Repeat after me 「ラミ☆エル」!! 作:妖怪「キラキラ様」
「お覚悟!!」
(八百万君!?接近戦は逆に不利の筈!!)
『フライボード』を駆使し一気に距離を詰める八百万に飯田が、そして轟も思わず警戒して距離を取る。
「やああっ!!」
「「!!?」」
そして撃ち切ったバズーカを振りかぶった八百万が振り下ろそうとして、バズーカが壊れた様に分解される。
呆気に取られた轟と飯田の内、八百万と正面を向き合っていた飯田は、砕けたバズーカの破片の向こうの彼女と目が合って、睨むようにこちらを見ている八百万の視線に悪寒が走る。
(バズーカの破損は偶然の事故ではない!!)
咄嗟の判断で全力で距離を取ると同時、八百万がはだけていた雄英指定ジャージの中、彼女の肌の見える部分から出現していた無数の銃身から、小さな球体が続けざまに発射される。
一方の背中側になる轟も、いつの間にか彼女のジャージの背中の裏から伸びたサスペンダー状の帯に、体を固定していた峰田による『もぎもぎ』の連続投擲から距離を取っていた。
(背中に峰田が!?気付かなかった!!)
(この球体、!、トリモチか!!)
地面に撒き散らされた『もぎもぎ』と小さな球状のトリモチと、不得意な接近戦を敢えて選択してくるという予想外の行動に完全に後手に回った二人を尻目に、八百万達はそのまま全速力で走り去っていった。
(そ、そうだった!?これはレース!!)
(ヤベえ、完全に気迫に呑まれた!)
己が術中に嵌ったと愕然とする飯田と驚愕に呑まれながらも八百万の渾身の気迫の籠もった攻撃に感嘆する轟。
そんな彼らの背後から、巨大な茨の波が押し寄せた。
「んなぁああああ!!?」
「!?」
「うわぁ、アリャ何だ?」
「恐らくはB組の方の個性でしょう。追撃が消えて助かりました」
「にしても凄えな。バズーカ自分で壊れたぜ!?」
「『無力化』対策をずっと考えてましたので。これでも十全か分からず不安なのですが」
後方が茨の山で見えなくなるのを尻目にコースを疾走する八百万。
参りますわと速度を上げる彼女の腰にへばりつく峰田は、ここでフザケたら二度と陽の目は拝めねえなと、さすがにオッパイお預けの無言で付いて行くのだった。
☆☆☆
「かっちゃん!後ろ!!」
「ありゃ入試の時の奴だな。こっちの会場にいた女だ」
空中の自分達からも視認出来る茨の山に、こちらも驚きを隠せない緑谷と、見た事があった分(警戒はするものの)現状青山が優先と彼から目を離さない爆豪。
『後方でもA組同士の乱戦が起こる中、漁夫の利を掻っ攫う様にB組塩崎茨が茨の津波を従えエントリィイイー!!』
『後ろはともかく、先頭はもう第二関門通り過ぎて地雷原に入るな』
『第三関門って言ってやれよイレイザー!ネタバレは無視された第二関門共々スタッフとロボの心を打ち砕くぜ〜!!』
実況の言葉通り、空気弾を撃ってはレーザーを撃ち返され、レーザーを掻い潜っては空気弾で狙い撃つ二組は、コース中に穴の空いた第二関門を上空を通過する形で無視し、そろそろ土肌の剥き出しなコース、地雷原の第三関門の上空に差し掛かろうとしていた。
「後ろが賑やかになって来たね☆僕達も負けていられないね、緑谷君☆」
再び彼らの視界を埋め尽くす様な光の雨を撃ち出す優雅に、「俺を無視すんな!」とは一切言わず*1、無言で距離を取りかわす爆豪と、彼の上から精度よりも手数優先で片手撃ちで空気弾による反撃を続ける緑谷。
「やっぱり、全然怯まないや。かっちゃん単独なら」
「アホウ、逆だ。この速度で追従出来るからアイツも足止めて反撃すんだ。俺だけじゃ初手で物量戦で押し潰された後、距離離されて終わりだ」
初手の奇襲の後は、五分とはいえ打開策のないままジリジリとここまで来てしまった事に焦る緑谷だが、充分に想定出来た爆豪が嗜める。
(デクの火力が想定以上だったのも、思ったより勝負になっとる理由だ。俺でもさすがに速度と火力をこの水準で維持したまま両立しての交戦は無理)
とは言え確かに敗北に終わりそうな結末を想像し内心歯噛みする爆豪の耳に、噴射音が届く。
「追いつきましたわ!!」
後方、第二関門の穴の直前、新たに『創造』したバズーカを構え、八百万が吠える。
同時に発射された『もぎもぎ』弾に驚く二組の隙を突いて穴の上空に飛び出た彼女は、「峰田さん!」「おうよ!」と空中で装填を行い、更に『もぎもぎ』を発射する。
「八百万さん!?と峰田君!?」
「アイツ、『個性』の『創造』モノにしたんか!?」
驚愕しつつ『もぎもぎ』を回避する爆豪達に、
「峰田君の『もぎもぎ』は驚異☆」
とレーザーで軒並み焼き切って迎撃する優雅。
思い切り『フライボード』を噴射させて一気に第二関門を飛び越えた八百万は華麗に着地して。
上空からの唐突な強風にバランスを崩し煽られた。
「キャアアッ!?」
「ッ!かっちゃん!轟君が!!」
「ッチ!つい手癖で『右』だけで動いちまった!」
下方で手放してしまったバズーカが地雷原に突っ込み、爆発する地雷に再び響く八百万の悲鳴が聞こえる中、無理やり茨を突っ切って来たのか細かな擦り傷が目立つ轟が情けねえ!と独りごちながら『左』の炎と『右』の冷気を断続的に噴射しながら段階を踏むように加速して追い付いてくる。
「(冷気で冷却した空気を炎で急激に暖めて推進力に変えたの!?)かっちゃん!!」
「ッ!?あ、ああ!!」
「来たね◇轟君☆」
慌てる緑谷に何故か動揺する爆豪を尻目に、嬉しそうに優雅は笑う。
「悪い、待たせた。行くぞ!」
空中で向かい合い真っ直ぐ突き出した左腕から炎を槍の如く撃ち出す轟を前にして、青山優雅のいる辺りから甲高い音が響き始める。
「な、何だぁ!?」
「何でしょうこの⋯音?」
「⋯歌?」
「⋯!!?掴まれ!デク!!」
『キャァァア』とも『キィィイイ』とも聞こえる様な甲高い音が光と共に優雅の臍の辺りに集まり大きな光の玉となって、
「ラミ☆エル!!!」
裂帛の気合の一声を合図に、巨大な光の柱が周囲一帯を薙ぎ払った。