鳴りながら近づいてくる。
「良いじゃない、会うのが久しぶりなんだから!」
「舟子、貴方ばかりずるいわ」
「良くないし、ずるくないわ!!私は秘書として当然の仕事です!!」
「その理屈なら炎山君と私たちは」
「ネットエージェントの仲間だからいいのよ」
舟子たちは何故か俺の取り合いをするが。……狭い……
「悪いが俺はアンタたちのお仲間になったつもりはないぞ」
「それは残念だ。キミのように実力があり正義感溢れる少年なら私たちは何時でも歓迎するぞ」
「実力は当然だが、果たして正義感はどうかな?」
俺はビーフ指令の言葉を小馬鹿にしたように笑みを浮かべ答えるが……
「炎山君はちゃんと正義感があるわ」
「炎山君、相変わらずみたいね」
「不器用な子」
舟子、サロマ、みゆきの女性陣から生暖かい視線を受ける。何故だ……
「信号機に潜むウイルスをデリートしていくぞ!幸い人数がいるのでチームは……」
「指令、私と炎山君が組むわ」
「ずるいわよ!みゆき!!司令!!私と炎山君が組みます!!」
「サロマちゃんもみゆきちゃんも間違ってるわ!炎山君の“秘書”の私が組むわ!」
ビーフ指令の言葉を遮り自分たちの考えを進言する舟子たち。
「お前たち……」
少女たちの勝手な振る舞いにヘルメットを抑えて呆れるビーフ指令。
「そうだわ。誰と組みたいか炎山君に決めてもらえればいいじゃない」
舟子の言葉に三人は炎山を見るが姿が見当たらない。
「炎山君なら先に行ったぞ」
「ええ!?」
「全く……一般人の舟子君だけではなく、ネットエージェントの一員であるキミたちまで……仕方ない私が勝手に決めさせてもらおう。黒バラ仮面とみゆみゆが組み、私と舟子君が組んで事態の収束に向かうぞ」
「は、はい!!」×3
ビーフ指令の言葉に三人は返事を返して信号機に向かう。
誰も炎山の事を気に掛けずそれは心配してないではなく実力を信頼してるからだ。
信号機の電脳・・・
長引きそうなので現場に向かい問題が発生している信号機にブルースをプラグインしてウイルスと戦う。
「ブルース!」
「はっ!炎山様!」
「バトルチップ……フレイムソード、アクアソード、スロットイン!!」
PETにバトルチップをスロットインさせるとブルースに送られて、左腕に火属性の剣と右手に水属性の剣でウイルスたちを次々と切り伏せていきデリートする。
戦いが終わると俺のPETに着信が入る。
TEE……
「炎山様、ビーフ指令からお電話です」
「分かった。繋げてくれ」
ブルースがPETの操作をするとビーフ指令と電話が繋がりビーフ指令の顔がPETに映し出された。
「炎山君、そちらはどうだ?」
「たった今、全てのウイルスをデリートした所だ」
「流石だな。ならばキミに頼みがある。私と舟子君でウイルスデリートしているのだが数が多く苦戦している。更に運が悪いことに現実世界でWWWのオペレーターが民間人にWWWが開発したという明らかに詐欺である安全プログラムを販売し金儲けをしようとしている」
「分かった。ビーフ指令はそっちに向かってくれ!俺は舟子の所に行く」
「すまない!恩に切る!」
俺はビーフ指令の頼みを聞き舟子とアクアマンが戦う場所に向かう。
信号機の電脳6
「アクアマン、大丈夫?」
「な、何とか大丈夫ピュ」
ビーフ指令のナビ、サメ型のナビシャークマンと協力して倒すが数が多い。
しかも運が悪くシャークマンは戦場を離脱していてアクアマン一人でウイルスと戦ってるので疲労している。
「サンダーボルト!!」
「ひゅ!?」
ウイルスをデリートし次の敵に備えるアクアマンに電撃が襲いかかる。
「アクアマン!?一体誰が!?それよりも早く……プラグ……」
水属性のアクアマンには通常の攻撃よりも電気属性の攻撃はダメージが大きくデリート寸前である。
舟子はすぐにプラグアウトしようとするが……
「遅い!!」
「アクアマン!?」
謎のナビはプラグアウトの隙を与えず追撃を仕掛け辺りは電撃の所為で閃光に包まれ視界が見えない。映らないPETを見て最悪の状況を想像して舟子の悲鳴が響き渡るが……
「大丈夫だ」
「炎山君……」
舟子の側には炎山が到着していて、視界が晴れPETから状況を確認出来るようになると、ブルースがアクアマンの側にいて電撃を赤いシールドで防いでいた。
「ぶるーにーちゃん」
「良く頑張ったな。後は俺と炎山様に任せてくれ」
ブルースの姿に安心したアクアマンはそっと微笑むとプラグアウトする。
「貴様が今回の首謀者のWWWのナビだな?」
「ああ。俺の名はエレキマン。エレキ伯爵のナビだ」
「ユーは私とエレキマンがデリートしまーす」
「出来るものならな。行くぞ。ブルース」
「はっ!炎山様」
ブルースとエレキマンが睨み合う。するとしびれを切らしたエレキマンが先に動く。
「サンダーボルト!!」
「バトルチップ、アームズゲンガー、スロットイン!!」
炎山はPETにバトルチップを装填した。頭上からブルースに雷が落下するが、アームズゲンガーの能力で自分が使用している武器と同じ半透明のワイドソードとシールドがブルースの近くを浮遊し、シールドが雷を自動的に防ぐ。
「何だと!?」
「驚くのは早いんじゃないのか?バトルチップ、スプリングソード」
バネ上の剣を右腕に装備するとエレキマンに絡ませ動きを封じ、アームズゲンガーの能力で、半透明の浮上しているワイドソードが身動き出来ないエレキマンに迫る。
「バトルチップ、バリア、スロットイン!!」
エレキ伯爵はPETにバトルチップを装填してエレキマンに送ると、エレキマンは自分の周囲にバリアを張りブルースの攻撃を防ぐ。
「やりますね!しかしミーたちはWWWを舐めすぎデス」
炎山とブルースの圧倒的強さにエレキ伯爵は多くのウイルスを呼び出して数で押し切ろうとする。
「数で優位にたったか……くだらないな」
「貴様、俺と炎山様を舐めすぎだ……それに」
エレキ伯爵とエレキマンの浅はかな考えに炎山はため息を吐き、ブルースは呆れながらも視線を別方向に向ける。
「お待たせ、ブルース」
ブルースの視線の先には骨の姿をしたみゆきのネットのナビ、スカルマンが現れる。
「さっきから隠れて俺たちの戦いを見ていたのは知ってるぞ」
「あはは、ごめん、ごめん。みゆきが炎山の格好いいオペレート姿を見たいと言ってたからね」
ブルースの指摘に悪気もなく謝り理由を説明するスカルマン。
「スカルマン、余計な事は言わなくて言いわ」
素直に話すスカルマンにみゆきが頬を赤らめながら針を刺すと炎山に話しかける。
「炎山君。ウイルスたちの事は私とスカルマンに任せて」
「ああ頼んだ。ブルース!」
「はっ!炎山様!」
みゆき言葉に炎山は頷くとブルースに指示をだす。
「ぐぬぬ!ユーたちにも援軍ですか……しかしミーたちは強いですよ!エレキマン!」
「はい。エレキ伯爵」
「バトルチップ、エレキソード、スロットイン!」
エレキ伯爵はPETにバトルチップを装填した。するとエレキマンの右手に雷のソードが装備された。
「もらった!!」
エレキマンは動きを止めるブルースに接近して雷のソードを振り下ろす。
炎山はブルースに迫る攻撃に焦らず冷静にバトルチップをPETに装填した
「目には目を、歯には歯をだ。バトルチップ、コピーハンド、スロットイン!!」
コピーハンドの能力でエレキマンが使用するエレキソードをコピーし、ブルースの右腕に装備された。
素早くエレキソードでエレキマンを切り裂いた。
「エレキマン!?ノー!?」
「お、覚えていろ……次は勝つ」
エレキマンはそう言い放つとログアウトした。
「ふうーブルースご苦労」
「はっ!炎山もお疲れまでした」
俺は信号機に差し込んだPETのプラグを抜きブルースをプラグアウトさせる。
「炎山君!!」
「犯人のWWWのナビは撃退した」
「流石は炎山君ね」
舟子とみゆきと話しているとWWWを追いかけていたビーフ指令とサロマと合流した。
「すまない。WWWのプログラムを販売していたピンクの髪の女を逃がしてしまった」
「現行犯で捕まえないといけないのは難しいですね」
謝罪するビーフ指令と悔しそうにするサロマ。PETの時計を見て時間を確認する。。
「俺たちはそろそろいくか」
「ええ」
俺と舟子は事故が起きる前に予定していた店に向かおうとするが……
「ちょっと待って……炎山君たちは何処に行くの?」
サロマは嬉しそうな舟子の様子に不審を感じて問いかけると、舟子は何故か首を横に思い切り振っていたが……
「ああ。俺たちは元々飯を食べに行くところだったんだ」
炎山は気にせずに答えてしまう。
「炎山君とご飯……」
「指令!!今からご飯に行きましょう!!」
「はっ?」
みゆきはブツブツと呟き、サロマの提案にビーフ指令は驚きの声を上げる。
「そうですよ!民間人の炎山君たちに協力してもらってお礼もないなんて酷すぎます!!」
「しかしな……しょうがねえ!!キミたち全員分、このビーフ司令がおごってやろう!!」
みゆきとサロマはビーフ指令に詰め寄る。
ビーフ指令は二人の言葉を少し考えると許可して奢ってくれるみたいだ。
「やった!!」
「そんな~」
抱き合いながら喜ぶサロマとみゆき。何故か舟子は泣いていた。
俺たちは運転手に乗せてもらい店に向かう。
「ふうー」
ディナーを食べ終わると舟子たちはまだ楽しそうに話していたので外に出て星空を見ていた。
人の気配が近づいてきて振り向くとみゆきがいた。
「今日はお疲れ様」
「みゆきか……みゆきもお疲れ」
みゆきは星空を見つめる俺の横に立つ。
「今日のお礼に貴方を占ってあげるわ」
「占いだと?興味ないな」
「ふふふ良いから黙って聞きなさい。それに私も貴方の運命に興味がある」
みゆきはそう言うと水晶を持ち俺を占う。真剣な表情で水晶を見ながら口を開いた。
「貴方には二つの光が見えるわ」
「二つの光?」
「ええ。その“光たち”は炎山君とブルースを“熱”くさせるわ」
「俺たちを熱くさせるか……楽しみだな。ブルース」
「はい。しかし炎山様に敵うネットバトラーは存在しないと思いますが……」
「そうか」
炎山は近い未来自分とブルースのライバルになるバンダナを巻いた少年と青いネットナビに出会う事になる。
追加させるヒロインは誰が良い?
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サロマ
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黒井みゆき
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緑川ケロ
-
三人共