Repeat after me 「ラミ☆エル」!! 作:妖怪「キラキラ様」
選手も観客も一斉に空気弾の出処を見る。
「当たった!かっちゃん!」
「わーっとる!振り落とされんなよ!」
「うん!」
顎を打たれ涙目のままくるくると星を撒き散らしながら回転する優雅に一直線に飛んでくる一つの影。
『A組委員長緑谷出久!まさかの熱い宣誓かました爆豪の背に乗り空中での狙撃に成功!』
ヒーハー!と喜ぶプレゼントマイクの言葉通り、両手から爆発を連続して放ちロケットの様に地面と平行の体勢で飛ぶ爆豪の背には、デコピンの形に手を構え銃身の如く真っ直ぐ伸ばした腕を空いた腕で支えた緑谷が跨っていた。
「何やってんのオサナナコンビ!」
「アホみたいな格好だけど、アレ、爆豪飛行に全集中出来るだろ!?」
後方から聞こえるクラスメイトのツッコミも何のその、爆豪の背の上で緑谷が集中する事で全身に光が走り、全身を覆う『
そのまま片手で支えた真っ直ぐ伸ばした腕の先、デコピンの構えとなった、親指に押さえられた曲げた人差し指に全神経を集中する。
すると全身を覆っていた光が見る間に彼の指先に集まり始め、光が指先で一層強く輝いた瞬間。
「
再び優雅目掛けて空気の弾丸が発射された。
だが、さすがに不意打ちで無ければ優雅も喰らう事無く、空中をふらふら、ひらひらと舞い、空気弾を回避する。
「待って緑谷君!僕、君に恨まれるような事したかい!?☆」
普段温厚な緑谷からの攻撃に、さしもの彼も優雅さをかなぐり捨てた涙目で反論したが、
「俺はあるぜ!!八つ当たりだけどなぁ!!」
「水に流したのかっちゃんじゃな「るせぇ!こういうのはノリだ!ノリ!」ちょっと黙って」
オサナナコントを終えて、緑谷は腹に力を込める様に大きく息を吸い込む。
「恨みはないよ!ないけど!キミは!放っておくと、勝手に輝いて、目立って勝ってしまうだろう!」
「僕らだって勝ちたいんだ!」
「だから、キミの勝利を阻止する!」
「キミは!ボクらの!」
「越えるべき壁だ!」
叫び終わると同時、緑谷は三度空気弾を放つが、先程までより間隔が短い。
全身が光り、その光を指先に集め、放つ。
その過程を経なければ、今の緑谷には負担の多い高威力を維持した空気弾。
その溜めの長さを補う様に小指以外の三本の指全てを親指に掛け、順繰りに違う指に力を込めて弾く事で、負担を抑え連射性を高めていた。
傍目からも輝く様が見える緑谷と、軽口を叩き合いながらも彼を乗せ飛ぶ爆豪の二人は、観戦者から見ても中々良いコンビの様に見える。
そんな二人からの攻撃をかわしながら、動揺から立ち直った優雅は嬉しそうにニンマリと笑う。
「んふ☆緑谷君もキラメクんだネ☆でも、僕も負けない☆」
いつもの調子の戻って来た優雅は喧しくポーズを変えながら、
「キラメイてて、ゴメンネ!☆」
臍の数センチ上のいつもの発射点から、無数の光線を雨あられと発射した。
「!!、掴まれ!デク!!」
「!!」
レーザーの発射直前、兆候が見えるかどうかの瞬間に爆豪は回避行動に移る。
すぐさま攻撃体勢を解き背中にしがみつく緑谷を背負い離脱する爆豪に追従するかの様に追い縋る光の雨。
『HEY!青山の反撃を鮮やかに回避する爆豪!良い画が撮れてるじゃねぇか!』
はしゃぐプレゼントマイクの言う通り、中々見応えのある応酬に観客達も盛り上がる。
(前方が地獄)
(アイツら目立ってんな〜)
(デクくん凄、ウチも負けられんな!)
一方、後方組はその攻防の派手さに慄きながら、必死にコースを走り抜けていた。
☆☆☆
ところで、青山に追い縋れず、更には緑谷達にも抜かれた轟、飯田だが、こっそり彼らを追い抜くでも、彼らの様に互いに妨害し合うでもなく、後方からの予想外の妨害に逃げ回っていた。
「本当、お前ら凄えな!」
「僕も全くの予想外なんだが!八百万君!」
全力で走る二人に遅れること無く追い続けるのはA組副委員長、八百万百。
その彼女の足元に装着されたスノーボード状の板からは、星の様な爆発の様な光が後方へ向け噴射され、彼女の体を数十センチ浮かせた上で個性『エンジン』の飯田に負けぬ推進力を与えていた。
そんな八百万、何だか普段のお淑やかさをかなぐり捨てた様な鬼気迫る表情で右腕に抱えたバズーカらしき物体を背中に回し、何者かの手が伸びて装填する様な動作をした後、右肩に構えて発射。
淡々とした動作で発射されたものを大きく回避しながら確認する飯田は、着弾したそれを改めて認識し、色々な意味で戦慄する。
(何でバズーカから峰田君の『もぎもぎ』が発射されて来るんだ八百万君!!?)
「へ、へへ、ヤオモモの、モモ尻、フトモモ〜」
「峰田さん、有用性を理解してしまった以上ここまでの狼藉は不問と致します、が!ここから先は委員長と爆豪さんを召喚しての尋問に移行致します」
改めて申し上げておきますが、宜しいですね?と無表情で一切こちらを見ずに告げる八百万に、
「オイラ、通りすがりの装填装置、いくらだってモギモギ装填スルゼ!」
と、彼女の腰回りに自身の個性『もぎもぎ』でしがみついたボロボロの峰田は機械的に返事をした。
「八百万、凄えな!市販品の再現じゃねえだろ、ソレ!」
自分のクラスメイトは相変わらず凄い、と再確認し感動する轟に、褒められてつい正気に戻った八百万は頬を赤らめる。
「い、いえ、私など」
彼女の言葉は少なくとも彼女自身にとっては本心だ。
彼女の個性『創造』で彼女が今まで創り上げていた物は、ネジの一つ、部品の一つをくまなく精密に再現した実際の道具の『模造品』にしか過ぎなかった。
それを変えたのは先日、緑谷や爆豪に相談してみた個性に対する質問への爆豪の返答。
『
既存の物だけじゃない、自分の意志で個性因子を能動的に動かせたら、あるいは八百万なら他人の『個性』を再現出来るのではないか、と。
普通なら、まさに子供の戯言だろうと一笑に付す話だろう。
だが、八百万百は知っている。
ほんの一日おいただけで自滅型の個性を容易く制御してみせた同級生を。
『爆破』という個性を、十五年変わらぬ方向で使い続けたであろう彼の、有言実行とも言える能動的な個性の変化『浸透勁』の再現の瞬間を。
「わたくし、これでも優秀であるという自負はございます!そんなわたくしが、事実を見せられて何もせずただ指を咥えて見ているだけなど、誰よりもわたくし自身が許せません!」
そして一念発起して数日、この『雄英体育祭』当日に間に合った四つの個性の再現。
爆豪の『爆破』に青山の『ネビルレーザー』を混ぜ合わせた様な推進能力を再現したこの『フライボード』も、個性そのものこそ無理だったが峰田の『もぎもぎ』の粘着性を無視できる『もぎもぎバズーカ』も、個性の再現研究の結果、『創造』に成功した結果の一品だった。
「轟さんの決意、わたくしも本当に感動致しました!されど、わたくしも同じくヒーローを志す者の一人」
再び背中越しに構えたバズーカに、峰田が『もぎもぎ』を装填していく。
「わたくしも、皆さんをライバルとして、正面から乗り越えたく思います!飯田さん共々ご覚悟下さいませ!!」
いい終えると同時、構えたバズーカから『もぎもぎ』を発射しつつ、八百万は一気に距離を詰めてきた。